JP4138548B2 - 圧力センサ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧力センサに関し、特に微細な形状を検知するセンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、個々を識別する装置として指紋センサが用いられており、この指紋センサには簡単で且つ精度良く指紋を検知することが要求されている。この種の指紋センサとしては指紋を光学的に検知するものや電気的に検知するものなど、様々なタイプのものが研究、開発されている。例えば特開平9−126918号公報や特開平10−300610号公報には、電極を有するマイクロセンサ部をマトリクス状に配置し、指からの圧力を電気信号に変換して指紋を検知するものが記載されている。このマイクロセンサ部は、2枚の電極の間に空洞を介在させた状態で対向配置している。
【0003】
図16には製造途中におけるマイクロセンサ部の断面図を示す。シリコン基板101上にはエッチングバリア層102が積層され、その上に所定のパターンでAu又はTiによる第一金属層103が形成される。この第一金属層103は可変コンデンサの第一電極、若しくは、マイクロコンタクタの第一端子として使用される。第一金属層103に対応して多結晶シリコン又はAlからなる隔膜104を形成し、隔膜104上にAu又はTiからなる第二金属層105を形成する。そして基板101の表面全体を窒化シリコンからなる絶縁膜106で覆う。マイクロセンサ部の表面には第二金属膜105及び絶縁膜106に隔膜104まで達する開口107が形成され、開口107の部分で隔膜が外部に露出する。なお図16ではこの状態を示している。この後で基板101にウェットエッチングを行うが、このとき溶液が多結晶シリコン又はAlからなる隔膜104をエッチングし、隔膜104が取除かれて空洞が形成される。エッチング終了後に開口107を窒化シリコンなどで塞ぎ、空洞を密閉する。そしてマイクロセンサに指からの圧力が加わると、その圧力に応じて絶縁膜106及び第二金属層105が第一金属層103側へ湾曲し、その状態に応じた電気信号を出力して、指紋の形状を検知する。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−126918号公報
【特許文献2】
特開平10−300610号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
各マイクロセンサに加わる圧力の状態を検知するために、マイクロセンサの電極は各制御回路と配線を介して接続されている。このとき、第一金属層103に接続する複数の配線を行方向に配置し、第二金属層105に接続する複数の配線を列方向に配置し、両配線で囲まれる領域内にそれぞれマイクロセンサを配置している。従ってマイクロセンサの周囲に配線が位置することになり、この配線部分が指紋検知に関与しないため、それだけ解像度が低下してしまう。これは、指紋センサのような繊細な形状を検知する上で、精度の低下に結びついてしまう。
【0006】
一方、第一金属層103に第一配線を、第二金属層105に第二配線をそれぞれ接続し、第一配線に走査信号を供給してそのときの第二配線の出力を検出することで各マイクロセンサの状態を感知する。この第一金属層103と第一配線は同一の金属層をパターニングして一体に形成され、マイクロセンサの第一金属層103が第一配線から突出した形状になる。同様に第二金属層105と第二配線も同一の金属層をパターニングして一体に形成され、マイクロセンサの第二金属層15が第二配線から突出した形状になる。
【0007】
また、このときの検知状態の一例を図17に示す。図17のS1〜S5が第一配線、L1〜L5が第二配線、両配線の交差部に配置したのがマイクロセンサを示す。マイクロセンサのうち、斜線のハッチングが施されているのが圧力が掛かって両金属層103、105が接触しているものを示す。ここでS3の第一配線に走査信号を供給したとき、それぞれマイクロセンサC2、C3を介して第二配線L2、L3に信号が流れ、この2つの第二配線のみから信号を検出することになる。
【0008】
しかしマイクロセンサの電極が接続する配線と同一材料により一体形成されている場合、第二配線に流れる信号が走査されていないマイクロセンサを介して他の第一配線に流れてしまうことがあった。つまり図17において第二配線L2を流れる信号はマイクロセンサA2、B2を介して第一配線S1、S2に流れてしまうことがある。また第二配線L3を流れる信号はマイクロセンサD3、E3を介して第一配線S4、S5に流れてしまうことがある。そのためマイクロセンサA1、E4を介して第二配線L1、L4にも信号が流れ、その結果、マイクロセンサC1〜C4までに圧力が掛かっていると誤検知することになり、精度の低下につながっていた。
【0009】
そこで、本発明はかかる点に鑑みなされたもので、センサ部の存在する割合を増やして解像度を向上させると共に、誤検知を減らすことによって、高精度の圧力センサを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、複数の第一配線と複数の第二配線を交差させて配置し、両配線の交差部付近にセンサ部を設けた圧力センサにおいて、前記センサ部は、前記第一配線と電気的に接続する第一電極と、前記第一電極と対向配置する第二電極と、前記第一電極と前記第二電極の間に形成された空洞部とを有し、前記第一配線は、該第一配線と接続する前記センサ部の間ごとに幅広部を有することを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の第一の実施例を図面を参照して説明する。図1は本発明の圧力センサの概略を示す全体図である。1は透明なガラス基板であり、ガラス基板1上には行方向に存在する複数の第一配線2と列方向に存在する複数の第二配線3がマトリクス状に形成されている。この実施例では基板としてガラス基板1を用いたが、ガラス基板に限定するものではなく、プラスティックフィルムなどでもよい。4は第一配線2と第二配線3の交差部付近に設けられたセンサ部、5は第二配線3上に設けられた通気口部である。複数のセンサ部4をマトリクス状に並べた領域が、微細な形状を検知する圧力検知領域に該当し、通気口部5は圧力検知領域外に設けられている。なお、センサ部4を組み込んだ圧力センサ装置には形状を検知するための領域が設けられているが、ここでいう圧力検知領域とはこの圧力センサ装置の形状を検知するための領域ではなく、センサ部4が存在する領域のことを意味する。通気口部5はセンサ部4が並ぶ列方向の延長線上に存在し、この列方向に並ぶセンサ部群の両端に隣接して配置されている。なお、通気口部5をこのセンサ部群の一方の端部にだけ隣接配置してもよい。6は第一配線2に走査信号を供給する走査回路、7は第二配線3に流れる信号を検知する感知回路である。
【0014】
センサ部4の詳細な構成は後述するが、センサ部4では第一配線2に接続する第一電極と第二配線3に接続する第二電極が空洞部を介して対向配置している。第二電極は検体からの圧力に応じて第一電極側に湾曲し、所定以上の圧力が加わると第一電極に接触する。そして検体を圧力検知領域に押し付けたとき、検体の凸部に対応するセンサ部4では両電極が接触し、検体の凹部に対応するセンサ部4では両電極が離れたままである。このとき走査回路6から1つの第一配線2に走査信号を供給すると、両電極が接触しているセンサ部4では両電極を介して第二配線3に信号が流れ、両電極が接触していないセンサ部4では第二配線3に信号が流れない。そして感知回路7で第二配線3を流れる信号の有無を検知すれば、各センサ部4に加わる圧力を検知できる。走査回路6から各第一配線2に順次走査信号を供給し、圧力検知領域を一通り走査して形状を検知する。
【0015】
図2はセンサ部4及び通気口部5の平面図を示し、図3は図2のA−Aに沿った断面であるセンサ部4の断面図であり、図4は図2のB−Bに沿った断面である通気口部5の断面図であり、図5は図2のC−Cに沿った断面図である。
【0016】
まずセンサ部4の構造について説明する。ガラス基板1上には全面にSiNxによる下層絶縁膜11が積層されている。下層絶縁膜11上には複数の第一配線2がそれぞれ平行に配置され、センサ部4に第一電極8が形成される。この第一配線2と第一電極8は共に下層絶縁膜11上に積層された金属層をパターニングして形成され、この金属層としては例えばAlとMoによる積層構造が用いられる。第一電極8は、センサ部4の中央部に位置し中央電極部に相当する円状部8aと、センサ部4の周囲に位置する環状部8bと、円状部8aと環状部8bを接続する接続部8cとを備えている。
【0017】
12は第一配線2と第一電極8を電気的に接続する細長状のコンタクト層であり、非晶質層や多結晶層や金属層により形成されている。このコンタクト層12は第一配線2や第一電極8の金属よりも高抵抗な部材で形成する。ここでコンタクト層12の抵抗をR、第一配線2に供給される走査信号の電圧をE、第二配線3を流れる電流をIとすると、E=IRの関係が成り立つ。従って1つのセンサ部4を介して第二配線3に流れる信号は、電流値がIになる。しかし、第二配線3を流れる信号が、例えばセンサ部4、走査されていない第一配線2、他の列のセンサ部4、他の列の第二配線3と流れた場合、走査信号は始めの第一配線2から見て最終的に3つのコンタクト部12を通過することになる。そして、この他の列の第二配線3を流れる電流をI’とすると、E=3RI’となり、I’=I/3となる。従って第二配線3を流れる電流値を見ることで他のセンサ部4を経由していないかを見分けることができ、センサ自体の精度を向上させることができる。
【0018】
このコンタクト層12には膜厚均等に成膜でき、光学的手段を用いてパターン形成可能なものがよく、ここでは多結晶シリコンや導電性不純物を混入したアモルファスシリコン層が良い。
【0019】
コンタクト層12がn+a−Siの場合、下層絶縁膜11に膜厚が50〜3000ÅのSi層を積層し、このSi層に1.0×1011〜1.0×1015/cm2のP又はBをイオンドープする。その後Si層をパターニングしてコンタクト層12を形成し、このコンタクト層12に一部が重なるように第一配線2及び第一電極8を形成する。この場合、多結晶Siに比べ、アニール処理等の工程を必要としないため製造が容易である。また多結晶Siより抵抗が高いためコンタクト層をその分短くでき、センサ部をより集積して配置することで解像度が向上する。
【0020】
またコンタクト層12が多結晶Siの場合、Si層を下層絶縁膜11に積層し、そのSi層をアニール処理、パターニング処理を施して多結晶のコンタクト層12を形成する。このコンタクト層12の膜厚は200〜1000Åが適している。コンタクト層12へのイオンドープや、第一配線2及び第一電極8の形成はn+a−Siの場合と同様である。
【0021】
コンタクト層12の抵抗は感知回路7で検出できる最小の電流値を基にして決める。また、高抵抗のコンタクト層12を用いる場合は、配線抵抗を小さくする必要がある。抵抗は距離に比例するため、走査回路6から離れるほど走査回路6までの抵抗も高くなる。そのため走査回路6から遠いところに位置するセンサ部4までの配線抵抗がコンタクト層12と同程度の抵抗になった場合、感知回路7の検出結果から適正な値かどうかの見分けがつかなくなる。よって第一配線2には抵抗の小さいAl等を含むようにした方がよい。
【0022】
13はSiNxまたはSiO2などによる第一絶縁膜であり、下層絶縁膜11や第一配線2などを覆っている。第一絶縁膜13はセンサ部4にも存在するが、センサ部4の中央付近には円形状のセンサ孔14が形成され、第一電極の円状部8aの中央部分を露出させている。このセンサ孔14の大きさや厚さ(センサ孔14周縁の第一絶縁膜13の厚さ)はセンサの感度に影響する。
【0023】
第一電極の円状部8aの周囲を第一絶縁膜13で覆っているため、第二電極9が第一電極8と大きな範囲で密着することがなく、第二電極9が第一電極8に接触した後に第一絶縁膜13付近から第二電極9が第一電極8と離れる。そして第一絶縁膜13が厚くなるほど、第二電極9の弾力性が弱くても元の状態に戻りやすくなるが、第二電極9が第一電極8に接触する可能性も低くなる。
【0024】
また、センサ孔14が大きいときは第一電極8の露出部分が多くなり、第二電極9と接触する可能性が増える。従ってセンサ部4に掛かる小さな圧力の検知が可能になるが、それだけ過度の検知にもなりやすい。それに対してセンサ孔14が小さくなると第一電極8の露出部分が少なくなり、第二電極9と接触する可能性が少なくなるため、その分だけ圧力に対して鈍感なセンサになる。なお、この実施例ではセンサ孔14を円形状にしたが、この形状に限定されるものではなく、四角形状などにしてもよい。
【0025】
第一絶縁膜13から露出した第一電極8は空洞部10を介在させて第二電極9と対向配置する。空洞部10の形成方法は後述するが、センサ部4を平面方向から見たとき、空洞部10は第一電極の環状部8bまで広がっている。また、センサ部4の4隅にはリリース口15が設けられ、空洞部10はこのリリース口15にまで延在している。
【0026】
第二電極9は金属層により形成され、例えばMoが用いられる。センサ部4内では、第二電極9は50μm×50μmの正方形状にパターニングされ、4隈にリリース口15が開口している。列方向に並ぶセンサ部4では、それぞれ隣接するセンサ部4との間に互いの第二電極9を電気的に連結する連結部30が形成され、第二電極9や連結部30が第二配線3を兼ねている。連結部30は第二電極9よりも幅が狭く、第一配線2に第一絶縁膜13を介して直交方向に重なっている。第二電極9と連結部30の製造工程は後述するが、第二電極9と連結部30は同一の金属層をパターニングして形成されている。
【0027】
16は第二絶縁膜、17は保護膜であり、第一絶縁膜13や第二配線2上に積層される。この実施例では共にSiNxで形成されている。なお、これらの膜16、17はSiNxに限定するものではなく、SiO2でもよく、ポリイミドやポリアクリレートなどの有機絶縁膜でもよい。詳細は後述するが、第二絶縁膜16と保護膜17は別工程で形成される。第二絶縁膜16にはリリース口15が形成され、リリース口15を形成した後で第二絶縁膜16上に保護膜17を形成するため、リリース口15は保護膜17で塞がれる。そして、リリース口を塞ぐ保護膜17と第二絶縁膜16上に積層される保護膜17は同時形成されるが、膜としては連続せずに分かれている。このリリース口15を塞ぐ保護膜17が閉塞部に相当する。
【0028】
センサ部4では、第二電極9上の第二絶縁膜16と保護膜17が円形状に取除かれ、第二電極9が露出している。第二電極9は第二絶縁膜16が被覆されている境界部分を支点にして湾曲するため、第二絶縁膜16が取除かれている範囲の大きさによって第二電極9の柔軟性が変わる。第二絶縁膜16を大きく取除くと第二電極9が湾曲しやすくなり、検体の凸部が第二電極9に当たったときに第二電極9が湾曲して第一電極8と接触するため、圧力に対して敏感なセンサ部4になる。それに対して、第二電極9上に第二絶縁膜16や保護膜17を残した場合、その分だけ第二電極9が湾曲し難くなるため、圧力に対して鈍感なセンサ部4になる。第二電極9の湾曲のしやすさはセンサ部4の感度に影響し、圧力に対して敏感になるほど圧力の検知のし過ぎにより検体の形状が不明瞭になり、圧力に対して鈍感になるほど微細な形状を検知できない部分が存在するため検体の形状が不鮮明になる。したがって敏感になりすぎても、鈍感になりすぎても誤検知の可能性が増大するため、第二電極9の湾曲のし易さが適正になるように設計する必要がある。そして第二絶縁膜16が取除かれている部分の境界が第一電極8の最も外側の環状部8bよりも内側に位置するように設定すると、第二電極9の柔軟性と復元力が適切な範囲内になる。
【0029】
さらに、薄膜の第二絶縁膜16や保護膜17が第二電極9上に存在すると第二電極9の補強及び保護の役割を果すため、それだけ第二電極9の破損は少なくなる。この実施例では第二絶縁膜16と保護膜17を除去しているが、これらの条件を考慮して、除去せずに第二電極9上の第二絶縁膜16や保護膜17の厚み方向の一部を取除き、中央部分を薄くしてもよい。このとき薄くした部分はセンサ部4を中心として円形状にするとよい。なお、この実施例では第二絶縁膜16を円形状に取除いたが、第二絶縁膜を四角形状に取除いてもよい。
【0030】
次に通気口部5について説明する。20は通気口部5の中央付近に位置し、下層絶縁膜11上に形成されたダミー電極である。ダミー電極20は中心に開口を有するドーナツ状の金属層であり、第一配線2や第一電極8と同一工程で形成される。従って、例えば下層絶縁膜11の全面にMoとAlの積層構造からなる金属層を積層し、この金属層をパターニングしてダミー電極20、第一配線2、第一電極8を同時形成する。そしてダミー電極20は第一配線2と電気的な接続がなく、孤立して設けられている。第一絶縁膜13は下層絶縁膜11やダミー電極20を覆うように積層され、通気口部5の中央付近では第一絶縁膜13を取除いて下層絶縁膜11やダミー電極20の一部を露出している。
【0031】
21は通気口部5に位置する補助電極であり、センサ部4の第二電極9と同様にMo等からなる金属層を50μm×50μmの正方形状にパターニングし、4隈にリリース口15を形成している。通気口部5の補助電極21はその形状がセンサ部4の第二電極9と類似しているが、形状を検知する機能はなく、第二配線3の一部として存在する。補助電極21と第一絶縁膜13の間には第二空洞部22が設けられ、この第二空洞部22はセンサ部4の空洞部10と空間的に連通し、両空洞部10、22間を通気可能にしている。補助電極21上には第二絶縁膜16が積層され、補助電極21と同様にリリース口15が設けられている。
【0032】
通気口部5の中央には補助電極21及び第二絶縁膜16を貫通する通気口23が形成されている。そして通気口23に対応する位置にはダミー電極20、第一絶縁膜13が存在しない。第二絶縁膜16上に保護膜17を積層するとき、リリース口15はこの保護膜17の一部によって塞がれて第二空洞部22との連通状態を絶たれるが、通気口23では保護膜17が下層絶縁膜11上に積層されるため第二空洞部22との連通状態を維持する。通気口部5では補助電極21上の第二絶縁膜16、保護膜17は取除かれず、そのまま残っている。従って第二絶縁膜16、保護膜17により補助電極21の湾曲が規制され、通気口23の周辺が補強されることになり、製造中や使用中でも通気口23は第二空洞部22と連通している。
【0033】
24は中空状でその内部を空気が行き来できる通路部であり、通気口部5とセンサ部4の間や隣接するセンサ部4間に位置し、センサ部4の空洞部10同士やセンサ部4の空洞部10と通気口部5の第二空洞部22をつないでいる。通路部24は、その底面を第一絶縁膜13で、側面や上面を第二配線3の金属層からなる連結部30で構成している。通路部24により各センサ部4の空洞部10と通気口部5の第二空洞部22が空間的に連通状態になり、通気口23を介して外気の行き来が可能になる。また通路部24の横幅は空洞部10の横幅よりも狭くなっているため、通気口23から入ってきた塵埃が通路部24を介して空洞部10に侵入することを防止できる。
【0034】
このような構造により、保護膜17により各リリース口15を塞いだ後でも、センサ部4の空洞部10内をほぼ外気圧と同じ気圧に保つことができる。そのため真空引きを行う工程中にセンサ部4の第二電極9には大きな負荷がかからず、破損することを防止できる。さらにセンサ部4とは別に通気口部5を設けているため、センサ部4の空洞部10内に塵埃が侵入することを防止でき、故障の少ない圧力センサを得ることができる。
【0035】
次にセンサ部4の製造工程を図面に基づいて説明する。図6はセンサ部4の製造工程を示す断面図(図3の断面図に相当)であり、図7はセンサ部4の製造工程を示す平面図であり、図8は通気口部5の製造工程を示す断面図(図4の断面図に相当)であり、図9は通気口部5の製造工程を示す平面図である。
【0036】
ガラス基板1上にSiNxからなる下層絶縁膜11を積層し、下層絶縁膜11上にSi層を積層する。コンタクト層がn+a−Siの場合、このSi層にP又はBをイオンドープし、その後Si層をパターニングしてコンタクト層12に相当する部分だけSi層を残す。この場合シート抵抗を2.7〜35×106Ω/□としている。なお、コンタクト層を多結晶Siにより形成する場合はSi層を形成した後、脱水素工程やスライト工程、レーザアニール工程等を行って多結晶化し、その後でフォトリソグラフィ法によりn+a−Siの場合と同様にSi層を残す。この場合シート抵抗を大体0.035×106Ω/□としている。その後、MoとAlの積層構造をした金属層をスパッタ法等により下層絶縁膜11上に形成し、フォトリソグラフィ法により図6(a)、図7(a)、図8(a)に示すような第一配線2、第一電極8、ダミー電極20を形成する。このときダミー電極20は中央に開口がない円板状に形成される。
【0037】
次に、下層絶縁膜11や第一配線2上にSiNxを積層して第一絶縁膜13を形成する。そしてエッチング工程によって、第一絶縁膜13は円状部8aとダミー電極20に対応する部分が取除かれている。センサ部4では図6(b)、図7(b)に示すように、円状部8a上の第一絶縁膜13を円形状に取除き、センサ孔14を形成している。こうして円状部8aの中央部分を露出させ、円状部8aの周縁部分を第一絶縁膜13で被覆している。また通気口部5では図8(b)、図9(a)に示すように、ダミー電極20上の第一絶縁膜13を円形状に取除いている。そしてダミー電極20の中央部分を露出させながら、ダミー電極20の周縁部分は第一絶縁膜13で被覆されている。ダミー電極20上の第一絶縁膜13のエッチング部分は、通気口23よりも大きくなっている。円状部8a上に存在する第一絶縁膜13の割合は圧力センサの感度に影響し、ダミー電極20上に存在する第一絶縁膜13の割合は通気口23の大きさに影響する。
【0038】
次に、第一絶縁膜13や露出した第一電極8、ダミー電極20上にAlからなる金属層を積層する。その後、フォトリソグラフィ法などでこの金属層を所定形状にパターニングし、中間層25を形成する。この中間層25は最終的には取除かれるが、中間層25の存在した部分が空洞部10、第二空洞部22や通路部24になる。従って、センサ部4では図6(c)、図7(c)に示す形状の中間層25になり、通気口部5では図8(c)、図9(b)に示す形状の中間層25になる。センサ部4の中間層25は、第一電極8の円状部8aから環状部8bまでを覆うほぼ円形状の部分とそこから突出して4箇所のリリース口15まで延在する部分とを備えている。通気口部5の中間層25もセンサ部4の中間層25とほぼ同じ形状をしている。通気口部5のダミー電極20は中央付近にのみ存在するため、通気口部5には第一電極8の環状部8bのような金属層は存在しないが、中間層25はダミー電極20を含む通気口部5の大部分を覆う円形状の部分とそこから突出してリリース口15まで延在する部分とを備えている。そして、隣接するセンサ部4同士の間やセンサ部4と通気口部5との間には、通路部24に相当する細長状の中間層25が存在する。従って、列方向に並ぶ各センサ部4と通気口部5では、その部分に存在する中間層25が分割することなく連なって形成されている。なお、各中間層25の形状や厚み等の大きさは、希望する空洞部10、第二空洞部22や通路部24の形状、サイズに合わせて設計される。
【0039】
次に、中間層25や第一絶縁膜13上に金属層をスパッタ法により積層する。この金属層はMoとAlの積層構造になる。この金属層上にレジストを塗布し、フォトリソグラフィ法による露光、現像、エッチング処理を施して第二電極9や連結部30を含む第二配線3を形成する。このとき中間層25は第二配線3の金属層で完全に覆われた状態になる。図6(d)、図7(d)に示すように、センサ部4では中間層25を完全に覆うほぼ四角形状の第二電極9が形成されている。このとき、まだ第二電極9にはリリース口15を形成しない。また図8(d)、図9(c)に示すように、通気口部5にも中間層25を完全に覆うほぼ四角形状の補助電極21が形成され、この工程のときには補助電極21にもリリース口15と通気口23を形成しない。通路部24に相当する中間層25は連結部30で覆われ、この連結部30により隣接するセンサ部4の第二電極9を電気的に連結する。
【0040】
次に、第二電極9や第一絶縁膜13上にSiNxを積層し、第二絶縁膜16を形成する。そしてセンサ部4では図6(e)、図7(e)に示すようにリリース口15に該当する部分のSiNxを取除き、また通気口部5では図8(e)に示すようにリリース口15と通気口23に該当する部分のSiNxを取除く。この第二絶縁膜16が取除かれた部分は、それぞれ第二電極9、補助電極21の一部分が露出する。
【0041】
次に、MoとAlの両方の材質を除去するエッチング処理をする。このエッチング処理により第二絶縁膜16から露出している部分の金属層が除去される。エッチング方法としては、ドライエッチングとウェットエッチングの両方が利用できる。例えば、エッチング液にリン酸、硝酸、酢酸の混合液を用いれば、MoとAlの両方がエッチングできる。このエッチング処理により、センサ部4では図6(f)に示すようにリリース口15に対応する部分の第二電極9と中間層25が取除かれる。また、通気口部5では図8(f)に示すように、リリース口15に対応する部分の補助電極21と中間層25、通気口23に対応する部分の補助電極21、中間層25、ダミー電極20が取除かれる。
【0042】
次に、中間層25だけを除去するエッチング処理を行う。このときウェットエッチングを行い、エッチング液に塩酸、リン酸、水の混合液を用いる。エッチング液はリリース口15を通じて中間層25に達し、中間層25の端部から順にエッチングする。混合比が塩酸:リン酸:水=1:5:1のエッチング液を使用した場合、中間層25のAlと第二配線3などを構成するMoとの間に電池効果が生じ、Alが短時間でエッチングされる。電池効果によりAlを積極的にエッチングする場合、エッチング液としては特にリン酸が塩酸の5倍以上含まれていればその効果が得られるが、塩酸:リン酸=1:5のエッチング液のときには同時に多量の泡が発生する。そこで実験によりさらに研究を重ねた結果、塩酸:リン酸:水=1:10:1のエッチング液を用いたときに、泡の発生が少なく且つAlが短時間で積極的にエッチングできた。このエッチング処理により中間層25を確実に取除くことができ、各空洞部10、22や通路部24が形成される(図8(g)、図9(d))。
【0043】
その後、第二絶縁膜16上にSiNxを積層し、保護膜17を形成する。このSiNxは例えばCVDで形成され、ほぼ同じ厚みの膜がガラス基板1上の全面に積層される。このときリリース口15や通気口23では第二絶縁膜16などが存在しないため、リリース口15では第一絶縁膜13上に、通気口23では下層絶縁膜11上にそれぞれ保護膜17が積層される。この保護膜17は、センサ部4のリリース口15を塞ぐと同時に通気口部5の通気口23は塞がない程度の厚さに設定されている。空洞部10は中間層25により形成されるため、中間層25の厚さが空洞部10の厚さとなり、空洞部10内の厚さはほぼ均一になる。そして空洞部10の厚さが、リリース口15の下方の空間の底面からリリース口15までの距離に相当する。従って、空洞部10の厚さをd1、リリース口を塞ぐ保護膜17(閉塞部)の厚さをdとしたとき、d1≦dであればリリース口15を確実に塞ぐことができる。それに対して、通気口23の周囲部分には第一絶縁膜13とダミー電極20が存在し、通気口23部分では第一絶縁膜13とダミー電極20が取除かれているため、通気口23部分の底面はリリース口15部分の底面よりも下がった所に位置する。従って、通気口23の下方の空間の底面から通気口23までの距離をd2、第一絶縁膜13の厚さをd3、ダミー電極20の厚さをd4としたとき、d2=d1+d3+d4になり、d<d2であれば保護膜17を積層しても通気口23が塞がることはない。この条件を満たす保護膜17を積層することで、センサ部4では図6(g)に示すようにリリース口15が塞がれ、リリース口15から空洞部10内に塵埃が侵入することを防止できる。また通気口部5では図8(h)に示すように通気口23が第二空洞部22と連通するため、各センサ部4の空洞部10の圧力を外気とほぼ同じにすることができる。
【0044】
その後、図6(h)、図7(f)に示すようにセンサ部4の第二電極9上の第二絶縁膜16と保護膜17を取除く。この第二絶縁膜16と保護膜17は第一電極8の円状部8aから環状部8b付近までの領域が取除かれ、この領域の第二電極9が湾曲しやすくなる。これで圧力に対して敏感なセンサ部4を形成することができる。
【0045】
このようにセンサ部4に空洞部10を形成し、その形成に用いたリリース口15を塞いだとしても、空洞部10が外気と通気可能な状態を維持する。従って、例えこの後の製造工程でセンサ部を真空引きした空間に置いたとしても、空洞部10の内外で大きな気圧差が生じることを防止でき、第二電極9には大きな負荷がかからない。よって、センサ部4の破損を防ぐことができ、歩留まりが向上する。
【0046】
この実施例では、センサ部4の第二電極9を第二配線3と兼ねているため、特別に第二配線9を配置するスペースを設ける必要がなく、その分だけセンサ部4を密集させて配置することができる。従って圧力検知領域におけるセンサ部4の占める割合が増え、解像度が向上する。また、第二電極9と連結部30とを同じ金属層をパターニングして同時形成するため、簡単な工程により連結部を形成することができる。
【0047】
この実施例では第一配線2と第一電極8を第一配線2よりも高抵抗のコンタクト層12により接続したが、高抵抗のコンタクト層12の代わりにスイッチング素子を設けてもよい。図10はスイッチング素子として薄膜トランジスタ29(以下にTFTと示す)を設けたときの圧力検知領域を模式的に示した概略図である。第一配線2と第一電極8はTFT29で接続され、TFT29のゲート電極とソース電極は第一配線2に接続し、TFT29のドレイン電極は第一電極8と接続する。このTFT29はa−Si又はp−Siで形成され、そのチャネル部分の大きさは、チャネル長L=3〜10μm、チャネル幅W=5〜30μmになる。なお、各センサ部4や通気口部5などの形状は先の実施例と同じである。
【0048】
図10においては、走査信号が供給された第一配線2ではそれにつながるTFT29がONになり、第一電極8に走査信号を供給する。走査されていない第一配線2につながるTFT29はOFFになるため、第二配線3を流れる信号が走査されていないセンサ部4の第二電極9、第一電極8に伝わっても、その第一電極8から第一配線2に伝わることを防止できる。
【0049】
なお、第一配線2と第一電極8をTFT29で接続する場合を説明したが、第二配線3と第二電極9をTFTで接続してもよい。この場合、第二配線は第二電極9を連結して形成するものでなく、第二電極9とは別に第二配線を設ける。そしてTFTのゲート電極とソース電極を第二電極9に接続し、ドレイン電極を第二配線に接続する。そうすれば第一電極8を介して第二電極9に走査信号が入力されたときにTFTがONになり、第二配線に信号が流れる。
【0050】
またこの他、スイッチング素子としてTFT29を設けたときの圧力検知領域を模式的に示した他の概略図を図11に示した。図10と異なる点は第一配線2をゲート電極に接続するためのものと、ソース電極に接続するためのものと、それぞれ別々に設けている。TFT29のゲート電極はゲート電極用第一配線2aと接続し、TFT29のソース電極はソース電極用の第一配線2bと接続している。TFT29のドレイン電極は第一電極8と接続する。図11においては、第一配線2aにつながるTFT29が第一配線2aの信号の有無によりON或いはOFFとなり、ONとなったTFT29によって第一配線2bからの信号を第一電極8に供給する。OFFとなっているTFT29では、図10のものと同様に、第二配線3を流れる信号はセンサ部4の第二電極9、第一電極8に伝わっても、その第一電極8から第一配線2に伝わることを防止できる。
【0051】
なお、ソース電極用の第一配線2bを端部においてそれぞれ短絡させて共通の信号が供給されるものであってもよい。このようにすることにより、図10のものに比べ消費電力を抑えることができる。また図11においてはゲート電極用第一配線2aとソース電極用第一配線2bは並べて設けているが、SiNx等の絶縁膜を介して重ねて設けることにより、解像度の低下を抑えることもできる。また図11においてはゲート電極用第一配線2aとソース電極用第一配線2bが同一方向に形成されているが、一方の第一配線は第二電極と同一方向に形成されていてもよい。つまり、第一電極8に信号を供給する第一配線2a、2bの内、どちらか一方の第一配線2が第二配線3と交差して配置してあればよい。
【0052】
次に本発明の第四実施例を図面を参照して説明する。図12は図1の中で2×2の4つのセンサ部4の平面図であり、図13は図10のA−A断面図(センサ部1個分に相当)である。ガラス基板1、下層絶縁膜11及び第一配線2の構成は第一実施例と共通であり、説明を省略する。
【0053】
8は、基板1の上に配置された第一電極で、中心が接点部となる円盤状のランドを有する。この第一電極8は、例えばAlとMoの積層構造からなり、行方向の第一配線2にコンタクト層12を介して接続されている。コンタクト層12の構成は第一実施例と共通であり、説明を省略する。
【0054】
第一配線2は、それぞれの第一配線2において、第一電極8を介して接続しているセンサ部4の間ごとに幅広部19を有している。そして第一配線2に接続する第一電極8と、この第一配線2の隣に設けられた別の第一配線2に接続する第一電極8との間、つまり幅広部19と幅広部19の間において、第一配線2はくびれている。幅広部19で接続されたコンタクト層12は、第一配線2と第一電極8を接続する接続素子であり、図のように一定の長さを必要とするので、第一配線2の幅広部19はコンタクト層12の接続されない方に膨出するように形成されている。このような幅広部19を圧力センサ部4ごとに設けることで、くびれ部26が少しばかり細くても全体の抵抗値を低下させ、密着性を確保して剥離し難くなる
この実施例では、第一配線2のくびれ部26の形状が、隣接する第一電極8の輪郭に沿った形状になっている。つまり第一電極8の外形の輪郭が略円形状であり、くびれ部26はそのセンサ部4の外形から略一定間隔をおいた輪郭を有しており、くびれ部26の輪郭は第一電極8の輪郭に沿って略円弧状をしている。センサ部4の近傍ではくびれ部26を設けることが出来るので、センサ部4の集積度を高め、センサ部4の圧力を受ける箇所の面積を大きく取ることが出来、感度よく密に圧力位置を検出することが出来る。このような効果はくびれ部26の形状を隣接する第一電極8の輪郭に沿った形状にすることで、より効率よく得ることが出来る。なお、この実施例では、第一配線2のくびれ部26の形状が、この第一配線2の第一電極8と、この第一配線2と隣り合う第一配線2の第一電極8の両方の輪郭に沿って形成されているが、どちらか一方の第一電極8の輪郭に沿って形成されていてもよい。
【0055】
9は、第一電極8に空洞部10を介して対向して設けられた第二電極で、列方向の第二配線3を兼ねている。この第一電極8と第二電極9の間の空洞部10は各々のセンサ部4で列方向に、各々2本の通路部24で連通され、列の先端に配置された通気口5で開口されている。この第二電極9は例えばMoからなり、第一電極8の外輪(エッジ)から充分離れた位置から立ち上がる様に構成され、周辺部に4箇所のリリース口15を有している。この図の例では、第二電極9は実質的にセンサ部の大きさを決めるものであり、例えば一接点センサあたり最大径50μm(四角形であれば一辺が50μm)の大きさである。
【0056】
13は、第一電極に積層された第一絶縁膜で、同心円状に配置された2つのリング状をなしている。この第一絶縁膜13は、例えばSiNxまたはSiO2などであり、下層絶縁膜11や第一電極8の要部を覆うものである。そして、第一電極8の中央部分は、接点として機能させる接点領域27であるので、第一絶縁膜13で覆われず電極が露出している。
【0057】
リリース口15は、前述したような中間層25を除去して空洞部10を形成するための孔で、通路部24に設けられている。このリリース口15は、第二電極で空洞部10上側をすべて覆う場合は第二電極9に設けられるが、別途透孔を設けるための被膜を設けてその被膜に設けても良い。リリース口15は、一つのセンサ部に対して複数個、さらには各センサ部ごとに設けられるのが好ましい。最終的にこのリリース口15は絶縁膜18などによって塞がれるのが望ましいので、リリース口15が第一電極8の上方に位置していたとしても、センサ部4の動作状態でリリース口15から第一電極8が観察できるわけではない。リリース口15は接点領域27に近いので、これを開放しておくと塵埃や液体が空洞部10に入り込み、接点不良など支障が出る可能性があるからである。
【0058】
16は、第二絶縁膜で、第二電極9を単に大気に晒さないためのものであっても良いし、第二電極9を補強もしくは支持するものであっても良い。第二電極9の表面に第二絶縁膜16を設けることで、空洞部10の形成後に水が第二電極9を通過して空洞部10内に浸入することを防止でき、歩留まりを向上させることが出来る。また17、18は、工程上もしくは応力調整上必要とされる絶縁膜である。
【0059】
第二電極9そのものは略均一な膜厚をしているが、第一絶縁膜13の形状に従って前述した中間層25の表面が凹凸になるため、第二電極9も波打ったような凹凸形状となる。つまり第一絶縁膜13の存在する個所が上に浮き、凹部28の場所で沈み、これが同心円状であれば水面に石を投げ込んだときの様な波紋状となる。上述したように第一配線2はセンサ部4の傍でくびれているので、第二電極9は広い面積を圧力感知部として確保でき、また第二電極9が全体的に凹凸部分を有するため、第二電極9が柔軟となり、且つ復元力が増す。また第二電極9及びそれに積層された第二絶縁膜16に強い圧力が加わったときでも、第二電極9や第二絶縁膜16全体に応力が働くため、強度が増し、第二電極9が破損することは極めて稀となった。なお、本実施例のセンサ部4及び通気口部5の製造方法は第一実施例と共通するため説明は省略する。
【0060】
また、本実施例では第一電極8の形状をランド部を持つもの、即ち円板状として説明したが、中心円形部と環状部とを有する形状などこれに限定するものではない。また第二電極9を波打たせないほうが好ましい場合には、第一絶縁膜13は薄い平坦なものでよい。
【0061】
次に、誤検知を減らし高精度な圧力センサを実現するセンサ部、通気口部及び各配線の配置方法について説明する。図14は本発明の第五実施例である圧力センサの概略図である。圧力センサの構成は第一実施例と共通するため説明は省略する。図14において、二点鎖線で示した部分は最外周のセンサ部4が存在する最外周境界部となる。
【0062】
また、点線で示した部分より内側は、通気口部5を設けた際の最外周境界部を示している。つまり通気口部5を設けた場合、点線が通気口部5が存在する境界、或いは通気口部5が存在しない箇所においては最外周のセンサ部4が存在する境界である。なお、図14においては二点鎖線及び点線を最外周のセンサ部4及び通気口部5が存在する境界より若干広く描いている。また最外周のセンサ部4が存在する境界において、二点鎖線及び点線を若干離して描いている。そして走査回路6及び感知回路7が存在しない側も含めて、総ての第一配線2及び第二配線3は最外周境界部からさらに100μm以上延設されている。
【0063】
第一配線2及び第二配線3の端部が最外周境界部の付近、数μmから10μm程度に位置していると、この付近のセンサ部4の厚さが配線の有無により不均一に成り易く、センサの感度が異なってしまう。また中心部と周辺部のセンサにおいても感度が異なってしまい、誤検知の割合が増え、精度の悪い圧力センサとなってしまう。しかし総ての第一配線2及び第二配線3を最外周境界部からさらに延設しておけば、最外周境界部付近においてもセンサ部4の厚さが均一となり、中心部と周辺部においてもセンサ部4同士がより均一と成るため、全体として誤検知の少ない高精度の圧力センサを実現できる。
【0064】
図15は本発明の第六実施例である圧力センサの圧力検知領域の一部分を示す概略図である。圧力センサの構成は第一実施例と共通するため説明は省略する。図15においては、最外周部のセンサ部4から3列目までのセンサ部4を形状の検知機能を持たないダミーセンサ部4aとして用いている。
【0065】
第一配線2及び第二配線3をセンサ部4、通気口部5を含む領域の外側にまで配置した場合でも、圧力センサの製造工程における成膜の際、周辺部と中心部とで膜厚を完全に均一にするのが困難なため、最外周付近に位置するセンサの感度が異なりやすくなり、センサ全体として感度が不均一に成り、精度の悪い圧力センサとなってしまう。しかしこのような問題の生じる恐れのある最外周付近のセンサ部4をあえて検知に用いないダミーセンサ部4aとして製造することにより、ダミーセンサ部4aより内側のセンサ部4は極めて感度が均一なものとなり、センサ全体として誤検知の少ない高精度の圧力センサを実現できる。なお、本実施例では最外周部から3列目までのセンサ部をダミーセンサ部4aとしたが、ダミーとするセンサ部を配置する範囲は任意に定めることができ、例えば圧力検知領域の最外周部のみに配置してもよく、最外周部から2列目までとしてもよい。
【0066】
本発明ではセンサ部4として一対の電極による接触の有無により形状を検知する圧力センサを説明したが、本発明は空洞部を有する形態の圧力センサに有効であり、例えば静電容量方式のセンサにも適用できる。
【0067】
【発明の効果】
以上に述べたとおり、本発明によれば、第一配線と第一電極を第一配線よりも高抵抗のコンタクト部を介して電気的に接続した構成であるため、各センサ部の加圧状態を正確に検知することができ、高精度の圧力センサを実現することができる。
【0068】
また本発明は、第二配線はセンサ部の第二電極を兼ねている構成であり、また第一配線はこの第一配線とするセンサ部の間ごとに幅広部を有する構成であるため、センサ部を密集して配置することができ、高精度の圧力センサを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施例である圧力センサの概略を示す全体図である。
【図2】圧力センサのセンサ部及び通気口部の平面図である。
【図3】センサ部の断面概略図である。
【図4】通気口部の断面概略図である。
【図5】センサ部と通気口部を含む断面概略図である。
【図6】センサ部の製造工程を説明する断面図である。
【図7】センサ部の製造工程を説明する平面図である。
【図8】通気口部の製造工程を説明する断面図である。
【図9】通気口部の製造工程を説明する平面図である。
【図10】本発明の第二実施例の圧力検知領域を模式的に示した概略図である。
【図11】本発明の第三実施例の圧力検知領域を模式的に示した概略図である。
【図12】本発明の第四実施例である圧力センサのセンサ部及び通気口部の平面図である。
【図13】センサ部の断面概略図である。
【図14】本発明の第五実施例である圧力センサの最外周付近の概略図である。
【図15】本発明の第六実施例である圧力センサの一部分を示す概略図である。
【図16】従来の圧力センサの製造途中の状態を示す断面図である。
【図17】従来の圧力検知領域を模式的に示した全体図である。
【符号の説明】
2 第一配線
3 第二配線
4 センサ部
4a ダミーセンサ部
8 第一電極
9 第二電極
10 空洞部
12 コンタクト層
19 幅広部
29 薄膜トランジスタ(TFT)

Claims (12)

  1. 複数の第一配線と複数の第二配線を交差させて配置し、両配線の交差部付近にセンサ部を設けた圧力センサにおいて、
    前記センサ部は、前記第一配線と電気的に接続する第一電極と、前記第一電極と対向配置する第二電極と、前記第一電極と前記第二電極の間に形成された空洞部とを有し、
    前記第一配線は、該第一配線と接続する前記センサ部の間ごとに幅広部を有することを特徴とする圧力センサ。
  2. 前記第二配線は、前記第二電極を兼ねていることを特徴とする請求項1に記載の圧力センサ。
  3. 前記第一配線は、該第一配線と接続するセンサ部の第一電極と、該第一配線の隣に配置された第一配線と接続するセンサ部の第一電極との間において、少なくとも何れか一方の第一電極の形状に沿って設けられていることを特徴とする請求項1に記載の圧力センサ。
  4. 前記第一配線は、前記幅広部において前記第一電極と接続していることを特徴とする請求項1に記載の圧力センサ。
  5. 前記第一配線と前記第一電極は、前記第一配線よりも高抵抗なコンタクト層を介して電気的に接続していることを特徴とする請求項1に記載の圧力センサ。
  6. 前記コンタクト層は、導電性の不純物を混入したシリコン層で形成されていることを特徴とする請求項5に記載の圧力センサ。
  7. 前記コンタクト層は、多結晶シリコンで形成されていることを特徴とする請求項5に記載の圧力センサ。
  8. 前記第一配線と前記第一電極は、スイッチング素子を介して接続されていることを特徴とする請求項1に記載の圧力センサ。
  9. 前記スイッチング素子は、薄膜トランジスタであることを特徴とする請求項8に記載の圧力センサ。
  10. 総ての前記第一配線及び前記第二配線は、最外周の前記センサ部が存在する最外周境界部から延設していることを特徴とする請求項1に記載の圧力センサ。
  11. 前記センサ部を含む領域の最外周部分には、ダミーのセンサ部が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の圧力センサ。
  12. 複数の前記第一配線には、順次走査信号を供給することを特徴とする請求項1に記載の圧力センサ。
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