JP4138193B2 - 工業化注文住宅設計方法およびシステム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般的には住宅設計システムに関し、具体的には工業化注文住宅設計システムに関する。さらに詳述すれば、プレハブ住宅を、効率よく、所定の品質基準を保って設計し、設計されたデータから住宅構成部材を漏れなく算出し、集約する方法およびシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
プレハブ工法は、工場で生産された部材を使用し住宅を建設する方法であり、その部材の違いにより木質系、鉄筋系、コンクリート系などがある。また、工場で箱状の構成単位、いわゆるユニットまで生産し、建築現場においてこれらを組み合わせるユニット工法もプレハブ工法のより進んだ形態である。また、工法の分類としては軸組工法と呼ばれる柱、梁によって荷重を伝達する工法がある。しかしながら、これらの工法は明確に分類されているわけではなく、実際にはそれらの特徴が組み合わされて使用されている。これらのいわゆるプレハブ工法による住宅建築は、工業化によるコスト低減、品質安定化、建築現場での施工期間の短縮を目指して考えられた工法である。
【0003】
建物の外観形状、間取り、設備、内装、外装等の仕様を住宅メーカがあらかじめ設計したいわゆる企画プランとして提供されるのが常であった。企画プランの販売でも、色々とオプションまたはあらかじめ用意された変型もあり、これらを使用してある程度の顧客の要望を入れることは可能であるが、不十分と言わざるを得なかった。
【0004】
近年、顧客の要望が多様化し、またその要望の程度も強くなってきており、広義の企画プランの販売では顧客の十分な満足が得られなくなっており、プレハブ工法による建築においても、多様な顧客要望に合致した自由設計可能な商品が望まれている。いわゆる顧客毎の個別仕様に対応することが必要になってきている。
【0005】
そもそも、プレハブ工法は、そこに使用される部材または部品があらかじめ規格化することで、基本部材からの選択を省略して、品質を確保した効率的な設計を目指すものである。したがって、計算機を援用して顧客の希望を図面に反映させて設計を進める行為は本来必要は無いはずである。
【0006】
しかし、前述のとおり、住宅の間取り設計を固定化してしまうことは、たとえ複数の住宅モデルを作成するにしても、顧客(住宅オーナー)の設計変更に対する要望をすべて受け入れられないという不具合がある。とくに、住宅の構造、強度に関わる部材(部位)については、制限を加えるのが一般的である。
【0007】
このため、従来では、強度に関わる部材に関する設計変更は、ほとんど行なうことができなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
プレハブ工法によるプレハブ式建物のうち、鉄骨軸組み工法と呼ばれる梁と柱および外壁材を組み立てて建築する工法は、とくに間取りの設計自由度が高く、顧客の要望を反映しやすいものとなっている。しかし、設計の自由度が増すと共に、部材、部品の種類とその組合せのルールなどを標準化する必要性が出てくる。このため、プランを決定した後の部材の割り付けや現場供給のための拾い出しを行なう手間が過大になり、ミスや漏れが多発してしまう。
【0009】
そこで、本発明の目的は、上述の点に鑑みて、表示画面上で住宅の間取り図を描画し、その他間取り設計に必要な情報を入力すると、自動的に、住宅に必要な部材およびその配置をすべて決定することができる工業化住宅の設計方法およびシステムを提供することにある。
【0010】
本発明の目的は、顧客毎の個別仕様に迅速に対応し、その顧客仕様に対する確認、顧客仕様および顧客条件に対し、構造計算、部材の組合せ、詳細部材などの設計基準・ルールに合致していることをチェックして、実現不可の場合の代案提供、顧客の変更問い合わせ、顧客要望の受け入れ等を行ない、最終決定した顧客仕様をあらかじめ定めた品質基準を満たした部材を、邸別の住宅設計において、効率よくかつ漏れなく算出し集約することができるシステム、方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上述した本発明の目的を達成するために、請求項1の発明は、プレハブ住宅建築で使用する部材の、材質、形状、寸法、強度データのうちの少なくとも1つ以上を含む部材情報を記憶した部材情報データベースと住宅建築に関する限定条件を示す設計情報であって、部材同士の接合・組み合せ、部材相互の空間的な配置、および施工方法、および梁に求められる強度、に関連する限定条件を記憶した設計情報データベースとを有するCADにおける工業化注文住宅設計方法であって、(1)前記CADの表示画面上で、住宅の建物形状と間取り図を描画し、(2)当該描画された建物形状と間取り図における位置とその部位を指定する情報を入力して、前記部材情報データベースからその位置と部位に関して選択可能な候補を取り出して前記表示画面上に提示し、(3)前記選択可能な候補に関する指定を入力し、(4)前記指定された候補の設定あるいは候補の部材を、その位置あるいは部位に適用することが、前記設計情報データベースに記憶された設計情報の示す前記限定条件を満足するか否かを判定し、否定判定が得られた場合には前記(3)のステップにおいて設定された候補を自動/または手動で変更し、前記(4)のステップでの判定を実行することにより、候補の更新および前記限定条件を満足するか否かの判定を、限定条件を満足する判定結果が得られるまで繰り返し実行し、限定条件を満足する結果が得られた場合には、その判定の対象の候補を決定することを特徴とする。
【0012】
また、請求項2は、請求項1に記載の工業化注文住宅設計方法において、前記(2)のステップでは、選択可能な部材の候補を取り出して前記表示画面上に提示し、前記(3)のステップでは、選択可能な部材の候補を自動または手動により指定し、前記(4)のステップでは、手動により指定した部材の強度が前記設計情報データベースに記憶された設計情報の示す限定条件を満足するか否かを判定し、否定判定が得られた場合には、前記(3)のステップにおいて指定された部材を自動/または手動で変更し、次に前記(4)のステップでの判定を実行することによる当該部材の更新および前記限定条件を満足するか否かの判定を、限定条件を満足する判定結果が得られるまで繰り返し実行し、限定条件を満足する結果が得られた場合には、その判定の対象の部材を使用部材として決定することを特徴とする。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1に記載の工業化注文住宅設計方法において、限定条件を満足する結果が得られるまで繰り返し実行することにより、各種の設定が完了した結果の情報と前記部材情報データベースを使用して発注用の部材リストを作成することを特徴とする。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1に記載の工業化注文住宅設計方法において、限定条件を満足する結果が得られるまで繰り返し実行することにより、各種の設定が完了した結果の情報と前記部材情報データベースを使用して住宅建築費の積算を行うことを特徴とする。
【0015】
請求項5の発明は、請求項1に記載の工業化注文住宅設計方法において、前記CADは前記部材情報を前記部材情報データベースに登録するための情報処理装置を具え、該情報処理装置において、新規に登録する部材情報については前記設計情報データベースの設計情報の示す限定条件を満足するか否かの部材検証を行うことを特徴とする。
【0016】
請求項6の発明は、請求項1に記載の工業化注文住宅設計方法において、限定条件を満足する結果が得られるまで繰り返し実行することにより各種の設定が完了した結果の情報に基づいて、建築物としての構造計算をして建物強度、施工上の制約条件等の確認をすることを特徴とする。
【0017】
請求項7の発明は、請求項1に記載の工業化注文住宅設計方法において、限定条件を満足する結果が得られるまで繰り返し実行することにより、各種の設定が完了した結果の情報と前記部材情報データベースを使用して施工図を作成することを特徴とする。
【0018】
請求項8の発明は、工業化注文住宅を顧客仕様に合わせて設計する工業化注文住宅設計システムにおいて、プレハブ住宅建築で使用する部材の、材質、形状、寸法、強度データのうちの少なくとも1つ以上を含む部材情報を記憶した部材情報データベースと、前記部材情報データベースと部位による関係付けを有し、住宅建築に関する限定条件を示す、設計情報であって、部材同士の接合・組み合せ、部材相互の空間的な配置、および施工方法、および梁に求められる強度、に関連する限定条件を記憶した設計情報データベースと、前記各データベースと接続された第1のワークステーションであって、表示画面上で、住宅の建物形状と間取り図を描画する描画機能と、前記建物形状と前記間取り図における位置とその部位を指定する情報を入力して、前記部材情報データベースからその位置と部位に関して選択可能な候補を取り出して前記表示画面上に提示する提示機能と、前記選択可能な候補に関する指定を入力する指定機能と、前記指定された候補の設定あるいは候補の部材を、その位置と部位に適用することが、前記設計情報データベースに記憶された設計情報の示す前記限定条件を満足するか否かを判定する判定機能と、否定判定が得られた場合には、前記指定機能により指定された部材を自動/または手動で変更し、次に前記判定機能を実行することによる当該部材の更新および前記限定条件を満足するか否かの判定を、限定条件を満足する判定結果が得られるまで繰り返し実行させる繰り返し機能と、限定条件を満足する結果が得られた場合には、その判定の対象の候補として決定する決定機能とを有するワークステーションとを具えることを特徴とするものである。
【0019】
請求項9の発明は、請求項8に記載の工業化注文住宅設計システムにおいて、前記ワークステーションの前記各機能において、前記提示機能は、選択可能な部材の候補を取り出して前記表示画面上に提示し、前記指定機能は、選択可能な部材の候補を自動または手動により指定し、前記判定機能は、手動により指定した部材の強度が前記設計情報データベースに記憶された設計情報の示す限定条件を満足するか否かを判定し、前記繰り返し機能は、前記否定判定が得られた場合には、前記指定機能により指定された部材を自動/または手動で変更し、次に前記判定機能で判定を実行することによる当該部材の更新および前記限定条件を満足するか否かの判定を、限定条件を満足するの判定結果が得られるまで繰り返し実行し、前記決定機能は、限定条件を満足するの結果が得られた場合には、その判定の対象の部材を使用部材として決定することを特徴とするものである。
【0020】
請求項10の発明は、請求項8に記載の工業化注文住宅設計システムにおいて、前記第1のワークステーションおよび前記部材情報データベースと接続された、前記第1のワークステーションとは別の第2のワークステーションをさらに具え、当該第2のワークステーションは、前記第1のワークステーションにより決定された結果の情報を受け取り、当該情報と前記部材情報データベースを使用して発注用の部材リストを作成することを特徴とするものである。
【0021】
請求項11の発明は、請求項8に記載の工業化注文住宅設計システムにおいて、前記第1のワークステーションおよび前記部材情報データベースと接続された、前記第1のワークステーションとは別の第2のワークステーションをさらに具え、当該第2のワークステーションは、前記第1のワークステーションにより決定された結果の情報を受け取り、当該情報と前記部材情報データベースを使用して住宅建築費の積算を行うことを特徴とするものである。
【0022】
請求項12の発明は、請求項8に記載の工業化注文住宅設計システムにおいて、前記部材情報データベースと前記設計情報データベースに接続され、前記部材情報を部材情報データベースに登録するための第3のワークステーションをさらに具え、当該第3のワークステーションは、新規に登録する部材情報については前記設計情報データベースの設計情報の示す限定条件を満足するか否かの部材検証を行うことを特徴とするものである。
【0023】
請求項13の発明は、請求項8に記載の工業化注文住宅設計システムにおいて、前記第1のワークステーションは、前記各機能を限定条件を満足する結果が得られるまで繰り返し実行させることにより各種の設定が完了した結果の情報に基づいて、建築物としての構造計算をして建物強度、施工上の制約条件等の確認をすることを特徴とするものである。
【0024】
請求項14の発明は、請求項8に記載の工業化注文住宅設計システムにおいて、前記第1のワークステーションおよび前記部材情報デーベースと接続された、前記第1のワークステーションとは別の第2のワークステーションをさらに具え、当該第2のワークステーションは、前記第1のワークステーションにより決定された結果の情報を受け取り、当該情報と前記部材情報データベースを使用して施工図を作成することを特徴とするものである。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0026】
本実施形態は、顧客仕様に応じて多様なフレハブ建築物の設計、生産および施工を支援する住宅設計システムであり、図1は、本発明の実施形態の概略を表したものであり、それぞれの処理の流れを概略的に示している。
【0027】
この住宅設計システムは、CADを使用しており、基本となるデータベースを有する。このデータベースは、前述した限定されながらもある範囲の自由度を持つ、逆にある範囲の自由度を持つが限定されているプレハブ建築の設計を規定するためのデータとなっている。この詳細は後述するが、この限定を規定しているデータとして、建築物を構成するそれぞれの部材の部材情報データベースDB1と、設計上の限定・範囲・条件等を規定する設計情報データベースDB2とから構成されている。
【0028】
図1のワークステーションWS1は、新規部材等の登録する際の検証を行なう。より具体的には、ワークステーションWS2は部材情報データベースDB1を使用してのプレハブ建築物設計を行なうが、上記データベースに新規登録する部材が、あらかじめ定めた設計品質基準を満たすか否かを、設計情報データベースの設計情報に基づき、検証する。検証に合格すると、新規部材の部材情報への入力を受け付ける。また、その部材に関する設計情報、たとえば、ワークステーションWS1は組み合わせ可能な部材名等、設計を限定する情報の入力をも行なえる機能をもっている。また、ワークステーションWS1は、あらかじめ定めた設計情報に対するメンテナンスまたは、新たな設計条件等に対する追加条件の入力、設計支援のための追加情報の入力、設計情報データベースDB2への登録を行ない、さらに入力した情報を確認し、あらかじめ定めた目的に沿った情報となっているかを検証する機能も含んでいる。この部分は、設計される建築物の新規登録部材の品質をチェックする重要な役割を持っている。
【0029】
ワークステーションWS2(本発明の別のCAD)は、前述した部材情報データベース、設計情報データベースを使用し、プレハブ建築物の間取り設計および部位および部材の配置設計を進めるためのものである。このワークステーションWS2における設計において、設計者は、表示画面上で間取り図を描画し、部材情報データベースDB1に登録されている部材を選択的に使用して建築設計を行なう。この作業は、部材情報データベースと設計情報データベース(以下、この2つを単にデータベースDBと呼ぶ)が提示する選択肢から1つを選択することが基本になっている。ただし、住宅を構成する部材は多種多量にあるため、設計者が新規入力をする場合では、あらかじめ、設計情報データベースに定義された初期値の部材レコードに自動入力されるなどの、入力支援を行なっている。このワークステーションWS2においては、建築物の設計を進める以外に、設計したプレハブ建築物の構造計算結果に基づいた強度等を解析し、それぞれの解析過程を表示し、最終的に構造計算結果の判定を出力する構造計算P2の機能を持ち、さらに、設計した建築物について、図2に示した、間取り図F1、外観図F2、平面図F3等の図面、また建物内外部それぞれの部位に関する仕様上のリストL1、見積書L2、原価構成表L3等を作成し出力する機能を含んでいる。ワークステーションWS2は、以上に説明したように邸別の建物の間取り、部位を設計する機能を持つ。
【0030】
ワークステーションWS2において設計した邸別の設計内容を示す建物記述データD1は、ワークステーションWS3に送られる。ワークステーションWS3は、データベースDBを使用して、邸別の建物記述データD1に含まれる建物形状、部材情報などの各種データから、施工図を作成し、最終的に発注するための部材リストを作成する。
【0031】
ここで、ワークステーションWS2とワークステーションWS3とにおいて共に部材情報データベースDB1を使用するが、邸別の間取り設計段階では、設計品質または構造計算に直接関係しない部材(詳細部材と呼ぶ)があり、WS2では詳細部材を一括した部材情報として使用し、WS3では、それぞれ詳細部材を複数のレコードに展開して、登録してある情報を使用している。すなわち、邸別の建物記述データD1は、ワークステーションWS3で詳細部材を個別部材に展開し、データレコードを特定している。たとえば、雨樋のようなものは、この段階で、最終確認した邸別の屋根の形状に応じて、個別部品、取り付け部品または所定寸法の樋の数量等に展開される。最終的に展開された邸別の部材情報は、邸別の建物記述データに含まれる部材情報を含んで発注部材として纏められ、図3に示す部材一覧表L11、さらに発注先別に抽出された発注リストL21,L22を作成し、出力する。
【0032】
ワークステーションWS3は、生産部材準備段階で必要とされる機能を持ち、前述した部材積算と発注仕分けを行なうと同時に、ワークステーションWS2が出力する図面と異なる、施工のための図面F4を作成し出力する機能を持っている。この例では、図2の間取り図F1に対して、施工図F4として電気配線図の例を示している。その他、給排水配管図、ガス配管図、または躯体骨組みの柱梁の構成を表した図などもこの例である。ここで出力する図は施工のための図であり、一般的には、一部にはデフォルメした部分も存在する。
【0033】
仕分けされた部材情報L21のそれぞれは、一般に公開された通信ネットワークWEBを介して、それぞれの発注先で閲覧できるようになっている。この場合、それぞれの発注先および閲覧させるそれぞれの情報との関係を識別子(ID)を使用して規定することで、必要な情報を必要な発注先にのみ提示することができることは当然である。また、パスワードを使用することで部外者の閲覧を防ぐことができる。この閲覧については、仮発注のような意味合いを持たせ、発注先は事前に発注についての情報を得ることができる。また、仕分けされた部材情報L22は、調達先に対してFAX出力することもできる。通信ネットワークWEBを介して、それぞれの発注先で閲覧できるようにすることで、この場合は一方向であるが、結果としては双方向の発注者と調達先とのコミュニケーションを良好に保ち、調達期間短縮に役立つことが期待される。
【0034】
データベースDBのうち、部材情報データベースDB1について、設計段階で使用する部材情報と生産部材準備段階で使用する部材情報に一部に相違があることを前述したが、この違いは、開示したシステム全体の役割分担に関係している。
【0035】
ワークステーションWS2の役割は、顧客の仕様、希望する仕様、すなわち住宅の間取りとその必要な部位・部材(強度設計など)およびその配置を設計し、あらかじめ定めた限定条件で、かつあらかじめ定めた品質基準で建築可能であることを検証することにある。後者のワークステーションWS3の役割は、実際に検証された仕様の建築物を実際に作り上げることにある。言い換えれば、前者は顧客仕様に関する部分を分担し、後者は顧客仕様に直接関係しない部分、すなわち、顧客が意識する必要のない、あらかじめ設計され、または準備されている部材に関係する部分を分担する。
【0036】
ここで、部材情報は、部材そのもの情報であり、たとえば、名称、品名、品番、型番、材質、形状、寸法、加工データ、構造計算に基づく強度データ、重量データ、部材の割付に基づく接合データ、価格、納期、メーカ、代理店、等が含まれている。また、一括情報とされた部材も同様であり、これを展開した部材それぞれも同様である。
【0037】
したがって、設計情報データベースDB2は、上述したようなワークステーションWS2が使用する部材に関し、また上述したような一括にされている部材に関しての設計情報である。限定された部材情報を選択するだけでは、建築物の強度または施工上における制約等の問題に対して対処できないため、またこのような問題に対して設計者に対する設計進行を支援し、また設計そのものの補助を行なうことが、効率よくまたあらかじめ定めた品質基準で設計を完了させる場合に必要になる。このような情報が、設計情報として過去の実績を参照したり、また事前に検証したりして作成され、格納されている。
【0038】
ここで、設計者による邸別の間取り設計は、最初、建物形状と間取りを入力することで開始される。この設計の進行過程では、設計情報と部材情報を参照しながら細部を決定してゆくことになる。この際に、設計の進行における設計情報そして部材情報の相互の関係は、「部位」という主に空間の使用用途を規定する概念を表す識別子を間にして関係つけている。この部位は、建築物の空間的な関係から必然的に定まる場合と、そうではない場合があり、後者の場合には、設計者が設計の進行の過程である部分に対して指定している。たとえば、2階の間取り図の場合、ある部屋の空間に対し、床あるいは、吹き抜け等の部位の指定をしている。この「部位」のカテゴリを使用して、図1に示すように、設計情報データベースと部材情報データベースとのそれぞれの情報が関係付けられており、これらの情報を使用しながら、その都度の限定された条件下で設計を完了させることになる。当然ながら、設計者のワークステーションWS2における操作との関連についても、この部位による関連付けを行ない、設計者の間取り図の描画と構造指定操作に応じて、設計上の限定・範囲・条件等を規定するように適切なテータベースDB1またはDB2による支援を可能にしている。
【0039】
この限定された条件には、部材による限定、たとえば、部材の長さに関すること、設計情報による限定、たとえば後述するような「吹き抜けに接してベランダを設ける場合は補強のための梁を追加する」等の、部位としての吹き抜けと部位としてのベランダの関係についての限定がある。この場合、ある構造の部位をベランダとして規定するのは設計者の指示によっている。実際の場合は、ベランダをつけることは顧客仕様であり、この仕様を満足させる手段があるので、梁の補強処置をしてベランダをその位置に配置することになる。
【0040】
図4は、このような例を示した図である。この図4はプレハブ住宅の2階の間取りの一部を示しており、柱H3,H4,H5,H6(ここで図中の■印は必ずしも柱ではなく、ワークステーションの設計画面上における点を示している。)で囲まれる部分は、吹き抜けである。この部分の部位は吹き抜けであると設計者によりあらかじめ設定されている。この吹き抜けの外側、柱H3とH4に接して、点H1,H2,H4,H3で囲まれる部分B2を、部位をベランダとして配置した場合を示している。この場合、設計者がワークステーションWS2を操作してベランダの間取りを表示画面上に描画すると、ベランダに関係付けられた設計情報データベースDB2が参照される。そしてその上述した設計上の限定に関する情報から、CADプログラムは、ベランダを追加したことによりその条件を適用すべきか否かを決定する。CADプログラムは、この例の場合は梁を補強する必要があると決定して、自動的に吹き抜けの空間に接する柱の間を梁で補強する。また、逆に、ベランダを配置したあとで、それに隣接するエリア(図4において吹き抜けと表示したエリア)を吹き抜けと設定した場合も同様である。しかしながら、図示したような例において、すでに補強の梁が設けられており、強度的に十分と確認した場合には、更なる梁の補強措置は行なわれない。
【0041】
図4に示した例においては設計条件を満足させるための措置について設計者の関与を必要としないが、設計者が関与して設計情報による限定を回避可能である場合もある。どちらの場合でも、条件付きで許可されるので、この例でいえば、ベランダの取り敢えずの配置そのものは拒否されることはない。条件付きではない場合は、設定後に設定不可の表示がされ、次の設計に進むことができないようになっている。
【0042】
ここで、ベランダに関して、奥行き寸法の点H1とH3の寸法を設定する場合を説明する。先ず、設計者はベランダを配置するエリアをワークステーションWS2上で設定する。そしてその部分をベランダと指定することで、部位としてのベランダを示す情報が設計情報データベースに送られ、ここでそのベランダに関して使用可能な部材情報の候補がワークステーションWS2上で案内される。設計者は案内された候補から顧客仕様に適合する1つを選択する。選択された部材情報の形状が、データベースから取り出され、設定したエリアはその部材の形状を示す大きさに変更される。このときに別の候補を選択すれば、選択された部材の形状に変化することになる。このように設計者は、その提示された部材候補の中から所望する寸法に適合する部材を選択する自由のみが与えられ、最終的には、点H1と点H3の寸法はその部材によって規定される寸法に限定され、ワークステーションの画面上の寸法は、選択した部材の寸法に設定される。このようにして設計を進めることができる。以上の例は、設計情報による限定と、部材情報による限定を受けつつ、設計が進行してゆくことを示している。
【0043】
図5は、図4と同じように建物平面図の一部を図示したものであり、建物の壁面の凹部を示している。この図では、■印は点を示すと同時に柱の位置を示している。H11,H12は出隅柱であり。H13,H14は入隅柱を示している。この場合、斜線の部分はすでに定義された部分であるので、建物の形状解析から、H13とH14は、入隅柱と認識されている。このような構造に設計を進めてゆくこと自体はできるようになっている。それは建築物それ自体には問題とすべきことはないからである。しかしながら、最終的な建物構造等の確認の際には、施工上の制約から、2つの入隅柱の間隔がチェックされる。これは、施工時に足場を架ける必要があり、距離が短いと足場を架けることができないからである。この場合、この距離があらかじめ定められた寸法より小さい場合、設計を続行することができないようになっている。そのようになった場合は、この部分の寸法を変えることで回避することができる。
【0044】
以上において例をあげて説明したように、設計情報データベースでの内容は単純に部材同士の接合・組み合わせ等における可否の判定、条件指定に留まらず、部材相互の空間的な配置によって生ずる干渉、施工方法によって生じる不具合情報も内包しており、設計段階で建築可否ならびに部材特定まで可能なものとしている。
【0045】
以上説明したように、纏めると、プレハブ建築には、(a)設計の自由度がある部分、たとえば間取り設計、と、(b)選択する自由度がある部分、たとえば壁・床材の選択(c)まったく自由度が無い部分、たとえば柱梁や基礎などの躯体部材、そして設計上における建物強度または品質に関係しないで施工上においてのみ関係する部分、たとえば、雨樋、防水、断熱材などの外装材、間仕切り、壁などの木施工部材、がある。また、別の視点では、(イ)顧客仕様の部分と、(ロ)顧客仕様に直接関係しないあらかじめ定めた部分、あるいは顧客仕様に基づき自動的に決定し、製造する部分とがある。
【0046】
言いかえれば、前述した「顧客毎の個別仕様に迅速に対応」するための設計部分と、「住宅を構成する部材を効率よくかつ漏れなく算出し集約」するための設計、製造部分があることが判る。前者の設計部分は、前述した(a)の部分を確定し、(b)の部分を選択する段階である。そして現場施工に移行する前の生産部材準備段階で、これらに(c)の部分を組み合わせる、こととしている。(c)の部分を詳細部材と呼ぶ。詳細部材、(a)そして(b)の確定段階の「顧客毎の個別仕様に迅速に対応」するための設計では不要であるが、建築物を現場にて施工する段階では必須である。たとえば、雨樋は、個々の間取り設計により決定された躯体形状に基づく屋根の形状に合わせた割付(出隅入隅などの部位別、平部の長さ別)が必要であるが、あらかじめ設計上のルールを決定しておくことで、設計者が一つ一つ設計するまでもない例の1つである。したがって、本発明の実施形態においては、(c)の部分は、(a)そして(b)とは別に「顧客毎の個別使用に迅速に対応」する設計のために、別途一括し、集約されたデータとし保持している。(a)と(b)が確定した後、現場施工に移行する前の生産準備段階で、(c)のデータを用いてあらかじめ定めた方法により、詳細割付を行い、個別部材を決定し、展開されている。そして、このデータをもとに、部材積算あるいは発注仕分けを行う。
【0047】
また、前述した(a)の部分を確定し、(b)の部分を選択し、これらに(c)の部分を組み合わせることにおいて、それぞれの項目内、項目間、あるいはそれらの組み合わせにおいても、あらかじめ定めた品質基準を満たして一定の施工方法によって建築するには、守るべきルールが必要になってくる。さらには、これらのルールを設計作業進行にどのように結びつけ、さらには効率よく作業を進めるために、本発明の実施形態においては、前述のルールの作成はもちろん、これらのルールと設計作業を結びつける接続子を「部位」の概念で生成し、使用している。図1の設計情報データベースには、上述した設計ルールと、これに対して部位による接続子を付属させ、さらに部位の接続子には、それに関係する部材情報データベース内の個々の部材情報データを関連付けるデータ等を含んでいる。ワークステーションWS2に対するデータベースDBの支援は、基本的には、この部位による接続子を基に行なっている。
【0048】
ワークステーションWS2による設計には、その基本的に、図6および図7に示すステップで構成されている。図6は部材による限定のためのもので、図7は設計情報による限定を示している。
【0049】
図6は、設計途中の典型的な設計作業の流れを示すもので、ステップS62において設計を進めるためにワークステーションWS2の画面上において建物図(間取り図)の部位(場所)を指定してその内容を設計者が操作する段階である。この設計者の操作を受けて、操作されたその位置の部位に関する候補の提示がなされる(ステップS63)。このステップにおいては、設計者が操作した建物図の一部に窓を設定するような場合に、設計者が操作したその位置を「窓」として設計者が設定する場合と、設計者が操作したその位置のみから部位が自動的に設定される場合も含める。ここでは、どちらの場合でも、最終的に部位の概念で関連付けられた設計情報が設計情報データベースから呼び出され、この情報の支援を受けて部材情報の候補を部材情報データベースから引き出され、ワークステーションWS2の画面上に表示される。そしてステップS64において、設計者は提示された候補から1つを選択する。この候補提示については、たとえば窓の部材について言えば、窓の横幅、シャッタの有無と種別、ガラスの種類等が、それぞれの部材に応じて階層的に案内され、その都度選択することで一連の窓に関する設定が完了することになる。
【0050】
図7も、図6と同じように設計途中の典型的な設計作業の流れを示すもので、ワークステーションWS2の画面上において建物図の部位(場所)に対して、ある種の操作をした場合に後続する流れを示している。ステップS72は、前述した操作の部位に対して、その部位の概念で関係つけられた設計情報が設計情報データベースから読み出され、案内あるいは設計条件または限定条件がワークステーションWS2の画面上に提示される。ステップ73において設計者はその提示にしたがって設計あるいは設定を行なう、プログラムはその設計あるいは設定が提示したあるいは関連付けられている設計情報に合致したか否かを検証する。ステップ74において、この検証結果が合致しているとした場合、次の新たな設計ステップに進むことができ、合致していない場合は、ステップS72に戻ることになる。
【0051】
以上のようなステップを進めることで、部材そのものによる限定、それぞれの部材の組み合わせによる限定、すなわち設計情報による限定の2つの限定条件を満足させた設計が完了することになる。この段階では、いわゆるプレハブ建築としての限られた自由度を最大限活かした設計が完了したことになる。ただし、このような設計においても、建築物としての最大の品質確認である構造計算をして建物強度、施工上の制約条件等の確認をする必要がある。この構造計算は、部材の総合的な組み合わせによる限定とも言える。この構造計算確認のためのプログラムには、強度計算と施工上の制約条件等の確認が含まれている。強度計算では、主に梁と柱に対してそれぞれの計算結果が示され、さらに建物全体としての最終的な判定結果を示すようにしている。最終的な判定結果が「否」の場合は、柱および梁それぞれの計算結果を参照して設計を修正することになる。最終的判定結果として、「可」の判定が行なわれ、それぞれの計算結果の確認が設計者によってなされたことをプログラムが確認して始めて、その建物設計データは、確定されたその邸別の建物記述データとして1つのファイルに保存され、ワークステーションWS3に渡される。
【0052】
したがって、本発明の実施形態においては、設計は、(1)部材による限定と、(2)設計ルールによる限定と、(3)構造計算による確認、が行なわれることになる。この結果として、プレハブ住宅における「顧客毎の個別仕様に迅速に対応」するための設計は完了したことになる。この完了後、顧客に提示し確認するための図1に示した間取り図F1、建物外観図F2、外装材、内装材、建具、設備品などの選択を記述した仕様書L1、そして設計データから積算して作成した見積書、原価構成表、配置図、外観図など、各種の設計図面などの出力が行なわれる。
【0053】
以上説明したように、ワークステーションWS1によって入力され、メンテナンスされるデータは、プレハブ建築を限定された形ながらも顧客仕様を満足させる設計をし、さらに効率よくワークステーションWS2とWS3とで分担するにあたり、重要な位置づけにある。
【0054】
本発明を要約すれば、1つの表現では、プレハブ建築における自由度の有無を部材と設計情報とにより規定し、規定されたこれらの条件下で設計し、自由度の無い部分は、生産部材準備段階でレコード展開し、邸別の建物記述データに格納することにあり、このようなシステムにおけるデータベース内のデータをそれぞれの部分が必要とするデータとして、部位の概念で関連付け、設計から生産部材順部段階に応じて、部材確定していくことである。言いかえれば、顧客向け自由設計に関係のない部材については、整理集約し、顧客プラン設計段階においては部位に関連付け、詳細に展開しないで一括データとして扱った点に特徴がある。また、別の視点では、部位による概念で部材情報データベースと設計情報データベースそれぞれのデータを関連付けたことにある。
【0055】
以上説明したとおり、本実施形態では部材情報データベースおよび設計情報データベースの入力に際しては単に入力する手段のみならず入力したデータを確認し、検証する手段も有しており、データ整合性を確保できる。
【0056】
部材情報データベースに部材個々の情報を整理格納し、設計情報データベースに部材が利用される場合における各種の案内表示、条件提示、判定に関する情報を整理格納しており、この両者を適宜参照することで単に部材を選択するのみならず選択された部材が利用可能であることを確認することができる。
【0057】
設計情報データベースでの内容は単純に部材同士の接合可否の判定に留まらず、部材相互の空間的な配置によって生ずる干渉、施工方法によって生じる不具合情報も内包しており、設計段階で建築可否ならびに部材特定まで可能なものとしている。こうした判定は個々の部材に対してのものが基本であるが単に個々の部材の組み合わせとして考えると爆発的多さの組み合わせに対しての判定が必要になる。これに対して「部位」の概念による意味付け、関連付けによって組み合わせを整理し必要な判定のみを行なうことで現実的な処理量にしている。
【0058】
また、顧客仕様設計と、これ以外のたとえば、工場仕様設計あるいは工場仕様、施工上の仕様等に関する設計を区分し、前者における設計の範囲を必要な範囲に限定し、この限定された範囲の部材について設計情報を作成し、かつ部位の概念により、設計操作を含めて関連付けしたので、関連付けしたデータベースの大きさも現実的な大きさになり、データベースの維持管理も容易になっている。
【0059】
建物に関する部材情報、形状に関する情報、内装仕上げに関する指定情報等を網羅的に保持するようにしたため部材積算が詳細に可能で見積もりも精度良く可能となる。
【0060】
部材積算が詳細に可能なため、生産指図、部材発注の基礎データが正確になる。
【0061】
各種部材配置、形状データは位置情報まで正確に保持されているために出力を見やすい形式に加工するだけで施工図としての利用も可能となる。
【0062】
各種部材データと設計データを整理格納し、かつ新規部材とそれまでの部材との間の整合性を判定するプログラム群を内在させているために新規部材を想定した場合の現行体系への整合性を検査することも可能になっている。
【0063】
【発明の効果】
従来は、CADで間取り図または施工図の描画しかできなかったのに対し、以上説明したように、本発明によれば、設計者は住宅の間取り図を表示画面上で描画し、自動または手動で使用部材を設定すると、以後、住宅に与えられた限定条件を満足する部材の配置、仕様を、半自動的に試行錯誤することで、決定できる。これにより従来よりも、間取り設計の時間を短縮し、また、間取り設計の修正も容易となる。
【0064】
さらには、間取り設計を行なった後、別のCADで、施工に必要な部材リストの作成を行なうことで、詳細設計の労力を低減することができる。
【0065】
また、間取り設計を行った後、積算を行うことで、顧客に提示する見積もりを迅速、かつ、正確に作成することができる。
【0066】
また、部材情報データベースに登録する部材情報は、検証を行なって、設計条件を満足するものを登録するので、建築された住宅についての安全性および耐久性が確保される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の概略を表したものであり、それぞれの処理の流れを概略的に示す図である。
【図2】図1におけるワークステーションWS2の出力する顧客向けの図または表を示す図である。
【図3】図1におけるワークステーションWS3の出力する顧客向けの図または表を示す図である。
【図4】本発明の実施形態における設計ルールの例を示すのもで、吹き抜けの部位とベランダの部位が隣接する場合を示す図である。
【図5】本発明の実施形態における設計ルールの例を示すのもで、入隅柱が2つ隣接する場合を示す図である。
【図6】本発明の実施形態における部材選択の例を示す図である。
【図7】本発明の実施形態における設計情報の使用例を示す図である。
【符号の説明】
WS1 ワークステーション(データベース入力と整合確認)
WS2 ワークステーション(設計)
WS3 ワークステーション(部材準備)
DB1 部材情報データベース
DB2 設計情報データベ−ス
D1 邸別の建物記述データ
P1 新規部材入力・検証
P2 構造計算確認プログラム
F1 間取り図
F2 外観図
F3 平面図
F4 施工図
L1 仕様書
L2 見積書
L3 原価構成表
L11 発注部材
L21 発注情報
L22 発注情報
Claims (14)
- プレハブ住宅建築で使用する部材の、材質、形状、寸法、強度データのうちの少なくとも1つ以上を含む部材情報を記憶した部材情報データベースと、
前記部材情報データベースと部位による関係付けを有し、住宅建築に関する限定条件を示す設計情報であって、部材同士の接合・組み合せ、部材相互の空間的な配置、および施工方法、および梁に求められる強度、に関連する限定条件を記憶した設計情報データベースと
を有するCADにおける工業化注文住宅設計方法であって、
(1)前記CADの表示画面上で、住宅の建物形状と間取り図を描画し、
(2)当該描画された建物形状と間取り図における位置とその部位を指定する情報を入力して、前記部材情報データベースからその位置と部位に関して選択可能な候補を取り出して前記表示画面上に提示し、
(3)前記選択可能な候補に関する指定を入力し、
(4)前記指定された候補の設定あるいは候補の部材を、その位置あるいは部位に適用することが、前記設計情報データベースに記憶された設計情報の示す前記限定条件を満足するか否かを判定し、
否定判定が得られた場合には前記(3)のステップにおいて設定された候補を自動/または手動で変更し、前記(4)のステップでの判定を実行することにより、候補の更新および前記限定条件を満足するか否かの判定を、限定条件を満足する判定結果が得られるまで繰り返し実行し、
限定条件を満足する結果が得られた場合には、その判定の対象の候補を決定する
ことを特徴とする工業化注文住宅設計方法。 - 請求項1に記載の工業化注文住宅設計方法において、
前記(2)のステップでは、選択可能な部材の候補を取り出して前記表示画面上に提示し、
前記(3)のステップでは、選択可能な部材の候補を自動または手動により指定し、
前記(4)のステップでは、手動により指定した部材の強度が前記設計情報データベースに記憶された設計情報の示す限定条件を満足するか否かを判定し、
否定判定が得られた場合には、前記(3)のステップにおいて指定された部材を自動/または手動で変更し、次に前記(4)のステップでの判定を実行することによる当該部材の更新および前記限定条件を満足するか否かの判定を、限定条件を満足する判定結果が得られるまで繰り返し実行し、
限定条件を満足する結果が得られた場合には、その判定の対象の部材を使用部材として決定する
ことを特徴とする工業化注文住宅設計方法。 - 請求項1に記載の工業化注文住宅設計方法において、限定条件を満足する結果が得られるまで繰り返し実行することにより、各種の設定が完了した結果の情報と前記部材情報データベースを使用して発注用の部材リストを作成することを特徴とする工業化注文住宅設計方法。
- 請求項1に記載の工業化注文住宅設計方法において、限定条件を満足する結果が得られるまで繰り返し実行することにより、各種の設定が完了した結果の情報と前記部材情報データベースを使用して住宅建築費の積算を行うことを特徴とする工業化注文住宅設計方法。
- 請求項1に記載の工業化注文住宅設計方法において、前記CADは前記部材情報を前記部材情報データベースに登録するための情報処理装置を具え、該情報処理装置において、新規に登録する部材情報については前記設計情報データベースの設計情報の示す限定条件を満足するか否かの部材検証を行うことを特徴とする工業化注文住宅設計方法。
- 請求項1に記載の工業化注文住宅設計方法において、限定条件を満足する結果が得られるまで繰り返し実行することにより各種の設定が完了した結果の情報に基づいて、建築物としての構造計算をして建物強度、施工上の制約条件等の確認をすることを特徴とする工業化注文住宅設計方法。
- 請求項1に記載の工業化注文住宅設計方法において、限定条件を満足する結果が得られるまで繰り返し実行することにより、各種の設定が完了した結果の情報と前記部材情報データベースを使用して施工図を作成することを特徴とする工業化注文住宅設計方法。
- 工業化注文住宅を顧客仕様に合わせて設計する工業化注文住宅設計システムにおいて、
プレハブ住宅建築で使用する部材の、材質、形状、寸法、強度データのうちの少なくとも1つ以上を含む部材情報を記憶した部材情報データベースと、
前記部材情報データベースと部位による関係付けを有し、住宅建築に関する限定条件を示す、設計情報であって、部材同士の接合・組み合せ、部材相互の空間的な配置、および施工方法、および梁に求められる強度、に関連する限定条件を記憶した設計情報データベースと、
前記各データベースと接続された第1のワークステーションであって、
表示画面上で、住宅の建物形状と間取り図を描画する描画機能と、
前記建物形状と前記間取り図における位置とその部位を指定する情報を入力して、前記部材情報データベースからその位置と部位に関して選択可能な候補を取り出して前記表示画面上に提示する提示機能と、
前記選択可能な候補に関する指定を入力する指定機能と、
前記指定された候補の設定あるいは候補の部材を、その位置と部位に適用することが、前記設計情報データベースに記憶された設計情報の示す前記限定条件を満足するか否かを判定する判定機能と、
否定判定が得られた場合には、前記指定機能により指定された部材を自動/または手動で変更し、次に前記判定機能を実行することによる当該部材の更新および前記限定条件を満足するか否かの判定を、限定条件を満足する判定結果が得られるまで繰り返し実行させる繰り返し機能と、
限定条件を満足する結果が得られた場合には、その判定の対象の候補として決定する決定機能と
を有するワークステーションと
を具えることを特徴とする工業化注文住宅設計システム。 - 請求項8に記載の工業化注文住宅設計システムにおいて、前記ワークステーションの前記各機能において、
前記提示機能は、選択可能な部材の候補を取り出して前記表示画面上に提示し、
前記指定機能は、選択可能な部材の候補を自動または手動により指定し、
前記判定機能は、手動により指定した部材の強度が前記設計情報データベースに記憶された設計情報の示す限定条件を満足するか否かを判定し、
前記繰り返し機能は、前記否定判定が得られた場合には、前記指定機能により指定された部材を自動/または手動で変更し、次に前記判定機能で判定を実行することによる当該部材の更新および前記限定条件を満足するか否かの判定を、限定条件を満足する判定結果が得られるまで繰り返し実行し、
前記決定機能は、限定条件を満足する結果が得られた場合には、その判定の対象の部材を使用部材として決定する
ことを特徴とする工業化注文住宅設計システム。 - 請求項8に記載の工業化注文住宅設計システムにおいて、前記第1のワークステーションおよび前記部材情報データベースと接続された、前記第1のワークステーションとは別の第2のワークステーションをさらに具え、当該第2のワークステーションは、前記第1のワークステーションにより決定された結果の情報を受け取り、当該情報と前記部材情報データベースを使用して発注用の部材リストを作成することを特徴とする工業化注文住宅設計システム。
- 請求項8に記載の工業化注文住宅設計システムにおいて、前記第1のワークステーションおよび前記部材情報データベースと接続された、前記第1のワークステーションとは別の第2のワークステーションをさらに具え、当該第2のワークステーションは、前記第1のワークステーションにより決定された結果の情報を受け取り、当該情報と前記部材情報データベースを使用して住宅建築費の積算を行うことを特徴とする工業化注文住宅設計システム。
- 請求項8に記載の工業化注文住宅設計システムにおいて、前記部材情報データベースと前記設計情報データベースに接続され、前記部材情報を部材情報データベースに登録するための第3のワークステーションをさらに具え、当該第3のワークステーションは、新規に登録する部材情報については前記設計情報データベースの設計情報の示す限定条件を満足するか否かの部材検証を行うことを特徴とする工業化注文住宅設計システム。
- 請求項8に記載の工業化注文住宅設計システムにおいて、前記第1のワークステーションは、前記各機能を限定条件を満足する結果が得られるまで繰り返し実行させることにより各種の設定が完了した結果の情報に基づいて、建築物としての構造計算をして建物強度、施工上の制約条件等の確認をすることを特徴とする工業化注文住宅設計システム。
- 請求項8に記載の工業化注文住宅設計システムにおいて、前記第1のワークステーションおよび前記部材情報デーベースと接続された、前記第1のワークステーションとは別の第2のワークステーションをさらに具え、当該第2のワークステーションは、前記第1のワークステーションにより決定された結果の情報を受け取り、当該情報と前記部材情報データベースを使用して施工図を作成することを特徴とする工業化注文住宅設計システム。
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