JP4085863B2 - 圧力センサおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧力センサに関し、特に微細な形状を検知するセンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、個々を識別する装置として指紋センサが用いられており、この指紋センサには簡単で且つ精度良く指紋を検知することが要求されている。この種の指紋センサとしては指紋を光学的に検知するものや電気的に検知するものなど、様々なタイプのものが研究、開発されている。例えば特開平9−126918号公報や特開平10−300610号公報には、電極を有するマイクロセンサ部をマトリクス状に配置し、指からの圧力を電気信号に変換して指紋を検知するものが記載されている。このマイクロセンサ部は、2枚の電極の間に空洞を介在させた状態で対向配置している。
【0003】
図20には製造途中におけるマイクロセンサ部の断面図を示す。シリコン基板101上にはエッチングバリア層102が積層され、その上に所定のパターンでAu又はTiによる第一金属層103が形成される。この第一金属層103は可変コンデンサの第一電極、若しくは、マイクロコンタクタの第一端子として使用される。第一金属層103に対応して多結晶シリコン又はAlからなる隔膜104を形成し、隔膜104上にAu又はTiからなる第二金属層105を形成する。そして基板101の表面全体を窒化シリコンからなる絶縁膜106で覆う。マイクロセンサ部の表面には第二金属膜105及び絶縁膜106に隔膜104まで達する開口107が形成され、開口107の部分で隔膜が外部に露出する。なお図20ではこの状態を示している。この後で基板101にウェットエッチングを行うが、このとき溶液が多結晶シリコン又はAlからなる隔膜104をエッチングし、隔膜104が取除かれて空洞が形成される。エッチング終了後に開口107を窒化シリコンなどで塞ぎ、空洞を密閉する。そしてマイクロセンサに指からの圧力が加わると、その圧力に応じて絶縁膜106及び第二金属層105が第一金属層103側へ湾曲し、その状態に応じた電気信号を出力して、指紋の形状を検知する。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−126918号公報
【特許文献2】
特開平10−300610号公報に
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
マイクロセンサの上方電極になる第二金属層105には、指からの圧力に応じて第一金属層103側に湾曲する柔軟性と、圧力がなくなったときに元の状態に戻る復元力が要求される。それに対して絶縁膜106は金属に比べて硬いため、従来のように第二金属層105を絶縁膜106で覆った場合は、第二金属層105と絶縁層106との柔軟性や弾力性の差が大きくなり、使用している間に第二金属層105などが破損する可能性が高かった。特に第二金属層105上には絶縁性を保つために膜厚の厚い絶縁膜が複数形成されるため、絶縁膜106と第二金属層105との柔軟性に大きな差が生じやすく、破損しやすかった。
【0006】
また柔軟性を有する第二金属層105は強度が弱いため、マイクロセンサの使用回数が多くなると第二金属層105が破損しやすくなり、精度や耐久性が低下する。また、従来の第二金属層105は全体が平坦に形成されるため、材質や膜厚によって柔軟性や復元力を設定することになる。しかし柔軟性を得るために膜厚を薄くすると復元力が弱くなり、復元力を補うために膜厚を厚くすると柔軟性がなくなるため、従来のものでは十分な柔軟性と復元力を備えた第二金属層105を得ることが困難であった。
【0007】
本発明はかかる点に鑑みなされたもので、センサ部の故障が少なく、適正な感度の圧力センサを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明の圧力センサは、複数のセンサ部をマトリクス状に配置し、各センサ部は、センサ部内に配置された第一電極と、第一電極を覆う第一絶縁膜と、第一絶縁膜に形成されると共に第一電極の一部分を露出させるセンサ孔と、少なくとも露出した第一電極の上方に位置する空洞部と、空洞部を挟んで第一電極に対向配置すると共に第一電極側に湾曲可能な第二電極とを有することを特徴とする。
【0009】
また本発明は、複数のセンサ部を配置した圧力センサの製造方法において、センサ部内に第一電極を形成する工程と、第一電極上に中間層を形成する工程と、中間層上に第二電極を形成する工程と、第二電極上にオーバーコート膜を形成する工程と、オーバーコート膜上に絶縁膜を形成する工程と、中間層を取除いて空洞部を形成する工程と、センサ部の中央部分に存在する絶縁膜を取除いて開口部を形成する工程とを備えたことを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の実施例を図面を参照して説明する。なお、この実施例では複数のセンサ部を並べて微細な形状を検出する圧力センサを説明するが、本発明は微細な形状を検知する圧力センサに限定するものではない。例えば、センサ部を1つにして圧力を検知する圧力センサでもよく、また若干大きめのセンサ部を複数並べて押圧の有無を検知するタッチパネルでもよい。さらに、この実施例ではセンサ部として一対の電極の接触の有無により検知状態を識別するものを説明するが、本発明は、センサ部に一対の電極の間隔に応じた検知信号を出力する静電気式にも有効である。
【0011】
まず第一の実施例を図面を参照して説明する。図1は本発明の圧力センサの概略を示す全体図である。1は透明なガラス基板であり、ガラス基板1上には行方向に存在する複数の第一配線2と列方向に存在する複数の第二配線3がマトリクス状に形成されている。この実施例では基板としてガラス基板1を用いたが、ガラス基板に限定するものではなく、プラスティックフィルムなどでもよい。4は第一配線2と第二配線3の交差部付近に設けられたセンサ部、5は第二配線3上に設けられた通気口部である。複数のセンサ部4をマトリクス状に並べた領域が、微細な形状を検知する圧力検知領域に該当し、通気口部5は圧力検知領域外に設けられている。なお、センサ部4を組み込んだ圧力センサ装置には形状を検知するための領域が設けられているが、ここでいう圧力検知領域とはこの圧力センサ装置の形状を検知するための領域ではなく、センサ部4が存在する領域のことを意味する。通気口部5はセンサ部4が並ぶ列方向の延長線上に存在し、この列方向に並ぶセンサ部群の両端に隣接して配置されている。なお、通気口部5をこのセンサ部群の一方の端部にだけ隣接配置してもよい。6は第一配線2に走査信号を供給する走査回路、7は第二配線3に流れる信号を検知する感知回路である。
【0012】
センサ部4の詳細な構成は後述するが、センサ部4では第一配線2に接続する第一電極と第二配線3に接続する第二電極が空洞部を介して対向配置している。第二電極は検体からの圧力に応じて第一電極側に湾曲し、所定以上の圧力が加わると第一電極に接触する。そして検体を圧力検知領域に押し付けたとき、検体の凸部に対応するセンサ部4では両電極が接触し、検体の凹部に対応するセンサ部4では両電極が離れたままである。このとき走査回路6から1つの第一配線2に走査信号を供給すると、両電極が接触しているセンサ部4では両電極を介して第二配線3に信号が流れ、両電極が接触していないセンサ部4では第二配線3に信号が流れない。そして感知回路7で第二配線3を流れる信号の有無を検知すれば、各センサ部4に加わる圧力を検知できる。走査回路6から各第一配線2に順次走査信号を供給し、圧力検知領域を一通り走査して形状を検知する。
【0013】
図2はセンサ部4及び通気口部5の平面図を示し、図3は図2のA−Aに沿った断面であるセンサ部4の断面図、図4は図2のB−Bに沿った断面である通気口部5の断面図、図5は図2のC−Cに沿った断面図である。
【0014】
まずセンサ部4の構造について説明する。ガラス基板1上には全面にSiNxによる下層絶縁膜11が積層されている。下層絶縁膜11上には複数の第一配線2がそれぞれ平行に配置され、センサ部4に第一電極8が形成される。この第一配線2と第一電極8は共に下層絶縁膜11上に積層された金属層をパターニングして形成される。この金属層としては例えばAlとMoによる積層構造が用いられる。第一電極8は、センサ部4の中央部に位置し中央電極部に相当する円状部8aと、センサ部4の周囲に位置する環状部8bと、円状部8aと環状部8bを接続する接続部8cとを備えている。この実施例では1つの環状部8bを設け、この環状部8bはセンサ部4の中央を中心とした環状である。
【0015】
12は第一配線2と第一電極8を電気的に接続する細長状のコンタクト層であり、アモルファスシリコン層や多結晶層、金属層により形成されている。このコンタクト層12は第一配線2や第一電極8の金属よりも高抵抗な部材で形成する。ここでコンタクト層12の抵抗をR、第一配線2に供給される走査信号の電圧をE、第二配線3を流れる電流をIとすると、E=IRの関係が成り立つ。従って1つのセンサ部4を介して第二配線3に流れる信号は、電流値がIになる。しかし、第二配線3を流れる信号が、例えばセンサ部4、走査されていない第一配線2、他の列のセンサ部4、他の列の第二配線3と流れた場合、走査信号は始めの第一配線2から見て最終的に3つのコンタクト層12を通過することになる。そして、この他の列の第二配線3を流れる電流をI’とすると、E=3RI’となり、I’=I/3となる。従って第二配線3を流れる電流値を見ることで他のセンサ部4を経由していないかを見分けることができ、センサ自体の精度を向上させることができる。
【0016】
このコンタクト層12には膜厚均等に成膜でき、光学的手段を用いてパターン形成可能なものがよく、ここでは多結晶シリコンや導電性不純物を混入したアモルファスシリコン層からなるが、スイッチング素子や整流素子(ダイオードなど)で構成しても良い。
【0017】
コンタクト層12の抵抗は感知回路7で検出できる最小の電流値を基にして決める。また、高抵抗のコンタクト層12を用いる場合は、配線抵抗を小さくする必要がある。抵抗は距離に比例するため、走査回路6から離れるほど走査回路6までの抵抗も高くなる。そのため走査回路6から遠いところに位置するセンサ部4までの配線抵抗がコンタクト層12と同程度の抵抗になった場合、感知回路7の検出結果から適正な値かどうかの見分けがつかなくなる。よって第一配線2には抵抗の小さいAl等を含むようにした方がよい。
【0018】
13はSiNxまたはSiO2などによる第一絶縁膜であり、下層絶縁膜11や第一配線2などを覆っている。第一絶縁膜13はセンサ部4にも存在するが、センサ部4の中央付近には円形状のセンサ孔14が形成され、第一電極の円状部8aの中央部分を露出させている。このセンサ孔14の大きさや厚さ(センサ孔14周縁の第一絶縁膜13の厚さ)はセンサの感度に影響する。
【0019】
第一電極の円状部8aの周囲を第一絶縁膜13で覆っているため、第二電極9が第一電極8と大きな範囲で密着することがなく、第二電極9が第一電極8に接触した後に第一絶縁膜13付近から第二電極9が第一電極8と離れる。そして第一絶縁膜13が厚くなるほど、第二電極9の弾力性が弱くても元の状態に戻りやすくなるが、第二電極9が第一電極8に接触する可能性も低くなる。
【0020】
また、センサ孔14が大きいときは第一電極8の露出部分が多くなり、第二電極9と接触する可能性が増える。従ってセンサ部4に掛かる小さな圧力の検知が可能になるが、それだけ過度の検知にもなりやすい。それに対してセンサ孔14が小さくなると第一電極8の露出部分が少なくなり、第二電極9と接触する可能性が少なくなるため、その分だけ圧力に対して鈍感なセンサになる。
【0021】
よって、第一絶縁膜13の厚さやセンサ孔14の大きさは圧力センサに求められる感度によって適宜設定される。そして、第一絶縁膜13の厚さは約500Å〜約10000Å、センサ孔14の直径は約5μm〜約40μmであれば、精度よく形状を検知できる圧力センサになる。第一絶縁膜13の厚さは約2000〜約5000Åであればより好ましい。なおセンサ孔14を多角形状にしてもよく、そのときセンサ孔14の大きさは一辺が約5μm〜約40μmの正方形の範囲内にするとよい。
【0022】
第一絶縁膜13から露出した第一電極8は空洞部10を介在させて第二電極9と対向配置する。空洞部10の形成方法は後述するが、センサ部4を平面方向から見たとき、空洞部10は第一電極の環状部8bまで広がっている。また、センサ部4の4隅にはリリース口15が設けられ、空洞部10はこのリリース口15にまで延在している。
【0023】
第二電極9は金属層により形成され、例えばMoが用いられる。センサ部4内では、第二電極9は50μm×50μmの正方形状にパターニングされ、4隈にリリース口15が開口している。列方向に並ぶセンサ部4では、それぞれ隣接するセンサ部4との間に互いの第二電極9を電気的に連結する連結部30が形成され、第二電極9や連結部30が第二配線3を兼ねている。連結部30は第二電極9よりも幅が狭く、第一配線2に第一絶縁膜13を介して直交方向に重なっている。第二電極9と連結部30の製造工程は後述するが、第二電極9と連結部30は同一の金属層をパターニングして形成されている。
【0024】
第二電極9が第二配線3を兼ねることで、特別に第二配線用の専用配線を設ける必要がなくなる。したがって、圧力検知領域内に占めるセンサ部4の面積を増やすことができ、それだけ圧力検知領域のスペースを有効に使える。
【0025】
第二電極9はほぼ均一な膜厚を有しているが、後述する中間層25の表面が第一電極8の形状に応じて凹凸になるため、第二電極9も凹凸形状になる。つまり大まかに見て円状部8aや環状部8bに対向する部分が凸状になり、第一電極8に対向しない部分が凹状になる。こうして第二電極9が全体的に凹凸部分を有するため、第二電極9が補強され復元力が増加する。また第二電極9に強い圧力が掛かったときでも、第二電極9の全体に応力が働くため強度が増し、第二電極9が破損する可能性が低減し、耐久性が向上する。
【0026】
16は第二絶縁膜、17は保護膜であり、第一絶縁膜13や第二配線2上に積層される。この実施例では共にSiNxで形成されている。なお、これらの膜16、17はSiNxに限定するものではなく、SiO2でもよく、ポリイミドやポリアクリレートなどの有機絶縁膜でもよい。詳細は後述するが、第二絶縁膜16と保護膜17は別工程で形成される。第二絶縁膜16にはリリース口15が形成され、リリース口15を形成した後で第二絶縁膜16上に保護膜17を形成するため、リリース口15は保護膜17で塞がれる。そして、リリース口15を塞ぐ保護膜17と第二絶縁膜16上に積層される保護膜17は同時形成されるが、膜としては連続せずに分かれている。このリリース口15を塞ぐ保護膜17が閉塞部に相当する。なお、この保護膜17の膜厚をリリース口15部分の深さより厚くしていけば、リリース口15内の保護膜17と第二絶縁膜16上の保護膜17がつながる。
【0027】
センサ部4では、第二電極9上の第二絶縁膜16と保護膜17が円形状に取除かれ、第二電極9が露出している。第二電極9は第二絶縁膜16が被覆されている境界部分を支点にして湾曲するため、第二絶縁膜16が取除かれている範囲の大きさによって第二電極9の柔軟性が変わる。第二絶縁膜16を大きく取除くと第二電極9が湾曲しやすくなり、検体の凸部が第二電極9に当たったときに第二電極9が湾曲して第一電極8と接触するため、圧力に対して敏感なセンサ部4になる。それに対して、第二電極9上に第二絶縁膜16や保護膜17を広めに残した場合、その分だけ第二電極9が湾曲し難くなるため、圧力に対して鈍感なセンサ部4になる。第二電極9の湾曲のしやすさはセンサ部4の感度に影響し、圧力に対して敏感になるほど圧力の検知のし過ぎにより検体の形状が不明瞭になり、圧力に対して鈍感になるほど微細な形状を検知できない部分が存在するため検体の形状が不鮮明になる。したがって敏感になりすぎても、鈍感になりすぎても誤検知の可能性が増大するため、第二電極9の湾曲のし易さが適正になるように設計する必要がある。そして第二絶縁膜16が取除かれている部分の境界が第一電極8の最も外側の環状部8bよりも内側に位置するように設定すると、第二電極9の柔軟性と復元力が適切な範囲内になる。
【0028】
薄膜の第二絶縁膜16や保護膜17が第二電極9上に存在すると第二電極9の補強及び保護の役割を果すため、それだけ第二電極9の破損は少なくなる。この実施例では第二絶縁膜16と保護膜17を除去しているが、これらの条件を考慮して、除去せずに第二電極9上の第二絶縁膜16や保護膜17の厚み方向の一部を取除き、中央部分を薄くしてもよい。このとき薄くした部分はセンサ部4を中心として円形状にするとよい。なお、この実施例では第二絶縁膜16を円形状に取除いたが、第二絶縁膜を四角形状に取除いてもよい。
【0029】
第二電極9上の第二絶縁膜16を取除いた部分または第二絶縁膜16を薄くした部分の大きさは、円形状の場合、直径約5μm〜約40μmが適している。より好ましくは約24〜約28μmが適している。なお四角形状の場合、その大きさは一辺が約5μm〜約40μmの正方形の範囲内がよい。
【0030】
次に通気口部5について説明する。20は通気口部5の中央付近に位置し、下層絶縁膜11上に形成されたダミー電極である。ダミー電極20は中心に開口を有するドーナツ状の金属層であり、第一配線2や第一電極8と同一工程で形成される。従って、例えば下層絶縁膜11の全面にMoとAlの積層構造からなる金属層を積層し、この金属層をパターニングしてダミー電極20、第一配線2、第一電極8を同時形成する。そしてダミー電極20は第一配線2と電気的な接続がなく、孤立して設けられている。第一絶縁膜13は下層絶縁膜11やダミー電極20を覆うように積層され、通気口部5の中央付近では第一絶縁膜13を取除いて下層絶縁膜11やダミー電極20の一部を露出している。
【0031】
21は通気口部5に位置する補助電極であり、センサ部4の第二電極9と同様にMo等からなる金属層を50μm×50μmの正方形状にパターニングし、4隈にリリース口15を形成している。通気口部5の補助電極21はその形状がセンサ部4の第二電極9と類似しているが、形状を検知する機能はなく、第二配線3の一部として存在する。補助電極21と第一絶縁膜13の間には第二空洞部22が設けられ、この第二空洞部22はセンサ部4の空洞部10と空間的に連通し、両空洞部10、22間を通気可能にしている。補助電極21上には第二絶縁膜16が積層され、補助電極21と同様にリリース口15が設けられている。
【0032】
通気口部5の中央には補助電極21及び第二絶縁膜16を貫通する通気口23が形成されている。そして通気口23に対応する位置にはダミー電極20、第一絶縁膜13が存在しない。第二絶縁膜16上に保護膜17を積層するとき、リリース口15はこの保護膜17の一部によって塞がれて第二空洞部22との連通状態を絶たれるが、通気口23では保護膜17が下層絶縁膜11上に積層されるため第二空洞部22との連通状態を維持する。通気口部5では補助電極21上の第二絶縁膜16、保護膜17は取除かれず、そのまま残っている。従って第二絶縁膜16、保護膜17により補助電極21の湾曲が規制され、通気口23の周辺が補強されることになり、製造中や使用中でも通気口23は第二空洞部22と連通している。
【0033】
24は中空状でその内部を空気が行き来できる通路部であり、通気口部5とセンサ部4の間や隣接するセンサ部4間に位置し、センサ部4の空洞部10同士やセンサ部4の空洞部10と通気口部5の第二空洞部22をつないでいる。通路部24は、その底面を第一絶縁膜13で、側面や上面を第二配線3の金属層である補助電極21で構成している。通路部24により各センサ部4の空洞部10と通気口部5の第二空洞部22が空間的に連通状態になり、通気口23を介して外気の行き来が可能になる。また通路部24の横幅は空洞部10の横幅よりも狭くなっているため、通気口23から入ってきた塵埃が通路部24を介して空洞部10に侵入することを防止できる。
【0034】
このような構造により、保護膜17により各リリース口15を塞いだ後でも、センサ部4の空洞部10内をほぼ外気圧と同じ気圧に保つことができる。そのため真空引きを行う工程中にセンサ部4の第二電極9には大きな負荷がかからず、破損することを防止できる。さらにセンサ部4とは別に通気口部5を設けているため、センサ部4の空洞部10内に塵埃が侵入することを防止でき、故障の少ない圧力センサを得ることができる。なお、圧力センサの使用時に通気口部5から塵埃が入り込まないように、この通気口23を最終的に塞いでも良い。
【0035】
次にセンサ部4と通気口部5の製造工程を図面に基づいて説明する。図6はセンサ部4の製造工程を示す断面図(図3の断面図に相当)、図7はセンサ部4の製造工程を示す平面図、図8は通気口部5の製造工程を示す断面図(図4の断面図に相当)、図9は通気口部5の製造工程を示す平面図である。
【0036】
ガラス基板1上にSiNxからなる下層絶縁膜11を積層し、下層絶縁膜11上にSi層を積層する。Si層をアニール処理によって多結晶化し、その後でフォトリソグラフィ法によりコンタクト層12に相当する部分だけSi層を残す。その後、MoとAlの積層構造をした金属層をスパッタ法等により下層絶縁膜11上に形成し、フォトリソグラフィ法により図6(a)、図7(a)、図8(a)に示すような第一配線2、第一電極8、ダミー電極20を形成する。このときダミー電極20は中央に開口がない円板状に形成される。
【0037】
次に、下層絶縁膜11や第一配線2上にSiNxを積層して第一絶縁膜13を形成する。そしてエッチング工程によって、第一絶縁膜13は円状部8aとダミー電極20に対応する部分が取除かれている。センサ部4では図6(b)、図7(b)に示すように、円状部8a上の第一絶縁膜13を円形状に取除き、センサ孔14を形成している。こうして円状部8aの中央部分を露出させ、円状部8aの周縁部分を第一絶縁膜11で被覆している。また通気口部5では図8(b)、図9(a)に示すように、ダミー電極20上の第一絶縁膜13を円形状に取除いている。そしてダミー電極20の中央部分を露出させながら、ダミー電極20の周縁部分は第一絶縁膜13で被覆されている。ダミー電極20上の第一絶縁膜13のエッチング部分は、通気口23よりも大きくなっている。円状部8a上に存在する第一絶縁膜13の割合は圧力センサの感度に影響し、ダミー電極20上に存在する第一絶縁膜13の割合は通気口23の大きさに影響する。
【0038】
次に、第一絶縁膜13や露出した第一電極8、ダミー電極20上にAlからなる金属層を積層する。その後、フォトリソグラフィー法などでこの金属層を所定形状にパターニングし、中間層25を形成する。この中間層25は最終的には取除かれるが、中間層25の存在した部分が空洞部10や通路部24になる。従って、センサ部4では図6(c)、図7(c)に示す形状の中間層25になり、通気口部5では図8(c)、図9(b)に示す形状の中間層25になる。センサ部4の中間層25は、第一電極8の円状部8aから環状部8bまでを覆うほぼ円形状の部分とそこから突出して4箇所のリリース口15まで延在する部分とを備えている。通気口部5の中間層25もセンサ部4の中間層25とほぼ同じ形状をしている。通気口部5のダミー電極20は中央付近にのみ存在するため、通気口部5には第一電極8の環状部8bのような金属層は存在しないが、中間層25はダミー電極20を含む通気口部5の大部分を覆う円形状の部分とそこから突出してリリース口15まで延在する部分とを備えている。そして、隣接するセンサ部4同士の間やセンサ部4と通気口部5との間には、通路部24に相当する細長状の中間層25が存在する。従って、列方向に並ぶ各センサ部4と通気口部5では、その部分に存在する中間層25が分割することなく連なって形成されている。なお、各中間層25の形状や厚み等の大きさは、希望する空洞部10や通路部24の形状、サイズに合わせて設計される。
【0039】
次に、中間層25や第一絶縁膜13上に金属層をスパッタ法により積層する。この金属層はMoとAlの積層構造になる。センサ部4の中間層25は第一電極8の形状に応じて表面が凹凸状になる。この金属層上にレジストを塗布し、フォトリソグラフィ法による露光、現像、エッチング処理を施して第二電極9や連結部30を含む第二配線3を形成する。このとき中間層25は第二配線3の金属層で完全に覆われた状態になる。図6(d)、図7(d)に示すように、センサ部4では中間層25を完全に覆うほぼ四角形状の第二電極9がほぼ均一な膜厚で形成され、中間層25の表面の凹凸に応じて第二電極9も凹凸状になる。このとき、まだ第二電極9にはリリース口15を形成しない。また図8(d)、図9(c)に示すように、通気口部5にも中間層25を完全に覆うほぼ四角形状の補助電極21が形成され、この工程のときには補助電極21にもリリース口15と通気口23を形成しない。通路部24に相当する中間層25は連結部30で覆われ、この連結部30により隣接するセンサ部4の第二電極9を電気的に連結する。
【0040】
次に、第二電極9や第一絶縁膜13上にSiNxを積層し、第二絶縁膜16を形成する。そしてセンサ部4では図6(e)、図7(e)に示すようにリリース口15に該当する部分のSiNxを取除き、また通気口部5では図8(e)に示すようにリリース口15と通気口23に該当する部分のSiNxを取除く。この第二絶縁膜16が取除かれた部分は、それぞれ第二電極9、補助電極21の一部分が露出する。
【0041】
次に、MoとAlの両方の材質を除去するエッチング処理をする。このエッチング処理により第二絶縁膜16から露出している部分の金属層が除去される。エッチング方法としては、ドライエッチングとウェットエッチングの両方が利用できる。例えば、エッチング液にリン酸、硝酸、酢酸の混合液を用いれば、MoとAlの両方がエッチングできる。このエッチング処理により、センサ部4では図6(f)に示すようにリリース口15に対応する部分の第二電極9と中間層25が取除かれる。また、通気口部5では図8(f)に示すように、リリース口15に対応する部分の補助電極21と中間層25、通気口23に対応する部分の補助電極21、中間層25、ダミー電極20が取除かれる。
【0042】
次に、中間層25だけを除去するエッチング処理を行う。このときウェットエッチングを行い、エッチング液に塩酸、リン酸、水の混合液を用いる。エッチング液はリリース口15を通じて中間層25に達し、中間層25の端部から順にエッチングする。混合比が塩酸:リン酸:水=1:5:1のエッチング液を使用した場合、中間層25のAlと第二配線3などを構成するMoとの間に電池効果が生じ、Alが短時間でエッチングされる。電池効果によりAlを積極的にエッチングされる場合、エッチング液としては特にリン酸が塩酸の5倍以上含まれていればその効果が得られるが、塩酸:リン酸=1:5のエッチング液のときには同時に多量の泡が発生する。そこで実験によりさらに研究を重ねた結果、塩酸:リン酸:水=1:10:1のエッチング液を用いたときに、泡の発生が少なく且つAlが短時間で積極的にエッチングできた。このエッチング処理により中間層25を確実に取除くことができ、各空洞部10、22や通路部24が形成される(図8(g)、図9(d))。
【0043】
その後、第二絶縁膜16上にSiNxを積層し、保護膜17を形成する。このSiNxは例えばCVDで形成され、ほぼ同じ厚みの膜がガラス基板1上の全面に積層される。このときリリース口15や通気口23では第二絶縁膜16などが存在しないため、リリース口15では第一絶縁膜13上に、通気口23では下層絶縁膜11上にそれぞれ保護膜17が積層される。この保護膜17は、センサ部4のリリース口15を塞ぐと同時に通気口部5の通気口23は塞がない程度の厚さに設定されている。
【0044】
空洞部10は中間層25により形成されるため、中間層25の厚さが空洞部10の厚さとなり、空洞部10内の厚さはほぼ均一になる。そして空洞部10の厚さが、リリース口15の下方の空間の底面からリリース口15までの距離に相当する。従って、空洞部10の厚さをd1、リリース口を塞ぐ保護膜17(閉塞部)の厚さをdとしたとき、d1≦dであればリリース口15を確実に塞ぐことができる。それに対して、通気口23の周囲部分には第一絶縁膜13とダミー電極20が存在し、通気口23部分には第一絶縁膜13とダミー電極20が取除かれているため、通気口23部分の底面はリリース口15部分の底面よりも下がった所に位置する。従って、通気口23の下方の空間の底面から通気口23までの距離をd2、第一絶縁膜13の厚さをd3、ダミー電極20の厚さをd4としたとき、d2=d1+d3+d4になり、d<d2であれば保護膜17を積層しても通気口23が塞がることはない。この条件を満たす保護膜17を積層することで、センサ部4では図6(g)に示すようにリリース口15が塞がれ、リリース口15から空洞部10内に塵埃が侵入することを防止できる。また通気口部5では図8(h)に示すように通気口23が第二空洞部22と連通するため、各センサ部4の空洞部10の圧力を外気とほぼ同じにすることができる。
【0045】
その後、図6(h)、図7(f)に示すようにセンサ部4の第二電極9上の第二絶縁膜16と保護膜17を取除く。この第二絶縁膜16と保護膜17は第一電極8の円状部8aから環状部8b付近までの領域が取除かれ、この領域の第二電極9が湾曲しやすくなる。これで圧力に対して敏感なセンサ部4を形成することができる。
【0046】
このようにセンサ部4に空洞部10を形成し、その形成に用いたリリース口15を塞いだとしても、製造工程中に空洞部10が完全に外気と遮断される状態が存在しない。従って、例えこの後の製造工程でセンサ部を真空引きした空間に置いたとしても、空洞部10の内外で大きな気圧差が生じることを防止でき、第二電極9には大きな負荷がかからない。よって、センサ部4の破損を防ぐことができ、歩留まりが向上する。
【0047】
次に第一電極8の第二実施例を図10に基づいて説明する。図10はセンサ部4内の第一電極8の平面図である。ここでは第一電極8の形状が異なるが、その他の構成は第一実施例と同じであり、説明を省略する。第二実施例の第一電極8はセンサ部4の中央に位置する円状部8aと、円状部8aを囲む2つの環状部8bと、円状部8aと環状部8bを連結する細長状の接続部8cを有している。この実施例の環状部8bは、センサ部4の中央を中心とした同心円状であって、それぞれ直径の大きさが異なる二重の環で構成されている。そして最も外側に位置する環状部8bは第一実施例の環状部8bとほぼ同じ大きさであり、その直径はセンサ部4の一辺よりも若干短く設定されている。
【0048】
第二電極9は第一電極8の形状に沿って凹凸形状を有し、第一電極8の円状部8aと2つの環状部8bと接続部8cに対応する部分が凸状になり、第一電極8が存在しない部分が凹状になる。この実施例では第一実施例と比べて環状部8bが1つ多い分だけ第二電極9の凹凸も増え、第二電極9の強度も増し、復元力が増加する。このとき第一電極8上に第一絶縁膜13を設けなければ、円状部8aだけでなく環状部8bも第二電極9と電気的な接触が可能となり、感度も向上する。第二実施例でも第二絶縁膜16が第二電極9の中央部分を除いて被覆しているが、この第二絶縁膜16により被覆されている部分の境界は2つの環状部8bの間に位置する。第一電極8に環状部8bが3つ以上あるときは、第二絶縁膜16により被覆された部分の境界は最も外側の環状部8bと次に外側の環状部8bとの間に位置する。
【0049】
次に第一電極8の第三実施例を図11に基づいて説明する。第三実施例は第一実施例と第一電極8の形状が異なるが、その他の構成は同じである。そして第三実施例は第二実施例の第一電極8と類似しており、2つの環状部8bが円状部8aと分割されている。この円状部8aには接続部8cを介して第一配線2の走査信号が供給されるが、環状部8bは電気的に分断されているため走査信号は供給されず、第二電極9を凹凸形状にするために用いられる。この第一電極8では環状部8bが形状の検知に関与しないため、感度は低下する。しかし、僅かな圧力では第一電極8と第二電極9が電気的な接触をしないため、誤検知の可能性も低下する。
【0050】
なお本発明の第一電極8は実施例に限定するものでなく、第一電極8を凹凸にする他の形状も適用できる。そして、その凹凸に沿って第二電極9も凹凸形状になり、復元力が向上する。
【0051】
次に本発明の第四の実施例を図面を参照して説明する。図12はセンサ部4の断面図であり、図2のA−Aに沿った断面に対応する。なお、この実施例は第二電極上にオーバーコート膜を設けたものであり、センサ部4等の主な構成は第一の実施例と同じである。従って共通する構成については、説明を省略する。
【0052】
29はオーバーコート膜であり、第二電極9を覆っている。16は第二絶縁膜、17は保護膜であり、オーバーコート膜29上に積層される。オーバーコート膜29はポリイミドなどの有機膜で形成され、第二絶縁膜16と保護膜17はSiNxで形成されている。なお、第二絶縁膜16と保護膜17は絶縁膜であればSiNxに限定するものではなく、SiO2でもよく、ポリイミドやポリアクリレートなどの有機膜でもよい。また、オーバーコート膜29はポリイミドに限定するものではなく、ノボラック樹脂などの有機絶縁膜、SiNxやSiO2の無機絶縁膜、a−Siなどの半導体膜、ITOやIZOの導電性膜でもよい。第二電極9上では第二絶縁膜16に開口を形成するがオーバーコート膜29には開口を形成しないため、オーバーコート膜29は第二絶縁膜16とは異なる材質にするのがよい。またオーバーコート膜29に導電性膜を用いるときは各センサ部4に独立したオーバーコート膜29を形成する。オーバーコート膜29はセンサ部4の中央付近に第二電極9と一緒に残るため、第二電極9と同様の柔軟性や弾力性がある方がよい。従ってオーバーコート膜29は比較的薄く形成される。なお、この実施例ではオーバーコート膜29を1層で形成したが、薄い2層の膜により形成してもよい。
【0053】
このオーバーコート膜29は次のように形成される。第二電極9上にオーバーコート膜29となる感光性を有するポリイミドを基板1上に塗布し、スピンナーにより均一な膜にする。そしてリリース口15や通気口23を除いた部分の有機膜を露光処理で硬化し、現像処理によりリリース口15や通気口23に対応する有機膜を取除く。このオーバーコート膜29は第二電極9以外の部分にも形成されるが、第二電極9上のみに形成してもよい。
【0054】
センサ部4では、第二電極9上の第二絶縁膜16と保護膜17を円形状に取除いて開口部26を形成する。この開口部26では第二電極9とオーバーコート膜29が存在する。そのため第二電極9が湾曲しやすくなり、検体の凸部が第二電極9に当たったときに第二電極9が湾曲して第一電極8と接触するため、圧力に対して敏感なセンサ部4になる。それに対して、第二電極9上に第二絶縁膜16や保護膜17を残した場合、その分だけ第二電極9が湾曲し難くなるため、圧力に対して鈍感なセンサ部4になる。第二電極9の湾曲のしやすさはセンサ部4の感度に影響し、圧力に対して敏感になるほど圧力を過度に検知するため検体の輪郭が不明瞭になり、圧力に対して鈍感になるほど検体を検知できない部分が存在するため検体が不鮮明になる。したがって敏感になりすぎても、鈍感になりすぎても誤検知の可能性が増大するため、第二電極9の湾曲のし易さが適正になるように、開口部26の大きさを設計する必要がある。なお、この実施例では開口部26を円形状にしたが、四角形状などの他の形状でもよい。
【0055】
18はポリイミドなどの有機絶縁膜からなるシール材であり、保護膜17上に積層されている。このシール材18は通気口部5の通気口23を最終的に塞ぐものであり、開口部26では取除いてある。なお、シール材18としてはSiNx、SiO2を用いてもよい。
【0056】
次に本発明の第五の実施例を図面を参照して説明する。図13は図1の中で2×2の4つのセンサ部4の平面図、図14は図13のA−A断面図(センサ部1個分に相当)である。ガラス基板1、下層絶縁膜11及び第一配線2の構成は第一実施例と共通であり、説明を省略する。
【0057】
8は、基板1の上に配置された第一電極で、中心が接点部となる円盤状のランドを有する。この第一電極8は、例えばAlとMoの積層構造からなり、行方向の第一配線2にコンタクト層12を介して接続されている。コンタクト層12の構成は第一実施例と共通であり、説明を省略する。
【0058】
9は、第一電極8に空洞部10を介して対向して設けられた第二電極で、列方向の第二配線3を兼ねている。この第一電極8と第二電極9の間の空洞部10は各々のセンサ部4で列方向に各々2本の連通部31で連通され、列の先端に配置された通気口部5で開口されている。この第二電極9は例えばMoからなり、各センサ部毎に見たときに、第一電極8の外輪(エッジ)から充分離れた位置から立ち上がる略四角形をなし、四隅にリリース口15を有している。この図の例では、第二電極9は実質的にセンサ部4の大きさを決めるものであり、例えば一接点センサあたり50μm×50μmの大きさである。なお、この実施例では、第二電極9と一体に形成され、隣接するセンサ部4との間に存在する金属層も第二電極9と同じ幅を有している。この隣接するセンサ部4間に存在する金属層は、連通部31を覆うと共に隣接するセンサ部4の第二電極9同士を電気的に接続する役割を果し、これにより第二電極9が第二配線3として作用する。そして第二電極9も含めて第二配線3として見たとき、全体的な形状が細長状の電極となる。
【0059】
リリース口15は、一つのセンサ部に対して複数個、さらには各センサ部ごとに設けられるのが好ましい。本発明にあっては、上面から平面的に見たときに、このリリース口15から第一電極8の輪郭部分が覗くような配置、即ち少なくとも第一電極8に対向する部分を有する様に第二電極9に設けられている。ただし、最終的にこのリリース口15は保護膜17などによって塞がれるのが望ましいので、センサ部4の動作状態でリリース口15から第一電極8が観察できるわけではない。リリース口15は接点領域27に近いので、これを開放しておくと塵埃や液体が空洞10に入り込み、接点不良など支障が出る可能性があるからである。
【0060】
なお、本実施例においては、リリース口15は第一実施例に比べセンサ部4の中心寄りに形成されている。中間層25を除去するエッチング処理を行う際、エッチング液はリリース口15を通じて中間層25に達し、中間層25の端部から順にエッチングするため、リリース口15の位置がセンサ部4の内側にあるほど中間層25の除去効率が向上するが、センサ部4の中央部は第一電極8が第一絶縁膜13で被覆されていないため、リリース口15を形成する際第一電極8もエッチングされてしまうおそれがある。したがってリリース口15の内側の端部は第一絶縁膜13で被覆された第一電極8の外周縁上にあることが好ましい。
【0061】
この実施例ではリリース口15が連通部31に重なるように形成されている。連通部31は細長い通路になるため、リリース口15を連通部31上に設けることで、製造中に連通部31内に存在する中間層を確実に取除くことができる。
【0062】
13は、第一電極8に積層された第一絶縁膜で、同心円状に配置された2つのリング状をなしている。この第一絶縁膜13は、例えばSiNxまたはSiO2などであり、下地層11や第一電極8の要部を覆うもので、本実施例にあっては、特に第二電極9及びその上に密着して設けられた被膜の形状を特定するものでもある。そして、第一電極8の中央部分は、接点として機能させる接点領域27であるので、第一絶縁膜13で覆われず電極が露出しているが、第一絶縁膜13の凹部28においては第一電極8を露出させる必要はないので、薄く覆っていても良い。この場合、第一絶縁膜13の断面図はまさしく略凹字状になる。なお、この実施例では凹部28で第一電極8を露出させている。凹部28で第一電極8を露出させる場合、凹部28も接点として機能するため、それだけ敏感なセンサになる。また、凹部28での段差が大きくなるため、後述する第二電極9の凹凸が大きくなり、第二電極9の強度が向上する。
【0063】
29はオーバーコート膜であり、第二電極9を覆っている。16は第二絶縁膜、17は保護膜であり、オーバーコート膜29上に積層される。オーバーコート膜29、第二絶縁膜16、及び保護膜17の材質や構成は第四実施例と共通するため、説明を省略する。
【0064】
第二電極9そのものは略均一な膜厚をしているが、第一絶縁膜13の形状に従って、中間層25の表面が第一絶縁膜13の形状に応じて凹凸になるため、第二電極9も波打ったような凹凸形状となる。つまり第一絶縁膜13の存在する個所が上に浮き、凹部28の場所で沈み、これが同心円状であれば水面に石を投げ込んだときの様な波紋状となる。このようにして第二電極9が全体的に凹凸部分を有するため、第二電極9が柔軟となり、且つ復元力が増す。また第二電極9又はそれに積層された保護膜17に強い圧力が加わったときでも、第二電極9や保護膜17全体に応力が働くため、強度が増し、第二電極9が破損することは極めて稀となる。
【0065】
次に図15に基づきセンサ部の製造工程を説明する。まず、基板1上に下層絶縁膜11を積層した後、MoとAlの積層構造をした金属層をスパッタ法等により形成し、フォトリソグラフィ法により第1配線2と第一電極8を形成する。次に、SiNxを積層して第一絶縁膜13を形成しエッチング工程によって所望のパターンに形成する図15(a)。
【0066】
次に、Alからなる金属層を積層し、フォトリソグラフィ法などでこの金属層を所定形状にパターニングして図15(b)に示すように中間層25を形成する。この中間層25は最終的には取除かれるが、中間層25の存在した部分が空洞部10や連通部31になる。一つのセンサ部4の中間層25は、第一電極8を覆うほぼ円形状の部分とそこから突出して4箇所のリリース口15予定箇所まで延在する部分と更に延長して、隣接するセンサ部4の空洞部25からリリース口15まで延在してきた部分と結合する部分を有し、この延在部分が連通部31を形成することになる。そして、隣接するセンサ部4部分同士の間やセンサ部4部分と通気口5部分との間には、2本ずつの連通部31に相当する細長状の中間層が存在する。各中間層25の形状や厚み等の大きさは、希望する空洞部10や連通部31の形状、サイズに合わせて設計される。
【0067】
次に、中間層25や第一絶縁膜13上に金属層をスパッタ法により積層する。この金属層はMoで形成される。中間層25やこの金属層は第一絶縁膜13の形状に応じて表面が凹凸状になる。この金属層上にレジストを塗布し、フォトリソグラフィ法による露光、現像、エッチング処理を施して第二電極9や連結部形成のための覆部を含む第二配線3を形成する。このときセンサ部4に相当する箇所では、中間層25を完全に覆うほぼ四角形状の第2の電極30がほぼ均一な膜厚で形成され、中間層25の表面の凹凸に応じて第二電極9も凹凸状になる。このとき、まだ第二電極9にはリリース口15を形成しない。
【0068】
次に、第二電極9上にオーバーコート膜29を形成する。オーバーコート膜29となる感光性を有するポリイミドを第二電極9上に塗布し、スピンナーにより均一な膜にする。そしてリリース口15以外の部分の有機膜を露光処理で硬化し、現像処理によりリリース口15に対応する有機膜を取除く。そしてオーバーコート膜29は図15(c)のようになる。この実施例ではオーバーコート膜29が第二電極9以外の部分にも形成されているが、オーバーコート膜は後述する開口部内にあればよく、第二電極9上のみに形成してもよい。
【0069】
次に、オーバーコート膜29上にSiNxを積層し、第二絶縁膜16を形成する。そして図15(d)に示すようにリリース口15に該当する部分のSiNxを取除くことで第二電極9の一部分が露出する。リリース口15はできるだけセンサー部4の中心部分に近い方が、中間層25のエッチングとエッチング中のガスの排気が効率良く行える。第一電極8の輪郭部分は第一絶縁膜13で覆われているが、リリース口15の端部は平面的に見たときに第一電極8の端部と第一絶縁膜13の端部との間に位置する。つまり、第一電極8と第一絶縁膜13が重なっている部分の上方に、少なくともリリース口15の一部が存在することになる。
【0070】
そして、MoとAlの両方の材質を除去するエッチング処理をする。このエッチング処理によりリリース口15に位置する金属層が除去される。エッチング方法としては、ドライエッチングとウェットエッチングの両方が利用できる。例えば、エッチング液にリン酸、硝酸、酢酸の混合液を用いれば、MoとAlの両方がエッチングできる。このエッチング処理により、センサ部4ではリリース口15に対応する部分の第二電極9と中間層25が取除かれる。本発明においては、このとき第二電極9は第一電極8の輪郭部に位置する部分が除去されることになり、第一電極8の段差がそのまま第二電極9の形状となって傾斜を構成しているので、平面で開口しないで傾斜して開口されたリリース口15となる。また、リリース口15が第一絶縁膜13で覆われている第一電極8の上方に位置するため、リリース口15の下方に位置する第一電極8が保護され、この金属層が除去されることを防止できる。
【0071】
次に、中間層25だけを除去するエッチング処理を行う。このときウェットエッチングを行い、エッチング液に塩酸、リン酸、水の混合液を用いる。エッチング液はリリース口15を通じて中間層25に達し、中間層25の端部から順にエッチングする。混合比が塩酸:リン酸:水=1:5:1のエッチング液を使用した場合、中間層25のAlと第二配線3などを構成するMoとの間に電池効果が生じ、Alが短時間でエッチングされる。このエッチング処理により図15(e)に示すように中間層25を確実に取除くことができ、空洞部10や連通部31を形成できる。
【0072】
本発明では、リリース口15が第一電極8の輪郭部に位置するため、平面で開口しないで傾斜して開口していることになり、少なくなったとはいえ発生する気泡が、極めて効率よく抜け出ることとなり、エッチングのムラやエッチング残渣が残りにくい。また、リリース口15を第一電極8と第一絶縁膜13が重なった部分の上方に配置することで、空洞部10内で発生したガスが第一電極8の輪郭部付近に達した時点でリリース口15から外部に排気することができる。これは、例えば、リリース口15が第一電極8よりも外側に位置した場合、空洞部10内のガスは第一電極8の輪郭部に達しても、それからまだリリース口15まで移動する必要がある。しかし、第一電極8の輪郭部とリリース口15の間の空隙に第一電極8の厚み分だけ段差が生じるため、空洞部10内のガスはこの段差を乗り越えなければリリース口15まで達することができない。従って、平面的に見て第一電極8と重なるようにリリース口15を配置することで、空洞部10内のガスを効率良く排気することができる。
【0073】
その後、第二絶縁膜16上にSiNxを積層し、保護膜17を形成する。このSiNxは例えばCVDで形成され、ほぼ同じ厚みの膜が基板1上の全面に積層される。このときリリース口15ではオーバーコート膜29や第二絶縁膜16などが存在しないため、図15(f)に示すように保護膜17でリリース口15を塞ぐ。これによりリリース口15から空洞部10内に塵埃が侵入することを防止できる。
【0074】
保護膜17を積層してリリース口15を塞いだ後、センサ部4の中央部分の第二絶縁膜16、保護膜17を取除き、開口部を形成する。このとき開口部からはオーバーコート膜29が露出する。センサ部4として動作させる場合、センサ部に相当する第二電極8上の第二絶縁膜16、保護膜17を取除いた方が第二電極8の弾力性が最適になる。そして第二絶縁膜16、保護膜17の取除く大きさによって第二電極30の弾力性も変化するため、第二電極8の形状や要求される感度に応じて第二絶縁膜16、保護膜17の取除かれる範囲が設定される。
【0075】
次に本発明の第六の実施例を図面を参照して説明する。図16は図1の中で2×2の4つのセンサ部4の平面図、図17は図16のA−A断面図(センサ部1個分に相当)である。ガラス基板1、下層絶縁膜11、第一配線2、第一電極8の構成は第五実施例と共通であり、説明を省略する。
【0076】
13はSiNx又はSiO2による第一絶縁膜であり、下層絶縁膜11や第一配線2を覆っている。また第一絶縁膜13は第一電極8の外周部分も覆い、それによって窪みを持った円形状のセンサ孔14を形成している。第一絶縁膜13で第一電極8の外周を覆う形状にすることにより、空洞部10上に第一電極8と対向配置される第二電極9の形状も窪みを持つことになり、第一電極8と第二電極9は接触時に点接触でなく、面接触になる。
【0077】
第一絶縁膜13を形成するもう一つの目的として、第一電極8の外周部分を覆う構造をなすことにより、空洞部10上に対向される第二電極9に凹凸をつけることが挙げられる。つまり第二電極9を形成する場合、まず第一電極8や第一絶縁膜13上に膜厚がほぼ均一な中間層を積層し、その中間層上に第二電極9を積層し、その後で中間層を取除く。従って、第二電極9は第一電極8や第一絶縁膜13の表面形状に沿った形状になる。この実施例では第二電極9の凹凸部分を第一電極8の周辺付近だけに設け、第一電極8の中央付近には設けていない。しかし第一電極8の周辺部分に第二電極9の折れ曲がり部分があるだけでも、第二電極9の復元力が向上する。
【0078】
本発明では第一電極8の外周部分上に設けられた第一絶縁膜13の端縁の断面を図18(a)に示すように傾斜角度θで傾斜させている。この傾斜角度θは、実験、研究を重ねた結果、約30度〜60度が適している。より好ましくは、約40〜50度である。
【0079】
この第二電極9の折り曲げ部分の傾斜角度について、図18に基づいて詳細に説明する。図18(a)は本実施例の第二電極を示し、図18(b)は従来の第二電極を示す。図18(b)のように、第一絶縁膜13の断面傾斜角度を直角にすると、それに倣って形成される第二電極9の折れ曲がり部分も直角になり、第一電極8と第二電極9の接触時に第二電極9の直角部分にじかに圧力がかかるため、破損しやすくなる。
【0080】
また、第一絶縁膜13の断面傾斜角度は、第二電極9の折れ曲がり部分の膜厚にも影響を及ぼす。つまり第一絶縁膜13上に中間層25、第二電極9を順次積層することで、第二電極9が第一絶縁膜8の形状に倣った形状になるが、第一絶縁膜13の端縁の断面傾斜角度が直角の場合、第一絶縁膜13の端縁付近の中間層25や第二電極9の膜厚が他の部分の膜厚より薄くなる。そのため第二電極9の折れ曲がり部分が破損しやすくなり、また空洞部10の間隔も不均一になるのでセンサ部4の精度も不均一になる。
【0081】
一方、第一絶縁膜13の断面傾斜角度を鋭角にしすぎた場合も問題が生じる。つまり傾斜角度を鋭角(第一絶縁膜13端縁が第一電極8上で傾斜をなす角度が30度以下)にすると、それに倣って形成される第二電極9の折れ曲がり部分も鋭角になり、第一電極8と第二電極9の接触時に第二電極9の折れ曲がり部分にかかる圧力は分散されるため、破損は起きにくくなるが、復元性が悪くなってしまう。
【0082】
第二電極9の折れ曲がり部分の破損を防ぎながら最適な復元力を有する傾斜角度θを実験により研究した結果、第一絶縁膜13の断面傾斜角度θが約30〜60度のときが良好な結果が得られた。より好ましくは約40〜50度のときである。このように第一絶縁膜13の断面傾斜角度θを約30〜60度にすれば、第二電極9の折れ曲がり部分の傾斜角度も約30〜60度になり、破損が少なく復元力がある第二電極9を実現できる。
【0083】
なお、ここでは第一電極8の周縁部分に第一絶縁膜13の端縁が位置するものを説明したが、第一電極8の中央部分にも第一絶縁膜13が一部存在する場合にも有効である。例えば第五実施例のときでも第一絶縁膜13の端縁を傾斜させるとよい。
【0084】
第二電極9上にはオーバーコート膜29が形成される。オーバーコート膜29となる感光性を有するポリイミドを基板1上に塗布し、スピンナーにより均一な膜にする。そしてリリース口15や通気口23を除いた部分の有機膜を露光処理して約250℃近辺(約250〜約300℃でも可)でポストベーク(焼成)して硬化させ、現像処理によりリリース口15や通気口23に対応する有機膜を取除く。オーバーコート膜29のポストベーク温度を200℃で行った場合、焼成不足となり硬化が不十分なうえに、オーバーコート膜29上に積層させる第二絶縁膜16との密着性が悪くなり、絶縁膜の剥離が生じやすくなる。前述のようにポストベーク温度が250℃より低いと硬化が不十分となるので、外部からの水の浸入に対する耐水性が悪くなる。
【0085】
次に、250℃以上のポストベーク温度での水滴滴下による不良発生率を図19に示す。図19はリークポイントテスト結果の代表的な数値を示す。リークポイントとは、複数のセンサ部4が並んだ1ユニットの微細な形状を検知する圧力センサにおける、不良のセンサ部4が占める割合を示している。そしてリークポイント(before)は水滴を滴下する前の不良率であり、リークポイント(after)は水滴を滴下して10分程度放置した後の不良率を示している。
【0086】
ポストベーク温度が250℃のとき、水滴滴下前後におけるリークポイントの不良率の変化は、ポストベーク温度が250℃のときは0.04、300℃のときは0.07で、共に0.1以下であり、滴下後も耐水性が変わらず不良の発生が僅かであった。それに対して、ポストベーク温度が350℃になるとリークポイント(before)からリークポイント(after)の数値が急激に増加し、変化割合も3以上となり、耐水性が悪くなっていることを示している。このように、ポストベーク温度が約250℃〜約300℃であればセンサ部4の耐水性が良好になり、センサ部4の歩留まりが格段に向上する。
【0087】
第四実施例では第二電極9に複数の凹凸を形成し、その第二電極9上にオーバーコート膜を積層している。そしてこのときのオーバーコート膜のポストベーク温度は200℃でよい。このとき第二電極を凹凸形状にすることで、第二電極とオーバーコート膜の積層膜に最適な柔軟性と復元力を与えることができた。しかし、オーバーコート膜のポストベーク温度を上げると、それに伴い、オーバーコート膜自体の柔軟性が失われてしまう。そのため、複数の凹凸を有する第二電極上に250℃で処理されたオーバーコート膜を積層すると、オーバーコート膜が硬くなり過ぎるため、第二電極とオーバーコート膜の積層体の柔軟性がなくなり、第一電極と第二電極の接触が不均一になってセンサ部の感度が悪くなったり、第二電極に凹凸部分で亀裂が発生して耐水性が低下するなどの不具合が生じる。そのため、オーバーコート膜29を約250℃以上でポストベークする場合、第二電極9のセンサ領域に対応する部分を凹凸形状のない平板形状にすることにより、第二電極9とオーバーコート膜29の積層体に最適な柔軟性と復元力を与えることができ、センサ部4として均一な感度を保つことができる。
【0088】
また、オーバーコート膜29は、ポストベークした後に膜厚が均一であり凹凸のない平滑面とすることにより、オーバーコート膜29の下層に位置する第二電極9に圧力がかかった時のセンサ検知感度を均一なものとすることができる。オーバーコート膜29は第二絶縁膜16と異なる材質にする方がよく、また、オーバーコート膜29は第二電極9と同様の柔軟性や弾力性がある方がよい。なお、この実施形態ではオーバーコート膜29が第二電極9となる金属層上に全面にわたって形成されているが、センサ部4において第二絶縁膜16が取除かれた開口26に相当する部分にだけオーバーコート膜29を形成してもよい。
【0089】
本実施形態では、第二絶縁膜16と保護膜17は同一材料であるが、別工程で形成される。第二絶縁膜16、空洞部10及び保護膜17を形成する工程は第一実施例と共通であるため説明は省略する。
【0090】
センサ部4が完成した後、シール材18となる感光性を有するポリイミドを保護膜17上に塗布し、スピンナーにより均一な膜にする。そしてセンサ孔14とほぼ同面積の開口部26に対応する部分を除いて有機膜を露光処理で硬化させ、現像処理で開口部26の有機膜を取除く。したがってセンサ部4では開口部26を有する膜となる。更に、センサ部4の第二電極9上の第二絶縁膜16と保護膜17を取除いて開口部26を形成する。
【0091】
なお、開口部26の大きさを第一絶縁膜の開口の大きさより小さくすれば、第二電極の折れ曲がり部分に第二絶縁膜や保護膜が残ることになり、折れ曲がり部分の強度が向上する。また開口部26の直径を約24〜28μm程度にすれば、第二電極とオーバーコート膜の積層体に適切な柔軟性と復元力を与えることができる。このときSiNxを除去するエッチング液により開口部26を形成するが、オーバーコート膜29が第二電極9上に存在しない場合は、このエッチング液が第二電極9を浸透して空洞部10内へ入り込んでしまう。この空洞部10へ入り込んだエッチング液は空洞部10が密閉状態になっているため除去できず、空洞部10内へ溜まる。そしてこのエッチング液が原因でセンサ部4が有効に作動せず、信頼性に影響があった。そこで第二電極9上にオーバーコート膜29を形成することにより、オーバーコート膜29がエッチング液の浸透を防ぎ、空洞部10にエッチング液が侵入しないようにしている。
【0092】
したがって、オーバーコート膜29には、そのすぐ上に積層された第二絶縁膜16と異なる材質のものを用い、開口部26を形成するときのエッチング液には第二絶縁膜16はエッチングできるがオーバーコート膜29はエッチングされないものを用いる。
【0093】
上述の実施例では、第二電極上の全絶縁膜を取除くか、薄いオーバーコート膜だけを残してきた。このようにすれば第二電極に最適な柔軟性と復元力を与えることができるが、この復元力と柔軟性を損なわない範囲で第二電極にその他の膜を積層しても良い。例えば、センサ部の中央部分に厚みのある絶縁膜やセンサ部の中央部分だけに別体の絶縁膜を設けてもよい。
【0094】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、製造中にセンサ部の破損が少なく、使用中の故障も少ない圧力センサを得ることができる。また、適正な感度を簡単な構成で得ることができ、精度の高い圧力センサを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施例である圧力センサの概略を示す全体図である。
【図2】圧力センサのセンサ部及び通気口部の平面図である。
【図3】センサ部の断面概略図である。
【図4】通気口部の断面概略図である。
【図5】センサ部と通気口部を含む断面概略図である。
【図6】センサ部の製造工程を説明する断面図である。
【図7】センサ部の製造工程を説明する平面図である。
【図8】通気口部の製造工程を説明する断面図である。
【図9】通気口部の製造工程を説明する平面図である。
【図10】本発明の第二実施例である第一電極の平面図である。
【図11】本発明の第三実施例である第一電極の平面図である。
【図12】本発明の第四実施例であるセンサ部の断面図である。
【図13】本発明の第五実施例であるセンサ部の平面図である。
【図14】センサ部の断面概略図である。
【図15】センサ部の製造工程を説明する断面図である。
【図16】本発明の第六実施例であるセンサ部の平面図である。
【図17】センサ部の断面概略図である。
【図18】第一絶縁膜の端部を説明するための概略図である。
【図19】ポストベーク温度での水滴滴下による不良発生率を説明するための図である。
【図20】従来の圧力センサの製造途中の状態を示す断面図である。
【符号の説明】
2 第一配線
3 第二配線
4 センサ部
8 第一電極
9 第二電極
10 空洞部
13 第一絶縁膜
14 センサ孔
16 第二絶縁膜
25 中間層

Claims (23)

  1. 複数のセンサ部をマトリクス状に配置した圧力センサにおいて、前記センサ部は、前記センサ部内に配置された第一電極と、前記第一電極を覆う第一絶縁膜と、前記第一絶縁膜に形成されると共に前記第一電極の一部分を露出させるセンサ孔と、少なくとも露出した前記第一電極の上方に位置する空洞部と、前記空洞部を挟んで前記第一電極に対向配置すると共に第一電極側に湾曲可能な第二電極とを有することを特徴とする圧力センサ。
  2. 前記第一電極は、前記センサ部のほぼ中央に位置する中央電極部と、前記センサ部内に位置するとともに前記中央電極部を囲むように形成された環状部とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の圧力センサ。
  3. 前記第一絶縁膜は前記第一電極上においてセンサ孔とは別に少なくとも一箇所の凹部を有することを特徴とする請求項1に記載の圧力センサ。
  4. 前記第一絶縁膜の端部が第一電極の周囲に位置することを特徴とする請求項1に記載の圧力センサ。
  5. 前記センサ孔の周囲に存在する前記第一絶縁膜の厚みが約2000〜約5000Åであることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の圧力センサ。
  6. 前記センサ孔が円形状であり、その直径が約5〜約40μmであることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の圧力センサ。
  7. 前記空洞部下に位置する前記第一電極表面上より立ちあがる前記第一絶縁膜の端縁は、第一電極上から傾斜していることを特徴する請求項1〜請求項6のいずれかに記載の圧力センサ。
  8. 前記第一絶縁膜の端縁の傾斜角度が約30〜約60度であることを特徴とする請求項7に記載の圧力センサ。
  9. 平面的に見たときに一部分が前記第一電極の輪郭部分に重なるように前記第二電極にリリース口が設けられていることを特徴する請求項1〜請求項8のいずれかに記載の圧力センサ。
  10. 前記第二電極にリリース口が形成され、前記リリース口が前記第一電極と前記第一絶縁膜が重なっている部分の上方に位置することを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載の圧力センサ。
  11. 前記第二電極に第二絶縁膜を積層し、センサ部の中央付近の前記第二絶縁膜を取除いて開口部を形成することを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれかに記載の圧力センサ。
  12. 前記開口部が円形状であり、その直径が約24〜約28μmであることを特徴とする請求項11に記載の圧力センサ。
  13. 前記開口部が前記センサ孔よりも小さいことを特徴する請求項11または請求項12に記載の圧力センサ。
  14. 前記開口部内の第二電極上にオーバーコート膜が形成されていることを特徴する請求項11〜請求項13のいずれかに記載の圧力センサ。
  15. 前記オーバーコート膜が前記第二絶縁膜と異なる材質によって形成されていることを特徴とする請求項14に記載の圧力センサ。
  16. 前記第二絶縁膜が無機絶縁膜により形成され、前記オーバーコート膜が有機絶縁膜により形成されていることを特徴とする請求項14に記載の圧力センサ。
  17. 前記開口部の内側では第二電極が平坦であることを特徴する請求項11〜請求項16のいずれかに記載の圧力センサ。
  18. 前記第二電極がMoを含む金属からなることを特徴とする請求項1〜請求項17のいずれかに記載の圧力センサ。
  19. 複数のセンサ部を配置した圧力センサの製造方法において、前記センサ部内に第一電極を形成する工程と、前記第一電極上に第一絶縁膜を形成する工程と、前記第一電極の中央に存在する第一絶縁膜を取除く工程と、前記第一絶縁膜上に中間層を形成する工程と、前記中間層上に第二電極を形成する工程と、前記第二電極に第二絶縁膜を形成する工程と、前記中間層を取除いて空洞部を形成する工程と、前記センサ部の中央部分に存在する前記第二絶縁膜を取除いて開口部を形成する工程とを備えたことを特徴とする圧力センサの製造方法。
  20. 少なくとも第二電極の中央部分にオーバーコート膜を形成する工程と、前記オーバーコート膜上に第二絶縁膜を形成する工程と、前記第二電極の中央部分に存在する前記第二絶縁膜を取除いて開口部を形成する工程を有することを特徴とする請求項19に記載の圧力センサの製造方法。
  21. 前記オーバーコート膜を約250〜約300℃でポストベークする工程を有する工程を有することを特徴とする請求項20に記載の圧力センサの製造方法。
  22. 前記第一電極と重なるように第二絶縁膜及び第二電極にリリース口を形成する工程と、前記リリース口を介して中間層を取除く工程と、中間層を取除いた後に前記リリース口を塞ぐ工程を有することを特徴する請求項19〜請求項21のいずれかに記載の圧力センサの製造方法。
  23. Alを含む金属層により中間層を形成する工程と、Moを含む金属層により第二電極を形成する工程とを有することを特徴とする請求項19〜請求項22のいずれかに記載の圧力センサの製造方法。
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