JP4142134B2 - 測長装置の目盛板と走査ユニットおよび目盛板の取付方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、互いに移動する二つの物体の相対運動を測定する測定装置の目盛板と走査ユニット、およびこの目盛板を取り付ける方法、更にこの種の目盛板あるいはこの種の走査ユニットを備えた測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の目盛板は、例えばドイツ特許第 25 05 585 C3 号明細書、ドイツ特許第 36 25 795 C2 号明細書およびドイツ特許第 35 30 776 C2 号明細書に開示されていて、通常の応用例では工作機械の一方の移動部品の相対位置を把握するために使用される。この場合、互いに移動する二つの物体の相対運動を測定する測定装置の部品として目盛板が固定された一方の物体は、前記工作機械の機械ベッドである。機械の移動部品に配置されている工具に対して機械ベッドとその上に配置されている工作品の相対位置を把握するため、機械の可動部品、つまり例えば機械ベッドの支持に走査ユニットが取り付けてある。この走査ユニットは機械の可動部品に固定され、静止している機械ベッドに取り付けた目盛板を適当な方法で走査する。
【0003】
この種の目盛板を物体に固定するためには、ドイツ特許第 25 05 585 C3 号明細書により、この目盛板を中空体に持ち込み、両端に設けたリンク結合式に形成された固定部材を介してこの中空体を物体に固定することが知られている。この装置は、特に目盛板を入れる中空体の取付時に強制力をなくするために使用される。
【0004】
目盛板あるいは目盛板のケースを取り付ける際に発生する強制力の外、温度変動のため関与する構造部品の長さ変化から特別な問題が生じる。これに関してドイツ特許第 36 25 795 C2 号明細書の装置で達成されている改善は、目盛板の測定参照点の位置が目盛板を取り付ける工作機械の特別な状況に無関係に、特に温度特性に関して設定できる点にある。これには種々の長さのバランス部材を用いいる。
【0005】
しかし、理想的には、温度変動時の目盛板の膨張特性が目盛板を取り付けている物体の膨張特性に合っているように、目盛板を物体に固定する必要がある。物体に取り付けた目盛板がそのように物体と「一緒に呼吸して」、つまり長さの伸び縮みに関して物体の特性に合うことを達成するため、技術上知られている測定装置の目盛板は適当な太さに設計されたネジで固定されている。このような結合では、目盛板が押圧面に伝わる摩擦力により物体の長さ変化となるほど大きい力で目盛板が物体に押圧される。
【0006】
しかし、この種の結合は使用すべき固定ネジに対して高度な要請を設定し、更に目盛板の長さの延びが全長に対して一様に生じることを保証できない。更に、目盛板が長い場合、振動も発生し、この振動が目盛板を固定した物体の相対位置を検出する時に測定誤差を与える。この問題は、目盛板と作用する走査ユニットを取り付ける時にも同じように発生する。
【0007】
ドイツ特許第 35 30 776 C2 号明細書の装置では、目盛板と物体の形状に合った結合が行われている。この形状に合った結合は目盛板を取り付けた部材の丸めた表面と、物体に取り付ける組立ブロックを介して行われる。この組立ブロックには適当に成形された面があり、これ等の面により目盛板を物体に形状を合わせて固定するために対応する部材の丸めた表面が目盛板に嵌まる。
【0008】
固有な組立ブロックで形成すべきこの周知の形状に合わせた目盛板の固定には、この組立ブロックを物体の一定の位置に確実に固定することを経費の掛かる方法で保証する必要がある。相手の部材で目盛板に形成すべき形状に合った結合の部材の固定は、特にネジだけで行われるのでなく、ピン止めも行われる。それ故、目盛板を形状に合わせて固定する前記刊行物により周知の装置には、比較的経費がかかると言う難点がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
測長装置の従来技術で知られている目盛板と走査ユニット、および目盛板を取り付ける装置の説明した難点を考慮して、この発明の課題は、物体の相対位置を検出する走査ユニットにより目盛板を確実にしかも正確に走査することができるように、物体に簡単に固定できる目盛板や走査ユニットおよび目盛板を取り付ける方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は、請求項1にもとづく目盛板よって解決される。
【0011】
更に、上記の課題は、請求項7にもとづく方法によって解決される。
【0012】
この発明による他の有利な構成は特許請求の範囲の従属請求項に記載されている。
【0013】
上記の構成により、目盛板あるいは走査ユニットには、この目盛板あるいは走査ユニットの長手方向に沿って形成される少なくとも一つの物体との形状の合った結合を行う手段がある。この発明による目盛板あるいは走査ユニットの物体への形状に合わせた結合により、例えば高負荷可能なネジのような摩擦係合に通常必要な固定部材を省くことができる。形状の合った結合は、温度が変動する時に物体の長さ変化のために生じる力を物体に取り付けた目盛板あるいは走査ユニットへ望ましい伝達に対して有利にする。
【0014】
この発明による形状に合わせた結合は更に目盛板あるいは走査ユニットの長手方向の延びに沿って形成されているので、新規な固定手段を備えた目盛板あるいは走査ユニットにより目盛板あるいは走査ユニットの特に良好な支持を与える物体に取り付けが可能である。目盛板が長い場合には、目盛板の長手方向に垂直に延びる方向の目盛板の振動を防止するためにこの種の固定を使用できる。このような振動を防止することにより、検出し目盛板を走査する時に精度が改善される。更に、目盛板あるいは走査ユニットの長手方向の延びに沿って形状に合った結合を適当に形成することにより、目盛板あるいは走査ユニットを取り付けた物体の収縮に特に一様に目盛板あるいは走査ユニットが追従する。
【0015】
これには、欧州特許第 0 110 059 B1 号明細書により、目盛板ホルダーのほぼ中心に固定部材を取り付け、この部材により物体への固定を行うことが知られている。しかし、この刊行物に開示されている固定部材は発生する力を固定した目盛板に伝える固定ネジを介する摩擦力を使用しているので、形状に合わせた結合としてこの発明により形成すべき目盛板の固定により初めて、従来の技術で必要であった特に高負荷可能に形成すべきネジを使用しなくてもよい。更に、前記刊行物に示す装置では、目盛板を端部に固定するところに固定部材を設け、これ等の固定部材が目盛板の長手方向の長さのバランスをとることを可能にする。従って、目盛板の長手方向に向けて形状に合った結合を伴うこの種の固定により、目盛板が物体の長さ変化に追従するように目盛板が取り付けられない。これは、長手方向に沿った形状に合わせた結合手段を有するこの発明による目盛板により初めて達成されている。
【0016】
この発明による有利な他の実施構成は従属請求項に記載されている。
有利な実施構成によれば、この装置に対して少なくとも一つの形状に合わせた結合部が設けてある。これは目盛板あるいは走査ユニットの長手方向に平行に延びる方向に作用する。この実施例では、既に説明したように、この装置に対してこの装置が物体の長さ変化に特に均一に追従することが達成されている。長手方向に推移する少なくとも一つの形状に合った結合部が装置の長手方向に作用することにより、装置のこの取付点で形状に合った結合部を介して力が伝達される。この力を装置がこの点で装置に固定されている物体に対して固定されている位置に保持する。
【0017】
こうして、長手方向に作用する、装置、特に目盛板の長手方向に延びる形状に合った結合部を形成することにより、個々の点で物体に対して不変な位置が達成されるので、目盛板の全長にわたり目盛板が物体のどんな長さ変化にも一様に合うことが保証できる。こうして達成される相対位置を検出すべき物体に目盛板を特に望ましく「一緒に呼吸すること」により特に正確な位置の検出が得られる。何故なら、目盛板の走査すべき点の位置が目盛板の各点に特に正確に一致するからである。
【0018】
他の有利な実施構成によれば、装置の長手方向に垂直に延びる方向に作用する形状の合った結合部を設けることができる。これにより、装置の長手方向に垂直に延びる方向の装置の振動を防止することを有利に行える。この種の振動は特に比較的長い目盛板で生じ、目盛板の相対位置、従って当然目盛板に固定されている物体の相対位置の測定に誤差を与える。目盛板の長手方向に垂直な作用方向にこの発明により形状に合わせた結合により、この発明による目盛板に対して特に正確な測定を可能にする固定が達成される。
【0019】
この発明による装置の有利な実施構成では、形状に合った結合は主に目盛板あるいは走査ユニットに取り付けてあり、形状の合った結合に対するこの発明による手段である、少なくとも部分的に球面状に湾曲した表面を持つ部材で構成されている。形状の合った結合部の相手の部品は、装置を固定する物体に主として形成すべき円錐凹部、球面状に湾曲した凹部、あるいは広いV字状の溝である。この発明による目盛板あるいは走査ユニットのこの種の実施構成を用いると、形状の合った結合部により発生した力を伝達することに関して特に良好な経験をする。この場合、目盛板あるいは走査ユニットにネジで取り付けられる数センチメートルの直径のボールが大切である。同じように、数ミリメートルの直径の小さいボールを使用することも考えられる。
【0020】
特に小さいなボールに対して、このボールを目盛板あるいは走査ユニットで各円錐状の窪みに入れると有利である。これ等の形状は低経費で目盛板あるいは走査ユニットに形成でき、これ等の中で小さなボールが例えば適当な接着剤で固定されている。その場合、これ等のボールは表面から突出するので、目盛板あるいは走査ユニットを物体の表面にネジ止めする時に埋まり、この発明による形状の合った結合を与えるように、これ等のボールは円錐状の窪みに入っている。
【0021】
更に、形状の合った結合部には好ましくは少なくとも一つのピンがある。ネジ山付きのピンで形成されたピンは、物体との形状に合った結合を形成するように目盛板あるいは走査ユニットに簡単に挿入でき取り付けできる。例えば、形状に合った結合部を形成するように、目盛板あるいは走査ユニットの穴で物体の表面に接触するように配置されたボールを物体の表面に押し込むため、前端部に円錐状の窪みを持つネジ山付きピンを使用できる。
【0022】
更に、形状の合った結合部の構成要素としてのピンに対して、このピンが円錐状の先端あるいはリング刃を持っていれば、有利である。両方の場合、ピンはボールを使用することなく、適当に形成された前端部を物体の表面に埋め込むように目盛板あるいは走査ユニットの穴にネジ込まれる。この場合、特に良好な実績がリング刃にはあり、このリング刃はピンの端面の外領域で回転するように形成されたある種の尖ったリブとして形成されている。
【0023】
他の有利な実施構成によれば、少なくとも一つの形状に合わせた結合部は、少なくとも部分的に円筒状に湾曲した表面を有する部材で構成されている。この部材は好ましくは目盛板に取り付けてあり、目盛板の長手方向に向けて形状に合った結合部を形成する手段である。好ましくは物体に形成すべき形状に合った結合部の相手の部材片は円筒状に湾曲したあるいは広いV字状の溝である。このように形成された切欠には、目盛板あるいは走査ユニットを取り付ける時に部分的に円筒状に湾曲した表面を有する対応する部材が収納され、目盛板あるいは走査ユニットを固定する時に、目盛板あるいは走査ユニットに対する長さ変化を与える力を伝達し、この長さ変化は特に正確な測定結果のために目盛板あるいは走査ユニットが物体と「一緒に呼吸する」ことを保証する。
【0024】
更に、装置の有利な実施構成によれば、装置の端部に少なくとも一つの物体との形状を合わせた結合部が設けてあると有利である。それ故、この装置は端部の領域にも形状の合った結合部を形成する適当な手段を持っている。装置をこの装置の端部の長手方向のところでこの発明による形状を合わせた結合部を用いて固定することが任意に行えたとしても、装置を固定する時に前記利点を得るにはこれ等の結合部を形状の合った結合部として形成すると好ましい。
【0025】
形状の合った結合部を形成する手段を装置に、そして特に部分的に球面および/または円筒状に湾曲した表面を持つ部材を装置に調節可能に取り付けると有利である。この発明による装置の上記構成により、物体に取り付けた装置を交換する場合に特に有利である。この場合、物体には通常装置を形状の合った結合部により物体に固定する形が形成されている。しかし、既存の目盛板と交換した新しく仕上げた目盛板は、その寸法および形状の合った結合のための手段の寸法に関する通常の許容公差により、この新しい目盛板が物体に形成されている形にただ不十分にしか「合って」いないように交換すべき目盛板からずれている場合がしばしば生じる。この場合には、対応する手段と部材を調節可能に取り付ける目盛板の有利な実施構成は、既存の目盛板を交換するため、目盛板を物体に取り付けることができるように、対応する物体の位置を合わせることができる利点をもたらす。
【0026】
この発明の他の特徴によれば、この発明による目盛板あるいはこの発明による走査ユニットを有する測定装置が互いに移動する二つの物体の相対動きを測定するために提供されている。この目盛板は第一の物体に固定される。走査ユニットは第二の物体に取り付けられ、目盛板と共に両方の物体の相対位置を検出する働きをする。この種の測定装置はこの発明による目盛板あるいはこの発明による走査ユニットに関する或る種の通常の使用例である。
【0027】
目盛板と走査ユニットから成るこの発明による測定装置にとって、目盛板あるいは走査ユニットを取り付ける物体のところに形状の合った結合を行う形をこの物体に直接形成すると有利である。こうして、この発明による測定装置の製造経費や組立経費を低く維持できるると言う利点が生じる。何故なら、形状の合った結合に対する対応する形を有し、物体に取り付ける対象物が不要となるからである。
【0028】
この発明の他の特徴によれば、通しの穴を有する形状の合った結合部の部材で目盛板を物体に取り付ける方法が提示されている。
従って、この発明による方法では以下のステップを実行する。目盛板を物体のところの取付用に決めてある場所に配置する。次いで、対応する個所において、目盛板の部材の通しの穴を使用して、物体にそれぞれ一つの穴を形成する。目盛板の部材に形成された穴が、例えば粒子により物体の対応する個所をマークするために使用されるようにこれ等の穴を使用すると有利である。この代わりに、物体に穴を形成するために、適当な穴工具を目盛板の部材の前記穴に通すこともできる。
【0029】
この発明により、次に物体の前記穴のところに目盛板を物体に直接取り付ける形状の合った結合用の形を形成する。通常、この処理工程に続いて、物体に形成された穴にネジ山を付ける。しかし、このネジ山は、形状に合った結合に使用する形を形成する前に形成してもよい。
最後に、前記物体がこの物体に直接形成された形に嵌まり、目盛板を物体に形状を合わせて固定するように、適当な結合部材によりこの目盛板を物体に固定する。前記結合部材としては、物体に形成されたネジ穴に螺入する固定ネジが好ましい。
【0030】
この発明による装置に好ましい物体上の形によれば、この発明による方法には物体に形成された形が球面状の湾曲した凹部あるいは円錐の凹部あるいは円筒状に湾曲した溝ないしはV字型の溝であると好ましい。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、図面に示す多数の実施例に基づきこの発明を例示的により詳しく説明する。
図1から分かるように、測定装置10の図示する実施例には、先ず走査ユニット12がある。この走査ユニットは例えば可動物体、例えば工作機械に取り付けてある。他方、この測定装置10には目盛板20がある。この目盛板20を取り付けた例えば機械ベッドのような静止物体に対する可動物体の相対位置を検出するため、前記目盛板20は走査ユニット12により適当な方法で走査される。図1に示す測定装置10の平面図には、特に目盛板20のケースがある。このケースにある目盛板20の目盛を適当な方法で走査するため、走査ユニット12の一部がケースに突き出している。
【0032】
次に、目盛板20をこの発明により物体に固定することを詳しく説明するが、これはこの発明による走査ユニット12に対して常に同じ方法であると考えれる。その場合、目盛板20を物体に固定するには、目盛板20が物体の相対位置を特に正確に検出するため、物体のどんな長さ変化にも追従するのであれば、物体の端部にそれぞれ一つのボール22がある。これ等のボール22はそれぞれネジ24を介して目盛板20に固定され、この目盛板20を物体に形状を合わせて固定する手段である。目盛板20をその端部に固定することを、次により詳しく説明する。
【0033】
この発明によれば、更に目盛板20には、この目盛板20の長手方向に沿って物体を形状に合わせて結合するために使用される手段がある。これ等の手段は図1に示す実施例の場合、目盛板20の横に固定された3つのボール30で形成されている。目盛板20に固定されているボール30はこの発明により物体に形状を合わせた結合部の一部である。この形状を合わせた結合部の第二部分は溝40で形成されている。これ等の溝は目盛板20を固定する物体に形成されている。図1の平面図には、図示する実施例の場合に形成されている3つの溝40がその投影面で理解できる。
【0034】
図2に示す一部断面図の側面図から分かるように、これ等の溝40はそれぞれ目盛板20が固定されている物体50で広いV字状に形成されている。これ等の溝40にはそれぞれ固定ネジ32が螺入するネジ穴42が接続している。このネジ32はボール30に垂直の方向にそれぞれ形成されている穴34を通して導入されている。
【0035】
更に、図2でボール30が目盛板20の横に固定されているネジ36を見ることができる。このためネジ36はボール30に水平方向に形成されている第二の穴38を通して導入され、これ等の穴は図1の平面図で最も良く理解できる。
目盛板20をボール30を介して物体50に固定するネジ32の機能に付いては、これ等のネジが物体50と目盛板20の間の力の伝達に使用されていないことが分かる。この発明によれば、温度変動により物体50と目盛板20の長さ変化に起因して生じる力の伝達はボール30と溝40の形での形状に合った連結部を介して行われる。これは、この発明により、摩擦結合で必要である特に強く設計された固定ネジを省くことができることを意味する。
【0036】
むしろ、この発明によれば、目盛板20の長手方向に形成された形状の合った連結部において力の伝達が行われる。これにより、先ず長手方向の領域に形状の合った連結部が存在する個所で目盛板20が物体50の長さ変化に直接追従する。目盛板20の相対値が全長にわたり物体50の相対位置に一致するように、目盛板20は、図示する実施例の場合、その端部でも形状の合った結合部を介して物体50に接続している。このため、上で説明したように、それぞれボール22が目盛板20に取り付けてある。
【0037】
垂直に配置されたネジ26により、ボール22は物体50にネジ止めされている。このボール22により目盛板20を形状に合わせて固定するため、物体50には適当な個所で図2の紙面に垂直に延びる他の溝44がある。これ等の溝44には、球面状に湾曲した表面のボール22が嵌め込み、こうして形成された形状の合った連結部を介して目盛板20が物体50に固定され、目盛板20がその全長にわたり物体50の長さ変化に追従する。
【0038】
更に、図1と2に示すこの発明による目盛板の実施例に対して、横方向に形状を合わせた結合するため物体50に形成された溝40は目盛板20の長手方向に垂直な方向に延びていることが注目される。これにより説明した「追随する効果」が得られ、その場合、目盛板の長手方向に作用し、目盛板20の横に形成された形状を合わせた結合部により、各場所が物体50の長さ変化に直接追従することが保証される。
【0039】
図3には、目盛板20と物体50の間で形状の合った結合を与える手段であるボール30の構造を図示するため、この種のボール30の縦断面図が示してある。ボール30の中心点を貫通して 90 °ずれた二つの穴34,38がそれぞれ形成されている。水平方向に延びる穴38にネジ36が通してあり、このネジによりボール30が目盛板20に固定されている。同様に、垂直方向に延びる穴34にネジ32が通してあり、このネジによりボール30が各溝40のところで物体50に固定されている。各結合部には、穴34,38が一端でそれぞれより細い直径の領域を有し、この領域に各ネジ32,36のネジ棒が通されている。生じた段のところでネジ32,36の頭がそれぞれ支持される。
【0040】
穴34,38の貫通穴を除いて球面状に湾曲した球30の表面を介して、各溝40との力の伝達が、目盛板20の形状の合った固定構造の形で行われる。これに関連して分かることは、目盛板20の端部に取り付けたボール22も図3に示す構造で形成されている点にある。しかし、目盛板20をこれ等の端部に固定するため、他の種類の固定部を設けてもよい。この発明によれば、特に目盛板20の長手方向の領域で物体50との形状に合わせた結合が行われる。この結合は、図示した実施例の場合、ボール30と各溝40により形成される。
【0041】
図4には、物体に固定された第二実施例の目盛板20の部分平面図が示してある。この実施例は、目盛板20をその端部で物体に固定する構成や、この発明による目盛板20の横方向に形状の合った固定に関して、図1と2に示す実施例とは異なる。
図4の平面図から分かるように、先ずボール22を目盛板20に取り付けることは他の方式で行われている。この発明による目盛板の有利な実施例によれば、ボール22に対して調整部が設けてある。ボール22の位置を物体の溝52の位置に合わせるためのこの調整は、目盛板20に固定するボール22を貫通するネジ24と相手のナット28により達成される。ボール22の位置を溝52の位置に正確に合わせるため、ネジ24を適当に回すことによる調整と、相手のナット28によりボール22をその後に固定することが行われる。
【0042】
このボール22の調整可能性は、特に新しい目盛板20を目盛板20の端部に近い物体の領域に溝52を既に形成している物体に取り付ける場合、この発明による目盛板20を代替物体として使用する際に有利である。避け難い仕上公差により新しく仕上げた目盛板が完全に正確に既存の溝52に合うことを前提とはしていない。それ故、目盛板20を物体に形状を合わせて固定するためのボール22の位置は、説明した調節機構により調整される。形状の合った結合を形成するためボール22を溝52の中に固定することは、図1と2に示す実施例のような方法でネジ26により行われる。
【0043】
目盛板20に取り付ける、形状を合わせた結合部の部材としてのボール22に対して説明した調節機構は、目盛板の長手方向に形成された形状の合った結合部に対しても当然同じように使用できる。図4には、第二実施例の目盛板20の長手方向に延びるこのような形状の合った結合部が示してある。この実施例では、形状の合った結合部は目盛板の長手方向に垂直な方向に作用する。この構成では、物体との形状を合わせた結合部が、図1と2に示す実施例とは、物体に形成された溝40の方向だけが異なる。
【0044】
図4の平面図から分かるように、目盛板20を形状に合わせて固定するため、ボール30が嵌まる溝は目盛板20の長手方向に平行に延びている。つまり、図4の図面では左から右に延びている。この実施例では、形状に合った結合部により、目盛板20の長手方向に垂直に働く力がボール30と溝40の間で伝達される。目盛板20のこの種の形状に合わせた固定は、比較的長い目盛板に対して有利に使用でき、走査ユニットにより目盛板20の相対位置を正確に検出することに悪影響を与える目盛板20の長手方向に対して垂直などんな振動も抑制できる。
【0045】
更に、上で説明したように、ネジ32でボール30を溝40に固定して、目盛板20を紙面に垂直な方向に固定する。その結果、特に長い目盛板に対して目盛板を長手方向に良好に支持できる。更に、作用方向が目盛板20の長手方向に垂直に向いているボール30と溝40の形にしたこの発明による形状の合った結合により、この方向のどんな振動も排除できる。
【0046】
図5にはこの発明による目盛板の他の実施例が示してある。この場合、目盛板20の形状に合わせた固定を横方向に行うことにより、上に述べた有利な作用が得られる。図5の平面図では、図1の場合と同じように、走査ユニット12とこの発明による目盛板20から成る全測定系10が示してある。更に、この平面図から、図5に示す実施例の場合、シリンダ60,62の形にした形状の合った結合が行われていることが分かる。目盛板20の長手方向にこの発明による形状の合った結合を形成するため、二つのネジ36により目盛板20に横から取り付けるシリンダ60は目盛板の長手方向に平行に延びる溝40に作用する。
【0047】
図4に示した溝40がボール30を入れるために形成されているのに対して、この溝40はシリンダ60を入れるためにより長く形成されていると言う相違がある。図5に示す実施例では、ネジ32により同じようにシリンダ60を溝40に固定している。目盛板20の長手方向に垂直な作用方向を伴うこの発明による形状の合った結合の上記実施例でも、図4に示す実施例に対して上に説明した利点を達成できる。特に、目盛板20の長手方向に垂直な方向の振動を排除するためシリンダ60の円筒状に湾曲した表面が広いV字状の溝の端部に作用する。
【0048】
図5に示す実施例では、シリンダ62と溝52によって目盛板20の端部でも形状に合った結合部が形成される。図4に示すボール22を目盛板20に取り付ける場合と同じように、図5の右に示すシリンダ62はネジ24と相手のナット29により目盛板20に調節可能に取り付けられる。左にあるシリンダ62を単純なネジ24で目盛板20に取り付ける。二つのシリンダ62を溝52に固定するため、今まで説明してきた実施例で使用したボール22と同じようにネジ26を使用する。
【0049】
図6の正面図から図5に示すこの発明による目盛板の実施例で選択された物体50との形状を合わせた結合の形が良く理解できる。この図面(図5の右から見た)では、ネジ36で目盛板20の横に取り付けたシリンダ60が目盛板20を形状の合った固定を行うためどのように溝40のエッジに作用するかが分かる。特に、図6の右から左の方向へ目盛板20へ力が及ぶ場合、図6の紙面に平行な横方向の目盛板20の振動が防止されるように、目盛板20が円筒状に湾曲したシリンダ60の表面と溝40の各エッジにより支持されることが分かる。物体50の表面に垂直な方向にネジ32でシリンダ60を固定して、この方向にも目盛板20の動きが阻止されている。この動きは走査ユニット12により目盛板20の相対位置の検出に誤りを与える。
【0050】
更に、図6ではそれぞれ中間片32A,36A を介してネジ32,36によりシリンダ60の固定が行われていることが分かる。これ等の中間片32A,36A には、固定力をネジ32,36からシリンダ60に特に有利に伝えるため、それぞれ溝40に似た溝がある。シリンダ62を目盛板20の端部に固定することは、目盛板20自体と物体50の場合と同じように形成できる。
【0051】
この発明によれば、目盛板20の横に取り付けたシリンダ60と物体50の中に形成された溝40の間の形状に合わせた結合の形にして、目盛板20と物体50の形状の合った結合が長手方向に存在する。この結合により、目盛板の長手方向に垂直な方向の支持と固定が有利に達成できる。
図7には、この発明による目盛板20の一部が断面図にして示してある。この目盛板には物体50との形状を合わせた結合が他の形状にして形成されている。目盛板20は先ずネジ32で物体50に摩擦力により結合している。目盛板と物体50のこの発明による形状を合わせた結合には、図示する実施例の場合、先に説明したボールより相当小さい二つのボール30が使用されている。図7の配置の場合には、これ等のボールは数ミリメートルの直径である。
【0052】
図7から分かるように、これ等のボールはネジ32の両側に配置されている。それ以外では、図7の図面は縦断面図に相当する。つまり、ボール30とネジ32は目盛板20の長手方向に沿って配置されている。形状を合わせた結合は目盛板の傍で円錐状の窪み64により達成され、この窪みの中にボール30が入っている。目盛板の取付の枠内でボール30は各窪み64の中に、例えば接着剤で固定される。
【0053】
次に、目盛板を物体50の表面に配置し、ネジ32で固定する。その場合、二つのボール30は物体50の上側にそれぞれ押し込まれるので、最終状態で球面状に湾曲した表面を持つ凹部が形成され、この凹部は形状の合った連結を形成するため各ボール30に作用する。この押し込みは、物体50が例えば鼠鋳鉄の機械ベッドであり、この機械ベッドへ適当な硬度を有する使用ボールを押し込むことにより特に可能になる。
【0054】
図8には、ボール30とピン66を組み合わせたこの発明による配置が示してある。図7の実施例による円錐状の窪み64の代わりに、各ピン66の前端部に円錐状の窪みがある。更に、目盛板にはそれぞれ穴68が形成されている。摩擦力による固定ネジ32で目盛板を物体50にネジ止めした後、ボール30を各穴68に入れる。次に、円錐状に除去された端面を有するネジ付きピン66を穴68にネジ込み、この発明による形状の合った結合が形成されるように、ボール30を物体50の表面に押圧する。こうして、固定状態では、目盛板20と物体50の異なった延びによる測定誤差を排除できるように、目盛板20の全領域が物体50の各領域と共に図示する固定個所の範囲で一緒に移動する。
【0055】
図9には、ピン66を使用したこの発明の他の実施例が示してある。固定ネジ32と目盛板20の穴68は図8の実施例に一致する。しかし、二つのピン66には円錐状の先端がある。ネジ付きピンとして形成されている各ピン66を穴68にネジ込む場合、物体50の表面に達したら、円錐状の先端70が物体を押すので、目盛板と物体50との間でこの発明による形状の合った結合が再び形成される。
【0056】
図9の実施例と同じように、図10の実施例では、二つのピン66が目盛板20の穴68に螺入される。しかし、図10の特に有利な実施例では、二つのピン66に所謂リング刃72を付けた端面がある。このリング刃は各ピン66の端面の縁部分にぐるりと形成された広い三角形状の断面を持つ尖ったリブである。図9の実施例の場合と同じように、リング刃はネジ付きピン66をネジ止めするとき物体50の表面を押圧し、物体にネジ込む時に形成される窪みと係合状態を与える。
【0057】
明確にするため、図11にはリング刃72を持つピン66の前端面の領域が示してある。このリング刃は尖った状態に形成され、円形に回転する鋭い前縁部分を有する。図11から良く分かるように、この前縁部分はピン66をネジ止めする時、物体50の表面に入り込み、ネジ32の摩擦係合を有利に補って、目盛板20を物体50に形状の合わせた結合を与える。この実施例を用いると、研究によれば、上記の方法で取り付けた目盛板20あるいはそのように固定した走査ユニットの膨張特性に対して特に良好な結果が観察される。この装置は物体50の膨張特性に極度に正確に追従するので、例えば温度変動により生じる延びによる測定誤差を最小にできる。
【0058】
目盛板を取り付けるこの発明による方法の枠内では、図2に示す実施例の場合、ボール22,30自体を対応する形のマークや形成に使用できる。これには、この発明により、目盛板20をそれに付けたボール22,30と共に物体50の所望の個所に配置し、最初にボール22,30を使用して溝44,40を形成する個所にマークを付ける。次に、それ等の個所に目盛板20を取り付ける時に固定ネジ26,32を螺入するネジ穴を形成する。次いで、物体50の直接対応する個所にボール22,30を入れるために必要な溝44,40を形成する。これは、例えば物体50に直接フライス加工される。最後に、ボール22,30により案内された固定ネジ26,32により形状を合わせた結合をするため目盛板20を物体50に固定する。固定ネジ26,32の頭は直径の小さい穴36のところに対する段にそれぞれ支持されている。
【0059】
【発明の効果】
以上、説明したように、この発明の方法により、物体の相対位置を検出する走査ユニットにより目盛板を確実にしかも正確に走査することができるように、目盛板や走査ユニットを物体に簡単に固定できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明による目盛板を備えた測定装置の平面図、
【図2】 図1に示す測定装置の測定目盛の側面図、
【図3】 図1と図2に示す目盛板で使用する形状の合った結合を形成する部材の縦断面図、
【図4】 この発明による目盛板の第二実施例の部分平面図、
【図5】 この発明による目盛板の第三実施例の測定装置の平面図、
【図6】 図5に示す測定装置の正面図、
【図7】 他の実施例での形状の合った結合部を有するこの発明による装置の一部の断面図、
【図8】 更に他の実施例での形状の合った結合部を有するこの発明による装置の一部の断面図、
【図9】 他の実施例での形状の合った結合部を有するこの発明による装置の一部の断面図、
【図10】 更に他の実施例での形状の合った結合部を有するこの発明による装置の一部の断面図、
【図11】 図10の装置の詳細図。
【符号の説明】
10 測定装置
12 走査ユニット
20 目盛板
22 ボール
24 ネジ
26 ネジ
28 相手のナット
30 ボール
32 固定ネジ
32A 中間片
34 穴
36 ネジ
36A 中間片
38 穴
40 溝
42 ネジ穴
44 他の溝
50 物体
52 溝
60 シリンダ
62 シリンダ
64 窪み
66 ピン
68 穴
70 円錐状の先端
72 リング刃
Claims (5)
- 互いに移動可能な二つの物体(50)の相対運動を測定するための測定装置における、一方の物体(50)に固定される目盛板であって、その際
目盛板(20)は、少なくとも部分的に球面状および/または円筒状に湾曲した表面を有する互いに間隔を空けて目盛板(20)の長手方向に延びる側面に配置された複数の部材(30,60)と物体(50)の円錐状の凹部あるいは球面状に湾曲した凹部あるいはV字状の溝(40)とを形状を合わせた形で直接噛み合わせることによって物体(50)と目盛板(20)との形状の合った結合を行うための、目盛板の長手方向に沿って形成された手段(30,60)を有する目盛板。 - 当該の形状の合った結合は、物体(50)と目盛板(20)との間において、これらの間の相対的な位置を保持するための力を伝達する形で目盛板(20)の長手方向に対して平行に延びる方向に作用することを特徴とする請求項1に記載の目盛板。
- 当該の形状の合った結合は、物体(50)と目盛板(20)との間において、これらの間の相対的な位置を保持するための力を伝達する形で目盛板(20)の長手方向に対して垂直に延びる方向に作用することを特徴とする請求項1に記載の目盛板。
- 当該の部材がボール(30)であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の目盛板。
- それぞれ少なくとも部分的に球面状および/または円筒状に湾曲した表面及び貫通穴を有する互いに間隔を空けて配置された複数の部材(30,60)と物体(50)との形状の合った結合により目盛板(20)を物体(50)に取り付ける方法であって、
a)目盛板(20)を物体(50)の取付位置に配置することと、
b)目盛板(20)の側面に配置された部材(30,60)の貫通穴を使用して物体(5 0)に互いに間隔を空けて穴を開けることと、
c)これらの穴のところに、部材(30,60)の球面状および/または円筒状に湾曲し た表面との形状の合った結合用の円錐状の凹部あるいは球面状に湾曲した凹部あるい はV字状の溝(40)を物体(50)に形成することと、
d)これらの穴のところにネジを切ることと、
e)固定ネジ(26,32)により、目盛板(20)を物体(50)に固定することと、
の措置を有する方法。
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