JP4140379B2 - スケールの防止方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、紙・パルプ製造工程におけるスケールの発生を防止するスケールの防止方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
紙・パルプの原料木材中には、シュウ酸成分、カルシウム成分が含まれ、これらが紙・パルプ製造工程において、水(パルプスラリー)中に溶出し、また、紙・パルプ製造工程中の漂白工程において有機物が酸化されシュウ酸が生成し、さらに、紙、パルプ製造工程では、炭酸カルシウムが使用される場合もある。そして、シュウ酸成分及びカルシウム成分は、シュウ酸カルシウムとなって析出し、設備、配管等にスケールとなって付着する。
パルプ漂白工程では、操業上の問題となるシュウ酸カルシウムのスケール傷害(洗浄機、配管内面等へのスケールの付着)を防止するために、種々の薬品が使用されている。例えば、シュウ酸カルシウムスケールを防止する薬品(スケール防止剤)として、アクリル酸及びマレイン酸等をベースとしたポリマーを配合したもの、並びに、ホスホン酸系、重合リン酸系の化合物を配合したものがある。(例えば特許文献1参照。)。
【0003】
なお、パルプの漂白は、一般的に、漂白のために異なる薬品をそれぞれ用いた多段漂白により行なわれている。
従来は、例えば、クラフトパルプ法において、塩素を用いたC段と、アルカリ抽出によるE段と、次亜塩素酸塩を用いたH段と、アルカリを用いたE段と、二酸化塩素を用いたD段とによる5段漂白が常法(製紙工場等によって方法が多少異なる)として多く採用されていたが、近年、環境に考慮して塩素使用量を削減する傾向となっており、例えば、分子状塩素(Cl2)を使用しない漂白法として、ECF(Elementary Chlorine Free 二酸化塩素は使用)等が採用されようになった。ECFにおいては、例えば、初段が塩素を用いるC段に代えて、二酸化塩素を用いるD段とされる。
【0004】
そして、従来のパルプの漂白では、初段の塩素を用いたC段において、パルプスラリーのpHが1.5程度となり、pHが低すぎることからシュウ酸カルシウムのスケール化は無かった。また、次亜塩素酸塩を用いたH段では、パルプスラリーのpHが8〜9程度であり、シュウ酸カルシウムによるスケール障害が発生した。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−180293号公報(第2頁)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述の従来のスケール防止剤では、pHが6より高いパルプスラリー等に対してはシュウ酸カルシウムのスケール防止効果が得られるが、pHが6以下では十分なスケール防止効果が得られない場合がある。
従って、シュウ酸カルシウムによるスケール障害が発生する上述のH段では、パルプスラリーのpHが8〜9程度、すなわち、6より大きいことから、従来のスケール防止剤でも、シュウ酸カルシウムのスケールを防止する効果を得ることができる。
【0007】
しかし、上述のECFの採用により初段のC段をD段に代えた場合に、D段では、パルプスラリーのpHが約3であり、C段のようにシュウ酸カルシウムのスケール化が生じないほどpHが極めて低くいわけではなく、シュウ酸カルシウムが生成しやすpHの範囲内であった。従って、ECFの採用により、パルプ漂白の初段をD段とした場合に、シュウ酸カルシウムのスケール障害が発生するが、D段におけるパルプスラリーのpHが6以下であることから、従来のスケール防止剤の能力を発揮し難いという問題があり、シュウ酸カルシウムのスケール化を防止することが困難であった。
【0008】
本発明は、紙・パルプ製造工程で生成するスケールを効果的に防止することができるスケールの防止方法を提供することを目的としてなされたものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、紙・パルプ製造工程において用いられる種々の水質を想定し、従来のスケール防止剤の効果を調べた結果、pHが6以下となる条件下では、紙・パルプ製造工程で用いられる水(パルプスラリー中の水も含む)に対してスケール、特に、シュウ酸カルシウムスケールを防止する効果が十分ではないとの知見を得た。そこで、本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、スルホン酸基を有するスルホン酸系ポリマーの中でスルホン酸基の含有率の高いポリマーが、pH6以下の条件下においても、スケールを防止する効果を示すことを見いだした
【0014】
すなわち、請求項記載の発明は、紙・パルプ製造工程でのスケールを防止するスケールの防止方法であって、スルホン酸基を有するモノマー単位を40mol%以上含むスルホン酸系ポリマーを含有するスケール防止剤を紙・パルプ製造工程中のpHが6以下であるパルプスラリー及び/または水に添加することを特徴とする
請求項記載の発明によれば、前記スケール防止剤をパルプスラリー、水に添加することにより、紙・パルプ製造工程に用いられる設備、配管等へのスケールの付着を防止することができる。
【0015】
また、従来のスケール防止剤ではスケールを防止することが困難なpH6以下の条件下で好適にスケールを防止することができる。
【0016】
請求項記載の発明は、請求項に記載のスケールの防止方法において、紙・パルプ製造工程のうちのパルプ漂白程において、前記スケール防止剤が用いられることを特徴とする。
請求項記載の発明によれば、紙・パルプ製造工程のうちの有機物が酸化されてシュウ酸が生成しやすく、また、段によっては、pHが6以下となることにより、従来のスケール防止剤ではスケールを防止することが困難なパルプ漂白程で、スケールを防止することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本実施の形態を詳細に説明する。
本実施の形態におけるスケール防止剤は、スルホン酸基を有するモノマー単位を40mol%以上含むスルホン酸系ポリマーを含有するものである。
【0018】
そして、スルホン酸系ポリマーの原材料となるスルホン酸基を有するモノマーとしては、スルホン酸基を有して重合可能な化合物を用いることができるが、例えば、2−ヒドロキシ−3−アリルオキシ−1−プロパンスルホン酸(HAPS),スチレンスルホン酸(SS),イソプレンスルホン酸(IPS),2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)及びこれらの塩を好適に用いることができる。
【0019】
本発明において、スルホン酸基を有するモノマーを単独重合させたホモポリマー及びスルホン酸基を有する複数種のモノマーを共重合させたコポリマー、すなわち、スルホン酸基を有するモノマー単位が100mol%の重合体を用いることができるとともに、スルホン酸基を有する一種以上のモノマーとスルホン酸基を持たない一種以上のモノマーとを共重合させたコポリマーを用いることができる。
【0020】
そして、スルホン酸基を有するモノマーと、スルホン酸基を持たないモノマーとを共重合させる場合には、スルホン酸基を有するモノマー単位を40mol%以上含む必要がある。スルホン酸基を有するモノマー単位が40mol%より低いスルホン酸系ポリマーを用いた場合には、スルホン酸系ポリマー以外のスケール防止剤と同様に、紙・パルプ製造工程で、pH6以下となる環境下において、十分なスケール防止効果を得ることができない。すなわち、pH6以下の水もしくはパルプスラリーにおいて、スケール抑制率が低下し、シュウ酸カルシウムスケールの効果的な防止が困難となるおそれがある。
【0021】
スルホン酸基を有するモノマーと共重合させるスルホン酸基を持たないモノマーとしては、周知の各種のモノマーを用いることができる。例えば、アクリル酸(AA)、メタクリル酸、クロトン酸、ビニル酢酸、イタコン酸、ソルビン酸、マレイン酸(MA)、ビニルホスホン酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセリンモノアリルエーテル、アリルアルコール、(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、スチレン、(メタ)アクリロニトリル、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル(VA)等を挙げることができる。なお、これらのモノマーうちの酸については、その酸の塩であっても良い。
【0022】
本発明におけるスルホン酸系ポリマーの分子量は、2,000〜50,000であり、より好ましくは2,000〜20,000である。スルホン酸系ポリマーの分子量が2,000未満であっても、50,000を超えても、スケール抑制率が低下し、シュウ酸カルシウムスケールの効果的な防止が困難となるおそれがある。また、スルホン酸系ポリマーの分子量が50,000を超えると、その水溶液の粘度が高くなり、取り扱いが容易でなくなるおそれがある。
なお、本発明において使用するスルホン酸系ポリマーの分子量は、分子量既知のポリエチレングリコールを標準物質として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより求めることができる。
【0023】
本発明において使用するスルホン酸系ポリマーの製造方法には特に制限はなく、溶液重合、塊状重合などの任意の公知の方法により製造することができる。なお、本発明で用いられるスルホン酸系ポリマーは、基本的に水溶性であり、原料となるスルホン酸基を有するモノマーも水溶性である場合が多いので、水を溶媒とする水溶液重合を好適に使用することができる。水溶液重合においては、モノマーの5〜50重量%水溶液を調製し、不活性ガスにより雰囲気を置換したのち、50〜100℃に加熱し、水溶性重合開始剤を添加することにより重合を行うことができる。水溶性重合開始剤としては、例えば、4,4'−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩などのアゾ系開始剤、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウムなどの過硫酸塩系開始剤、過酸化水素、過ヨウ素酸ナトリウムなどの過酸化物系開始剤などを挙げることができる。また、必要に応じて、アルコール類やリン酸類などを連鎖移動剤として用いることができる。重合は、通常は3〜6時間で終了し、放冷することによりスルホン酸系ポリマーの水溶液を得ることができる。
【0024】
また、スケール防止剤としては、上述のスルホン酸系ポリマー以外に、他のスケール防止効果を有する物質を含むものとしても良し、紙・パルプ製造工程で用いられる各種添加剤等を含むものとしても良い。例えば、本発明のスケール防止剤は、紙力増強剤、ろ水性・歩留り向上剤、スライム防止剤、ピッチコントロール剤などを含むものとしても良い。紙力増強剤としては、例えば、カチオン化デンプン、アクリルアミド系ポリマー、ジアルデヒドデンプン、グアーガムなどを挙げることができる。ろ水性・歩留り向上剤としては、例えば、カチオン化デンプン、アクリルアミド系ポリマー、ポリエチレンイミンなどを挙げることができる。スライム防止剤としては、例えば、次亜塩素酸ナトリウム、ジブロモニトリロプロピオンアミド、ベンゾイソチアゾリンなどを挙げることができる。
【0025】
本発明のスケール防止方法は、上述のスルホン酸系ポリマーを含有するスケール防止剤を紙・パルプ製造工程中のパルプスラリー及び/または水に添加するものである。
紙・パルプ製造工程は、例えば、木材を原材料とした場合に、調木工程(剥皮、チッピングなど)、蒸解工程、洗浄・精選・脱水工程、漂白工程、原料の調製行程、抄紙行程、白水回収行程、塗工行程、排水処理行程等からなる。また、漂白行程は、上述のように複数段の行程からなる。また、回収された古紙を紙の原材料とする場合にも、脱墨に続いて漂白が行なわれる。
このような紙・パルプ製造工程における本発明のスケール防止剤の添加方法は、例えば、シュウ酸カルシウムスケールの付着が起こる箇所あるいはその上流部のパルプスラリーに添加しておけばよく、特に限定されるものではないが、例えば、パルプ漂白工程では、D段に入る手前のパルプスラリー中あるいはパルプを洗浄するためにD段に加えられる洗浄水に添加する。パルプ漂白行程のD段(特に初段をD段とした場合)においては、pHが約3であり、シュウ酸カルシウムの析出が生じないpHより高く、かつ、従来のスケール防止剤が十分に機能するpHの範囲(pH6より高い範囲)よりは低いので、本発明のスケール防止剤を用いることにより効果的にスケールを防止することができる。
【0026】
すなわち、本発明のスケールの防止方法においては、基本的にpHが6以下となる条件下(例えば、漂白行程のD段)で生じるシュウ酸カルシウムスケールに対して、パルプスラリーや、紙・パルプ製造工程で用いられる水に本発明のスケール防止剤が添加されるが、パルプスラリー等がpH6以下となる行程で、十分にスケールを防止することが可能な濃度のスルホン酸系ポリマーが存在していれば良く、pH6以下となる漂白行程より以前の行程で本発明のスルホン酸系ポリマーを添加するものとしても良い。
【0027】
また、紙・パルプ製造工程では、例えば、抄紙工程で抄紙ワイヤを通過した白紙が再びパルプスラリに添加される、すなわち、白水が回収されて循環されるので、循環される白水に本発明のスケール防止剤を連続的に添加するものとしても良い。
また、スルホン酸系ポリマーを含有するスケール防止剤の添加の仕方には特に制限はないが、通常は適当な濃度に調製したスルホン酸系ポリマーの水溶液として添加することが、輸送及び計量の面から好都合である。
また、本発明のスケール防止剤の添加量は、目的とする工程条件により、また、その要求度などにより異なり、一律に規定できるものではないが、洗浄水、白水又はパルプスラリー等に、ポリマー固形分として0.2〜50mg/リットルの濃度になるよう添加する。スルホン酸系ポリマーの添加量が、ポリマー固形分として0.2mg/リットル未満であると、スケール防止効果が十分に発現せず、シュウ酸カルシウムスケールの発生を防止しきれないおそれがある。スルホン酸系ポリマーの添加量は、通常は50mg/リットルで十分であり、50mg/リットルを超える濃度のポリマーを添加しても、添加量の増加に伴ってさらにスケール防止効果が向上することは稀である。
【0028】
本発明においては、スルホン酸系ポリマーの有するスルホン酸基がpH6以下の条件下で、シュウ酸イオンとカルシウムイオンとの反応を阻害したり、シュウ酸カルシウム結晶の成長点に吸着して、カルシウムイオンやシュウ酸イオンが結晶として取り込まれるのを阻害することによって、紙・パルプ工程において操業上の障害に発展するシュウ酸カルシウムスケールを効果的に防止することができるものと考えられる。
【0029】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
この実施例では、塩化カルシウム溶液に本発明のスケール防止剤となるスルホン酸系ポリマーを添加した後に、シュウ酸ナトリウムを添加して所定期間放置し、次いで得られた溶液をろ過した際のろ液のカルシウム濃度から、以下の式によりシュウ酸カルシウムの析出抑制率を求めた。
析出抑制率(%)=(最終Ca(a)-最終Ca(b))/(初期Ca-最終Ca(b))*100
前記式において、最終Ca(a)とは、上述のろ液のカルシウム濃度である。
また、最終Ca(b)とは、対照として、塩化カルシウム溶液にポリマーを添加せずにシュウ酸ナトリウムを添加して所定時間放置した後に、得られた溶液をろ過した際のろ液のカルシウム濃度である。
初期Caは、最初に用意された塩化カルシウム溶液の塩化カルシウム濃度である。
【0030】
また、上述のように塩化カルシウム溶液にシュウ酸ナトリウムを加えた溶液の水質として、二つの水質を用いた。すなわち、水質Iは、カルシウム濃度を100mg/Lとし、シュウ酸濃度を50mg/Lとし、pHを7.0とした。
水質IIは、カルシウム濃度を150mg/Lとし、シュウ酸濃度を100mg/Lとし、pHを2.8とした。
すなわち、水質Iは、対照として、pHが6より大きい条件となるように調整されたものであり、水質IIは、紙・パルプ製造工程の漂白行程のD段におけるpHを想定して調整されたものである。
【0031】
以下の表1を参照してより具体的な実験方法を説明する。
【表1】
Figure 0004140379
【0032】
なお、表1において、AAはアクリル酸、MAはマレイン酸、VAは酢酸ビニルであり、これらはスルホン酸基を持たないモノマー単位である。また、表1において、HAPSは2−ヒドロキシ−3−アリルオキシ−1−プロパンスルホン酸、AMPSは2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、SSはスチレンスルホン酸、IPSはイソプレンスルホン酸であり、これらはスルホン酸基を有するモノマー単位である。
【0033】
実施例1〜4においては、純水に塩化カルシウムを添加した塩化カルシウム溶液を1Lビーカーに注ぎ入れた後にカルシウム濃度が150mg/Lとなるように調整した。次いで、分子量が約5,000で、スルホン酸基を有するモノマー単位が100mol%となるように前記モノマーを単独重合したホモポリマーを前記1Lビーカーの溶液に対して10mg/Lとなるように添加した。次いで前記1Lビーカーにシュウ酸ナトリウムを添加してシュウ酸濃度が100mg/Lとなるようにするとともに、pHが2.8となるように調整してスルホン酸系ポリマーを含む前記水質IIの溶液とした。次いで、水質IIの溶液が入れられた1Lビーカーを60℃の恒温槽に移し、1時間静置した。その後、水質IIの溶液を0.22μmのフィルタでろ過し、ろ液のカルシウム濃度を測定するとともに、前記式によりシュウ酸カルシウムの析出抑制率を求めた。
【0034】
なお、実施例1ではHAPSを単独重合したホモポリマーを用い、実施例2ではAMPSを単独重合したホモポリマーを用い、実施例3ではSSを単独重合したホモポリマーを用い、実施例4ではIPSを単独重合したホモポリマーを用いた。
また、実施例5〜7においては、スルホン酸系ポリマーをホモポリマーではなく、コポリマーとした以外は実施例4と同様の条件とし、スルホン酸系ポリマーとして、IPSとAAとを共重合させたコポリマーを用いた。
実施例5ではIPS単位が80mol%となるコポリマーを用い、実施例6ではIPS単位が60mol%となるコポリマーを用い、実施例7ではIPS単位が40mol%となるコポリマーを用いた。
【0035】
また、実施例5〜7とIPS単位のmol%以外の条件を同じ条件とし、IPS単位が20mol%となるコポリマーを用いたものを後述する比較例3とし、比較例3と水質以外の条件を同じとして、水質IIに代えて水質Iを用いたものを後述する比較例4とした。
【0036】
実施例8〜11においては、実施例4とIPSのホモポリマーの分子量以外の条件を同じとし、実施例8ではIPSのホモポリマーの分子量を約2,000とし、実施例9では分子量を約5,000(実施例4と同じ)とし、実施例10では分子量を約10,000とし、実施例11では分子量を約50,000とした。
なお、後述する比較例7では、実施例4とIPSのホモポリマーの分子量以外の条件を同じとし、前記分子量を約1,000とした。
【0037】
実施例12及び13においては、IPSと共重合されるモノマーが異なる以外は、実施例6と同じ条件とし、実施例12ではIPSと共重合されるモノマーをMAとし、実施例13では、IPSと共重合されるモノマーをVAとした。
【0038】
次に、比較例を説明する。比較例1は、スルホン酸基を持たないAAのホモポリマーをスケール防止剤として上述の水質IIの条件で実験を行なったものであり、添加されるポリマーが異なる以外は、実施例1と同じ条件で行なわれたものである。
比較例2は、水質を水質IIではなく水質IすなわちpHが7となる条件とした以外は、比較例1と同様の条件で行なわれた。
【0039】
比較例3、4及び7は、上述の条件で実施した。比較例5は、添加するポリマーをAMPSとAAとを共重合したコポリマーとするとともに、AMPS単位のmol%を20mol%とした以外は、比較例4と同様の条件で実験をおこなった。また、比較例6は、添加されるコポリマーのスルホン酸基を有するモノマーをAMPSからHAPSに代えた以外は、比較例6と同じ条件とした。
【0040】
以下に、表1を参照して上述の各実施例と各比較例の結果を説明する。
表1の比較例1及び2における析出抑制率に示すように、従来のスケール防止剤であるAAのポリマーでは、pHが2.8の水質IIの条件では、析出抑制率が0であり、全くスケール防止効果が認められないが、pHが7.0の水質Iの条件では、十分なスケール防止効果が認められた。
【0041】
表1の実施例1〜4における析出抑制率に示すように、スルホン酸基を有するモノマー単位としてHAPS、AMPS、SS、IPSを用いたホモポリマーは、pH2.8の条件下で、カルシウムイオンとシュウ酸とからシュウ酸カルシウムが生成してシュウ酸カルシウムが析出するのを抑制し、十分なスケール防止効果があることが認められた。
【0042】
表1の実施例5〜7及び比較例3〜6における析出抑制率に示すように、スルホン酸基を有するIPSとスルホン酸基を持たないAAとのコポリマーにおいても、pH2.8の条件下でコポリマー中のIPS単位が40mol%(実施例7)以上ならばシュウ酸カルシウムの析出が十分に抑制されることが認められた、しかし、IPS単位が20mol%(比較例3及び4)では、pH2.8及びpH7.0の両方の条件でシュウ酸カルシウムの析出を抑制する効果が認められなかった。また、IPSに代えてAMPSもしくはHAPSと、AAとを共重合されたコポリマーにおいても(比較例5及び6)、AMPS単位、HAPS単位のmol%が20では、シュウ酸カルシウムの析出抑制効果が認められなかった。
【0043】
表1の実施例8〜11及び比較例7における析出抑制率に示すように、スルホン酸基を有するIPSのホモポリマーの分子量を1,000から50,000の間で代えたところ、pH2.8の条件下で分子量1,000では(比較例7)、シュウ酸カルシウムの析出の抑制が認められるものの析出抑制率が低く、分子量2,000〜50,000では、シュウ酸カルシウムの析出抑制率が十分に高かった。
【0044】
表1の実施例12及び13における析出抑制率に示すように、スルホン酸基を有するモノマー(IPS)と、スルホン酸基を持たないAA以外のモノマー(MA、VA)とのコポリマーでも、pH2.8の条件下で、IPS単位が40mol%以上(実施例12及び13では60mol%)であれば、十分なシュウ酸カルシウムの析出抑制効果が認められた。
【0045】
【発明の効果】
本発明のスケールの防止方法によれば、紙・パルプ製造工程において、pH6以下の環境下にスルホン酸基を有するモノマー単位を40mol%以上含むスルホン酸系ポリマーを存在させることにより、シュウ酸カルシウムスケールを効果的に防止することができる。

Claims (2)

  1. 紙・パルプ製造工程でのスケールを防止するスケールの防止方法であって、
    スルホン酸基を有するモノマー単位を40mol%以上含むスルホン酸系ポリマーを含有するスケール防止剤を紙・パルプ製造工程中のpHが6以下であるパルプスラリー及び/または水に添加することを特徴とするスケールの防止方法。
  2. 紙・パルプ製造工程のうちのパルプ漂白程で、前記スケール防止剤が用いられることを特徴とする請求項に記載のスケールの防止方法。
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