JP2005264407A - シュウ酸カルシウムスケール抑制剤およびその抑制方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明の目的は、紙パルプ製造工程の水系、特にpHが4〜8の範囲の水系において、シュウ酸カルシウムスケールを効率良く抑制することができるシュウ酸カルシウムスケール抑制剤およびその抑制方法を提供することにある。
【解決手段】 紙パルプ製造工程の水系におけるシュウ酸カルシウムのスケールの抑制剤において、マレイン酸、アクリル酸および2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸を構成単量体として含み、マレイン酸とアクリル酸のモル比が10:2〜10:15であり、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸が全単量体の3〜20モル%である共重合体および/又はその水溶性塩を含んでなることを特徴とするシュウ酸カルシウムスケール抑制剤および当該共重合体を添加することを特徴とするシュウ酸カルシウムスケール抑制方法。
【選択図】 なし
【解決手段】 紙パルプ製造工程の水系におけるシュウ酸カルシウムのスケールの抑制剤において、マレイン酸、アクリル酸および2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸を構成単量体として含み、マレイン酸とアクリル酸のモル比が10:2〜10:15であり、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸が全単量体の3〜20モル%である共重合体および/又はその水溶性塩を含んでなることを特徴とするシュウ酸カルシウムスケール抑制剤および当該共重合体を添加することを特徴とするシュウ酸カルシウムスケール抑制方法。
【選択図】 なし
Description
本発明は、紙パルプ製造工程の水系に生成するシュウ酸カルシウムスケールを効果的に抑制するシュウ酸カルシウムスケール抑制剤およびその抑制方法に関するものである。
紙パルプ製造工程では、原料木材、蒸解工程でのリグニンの分解や漂白工程でのリグニンや有機物の分解や酸化によってシュウ酸が生じ、工程水中のカルシウムイオン、カルシウム塩と反応して水難溶性のシュウ酸カルシウムを形成し、スケールとなって析出する。
紙パルプ製造工程においてシュウ酸カルシウムスケールは、漂白工程の次亜塩素酸漂白段、二酸化塩素漂白段、オゾン漂白段などの酸化性漂白処理段及びその周辺の配管・設備、例えば漂白処理段のフィルター、シャワーノズル、各種配管、濾過タンク、漂白タワー等、さらに漂白工程の後の抄紙工程の各種配管、濾過タンク、スタッフボックス、ストックインレット及びその周辺の配管・設備に生じる。
シュウ酸カルシウムスケールが生じると、洗浄機のフィルターの目詰まりや濾水性の低下、配管の閉塞、さらには付着したシュウ酸カルシウムスケールの脱落により断紙や成紙斑点・穴あきの発生およびワイヤーの損傷・切断等の製造機器の損傷をもたらし、操業に支障を来す場合もある。シュウ酸カルシウムスケールは、酸洗浄では除去し難く、機械的に除去する方法が行なわれていたが、その作業効率は低いものであった。
そこで、シュウ酸カルシウムのスケール生成を抑えるべく、種々の方法が提案されてきた。例えば、水溶性ホスフェート、水溶性ホスホネート、水溶性ホスフィネートとアニオン性水溶性高分子電解質を併用してスケールを防除する方法(例えば特許文献1参照)、水溶性リン酸塩とアクリル酸水溶性ポリマーを併用する方法(例えば特許文献2参照)、マレイン酸とアクリル酸低級アルキルと酢酸ビニルの共重合体を用いる方法(例えば特許文献3参照)、マレイン酸と他のエチレン性不飽和化合物とのコポリマーを用いる方法(例えば特許文献4参照)、ポリアミノヘキサメチレンホスホネートを用いる方法(例えば特許文献5参照)等が提案、実施されてきた。
しかしながら、これらの方法をもってしても、シュウ酸カルシウムのスケール抑制は充分でなく、特にpHが3〜8の範囲では十分なシュウ酸カルシウムスケール抑制効果を発揮しないため、その改良が強く望まれていた。
本発明の目的は、紙パルプ製造工程の水系、特にpHが4〜8の範囲の水系において、シュウ酸カルシウムスケールを効率良く抑制することができるシュウ酸カルシウムスケール抑制剤およびその抑制方法を提供することにある。
本発明者らは、紙パルプ製造工程の水系におけるシュウ酸カルシウムスケールの発生の抑制について鋭意検討した結果、マレイン酸、アクリル酸および2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(以下、「AMPS」とする。)の単量体を特定組成で含む共重合体がシュウ酸カルシウムスケールの抑制に有効に作用することを見い出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本請求項1に係る発明は、紙パルプ製造工程の水系におけるシュウ酸カルシウムのスケールの抑制剤において、マレイン酸、アクリル酸および2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸を構成単量体として含み、マレイン酸とアクリル酸のモル比が10:2〜10:15であり、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸が全単量体の3〜20モル%である共重合体および/又はその水溶性塩を含んでなることを特徴とする水系におけるシュウ酸カルシウムスケール抑制剤である。
請求項2に係る発明は、請求項1記載の水系におけるシュウ酸カルシウムスケール抑制剤であり、前記共重合体の重量平均分子量が500〜20,000であることを特徴としている。
請求項3に係る発明は、紙パルプ製造工程の水系におけるシュウ酸カルシウムのスケールの抑制方法において、マレイン酸、アクリル酸および2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸を構成単量体として含み、マレイン酸とアクリル酸のモル比が10:2〜10:15であり、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸が全単量体の3〜20モル%である共重合体および/又はその水溶性塩を当該水系に添加することを特徴とする水系におけるシュウ酸カルシウムスケール抑制方法である。
請求項4に係る発明は、請求項3記載の水系におけるシュウ酸カルシウムスケール抑制方法であり、前記共重合体の重量平均分子量が500〜20,000であることを特徴としている。
請求項5に係る発明は、請求項3又は4記載の水系におけるシュウ酸カルシウムスケール抑制方法であり、水系のpHが4〜8であることを特徴としている。
本発明のシュウ酸カルシウムスケール抑制剤および抑制方法により、該スケールの生成を効果的に抑制でき、紙パルプ製造における該スケール付着に伴う操業効率の低下を防止し、断紙の防止および改善、製品品質の安定化が得られる他、操業の一時停止による当該スケールの除去に係る経済的損失の解消をもたらし、産業に益するところが大である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、紙パルプ製造工程の水系において、マレイン酸、アクリル酸および2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸を構成単量体として含み、マレイン酸、アクリル酸および2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸を特定の比率で含む共重合体(以下、「本発明の共重合体」とする)および/又はその水溶性塩を含有してなることを特徴とするシュウ酸カルシウムスケール抑制剤、および前記共重合体および/又はその水溶性塩を当該水系に添加することを特徴とするシュウ酸カルシウムスケール抑制方法である。
本発明は、紙パルプ製造工程の水系において、マレイン酸、アクリル酸および2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸を構成単量体として含み、マレイン酸、アクリル酸および2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸を特定の比率で含む共重合体(以下、「本発明の共重合体」とする)および/又はその水溶性塩を含有してなることを特徴とするシュウ酸カルシウムスケール抑制剤、および前記共重合体および/又はその水溶性塩を当該水系に添加することを特徴とするシュウ酸カルシウムスケール抑制方法である。
本発明におけるシュウ酸カルシウムスケールが生じる紙パルプ製造工程の水系は、漂白工程の塩素漂白段、二酸化塩素漂白段、オゾン漂白段、次亜塩素酸(ハイポ)漂白段、過酸化水素漂白段、酸素漂白段、過酢酸等の過酸化物漂白段等の酸化性漂白処理を行なう水系およびその後段の調成工程・抄紙工程・プレス工程の水系であり、水系のpHが4〜8、好ましくはpHが5〜7の水系である。水系のpHが4以下ではシュウ酸カルシウムは溶解し、析出しない。また、pHが8を超えるとシュウ酸カルシウムよりも炭酸カルシウムの析出が生じるようになる。
シュウ酸カルシウムスケールが生じる箇所は、漂白工程では上記の各漂白段の漂白塔の内壁、漂白後のパルプ洗浄機(フィルター、洗浄シャワー水ノズル等)および当該洗浄ろ液貯留タンク、移送配管等を含む周辺関連設備、ファンポンプ等があげられる。また、調成工程・抄紙工程・プレス工程では、パルプスラリー移送配管、マシンチェスト、ミキシングチェスト、種箱、ストックインレット、スライスリップ、抄紙機ワイヤー、フォイル、マシンロール、ブレストロール、プレスロール、洗浄シャワー水ノズル、白水サイロ、白水回収装置及び白水回収ろか装置(クロフター、フイルターディスク等)等にシュウ酸カルシウムスケールが生じる。
本発明のシュウ酸カルシウムスケール付着抑制剤に用いる共重合体は、マレイン酸、アクリル酸および2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(以下、「AMPS」とする。)を構成単量体として含み、これらの単量体を特定の比率で含む共重合体および/又はその水溶性塩(以下、「本発明の共重合体」とする。)を含有してなるシュウ酸カルシウムスケール抑制剤である。本発明の共重合体の水溶性塩としては、完全中和あるいは部分中和のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩およびこれらの複合塩がある。
マレイン酸とアクリル酸の構成モル比は、10:2〜10:15、好ましくは10:3〜10:10である。マレイン酸とアクリル酸の構成モル比が、10:2〜10:15の範囲外では十分なスケール抑制効果が得られず、本発明の効果が十分に発揮されない。また、AMPSは全単量体の3〜20モル%、好ましくは5〜10モル%であり、重量平均分子量は500〜20,000、好ましくは1,000〜10,000、さらに好ましくは3,000〜8,000である。AMPSの配合割合および平均分子量の範囲は、スケール抑制効果の上から求められたものであり、この範囲の外でもスケール抑制効果はあるが、それほど大きなスケール抑制効果の向上が見られない。本発明者らの研究によると、ポリマー組成は、効果に大きな影響をもち、マレイン酸成分とアクリル酸成分は、カルシウムが析出してくるのを抑制する働きをし、AMPS成分は析出したカルシウム粒子を分散させスケールとして成長するのを抑制する働きをしていると考えられる。
本発明の共重合体の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法により得られる。例えば、マレイン酸、アクリル酸及びAMPSの水溶液にアルカリ金属水酸化物を加えた水溶液に、80〜90℃の条件下で重合開始剤を滴下して、重合することにより得られる。この場合、マレイン酸、アクリル酸、AMPSの各成分をナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩として重合反応に供することもできる。この場合、マレイン酸、アクリル酸、AMPSの各成分は遊離の状態で重合させてもよいが、これらをナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩として重合反応に供することもできる。また、マレイン酸は無水物として重合系に加えることもできる。
重合開始剤としては、例えば過硫酸ナトリウム、過酸化塩素、ブチルヒドロパーオキサイド等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物が挙げられる。好ましい重合開始剤は過酸化水素と過硫酸塩である。重合開始剤の使用量は、用いる重合開始剤の種類により異なるが、例えば過酸化水素では単量体全量に対して0.5〜10モル%、好ましくは1〜5モル%である。
重合溶媒としては水が最も好ましいが、アルコール類、ジオキサン等の有機溶媒を用いることもできる。重合時の加熱温度は80〜90℃が好ましく、低温で重合させると、未反応の単量体が残る場合があり、好ましくない。
また、本発明のシュウ酸カルシウムスケール抑制剤の効果を損なわない範囲において、従来から使用されてきた他のスケール抑制剤、例えば、EDTA,ポリマレイン酸およびその水溶性塩、ポリアクリル酸およびその水溶性塩、ポリAMPSおよびその水溶性塩、マレイン酸−アクリル酸共重合体およびその水溶性塩、PBTCやHEDP等のホスホン酸塩等を含んでも良く、本発明は何ら制限を加えるものではない。
本発明のシュウ酸カルシウムスケール抑制方法は、前述のマレイン酸、アクリル酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸を特定の比率で含む単量体から構成された共重合体および/又はその水溶性塩をシュウ酸カルシウムスケールが生じる水系に添加することを特徴とする水系におけるシュウ酸カルシウムスケール抑制方法である。
本発明のシュウ酸カルシウムスケール抑制方法における当該共重合体の添加量は、工程の条件、対象とする水系の水質、シュウ酸カルシウムスケールの状況、当該スケールの改善要求度などにより適宜決定されるものであり一律に決定できないが、通常、対象とする水系のカルシウムイオン濃度1mg/Lに対して、本発明の共重合体を0.01〜3mg/L、好ましくは0.05〜2mg/L、さらに好ましくは0.1〜1mg/Lである。本発明の共重合体の添加量が0.01mg/Lより低いと、本発明の効果が十分に得られない場合があり、3mg/Lを越えると本発明の効果は得られるが、添加量の割には効果の向上が小さく、経済的見地から好ましくないことが多い。
本発明の共重合体の添加箇所は、通常、シュウ酸カルシウムが生成する箇所やシュウ酸カルシウムの付着が生じる箇所およびその上流部である。例えば、紙パルプ製造工程の漂白工程では、塩素漂白段、二酸化塩素漂白段、ハイポ漂白段、オゾン漂白段、酸素漂白段、過酸化水素漂白段および過酢酸等の過酸化物漂白段等の各漂白段に入る手前のパルプスラリーおよび当該パルプスラリーの希釈水、各漂白塔に加えられるパルプ洗浄水への添加であり、抄紙工程では循環白水、パルプスラリーおよび当該パルプスラリーの希釈水等へに添加である。
本発明の共重合体の使用方法は、共重合体をそのまま使用する方法、水で1〜50重量%程度に適度に希釈して使用する方法があり、適宜選択すれば良い。また、本発明の共重合体の添加手段は、特に限定するものではないが、通常、薬品注入ポンプを用いて添加される。
また、本発明の共重合体の添加方法は、特定の添加箇所に一点添加する方法、複数の箇所に分けて多点添加する方法、さらに添加を連続的に行なう連続添加方法、または一定時間毎に添加を行なう間歇添加方法などがあり、種々の状況に沿って適宜選択すれば良い。
本発明のシュウ酸カルシウムのスケール抑制方法において、本発明の効果を損なわない範囲において、本発明の共重合体と従来から使用されてきた他のスケール抑制剤、例えば、EDTA,ポリマレイン酸およびその水溶性塩、ポリアクリル酸およびその水溶性塩、ポリAMPSおよびその水溶性塩、マレイン酸−アクリル酸共重合体およびその水溶性塩、PBTCやHEDP等のホスホン酸塩等を併用して良く、本発明は何ら制限を加えるものではない。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
〔アクリル酸―マレイン酸−AMPS共重合体の製造〕
[共重合体A:マレイン酸―アクリル酸―AMPS共重合体(モル比78.7:15.7:5.6)の調製]
500mLの5つ口フラスコに無水マレイン酸44.6g(0.455モル)及び水60gを加え、これに50%水酸化ナトリウム水溶液を加えpHを6に調整した。フラスコ内を窒素ガス雰囲気とし、攪拌下、溶液を90℃に加温維持した。滴下ロートより過硫酸ナトリウム水溶液(過硫酸ナトリウム3.2gの水50gの水溶液)およびアクリル酸とAMPSの混合水溶液〔アクリル酸6.7g(0.090モル)とAMPS6.7g(0.032モル)を水60gに溶解した水溶液〕をそれぞれゆっくり滴下した。滴下後、さらに90℃に維持して3時間反応を行った。次いで、攪拌冷却して、共重合体Aの25重量%水溶液を得た。イオンクロマトグラフィー法により、残存単量体濃度を測定したところ、単量体は存在せず、反応率は実質100%であることを確認した。得られた共重合体Aの水溶液をシュウ酸カルシウム析出抑制効果の評価に用いた。また、共重合体Aの分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー測定の結果、1,800であった。同様にして、各成分比を変えて表1に示した各種重合体を得た。
[共重合体A:マレイン酸―アクリル酸―AMPS共重合体(モル比78.7:15.7:5.6)の調製]
500mLの5つ口フラスコに無水マレイン酸44.6g(0.455モル)及び水60gを加え、これに50%水酸化ナトリウム水溶液を加えpHを6に調整した。フラスコ内を窒素ガス雰囲気とし、攪拌下、溶液を90℃に加温維持した。滴下ロートより過硫酸ナトリウム水溶液(過硫酸ナトリウム3.2gの水50gの水溶液)およびアクリル酸とAMPSの混合水溶液〔アクリル酸6.7g(0.090モル)とAMPS6.7g(0.032モル)を水60gに溶解した水溶液〕をそれぞれゆっくり滴下した。滴下後、さらに90℃に維持して3時間反応を行った。次いで、攪拌冷却して、共重合体Aの25重量%水溶液を得た。イオンクロマトグラフィー法により、残存単量体濃度を測定したところ、単量体は存在せず、反応率は実質100%であることを確認した。得られた共重合体Aの水溶液をシュウ酸カルシウム析出抑制効果の評価に用いた。また、共重合体Aの分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー測定の結果、1,800であった。同様にして、各成分比を変えて表1に示した各種重合体を得た。
(シュウ酸カルシウム析出抑制試験1)
紙パルプ製造工場の漂白工程より二酸化塩素漂白塔より漂白直後のパルプスラリーを採取して、No.6定量濾紙で濾過して試験液〔Ca2+濃度:53mg/L、C2O4 2−濃度:36mg/L、pH:4.2〕とした。200mL三角フラスコに試験液100mLを取り、表1記載のスケール抑制剤を所定量添加し、次いでシュウ酸ナトリウム〔関東化学(株)製、試薬〕をシュウ酸イオンC2O4 2−として60mg/L、塩化カルシウム〔関東化学(株)製、試薬〕をカルシウムイオンCa2+として27mg/L添加した後、希塩酸及び希水酸化ナトリウムでpHを4、5、6、7に調整し、60℃で1時間静置した。その後、試験液中の懸濁物質(以下、「SS」とする。析出した懸濁物質は赤外分光光度計によりシュウ酸カルシウムであることを確認した。)濃度をポイック積分球式SS濃度計〔日本精密光学(株)製〕で測定し、次式によりスケール抑制率を求めた。
スケール抑制率(%)=〔1−(a/b)〕×100
a:スケール抑制剤添加時のSS(mg/L)
b:スケール抑制剤無添加時のSS(mg/L)
結果を表2に示した。
紙パルプ製造工場の漂白工程より二酸化塩素漂白塔より漂白直後のパルプスラリーを採取して、No.6定量濾紙で濾過して試験液〔Ca2+濃度:53mg/L、C2O4 2−濃度:36mg/L、pH:4.2〕とした。200mL三角フラスコに試験液100mLを取り、表1記載のスケール抑制剤を所定量添加し、次いでシュウ酸ナトリウム〔関東化学(株)製、試薬〕をシュウ酸イオンC2O4 2−として60mg/L、塩化カルシウム〔関東化学(株)製、試薬〕をカルシウムイオンCa2+として27mg/L添加した後、希塩酸及び希水酸化ナトリウムでpHを4、5、6、7に調整し、60℃で1時間静置した。その後、試験液中の懸濁物質(以下、「SS」とする。析出した懸濁物質は赤外分光光度計によりシュウ酸カルシウムであることを確認した。)濃度をポイック積分球式SS濃度計〔日本精密光学(株)製〕で測定し、次式によりスケール抑制率を求めた。
スケール抑制率(%)=〔1−(a/b)〕×100
a:スケール抑制剤添加時のSS(mg/L)
b:スケール抑制剤無添加時のSS(mg/L)
結果を表2に示した。
本発明のシュウ酸カルシウムスケール抑制剤は、pHが4〜7の範囲まで高い抑制効果を示している。特にpHが5〜7では、ほぼスケールを完全に抑制していることが分かる。
(シュウ酸カルシウム析出抑制試験2)
紙パルプ工場より漂白工程から採取した二酸塩素漂白段後の洗浄機濾液を採取し、No.6定量濾紙で濾過した濾液(カルシウムイオン濃度:30mg/L、シュウ酸イオン濃度:34mg/L、pH:5.7)を試験液とした。200mL三角フラスコに試験液100mLを取り、表1記載のスケール抑制剤を所定量添加し、次いでシュウ酸ナトリウム〔関東化学(株)製、試薬〕をシュウ酸イオンとして66mg/L添加した後、希塩酸及び希水酸化ナトリウムでpHを5.7に調整した。この試験液を50℃で1時間静置した後、「シュウ酸カルシウム析出抑制試験1」と同様にして、試験液中のSS(析出した懸濁物質は赤外分光光度計により、シュウ酸カルシウムであることを確認した。)濃度を測定し、スケール抑制率を求めた。結果を表3に示した。
紙パルプ工場より漂白工程から採取した二酸塩素漂白段後の洗浄機濾液を採取し、No.6定量濾紙で濾過した濾液(カルシウムイオン濃度:30mg/L、シュウ酸イオン濃度:34mg/L、pH:5.7)を試験液とした。200mL三角フラスコに試験液100mLを取り、表1記載のスケール抑制剤を所定量添加し、次いでシュウ酸ナトリウム〔関東化学(株)製、試薬〕をシュウ酸イオンとして66mg/L添加した後、希塩酸及び希水酸化ナトリウムでpHを5.7に調整した。この試験液を50℃で1時間静置した後、「シュウ酸カルシウム析出抑制試験1」と同様にして、試験液中のSS(析出した懸濁物質は赤外分光光度計により、シュウ酸カルシウムであることを確認した。)濃度を測定し、スケール抑制率を求めた。結果を表3に示した。
本発明のシュウ酸カルシウムスケール抑制剤は、カルシウムイオンに対して0.01mg/Lでも、従来のスケール抑制剤と比べて著しいスケール抑制効果を示している。
(シュウ酸カルシウム析出抑制試験3)
紙パルプ工場より漂白工程から採取したハイポ段濾液をNo.6定量濾紙で濾過し、濾液[カルシウムイオン濃度:15mg/L、シュウ酸イオン濃度:160mg/L、pH7.5]を試験液とした。試験液にスケール抑制剤を所定量添加し、次いで、塩化カルシウム[関東化学(株)製、試薬]をカルシウムイオンとして50mg/L添加した後、希塩酸及び希水酸化ナトリウムでpHを7.8に調整し、50℃で1時間静置した後、「シュウ酸カルシウム析出抑制試験1」と同様にして、試験液中のSS(析出した懸濁物質は赤外分光光度計により、シュウ酸カルシウムであることを確認した。)濃度を測定し、スケール抑制率を求めた。結果を表4に示した。
紙パルプ工場より漂白工程から採取したハイポ段濾液をNo.6定量濾紙で濾過し、濾液[カルシウムイオン濃度:15mg/L、シュウ酸イオン濃度:160mg/L、pH7.5]を試験液とした。試験液にスケール抑制剤を所定量添加し、次いで、塩化カルシウム[関東化学(株)製、試薬]をカルシウムイオンとして50mg/L添加した後、希塩酸及び希水酸化ナトリウムでpHを7.8に調整し、50℃で1時間静置した後、「シュウ酸カルシウム析出抑制試験1」と同様にして、試験液中のSS(析出した懸濁物質は赤外分光光度計により、シュウ酸カルシウムであることを確認した。)濃度を測定し、スケール抑制率を求めた。結果を表4に示した。
Claims (5)
- 紙パルプ製造工程の水系におけるシュウ酸カルシウムのスケールの抑制剤において、マレイン酸、アクリル酸および2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸を構成単量体として含み、マレイン酸とアクリル酸のモル比が10:2〜10:15であり、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸が全単量体の3〜20モル%である共重合体および/又はその水溶性塩を含んでなることを特徴とするシュウ酸カルシウムスケール抑制剤。
- 前記共重合体の重量平均分子量が500〜20,000である請求項1記載のシュウ酸カルシウムスケール抑制剤。
- 紙パルプ製造工程の水系におけるシュウ酸カルシウムスケールの抑制方法において、マレイン酸、アクリル酸および2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸を構成単量体として含み、マレイン酸とアクリル酸のモル比が10:2〜10:15であり、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸が全単量体の3〜20モル%である共重合体および/又はその水溶性塩を当該水系に添加することを特徴とするシュウ酸カルシウムスケール抑制方法。
- 前記共重合体の重量平均分子量が500〜20,000である請求項3記載のシュウ酸カルシウムスケール抑制方法。
- 水系のpHが4〜8である請求項3又は4の何れか記載のシュウ酸カルシムスケール抑制方法。
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CN115215449A (zh) * | 2022-07-01 | 2022-10-21 | 济源市清源水处理有限公司 | 一种宽pH值范围内对草酸钙垢的抑制剂 |
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2004
- 2004-03-22 JP JP2004082837A patent/JP2005264407A/ja active Pending
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CN100418905C (zh) * | 2006-11-29 | 2008-09-17 | 中国海洋石油总公司 | 一种反渗透膜阻垢剂的制备方法 |
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