JP4140922B2 - エアフィルタ用濾材、エアフィルタ、クリーンルーム、局所クリーン設備 - Google Patents
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Description
クリーンルームの空気中には多くの有機物が存在し、この有機物がシリコンウエハに吸着すると、製造された半導体デバイスが劣化することが知られている。その原因は、ゲート酸化膜の信頼性の低下によるものとされている(島崎ほか、1992年春季応用物理学会予稿集p.686)。
本発明は、このような従来技術の問題点に着目してなされたものであり、空気中の浮遊粒状物質を捕集するエアフィルタにおいて、半導体デバイス製造の際に問題となる有機物や無機物を発生させない効果が、前記従来技術よりも高いエアフィルタを提供することを課題とする。
このような知見から、本発明は、繊維がバインダで結合されて不織布状に形成されているエアフィルタ用濾材において、前記バインダは、親水性モノマと疎水性モノマとの共重合体が水に分散しているポリマーディスパージョンを主成分とするエアフィルタ用濾材およびその製造方法を提供する。
すなわち、本発明のエアフィルタ用濾材によれば、例えば濾材中のバインダ含有率を3〜7重量%とした場合に、有機物の発生量を濾材1.0g当たり50μg以下(実施形態で説明する分析法による値)とすることができる。これに対して従来のエアフィルタ用濾材からは、同一条件で濾材1.0g当たり200μg以上の有機物が発生する。
親水性モノマと疎水性モノマとの共重合体が水に分散しているポリマーディスパージョンの作製方法には、以下の2つの方法がある。第1の方法は、塊状重合や溶液重合によりポリマを固形物として得た後、このポリマを水に分散させる方法である。第2の方法は、親水性モノマを分散剤として用いるとともに、水を分散媒として用いて懸濁重合させることにより、ポリマーディスパージョンを直接得る方法である。ポリマーディスパージョンを直接得る方法では、親水性モノマを水に溶かした後に、この水溶液に疎水性モノマを加えてかき混ぜて分散させ、さらに重合開始剤を加えて重合させる。
ポリマーディスパージョンの作製方法が、先ず塊状重合や溶液重合によりポリマを得る方法の場合には、重合開始剤として疎水性の有機過酸化物を使用することが好ましい。
ポリマーディスパージョンの作製方法が、懸濁重合によりポリマーディスパージョンを直接得る方法の場合には、重合開始剤として親水性の有機過酸化物を使用することが好ましい。親水性の有機過酸化物としては、t−ブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5ジヒドロパーオキサイド等のヒドロパーオキサイド類や、コハク酸パーオキサイド等がある。
なお、重合開始剤の全モノマに対する添加量は、重合開始剤の種類等によって異なるが、例えば0.5%以上10%以下とする。
真空吸引法の場合には、容器内にポリマーディスパージョンを入れ、常温で真空ポンプによる吸引を行うことにより、疎水性モノマや重合開始剤等の残留成分のうちの揮発性有機物を気化させて除去する。この方法によれば、例えば圧力数10torrで数時間の吸引を行うことにより、通常のクリーンルームの環境下でガス状となるような低分子量の有機物は、ほとんど除去される。
また、このような揮発性有機物を除去する操作により、揮発性有機物の含有量を、バインダをなすポリマーディスパージョンに含まれるポリマー固形分1g当たり1000μg以下、好ましくは500μg以下とする。
ガス状有機物を発生しないフレームとしては、例えば、アルミニウム製のフレームが挙げられる。ガス状有機物を発生しないシール材としては、可塑剤として分子量400以上のカルボン酸エステル類を含み、酸化防止剤として分子量300以上のフェノール系化合物を含むもの(WO97/04851号公報参照)が挙げられる。
先ず、空間を形成する建物の内装材(壁や床に塗布する塗料、壁紙、床面に貼りつける長尺床シート、乾式シール材、湿式シール材等)として、ガス状有機物が発生しない材料を使用する。これに加えて、空間内への空気導入口に、有機物を除去可能なフィルタ(活性炭フィルタ等)を設置して、このフィルタで有機物が除去された空気のみが空間内に導入されるようにする。
壁紙や床面に貼りつける長尺床シートとしては、ポリ塩化ビニル樹脂からなり、含有する可塑剤の主成分が、分子量400以上のカルボン酸エステル、ポリエステル、エポキシ系化合物のうちの少なくともいずれか一つであって、含有する酸化防止剤の主成分が分子量300以上のフェノール系化合物であって、含有する帯電防止材の主成分が、アルキルアミンエチレンオキサイド付加体およびアルキルアミドエチレンオキサイド付加体のいずれか一つであって、且つ分子量が350以上であるものを使用する。
なお、有機物吸着用のケミカルフィルタを用いて所定空間内の空気を浄化することにより、「ガス状有機物の存在しない空間」を得ることもできる。
ケミカルフィルタとしては、粒状活性炭、繊維状活性炭、アルミナ、あるいはシリカ等の吸着剤により有機物を捕集するもの、酸性化合物を添着した粒子やイオン交換繊維によりアンモニアや金属元素を捕集するもの、アルカリ化合物を添着した粒子やイオン交換繊維により窒素酸化物、硫黄酸化物、ハロゲン化合物を捕集するもの等が挙げられる。これらの中から、局所クリーン設備が設置されるクリーンルーム内に含まれる化学汚染物質の種類に応じて、使用するケミカルフィルタを適宜選択する。
本発明のエアフィルタ用濾材の製造方法によれば、半導体デバイス製造の際に問題となる有機物や無機物の発生量が従来のエアフィルタ用濾材よりも少ないエアフィルタ用濾材を得ることができる。
本発明のエアフィルタが設置されているクリーンルームおよび局所クリーン設備によれば、半導体デバイス製造の際に問題となる有機物や無機物の存在量を、従来のクリーンルームおよび局所クリーン設備よりも少なくすることができる。特に、ケミカルフィルタの下流に本発明のエアフィルタが設置されている局所クリーン設備によれば、局所クリーン設備内を、半導体デバイス製造の際に問題となる有機物や無機物が実質的に存在しないようにすることができる。
[バインダの製造]
(バインダ No.1)
親水性モノマとしてメタリルスルホン酸、疎水性モノマとしてメタクリル酸メチルとアクリル酸メチルとの混合物(メタクリル酸メチル:アクリル酸メチル=90:10)を用意した。重合開始剤としてコハク酸パーオキサイドの5重量%水溶液を用意した。モノマの重量比は親水性モノマ:疎水性モノマ=7:93とし、重合開始剤の全モノマに対する添加率は5重量%とした。
親水性モノマとしてメタクリル酸、疎水性モノマとしてエチレンを用意した。重合開始剤として、t−ブチルパーオキシピバレートを濃度20重量%となるように炭化水素に溶解させた溶液を用意した。モノマの重量比は親水性モノマ:疎水性モノマ=15:85とし、重合開始剤の全モノマに対する添加率は5重量%とした。
先ず、塊状重合によりポリマを固形物として得る。すなわち、オートクレーブ内にメタクリル酸とエチレンとt−ブチルパーオキシピバレートを入れ、圧力900atm温度150℃の条件で10時間反応させることにより重合させた。反応終了後容器内を減圧して未反応モノマと溶剤を除去することにより、塊状の共重合体を得た。このようにして得られた共重合体の塊を、粒径50〜200μmとなるように粉砕した。その後、この粉砕された共重合体を、ポリマ濃度20重量%となるように水に分散させることによりポリマーディスパージョンを得た。このポリマーディスパージョンをバインダ No.2とする。
親水性モノマとしてメタクリル酸を、疎水性モノマとしてスチレンとメタクリル酸ブチルとの混合物(スチレン:メタクリル酸ブチル=80:20)を用意した。重合開始剤として、t−ブチルパーオキシオクテートを濃度20重量%となるように炭化水素に溶解させた溶液を用意した。モノマの重量比は親水性モノマ:疎水性モノマ=20:80とし、重合開始剤の全モノマに対する添加率は7重量%とした。
このようにして得られた共重合体の固形物を、粒径50〜200μmとなるように粉砕した。その後、この粉砕された共重合体を、ポリマ濃度20重量%となるように水に分散させることによりポリマーディスパージョンを得た。このポリマーディスパージョンをバインダ No.3とする。
疎水性モノマであるメタクリル酸メチルとアクリル酸メチルとの混合物(メタクリル酸メチル:アクリル酸メチル=80:20)を用い、乳化剤としてポリオキシアルキルフェニルエーテル硫酸塩を用い、重合開始剤として過硫酸アンモニウムを用いて乳化重合を行った。重合開始剤の全モノマに対する添加率は5重量%とした。
水と乳化剤を反応容器内に入れて溶かし、この中にモノマと重合開始剤を入れて攪拌しながら常圧で80℃に加熱し、4時間反応させることにより重合させた。このようにして得られたポリマーディスパージョン(アクリル系エマルジョン)をバインダ No.4とする。
親水性モノマとしてメタクリル酸、疎水性モノマとしてエチレンを用意した。重合開始剤として、t−ブチルパーオキシオクトエートを可塑剤であるジオクチルフタレートに溶かした溶液(t−ブチルパーオキシオクトエート濃度40重量%)を用意した。乳化剤としてポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルを用意した。モノマの重量比は親水性モノマ:疎水性モノマ=15:85とし、重合開始剤の全モノマに対する添加率は5重量%とした。
(バインダ No.6)
市販のアクリルエマルジョン(旭化成工業(株)製SX−02)を、バインダ No.6とする。
濾材の繊維としては、濾材 No.1, No.2, No.4, No.5, No.6については、市販のULPAフィルター用のガラス繊維を用いた。このガラス繊維400mgを、下記のP&T−GC/MS法で分析したところ、このガラス繊維に含まれるケイ素数以下のシロキサンは当該分析法での検出限界値以下であった。これをガラス繊維Aとする。
濾材 No.3については、低ボロンガラス繊維を用いた。これをガラス繊維Bとする。
これらのガラス繊維と前記バインダ No.1〜6とを下記の表1に示す組み合わせで使用して、以下に示す方法でエアフィルタ用濾材を製造した。なお、バインダ No.1〜3は本発明の構成を満たしているため、これらを用いて形成した濾材 No.1〜 No.3は本発明の実施例に相当し、濾材 No.4〜 No.6は本発明の比較例に相当する。
さらに、得られた濾材の厚さを測定した。この測定値も下記の表1に併せて示す。
(ガス状有機物の発生量)
このようにして得られた濾材について、以下に説明する方法によりガス状有機物の発生量と種類を調べた。この方法は、一般に「DHS(ダイナミックヘッドスペース)−GC/MS(ガスクロマトグラフ/マススペクトル)法」または「P&T(パージ&トラップ)−GC/MS法」と称されている。
先ず、濾材を数10mg分切り取って試験管に入れ、この試験管内にヘリウムガスを流しながら150℃で30分間加熱し、揮発成分(発生したガス状有機物)を−130℃に冷却されたトラップ管で捕集する。30分間の加熱が終了した後、このトラップ管内の成分をヘリウム気流下で1分間で300℃まで急速加熱することによりガス状として、GC/MS装置に導入して分析する。
初期温度40℃→速度10℃/分で昇温→最終温度300℃(15分間保持) また、GC装置のキャリアーガスはヘリウムであり、注入方式はスプリット法であって、スプリット比は1/200とした。MS装置のイオン化法は電子衝撃法であり、検出範囲はm/zで25〜900とした。
また、全成分の含有量のn−ヘキサデカン換算値を合計した値を、サンプルとした濾材片の重量で割ることにより、サンプル1g当たりの有機物発生量(μg/g)を算出する。
この値も下記の表1に併せて示す。
濾材数g分を切り取って所定量(通常100ミリリットル)の超純水(比抵抗18.6MΩ以上)中に1週間浸漬した後、この超純水をICP(誘導結合プラズマ)/MS装置(ヒューレットパッカード社のHP−4500型)に導入し、この超純水中に溶出している無機物の種類と量を分析した。この方法により、超純水中に溶出した無機成分をμg単位まで測定し、濾材1g当たりの溶出量を算出した。また、超純水中に溶出しているイオンの種類と量をイオンクロマトグラフ(ICG)法により分析した。これらの分析値も下記の表1に併せて示す。
なお、この方法で固体から超純水に溶出する無機物の種類及び量は、同一の固体を通常のクリーンルームに放置しておいた時にその固体から空気中に放出される無機物の種類および量と相関があることが分かっている。この点については「第42回応用物理学関係連合講演予稿集 No.2,p.356 1995」に記載されている。
これに対して、本発明の比較例に相当する濾材 No.4〜 No.6は、ガス状有機物の発生量が200μg/g以上と多く、フタル酸エステル類が検出された。また、無機物溶出量は特に濾材 No.4と No.6で多く、 No.4のアンモニウムイオンや硫酸イオンの溶出量は No.1の10倍以上と特に多かった。
上記濾材 No.1〜6を用いてエアフィルタを作製し、各エアフィルタをファンフィルタユニット方式でクリーンルームに取り付けて、クリーンルーム内の空気を分析した。
(エアフィルタの作製)
先ず、エアフィルタの組立空間として、下記の壁紙、床面シート、および湿式シール材で内装を行い、下記の乾式シール材を用いて、室内への空気導入口に有機物除去フィルタ(活性炭フィルタ)を設置した部屋Aを用意した。したがって、この部屋A内には、フィルタにより有機物が除去された空気のみが導入されるようになっている。
主成分:ポリ塩化ビニル樹脂
可塑剤:フタル酸ジトリデシル
酸化防止剤:ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート
帯電防止材:グリセリン脂肪酸エステル(分子量450以上)
床面シート
主成分:ポリ塩化ビニル樹脂
可塑剤:セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル
酸化防止剤:テトラキス〔メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン
帯電防止材:グリセリン脂肪酸エステル(分子量450以上)
湿式シール材
主成分:ポリウレタンプレポリマー
滑剤:添加せず
可塑剤:セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル
酸化防止剤:2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)
帯電防止材:添加せず
乾式シール材
原料ゴム:エチレンプロピレン共重合ゴム
滑剤:炭素数24〜30の脂肪族炭化水素
可塑剤:添加せず
酸化防止剤:2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)
帯電防止材:酸化亜鉛
シール材としては、主成分が、イソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマーであって、空気中の水分で硬化するタイプのものを使用し、可塑剤としてフタル酸ジトリデシルを含み、酸化防止剤として2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)を含み、滑剤を含まないものを用意した。
また、ステンレス製のフレームを用意した。
次に、この部屋Aの中に上記各エアフィルタ構成材料を搬入し、この部屋A内でエアフィルタの組立作業を行った。
このようにして組み立てたエアフィルタ No.1〜 No.6(エアフィルタの No.は使用した濾材の No.と同じ)について、以下のようにして粉塵捕集率の測定を行った。
先ず、日本アエロジル(株)の「アエロジル200」を純水中に分散させてシリカ粒子の分散液を調製した。この「アエロジル200」は、四塩化珪素を気相で燃焼させることにより熱分解して得られた無水シリカであり、珪酸ナトリウムを出発原料としたものではないため、ナトリウム化合物を含んでいない。次に、この分散液をラスキンノズル型発生器に入れて、前述の組立を行った部屋A内に置き、この発生器からシリカエアロゾルを発生させた。このシリカエアロゾルを用いて各エアフィルタの粉塵捕集率を測定したところ、捕集率は99.9995%以上であった。
このようにして粉塵捕集効率測定を行った後のエアフィルタ No.1〜 No.6と、市販のエアフィルタ(ニッタ(株)製「ソフィルトラ3400シリーズ」)を用いて以下のようにしてファンフィルタユニットを組み立てた。
先ず、エアフィルタ以外のファンフィルタユニット構成材料として、以下のもの(ガス状有機物を発生しない材料を用いて作製されたもの)を用意した。
送風機の回転翼:ステンレススチール
送風機の電源用電線
主成分:ポリ塩化ビニル樹脂
可塑剤:ポリエステル系可塑剤(分子量400以上)とエポキシ化
大豆油(分子量400以上)
酸化防止剤:ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート
帯電防止材:添加せず
次に、前述の部屋Aの中に上記各ファンフィルタユニット構成材料を搬入し、この部屋内でファンフィルタユニットの組立作業を行った。このファンフィルタユニットのエアフィルタ面の大きさは610mm×1200mmである。
このようにして組み立てられたファンフィルタユニットを各エアフィルタ毎に8台用意し、同じエアフィルタのものをクリーンルームの天井に設置した。
ファンフィルタユニットを天井に取付けるために、下記の乾式シール材を用いた。クリーンルームの壁は、金属材料からなり表面が焼付け塗装されたパーティションを、下記の湿式シール材を用いて組み立てることにより形成した。クリーンルームの床は、アルミダイキャストの表面にステンレスシートを貼りつけることにより形成した。これらの壁材および床材からのガス状有機物発生量は前述の分析方法(P&G−GC/MS法)で1.0μg/g以下であった。
原料ゴム:エチレンプロピレン共重合ゴム
滑剤:炭素数24〜30の脂肪族炭化水素
可塑剤:添加せず
酸化防止剤:2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)
帯電防止材:酸化亜鉛
湿式シール材
主成分:ポリウレタンプレポリマー
滑剤:添加せず
可塑剤:セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル
酸化防止剤:2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)
帯電防止材:添加せず
なお、クリーンルームの大気採取口には、プレフィルタ、中性能フィルタ、およびHEPAフィルタを備えた外気処理設備を設置した。
この外気処理設備を通過してファンフィルタユニットに入る前の空気(エアフィルタへの取入空気)について、含まれる有機物および無機物の分析を以下のようにして行った。その結果を下記の表2に示す。
有機物の分析は、先ず、テナックス管(クロムパック社の商品名)にクリーンルーム内の空気を40リットル導入することにより、当該空気中に含まれる有機成分を吸着させる。次に、このテナックス管をTCT装置(Thermal Desorption Cold Trap Injector)に装着し、TCT装置によりテナックス管に吸着した有機成分を取り出し、これを加熱してGC/MS装置に導入することにより行った。この方法により、テナックス管に吸着した有機成分をμg単位まで測定し、クリーンルーム内の空気1m3 当たりの有機物含有量を算出した。
このようなクリーンルームを、ファンフィルタユニットの出口空気流速:0.3m/s、室温:23℃、相対湿度:40%の条件で稼働させた。1時間当たりの循環空気の循環回数は200とした。稼働開始から7日経過した後、クリーンルーム内の空気に含まれる有機物および無機物の分析を、上述の取入空気の分析と同じ方法で行った。その結果を下記の表2に示す。
また、稼働開始から7日経過した後、このクリーンルーム内に、洗浄された直径6インチのシリコンウエハを置いて13時間放置し、このウエハに吸着した有機物の量と種類をSWA装置を用いて分析した。
初期温度80℃(10分保持)→速度7℃/分で昇温→最終温度300℃(10分間放置)
また、クリーンルーム内空気に含まれる有機物および無機物の含有量から、取入空気に含まれる有機物および無機物の含有量を引いた値(差引量)が、ファンフィルタユニット(エアフィルタ)から発生する有機物量および無機物量に相当する。
これに対し、本発明の比較例に相当するクリーンルーム(4)〜(7)では、前記差引量が、無機物のKおよびCaを除いて大きくプラスとなっている。すなわち、ファンフィルタユニット(エアフィルタ)から有機物および無機物が多く発生していることが分かる。
また、ウエハへの有機物吸着量についても、(1)〜(3)のクリーンルームでの値は(4)〜(7)のクリーンルームでの値より著しく小さくなっている。
図1に示すような実験用クリーンブースを作製して、クリーンブース内でエアフィルタの性能を評価した。
このブースは、空気の流れの上流側から空気取入口1、送風機2、第1の空間3、第2の空間4、空気排出口5が設置され、全体がシート6で覆われたものであり、空気排出口5を出た空気は再び空気取入口1に向かい、空気取入口1から取り入れられて循環するようになっている。また、送風機2と第1の空間3との間にはケミカルフィルタ7が、第1の空間3と第2の空間4との間にはエアフィルタ8が取り付けられている。ケミカルフィルタ7としては、主に有機物を吸着する繊維状活性炭を有するもの(例えば、近藤工業(株)製クリーンソーブII,CH−C)を使用し、エアフィルタ8としては、前述のようにして作製したエアフィルタ No.1,3,4とクリーンルーム(7)で使用した市販のエアフィルタをそれぞれ使用した。
2 送風機
3 第1の空間
4 第2の空間
5 空気排出口
6 シート
7 ケミカルフィルタ
8 エアフィルタ
Claims (5)
- エアフィルタが、
繊維が、炭化水素または分子量400以上のフタル酸エステル系可塑剤にて希釈されたメチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルα−クミルパーオキサイド、ジ−α−クミルパーオキサイド、ジイソブチリルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシピバレート、ビス(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、またはビス(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネートからなる疎水性の有機過酸化物からなる重合開始剤により、塊状重合または溶液重合された親水性モノマと疎水性モノマとの共重合体が水に分散しているポリマーディスパージョンを主成分とするバインダにて結合されて不織布状に形成された、エアフィルタ用濾材と、
ガス状有機物を発生しないフレームおよびシール材と、
から構成され、
これらがガス状有機物の存在しない空間で組み立てられたエアフィルタ。 - エアフィルタが、
繊維が、t−ブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5ジヒドロパーオキサイド、またはコハク酸パーオキサイドからなる親水性の有機過酸化物からなる重合開始剤により、懸濁重合された親水性モノマと疎水性モノマとの共重合体が水に分散しているポリマーディスパージョンに対して、真空吸引、エアレーション、窒素パージ、およびスチーム吹き込みのいずれかの処理が施されて揮発性有機物が除去されたポリマーディスパージョンを主成分とするバインダにて結合されて不織布状に形成された、エアフィルタ用濾材と、
ガス状有機物を発生しないフレームおよびシール材と、
から構成され、
これらがガス状有機物の存在しない空間で組み立てられたエアフィルタ。 - 請求項1乃至請求項2のいずれかに記載のエアフィルタが設置されていることを特徴とするクリーンルーム。
- 請求項1乃至請求項2のいずれかに記載のエアフィルタが設置されていることを特徴とする局所クリーン設備。
- 有機物および/または無機物を捕集するケミカルフィルタと、空気中の浮遊粒状物質を捕集するエアフィルタとを備え、エアフィルタがケミカルフィルタより下流側に設置されている局所クリーン設備において、
前記エアフィルタとして、請求項1乃至請求項2のいずれかに記載のエアフィルタを備えていることを特徴とする局所クリーン設備。
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