JP4140374B2 - ファン式防虫装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、タンスやクローゼット等の衣類収納空間で使用するファン式防虫装置に関し、特に、収納容器本体を備えると共に、この収納容器本体に害虫防除成分を有する薬剤を保持する薬剤保持体と送風体とを備えたファン式防虫装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、タンスやクローゼット等の衣類収納空間で使用するファン式防虫装置としては、例えば、特開平11−308955号公報に記載されたように、害虫防除成分を有する薬剤を保持する薬剤保持体と送風体とこの送風体を作動するための電池とを内蔵し、送風体の作動により薬剤保持体に保持した害虫防除成分を有する薬剤を放出口より外部に放出することで、タンスやクローゼット等の衣類収納空間に薬剤を行き渡せて、衣類の防虫を行うものが知られていた。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−308955号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
かかる従来のファン式防虫装置にあっては、薬剤保持体と送風体とを直列的に配置する関係上、どうしても厚みが増してしまうことがあり、このため、当該ファン式防虫装置を、タンスやクローゼット等の衣類収納空間内に使用する際、ある程度のスペースを取ってしまい、強いては衣類収納空間内に収納する衣類等のスペースが減ってしまうといった問題が生じるおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記の問題に鑑みなされたものであり、当該ファン式防虫装置を使用する際、大きなスペースを取るといったことをなくして、衣類収納空間内に収納する衣類等のスペースが減ってしまうのを防止するファン式防虫装置を提供することを、その課題とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、扁平中空直方体状の収納容器本体と、この収納容器本体における巾広の側面部の一方寄りに開口した吸込口と、前記収納容器本体における吸込口の反対側である他方寄りであって、巾狭の側面部に開口した放出口と、前記収納容器本体の一方寄りであって、一側面が前記吸込口に臨むように設置された薬剤保持体と、前記収納容器本体の他方寄りであって、排出側が前記放出口に臨む送風体と、前記収納容器本体内であって、前記薬剤保持体の他側面と前記送風体の吸込側とを連通するダクトと、よりなるファン式防虫装置である。
【0007】
【作 用】
本発明によれば、収納容器本体を扁平中空直方体状として、この収納容器本体内の一方寄りに薬剤保持体を設置し、他方寄りに送風体を備えて、収納容器本体内に薬剤保持体と送風体とを連通するダクトを備えたことで、収納容器本体における巾狭側の寸法を、薬剤保持体あるいは送風体の厚みとダクトの厚みのみの寸法にすることができ、全体を扁平な形に、すなわち当該ファン式防虫装置を極力薄くすることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明によるファン式防虫装置の一実施形態について説明する。
ファン式防虫装置としては、図1、図2、図3及び図4に示すように、左右両端が半円形で左右横に伸びた扁平中空直方体状の収納容器本体1を備える。この収納容器本体1は、一方寄り(図1及び図3中、左側)を開放した巾広の前側の側面部及び後側の側面部と巾狭の上下左右のそれぞれの側面部とからなるケース2と、このケース2の巾広の前側の側面部の一方寄りの開放した部分を塞ぐカバー3とから構成すると共に、カバー3はケース2に対して着脱自在にする。
【0009】
そして、この収納容器本体1における巾広の前側の側面部の一方寄り、すなわち左側に設けたカバー3に吸込口4を開口し、この吸込口4はスリットを円形に年輪状に形成したもので、空気を内部に吸込むためのものである。
【0010】
また、前記収納容器本体1における吸込口4の反対側である他方寄り、すなわち右側であって、巾狭の右側の側面部に放出口5を開口し、この放出口5は複数のスリットを縦に形成したもので、空気を外部に放出するためのものである。
【0011】
一方、前記収納容器本体1の一方寄りである左側であって、一側面が前記吸込口4に臨むように薬剤保持体6を設置し、この薬剤保持体6は、前後の側面がそれぞれ開口した円形状の容器7を備え、この容器7の中に害虫防除成分を有する薬剤を含浸させた粒状の担体8を収容することで、薬剤を保持している。そして、前後の側面の開口した箇所から空気の出入りが行われる。
【0012】
また、前記収納容器本体1の他方寄りである右側であって、排出側が前記放出口に臨む送風体9を備えて、この送風体9は、遠心送風機の一種であるシロッコファンと呼ばれる多翼式送風機であり、回転方向に対して多数の幅の細い羽根10を円筒状に配置したもので、その回転中心にモータ11を備えて、このモータ11を電池12によって駆動することにより多数の羽根10を回転させることで、空気を遠心方向に流す。
【0013】
さらに、前記収納容器本体1における薬剤保持体6と送風体9との間、すなわち左右中央には、電池12を収納する電池収納部13を設置して、この電池収納部13に収納した電池12により送風体9を作動させる。なお、電池収納部13にあっては2本の電池12を収納している。
【0014】
なお、この電池収納部13と薬剤保持体6とにあっては、互いに連結しており、収納容器本体1のカバー3を開けたとき、電池収納部13と薬剤保持体6とを同時に取り外すことができる構造にしている。
【0015】
そして、前記収納容器本体1内であって、一方寄りである左側の薬剤保持体6の他側面と、他方寄りである右側の送風体9の吸込側とを連通するダクト14を備える。このダクト14は、収納容器本体1の後側の側面部と板状の仕切り板15と内周板16とによって、収納容器本体1内の後部に形成する。これにより、収納容器本体1の左側である吸込口4及び薬剤保持体6からダクト14を経て収納容器本体1の右側である送風体9、そして放出口5へと達する空気の流路が形成される。
【0016】
なお、このダクト14にあっては、巾寸法を2mm以上とし、好ましくは2mm以上15mm以下、より好ましくは5mm以上10mm以下とするのが良い。これにより、送風体9に負荷がかかることなく、送風体9における薬剤保持体6からの吸込みを極めて良好に行うことができ、終始安定した薬剤の吸込み、強いては薬剤の放出口5からの放出を良好にすることができる。
【0017】
このようになることで、タンスやクローゼット等の衣類収納空間に当該ファン式防虫装置を設置して使用した場合、送風体9の作動によって、吸込口4から空気が吸込まれて、吸込まれた空気が薬剤保持体6内を通過し、このとき薬剤保持体6に保持した薬剤が空気と混合し流れる。そして、前記収納容器本体1の後部に形成されたダクト14内を左側から右側に流れて、送風体9に達し、この送風機9内を通過して、放出口5より薬剤が外部に放出するようになり、タンスやクローゼット等の衣類収納空間に薬剤を行き渡せて、衣類の防虫を行うようにする。
【0018】
このように、収納容器本体1を扁平中空直方体状として、この収納容器本体1内の一方寄りに薬剤保持体6を設置し、他方寄りに送風体9を備えて、収納容器本体1内に薬剤保持体6と送風体9とを連通するダクト14を備えたことで、収納容器本体1における巾狭側の寸法を、薬剤保持体6あるいは送風体9の厚みとダクト14の厚みのみの寸法にすることができ、全体を扁平な形に、すなわち当該ファン式防虫装置を極力薄くすることができ、ファン式防虫装置をタンスやクローゼット等の衣類収納空間内に使用する際、当該ファン式防虫装置によって大きなスペースを取るのをなくして、衣類収納空間内に収納する衣類等のスペースが減ってしまうのを防止することができる。
【0019】
また、前述の衣類収納空間以外の使用形態として、扁平中空直方体状の収納容器本体1からなるファン式防虫装置にあっては、形状的にスリムであり、壁や柱等に取り付け易く、また、外観的に違和感がないことから、室内において、例えば、蚊等の侵入害虫の防除装置として使用することもできる。
【0020】
また、吸込口4を収納容器本体1における巾広の前側の側面部の一方寄り開口すると共に、放出口5を収納容器本体1における吸込口4の反対側である他方寄りの巾狭の右側の側面部に開口したことで、当該ファン式防虫装置を衣類収納空間内に使用する際、収納容器本体1における巾広の後側の側面部を衣類収納空間の壁等に密着して使用しても、吸込口4や放出口5が塞がれることがなく、良好に吸込口4より空気を吸込むことができ、そして、放出口5より良好に薬剤を放出することができる。
【0021】
さらに、薬剤保持体6の薬剤を送風体9によって吸込んで、放出口5より薬剤を放出する、すなわち、送風体9の吸込み側に薬剤保持体6を配置して、送風体9において薬剤を吸込む形にしたことで、吸込まれた空気が、薬剤保持体6の容器の内部全体をむらなく通過し、全ての薬剤を含浸させた担体8に接することで、個々の薬剤を含浸させた担体8から均一の薬剤を通過気流に乗せ、送風体9の吸込み側に向かって運搬され、放出口5から外部に放出される。また、空気の吸込みが、送風体9の吐出し側(放出側)に比べ、薬剤保持体6中の空気通過が確実であり、かつ通過力が強いことから、薬剤を無駄なく最後まで効率良く放出することができ、常時、均一の薬剤量が求められる防虫剤の放散には適している。
【0022】
また、薬剤保持体6と電池収納部13とにおいて、薬剤保持体6と電池収納部13とを互いに連結して、収納容器本体1のカバー3を開けたとき、収納容器本体1内より同時に取り外すことができるような構造にしたことで、薬剤保持体6や電池収納部13に収納した電池12を交換する場合、非常に容易に交換作業を行うことができる。
【0023】
なお、本発明における薬剤保持体6に用いる害虫防除成分を有する薬剤である防虫剤としては、充分な防虫活性を有し、送風によって揮散する化合物であれば特に限定されるものではないが、安全面からピレスロイド系化合物が好ましい。これは例えば、ピレトリン、アレスリン、フタルスリン、レスメトリン、フラメトリン、フェノトリン、ペルメトリン、シフェノトリン、プラレトリン、エトフェンプロックス、エンペントリン、メトフルトリン、トランスフルトリン等である。
【0024】
次に、前述の一実施形態の変形例を多数説明する。
前述したファン式防虫装置は、左右両端が半円形で左右横に伸びた扁平中空直方体状の収納容器本体1であったが、これを、図5に示すように、上下縦に伸びた扁平中空直方体状の収納容器本体1にする。
【0025】
そして、この収納容器本体1における巾広の前側の側面部の一方寄り、すなわち下側に設けたカバー3に吸込口4を開口すると共に、収納容器本体1における吸込口4の反対側である他方寄り、すなわち上側であって、巾狭の上側の側面部に放出口5を開口する。
【0026】
そして、前記収納容器本体1の一方寄りである下側であって、一側面が前記吸込口4に臨むように薬剤保持体6を設置すると共に、収納容器本体1の他方寄りである上側であって、排出側が前記放出口5に臨む送風体9を備える。
【0027】
そして、前記収納容器本体1内であって、一方寄りである下側の薬剤保持体6の他側面と、他方寄りである上側の送風体9の吸込側とを連通するダクト14を備える。これにより、収納容器本体1の下側である吸込口4及び薬剤保持体6からダクト14を経て収納容器本体1の上側である送風体9、そして放出口5へと達する空気の流路が形成される。
【0028】
また、収納容器本体1の上側の左右両側には取り付け部17をそれぞれ備え、この取り付け部17は、壁等に付けたネジやフックが掛合する穴である。これにより、当該ファン式防虫装置を上下に伸びた縦向きに設置することができる。
【0029】
これによっても、前述した実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0030】
さらに、この変形例としては、図6に示すように、収納容器本体1が上下縦に伸びた扁平中空直方体状になるものにおいて、収納容器本体1にあっては、下側から上側に向けて左右の巾が狭くなるような形状にすると共に、前述の実施形態で述べた上側の左右両側に備えた取り付け部17をなくして、その代わりに下側に台座18を備えるようにしても良い。なお、この収納容器本体1の形状にあって、薬剤保持体6として、薬剤及び薬剤を含浸する担体8を増量して容器7を大きくする場合、厚みを厚くするのではなく、直径を拡げることにより、すなわち収納容器本体1の下側を左右に巾をさらに広くすることで、収納容器本体1の巾狭側の寸法を変えることなく、全体を扁平な形で薄くしている。
【0031】
また、他の変形例としては、図7及び図8に示すように、収納容器本体1が上下縦に伸びた扁平中空直方体状になるものにおいて、収納容器本体1にあっては、巾広の前側の側面部の下側に設けたカバー3をなくして、薬剤保持体6の一側面と電池収納部13の一側面とが外側に露出するようにして、薬剤保持体6の一側面が吸込口4の役目を果たすようにする。
【0032】
そして、収納容器本体1における上側であって、巾狭の側面部に開口する放出口5にあっては、左右両側に放出口5をそれぞれ開口する。また、放出口5からの薬剤の放出を左右両側に向けることができ、広範囲に薬剤を放出することができる。
【0033】
次に、前記収納容器本体1内であって、収納容器本体1の後側の側面部と板状の仕切り板15と内周板16とによって、収納容器本体1内の後部に形成されるダクト14の変形例について説明する。この場合、収納容器本体1が左右横に伸びた扁平中空直方体状になるもので説明する。図9に示すように、仕切り板15に段差19を形成して、送風体9近傍の巾寸法を狭くしたり、あるいは、図10に示すように、収納容器本体1の後側の側面部に段差20を形成して、送風体9近傍の巾寸法を狭くしたりする。
【0034】
なお、前記ダクト14の巾寸法にあっては、薬剤保持体6側及び送風体9側の巾寸法を薬剤保持体6や送風体9の厚さ等によって選択することが好ましい。ただし、ダクト14の巾寸法においては、狭いところでも2mm以上とし、好ましくは2mm以上15m以下、より好ましくは5mm以上10mm以下とすることが好ましい。また、このダクト14の巾寸法は同寸であっても良い。なお、このダクト14の巾寸法について、2mm未満の場合は空気の吸込み量が抑制されて、薬剤の放出量が少なく、また速効性に欠けるおそれがある。また、広範囲の防虫剤に適用でき、短時間で多量の放出を行う場合や広い範囲で使用する場合において充分な効果を発揮するには、5mm以上が好ましい。一方、ダクト14の巾寸法の上限については、15mm以上だと、既存の防虫装置と何ら大差がなく、装置の薄型化による作用効果が低減する。なお、送風体9としてシロッコファン等を用いて電池電源とした場合、能力的に15mm以上は必要ではなく、10mm以上から薬剤の放散量の違いが少なくなることから、上限を10mmとしても良い。
【0035】
また、図11、図12に示すように、内周板16の間隔寸法を中間部が若干狭くなるようにしても良いし、内周板16の間隔寸法を薬剤保持体6側から送風体9側に向かって狭くなるようにしても良い。
【0036】
なお、いろいろな変形例を示したが、本発明にあっては、これらに限定されるものではなく、同様の機能、機構を有するのであれば、他の形状や構造のものでも良い。
【0037】
【発明の効果】
本発明は、収納容器本体を扁平中空直方体状として、この収納容器本体内の一方寄りに薬剤保持体を設置し、他方寄りに送風体を備えて、収納容器本体内に薬剤保持体と送風体とを連通するダクトを備えたことにより、収納容器本体における巾狭側の寸法を、薬剤保持体あるいは送風体の厚みとダクトの厚みのみの寸法にすることができ、全体を扁平な形に、すなわち当該ファン式防虫装置を極力薄くすることができ、ファン式防虫装置をタンスやクローゼット等の衣類収納空間内に使用する際、当該ファン式防虫装置によって大きなスペースを取るのをなくして、衣類収納空間内に収納する衣類等のスペースが減ってしまうのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるファン式防虫装置の正面図である。
【図2】本発明によるファン式防虫装置の右側面図である。
【図3】本発明によるファン式防虫装置のA−A断面図である。
【図4】本発明によるファン式防虫装置のB−B断面図である。
【図5】本発明によるファン式防虫装置の変形例の正面図である。
【図6】本発明によるファン式防虫装置の変形例の正面図である。
【図7】本発明によるファン式防虫装置の変形例の正面図である。
【図8】本発明によるファン式防虫装置の変形例のC−C断面図である。
【図9】本発明によるファン式防虫装置におけるダクトの変形例の説明図である。
【図10】本発明によるファン式防虫装置におけるダクトの変形例の説明図である。
【図11】本発明によるファン式防虫装置におけるダクトの変形例の説明図である。
【図12】本発明によるファン式防虫装置におけるダクトの変形例の説明図である。
【符号の説明】
1…収納容器本体、2…ケース、3…カバー、4…吸込口、5…放出口、6…薬剤保持体、7…容器、8…担体、9…送風体、10…羽根、11…モータ、12…電池、13…電池収納部、14…ダクト、15…仕切り板、16…内周板、17…取り付け部、18…台座、19…段差、20…段差。

Claims (1)

  1. 扁平中空直方体状の収納容器本体1と、
    この収納容器本体1における巾広の側面部の一方寄りに開口した吸込口4と、
    前記収納容器本体1における吸込口4の反対側である他方寄りであって、巾狭の側面部に開口した放出口5と、
    前記収納容器本体1の一方寄りであって、一側面が前記吸込口4に臨むように設置された薬剤保持体6と、
    前記収納容器本体1の他方寄りであって、排出側が前記放出口5に臨む送風体9と、
    前記収納容器本体1内であって、前記薬剤保持体6の他側面と前記送風体9の吸込側とを連通するダクト14と、
    よりなることを特徴とするファン式防虫装置。
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