JP4141454B2 - 研削砥石 - Google Patents
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Description
しかし、砥粒を砥粒層中で均等に分散させることは現実には難しく、砥粒が偏在して砥粒同士のかたまりが生じると、チッピングやクラックが大きくなるとともに、研削抵抗が増大して、加工時の焼けが発生する。
メタルボンド砥石においては、定期的にボンドをWA砥石等で掘り起こすドレッシングが必要である。これにより、砥粒突き出しが再生して切れ味が回復する。ただし、ドレッシングの直後は砥粒高さが不均一で被削材の面粗さ・チッピングが大きいという現象が発生する。
また、砥材層中に二硫化モリブデンや、硫酸ナトリウムなどの潤滑材をボンドの中に入れて切れ味を向上させる方法もあるが(特許文献2参照)、この方法も砥材の分散と同様に均一にさせる事がむずかしい。
さらに砥粒を均一に配列させた研削砥石の一例が、特許文献3に記載されている。これは総型形状で、V溝に砥粒を配列して眼鏡レンズなどの周縁を加工するものである。
また、切れ味を向上させる手法として一般的に、図9に示すように、砥石に切り欠き20をいれる方法があり、この構造の砥石が、特許文献4に記載されている。このような手法により、切れ味は向上するが、面取りを行う被削材のコーナー部では、砥面の断続当りを生じる。このコーナー部は研削取り代が多く、加工負荷も高い。このため加工時の断続当りにより、加工後のチッピングも大きくなってしまい品質に問題がおこる。
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、ドレッシングを行わずに、形状崩れの発生が少なく、研削抵抗の増大、チッピングやクラックの発生を抑制することが可能な研削砥石を提供することを目的とする。
メタルボンドを用いずに、円形基板の外周端面に設けられた溝内で砥粒をろう付けにより基板に固着しているため、メタルボンドが被削材と擦れて加工時に面取り形状が崩れることがない。また、砥粒同士の間隔が均等になるように、規則的に砥粒を配列しているため、メタルボンド砥石に見られるような砥粒分布の不均一がなく、チッピングやクラックの発生が抑制され、寿命のばらつきがない。
また、チップポケットを規則的に確保できるため、切粉の排出能力に優れている。
さらに、メタルボンド砥石の場合よりも砥粒の突き出し量を大きく、かつ揃っているため、切れ味が向上する。
また、メタルボンド砥石や電着砥石では、研削液溜りを設けることは難しいのに対して、本発明では容易に研削液溜りの凹部を形成することができるため、溝の底部にまで研削液を回りこませることができ、焼けの発生を防止して、研削速度を高めることができる。
溝の形状が、被削材の面取り形状に合致するように形成されていることにより、砥粒の固着パターンが面取り形状に合致するため、被削材の面取り形状に対して砥粒の突き出し高さが揃い、加工精度が向上する。また、被削材のコーナー部と接触する領域で砥粒の配列間隔を狭くし、あるいは、砥粒を集合して配列していることにより、大きな負荷のかかる、被削材のコーナー部と接触する領域で作用する砥粒数が増えるため、砥粒1個当たりの負荷を軽減することができ、研削品質が向上する。
隣り合う砥粒同士の間隔が、砥粒の平均粒径の2倍未満であると、砥粒の密度が高くなりすぎ、切粉の排出に支障をきたす。また、砥粒の擦り減り摩耗が少しでも進行すると、接触面積が増えて抵抗が高くなり焼けが発生する。一方、隣り合う砥粒同士の間隔が、砥粒の平均粒径の10倍を超えると、一つの砥粒あたりにかかる負荷が大きくなり、砥粒の擦り減り摩耗、摩滅が早く進行し、寿命が短くなる。
図1に、本発明の実施形態に係る研削砥石の構成を示す。(a)は正面図、(b)は(a)のA−A断面図である。
図1において、研削砥石1には、中央に取り付け用穴2を設けた基板3の外周端面に溝4が設けられている。溝4の形状は、被削材の面取り形状に合わせて、滑らかな曲面からなるU字状の溝としている。
このように砥粒5を基板3に規則的に配列することは、砥粒5を配列させる形状にあわせて作った薄い型シートを基板3上にはり、このシートに設けられている、砥粒5の粒径の1〜1.9倍の径を有する穴にダイヤモンドを配置して、Ag−Cu−Ti−In系、Ag−Cu−Ti系、Ni−Cr系などの活性金属入りろう材を用いて固着することによって可能である。砥粒5を集合させて複数個の砥粒群とする場合には、その砥粒群の径の1〜1.9倍の径の穴を設けたシートを用いる。
被削材6を研削砥石1で面取り加工して曲面9を有する形状とする際に、被削材6のコーナー部7での取り代が多く、そのため、基板3に設けられた溝4に固着された砥粒5のうち、このコーナー部7と接触する領域8で加工負荷が大きい。このことを考慮して、被削材6のコーナー部7と接触する領域で、砥粒5の配列間隔を狭くし、あるいは、砥粒5を集合して配置している。その詳細を図4に示す。
図4(a)のように、砥粒5を集合させて配置する場合には、1つの集合体につき、集合させる砥粒数は10個以下としている。10個を超えて集合させると、一つの砥粒5にかかる砥粒負荷を軽減はするが、砥粒5の擦り減り摩耗による抵抗増大が大きく、やけが発生しやすくなるからである。
また、図4(a)、(b)のいずれの場合においても、被削材6のコーナー部7と接触する領域以外の領域では、隣り合う砥粒同士の間隔は、砥粒5の平均粒径の2倍以上10倍以下としている。
また、研削液溜りとして機能するV字状溝10は、溝4の幅方向についてずらして形成されている。その様子を、図5に示す。
V字状溝10には砥粒5が固着されていないが、V字状溝10を溝4の幅方向についてずらして形成することにより、研削砥石の回転方向について砥粒5が全く固着されなくなることを防止でき、被削材にすじ状の模様が付くことを防止できる。
本発明の研削砥石と、従来のメタルボンド砥石について研削試験を行った。試験条件は表1に示す通りである。
従来のメタルボンド砥石(従来例)では、研削途中でドッレシングを行うことによって消費電力が低下するが、砥粒間隔を砥粒の平均粒径の5倍とした実施例では、ドッレシングを行うことなく、消費電力を良好なレベルに維持することができる。また、砥粒間隔を砥粒の平均粒径の1倍とした比較例1では、砥粒間隔が短すぎるため、加工初期から消費電力が高く、焼けが発生する。また、砥粒間隔を砥粒の平均粒径の30倍とした比較例2では、砥粒間隔が長すぎて、砥粒の摩耗が進行し、焼けが発生する。
図8に、研削液溜りとして機能するV字状溝10を設けたときと、設けないときの比較データを示す。AがV字状溝10を設けない場合であり、BがV字状溝10を設けた場合である。V字状溝10を設けることにより、加工送り速度を25m/minと大きくすることが可能となった。
2 取り付け用穴
3 基板
4 溝
5 砥粒
6 被削材
7 コーナー部
8 コーナー部と接触する領域
9 曲面
10 V字状溝
11 スリット
20 切り欠き
Claims (3)
- 円形基板の外周端面に滑らかな曲面からなる溝を設け、この溝内で砥粒をろう付けにより基板に固着して規則的に間隔を置いて配列し、前記溝の底面に研削液溜りとなる凹部である複数のV字状溝を形成し、前記V字状溝は円周方向に非連続であって、長手方向が円周方向に略平行で、かつ、前記各V字状溝は前記円形基板の外周端面に設けられた前記溝の幅方向についてずらして形成されたことを特徴とする研削砥石。
- 前記溝の形状が、被削材の面取り形状に合致するように形成され、被削材のコーナー部と接触する領域で砥粒の配列間隔を狭くし、あるいは、砥粒を集合して配列していることを特徴とする請求項1記載の研削砥石。
- 前記被削材のコーナー部と接触する領域以外の領域で、隣り合う砥粒同士の間隔は、砥粒の平均粒径の2倍以上10倍以下であることを特徴とする請求項2記載の研削砥石。
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