以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。
〔住宅の一例〕
本実施形態における建物としての住宅は、主構造、屋根、副構造、内装などの複数の部位によって構成されている。例えば、主構造は、躯体構造を構成する柱、床、天井などにより構成され、屋根は、屋根パネルなどにより構成され、副構造は、外壁材、外壁材の下地、内壁材、内壁材の下地などにより構成され、内装は、階段、建具などにより構成されている。
上記住宅の複数の部位の各々は、一つ又は複数の構成品によって形成されており、例えば、構成品には、階段を形成する階段ユニットや建物内において居室などを形成する間仕切りなどが挙げられる。また、構成品の各々には、一つ又は複数のバリエーションがある。例えば、階段には、サイズ、形状、及び準耐火構造の仕様などが異なる複数の階段タイプ(バリエーション)があり、間仕切りには、部屋の大きさ、出入口の位置などの相違などに応じて複数のバリエーションがある。住宅は、複数の構成品の各々について複数のバリエーションから一つのバリエーションが選択され、選択されたバリエーションが組まれて形成されている。
一方、住宅(建物)の構造体としての躯体構造には、鉄骨ラーメン構造や鉄骨軸組構造などの軽量鉄骨構造がある。以下では、鉄骨ラーメン構造が適用された住宅(ユニット式住宅)を例として説明する。
ユニット式住宅には、構造体を構成する直方体枠状の建物用ユニット50及び構成品としての階段ユニット52などが用いられている。図1には、建物用ユニット50の一例が斜視図にて示され、図2には、階段の一例である階段ユニット52の主要部が斜視図にて示されている。
図1及び図2に示すように、建物用ユニット50及び階段ユニット52の各々は、複数の部品(部材)によって構成される。また、階段ユニット52は、一つ又は複数の取付部品が用いられて建物用ユニット50に取り付けられる。
図1に示すように、建物用ユニット50には、各々の長手方向が上下方向とされたフレーム支柱54が四隅に配置されており、フレーム支柱54には、上部に天井フレーム56が設けられ、下部に床フレーム58が設けられている。
天井フレーム56は、一対の桁天井大梁60Aの各々の端部と、一対の妻天井大梁60Bの各々の端部とが、フレーム支柱54の上端部に剛接合されて略矩形枠状に形成されている。また、天井フレーム56は、複数の天井小梁60Cの各々が一対の桁天井大梁60Aの間に架け渡され接合されて略梯子状に形成されている。
床フレーム58は、一対の桁床大梁62Aの各々の端部と、一対の妻床大梁62Bの各々の端部とが、フレーム支柱54の下端部に剛接合されて略矩形枠状に形成されている。また、床フレーム58は、複数の床小梁62Cの各々が一対の桁床大梁62Aの間に架け渡され接合されて略梯子状に形成されている。
建物用ユニット50には、天井フレーム56の天井小梁60Cが用いられて取り付けられた天井板64により天井が形成されると共に、床フレーム58の床小梁62Cが用いられて取り付けられた床板66により床が形成される。
ユニット式住宅は、複数の建物用ユニット50が縦横及び上下に配列され、縦横及び上下に隣接する建物用ユニット50同士が連結されており(図示省略)、ユニット式住宅では、複数の建物用ユニット50により鉄骨ラーメン構造の躯体が形成されている。また、ユニット式住宅では、上下に重ねられた建物用ユニット50のうちの下側が住宅の階下を形成し、上側が住宅の階上を形成する。階下の建物用ユニット50には、階段ユニット52が設置される。
階段には、直階段(直型タイプ、C型タイプなど)、折返し階段(U型タイプ、J型タイプなど)、回り階段(L型タイプなど)、螺旋階段などの複数の階段タイプ(階段の形態)がある。また、折返し階段や回り階段などには、上下方向の中間位置よりも上側で折り返すタイプや、上下方向の中間位置よりも下側で折り返すタイプなどがある。さらに、階段では、同様の形態であっても勾配や階段幅などのサイズ(平面寸法又は上下寸法)が異なるタイプがある。本実施形態では、形態やサイズの一方が異なるタイプの階段或いは準耐火構造の仕様の異なる階段を階段ユニット52のバリエーションとしており、階段ユニット52には、複数のバリエーションのうちの少なくとも一つが適用される。
図2に示すように、階段ユニット52は、階段のバリエーションの一例としての折返し階段(U型タイプ)とされている。階段ユニット52には、略矩形平板状の平坦モジュール68A、68Bが設けられており、平坦モジュール68A、68Bは、上下方向の中間位置に配置されると共に、平坦モジュール68Aが平坦モジュール68Bよりも下側に配置されている。
平坦モジュール68Aには、階下の床側に階段モジュール70Aが設けられ、平坦モジュール68Bには、階上の床側(階下の天井側)に階段モジュール70Bが設けられており、平坦モジュール68A、68Bは、階段モジュール70A、70Bの間において各々が踊り場を形成する。階段モジュール70Aは、一対の力桁72Aを備え、力桁72Aの間に複数段の踏板部74が設置されている。また、階段モジュール70Bは、一対の力桁72Bを備え、力桁72Bの間に複数段の踏板部74が設置されている。
また、階段ユニット52には、取付部品として中柱76及びブラケット78などが用いられる。中柱76は、建物用ユニット50の妻側において二本のフレーム支柱54の間に配置され、上端が天井フレーム56の妻天井大梁60Bに接合されると共に、下端が床フレーム58の妻床大梁62Bに接合される。ブラケット78は、平坦モジュール68A、68Bの中柱76側に溶接等によって取り付けられると共に、中柱76に接合(溶接など)される。
階段モジュール70Aは、力桁72Aの下側が床板66に取り付けられ、力桁72Aの上側が平坦モジュール68Aに取り付けられる。また、階段モジュール70Bは、力桁72Bの上側が天井フレーム56の天井小梁60Cに取り付けられ、力桁72Bの下側が平坦モジュール68Bに取り付けられる。これにより、階段ユニット52では、平坦モジュール68A、68Bが中柱76に支持され、この平坦モジュール68A、68Bに階段モジュール70A、70Bが取り付けられ、階段ユニット52が建物用ユニット50に設置される。
階段ユニット52が設置される建物用ユニット50は、階段ユニット52の上方に重なる天井小梁60Cが予め除かれて製造され、階上の建物用ユニット50は、階段ユニット52の上方に重なる床小梁62Cが予め除かれて製造される。これにより、上下の建物用ユニット50の間には、階下と階上との間で移動可能とする吹き抜けが形成される。
このようなユニット式住宅では、階段ユニット52が取り付けられる建物用ユニット50は、階段ユニット52の取り付けが影響して、他の建物用ユニット50とは構成や部品等が異なる。また、ユニット式住宅では、階段ユニット52の階段タイプに応じ、階段ユニット52の建物用ユニット50への取り付けに用いる取付部品(例えば、中柱76、ブラケット78など)の種類、形状、サイズ、数量や取付位置などが設定される。さらに、ユニット式住宅では、階段ユニット52の階段タイプに応じて、階下の建物用ユニット50及び階上の建物用ユニット50の組み上がり(構造)などが設定される。
また、階段ユニット52では、平坦モジュール68A、68B及び階段モジュール70A、70Bの下側に空間が形成されており、階段ユニット52では、下側空間に収納庫やトイレなどが形成可能となっている。このため、ユニット式住宅では、階段ユニット52のバリエーションが階段ユニット52の周囲における他の構成品としての間仕切りに影響する。また、ユニット式住宅では、階段ユニット52の周囲の間仕切りに複数のバリエーションが設定可能にされている。
ユニット式住宅を製造する住宅メーカでは、建築設計において、受注した建築プラン(受注建築プラン)に対し開発設計で作成された図面、部品表などに基づいて、建築プランに必要な構成品や構成品を形成する各部品を特定(積算)する。また、建築設計では、積算結果に基づいて実際に製造する各構成品の製造図面を作成する。建築設計において作成されるユニット式住宅の製造図面等には、製造工場において製造される建物用ユニット50や階段ユニット52等の部品表、各部品図、組図、取付部品の各々の部品図、取付部品を用いて階段ユニット52を建物用ユニット50に取り付けるための組図(施工図)が含まれる。
なお、建築設計では、受注建築プランについて、平面図や立面図などと共に、建具表、仕上げ表などの意匠図、電気(電気配線)、給排水、瓦斯、空調等の設備図、基礎伏図や住宅の建築に必要な各種の構造図、工程管理のための工程表などが作成されてもよい。また、建築設計では、建物用ユニット50等の各種部品を製造するための鋼材などの資材搬入、鋼材などの資材の切断、溶接、組み付けなどの作業、及び内装材及び外装材の取り付け作業などの製造工程表などが作成されてもよい。
製造工場では、建築設計において作成された製造図面等に基づき、鋼材などが加工されて建物用ユニット50及び階段ユニット52等を構成する部品が製造されて、製造された部品が組み付けられて建物用ユニット50と共に階段ユニット52等が製造される。また、製造工場では、階段ユニット52を建物用ユニット50に取り付けるための取付部品等が製造され、製造された取付部品が用いられて、建物用ユニット50に階段ユニット52などが取り付けられる。さらに、製造工場では、建物用ユニット50の屋外面に外壁パネルなどの外壁材が取り付けられると共に、窓枠(窓)や玄関枠(玄関扉)が取り付けられて外装が施される。
さらに、製造工場では、作成された製造図面等に基づき、建物用ユニット50内に居室、収納庫(物入れ)やトイレなどの小部屋あるいは廊下を形成する構成品としての間仕切りが設置されると共に、構成品としての内装又は内装下地が形成される(図示省略)。これにより、ユニット式住宅は、製造工場において各種の構成品が組み付けられて内外装が施された複数の建物用ユニット50が製造され、製造された複数の建物用ユニット50が住宅建築場所に搬送されて組み上げられて建築される。ここで、顧客のニーズやニーズの変化に対応できるように開発設計において間取りルールや構成品及びそのバリエーションを多数作成しておくことが考えられる。
〔第1実施形態〕
一方、住宅メーカでは、商品として推奨する複数の建築プラン(以下、標準プランという)が設定されている。標準プランは、開発設計において、推奨する(標準的な)間取りルール、構成品や部品の設計、部品図面、組付図、必要図数、積算方法などの検討が行われる。開発設計では、設定された標準プランの各々について、各種の図面作成が行なわれる。第1実施形態では、階段ユニット52を例に、新たな標準プラン(新たに推奨するプラン)や受注が予測される建築プランに対して図面作成等を行う開発設計の支援を説明する。図3には、第1実施形態に係る設計支援装置10のハードウェア構成がブロック図にて示され、図4には、設計支援装置10が機能ブロック図にて示されている。
図3に示すように、設計支援装置10には、CPU(Central Processing Unit)12A、CPU12Aが実行するプログラムが記憶されたROM(Read Only Memory)12B、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)12C、プログラムや各種の情報(データ)が記憶されるストレージ(Storage)12D、ネットワークインタフェース12E、入出力インタフェース12F等を含んで構成されたコンピュータが用いられている。また、設計支援装置10では、コンピュータにキーボードやマウスなどの入力デバイス14、液晶ディスプレイなどの表示デバイス16が接続されている。
設計支援装置10では、CPU12AがROM12B等に記憶されたプログラムを読み出して実行することで、各種の処理機能が実現される。これにより、図4に示すように、設計支援装置10には、各種のデータや指示を受け付けるデータ受付部20、データ受付部20で受け付けたデータなどの各種のデータや指示を取得する取得部22、設計支援のための建築情報等が格納される情報記憶部としての第1記憶部24、建築情報等を用いて学習済モデルを含む各種の情報を生成する学習部26、及び学習部26によって生成された各種の情報が格納される第2記憶部28が形成されている。また、設計支援装置10には、情報出力部及び実績予測部を構成する出力情報生成部30と出力部32とが形成されている。
データ受付部20は、キーボードやマウスなどの入力デバイス14、ネットワーク(ネットワークインタフェース12E)や入出力インタフェース12Fを介して接続された外部装置(何れも図示省略)などによって実現される。データ受付部20は、表示デバイス16に表示されたUI(ユーザインタフェース)に応じて入力デバイス14から入力されるデータや指示、あるいは外部装置から入力されるデータなどを受け付ける。
第1記憶部24及び第2記憶部28は、ストレージ12Dにより実現される。出力部32は、表示デバイス16により実現される。また、出力部32は、入出力インタフェース12Fやネットワークインタフェース12Eを介して接続されたプリンタ(印刷出力装置、図示省略)などによって実現される。なお、第1記憶部24及び第2記憶部28は、ストレージ12Dに限らず、設計支援装置10にネットワーク接続された外部記憶装置により形成されてもよい。
住宅メーカでは、複数の階段タイプの階段ユニット52を製造でき、第1記憶部24には、階段タイプごとの設計情報が格納されている。設計情報には、階段タイプごとの階段情報、階段タイプごとの取付部品の取付部品情報、階段の周囲の空間の利用情報及び階段タイプごとの建物用ユニット50のユニット情報等が含まれる。
階段情報には、階段タイプに応じた階段ユニット52を構成するための部品表、図番(図面数)、各部品の図面(部品図名)などの図面情報、組図などの取付情報、及び各図を作成するのに要する作業工数などの作業情報が含まれる。また、取付部品情報には、部品表、図番(図面数)、各部品の部品図などの図面情報、各図を作成するのに要する作業工数などの作業情報が含まれると共に、階段ユニット52を建物用ユニット50に取り付けるための組図(施工図)などの取付情報が含まれる。
さらに、階段ユニット52の周囲の空間(例えば、階段ユニット52の下側の空間など)を収納庫、トイレあるいは廊下などとして利用可能な場合がある。ここから、利用情報には、階段ユニット52の周囲の空間を収納庫、トイレあるいは廊下などに利用可能か否か、利用可能な場合の利用条件、及び収納庫、トイレあるいは廊下の何れに利用されているかが含まれる。また、利用情報には、周囲の空間を収納、トイレあるいは廊下などとして利用する場合や利用しない場合の各々において形成される他の構成品としての間仕切り等を特定可能な情報などの階段タイプに影響する情報が含まれる。
また、建物用ユニット50の情報(ユニット情報)には、建物用ユニット50を構成する部品表、図番(図面数)、各部品の部品図などの設計情報、階段ユニット52を取り付けるための組図などの取付情報、及びこれらの図面の作成に要する作業工数などの作業情報が含まれる。
なお、階段情報、取付部品情報、利用情報及びユニット情報には、製造工程において各部品の製造から組み立てまでの製造情報が含まれてもよい。階段情報、取付部品情報、利用情報及びユニット情報に基づいて図面作成されることで、製造工場では、階段ユニット52が取り付けられた建物用ユニット50の製造が可能になる。
開発設計では、階段タイプごとに階段コードが設定されると共に、取付部品の種類ごとに取付部品コードが設定される。階段は、階段コードにより複数のバリエーション(階段タイプ)の一つが特定される。また、建物用ユニット50では、取り付けられる階段タイプによって天井小梁60C又は床小梁62Cの一部が除かれるなどの構造上の相違が生じる。ここから、建物用ユニット50では、構造上の相違に応じてユニットコードが設定され、ユニットコードにより建物用ユニット50のバリエーションが特定される。
第1記憶部24には、階段コードに関連付けられて階段情報及び利用情報が格納され、取付部品コードに関連付けられて取付部品情報が格納され、ユニットコードに関連付けられてユニット情報が格納されて、階段コードに関連付けられて設計情報が格納される。階段コードごとの設計情報には、取付部品コード及びユニットコード等が関連つけられている。これにより、第1記憶部24には、データテーブルが形成される。図5には、階段コード、取付部品コード、ユニットコードが用いられたデータテーブルの一例が図表にて示されている。
図5に示すように、データテーブルでは、階段のバリエーションとしての複数の階段タイプ(階段ユニット52)の各々を示す階段コードが示される。また、データテーブルでは、階段コードごとに、階段コードによって特定される階段タイプに適用する取付部品を示す取付部品コード、及び階段タイプごとの建物用ユニット50(階上及び階下の各々)を示すユニットコードが関連付けられている。さらに、データテーブルでは、階段コードに利用情報(図示省略)が関連付けられる。これにより、データテーブルでは、例えば、階段コードから取付部品コード及びユニットコードを特定でき、階段タイプに対応する階段情報、利用情報、取付部品情報及びユニット情報等の特定が可能になる。
次に、第1実施形態の作用を説明する。
住宅メーカでは、住宅(ユニット式住宅)の商品(商品プラン)として予め様々な標準プランを設定しており、各標準プランでは、間取り(間取りルール)や階段などの各種の構成品(構成品のバリエーション)が設定されている。また、住宅メーカでは、構成品について複数のバリエーションが設定されており、住宅メーカでは、バリエーションの各々を示すカタログ集などの商品集を作成し、標準プランにおいて顧客に好みのバリエーションの選択を可能にしている。
設計支援装置10では、標準プランの標準コードに間取りルールや階段などの各種の構成品を表すデータが関連付けられて第1記憶部24に格納されている。また、設計支援装置10では、構成品についてバリエーション(例えば、階段についての階段タイプ)ごとの設計情報を表すデータが第1記憶部24に格納されている。
住宅建築を希望する顧客は、例えば、複数の標準プランから好みの標準プランを選択し、住宅メーカ(営業担当等)との間で間取り(間取りルール)や階段タイプなどの構成品の各々について打ち合せ(相談)する。この際、構成品についてのバリエーションの変更も含めて打ち合わされる。これにより、顧客が、住宅メーカに住宅建築を依頼する建築プラン(受注建築プラン)が決定される。
住宅メーカは、受注建築プランが決定されて住宅建築を受注すると、建築設計を行って受注建築プランに基づいた製造図面の作成等を行う。また、住宅メーカでは、作成された製造図面に基づいて建物用ユニット50、階段ユニット52などの製造を行い、受注建築プランの住宅建築を行う(施工する)。
建築設計では、受注した受注建築プランに対して受注コードを設定し、受注コード、受注建築プランの基礎となっている標準プランを示す標準コード、及び受注建築プランの建築情報(階段タイプを含む)を設計支援装置10のデータ受付部20に入力する。これにより、設計支援装置10では、第1記憶部24に複数の建築情報を表すデータが建築実績情報として蓄積される。蓄積される建築実績情報には、受注コードに標準コード及び受注建築プラン(建築情報)に含まれる階段タイプを示す階段コード等の各構成品のバリエーションを特定する情報が関連付けられている。なお、建築実績情報では、階段コードに取付部品コード及びユニットコード等が関連付けられる。
一方、設計支援装置10の第1記憶部24には、各構成品についてのバリエーションごとの設計情報が格納されており、設計支援装置10は、受注建築プランの受注コード、標準コード及び建築情報が入力されることで、住宅建築のための建築設計情報を生成する。例えば、設計支援装置10は、受注建築プランの建築情報において階段タイプを示す階段コードから階段の設計情報(階段情報、取付部品情報、利用情報及びユニット情報)を第1記憶部24から読み出し、読み出した設計情報を含めた建築設計情報を出力する。
階段情報には、階段ユニット52の部品表、図番(図面数)、各部品の部品図や組図、部品図や組図を作成するのに要する作業工数などが含まれる。また、取付部品情報には、取付部品の部品図、図番、組図(施工図)、部品図や組図を作成するのに要する作業工数などが含まれ、利用情報には、階段ユニット52の周囲の空間の利用に関する情報が含まれる。また、ユニット情報には、建物用ユニット50を構成する部品表、図番、各部品の部品図、組図、部品図や組図を作成するのに要する作業工数などが含まれる。
これにより、建築設計では、設計支援装置10から出力される建築設計情報から、受注建築プランにおける階段ユニット52、取付部品及び階段ユニット52が取り付けられる建物用ユニット50を製造するために必要な図面(製造図面)等を把握できると共に、図面等の作成に要する作業工数、作成された図面等に基づいた製造工程の流れを把握できる。したがって、建築設計では、受注建築プランについて、階段ユニット52、階段ユニット52が設置される建物用ユニット50及び階段ユニット52の取り付けに用いる取付部品を製造するための図面作成(設計)を効率的に行なうことができ、製造の作業効率を向上できる。
ところで、住宅メーカでは、顧客のニーズに対応して開発設計を行って標準プランについて、構成品(例えば、階段ユニット)のバリエーションを追加・変更することがある。また、標準プランについてのバリエーションの追加(標準プランの追加)や、変更などを行うことがある。
開発設計では、標準プランや構成品のバリエーションなどの追加・変更があると、該当する標準プランの設計情報の修正(変更)を行なう。図6には、構成品のバリエーション変更の際、設計支援装置10において実行される設計支援処理の概略が流れ図にて示されている。
図6のフローチャートは、構成品のバリエーションを追加・変更するための変更情報がデータ受付部20に入力されると実行され、最初のステップ100では、変更される構成品のバリエーションが新規のバリエーションか否か、すなわち、変更される階段タイプが新規の階段タイプか否かを確認する。
なお、構成品を変更する場合、データ受付部20に入力される変更情報には、変更する構成品を特定するコード、及び変更内容などが含まれる。また、コードが設定されていない新規のバリエーションについては、新たにコードが設定され、設定されたコードと共に構成品の設計情報が入力される。例えば、構成品が階段である場合、データ受付部20には、階段タイプを特定する階段コード、取付部品コード及びユニットコード等が入力されると共に、階段情報、取付部品情報、利用情報及びユニット情報等が作成されて入力される。
ここで、階段を他の階段タイプに変更するなどのように既存のバリエーションの間での変更であると、ステップ100において肯定判定して、ステップ102へ移行する。ステップ102では、入力された変更情報(階段コードなど)を取得し、該当する標準プラン又は受注建築プランにおいて階段タイプに関連する情報を更新する。
次のステップ104では、ステップ102で読み出した構成品及びそのバリエーションの各々に関する情報(階段コード、変更内容など)に基づいて、構成品(階段)及びそのバリエーションの各々に関する設計情報が変更されることにより生じる影響度情報を生成し、ステップ106では、生成した影響度情報を出力する(出力部32)。
階段情報には、部品表、図番(図面数)、各部品の部品図などの図面情報、組図などの取付情報、及び各図を作成するのに要する作業工数などの作業情報、及び階段の周囲の間仕切りなどの構成品に対する関連情報が含まれる。取付部品情報には、部品表、図番(図面数)、各部品の部品図などの図面情報、各図を作成するのに要する作業工数などの作業情報、階段ユニット52を建物用ユニット50に取り付けるための組図(施工図)などの取付情報が含まれる。利用情報には、階段ユニット52の周囲の空間の利用情報が含まれ、利用情報には、間仕切りなどの構成品の情報が含まれる。また、ユニット情報には、建物用ユニット50を構成する部品表、図番(図面数)、各部品の部品図などの設計情報、階段ユニット52を取り付けるための組図などの取付情報、及びこれらの図面の作成に要する作業工数などの作業情報が含まれる。
このため、影響度情報には、階段情報、取付部品情報、利用情報及びユニット情報から、階段タイプを変更したときにおける階段ユニット52の部品の相違、取付部品の相違、周囲の空間を利用するための部品等の相違、及び建物用ユニット50の部品の相違を把握できる情報が含まれる。また、影響度情報には、階段タイプを変更するための図面作成に要する作業工数を把握できる情報が含まれる。
これにより、影響度情報から階段タイプを変更するのに必要な階段そのものの図面、作図のための作業工数等に加え、階段が変更されることによりその影響を受けて変更する必要がある構成品(例えば、階段周囲の間仕切りなど)の変更に必要な図面、作図のための作業工数、更には建物用ユニット50の製造、製造するための設備の更新の工数、費用などの必要性を把握できる。すなわち、変更後についての階段情報、取付部品情報、利用情報及びユニット情報を出力するのみである場合、どのような部品が用いられるかなどは把握できるが、変更前に必要としているが変更後では不要となる部品などを適切に把握することは困難となる。また、同様の建物用ユニット50に見えるが、階段ユニット52の取付位置や取付方法などが相違する場合に、相違点の把握が困難となることがある。さらに、階段の周囲の空間を収納庫、トイレあるいは廊下に用いるか又は何れにも用いないかによって間仕切り等に影響する可能性も生じる。
ここで、開発設計では、設計支援装置10から影響度情報が出力されることで、階段タイプを変更することに伴うその他の構成品などに必要な変更を全て把握して作業を進めることができ、作図作業における作業漏れが生じるのを抑制できて、作業効率を効果的に向上できる。さらに、階段の周囲の空間が収納庫、トイレあるいは廊下として用いられる場合、階段タイプが変更されることで間仕切りなどの変更の可否を適切に判断できる。また、図面作成等に要する作業工数を把握できるので、開発設計における的確な作業を可能にできて、開発設計における作業効率を向上できる。
また、影響度情報は、ユニット情報が対比されて生成されているので、階段ユニット52が取り付けられる建物用ユニット50に変更が必要か否かを把握でき、変更が必要な場合の変更内容を適切に把握できる。このため、建物用ユニット50の製造や建物用ユニット50への階段ユニット52の組付作業に漏れが生じるのを抑制できて、開発設計及び製造作業の作業効率が低下するのを抑制でき、製造作業における作業効率の低下を抑制できる。
また、影響度情報は、階段ユニット52、取付部品、建物用ユニット50及び建物用ユニット50に階段ユニット52を組付けるための製造作業への影響を把握できる。バリエーションを変更することで影響を受ける他の構成品の数が多い構成品(影響度の大きい構成品)は、影響度の小さい構成品(影響を受ける他の構成品の数が少ない構成品)に比して、バリエーションを変更することで開発設計における作業工数も増加し、費用も掛かる(嵩む)。ここから、受注開始前における開発設計において、影響度の大きい構成品については、バリエーションの変更を見合わせ(既存のバリエーションとする)、影響度の小さい構成品について、バリエーションを増やす(バリエーションを変更する)こともできる。これにより、受注開始前の構成品のバリエーションの変更について、開発設計における設計作業の効率化を図ることができる。
一方、変更される構成品のバリエーション(階段タイプ)が新規であると、ステップ100において肯定判定してステップ108に移行し、新規のバリエーションの設計情報を取得する。また、ステップ110では、取得した設計情報を構成品についての新たなバリエーションの設計情報として、第1記憶部24に格納する。設計情報には、既存の構成品(バリエーション)と同様に、例えば、階段タイプごとの階段情報、階段タイプごとの取付部品の取付部品情報、階段の周囲の空間の利用情報及び階段タイプごとの建物用ユニット50のユニット情報等が含まれる。これにより、標準プランについては、構成品のバリエーションが追加される。
この後、ステップ104に移行して、構成品のバリエーションを変更することによる影響度情報を生成し、生成した影響度情報を出力する(ステップ106)。これにより、設計支援装置10は、標準プランの構成品について、新たな構成品のバリエーションが追加される場合にも、開発設計において見落としや無駄な作業が生じるのを抑制できる。したがって、設計支援装置10は、開発設計における図面作成作業のぬけや漏れを抑制することができる。
ところで、第1記憶部24には、複数の標準プランの各々の設計情報が格納されると共に、受注建築プランの建築情報が建築実績情報として蓄積され、建築実績情報には、構成品のバリエーションごとの施工実績、及び施工実績の変化が含まれる。学習部26では、第1記憶部24に蓄積された建築情報(受注建築プラン)の総数、所定期間(例えば、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年など)ごとの施工実績に基づき、基礎となっている標準プラン、各構成品についてのバリエーションごとの施工実績(建築実績)を算出する。また、学習部26では、算出結果に基づいて受注建築プランにおける標準プランの出現率(利用率)、構成品についてのバリエーションごとの出現率(施工実績率)を算出する。
また、学習部26では、構成品についてバリエーションごとの施工実績の変化から、新たに受注される受注建築プランに含まれる標準プランや構成品のバリエーションを予測する。学習部26では、標準プラン及び構成品のバリエーションごとに出現率を算出し、算出した出現率を第2記憶部28に格納する。
例えば、過去の施工実績としては多いが、施工実績が減少しつつある(施工実績が減少するように変化している)標準プランや階段タイプについては、出現率が低いと予測される。また、過去の施工実績としては少ないが、施工実績が増加しつつある標準プランや階段タイプについては、出現率が高いと予測される。
また、学習部26は、第1記憶部24に格納された複数の標準プランの各々の建築情報、及び建築実績情報を表すデータを学習用データとして、標準プランの建築情報から間取りルール或いは構成品のバリエーションを導出する学習済モデルや、間取りルール或いは構成品のバリエーションから建築プランを導出する学習済モデルを生成する。例えば、学習部26は、階段を除く建築情報から階段タイプを導出する学習済モデルを生成する。この際、学習部26は、階段タイプごとの出現率及び出現率の変化などに基づいてディープラーニングを行うことで、学習モデルを生成する。学習部26において生成された学習済モデルは、第2記憶部28に格納される。
ここで、設計支援装置10は、標準プランあるいは構成品のバリエーションについての出現率の出力指示を受け付けると、出力情報生成部30が指示された出現率を第2記憶部28から読み出して、出力部32が出力する。これにより、開発設計では、設計支援装置10の出力から、来期の受注建築について、受注建築プランの基礎となる標準プランや、受注建築プランにおける構成品のバリエーションを予測できる。
また、設計支援装置10では、例えば、階段タイプが除かれた標準プランなどの建築プラン(建築情報)が入力され、階段タイプを含めた建築情報の出力が指示されると、出力情報生成部30が第2記憶部28から読み出したが学習済モデルを用い、入力された建築情報から階段タイプを導出する。出力部32は、入力された建築情報に学習済モデルから導出された階段タイプを含めて出力する。これにより、例えば、標準プランに出現率の高い階段タイプを含めた建築プランが得られる。
設計支援装置10では、構成品の各バリエーションの施工実績を蓄積することで、構成品についてバリエーションごとの出現率を把握できる。また、設計支援装置10は、構成品のバリエーションを変更した際の他の構成品への影響度と共に、開発設計における作業工数を出力できる。
このため、開発設計においてどの構成品の変更を行うかを決定するときに、施工実績から予測した出現率が高い、又は高いと予測されるバリエーションについて受注開始(商品発売)前に設計情報の作成を行なうこともできる。例えば、受注開始前の設計開発において、バリエーションを変更することで影響を受ける他の構成品の数が少ない構成品(影響度の小さい構成品)ではあるが、出現率の低い構成品については、バリエーションを増やさず、影響を受ける他の構成品の数が多い構成品(影響度の大きい構成品)ではあるが、出現率が高い構成品については、バリエーションを増やすことも可能になる。
これにより、受注開始前に行なった開発設計の作業が無駄になってしまうのを抑制できて、作業効率の向上を図ることができる。しかも、設計支援装置10では、所定期間ごとの出現率を把握できるので、例えば、出現率が増加する傾向にあるバリエーションについては、受注開始前に設計情報等の作成を行なうことで、顧客のニーズを満たす標準プランを準備することができ、建築プランの受注確率を高めることができる。
なお、構成品のバリエーションごとの施工実績は、顧客のニーズに応じて変化する。ここから、構成品のバリエーションごとの出現率を予測する際、出現率が減少傾向にあるバリエーションについては、出現率が低くなるように重み付を行い、新規のバリエーションについては、出現率が高くなるように重み付けを行なうようにしてもよい。これにより、受注開始前の開発設計における設計情報等の作成に無駄が生じるのを抑制できると共に、顧客のニーズに合わせた設計情報等の作成作業を効率的に行なうことができる。また、新規のバリエーションについては、当該バリエーションの販売促進を図ることができる。
このようにして取得される構成品についてのバリエーションごとの出現率は、住宅メーカが顧客に提示する標準プランに反映させてもよい。これにより、顧客のニーズに近い標準プランを顧客に提示できる。また、学習済モデルを用いることで、間取りルールあるいは構成品のバリエーションから新たな標準プランの設定が容易になり、開発設計における標準プランの設定(開発)の効率化を図ることができる。
〔第2実施形態〕
次に、第2実施形態を説明する。
第2実施形態では、設計支援装置10に変えて設計支援装置36及び情報取得部としての携帯端末38を用いる。図7には、第2実施形態に係る設計支援装置36及び携帯端末38が概略構成図にて示され、図8には、設計支援装置36及び携帯端末38が機能ブロック図にて示されている。
図8に示すように、設計支援装置36には、通信部34が形成されている。通信部34は、ネットワークインタフェース12Eによって実現でき、無線方式又は有線方式でネットワーク(例えば、インターネットなどの公衆通信回線網)を介して複数の携帯端末38に接続可能になっている。
設計支援装置36では、携帯端末38からデータ受付部20に入力されることで取得された情報が第1記憶部24に格納される。また、設計支援装置36では、出力情報生成部30が第2記憶部28に格納された情報(データ)を読み出して出力情報を生成する。
図7に示すように、携帯端末38には、例えばタブレット端末などが用いられる。携帯端末38は、CPU40A、ROM40B、RAM40C、ストレージ40D、入出力デバイス40E、及び通信インタフェース(無線式のネットワークインタフェースでもよい)40Fを備えている。携帯端末38では、CPU40AがROM40Bに記憶されたプログラムを実行することで、所定の処理機能が実現される。
入出力デバイス40Eには、入力デバイスと出力デバイス(表示デバイス)とが一体化されたタッチ式ディスプレイが用いられており、携帯端末38では、入出力デバイス40Eへのタッチ操作によって各種の情報の閲覧が可能になっている。
図8に示すように、携帯端末38には、閲覧データ記憶部42A、閲覧部42B、ログ記憶部42C、及び通信部42Dが形成されている。閲覧データ記憶部42A及びログ記憶部42Cは、ストレージ40Dが用いられて実現され、閲覧部42Bは、入出力デバイス40Eが用いられて実現され、通信部42Dは、通信インタフェース40Fが用いられて実現されている。
閲覧データ記憶部42Aには、住宅メーカにおいて立案された複数の標準プランの各々及び複数の階段タイプ(階段のバリエーション)等の構成品ごとの複数のバリエーションのデータが電子カタログのデータ(冊子データ)として格納されている。閲覧部42Bは、入出力デバイス40E上において電子カタログの閲覧を可能にする。ログ記憶部42Cには、閲覧部42Bにおける電子カタログの閲覧履歴が格納される。通信部42Dは、ログ記憶部42Cに格納された閲覧履歴を設計支援装置36に送出(伝送)する。
次に、第2実施形態における作用を説明する。
住宅メーカでは、住宅建築を検討中の顧客、住宅建築を発注予定の顧客や発注する建築プランが略定まった顧客(住宅建築を発注した顧客を含んでもよい)に携帯端末38を貸与する。これにより、顧客は、携帯端末38に格納されている電子カタログの閲覧が可能となる。携帯端末38には、端末を特定する端末コード(顧客を特定できる顧客コードでもよい)が設定され、端末コードは、例えば、顧客から住宅建築を受注した際の受注建築プランの受注コードに関連付けられる。
携帯端末38を受け取った顧客は、階段タイプの電子カタログを閲覧し、発注する建築プランにおける階段タイプを検討できる。携帯端末38では、顧客が電子カタログを閲覧することで、閲覧日時と共に、閲覧ページ(閲覧している階段タイプ)、閲覧回数、及び各回の閲覧時間等がログ記憶部42Cに格納される。
設計支援装置36は、携帯端末38が顧客から返却されたタイミングなどの予め設定したタイミングで携帯端末38に接続し、携帯端末38から電子カタログの閲覧履歴を取得する。図9には、設計支援装置36において実行される閲覧履歴を用いる設計支援処理の一例が流れ図にて示されている。
図9のフローチャートは、予め設定した時間間隔で繰り返し実行され、最初のステップ120において、携帯端末38から閲覧履歴を取得するタイミングか否かを確認する。この際、閲覧履歴を取得するように設定されたタイミングであると、ステップ120において肯定判定してステップ122に移行する。なお、携帯端末38から閲覧履歴を取得するタイミングは、顧客から携帯端末38が返却されたタイミングに限らず、携帯端末38を顧客に貸与している期間において、毎日や隔日などの任意のタイミングを適用できる。
ステップ122では、携帯端末38から電子カタログの閲覧履歴を取得し、ステップ124では、取得した閲覧履歴から得られる顧客の閲覧情報を第1記憶部24に格納して蓄積する。これにより、第1記憶部24には、例えば、電子カタログの閲覧ページから閲覧した階段タイプが特定され、各階段タイプに対する閲覧回数、閲覧時期、閲覧時間及び閲覧日時等が蓄積される。また、第1記憶部24には、住宅メーカの階段タイプについて、顧客が興味を持った階段タイプを示す情報が蓄積されると共に、階段タイプごとの閲覧回数、閲覧時間、閲覧時期及びこれらの変化が蓄積される。
この後、ステップ126では、第1記憶部24に蓄積された閲覧履歴から、階段について顧客別の階段タイプ(構成品のバリエーション)の関心度情報、及び階段タイプ別(構成品のバリエーションごと)の関心度情報を生成する。また、ステップ126では、関心度情報として、階段タイプについて顧客別及び全顧客の関心度の変化を示す情報が生成され、生成された関心度情報が第2記憶部28に格納される。なお、第1記憶部24に記憶された閲覧履歴が更新されることで、第2記憶部28に格納される関心度情報が更新される。
次のステップ128では、構成品について顧客の関心度情報の出力要求がなされたか否かを確認する。例えば、表示デバイス16に所定のユーザインターフェイスを表示し、入力デバイス14(マウスやキーボード)の操作によって顧客に対応する顧客コードあるいは顧客に貸与した端末コードなどが指定されて顧客の関心度情報の出力要求がデータ受付部20に入力されると、ステップ128において肯定判定されてステップ130に移行する。なお、ステップ120において否定判定された場合にもステップ128に移行する。
ステップ130では、指定された顧客について階段タイプの関心度情報を第2記憶部28から読み出し、関心度情報に含まれる顧客の階段タイプごとの関心度を示す情報から、階段タイプごとの出現率を予測して出力する。顧客の関心度情報には、階段についての総閲覧時間、階段タイプごとの閲覧時間、階段についての総閲覧回数、階段タイプごとの閲覧回数、閲覧日時などが含まれる。
ここから、階段についての総閲覧時間に対する階段タイプの閲覧時間の比率から顧客が階段タイプの変更に興味を示しているか否かを予測でき、総閲覧時間に対する階段タイプの閲覧時間の比率が高い場合には、顧客が階段タイプの変更に興味を示していると予測できる。特に、携帯端末38の使用開始初期段階では、階段や階段タイプについて閲覧回数が少ないが、徐々に閲覧回数が増加した場合、顧客が階段タイプの変更に高い興味を示していると予測できる。
また、顧客が階段タイプの変更に興味を示していると予測される場合、階段についての総閲覧回数に対する階段タイプごとの閲覧回数の比率から、特定の階段タイプに興味を示しているか否かを予測でき、特定の階段タイプに興味を示していると予測される場合、当該階段タイプの出現率が高いと予測できる。なお、関心度(出現率)の予測においては、閲覧回数の比率に閲覧時間の比率を合わせてもよく、閲覧回数が少なくとも閲覧時間が長い場合には、顧客が該当する階段タイプについて興味を示していると予測できて出現率が高くなると予測できる。
このようにして顧客の関心度情報から階段タイプの出現率を予測することで、顧客が住宅建築の発注前であれば、顧客が発注する住宅建築の受注建築プランについて階段タイプの設定(変更の有無、及び変更がある場合に変更される階段タイプ)を受注開始前に予測できる。これにより、開発設計では、階段タイプについて事前に建築設計(製造図面作成等)を行なうことができ、顧客から受注が予測される住宅建築における構成品のバリエーションを予測できて、建築設計の効率化が可能になる。
また、顧客が住宅建築を発注済みであれば、顧客の関心度情報から階段などの構成品についてバリエーションの変更(階段タイプの変更)の有無を予測できる。すなわち、顧客からの受注建築プランにおける構成品と異なるタイプ(異なるバリエーション)について、顧客の関心度が高い場合には、顧客がその構成品についてタイプの変更(バリエーションの変更)を希望する可能性が高くなると予測できる。ここから、建築設計では、構成品についてバリエーションの変更の有無を確認してから関連する構成品についての建築図面作成を行なうことができるので、図面作成等の無駄を省くことができて効率化が可能となる。
また、建築設計では、顧客による構成品のバリエーションの変更を予測した作業が可能となるので、顧客の希望に沿った住宅建築が可能になる。さらに、設計支援装置36は、設計支援装置10と同様に構成品のバリエーションが変更された場合に、他の構成品への影響度を得ることができる。このため、建築設計では、階段タイプ等が変更された場合でも、作業に無駄が生じるのを抑制できて、建築設計の作業性が低下するのを抑制できる。
一方、ステップ132では、階段タイプごとの関心度情報の出力要求がなされたか否かを確認し、階段タイプごとの関心度情報の出力が指示されると、ステップ132において肯定判定されてステップ134に移行する。なお、関心度情報の出力要求がない場合には、ステップ132において否定判定して処理を終了する。
ステップ134では、階段タイプごと(構成品のバリエーションごと)の関心度情報を第2記憶部28から読み出し、関心度情報に基づき階段タイプごとの関心度を示す情報から、階段タイプごとの出現率を予測して出力する。なお、第2記憶部28には、建築実勢情報(施工実績)から得られる階段タイプごとの出現率を示す情報が格納されており、ステップ134では、施工実績から得られる出現率を示す情報を合わせて読み出して、出現率を予測してもよい。
各顧客から取得される閲覧履歴から、現在(閲覧時期)において関心度の高い(興味を持たれている)階段タイプを予測できる。また、施工実績の変化から施工済の住宅において出現率が高くなりつつある階段タイプを予測できる。このような階段タイプは、顧客のニーズの高い階段タイプ、ニーズが高くなりつつある階段タイプであると予測できる。
これにより、開発設計では、標準プランを作成する際に、出現率が高く顧客のニーズの高いと予測される階段タイプを含めることで、新たな顧客に高い満足度が得られる標準プランを作成できる。したがって、開発設計では、新たな標準プランの作成や、既存の標準プランの変更等を容易にかつ効率的に行うことができる。
このように、設計支援装置36では、階段タイプ別の閲覧情報から階段タイプ別の関心度を学習できる。また、設計支援装置36では、設計支援装置10と同様に階段タイプ別の施工実績を学習できる。これにより、設計支援装置36では、階段タイプとして顧客のニーズが高い階段タイプを的確に予測できる。
ここから、開発設計では、既に立案している標準建築プランについて、ニーズの高いと予測される階段タイプに変更することで、標準プランのバージョンアップができる。また、開発設計では、ニーズの高いと予測した階段タイプを用いた新たな標準プランを立案できて、顧客のニーズを満たす高品質の標準プランを提案できる。さらに、開発設計では、基礎とした受注建築プランが少なくかつ顧客のニーズの低いと予測される階段タイプを含む標準建築プランの廃止などを検討できる。これにより、設計支援装置36は、設計開発における効率的に標準プランのバージョンアップを可能にできると共に、標準プランの適切な整理が可能になる。
なお、以上説明した第2実施形態では、携帯端末38を用いた。しかしながら、情報取得部は、設計支援装置36が接続されたネットワーク上のカタログ閲覧用サーバが用いられてもよい。この場合、顧客ごとにパスワードを通知し、顧客がパスワードを用いて自身のパーソナルコンピュータや携帯端末からカタログ閲覧用サーバにアクセスして電子カタログの閲覧を可能とする。また、カタログ閲覧用サーバは、電子カタログが閲覧された際の閲覧履歴を設計支援装置36に送信すればよい。
また、以上説明した第1及び第2実施形態では、構成品として主に階段を適用し、バリエーションとして階段タイプを例に説明した。しかしながら、構成品は、階段に限らず建物を構成する各種の構成品を適用できる。さらに、第1及び第2実施形態では、建物として建物用ユニット50を用いて鉄骨ラーメン構造の構造体が形成されたユニット式の住宅を例に説明した。しかしながら、建物は、鉄骨軸組構造等の他の構造体が用いられてもよい。
また、第1及び第2実施形態において、CPUが実行した機能処理は、CPU以外の各種のプロセッサが実行してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。また、第1及び第2実施形態における機能処理は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等)で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。