JP4141439B2 - 回転式ヒートシンク - Google Patents
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Description
最近、電子装置の半導体素子の発熱量が増加する傾向にあり、発熱量に応じて半導体素子を十分に冷却するために、ヒートシンクの面積を大きくし、ヒートシンクのフィンの高さを高くし、ファンモータの回転数を増加させることが求められている。このため、ファンモータの回転数の増加に伴う騒音の増大及び放熱面積の増加に伴うヒートシンクの容積拡大が問題となっている。
本発明によるヒートシンクは、発熱体から熱を受けるヒートシンクボディと、該ヒートシンクボディに回転可能に取りつけられた放熱部分と、該放熱部分を該ヒートシンクボディに対して回転させる駆動手段とを有する。
この構成において、ヒートシンクボディは半導体素子等の発熱体に接触して配置され、発熱体から熱を受ける。ヒートシンクボディの熱は放熱部分へ伝達され、周囲の空気に放散される。放熱部分はヒートシンクボディに回転可能に取りつけられており、放熱部分が回転する間に周囲に空気の流れを生成する。従って、放熱部分は常に温度の低い周囲の空気に接触し、高い放熱効果を達成することができる。この回転式ヒートシンクは、フィンを設けたヒートシンク板とその上に配置されたファンとからなる従来の冷却装置と比べて、全体的な容積を小さくすることができ、かつ、放熱部分の低い回転数で高い冷却効率を得ることができる。
図1は本発明の一実施例の回転式ヒートシンクを示す断面図である。
図2は図1の回転式ヒートシンクの平面図である。
図3は図1及び図2の回転式ヒートシンクの放熱翼部の作用を説明する図である。
図4は図1及び図2の回転式ヒートシンクのヒートシンクボディと放熱部分とを示す分解断面図である。
図5は図1及び図2の回転式ヒートシンクの固定子保持部材及び固定子を示す断面図である。
図6は図5の固定子を示す平面図である。
図7は従来の冷却装置を示す断面図である。
図8は図7のヒートシンクの作用を説明する図である。
図1において、半導体素子18がプリント回路基板20に搭載されており、ヒートシンクボディ12は半導体素子18に接触、固定されている。半導体素子18はCPUを構成し、使用時に多くの熱を発生する。半導体素子18の発生する熱はヒートシンクボディ12に伝達され、さらに放熱部分14に伝達されて放熱部分14で周囲の空気に放散される。
放熱部分14は軸部22と、放熱翼部24とからなる。軸部22はヒートシンクボディ12に回転可能に取りつけられ、放熱翼部24は軸部22に固定され又は軸部22と一体的に形成される。
図2は図1の回転式ヒートシンク10の平面図であり、放熱翼部24が簡略的に示される。放熱翼部24は従来のファンの羽根と同様の羽根24aを有する。
図3は図1及び図2の回転式ヒートシンク10の放熱翼部24の作用を説明する図である。放熱翼部24の羽根24aは放熱翼部24が回転する間に周囲の空気の流れを生成する。矢印Bは羽根24aに対して相対的な空気の流れを示す。空気は比較的に小さな抵抗で羽根24aに沿って流れ、羽根24aの回りの温度境界層は容易に払拭される。
図4は図1及び図2の回転式ヒートシンク10のヒートシンクボディ12と放熱部分14とを示す分解断面図である。図1及び図4において、ヒートシンクボディ12は放熱部分14の軸部22を嵌合させる円形の取りつけ凹部26を有する。
放熱部分14の軸部22の下端部は円形フランジ22aとなっており、フランジ22aの直径は取りつけ凹部26の直径よりもわずかに小さくなっている。フランジ22aが取りつけ凹部26に嵌合された状態で水銀28がフランジ22aのまわりで取りつけ凹部26内に挿入される。水銀28はフランジ22aの底面、円筒側面、および上面に接触し、且つ取りつけ凹部26の底面および円筒側面に接触する。水銀28は、ヒートシンクボディ12から放熱部分14の軸部22への熱の伝達を助けるとともに、ヒートシンクボディ12と軸部22との間の流体軸受を構成する。
リング状の永久磁石30が軸部22のまわりに配置される。リング状の永久磁石30は2つの半円状の磁石からなる構造とすることができ、あるいはその他の構造として、軸部22のまわりに配置される。リング状の永久磁石30はフランジ22aの上方に位置し、取りつけ凹部26の円筒側面に接着剤で固定される。
磁性流体32が永久磁石30と軸部22との間の円形隙間に配置される。磁性流体32は永久磁石30の磁力により永久磁石30に保持される。永久磁石30と磁性流体32とは水銀28に対するシールを形成し、また軸部22に対する軸受としても作用する。
図5は図1及び図2の回転式ヒートシンク10の固定子保持部材34及び固定子36を示す断面図である。図6は図5の固定子36を示す平面図である。図1及び図5において、固定子保持部材34は円筒形状の部材であり、固定子保持部材34は放熱部分14の軸部22と同軸にそのまわりに配置される。固定子保持部材34の底部は永久磁石30に接着剤により固定される。ただし、固定子保持部材34の底部はヒートシンクボディ12に固定されてもよい。
固定子36は固定子保持部材34の上方部分に保持される。実施例の固定子36は図6に示されるように公知の電気モータの電機子のように巻線構造のものである。一方、回転子38が放熱翼部24に配置される。実施例では、回転子38は永久磁石からなる。図1に示されるように、回転子38は固定子36と同じ高さの位置で固定子36のまわりに配置される。従って、固定子36と回転子38とは電気モータと同様の駆動手段16を形成し、それによって、放熱部分14がヒートシンクボディ12に対して回転駆動される。
この構成において、ヒートシンクボディ12は半導体素子18に接触して配置され、半導体素子18から熱を受ける。ヒートシンクボディ12の熱は放熱部分14へ伝達され、放熱部分14で周囲の空気に放散される。放熱部分14はヒートシンクボディ12に回転可能に取りつけられており、放熱部分14が回転する間に周囲の空気の流れを生成する。従って、放熱部分14は常に温度の低い周囲の空気に接触し、高い放熱効果を達成することができる。
図7は従来の冷却装置1を示す断面図である。冷却装置1は、フィン2を有するヒートシンク3と、フィン2の上方に配置されたファン4とからなる。ヒートシンク3はプリント回路基板5に搭載されて半導体素子6に接触、固定されている。半導体素子6の発生する熱はヒートシンク3に伝達され、フィン2で周囲の空気に放散される。このようにして、半導体素子6を冷却装置1で冷却することができる。
図8は図7のヒートシンク3の作用を説明する図である。多くの熱を発生する半導体素子6に対応するために、多くのフィン2が設けられ、かつフィン2の高さは高くなっている。このような場合、隣接するフィン2間の間隔は狭くなっているので、隣接するフィン2間の空間を空気が十分に通りにくく、温度境界層7が形成される傾向にある。このように温度境界層7が形成されると、フィン2からの放熱効率が低下するので、ファン4を高速で回転させて、温度境界層7を払拭する必要がある。このようにして、半導体素子6の発熱量が多い場合には、ヒートシンク3の面積を大きくし、ヒートシンク3のフィン2の高さを高くし、ファン4を駆動するファンモータの回転数を増加させることが求められている。
本発明においては、冷却装置全体の容積を小さくし、かつ回転部部の回転数を低くして、十分な冷却性能を達成することができる。例えば、所定の冷却性能を達成するために、図7に示す従来の冷却装置1の全体の高さhが40〜60mmである場合に、図1に示される本発明の回転式ヒートシンク10の全体の高さHは約30mm程度にすることができる。また、所定の冷却性能を達成するために、従来の冷却装置1のファン4の回転数が2300rpmである場合に、本発明の回転式ヒートシンク10の放熱部分14の回転数を1500rpmにすることができる。このように、本発明では、全体的な容積を小さくすることができ、かつ、放熱部分の低い回転数で高い冷却効率を得ることができる。
本発明においては、軸部22の直径は比較的に小さくしても、放熱翼部24における放熱性能が高いので、高い冷却効率を得ることができる。また、軸部22を熱伝導率の高い材料で形成したり、ヒートパイプで形成したりすることができる。
Claims (1)
- 発熱体から熱を受けるヒートシンクボディと、該ヒートシンクボディに回転可能に取りつけられた放熱部分と、該放熱部分を該ヒートシンクボディに対して回転させる駆動手段とを有し、該放熱部分は流体軸受からなる軸受を介して該ヒートシンクボディに回転可能に取りつけられ、該放熱部分は該ヒートシンクボディに回転可能に取りつけられる軸部と、放熱翼部とからなり、該ヒートシンクボディは該軸部を嵌合する取りつけ凹部を有し、該ヒートシンクボディの取りつけ凹部と該放熱部分の軸部との間に前記流体軸受及びシールが配置され、該シールが永久磁石と磁性流体とからなることを特徴とするヒートシンク。
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