JP2005257356A - 圧力センサ - Google Patents

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公二 吉田
Shunsuke Yamaura
俊介 山浦
Takao Shintani
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Abstract

【課題】 圧力センサを大型化させないで、検知領域に占めるセンサ部の割合を大きくして、繊細な形状を高精度に検知できる圧力センサを提供すること。
【解決手段】 複数の第一配線12と複数の第二配線13とを交差させて配置し、両配線の交差部以外にセンサ部14とスイッチング素子41とを配置し、前記センサ部14は前記第一配線12とスイッチング素子41を介して電気的に接続された実質的に円形の第一電極18と、前記第一電極上18に形成された空洞部と、前記空洞部を挟んで前記第一電極18と対向配置された実質的に円形の第二電極19とを有し、前記第二配線13は、各列方向に並ぶ前記センサ部14の第二電極19と該第二電極間19に配置されたそれぞれの第二電極を電気的に接続する連結部40とからなり、前記スイッチング素子41を、前記第一配線12と前記第一電極18との間で前記連結部40と交差しない位置に配置する。
【選択図】 図1

Description

本発明は圧力センサに関し、特に指からの圧力を電気信号に変換して指紋を検知することができる圧力センサに関する。
個々を識別する装置として指紋センサが用いられており、この指紋センサは簡単でかつ精度よく指紋を検知することが要求されている。この種の指紋センサとしては、指紋を光学的に検知するものや電気的に検知するものなど、種々の形式のものが研究開発されている。たとえば、下記特許文献1には、電極を有するマイクロセンサ部をマトリクス状に配列し、指からの圧力を電気信号に変換して指紋を検知する圧力センサが開示されている。このマイクロセンサ部は、2枚の電極の間に空洞を介在させた状態で対向配置している。
この指紋センサのマイクロセンサ部の具体的構成を図面を用いて説明する。図6は、マイクロセンサ部の製造途中の断面図を示し、シリコン基板101上にはエッチングバリア層102が積層され、その上に所定のパターンでAu又はTiからなる第一金属層103が構成される。この第一金属層103は可変コンデンサの第一電極、若しくは、マイクロインダクタの第一端子として使用される。第一金属層103に対応して多結晶シリコン又はAlからなる隔膜104を形成し、隔膜104上にAu又はTiからなる第二金属層105を形成する。そして、基板101の表面全体を窒化シリコンからなる絶縁膜106で覆う。マイクロセンサ部の表面には、第二金属膜105及び絶縁膜106に隔膜104まで達する開口107が形成され、開口107の部分で隔膜104が外部に露出する。なお、図6はこの状態を表している。
この後で、基板101にウェットエッチングを行うが、このとき溶液が多結晶シリコン又はAlからなる隔膜104をエッチングし、隔膜104が取り除かれて空洞が形成される。エッチング終了後に開口107を窒化シリコンSiNxなどで塞ぎ、空洞を密閉する。そしてこのマイクロセンサ部に指から圧力が加わると、その圧力に応じて絶縁膜106及び第二金属層105が第一金属層103側へ湾曲し、その状態に応じた電気信号を出力して、指紋の形状を検知するようになっている。
この指紋の形状の検知は次のようにして行われる。すなわち、各マイクロセンサはマトリクス状に配置され、各マイクロセンサに加わる圧力の状態を検知するために、前記マイクロセンサの第一電極に第一配線が接続され、この第一電極に対向配置された第二電極に第二配線が接続され、第一配線に走査信号を供給してそのときの第二配線の出力を検出することで各マイクロセンサの状態を検知するようになっている。この第一金属層103と第一配線は同一の金属層をパターンニングして一体に形成され、マイクロセンサの第一金属層103が第一配線から突出した形状になる。同様に第二金属層105と第二配線も同一の金属層をパターンニングして一体に形成され、マイクロセンサの第二金属層105が第二配線から突出した形状になる。
このときの指紋の検知状態の一例を図7に示す。図7のS1〜S5が第一配線、L1〜L5が第二配線、両配線の交差部に配置したのがマイクロセンサA1〜E5を示す。マイクロセンサA1〜E1の内、斜線のハッチングが施されているものが圧力がかかって両金属層103、105が接触しているものを示す。ここでS3の第一配線に走査信号を供給したとき、それぞれマイクロセンサC2、C3を介して第二配線L2、L3に信号が流れ、この2つの第二配線のみから信号を検出することになる。
しかしながら、マイクロセンサの金属層は、これが接続されている配線と同一材料により一体形成されているため、第二配線に流れる信号が走査されていないマイクロセンサを介して他の第一配線に流れてしまうことがあった。例えば、第一配線S3に走査信号を流した際に、マイクロセンサC2を介して第二配線L2に流れる信号はマイクロセンサA2、B2を介して第一配線S1、S2に流れてしまうことがあり、また、マイクロセンサC3を介して第二配線L3に流れる信号はマイクロセンサD3、E3を介して第一配線S4、S5に流れてしまうことがある。その結果、圧力が掛かっていないマイクロセンサC1、C4及びC5にも圧力が掛かっていると誤検知することになり、精度の低下につながるという問題があった。
この問題点を解決するため、本件出願人は、第一配線よりも高抵抗のコンタクト部により第一電極と第一配線とを接続する構成、或いは、第一電極と第一配線とをスイッチング素子を介して接続する構成とすることにより、各センサ部の加圧状態を正確に検知することができる高精度の圧力センサに関する発明を別途特許出願している(特願2002−094971号、以下、「先願」という。)。
そこで、本願発明の理解のために、以下において前記先願明細書及び図面に開示されている圧力センサ(以下、「先願発明」という。)について説明する。図8は、先願発明に対応する指紋センサ10’の概略を示す図である。
この指紋センサ10’は、指先より一回り大きい透明なガラス基板11を備えており、このガラス基板11上には、行方向に存在する複数の第一配線12と列方向に存在する複数の第二配線13がマトリクス状に形成され、第一配線12と第二配線13の交差部付近にはセンサ部14が設けられ、第二配線13上には通気口部15が設けられている。ここで、複数のセンサ部14がマトリクス状に設けられた領域が指紋を検知する指紋検知領域に該当し、通気口部15は指紋検知領域外に設けられている。
通気口部15はセンサ部14が並ぶ列方向の延長線上に存在し、この列方向に並ぶセンサ部14群の一端部に隣接して配置されている。なお、通気口部15をセンサ部14群の他方の端部に隣接して配置することもできる。また、ガラス基板11には、複数の第一配線12を順次1つずつ励起する(電圧を印可する)走査回路16及び第二配線13に流れる信号を検知する感知回路17も設けられている。
センサ部14の詳細な構成は後述するが、センサ部14では第一配線12に接続する第一電極18と第二配線13に接続する第二電極19とが空洞部20を介して対向配置されている。第二電極19は指からの圧力に応じて第一電極18側に湾曲し、所定以上の圧力が加わると第一電極18に接触する。従って、指を指紋検知領域に押しつけたとき、指紋の凸部に対応するセンサ部14では両電極18、19が接触し、指紋の凹部に対応するセンサ部14では両電極18、19が離れたままである。このとき走査回路16から一つの第一配線12に走査信号を供給すると、両電極18、19が接触しているセンサ部14では両電極18、19を介して第二配線13に信号が流れ、両電極18、19が接触していないセンサ部では第二配線13に信号が流れない。そして、感知回路17で第二配線13に流れる信号を検知すれば、各センサ部14に加わる圧力を検知できる。走査回路16から各第一配線12に順次走査信号を供給し、指紋検知領域を一通り走査して指紋を検知する。
次に、先願発明に対応する指紋センサ10’のセンサ部14及び通気口部15の構成について図9〜図12を用いて説明する。図9は、センサ部14及び通気口部15の平面図を示し、図10は図9のA−A’線に沿ったセンサ部14の断面図、図11は図9のB−B’線に沿った通気口部15の断面図、図12は図9のC−C’線に沿ったセンサ部14及び通気口部15の断面図である。
ガラス基板11上には全面にSiNxによる下層絶縁膜21が積層されている。下層絶縁膜21上には複数の第一配線12がそれぞれ平行に配置され、センサ部14に第一電極18が形成される。この第一配線12と第一電極18は共に下層絶縁膜21上に積層された金属層をパターンニングして形成され、この金属層としては例えばAlとMoからなる積層構造が用いられる。第一電極18は、センサ部14の中央部に位置する円状部18aと、センサ部の周囲に位置する環状部18bと、円状部18aと環状部18bを接続する接続部18cとを備えている。コンタクト層22は、第一配線12と第一電極18を電気的に接続しており、第一配線12や第一電極18を構成する金属よりも高抵抗な部材或いはTFT(Thin Film Transistor)で形成することが適している。コンタクト層22をTFTで形成する場合には、TFTのソース電極とゲート電極とを接続してダイオードとして動作させることができる。
SiNxなどにより形成された第一絶縁膜23は、下層絶縁膜21や第一配線12などを覆っている。第一絶縁膜23はセンサ部14にも存在するが、センサ部14の中央付近には円状のセンサ孔24が形成され、第一電極の円状部18aの中央部分を露出させている。このセンサ孔24の大きさや厚さ(センサ孔24の周縁の第一絶縁膜23の厚さ)はセンサの感度に影響する。
第一絶縁膜23から露出した第一電極18は空洞部20を介在させて第二電極19と対向配置する。空洞部20の形成方法は後述するが、センサ部14を平面方向から見たとき、空洞部20は第一電極の環状部18bまで広がっている。また、センサ部14の四隅にはリリース口25が設けられ、空洞部20はこのリリース口25まで延在している。第二電極19は金属層により形成され、例えばMoが用いられる。センサ部14内では、第二電極19は50μm×50μmの正方形上にパターンニングされ、四隅にリリース口25が開口している。列方向に並ぶセンサ部14では、それぞれ隣接するセンサ部14との間に互いの第二電極19を電気的に連結する連結部40が形成され、第二電極19や連結部40が第二配線13を兼ねている。連結部40は第二電極よりも幅が狭く、第一配線12に第一絶縁膜23を介して直交方向に重なっており、第二電極19と連結部40は同一金属をパターンニングして形成されている。
第二絶縁膜26及び保護膜27は、SiNx、SiO、ポリイミド、ポリアクリレート等からなり、第一絶縁膜23や第二配線12上に積層されている。第二絶縁膜26と保護膜27とは別工程で形成される。第二絶縁膜26にはリリース口25が形成され、リリース口25を形成した後で第二絶縁膜26上に保護膜27を形成するため、リリース口25は保護膜27で塞がれる。そして、リリース口25を塞ぐ保護膜27と第二絶縁膜26上に積層される保護膜27は同時形成されるが、膜としては連続せずに分かれている。このリリース口25を塞ぐ保護膜27が閉塞部に相当する。
センサ部14では、第二電極上の第二絶縁膜26と保護膜27が取り除かれ、第二電極19が露出している。そのため第二電極19が湾曲しやすくなり、指紋の凹凸部が第二電極にあたると湾曲して第一電極18と接触するため、圧力に対して敏感なセンサ部14になる。なお、指紋センサとして使用する場合、センサ部14の中央に図示しない微少な砲弾型の凸状物が配置され、この凸状物により指紋の微細な模様を検知するようになっている。
次に通気口部15について説明する。通気口部15の中央付近には、下層絶縁膜21上にダミー電極30が形成されている。ダミー電極30は中心に開口を有するドーナツ状の金属層であり、第一配線12や第一電極18と同一工程で形成される。従って、下層絶縁膜21の全面にMoとAlの積層構造からなる第一電極18を同時形成する。そしてダミー電極30は第一配線12と電気的な接続がなく、独立して設けられている。第一絶縁膜23は下層絶縁膜21やダミー電極30を覆うように積層され、通気口部15の中央付近では第一絶縁膜23を取り除いて通気口33設け、下層絶縁膜21やダミー電極30の一部を露出している。
通気口部15には補助電極31が設けられており、この補助電極31はセンサ部の第二電極19と同様にMo等からなる金属層を50μm×50μmの正方形にパターンニングし、四隅にリリース口25を形成している、通気口部15の補助電極31はその形状がセンサ部の第二電極19と類似しているが、指紋を検知する機能はなく、第二配線13の一部として存在する。補助電極31と第一絶縁膜23との間には第二空洞部32が設けられ、この第二空洞部32はセンサ部の空洞部20と空間的に連通し、両空洞部20、32間を通気可能にしている。補助電極31上には第二絶縁膜26が積層され、補助電極31と同様にリリース口25が設けられている。
通気口部15の中央には補助電極31及び第二絶縁膜26を貫通する通気口33が形成されている。そして、通気口33に対応する位置にはダミー電極30、第一絶縁膜23が存在しない。第二絶縁膜26上に保護膜27を積層するとき、リリース口25はこの保護膜27の一部によって塞がれて第二空洞部32との連通状態を絶たれるが、通気口33では保護膜27が下層絶縁層21上に積層されるために第二空洞部32との連通状態を維持する。通気口部15では補助電極上の第二絶縁膜26、保護膜27により補助電極31の湾曲が規制され、通気口33の周辺が補強される。
中空状でその内部を空気が行き来できる通路部34が、通気口部15とセンサ部14との間や隣接するセンサ部14間に位置し、センサ部14の空洞部20と通気口部15の第二空洞部32をつないでいる。通路部34は、その底面を下層絶縁膜21で、側面や上面を第二配線13の金属層で構成している。通路部34により各センサ部14の空洞部20と通気口部15の第二空洞部32が空間的に連通状態になる。また、通路部34の横幅は空洞部20の横幅よりも狭くなっているため、通気口33から入ってきた塵埃が通路部34を介して空洞部20に進入することを防止できる。
このような構造により、保護膜27により各リリース口25を塞いだ後でも、センサ部14の空洞部20内をほぼ外気圧と同じ気圧に保つことができ、そのため、真空引きを行う工程中にセンサ部14の第二電極19が破損することを防止できる。更に、センサ部14とは別に通気口部15を設けているため、センサ部14の空洞部20内に塵埃が進入することを防止できるという効果を奏するものである。
特開平09−126918号公報(特許請求の範囲、図1、5、6) 特開平10−200129号公報(特許請求の範囲、図1、2、7)
しかしながら、上記の先願発明に対応する指紋センサは、正方形状のセンサ部14の四隅にリリース口25を配置すると共に、このセンサ部14の周囲に第一配線12及び第一配線12よりも高抵抗のコンタクト部からなるコンタクト層22を、第一電極と第一配線との間を接続するように、隣り合うセンサ部14の間に配置している。したがって、リリース口25、第一配線12及びコンタクト層22は指紋検知に関与しないため、それだけ解像度が低下してしまう。高精度の検知が要求される場合には、センサ部の個々で判別することが必要だが、第一配線12よりも高抵抗のコンタクト部からなるコンタクト層22では誤作動をする可能性があり、できるだけ指紋検知領域に占めるセンサ部の精度アップが求められている。
本発明は、上記課題を解消すべく成されたものであり、特に前記コンタクト層22とTFT等のスイッチング素子を採用すると共に、リリース口を設ける位置及びスイッチング素子の配置を工夫することにより、圧力センサを大型化させないで、センサ部の形状を小さくして検知領域に占めるセンサ部の割合を大きくして、繊細な形状を高精度に検知できる圧力センサを提供することにある。
本発明の上記目的は以下の構成により達成し得る。すなわち、本願の請求項1に記載の圧力センサの発明は、複数の第一配線と複数の第二配線とを交差させて配置し、両配線の交差部以外にセンサ部とスイッチング素子とを配置した圧力センサにおいて、前記センサ部は前記第一配線とスイッチング素子を介して電気的に接続された実質的に円形の第一電極と、前記第一電極上に形成された空洞部と、前記空洞部を挟んで前記第一電極と対向配置された実質的に円形の第二電極とを有し、前記第二配線は、各列方向に並ぶ前記センサ部の第二電極と該第二電極間に配置されたそれぞれの第二電極を電気的に接続する連結部とからなり、前記スイッチング素子は、前記第一配線と前記第一電極との間で前記連結部と交差しない位置に配置されていることを特徴とする。
また、本願の請求項2に係る発明は、前記請求項1に記載の圧力センサにおいて、前記スイッチング素子が薄膜トランジスタであることを特徴とする。
また、本願の請求項3に係る発明は、前記請求項2に記載の圧力センサにおいて、前記薄膜トランジスタのゲート電極及びソース電極が前記第一配線に接続されており、ドレイン電極が前記第一電極に接続されていることを特徴とする。
更に、本願の請求項4に係る発明は、前記請求項2に記載の圧力センサにおいて、更に前記第一配線に平行な複数の第三配線を有し、前記薄膜トランジスタのゲート電極が前記第一配線に、ソース電極が前記第三配線に、ドレイン電極が前記第一電極に接続され、前記複数の第三配線は全て共通の所定電位に接続されていることを特徴とする。
また、本願の請求項5に係る発明は、前記請求項4に記載の圧力センサにおいて、前記第三配線は、前記第一配線の上又は下に絶縁膜を介して積層配線されていることを特徴とする。
また、本願の請求項6に係る発明は、前記請求項1に記載の圧力センサにおいて、前記連結部の中央部に前記空洞部を形成する際に使用されるリリース口が形成されていることを特徴とする。
また、本願の請求項7に係る発明は、前記請求項6に記載の圧力センサにおいて、前記リリース口は、前記連結部と前記第一配線の交差部に設けられていることを特徴とする。
また、本願の請求項8に係る発明は、前記請求項6に記載の圧力センサにおいて、前記リリース口は保護膜により閉塞されており、前記各々の空洞部は密閉されていることを特徴とする。
更に、本願の請求項9に係る発明は、前記請求項1〜8のいずれかに記載の圧力センサにおいて、前記圧力センサが指紋センサであることを特徴とする。
本発明の上記構成によれば、以下のような優れた効果を奏する。すなわち本願の請求項1に記載の圧力センサによれば、スイッチング素子の形状を小さくできるだけでなく、このスイッチング素子が円形状の第二電極19に接することなく、隣合うの第二電極19と第一配線12との間のスペースに形成されているため、第一配線に沿った複数のセンサ部間の間隔を狭くすることができ、しかも、第二配線のためのスペースも不要となるので、圧力の検知に関与しない部分の面積が非常に小さくなるので、圧力検知に関与するセンサ部の占める面積を更に増大させることができるようになり。
また、本願の請求項2に記載の圧力センサによれば、スイッチング素子としてのTFTは非常に小型に、かつ薄く形成できるので、圧力の検知に関与しない部分の面積をより小さくでき、しかも低消費電力の圧力センサが得られる。
また、本願の請求項3に記載の圧力センサによれば、TFTのゲート電極とドレイン電極とを接続してダイオードとして使用するという簡単な構成によりスイッチング素子として作動させることができるようになる。
また、本願の請求項4に記載の圧力センサによれば、第三配線を設けてTFTを増幅作用のあるスイッチング素子として作動させることができるため、高速で高感度な圧力センサが得られる。
また、本願の請求項5に記載の圧力センサによれば、第三配線のためのスペースが不要となるため、高感度でありながら圧力検知に関与するセンサ部の占める面積が大きな圧力センサが得られる。
また、本願の請求項6に記載の圧力センサによれば、前記請求項1に記載の圧力センサの効果に加えて以下の効果を奏する圧力センサが得られる。すなわち、圧力センサの空洞部を形成するには、一対の電極間にリリース層を介在させて積層させた後にこのリリース層をエッチングして除去する必要があるので、エッチング液を効率よく導入するためのリリース口を設けることが必要不可欠である。しかしながら、このリリース口は圧力の検知には関与しない。本願の請求項6に記載の圧力センサによれば、リリース口が圧力の検知に関与しない前記センサ部のそれぞれの間を電気的に接続する連結部に設けられているため、リリース口によって生じていた圧力の検知に関与しない部分の面積が減るので、圧力検知に関与するセンサ部の占める面積を増大させることができるようになる。
また、本願の請求項7に記載の圧力センサによれば、前記リリース口が、それぞれ圧力検知に関与しない連結部と第一配線との交差部に設けられているので、リリース口によって生じていた圧力の検知に関与しない部分の面積が更に減るので、圧力検知に関与するセンサ部の占める面積をより増大させることができるようになる。
また、本願の請求項8に記載の圧力センサによれば、リリース口が保護膜により閉塞されて空洞部は密閉されているので、リリース口からセンサ部の空洞内へ塵が入ることがなくなり、故障の少ない圧力センサを得ることができる。
また、本願の請求項9に記載の圧力センサによれば、センサ部の間隔が狭く、しかもより高密度にセンサ部が配置された指紋センサが得られるので、より正確に指紋を検知することができるようになる。
以下、図面を参照して、本発明の最良の実施形態を説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための圧力センサの一例としての指紋センサを例示するものであって、本発明をこの指紋センサに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものも等しく適用し得るものである。
以下、本発明の実施例に係る指紋センサを図1〜4を用いて説明するが、図8に示した先願発明に対応する指紋センサと同一の構成については同一の参照符号を付与して説明することとする。なお、図1は本発明の指紋センサ10のセンサ部14の平面図、図2は図1のA−A’線に沿った断面図、図3は図1のB−B’線に沿った断面図、図4は図1のC−C’線に沿った断面図である。
ガラス基板11上には、全面にSiNxによる下層絶縁膜21が積層され、この下層絶縁膜21上には複数の第一配線12がそれぞれ平行に配置される。また、センサ部14にほぼ円形で一部にTFT41との接続部18’を有する第一電極18が形成される。この第一配線12と第一電極18は共に下層絶縁膜21上に積層された金属層を同時にパターンニングして形成され、この金属層としては例えばAlとMoからなる積層構造が用いられる。そして、第一配線12上及び第一電極18の周辺部にはSiNx又はSiOによる第一絶縁膜23が配置され、この絶縁膜23上に前記第一配線12と平行に複数の第三配線42が配置される。
センサ部14間に位置する第一配線12上には、絶縁層23を介してa−Si又はp−Siからなるアイランド43が配置される。そして、第一電極18の接続部18’の表面の一部に設けられたコンタクト22’を介して、このアイランド43の一部表面を覆うように金属層からなるドレイン電極Dが設けられ、また、アイランド43の一部と第三配線42との間には同じく金属層からなるソース電極Sが設けられる。そして、第一配線12がゲート電極Gとなり、ドレイン電極D及びソース電極Sとによりチャネル長L=3〜10μm、チャネル幅W=5〜30μmのTFT41が形成される。このTFT41は、円形状の第二電極19に接することなく、隣り合うの第二電極19と第一配線12との間のスペースに形成される。
第一絶縁膜23は、下層絶縁膜21及び第一配線12を覆い、また、第一電極18の外周部分も覆い、それによって窪みを持った円形状のセンサー孔24を形成している。第一絶縁膜23で第一電極18の外周を覆う形状にすることにより、空洞部20上に第一電極18と対向配置される第二電極19の形状も窪みを持つことになり、第一電極18と第二電極19は接触時に点接触でなく、面接触となる。
第一絶縁膜23から露出した第一電極18は空洞部20を挟んで第二電極19と対向配置している。センサ部14を平面方向からみたとき、空洞部20は第一電極18全体を覆うように広がっている。また、列方向に配置された各センサ部14間の第二電極19は連結部40により電気的に接続されており、この第二電極19及び連結部40が第二配線13を形成する。そして、連結部40には、第一配線12及び第三配線42を横切って第一のリリース口25aが設けられ、又、第二配線13に直交する方向である各センサ部14の両側に第二のリリース口25bが設けられ、空洞部20はこれらのリリース口25a、25bまで延在している。
この実施例では、前記先願発明に対応する指紋センサとは異なり、通気口部15(図8、図9参照)が設けられておらず、前記第一のリリース孔25a及び第二のリリース孔25bは共に保護膜27a及び27bにより完全に塞がれている。
ここで、第二電極19の形成方法について説明する。第一絶縁膜23、第三配線42、TFT41等を形成した後、露出した第三配線42、TFT41等の表面の上をSiNxないしはSiOで形成される第三絶縁膜44(図4参照)で被覆し、次いで第一絶縁膜や露出した第一電極上にAlからなるリリース層を積層する。その後、フォトリソグラフィー法などでこのリリース層を所定の形状にパターンニングし、リリース層を形成する。このリリース層は最終的に取り除かれるが、リリース層の存在した部分が空洞部20となる。
第二電極19は空洞部20上に例えばMoよりなる金属層により形成される。この第二電極19は第一電極18と同様の円形状を有し、第一電極18を覆い得る大きさとなっている。この第二電極19は列方向の第二配線13を兼ねている。なお、この第二配線13を兼ねる第二電極19にはリリース口25a、25bが後工程で設けられる。
第二電極19上には、SiNx、SiO2等の無機材料からなる絶縁膜35、オーバーコート膜36が形成される。このSiNxで形成された絶縁膜35は、エッチング・剥離時の浸透防止及び第二電極19の強度補強のために設けられる。オーバーコート膜36は、まず、無機絶縁膜35を形成した後に、オーバーコート膜36となる感光性を有するPI(ポリイミド)からなる有機膜を基板11上に塗布し、スピンナーにより均一な膜にする。そして、リリース口25a及び25bを除いた部分の有機膜を露光処理して250〜300℃でポストベーク(焼成)して硬化させ、現像処理によりリリース口25a及び25bに対応する有機膜を取り除く。
オーバーコート膜36は、ポストベークした後に膜厚が均一で凹凸のない平滑面とすることにより、オーバーコート膜36の下層に位置する第二電極19に圧力がかかった時のセンサ検知感度を均一なものとすることができる。
オーバーコート膜36上には、第二絶縁膜26、保護膜27が積層される。本例では、第二絶縁膜26と保護膜27はSiNxで形成されているが、SiOあるいはポリイミドやポリアクリレートなどの有機膜でもよい。また、オーバーコート膜36もポリイミドに限定されるものではなく、ノボラック樹脂などの有機絶縁膜、SiNxやSiOなどの無機絶縁膜、a−Siなどの半導体膜、ITOやIZOなどの導電性膜でも良い。
但し、オーバーコート膜36は、第二絶縁膜26と異なる材質にするのがよい。また、オーバーコート膜36に導電性膜を用いる場合は各センサ部14ごとに独立した形状とすべきである。オーバーコート膜36はセンサ部14の中央付近において第二電極19上に形成されるため、第二電極19と同様の柔軟性や弾力性があるほうがよい。
この実施例では、第二絶縁膜26と保護膜27は同一材料で形成されているが、別工程で形成される。第二絶縁膜26にはリリース口25a、25bが形成され、空洞部20を形成した後に第二絶縁膜26上に保護膜27を形成することで、リリース口25a及び25bを保護膜27の一部27a及び27bで完全に塞ぐことができる。
次に空洞部20の形成工程を説明する。センサ部14ではリリース口25a、25bに該当する部分のSiNxからなる第二絶縁膜26を取り除く。この第二絶縁膜26が取り除かれた部分では、第二電極19が露出する。第二絶縁膜26を取り除いた後にMoとAlの両方の材料を除去するエッチング処理をすれば、リリース口25a、25bに位置する金属層が除去される。エッチング方法としては、ドライエッチングとウェットエッチングの両方が利用できる。例えば、エッチング液にリン酸、硝酸、酢酸の混合液を用いれば、MoとAlの両方がエッチングできる。このエッチング処理により、センサ部14ではリリース口25a、25bに対応する部分の第二電極19と中間層が取り除かれる。
次に、中間層だけを除去するエッチング処理を行なう。このときウェットエッチングを行ない、エッチング液に塩酸、燐酸、水の混合液を用いる。エッチング液はリリース口25a、25bを通じて中間層に達し、中間層の端部から順にエッチングする。混合比が塩酸:燐酸:水=1:5:1のエッチング液を使用した場合、中間層のAlと第二配線13などを構成するMoとの間に異種金属による電池効果が生じ、Alが短時間でエッチングされる。このエッチング処理により中間層を確実に取り除くことができ、空洞部20を形成できる。
その後、第二絶縁膜26上にSiNxを積層し、保護膜27を形成する。このSiNxは例えばCVDで形成され、ほぼ同じ厚みの膜がガラス基板11上の全面に積層される。このとき、リリース口25a及び25bでは第二絶縁膜26などが存在しないため、リリース口25a及び25bでは第一絶縁膜23上にそれぞれ保護膜27が形成され、リリース口25a及び25bは保護膜27の一部27a及び27bで完全に塞がれるので、空洞部20は密閉された状態となり、空洞部20内へ塵埃が侵入することを防止できる。
その後、センサ部14の第二電極19上の第二絶縁膜26と保護膜27を取り除く。これで、第二電極19が湾曲しやすくなり、圧力に対して敏感なセンサ部14を形成できる。
上記実施例では、第一電極18をTFT41のドレイン電極Dに、第一配線12をTFT41のゲート電極Gに、第三配線をTFT41のソース電極Sに、それぞれ接続した構成を有しており、指紋検知領域を模式的に示した等価回路の概略は図5(a)に示したとおりとなる。すなわち、第三配線42が図示しない所定の電位に接続されている。そして、走査信号が供給された第一配線12ではそれにつながるTFT41がONになり、第一電極18に走査信号を供給する。走査されていない第一配線12につながるTFT41はOFFになるため、第二配線13を流れる信号が走査されていないセンサ部14の第二電極19、第一電極18に伝わっても、その第一電極18から第一配線12に伝わることを防止できる。
この実施例の指紋センサ10においては、TFT41を従来はリリース口が設けられていたスペースである第一電極と第一配線とに最も近接するスペースに設けることができるので、指紋センサの小型化を図ることができ、センサ部14を高密度に配置することができるので、高精度の指紋センサが得られる。加えて、スイッチング素子であるTFT41は増幅作用のあるトランジスタとして作動するので、非常に高速、高感度な指紋センサとなる。
なお、このような第三配線42を設けると回路が複雑となるので、第三配線を省略してTFT41のゲート電極G及びソース電極Sを短絡させて第一配線12に接続し、TFT41をダイオードとして動作させることもできる。この場合の指紋検知領域を模式的に示した等価回路の概略は図5(b)に示したとおりとなり、この場合も、走査信号が供給された第一配線12ではそれにつながるTFT41がONになり、第一電極18に走査信号を供給する。走査されていない第一配線12につながるTFT41はOFFになるため、第二配線13を流れる信号が走査されていないセンサ部14の第二電極19、第一電極18に伝わっても、その第一電極18から第一配線12に伝わることを防止できる。
この実施例においても、TFT41を従来はリリース口が設けられていたスペースである第一電極と第一配線とに最も近接するスペースに設けることができるので、高密度にセンサ部を配置でき、より正確に指紋を検知することができる。
また、この実施例の指紋セン10は、前記先願発明に対応する指紋センサ10’とは異なり、リリース口25a及び25bはエッチング処理により空洞部20を形成後に完全に塞いで各センサ部14を密閉しているので、隣接する各センサ部14間は空洞部により連結されていない。そのため、の実施例の指紋セン10は通気部15(図9参照)も存在していない。したがって、この実施例の指紋センサ10は、前記先願発明に対応する指紋センサ10’に比して、より小型化、高精度化することができる。しかしながら、前記先願発明と同じように、隣接する各センサ部14間は空洞部により連結させても良く、更には通気部を設けても良い。
本発明の実施例に係る指紋センサのセンサ部及び通気口部の平面図である。 図1のA−A’線に沿った断面図である。 図1のB−B’線に沿った断面図である。 図1のC−C’線に沿った断面図である。 指紋検知領域を模式的に示した等価回路の概略であり、図5(a)はTFTをトランジスタとして作動させた場合、図5(b)はTFTをダイオード接続した場合を示す。 従来例のマイクロセンサ部の製造途中の断面図である。 図6のマイクロセンサを使用した指紋センサにおける指紋の検知状態の一例を示す図である。 先願発明の実施例に対応する指紋センサの概略を示す図である。 先願発明の実施例に対応する指紋センサのセンサ部及び通気口部の平面図である。 図9のA−A’線に沿ったセンサ部14の断面図である。 図9のB−B’線に沿った通気口部15の断面図である。 図9のC−C’線に沿ったセンサ部14及び通気口部15の断面図である。
符号の説明
10、10’ 指紋センサ
11 ガラス基板
12 第一配線
13 第二配線
14 センサ部
15 通気口部
18 第一電極
19 第二電極
20 空洞部
22 コンタクト層
23 第一絶縁膜
24 センサ孔
25 リリース口
26 第二絶縁膜
27 保護膜
32 第二空洞部
33 通気口
34 通路部
35 絶縁膜
36 オーバーコート膜
40 連結部
41 TFT
42 第三配線
43 アイランド
44 第三絶縁膜

Claims (9)

  1. 複数の第一配線と複数の第二配線とを交差させて配置し、両配線の交差部以外にセンサ部とスイッチング素子とを配置した圧力センサにおいて、前記センサ部は前記第一配線とスイッチング素子を介して電気的に接続された実質的に円形の第一電極と、前記第一電極上に形成された空洞部と、前記空洞部を挟んで前記第一電極と対向配置された実質的に円形の第二電極とを有し、前記第二配線は、各列方向に並ぶ前記センサ部の第二電極と該第二電極間に配置されたそれぞれの第二電極を電気的に接続する連結部とからなり、前記スイッチング素子は、前記第一配線と前記第一電極との間で前記連結部と交差しない位置に配置されていることを特徴とする圧力センサ。
  2. 前記スイッチング素子が薄膜トランジスタであることを特徴とする請求項1に記載の圧力センサ。
  3. 前記薄膜トランジスタのゲート電極及びソース電極が前記第一配線に接続され、ドレイン電極が前記第一電極に接続されていることを特徴とする請求項2に記載の圧力センサ。
  4. 前記第一配線に平行な複数の第三配線を有し、前記薄膜トランジスタのゲート電極が前記第一配線に、ソース電極が前記第三配線に、ドレイン電極が前記第一電極に接続され、前記複数の第三配線は全て共通の所定電位に接続されていることを特徴とする請求項2に記載の圧力センサ。
  5. 前記第三配線は、前記第一配線の上又は下に絶縁膜を介して積層配線されていることを特徴とする請求項4に記載の圧力センサ。
  6. 前記連結部の中央部に前記空洞部を形成する際に使用されるリリース口が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の圧力センサ。
  7. 前記リリース口は、前記連結部と前記第一配線の交差部に設けられていることを特徴とする請求項6に記載の圧力センサ。
  8. 前記リリース口は保護膜により閉塞されており、前記各々の空洞部は密閉されていることを特徴とする請求項6に記載の圧力センサ。
  9. 前記圧力センサが指紋センサであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の圧力センサ。
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