JP4139874B2 - 紐状シーリング材 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、紐状シーリング材に関し、さらに詳しくは、線状芯材の周囲に熱硬化性樹脂組成物層を設けてなる紐状シーリング材に関する。本発明の紐状シーリング材は、熱硬化性樹脂組成物が常温では固体の層形状を保持しており、熱硬化温度に加熱すると、熱硬化性樹脂組成物が溶融流動して狭い隙間に入り込み、そこで硬化することにより、優れたシール性を発揮することができる。本発明の紐状シーリング材は、耐熱性、耐候性、防錆性、シール性に優れており、シール部の形状も整っているため、自動車・車両、建築、土木、各種機械や装置などの広範な分野で好適に使用することができる。
【0002】
【従来の技術】
従来より、シーリング材は、水密、気密などを目的として、目地や隙間に充填して使用されている。例えば、自動車・車両分野では、車室内に空気、水、埃などが侵入しないように、部品組立、車体組立、塗装、艤装組立などの際に、各部位にシーリング材が適用されている。シーリング材には、ペースト状などの不定形シーリング材と、ゴムガスケットなどの定形シーリング材とがある。
【0003】
これらの中でも、ペースト状のシーリング材は、シーリングガンを用いて、人手またはロボットにより施工箇所に塗布することができるため、生産性に優れており、自動車・車両分野などで汎用されている。しかしながら、施工箇所がV字型などの深くて狭い溝である場合、シーリングガンが入らなかったりするため、施工が困難であった。また、粘度の高いシーリング材を用いると、V字型溝の底部にまでシーリング材が充填されないため、水性や気密性に問題を生じる。施工箇所が浅いV字型の溝の場合にも、粘度の高いシーリング材を用いると、シーリング材により底部まで埋めることが困難である。これに対して、粘度の低いシーリング材を使用すると、液ダレが生じて、施工箇所以外の部分にまでシーリング材が流れ出てしまう。さらに、ペースト状のシーリング材は、シール部の見栄えが要求される施工箇所に適用した場合、適用後、人手によりシール部の形状を整える必要があった。
【0004】
不定形シーリング材には、前記ペースト状シーリング材を含め、樹脂や重合体を主成分とし、可塑剤、軟化剤、充填剤、補強剤、硬化剤などを配合した組成を有するものが多数知られている。しかし、その殆どは、ペースト、溶液、エマルションなどの形態のものである。反応硬化タイプのものでは、液状ポリマーが使用されている。これらのシーリング材の多くは、前述したペースト状シーリング材に伴う問題点を抱えている。また、反応硬化タイプのもので、使用時に硬化成分を配合する二成分系シーリング材は、混合操作が煩雑で、硬化速度が速く、しかも温度環境により硬化速度が異なる。
【0005】
一方、定形シーリング材のうちゴムガスケットなどは、構成部材間の接合面に配置して使用するのに適しているが、狭い溝部などを充填してシールするのには適していない。定形シーリング材の中には、予め、シート状や紐状などの形状を付与したシーリング材がある。しかし、これらの多くは、施工箇所に貼付し、荷重や押圧力をかけることにより適用するものであるため、V字型などの狭くて深い形状の溝部などを完全に充填することがむずかしい。基材を備えたシーリング用粘着テープは、基材の持つ厚みや硬さのため、複雑な形状や狭い溝部などを有する施工箇所に適用するのはさらに困難である。
【0006】
紐状シーリング材は、取り扱い中に、部分的に伸びて細くなったり、分断したり、あるいは弛んだりする。特公昭52−39654号公報には、このような紐状シーリング材の欠点を改良するために、弾力復元性のある紐状の引張抵抗体の周面に、粘着性のブチル系合成ゴムを主体としたシーリング材層を巻着囲繞させ紐状としたシール材が提案されている。このシール材は、スポンジ状または中空状の引張抵抗体の周面に粘着性のブチルゴム系シーリング材層を形成したものであって、施工箇所に荷重または押圧力をかけて適用し、該引張抵抗体の復元力とシーリング材の粘着力とを利用してシールするものである。該公報には、該シール材を使用すれば、熱溶着操作を必要とせず、単なる押圧操作だけで、コンクリートや木材切断面などの凹凸のある粗面に対してもよくなじみ、その組織中に復元侵入して気密に粘着結合し、強固なシール関係を形成することが記載されている。しかし、このシール材を押圧しても、V字型などの狭くて深い形状の溝部などを完全に充填することはできない。
【0007】
本発明者らは、特許第2739152号において、熱により硬化して接着力を生じる反応性粘着剤組成物を提案した。この反応性粘着剤組成物は、常温で固体の飽和ポリエステル樹脂と、常温での粘度が100cps以上の(メタ)アクリルウレタンオリゴマーと、熱硬化触媒とを含有する組成物であって、厚塗りコーティング、シーリング材、パテなどとして有用である。また、この反応性接着剤組成物は、常温では流動性がなく、適度の粘着性と凝集力を持つため、紐状、ペレット状、シート状、ブロック状などの任意の形態で使用することができる。しかし、該特許公報に具体的に示されている反応性接着剤組成物は、加熱硬化条件下で、実質的に形状が保持されたまま硬化するものである。例えば、シート状に形成した当該反応性接着剤組成物は、加熱硬化条件下で、シートの角は溶融して丸くなるものの、タレることなく硬化することが示されている。このような反応性接着剤組成物は、V字型などの狭くて深い形状の溝部などを完全に充填することは難しい。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、取り扱いが容易で、加熱することにより、V字型などの狭くて深い形状の溝部などを完全に充填することができ、耐熱性、耐候性、防錆性、シール性に優れ、しかも形状の整ったシール部を形成することができるシーリング材を提供することにある。
本発明者は、熱硬化性樹脂を含有する反応性粘着剤組成物に関する研究を重ねた結果、例えば、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂の種類、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との配合割合、充填剤などの各種添加剤の種類と配合割合などを変化させることにより、常温では形状保持性を有しており、固体の成形物に溶融成形することが可能であるが、加熱硬化条件下で、溶融流動性を示す熱硬化性樹脂組成物の得られることを見いだした。しかし、この熱硬化性樹脂組成物は、それ単独では、加熱硬化時の溶融粘度が低すぎるため、タレを生じやすく、シーリング材として使用した場合、施工箇所以外にまで流れ出て硬化してしまうという問題があった。
【0009】
そこで、さらに研究を進めた結果、線状芯材の周囲に、該熱硬化性樹脂組成物の層を形成して紐状のシーリング材を作製したところ、取り扱いが容易で、しかもV字型などの狭くて深い形状の溝部などの施工箇所に配置し、加熱硬化させると、硬化性樹脂組成物が溝部の底部の隅々にまで溶融流動し、硬化することを見いだした。本発明の紐状シーリング材は、線状芯材を有するため、加熱硬化時に熱硬化性樹脂組成物が溶融流動しても、施工箇所以外の部分にまで流れ出すことがなく、硬化後のシール部の形状も整っている。
本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、線状芯材の周囲に、常温で形状保持性を有するが、加熱硬化時に溶融流動性を有する熱硬化性樹脂組成物からなる層を形成してなる紐状シーリング材であって、
(1)該熱硬化性樹脂組成物が、樹脂成分として、エポキシ樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、及びエポキシ(メタ)アクリレート樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の熱硬化性樹脂と、エチレン系樹脂、ゴム質重合体、飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド、ポリウレタン、ポリブチレン、ポリブテン、ポリビニルブチラール、及びアイオノマーからなる群より選ばれる少なくとも一種の熱可塑性樹脂とを、重量比で、30:70〜70:30の割合で含有し、熱硬化剤を、該熱硬化性樹脂100重量部に対して、0.01〜15重量部の割合で含有し、並びに、充填剤を、該樹脂成分100重量部に対して、0.1〜50重量部の割合で含有し、100〜200℃の温度に加熱すると、溶融流動して熱硬化する反応性樹脂組成物であり、
(2)該線状芯材が、該熱硬化性樹脂組成物の加熱硬化時に、実質的に溶融または分解しないだけの耐熱性を有する材質から形成されたものであり、かつ、
(3)該線状芯材の周囲に、厚み0.5〜10mmの熱硬化性樹脂組成物層が形成されている
ことを特徴とする紐状シーリング材が提供される。
また、本発明によれば、前記エチレン系樹脂が、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メチルメタアクリレート共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、またはエチレン−エチルアクリレート共重合体である前記の紐状シーリング材が提供される
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の紐状シーリング材について、図面を参照して説明する。図1に示すように、本発明の紐状シーリング材1は、線状芯材2の周囲に、熱硬化性樹脂組成物層3が形成されたものである。熱硬化性樹脂組成物は、常温(5〜35℃)で形状保持性を有しているため、熱硬化性樹脂組成物層3は、常温では固体の層形状を保っている。この紐状シーリング材1を、角度15度のV字型の塗装鋼板4の溝上部に置くと、常温では、図1に示すように、溝底部との間に狭い隙間が生じる。次に、熱硬化温度に加熱すると、図2に示すように、熱硬化性樹脂組成物23は、溶融流動して、V字型の塗装鋼板4の底部を完全に充填する。線状芯材22は、加熱硬化時に溶融または分解しない材質のもので形成しておくと、熱硬化性樹脂組成物の溶融流動に従って下方に移動し、V次型溝の許容される幅のところまで達する。
【0012】
熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化温度にまで加熱されているため、溶融流動と同時またはその後に熱硬化する。線状芯材の下方にある熱硬化性樹脂組成物は、溝底部の形状となり、線状芯材の上方にある熱硬化性樹脂組成物は、ほぼ平坦な面を形成する。したがって、適用後に、人手によりシール部形状を整える必要性が軽減される。また、線状芯材が存在するために、加熱硬化時に熱硬化性樹脂組成物が溶融流動しても、芯材と共に移動しているため、線状芯材のない部分にまでタレて流れ出すことがない。これに対して、線状芯材がない場合には、図3及び図4に示すように、熱硬化性樹脂組成物から形成した紐状シーリング材5は、加熱硬化時に施工箇所の端部から流れ出すため、シール部の形状が不満足で、しかも流出して硬化した部分を除去する必要がある。
【0013】
本発明で使用する線状芯材としては、特に限定されず、例えば、銅線などの金属線、ゴムや熱可塑性樹脂から形成した紐状物やロッド、木綿糸などの糸から形成した布紐、布紐に樹脂エマルジョンを含浸処理した含浸処理紐、ガラスストランドロービングなどを例示することができる。線状芯材の断面形状は、円形、楕円形、三角形、矩形、多角形など任意である。所望により中空体とすることもできる。線状芯材は、熱硬化性樹脂組成物の加熱硬化時に、実質的に溶融または分解しないだけの耐熱性を有する材質から形成されたものであることが好ましい。また、線状芯材は、熱硬化性樹脂組成物を被覆加工するため、加工条件に耐えるだけの引張強度を有するものであることが好ましい。さらに、線状芯材は、可撓性または柔軟性を有するものであることが、紐状シーリング材を取り扱い、施工箇所に適用する上で好ましい。線状芯材の断面の大きさは、施工箇所などに応じて適宜定めることができるが、断面がほぼ円形の場合、その直径は、通常0.5〜10mm、好ましくは1〜5mm程度である。線状芯材の径が小さすぎると、熱硬化性樹脂組成物を十分な厚みで被覆することが困難となり、大きすぎると、紐状シーリング材を狭い溝部などに適用することが困難となる。
【0014】
本発明で使用する熱硬化性樹脂組成物は、常温で形状保持性を有するが、加熱硬化時に溶融流動性を有するものであれば特に限定されない。ここで、常温で形状保持性を有するとは、例えば、該熱硬化性樹脂組成物からなる層が、常温で固体であって、実質的に流動性を示さないことを意味する。もちろん、該熱硬化性樹脂組成物は、常温よりも低い温度でも形状保持性を有している。また、該熱硬化性樹脂組成物は、常温を越える温度であっても、熱硬化温度条件に達するまで形状保持性を有することが望ましい。一方、該熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化温度まで加熱すると、短時間で全体が溶融流動性を示すことが、シール性及び生産性の観点から望ましい。
【0015】
本発明で使用する熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを含有する反応性樹脂組成物であることが、粘度、形状保持性、凝集力、溶融流動性などの諸特性を調整し、さらには、耐熱性、耐溶剤性、防錆性、シール性などを向上させる上で好ましい。また、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、充填剤、その他の添加剤などの種類と配合割合を調整することにより、常温で形状保持性を有するが、加熱硬化時に溶融流動性を有する熱硬化性樹脂組成物を容易に調製することができる。例えば、融点が比較的高い熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とを含む樹脂組成物が適している。両者の分量比率や充填剤など添加剤の配合量を変化させることにより、加熱時の流動性(粘度)を容易に調整することができる。また、本発明の熱硬化性樹脂組成物には、熱硬化剤を含有させることが好ましい。
【0016】
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂等が挙げられる。これらの熱硬化性樹脂は、比較的入手しやすく、種類も多いため、選択の幅が広く、また、100%固形分からなり無溶剤で、空気を汚染しないため環境に優しい。これらの熱硬化性樹脂は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0017】
熱可塑性樹脂としては、例えば、PE(ポリエチレン)、EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)、EAA(エチレン−アクリル酸共重合体)、EMAA(エチレン−メチルメタアクリレート共重合体)、EMA(エチレン−メチルアクリレート共重合体)、EEA(エチレン−エチルアクリレート共重合体)などのエチレン系樹脂;PB(ポリブタジエン)などのゴム質重合体;飽和ポリエステル樹脂、PA(ポリアミド)、PU(ポリウレタン)、ポリブチレン、ポリブテン、ポリビニルブチラール、IO(アイオノマー)などの各種熱可塑性樹脂;パラフィン、ロジンなどが挙げられる。これらの中でも、EVAなどのエチレン共重合体樹脂、飽和ポリエステル、ポリブタジエンなどが好ましい。これらの熱可塑性樹脂は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0018】
熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との配合割合は、それぞれの樹脂の種類や所望の溶融流動性などによって適宜選択することができるが、重量比で、通常5:95〜95:5、好ましくは1090〜90:10、より好ましくは20:80〜80:20、最も好ましくは30:70〜70:30である。本発明では、30:70〜70:30である。
本発明で使用する熱硬化性樹脂組成物には、熱硬化剤(熱反応開始剤やエポキシ樹脂硬化剤などを含む)、充填剤(例えば、タルク、シリカ、クレー、炭酸カルシウム、カーボンブラックなど)、着色剤(染料、顔料)、界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、金属粉末などを必要に応じて添加することができる。
【0019】
これらの中でも、熱硬化剤を含有させると、加熱硬化時の硬化反応を効率よく行わせることができる。ここで、熱硬化剤とは、熱により硬化を発揮する硬化剤であり、熱反応開始剤(熱硬化触媒)やエポキシ硬化剤など、熱硬化性樹脂を熱硬化させ得るものを意味する。熱硬化剤の使用量は、熱硬化性樹脂の種類によって適宜定めることができるが、熱硬化性樹脂100重量部に対して、通常0.01〜15重量部、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.5〜5重量部程度である。
【0020】
また、熱硬化性樹脂組成物には、物性調整と経済性の観点から、充填剤を配合することが好ましい。充填剤は、合計樹脂成分(熱硬化性樹脂+熱可塑性樹脂)100重量部に対して、通常、0.1〜50重量部、好ましくは0.5〜30重量部、より好ましくは1〜20重程度の割合で使用される。
本発明で使用する熱硬化性樹脂組成物は、各成分を溶融混練することにより調製することが好ましく、また、実質的に無溶剤とすることが好ましい。
【0021】
本発明の紐状シーリング材を製造する方法は、特に限定されないが、通常は、熱硬化性樹脂組成物をクロスヘッドダイスを有する押出機に供給し、線状芯材と共に押し出して、該線状芯材の上に熱硬化性樹脂組成物の被覆層を形成する方法が効率的である。熱硬化性樹脂組成物層の厚みは、通常、0.5〜10mm、好ましくは1〜5mm程度であるが、施工箇所の形状や大きさに応じて、これよりも小さく、あるいは厚くすることができる。紐状シーリング材の断面の大きさは、適宜定めることができるが、円形である場合、その直径は、通常1.5〜30mm、好ましくは2〜20mm、より好ましくは3〜15mm程度である。
【0022】
状シーリング材を施工箇所で加熱硬化させるには、加熱温度を通常70〜250℃、好ましくは100〜200℃、より好ましくは120〜190℃とし、加熱時間を通常5〜120分間、好ましくは10〜60分間、より好ましくは15〜40分間とする。本発明では、加熱温度は100〜200℃である。加熱手段は、適宜選ぶことができ、例えば、加熱炉、熱風乾燥機などを用いて行うことができる。加熱硬化することにより、熱硬化性樹脂組成物は、溶融流動し、かつ、熱硬化する。本発明の紐状シーリング材は、自動車・車両、建築、土木、各種機械や装置などの広範な分野で好適に使用することができる。本発明の紐状シーリング材を例えば、自動車の製造工程で使用する場合には、加熱硬化工程を車両塗装後の焼き付け工程で行うことも可能である。
【0023】
【実施例】
[実施例1]
芯材として、直径約3mmのブチルゴムから成る紐状押出物を使用した。このブチルゴム製芯材の周囲に、クロスヘッドダイスを有する押出機を使用して、次の組成物から成る熱硬化性樹脂組成物層(厚さ=約2mm)を設けた。
熱硬化性樹脂組成物 (重量部)
(1)エチレン−酢酸ビニル共重合体 450部
〔三井石油化学(株)製、EVA 45X〕
(2)エチレン−酢酸ビニル共重合体 450部
〔三井石油化学(株)製、EVA 310〕
(3)ウレタンアクリレート樹脂 600部
〔シーベルヘグナー(株)製、アクロスアクリタン290〕
(4)タルク 50部
〔日本タルク(株)製、ミクロエースK−1〕
(5)熱反応開始剤 10部
〔日本油脂(株)製、パーヘキサ 3M−40〕
【0024】
上記各成分をニーダーで混練し、熱硬化性樹脂組成物を得た。この熱硬化性樹脂組成物をクロスヘッドダイスを有する押出機に供給し、先に述べた芯材と共に押し出し、断面が円形で、表面が微粘着の直径が約7mmの紐状シーリング材を得た。
上記のようにして得られた紐状シーリング材を長さ14cmに切り、電着塗装鋼板で構成される角度15℃、長さ15cmのV字型の溝上部に置いた。シーリング材中心部から溝底部までは約2.5cmであった。この状態で、160℃×30分間加熱したところ、紐状シーリング材外周の熱硬化性樹脂組成物層が溶融流動して、V字型の底部を埋め、芯材は、底部から約1cmの位置に留まった。芯材の周りは、硬化した熱硬化性樹脂組成物で覆われていた。
また、V字型溝の両側からは、溶融流動した熱硬化性樹脂組成物は流れ出しておらず、溝側面から芯材の端部断面を観察することができた。すなわち、熱硬化性樹脂組成物は、ほぼ芯材の長さと同じ幅でV字型溝の底部まで溶融流動していた。
【0025】
[実施例2]
線状芯材として、直径1.5mmの銅線を使用した。また、実施例1と同様にして、次の熱硬化性樹脂組成物から成る層(厚さ約2mm)を芯材の周囲に設けた。
熱硬化性樹脂組成物 (重量部)
(1)飽和ポリエステル樹脂 450部
〔東洋紡績(株)製、バイロン550〕
(2)エポキシアクリレート樹脂 300部
〔昭和高分子(株)製、リポキシVR−90〕
(3)シリカ 3部
〔日本アエロジル(株)製、アエロジルNo.300〕
(4)高融点パラフィン 7部
〔米国貿易(株)製、マイクロファイン〕
(5)熱反応開始剤 4部
〔日本油脂(株)製、ナイパーFF〕
【0026】
上記各成分をニーダーで混練し、熱硬化性樹脂組成物を得た。実施例1と同様にして、該熱硬化性樹脂組成物をクロスヘッドダイスを有する押出機に供給し、先に述べた芯材と共に押し出し、断面が円形で、表面が非粘着の直径が約5.5mmの紐状シーリング材を得た。
実施例1と同様の試験を行うに際し、加熱条件を140℃×30分間とした。芯材の銅線は、V字型溝の殆ど底部に近い所まで達し、熱硬化性樹脂組成物は、溝底部を埋めて、かつ、芯材上部を覆っていた。V字型溝の端部からの熱硬化性樹脂組成物のはみ出しはなかった。
【0027】
[実施例3]
芯材として、木綿糸から成る紐に、含浸剤としてポリウレタンエマルジョンを使用して、含浸処理して得た直径約3mmの含浸処理紐を使用した。また、実施例1と同様にして、次の熱硬化性樹脂組成物から成る層(厚さ約2mm)を芯材の周囲に設けた。
熱硬化性樹脂組成物 (重量部)
(1)エポキシ樹脂 350部
〔油化シェル(株)製、エピコート1001(固体)〕
(2)エポキシ樹脂 150部
〔油化シェル(株)製、エピコート828(液体)〕
(3)飽和ポリエステル樹脂 250部
〔東洋紡績(株)、バイロン300(固体)〕
(4)シリカ 15部
〔日本アエロジル(株)製、アエロジルR−972〕
(5)エポキシ樹脂硬化剤 4部
〔四国化成(株)製、キュアゾール2MZ−AZINE〕
(6) ジシアンアミド 20部
〔日本カーバイド(株)製エポキシ樹脂硬化剤〕
【0028】
上記各成分をニーダーで混練し、熱硬化樹脂組成物を得た。実施例1と同様にして、該熱硬化性樹脂組成物をクロスヘッドダイスを有する押出機に供給し、先に述べた芯材と共に押し出し、断面が円形で、表面が微粘着の直径が約7.5mmの紐状シーリング材を得た。
実施例1と同様の試験を行うに際し、加熱条件を180℃×20分間とした。芯材は、V字型溝の殆ど底部から約1cmの所まで達しており、熱硬化性樹脂組成物は、溝底部を埋めて、かつ、芯材上部を覆っていた。V字型溝の端部からの熱硬化性樹脂組成物のはみ出しはなかった。
【0029】
[実施例4]
芯材として、直径約2.5mmのガラスストランドロービングを使用した。その周囲に、クロスヘッドダイスを有する押出機を使用して、次の熱硬化性樹脂組成物から成る層(厚さ約2mm)を設けた。
熱硬化性樹脂組成物 (重量部)
(1)ポリブタジエン 600部
〔日本合成ゴム(株)製、RB−810〕
(2)ウレタンアクリレート樹脂 400部
〔日本合成化学工業(株)製、紫光V−2000B〕
(3)タルク 100部
〔日本タルク(株)製、ミクロエースK−1〕
(4)熱反応開始剤 10部
〔日本油脂(株)製、パーヘキサ 25B−40〕
【0030】
上記各成分をニーダーで混練し、熱硬化性樹脂組成物を得た。得られた熱硬化性樹脂組成物をクロスヘッドダイスを有する押出機に供給し、先に述べた芯材と共に押し出し、断面が円形で、表面が微粘着の直径が約7mmの紐状シーリング材を得た。熱硬化性樹脂組成物は、芯材中に良く浸透していた。この表面にタルクをまぶし、表面を非粘着性にした。
上記のようにして得られた紐状シーリング材を実施例1と同様に長さ14cmに切り、電着塗装鋼板で構成される角度15℃、長さ15cmのV字型の溝上部に置いた。紐状シーリング材中心部から溝底部までは約2cmであった。この状態で160℃×30分間加熱したところ、芯材外周の熱硬化性樹脂組成物層は、溶融流動して、V字型の底部を埋め、芯材は、底部から約1cmの位置に留まった。芯材の周りは、硬化した樹脂で覆われていた。V字型溝の両側からは、溶融流動した熱硬化性樹脂組成物は流れ出しておらず、溝側面から芯材の端部断面を観察することができた。すなわち、熱硬化性樹脂組成物は、ほぼ芯材の長さと同じ幅で、V字型底部まで溶融流動していた。
【0031】
[比較例1]
熱硬化性樹脂組成物 (重量部)
(1)飽和ポリエステル樹脂 600部
〔東洋紡績(株)、バイロン300(固体)〕
(2)ウレタンアクリレート樹脂 400部
〔東亜合成化学工業(株)製、アロニクスM−1100〕
(3)シリカ 100部
〔日本アエロジル(株)製、アエロジルR−972〕
(4)熱反応開始剤 10部
〔日本油脂(株)製、ナイパーFF〕
上記各成分をニーダーで混練し、熱硬化性樹脂組成物を得た。この熱硬化性樹脂組成物を押出機で直径7mmの紐状に押し出し、表面が粘着性の紐状シーリング材を得た。実施例1と同様にテストしたところ、160℃×30分間の加熱硬化条件では、熱硬化樹脂組成物は、全く溶融流動せず、V字型溝の底部にまで達しなかった。
【0032】
[比較例2]
熱硬化性樹脂組成物 (重量部)
(1)エチレン−酢酸ビニル共重合体 450部
〔三井石油化学(株)製、EVA 45X〕
(2)エチレン−酢酸ビニル共重合体 450部
〔三井石油化学(株)製、EVA 310〕
(3)ウレタンアクリレート樹脂 600部
〔シーベルヘグナー(株)製、アクロスアクリタン290〕
(4)タルク 50部
〔日本 タルク(株)製、ミクロエースK−1〕
(5)熱反応開始剤 10部
〔日本油脂(株)製、パーヘキサ 3M−40〕
上記各成分をニーダーで混練し、熱硬化性樹脂組成物を得た。この熱硬化性樹脂組成物を用いて、芯材なしで押出機により押し出し、直径7mmの表面微粘着の紐状シーリング材を得た。この紐状シーリング材を14cmに切り、実施例1に記載のV字型溝に施工しようと引っ張ったところ、少し長さが長くなった。実施例1と同様に160℃×30分間加熱したところ、熱硬化性樹脂組成物は、溶融流動して、V字型の底部を埋めたが、15cmの長さの溝から約0.5cm程流れ出て硬化していた。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、取り扱いが容易で、加熱することにより、V字型などの狭くて深い形状の溝部などを完全に充填することができ、耐熱性、耐候性、防錆性、シール性に優れ、しかも形状の整ったシール部を形成することができる紐状シーリング材が提供される。本発明の紐状シーリング材は、芯材として加熱硬化時の熱に対して寸法安定性のあるものを使用し、その周囲に、熱により溶融流動し、硬化する熱硬化性樹脂組成物層を形成しているため、長さ方向の寸法安定性が確保できること、狭い施工箇所にも樹脂成分が流れ込み確実なシール効果を発揮することができること、施工部分が芯材の長さより広がらないこと、熱硬化型であるため、耐熱性、耐久性に優れることなどの作用効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の紐状シーリング材をV字型の溝に適用する場合の加熱硬化前の状態に関する説明図である。
【図2】本発明の紐状シーリング材をV字型の溝に適用する場合の加熱硬化時の説明図である。
【図3】比較例の紐状シーリング材をV字型の溝に適用する場合の加熱硬化前の状態に関する説明図である。
【図4】比較例の紐状シーリング材をV字型の溝に適用する場合の加熱硬化時の説明図である。
【符号の説明】
1:本発明の紐状シーリング材
2:線状芯材
3:熱硬化性樹脂組成物層
4:電着塗装鋼板で構成されるV字型の溝
5:比較例の紐状シーリング材
22:加熱硬化工程後の線状芯材
23:溶融流動し、硬化した熱硬化性樹脂組成物
45:溶融流動し、硬化した熱硬化性樹脂組成物
46:熱硬化性樹脂組成物が流れ出して硬化した部分

Claims (2)

  1. 線状芯材の周囲に、常温で形状保持性を有するが、加熱硬化時に溶融流動性を有する熱硬化性樹脂組成物からなる層を形成してなる紐状シーリング材であって、
    (1)該熱硬化性樹脂組成物が、樹脂成分として、エポキシ樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、及びエポキシ(メタ)アクリレート樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の熱硬化性樹脂と、エチレン系樹脂、ゴム質重合体、飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド、ポリウレタン、ポリブチレン、ポリブテン、ポリビニルブチラール、及びアイオノマーからなる群より選ばれる少なくとも一種の熱可塑性樹脂とを、重量比で、30:70〜70:30の割合で含有し、熱硬化剤を、該熱硬化性樹脂100重量部に対して、0.01〜15重量部の割合で含有し、並びに、充填剤を、該樹脂成分100重量部に対して、0.1〜50重量部の割合で含有し、100〜200℃の温度に加熱すると、溶融流動して熱硬化する反応性樹脂組成物であり、
    (2)該線状芯材が、該熱硬化性樹脂組成物の加熱硬化時に、実質的に溶融または分解しないだけの耐熱性を有する材質から形成されたものであり、かつ、
    (3)該線状芯材の周囲に、厚み0.5〜10mmの熱硬化性樹脂組成物層が形成されている
    ことを特徴とする紐状シーリング材。
  2. 該エチレン系樹脂が、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メチルメタアクリレート共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、またはエチレン−エチルアクリレート共重合体である請求項1記載の紐状シーリング材。
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