JP4189067B2 - 紙パルプ製造工程におけるシュウ酸カルシウムスケール抑制剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は紙パルプ製造工程に生成するシュウ酸カルシウムスケールを効率よく抑制することのできるシュウ酸カルシウムスケール抑制剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
紙パルプの原料木材中には、シュウ酸成分、カルシウム成分が含まれ、これらが工程水中に溶出し、さらに漂白工程で有機物が酸化されシュウ酸成分が生成し、工程水中にもカルシウム成分が含まれていることもあって、工程水中ではシュウ酸カルシウムとなって蓄積され、スケールとなって析出してくる。
【0003】
シュウ酸カルシウムスケールは、漂白工程のハイポ段(次亜塩素酸処理段:以下、「H段」と略す)やその周辺の配管、設備において顕著であり、条件によっては、後続の二酸化塩素段やその周辺の配管、設備においてもかなり生成する。また、中性紙抄造工程の抄紙機やその周辺の設備においても生成する。例えば、漂白工程ではフィルターワイヤー、シャワーノズル、各種配管、濾過タンク、漂白タワー等で生成し、抄紙工程では、種箱、ストックインレット等で生成し問題となる。例えば、このような箇所でスケールが生成すると、操業性を悪化させるのみならず、フィルターの目詰まり、濾水性の低下、洗浄性の低下により、パルプの洗浄が不十分となってパルプ品質の不安定化をもたらし、漂白薬品が多量に必要となるほか、付着スケールの脱落により、断紙や最終製品での斑点、穴あきが生じて品質を損なうこととなり、さらに緊急に操業停止を余儀なくされる場合もある。
【0004】
シュウ酸カルシウムスケールは、いったん生成すると、炭酸カルシウムスケールのような酸洗浄では除去し難く、機械的に除去しているのが現状である。そこでスケールの生成を抑えるべく、水溶性ホスフェート、水溶性ホスホネート、水溶性ホスフィネートとアニオン性水溶性高分子電解質を併用してスケールを防除する方法(特開昭61−153199号公報)、水溶性リン酸塩類とアクリル酸水溶性ポリマーを併用する方法(特開平1−143700号公報)、マレイン酸と他のエチレン性不飽和化合物とのコポリマーを用いる方法[米国特許第5320757明細書(1994年)]、ポリアミノヘキサメチレンホスホネートを用いる方法[米国特許第5490942明細書(1996年)]等が提案されている。
【0005】
一方、工場周辺の環境保全が叫ばれるようになったことに及んで、工場から排出される水に含まれるリン化合物は湖沼、内湾に流入したとき富栄養化や赤潮の原因となり、またリン化合物や合成カルボン酸系化合物は自然界に生息する微生物により分解され難いため生物体内に蓄積され易いといった問題が指摘された。そこで、工程薬品においても、リンを含まず、かつ生分解性の良いものが望まれるようになった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、紙パルプ製造工程に生成するシュウ酸カルシウムスケールを連続的、効率よく抑制することができ、かつ生分解性の良好なシュウ酸カルシウムスケール抑制剤を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、シュウ酸カルシウムスケールを抑制するのに有効な化合物を開発するために鋭意検討した結果、ヒドロキシカルボン酸とエポキシコハク酸とを或る特定割合で反応させて得られるポリエポキシコハク酸誘導体がこの目的に適合することを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本請求項1の発明は、ヒドロキシカルボン酸とエポキシコハク酸とを1:3〜1:30のモル比で反応させて得られるポリエポキシコハク酸誘導体を有効成分として含有することを特徴とする紙パルプ製造工程に生成するシュウ酸カルシウムスケール抑制剤であり、請求項2の発明は、ヒドロキシカルボン酸が酒石酸、リンゴ酸およびクエン酸から選ばれた1種以上である請求項1記載のシュウ酸カルシウムスケール抑制剤である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0010】
本発明におけるポリエポキシコハク酸誘導体の製造原料の1つであるヒドロキシカルボン酸は、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、乳酸、グルコン酸、グルコヘプトン酸、グリコール酸等が挙げられ、好ましくは、酒石酸、リンゴ酸およびクエン酸である。また、これら化合物は、単独にあるいは2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0011】
これらのヒドロキシカルボン酸には、構造上右旋性のもの、左旋性のものと区別されるが、本発明においてはこれら光学異性体の種類は限定されない。また、ラセミ体であってもよい。
【0012】
本発明におけるポリエポキシコハク酸誘導体のもう一方の製造原料であるエポキシコハク酸は公知の方法により製造することができ、その具体例は米国有機化学雑誌(The Journal of Organic Chemistry)、第24巻、54頁(1959年)等に示されている。すなわち、タングステン酸塩等を触媒として無水マレイン酸ないしマレイン酸に過酸化水素を反応させることにより、シスエポキシコハク酸が得られ、フマル酸に過酸化水素を反応させることにより、トランスエポキシコハク酸が得られる。
【0013】
本発明においてエポキシコハク酸は、シスエポキシコハク酸とトランスエポキシコハク酸のいずれでもよく、また両者の混合物であってもよい。
【0014】
ヒドロキシカルボン酸とエポキシコハク酸との重合反応は、アルカリ水溶液中、アルカリ金属ないしアルカリ土類金属の水酸化物、酸化物ないし各種塩類、好ましくはカルシウムイオン供与化合物を触媒として行われる。
【0015】
重合反応の条件は、特に限定されるものではないが、反応収率を挙げるためにpHは9以上、特にpH10〜14が好ましく、反応温度は通常50〜150℃が好ましい。
【0016】
本発明において、ヒドロキシカルボン酸とエポキシコハク酸のモル比は、1:3〜1:30、好ましくは、1:9〜1:19である。エポキシコハク酸のモル比がこの範囲より小さいとスケール抑制効果が著しく低下し、またこの範囲より大きいと、触媒としてカルシウム化合物を用いた場合にカルシウムの不溶性沈殿物が析出することがある。
【0017】
触媒は、ヒドロキシカルボン酸とエポキシコハク酸の反応を円滑に行わせるものであり、上記したようにアルカリ金属ないしアルカリ土類金属の水酸化物、酸化物ないし各種塩類、好ましくはカルシウムの水酸化物、酸化物ないし各種塩類のようにアルカリ水溶液中でカルシウムイオンを供与するカルシウム化合物が用いられる。反応に用いられる触媒の量は使用する触媒の種類や反応条件などにより異なり、一律に決められるものではないが、通常はエポキシコハク酸の1モルに対して0.01〜1モル、好ましくは0.05〜0.7モルである。しかし、本発明においては、触媒の種類、量について限定するものではない。
【0018】
ところで、エポキシコハク酸単独重合反応の場合も、本発明におけるヒドロキシカルボン酸とエポキシコハク酸の重合反応と同様にアルカリ性水溶液中、カルシウムの水酸化物、酸化物ないし各種塩類を触媒として行われる。しかし、この場合には多量のカルシウムの不溶性物が生成するので、これら不溶性物を除去することが必要であり、また生成したポリエポキシコハク酸の安定性も悪く、貯蔵中に沈殿物が生成するなどの問題があった。これに対して、本発明においては重合反応に関与するヒドロキシカルボン酸がカルシウムイオンと適度な安定度を有する可溶性錯体を形成し、触媒能力を維持したままカルシウム不溶性物の生成を抑える効果をもたらしている。エチレンジアミン四酢酸(EDTA)のようにカルシウムイオンと極めて安定なキレート化合物を作る化合物も、カルシウムの不溶性物の生成を抑える効果があるが、カルシウムイオンがEDTAにより完全にマスキングされてしまい、そのために触媒としての作用が小さくなり、重合反応が円滑に行われず、高重合度の生成物を得るには不利である。
【0019】
本発明のポリエポキシコハク酸誘導体の重量平均分子量は、好ましくは500〜2000、さらに好ましくは1000〜1500である。この好ましい分子量範囲の外ではスケール抑制効果が低下することがある。
【0020】
本発明のシュウ酸カルシウムスケール抑制剤は、上述のポリエポキシコハク酸誘導体を水あるいは適当な有機溶剤に溶解して、これを工程中に添加する。添加方法は、シュウ酸カルシウムスケールの付着が起こる箇所あるいはその上流部に添加しておけばよく、特に限定されるものではないが、例えば、パルプ漂白工程では、H段に入る手前のパルプスラリー中あるいはパルプを洗浄するためにH段に加えられる洗浄水に添加する。
【0021】
また、抄紙工程では、種箱中のパルプスラリーに連続的に添加するか、あるいは抄紙ワイヤーで除かれて再びパルプスラリーに混合される循環白水に連続的に添加する。また、本発明のシュウ酸カルシウムスケール抑制剤の添加量は、目的とする工程条件により、また、その要求度などにより異なり、一律に規定できるものではないが、漂白工程あるいは抄紙工程では、パルプスラリー中の液体あるいは洗浄水あるいは白水に対してポリエポキシコハク酸誘導体として0.1〜500ppm、好ましくは1〜100ppmである。
【0022】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0023】
[エポキシコハク酸の製造]
以下に本発明に使用したエポキシコハク酸二ナトリウムの製造例を示す。
1Lセパラブルフラスコに脱イオン水200mlを入れ、無水マレイン酸98.1g(1モル)を加えて撹拌溶解した。冷却しながら48%NaOH125g(1.5モル)を徐々に滴下した。系内の温度は70℃まで上昇した。65℃に冷却後、30%過酸化水素132g(1.16モル)とタングステン酸ナトリウム5.8gを加えて撹拌溶解した。次いで、48%NaOHを41.7g(0.5モル)添加して、70℃で2時間維持した。このようにして、目的とするエポキシコハク酸二ナトリウム水溶液(固形分34.8%)を得た。
【0024】
[実施例に用いたポリエポキシコハク酸誘導体]
以下に実施例に使用したポリエポキシコハク酸誘導体を示す。
重合体−A;酒石酸/エポキシコハク酸(反応モル比:1/3)
還流管付200mLセパラブルフラスコにエポキシコハク酸二ナトリウム水溶液37.29g(0.075モル)、L−酒石酸3.75g(0.025モル)を加え、48%水酸化ナトリウムを添加してpHを10.0に調整した。次いで、水酸化カルシウム0.555g(0.0075モル)を添加し、撹拌しながら窒素ガス通気下80℃で4時間加熱した。このようにして目的とする反応モル比の酒石酸とエポキシコハク酸の反応生成物溶液を得た。この反応生成物はゲル浸透クロマトグラフィー測定の結果、重量平均分子量1410であった。
重合体−B;リンゴ酸/エポキシコハク酸(反応モル比:1/3)
重合体−Aの製造において、ヒドロキシカルボン酸成分としてDL−リンゴ酸3.35g(0.025モル)を使用した以外は同様な反応操作を行い、重量平均分子量1320の反応生成物を得た。
重合体−C;グルコン酸/エポキシコハク酸(反応モル比:1/3)
重合体−Aの製造において、ヒドロキシカルボン酸成分として50%グルコン酸9.81g(0.025モル)を使用した以外は同様な反応操作を行い、重量平均分子量1370の反応生成物を得た。
重合体−D;リンゴ酸/エポキシコハク酸(反応モル比:1/9)
還流管付200mLセパラブルフラスコにエポキシコハク酸二ナトリウム水溶液44.74g(0.09モル)、DL−リンゴ酸3.75g(0.01モル)を加え、48%水酸化ナトリウムを添加してpHを10.0に調整した。次いで、水酸化カルシウム0.666g(0.009モル)を添加し、撹拌しながら窒素ガス通気下80℃で4時間加熱した。このようにして目的とする反応モル比のリンゴ酸とエポキシコハク酸の反応生成物溶液を得た。この反応生成物はゲル浸透クロマトグラフィー測定の結果、重量平均分子量1420であった。
重合体−E;クエン酸/エポキシコハク酸(反応モル比:1/9)
重合体−Dの製造において、ヒドロキシカルボン酸成分として50%クエン酸3.84g(0.01モル)を使用した以外は同様な反応操作を行い、重量平均分子量1350の反応生成物を得た。
重合体−F;酒石酸/エポキシコハク酸(反応モル比:1/19)
還流管付200mLセパラブルフラスコにエポキシコハク酸二ナトリウム水溶液47.23g(0.095モル)、L−酒石酸0.75g(0.005モル)を加え、48%水酸化ナトリウムを添加してpHを10.0に調整した。次いで、水酸化カルシウム0.703g(0.0095モル)を添加し、撹拌しながら窒素ガスを通気下80℃で4時間加熱した。このようにして目的とする反応モル比の酒石酸とエポキシコハク酸の反応生成物溶液を得た。この反応生成物はゲル浸透クロマトグラフィー測定の結果、重量平均分子量1430であった。
重合体−G;クエン酸/エポキシコハク酸(反応モル比:1/19)
重合体−Fの製造において、ヒドロキシカルボン酸成分として50%クエン酸1.92g(0.005モル)を使用した以外は同様な反応操作を行い、重量平均分子量1380の反応生成物を得た。
重合体−H;リンゴ酸/エポキシコハク酸(反応モル比:1/30)
還流管付200mLセパラブルフラスコにエポキシコハク酸二ナトリウム水溶液48.11g(0.097モル)、DL−リンゴ酸0.43g(0.003モル)を加え、48%水酸化ナトリウムを添加してpHを10.0に調整した。次いで、水酸化カルシウム0.718g(0.0097モル)を添加し、撹拌しながら窒素ガスを通気下80℃で4時間加熱した。このようにして目的とする反応モル比の酒石酸とエポキシコハク酸の反応生成物溶液を得た。この反応生成物はゲル浸透クロマトグラフィー測定の結果、重量平均分子量1320であった。
【0025】
[比較例に用いた化合物]
以下に比較例に用いた化合物を示す。
重合体−I;エポキシコハク酸単独重合体
還流管付200mLセパラブルフラスコにエポキシコハク酸二ナトリウム水溶液49.72g(0.1モル)を入れ、1N塩酸を添加してpHを10.0に調整した。次いで、水酸化カルシウム0.74g(0.01モル)を添加し、撹拌しながら窒素ガス通気下80℃で4時間加熱した。この反応生成物はゲル浸透クロマトグラフィー測定の結果、重量平均分子量1270であった。
重合体−J;リンゴ酸/エポキシコハク酸(反応モル比:1/1)
還流管付200mLセパラブルフラスコにエポキシコハク酸二ナトリウム水溶液24.86g(0.05モル)、DL−リンゴ酸6.71g(0.05モル)を加え、48%水酸化ナトリウムを添加してpHを10.0に調整した。次いで、水酸化カルシウム0.37g(0.005モル)を添加し、撹拌しながら窒素ガス通気下80℃で4時間加熱した。この反応生成物はゲル浸透クロマトグラフィー測定の結果、重量平均分子量1360であった。
重合体−K;アスパラギン酸/エポキシコハク酸(反応モル比:1/3)
還流管付200mLセパラブルフラスコにエポキシコハク酸二ナトリウム水溶液37.29g(0.075モル)、L−アスパラギン酸3.33(0.025モル)を加え、48%水酸化ナトリウムを添加してpHを10.0に調整した。次いで、水酸化カルシウム0.555g(0.0075モル)を添加し、撹拌しながら窒素ガス通気下80℃で4時間加熱した。この反応生成物はゲル浸透クロマトグラフィー測定の結果、重量平均分子量1480であった。
重合体−L;エチレンジアミン四酢酸/エポキシコハク酸(反応モル比:1/9)還流管付200mLセパラブルフラスコにエポキシコハク酸二ナトリウム水溶液44.74g(0.09モル)、エチレンジアミン四酢酸ニナトリウムニ水塩3.72g(0.01モル)を加え、48%水酸化ナトリウムを添加してpHを10.0に調整した。次いで、水酸化カルシウム0.666g(0.009モル)を添加し、撹拌しながら窒素ガス通気下80℃で4時間加熱した。この反応生成物はゲル浸透クロマトグラフィー測定の結果、重量平均分子量780であった。
重合体−M;アクリル酸単独重合体(重量平均分子量5000)
日本触媒(株)社製「アクアリックDL−40」(商品名)を使用した。
化合物−N;ヘキサメタリン酸ナトリウム
関東化学(株)社製特級試薬を使用した。
化合物−O;リンゴ酸
扶桑化学(株)社製「リンゴ酸50B」(商品名)を使用した。
【0026】
[シュウ酸カルシウム析出抑制効果の評価]
〈試験1〉
パルプ工場漂白工程から採取したH段濾液をNo.6定量濾紙で濾過した濾液(カルシウムイオン濃度:40ppm、シュウ酸イオン濃度:17ppm、pH:7.0)に各種スケール抑制剤を所定量添加した後、シュウ酸ナトリウム[関東化学(株)社製特級試薬]をシュウ酸イオンとして70ppm添加した後、希塩酸及び希水酸化ナトリウムでpHを7.0に調整した。この試験液を65℃で1時間静置した後、試験液中の懸濁物質(以下、「SS」と略す)濃度を日本精密光学(株)社製ポイック積分球式SS濃度計で測定し、次式によりスケール抑制率を求めた。尚、析出した懸濁物質は赤外分光光度計により、シュウ酸カルシウムであることを確認した。
【0027】
【数1】
【0028】
結果を表1に示した。
【表1】
【0029】
〈試験2〉
製紙工場中性紙抄紙工程から採取した白水[総カルシウム濃度:352ppm(うち溶解カルシウムイオン濃度:223ppm)、総シュウ酸濃度:5ppm(うち溶解シュウ酸イオン濃度:5ppm)、pH7.2]に各種スケール抑制剤を所定量添加して10分間撹拌した後、No.6定量濾紙で濾過した。本濾液にシュウ酸ナトリウム[関東化学(株)社製特級試薬]をシュウ酸イオンとして50ppm添加した後、希塩酸及び希水酸化ナトリウムでpH7.2に調整した。この試験液を40℃で1時間静置した後、試験液中の懸濁物質(以下、「SS」と略す)濃度を日本精密光学(株)社製ポイック積分球式SS濃度計で測定し、次式によりスケール抑制率を求めた。尚、析出した懸濁物質は赤外分光光度計により、シュウ酸カルシウムであることを確認した。
【0030】
【数2】
【0031】
結果を表2に示した。
【表2】
【0032】
表1、表2の結果から、本発明の化合物はシュウ酸カルシウムの析出抑制効果が極めて高いことがわかる。
【0033】
【発明の効果】
本発明のスケール抑制剤を適用すれば、少量の使用量で紙パルプ製造工程に生成するシュウ酸カルシウムスケールを効果的に抑制でき、該スケール付着に伴う操業性の悪化、漂白薬品のコスト増大、パルプ品質の不安定化、最終製品の不良品増加などの問題が解消でき、紙パルプ工業に益する所が大である。また、本発明のスケール抑制剤は生分解性が良好であり、かつリンを含まないことから、紙パルプ製造工程から排水として外部に出たときも、周辺環境に公害上の問題を起こす虞もなく、安心して適用できるという大きな利点がある。
Claims (2)
- ヒドロキシカルボン酸とエポキシコハク酸とを1:3〜1:30のモル比で反応して得られるポリエポキシコハク酸誘導体を有効成分として含有することを特徴とする紙パルプ製造工程におけるシュウ酸カルシウムスケール抑制剤。
- ヒドロキシカルボン酸が酒石酸、リンゴ酸およびクエン酸から選ばれた1種以上である請求項1記載の紙パルプ製造工程におけるシュウ酸カルシウムスケール抑制剤。
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