JP7143203B2 - 屋根および屋根構造体 - Google Patents

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Description

本発明は、カーポート、パーゴラやテラスなどの屋根および屋根構造体に関する。
従来、屋外構造体として、柱と、柱に吊り材を介して支持された屋根とを備えたカーポートが知られている(特許文献1参照)。屋根は、前枠、後枠およびこれらの両端間に架設された一対の側枠と、屋根葺き材とを備えている。後枠には、その長手方向に沿った中空部と、屋根葺き材上を流れる雨水が集まる樋部とが形成されており、後枠の端面は小口キャップによって覆われている。後枠の端面と小口キャップの間には、シール材が貼着された小口キャップ裏板が配置されている。シール材は、小口キャップが後枠にネジ止めされることで後枠の端面に密着しており、これにより、後枠の端面における水密構造が構成されている。
特開平8-296339号公報
前述した特許文献1に記載のカーポートでは、シール材が貼着された小口キャップ裏板を利用することで、後枠および小口キャップ間をコーキングで埋める現場作業をなくすことができる。しかし、地震や風などによって屋根が揺れ動くことで、例えば小口キャップの後枠へのネジ止めが緩むと、シール材が後枠の端面から離れて隙間が生じてしまって水密性が低下するおそれがある。
本発明の目的は、現場作業を簡略化しつつ地震や風を受けても水密性を維持できる屋根および屋根構造体を提供することにある。
本発明の屋根は、屋根枠内に屋根パネルが配置される屋根であって、前記屋根枠を構成する枠材の端部には、当該端部に沿って付着する熱硬化性の粘着剤が塗布された付着端体が配置されており、前記粘着剤は熱硬化後にも粘着性を備える特性を有していることを特徴とする。
また、本発明の屋根構造体は、支柱と、前記支柱に固定された梁と、前記梁に設置された前述した本発明の屋根とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、現場作業を簡略化しつつ地震や風を受けても水密性を維持できる屋根および屋根構造体を提供することができる。
本発明の第1実施形態に係る屋根構造体を示す斜視図。 第1実施形態に係る屋根構造体の屋根コーナーを示す斜視図。 第1実施形態に係る屋根構造体の屋根コーナーを展開して示す斜視図。 第1実施形態に係る屋根構造体の屋根コーナーを展開して示す斜視図。 図2に示すV-V線に沿った断面図。 図2に示すVI-VI線に沿った断面図。 本発明の第2実施形態に係る屋根構造体の屋根コーナーを示す斜視図。 第2実施形態に係る屋根構造体の屋根コーナーを展開して示す斜視図。 第2実施形態に係る屋根構造体の屋根コーナーを展開して示す斜視図。 第2実施形態に係る屋根構造体の屋根コーナーを示す断面図。 第2実施形態に係る屋根構造体の屋根コーナーを示す断面図。 本発明の変形例における要部を示す斜視図。 本発明の変形例におけるジョイント部材を示す斜視図。 図12に示すXIV-XIV線に沿った断面図。
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
図1において、第1実施形態に係る屋根構造体としてのカーポート1は、駐車スペースに設置される二つの支柱2A,2Bと、支柱2A,2Bに固定された梁3A,3Bと、梁3A,3Bに取り付けられた屋根10とを備えている。
以下の説明において、カーポート1の間口方向をX軸方向とし、カーポート1の奥行方向をY軸方向とし、カーポート1の上下方向をZ軸方向とする。X,Y,Z軸方向は互いに直交する。
支柱2A,2Bおよび梁3A,3Bはアルミ製の押出形材によってそれぞれ形成されており、支柱2Aは、支柱2Bに対してY軸方向において前側に位置しており、梁3Aの一端は支柱2Aの上端部に固定されており、梁3Bの一端は支柱2Bの上端部に固定されている。屋根10は梁3A,3Bに載せられてネジ止めされていると共に水勾配が設定されている。
屋根10は、枠材として前枠21(第一枠材)、後枠22(第一枠材)および一対の側枠23,24(第二枠材)を枠組みして構成された屋根枠20と、屋根枠20内に配置された屋根パネル30とを備えている。前枠21、後枠22および側枠23,24は、アルミ押出形材によってそれぞれ形成されており、前枠21および後枠22はY軸方向に沿っており、側枠23,24はX軸方向に沿っている。屋根パネル30は、ポリカーボネート等によって矩形板状に形成されている。
また、屋根10は、Y軸方向に沿って側枠23,24に架設された母屋11と、X軸方向に沿って前枠21および後枠22に架設された垂木12とを備えており、母屋11は、梁3A,3Bにネジ止めされていると共に垂木12を支えており、垂木12には、屋根パネル30が載せられていると共に、屋根パネル30を上方から押えるパネル押え材(図示省略)が装着されている。
屋根枠20には、前枠21の一方の端部および側枠23の一方の端部によって構成される屋根コーナー25Aと、前枠21の他方の端部および側枠24の一方の端部によって構成される屋根コーナー25Bと、後枠22の一方の端部および側枠23の他方の端部によって構成される屋根コーナー25Cと、後枠22の他方の端部および側枠24の他方の端部によって構成される屋根コーナー25Dとを備えている。なお、図2は、図1において一点鎖線で囲んだ屋根コーナー25A部分を拡大して示しており、図3および図4は屋根コーナー25Aを展開して示している。
前枠21は、図2~図5に示すように、底面部211と、底面部211のY軸方向に沿った両側縁から上方に立ち上げられた外周側面部212および内周側面部213とを有している。
外周側面部212のZ軸方向における中間位置には、底部214および一対の側部215を有して内周側に向かって凹状に形成された凹部216が形成されている。
内周側面部213は、一対の側片部217,218と、一対の側片部217,218の上端に連続した上片部219とによって構成されており、一対の側片部217,218および上片部219によって中空部220が形成されている。また、内周側面部213には、上片部219よりも上方に突出した断面L字状のパネル受け部221が形成されており、このパネル受け部221で屋根パネル30の下面を支持している。側片部218は側片部217に対して外周側面部212側に位置しており、屋根パネル30の上面を押える断面略コ字状のパネル押え部222が、側片部218から延出している。この前枠21は、底面部211、外周側面部212および内周側面部213(内周側面部213の側片部218)によって形成された樋部26を有している。
なお、後枠22は前枠21と同一断面形状とされているので説明を省略する。
側枠23は、図2~図4および図6に示すように、底面部231、外周側面部232、内周側面部233および上面部234を有して中空枠状に形成されており、底面部231、外周側面部232、内周側面部233および上面部234によって中空部235が形成されている。
外周側面部232のZ軸方向における中間位置には、底部236および一対の側部237を有して内周側に向かって凹状に形成された凹部238が形成されている。上面部234には、屋根パネル30の下面を支持するビード材が装着されたビード装着部240が形成されている。また、側枠23には、屋根パネル30の上面を押えるパネル押え部材241が取り付けられる取付片部242が上面部234から上方に延出して形成されている。
なお、側枠24は側枠23と同一断面形状とされているので説明を省略する。
屋根コーナー25Aには、図2に示すように付着端体としての樹脂製の端部キャップ50が配置されている。端部キャップ50は、図3および図4に示すように、前枠21の端部および側枠23の端部に取り付けられるキャップ部材60と、キャップ部材60に係合するキャップカバー70とを備えている。
なお、屋根コーナー25B~25Dは屋根コーナー25Aと概略同様に構成されているので、主に屋根コーナー25Aについて説明し、屋根コーナー25B~25Dについての説明を省略する。
キャップ部材60は、前枠21の端部に配置される第一端板部61と、側枠23の端部に配置される第二端板部62と、キャップカバー70に係合する係合凹部63と、第一端板部61から突出した突片部64とを有している。
第一端板部61は、図3~図5に示すように上縁部65、下縁部66および左右の側縁部67,68を有している。上縁部65には、側枠23のパネル押え部材241および屋根パネル30と干渉しないように凹んだ凹み部69が形成されている。側縁部67のZ軸方向における中間位置には、底部671および一対の側部672を有して凹状とされた凹部673が形成されている。上縁部65および下縁部66には、前述した係合凹部63がそれぞれ形成されている。第一端板部61の前枠21に対向する面61Aは平坦に形成されており、面61Aのうち前枠21の端面21A(小口)に沿った位置には粘着剤5が塗布されている。面61Aに塗布された粘着剤5のY軸方向における厚さ寸法は、第一端板部61の面61Aと前枠21の端面21Aとの間に設定したクリアランス(本実施形態では1~2mm程度)の寸法と同等かそれよりも大きい寸法とされている。また、突片部64は、面61AからY軸方向に突出しており、縦片部641および横片部642を有して断面L字状に形成されている。縦片部641は、前枠21の側片部218に沿って配置されていると共に、側片部218との間に設定したクリアランス(本実施形態では1~2mm程度)を形成している。横片部642は、前枠21の底面部211に沿って配置されていると共に、底面部211との間に設定したクリアランス(本実施形態では1~2mm程度)を形成している。この突片部64には、側片部218の内面218Aに対向する縦片部641の面641Aと、底面部211の内面211Aに対向する横片部642の面642Aとにわたって粘着剤5が塗布されている。縦片部641に塗布された粘着剤5の厚さ寸法は、縦片部641および側片部218間のクリアランスの寸法と同等かそれよりも大きい寸法とされており、横片部642に塗布された粘着剤5の厚さ寸法は、横片部642および底面部211間のクリアランスの寸法と同等かそれよりも大きい寸法とされている。なお、第一端板部61は、面61Aから突出した固定部611を有しており、固定部611は、前枠21の底面部211に形成された孔(図示省略)に挿通されたネジ6と螺合することで底面部211に固定される。
第二端板部62は、図3および図6に示すように第一端板部61の上縁部65、下縁部66および側縁部68に連続しており、上縁部65および下縁部66に連続した側縁部621を有している。側縁部621のZ軸方向における中間位置には、底部622および一対の側部623を有して凹状とされた凹部624が形成されている。
第二端板部62の側枠23に対向する面62Aは平坦に形成されており、面62Aのうち側枠23の端面23A(小口)に沿った位置には、粘着剤5が塗布されている。面62Aに塗布された粘着剤5のX軸方向における厚さ寸法は、第二端板部62の面62Aと側枠23の端面23A(小口、図4参照)との間に設定したクリアランス(本実施形態では1~2mm程度)の寸法と同等かそれよりも大きい寸法とされている。
ここで、粘着剤5は、紫外線(UV)の照射によって硬化するUV硬化形粘着剤、本実施形態ではポリウレタンアクリレート系UV硬化樹脂製のUV硬化形粘着剤によって構成されており、キャップ部材60に塗布された後に紫外線が照射されて硬化され、粘性を有していると共に伸縮変形可能なゲル状態とされ、前枠21の端部や側枠23の端部に粘り着くようになっており、一旦剥がれても再着可能な特性を有している。本実施形態では粘着剤5の粘度は、常温で200~2000Pa・sであり、前述した各クリアランスに応じた厚さ寸法を維持可能な範囲で適宜設定される。
キャップカバー70は、板状のカバー本体部71と、カバー本体部71の上縁に沿った上面部72と、カバー本体部71の下縁に沿った下面部73と、カバー本体部71の一方の側縁に沿っていると共に上面部72および下面部73に連続した側面部74とを有している。上面部72および下面部73には、前述した係合凹部63に係合する係合爪部78がそれぞれ形成されている。カバー本体部71および側面部74には、底部75および一対の側部76を有して凹状とされた凹部77が横方向に連続して形成されている。下面部73には、側枠23の底面部231に対して下方に配置される突部79が形成されている。
以上の端部キャップ50を前枠21および側枠23に取り付ける手順は次の通りである。
先ず、工場において予め粘着剤5が第一端板部61、第二端板部62および突片部64に塗布されて硬化されたキャップ部材60を準備する。
次に、現場において突片部64を前枠21の樋部26に差し込み、突片部64における粘着剤5を前枠21の底面部211および側片部218に押し当てて付着させると共に、第二端板部62における粘着剤5を側枠23の外周側面部232と底面部231および上面部234のうち外周側の部分とにおける端面23Aに押し当てて付着させる。続いて、第一端板部61の面61Aにおける粘着剤5を前枠21の端面21Aに押し当てて付着させる。前枠21の端部は、第一端板部61および突片部64が粘着剤5によって付着することで塞がれて水密性が発揮される。キャップ部材60の凹部624,673は側枠23の凹部238および前枠21の凹部216に対応する位置に配置される。
最後に、キャップカバー70の係合爪部78をキャップ部材60の係合凹部63に係合して、キャップ部材60の外側を覆う。キャップカバー70の凹部77は、キャップ部材60の凹部624,673に対応した位置に配置される。
このようにして、端部キャップ50を前枠21および側枠23に取り付けるので、現場で端部キャップ50と前枠21および側枠23との間にシーリング処理をする現場作業がなくなる。また、地震や風などによって端部キャップ50と前枠21および側枠23とが相互に多少揺れ動いても、粘着剤5が前枠21や側枠23に粘り着いたまま粘性によって伸縮変形するので、端部キャップ50と前枠21および側枠23との間に隙間が生じるのを抑制でき、水密性を維持できる。
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態を図面に基づいて説明する。
第2実施形態に係る屋根構造体は、支柱に屋根10Aが支持されて構成されるテラス屋根構造体である。テラス屋根構造体の概略構成は一般的なものであるので、テラス屋根構造体の全体構成の説明は省略し、屋根10Aについて以下に説明する。
屋根10Aは、枠材として前枠81、後枠および一対の側枠83を有した屋根枠80と、屋根枠80内に配置された屋根パネル30Aとを備えており、屋根枠80には四つの屋根コーナー85が構成されており、各屋根コーナー85は互いに同様に構成されている。なお、後枠は、図示しないが、前枠81と同一断面形状とされている。一対の側枠83は互いに同一断面形状とされている。図7では、前枠81の端部および側枠83の端部によって構成される屋根コーナー85を示しており、図8および図9は屋根コーナー85を展開して示している。
前枠81(第一枠材)は、図7~図10に示すように、Y軸方向に沿った中空枠部811と、中空枠部811に沿った樋部812とを有している。
中空枠部811は、底面部813、上面部814および一対の側面部815,816を有しており、底面部813、上面部814および一対の側面部815,816によって中空部817が形成されている。中空枠部811には、上面部814よりも上方に位置したパネル受け部818およびパネル押え部819が形成されており、パネル受け部818には屋根パネル30Aの下面を受けるビード材が装着されており、パネル押え部819は屋根パネル30Aの上面を押えている。
樋部812は、底面部813および側面部816の連続部分から斜め上に延出した外周側面部820と前記側面部816とによって形成されている。
側枠83(第二枠材)は、図7~図9および図11に示すように、底面部831、上面部832および一対の側面部833,834によって形成されており、底面部831、上面部832および側面部833,834によって中空部835が形成されている。また、側枠83には、屋根パネル30Aをビード材によって挟持する溝部836が形成されている。
屋根コーナー85には、一部材からなる付着端体としての樹脂製の端部キャップ50Aが配置されている。端部キャップ50Aは、図7~図11に示すように、端板部91と、端板部91の上縁からY軸方向に延出した上板部92と、端板部91の下縁からY軸方向に延出した下板部93と、端板部91の片側の側縁からY軸方向に延出していると共に上板部92および下板部93に連続した側板部94とを有している。また、端部キャップ50Aには、図9および図10に示すように、側板部94との間に溝部101を形成し且つ中空枠部811の端部に沿った溝部102を形成する溝形成部100が端板部91からY軸方向に延出して形成されている。溝形成部100には、前述した粘着剤5が塗布され且つ紫外線照射によって硬化されている。
以上の端部キャップ50Aを前枠81および側枠83に取り付ける手順は次の通りである。
先ず、工場において予め粘着剤5が塗布されて硬化された端部キャップ50Aを準備する。
次に、現場において溝形成部100における粘着剤5を前枠81の端面81A(小口)に押し当てて付着させる。これにより、前枠81の中空枠部811および樋部812の端部を閉塞する。一方、端部キャップ50Aの端板部91、上板部92および下板部93は、側枠83の端部において底面部831、上面部832および側面部833の外面を覆って配置される。なお、端板部91、上板部92および下板部93のうち側枠83の端部を覆う部分にも予め粘着剤5を設け、当該側枠83の端部に付着させる構成としてもよい。
このようにして、端部キャップ50Aを前枠81および側枠83に取り付けるので、現場で端部キャップ50Aおよび前枠81の間にシーリング処理をする現場作業がなくなる。また、地震や風などによって端部キャップ50Aと前枠81とが相互に多少揺れ動いても、粘着剤5が前枠81に粘り着いたまま粘性によって伸縮変形するので、端部キャップ50Aと前枠81との間に隙間が生じるのを抑制でき、水密性を維持できる。
[変形例]
第1、第2実施形態では、前枠21(81)に樋部26(812)が形成されているが、屋根パネル30Aに水勾配が設定されて屋根パネル30(30A)を後枠22側に流下させて排水可能に構成されている場合には、樋部のない前枠を採用してもよい。この場合、粘着剤5付きの端部キャップ50(50A)は、後枠22の両端部に設置されていればよい。
第1実施形態では、第二端板部62に粘着剤5が塗布されているが、第二端板部62が側枠23に粘り着いていなくても端部キャップ50の取付状態を十分に保てる場合には、粘着剤5は第二端板部62に塗布されていなくてもよく、この場合、第二端板部62の構成自体を省略してもよい。
第1実施形態では、第一端板部61から突片部64が突出して形成されているが、突片部64がなくても端部キャップ50および前枠81間の水密性を十分に保てる場合には、突片部64の構成を省略してもよい。
第1実施形態では、キャップ部材60およびキャップカバー70の二部材によって構成されているが、これに代えて一部材によって構成されていてもよい。また、第2実施形態では、端部キャップ50Aは一部材によって構成されているが、キャップ部材およびキャップカバーの二部材によって構成されていてもよい。
第1、第2実施形態における屋根10,10Aは、カーポート1やテラス屋根構造体に採用されるものとして説明したが、このほか、パーゴラ等の各種の屋根構造体に採用されてもよい。
第1、第2実施形態では、前枠21,81の端部に取り付けられる端部キャップ50,50Aを付着端体として説明したが、これに限らず、例えば図12に示す変形例のように、少なくとも二つの形材27によって枠材28が構成され、二つの形材27の端面の間に配置された樹脂製のジョイント部材120を付着端体としてもよい。各形材27は前述した前枠21と概略同様の断面形状に形成されている。
ジョイント部材120の全体形状は、図13および図14に示すように形材27の端面に概ね沿った形状とされている。ジョイント部材120は、形材27の端面に対向した底片部121と、底片部121から突出した側片部122とを有しており、底片部121および側片部122によって粘着剤5が塗布された塗布部123が形成されている。塗布部123は、二つの形材27の一方に対応して構成された塗布部と、他方に対応して構成された塗布部とがあり、これらは同様に形材27の端面に沿って形成されている。このジョイント部材120は、塗布部123に塗布された粘着剤5が二つの形材27の端面にそれぞれ付着することで、二つの形材27を連結している。なお、枠材28は、二つの形材27同士をつなげて補強する補強材125,126を更にそなえている。
このような構成によれば、予め工場でジョイント部材120に粘着剤5を塗布して熱硬化させておくことで、現場で形材27およびジョイント部材120の間にシーリング処理する現場作業を行う必要をなくすことができ、現場作業を簡略化できる。また、予め工場でジョイント部材120の所望箇所に粘着剤5を設けておけるので、現場でジョイント部材120および形材27の外側にシーリング処理を施す必要がなく、外観意匠を損なうおそれをなくすことができる。更に、地震や風などによってジョイント部材120および形材27が相互に多少揺れ動いても、粘着剤5がその粘性によって伸縮変形するので、ジョイント部材120および形材27の間に隙間が生じるのを抑制でき、水密性を維持できる。
[本発明のまとめ]
本発明の屋根は、屋根枠内に屋根パネルが配置される屋根であって、前記屋根枠を構成する枠材の端部には、当該端部に沿って付着する熱硬化性の粘着剤が塗布された付着端体が配置されており、前記粘着剤は熱硬化後にも粘着性を備える特性を有していることを特徴とする。
本発明の屋根によれば、付着端体の粘着剤が枠材の端部に沿って付着することで枠材および付着端体の間に水密構造を構成でき、予め工場で付着端体に粘着剤を塗布して熱硬化させておくことで、現場で枠材および付着端体の間にシーリング処理する現場作業を行う必要をなくすことができ、現場作業を簡略化できる。また、例えば現場で付着端体および枠材の端部に対して手作業にてシーリング処理を施す場合には、付着端体および枠材の端部間の所望箇所がシーリングされているか確認することが困難であるので、付着端体および枠材の端部の外側にもシーリング処理を施してシール性を担保するが、シーリングが露出してしまい外観意匠を損なうおそれがある。これに対し、本発明では、予め工場で付着端体の所望箇所に粘着剤を設けておけるので、現場で付着端体および枠材の端部の外側にシーリング処理を施す必要がなく、前述したように外観意匠を損なうおそれをなくすことができる。更に、地震や風などによって付着端体および枠材が相互に多少揺れ動いても、粘着剤がその粘性によって伸縮変形するので、枠材および付着端体の間に隙間が生じるのを抑制でき、水密性を維持できる。
なお、粘着剤としては、例えばUV硬化形粘着剤が挙げられる。UV硬化形粘着剤は、紫外線(UV)の照射によって硬化する特性を有している。UV硬化形粘着剤は、付着端体に塗布され、塗布後に紫外線を照射して硬化させることで、ある程度の粘性を有したゲル状態にでき、このため、枠材および付着端体間に設定されたクリアランスに応じた厚さ寸法を維持できる。また、例えばシリコーンシーラントなどは、枠材から一旦剥がれると枠材に再度付着しないが、本発明にて採用する粘着剤は、その粘着性によって枠時に再度付着する(粘り着く)ことができる。また、この粘着剤は専用機械によって塗布される。このため、付着端体のうち粘着剤が塗布されるべき部分形状が多少複雑であっても機械塗布できるので、このような形状にも対応可能である。
本発明の屋根は、前記屋根枠は、第一枠材と、第一枠材に直交する第二枠材とを前記枠材として備えており、前記付着端体は、前記第一枠材の端部および前記第二枠材の端部によって構成される屋根コーナーに配置されており、前記付着端体は、前記第一枠材の端部に沿って付着する前記粘着剤が塗布された第一端板部と、前記第二枠材の端部に沿って付着する前記粘着剤が塗布された第二端板部とを有していてもよい。
このような構成によれば、第一端板部が粘着剤によって第一枠材の端部に粘り着くことで第一枠材の端部を閉じて水密性を発揮できると共に、第二端板部が粘着剤によって第二枠材の端部に粘り着くことで第二枠材の端部を閉じて水密性を発揮できる。また、地震や風などによって第一枠材および第二枠材が相互に多少揺れ動いても、粘着剤がその粘性によって伸縮変形するので、第一、第二枠材および付着端体の間に隙間が生じるのを抑制できて水密性を維持できる。
本発明の屋根では、前記付着端体は、前記第一端板部および前記第二端板部のうちの少なくとも一方の端板部から突出した突片部を有しており、前記粘着剤は、前記一方の端板部のうち前記第一枠材および前記第二枠材のうちの少なくとも一方の枠材に対向する面と、前記突片部のうち前記一方の枠材の内面または外面に対向する面とに塗布されており、前記一方の端板部における前記粘着剤は、前記一方の枠材の端面に付着しており、前記突片部は、前記一方の枠材の内面または外面に付着してもよい。
このような構成によれば、付着端体が、枠材の端面と、枠材の内面または外面とに対して粘着剤によって付着するので、付着端体が枠材からより剥がれにくい構成にでき、水密性をより好適に維持できる。
本発明の屋根では、前記付着端体は、前記第一端板部および前記第二端板部を有したキャップ部材と、前記キャップ部材の外側を覆うキャップカバーとを備えていてもよい。
このような構成によれば、キャップ部材およびキャップカバーを別部材に分けることで、例えば付着端体を一つの部材で構成する場合と比べて、部材の肉厚寸法を小さくでき、このため、成形において皺などが発生するおそれを低減できる。
本発明の屋根では、前記枠材は、その長手方向に沿った少なくとも二つの形材によって構成されており、前記付着端体は、前記二つの形材の端面にそれぞれ対向した底片部および前記底片部から突出した側片部によって前記端面に沿った塗布部がそれぞれ形成されており、前記塗布部には、前記二つの形材の端面に付着する前記粘着剤が塗布されていてもよい。
このような構成によれば、予め工場で付着端体に粘着剤を塗布して熱硬化させておくことで、現場で形材および付着端体の間にシーリング処理する現場作業を行う必要をなくすことができ、現場作業を簡略化できる。また、予め工場で付着端体の所望箇所に粘着剤を設けておけるので、現場で付着端体および形材の外側にシーリング処理を施す必要がなく、外観意匠を損なうおそれをなくすことができる。更に、地震や風などによって付着端体および形材が相互に多少揺れ動いても、粘着剤がその粘性によって伸縮変形するので、付着端体および形材の間に隙間が生じるのを抑制でき、水密性を維持できる。
本発明の屋根構造体は、支柱と、前記支柱に固定された梁と、前記梁に設置された前述した本発明の屋根とを備えることを特徴とする。
本発明の屋根構造体によれば、前述した本発明の屋根の作用効果と同様の作用効果を発揮可能な屋根構造体を構成できる。
1…カーポート(屋根構造体)、10,10A…屋根、20,80…屋根枠、21,81…前枠、22…後枠、23,24,83…側枠、25A~25D,85…屋根コーナー、27…形材、28…枠材、30,30A…屋根パネル、5…粘着剤、50,50A…端部キャップ(付着端体)、120…ジョイント部材(付着端体)、121…底片部、122…側片部、123…塗布部。

Claims (4)

  1. 屋根枠内に屋根パネルが配置される屋根であって、
    前記屋根枠は、第一枠材と、前記第一枠材に直交する第二枠材とを備えており、
    前記第二枠材には、前記屋根パネルを押えるパネル押え部材が取り付けられており、
    前記第一枠材の端部および前記第二枠材の端部によって構成される屋根コーナーには、前記第一枠材の端部に沿って付着する硬化性の粘着剤が塗布された第一端板部と、前記第二枠材の端部に沿って付着する硬化性の粘着剤が塗布された第二端板部とを有する付着端体が配置されており、
    前記粘着剤は硬化後にも粘着性を備える特性を有しており、
    前記第一端板部の上縁部には、前記パネル押え部材と干渉しないように凹んだ凹み部が形成されている
    ことを特徴とする屋根。
  2. 請求項に記載の屋根において、
    前記付着端体は、前記第一端板部および前記第二端板部のうちの少なくとも一方の端板部から突出した突片部を有しており、
    前記粘着剤は、前記一方の端板部のうち前記第一枠材および前記第二枠材のうちの少なくとも一方の枠材に対向する面と、前記突片部のうち前記一方の枠材の内面または外面に対向する面とに塗布されており、
    前記一方の端板部における前記粘着剤は、前記一方の枠材の端面に付着しており、
    前記突片部は、前記一方の枠材の内面または外面に付着する
    ことを特徴とする屋根。
  3. 請求項または請求項に記載の屋根において、
    前記付着端体は、前記第一端板部および前記第二端板部を有したキャップ部材と、前記キャップ部材の外側を覆うキャップカバーとを備えている
    ことを特徴とする屋根。
  4. 支柱と、前記支柱に固定された梁と、前記梁に設置された請求項1から請求項のいずれか一項に記載の屋根とを備える
    ことを特徴とする屋根構造体。
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