JP4137272B2 - プロピレン重合体積層シート - Google Patents

プロピレン重合体積層シート Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐衝撃性、透明性、及び剛性に優れたプロピレン重合体積層シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリオレフィン、特にプロピレン重合体は、成形性、光沢に優れ、また、衛生性や耐熱性にも優れていることから、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル等の他の熱可塑性樹脂と同様にシートに加工され、食品、文具、生活用品等の各種包装用途に使用されている。
【0003】
このような包装用途においては、内容物の保護のために耐衝撃性が求められ、特に食品包装分野においては、冷凍食品が多く使用されていることから低温時の耐衝撃性が求められる。また、外観への要求が大きく、特に内容物がよく見える透明性に優れた製品が求められる。
【0004】
プロピレン重合体の耐衝撃性を改良する方法として、プロピレン・エチレンランダム或いはブロック共重合体を使用する方法がある。
しかしながら、プロピレン・エチレンランダム共重合体を使用すると、耐衝撃性の改良効果が少ないばかりか製品の剛性が低下し、プロピレン・エチレンブロック共重合体を使用すると透明性が低下する。よって、耐衝撃性、剛性及び透明性をすべて兼ね備えたプロピレン樹脂材料からなる製品の開発が望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、プロピレン樹脂材料を用いた、耐衝撃性、透明性、剛性のいずれにも優れた包装材料等に適したシート状成形品を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、このような状況に鑑み鋭意研究を重ねた結果、特定のポリオレフィン重合体を用いた組成物を使用して積層構造とすることにより、上記課題を解決しうることを見出し、本発明に到達した。
【0007】
すなわち、本発明は、表裏2層の表面層、及び該表面層の間に形成される中間層を有する積層シートであって、前記表面層が、以下に示す成分(A)100重量部に対して成分(C)2〜60重量部を配合してなるプロピレン重合体組成物(I)からなり、前記中間層が成分(B)100重量部に対して成分(C)2〜100重量部を配合してなるプロピレン重合体組成物(II)からなることを特徴とする、プロピレン重合体積層シートを提供する。
【0008】
成分(A):MFRが0.5〜50g/10分のプロピレン重合体。
成分(B):MFRが0.1〜30g/10分であってエチレン含量が1〜30重量%のプロピレン・エチレンブロック共重合体。
成分(C):密度が0.850〜0.925g/cm3、MFRが0.5〜30g/10分、及び重量平均分子量を数平均分子量で除した値が1.4〜3.5であってエチレン含量が99〜50重量%のエチレン・α−オレフィンランダム共重合体。
【0009】
また、本発明は、前記プロピレン・エチレンブロック共重合体のキシレン可溶分が0.5〜20重量%であって、該キシレン可溶分を前記プロピレン・エチレンブロック共重合体のエチレン含量で除した値が1以下であることを特徴とする、前記プロピレン重合体積層シートを提供する。
【0010】
また、本発明は、前記エチレン・α−オレフィンランダム共重合体が、メタロセン系触媒を用いて重合されたものであることを特徴とする前記プロピレン重合体積層シートを提供する。
【0011】
また、本発明は、前記プロピレン重合体組成物(I)及びプロピレン重合体組成物(II)の少なくとも一方に、核剤が、該プロピレン重合体組成物100重量部に対し0.03〜1重量部の割合で配合されていることを特徴とする前記プロピレン重合体積層シートを提供する。
【0012】
また、本発明は、全シート厚みが0.1〜3mmであって、かつ表裏2層の表面層の厚みの合計が該全シート厚みに対して2〜70%の割合である前記プロピレン重合体積層シートを提供する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明のプロピレン重合体積層シートは、少なくとも表裏2層の表面層及び中間層を有する積層シートであって、前記表面層が、成分(A)と成分(C)とを配合してなるプロピレン重合体組成物(I)からなり、前記中間層が成分(B)と成分(C)とを配合してなるプロピレン重合体組成物(II)からなることを特徴とする。
【0014】
(1)成分(A)
本発明で表面層に用いられる成分(A)はプロピレン重合体である。プロピレン重合体は、プロピレン単独、或いはプロピレン含量が95重量%以上の、好ましくは97重量%以上のプロピレンとエチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチル−ペンテン−1等のα−オレフィンとのランダム又はブロック共重合体である。これらの中でもプロピレン単独重合体を用いることが好ましい。
【0015】
前記プロピレン重合体は、JIS−K7210(230℃、2.16kg荷重)に準拠して測定されたMFR(メルトフローレート)が0.5〜50g/10分、好ましくは0.7〜30g/10分、さらに好ましくは1〜20g/10分である。MFRが上記範囲を上回ると衝撃強度が不足し、MFRが上記範囲を下回ると成形加工時に流動不良となる。
【0016】
(2)成分(B)
本発明で中間層に用いられる成分(B)は、プロピレン・エチレンブロック共重合体である。このプロピレン・エチレンブロック共重合体は、エチレン含量(すなわちその全構成単位におけるエチレン単位の割合)が1〜30重量%、好ましくは2〜25重量%、さらに好ましくは3〜20重量%である。エチレン含量が上記範囲を下回ると衝撃強度が不足し、エチレン含量が上記範囲を上回ると剛性が不足する。なお、共重合体中の各構成単位の含量は、13C−NMR(核磁気共鳴法)を用いて測定される値である。
【0017】
また、前記プロピレン・エチレンブロック共重合体は、JIS−K7210(230℃、2.16kg荷重)に準拠して測定されたMFR(メルトフローレート)が0.1〜30g/10分、好ましくは0.2〜10g/10分、さらに好ましくは0.3〜5g/10分である。MFRが上記範囲を上回ると衝撃強度が不足し、MFRが上記範囲を下回ると成形加工時に流動不良となる。
【0018】
また、前記プロピレン・エチレンブロック共重合体は、好ましくはキシレン可溶分(キシレン溶解成分量)が0.5〜20重量%、より好ましくは1〜15重量%、さらに好ましくは1.5〜10重量%である。キシレン可溶分が上記範囲を上回ると剛性が不足し、キシレン可溶分が上記範囲を下回ると衝撃強度が不足する場合がある。
【0019】
ここで、キシレン可溶分とは、プロピレン重合体を沸騰キシレンで溶解後冷却し、析出物を除いて残された成分の量をいい、もとのプロピレン重合体に対する重量百分率で表す。
【0020】
また、前記プロピレン・エチレンブロック共重合体は、キシレン可溶分を前記エチレン含量で除した値が1以下、好ましくは0.9以下、さらに好ましくは0.8以下であることが好ましい。この値が上記範囲を上回ると透明性が不足する。
【0021】
このような物性を有する上記プロピレン・エチレンブロック共重合体の製造方法としては、スラリー法、溶液法、気相法等が挙げられる。
【0022】
(3)成分(C)
本発明で表面層及び中間層に用いられる成分(C)は、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体である。このエチレン・α−オレフィンランダム共重合体は、好ましくはエチレンと炭素数3〜18のα−オレフィンとの共重合体である。
【0023】
炭素数3〜18のα−オレフィンとしては、具体的にはプロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、ヘプテン−1、4−メチルペンテン−1、4−メチルヘキセン−1、4,4−ジメチルペンテン−1等を挙げることができる。
【0024】
これらのうち、より好ましいものは炭素数4〜12、特に好ましいものは炭素数6〜10のα−オレフィンである。これらのα−オレフィンは、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0025】
前記エチレン・α−オレフィンランダム共重合体中のα−オレフィン含量(全構成単位中におけるα−オレフィン単位の割合)は、1〜50重量%、好ましくは5〜30重量%、特に好ましくは10〜30重量%であり、エチレン含量(全構成単位中におけるエチレン単位の割合)は99〜50重量%、好ましくは95〜70重量%、特に好ましくは90〜70重量%である。
【0026】
前記エチレン・α−オレフィンランダム共重合体は、JIS−K7112(23℃)に準拠して測定された密度が0.850〜0.925g/cm3、好ましくは0.880〜0.920g/cm3、さらに好ましくは0.890〜0.918g/cm3である。密度が上記範囲を上回ると耐衝撃性が不足し、密度が上記範囲を下回ると剛性が不足する。
【0027】
また、前記エチレン・α−オレフィンランダム共重合体は、JIS−K7210(190℃、2.16kg荷重)に準拠して測定されたMFRが0.5〜30g/10分、好ましくは0.8〜20g/10分、さらに好ましくは1〜15g/10分である。MFRが上記範囲を上回ると耐衝撃性が不良となり、MFRが上記範囲未満では成形加工時に流動不良となる。
【0028】
さらに、前記エチレン・α−オレフィンランダム共重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定された重量平均分子量(Mw)を数平均分子量(Mn)で除した値(Mw/Mn:以下、「Q値」という)が1.4〜3.5、好ましくは1.7〜3.3である。Q値がこの範囲を下回ると成形加工時の圧力が高くなって好ましくない。Q値がこの範囲を上回ると透明性が不足する。
【0029】
本発明のエチレン・α−オレフィンランダム共重合体としては、メタロセン系触媒を用いて主成分のエチレンと従成分のα一オレフィンとを共重合させて得られるものが特に好ましい。
【0030】
具体的には、特開昭58−19309号、特開昭59−95292号、特開昭60−35005号、特開昭60−35006号、特開昭60−35007号、特開昭60−35008号、特開昭60−35009号、特開昭61−130314号、特開平3−163088号の各公報、ヨーロッパ特許出願公開第420,436号明細書、米国特許第5,055,438号明細書、および国際公開公報WO91/04257号明細書等に記載されているメタロセン触媒もしくはメタロセン/アルモキサン触媒を用いる方法にて重合して得られたもの、又は、例えば国際公開公報WO92/07123号明細書等に開示されているようなメタロセン化合物と、該メタロセン化合物と反応して安定なイオンとなる化合物とからなる触媒を使用して重合して得られたものを挙げることができる。
【0031】
ここで、上述したメタロセン化合物と反応して安定なイオンとなる化合物としては、カチオンとアニオンのイオン対から形成されるイオン性化合物又は親電子性化合物であって、メタロセン化合物と反応して安定なイオンとなって重合活性種を形成するものが挙げられる。
【0032】
このうち、イオン性化合物としては下記式(i)で表されるものが挙げられる。なお、式(i)中、mは1以上の整数である。
【0033】
【化1】
[Q]m+[Y]m- ・・・(i)
【0034】
式(i)中、Qはイオン性化合物のカチオン成分である。具体的には、カルボニウムカチオン、トロピリウムカチオン、アンモニウムカチオン、オキソニウムカチオン、スルホニウムカチオン、ホスホニウムカチオン等が挙げられ、更には、それ自身が還元され易い金属の陽イオンや有機金属の陰イオン等も挙げることができる。
【0035】
これらのカチオンは、特表平1−501950号公報等に開示されているようなプロトンを与えることができるカチオンだけでなく、プロトンを与えないカチオンでもよい。
【0036】
これらのカチオンの具体例としては、トリフェニルカルボニウム、ジフェニルカルボニウム、シクロヘプタトリエニウム、インデニウム、トリエチルアンモニウム、トリプロピルアンモニウム、トリブチルアンモニウム、N,N−ジメチルアンモニウム、ジプロピルアンモニウム、ジシクロヘキシルアンモニウム、トリフェニルホスホニウム、トリメチルホスホニウム、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウム、トリ(メチルフェニル)ホズホニウム、トリフェニルスルホニウム、トリフェニルオキソニウム、トリエチルオキソニウム、ピリリウム、銀イオン、金イオン、白金イオン、パラジウムイオン、水銀イオン、フェロセニウムイオン等が挙げられる。
【0037】
また、式(i)中、Yはイオン性化合物のアニオン成分であり、メタロセン化合物と反応して安定なアニオンとなる成分であって、有機ホウ素化合物アニオン、有機アルミニウム化合物アニオン、有機ガリウム化合物アニオン、有機リン化合物アニオン、有機ヒ素化合物アニオン、有機アンチモン化合物アニオン等が挙げられる。
【0038】
具体的には、テトラフェニルホウ素、テトラキス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ホウ素、テトラキス(3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェニル)ホウ素、テトラキス(3,5−(t−ブチル)フェニル)ホウ素、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、テトラフェニルアルミニウム、テトラキス(3,4,5−卜リフルオロフェニル)アルミニウム、テトラキス(3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェニル)アルミニウム、テトラキス(3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)アルミニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミニウム、テトラフェニルガリウム、テトラキス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ガリウム、テトラキス(3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェニル)ガリウム、テトラキス(3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)ガリウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ガリウム、テトラフェニルリン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)リン、テトラフェニルヒ素、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ヒ素、テトラフェニルアンチモン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)アンチモン、デカボレート、ウンデカボレート、カルバドデカボレート、デカクロロデカボレート等が挙げられる。
【0039】
前記親電子性化合物としては、ルイス酸化合物として知られているもののうち、メタロセン化合物と反応して安定なイオンとなって重合活性種を形成するものであり、種々のハロゲン化金属化合物や固体酸として知られている金属酸化物等が挙げられる。具体的には、ハロゲン化マグネシウムやルイス酸性無機化合物等が例示される。
【0040】
これらの触媒成分は、適宜、無機固体担体、有機固体担体等に担持して使用することもできる。担持の例としては、特開昭61−296008、特開平1−101315、特開平5−301917等に記載されている方法が挙げられる。
【0041】
これらの触媒を用いた共重合の方法としては、気相法、スラリー法、高圧イオン重合法、溶液法等を挙げることができる。
【0042】
(4)プロピレン重合体組成物
本発明で表面層を構成するプロピレン重合体組成物(I)は、上記成分(A)であるプロピレン重合体100重量部に対し、上記成分(C)であるエチレン・α−オレフィンランダム共重合体を2〜60重量部、好ましくは3〜50重量部、さらに好ましくは4〜40重量部配合してなるものである。前記エチレン・α−オレフィンランダム共重合体の配合量が上記範囲を下回ると耐衝撃性が不足し、配合量が上記範囲を上回ると剛性が不足する。
【0043】
本発明で中間層を構成するプロピレン重合体組成物(II)は、上記成分(B)であるプロピレン・エチレンブロック重合体100重量部に対し、上記成分(C)であるエチレン・α−オレフィンランダム共重合体を2〜100重量部、好ましくは3〜80重量部、さらに好ましくは4〜60重量部配合してなるものである。前記エチレン・α−オレフィンランダム共重合体の配合量が上記範囲を下回ると耐衝撃性が不足し、配合量が上記範囲を上回ると剛性が不足する。
【0044】
また、本発明においては、上記プロピレン重合体組成物(I)及びプロピレン重合体組成物(II)の少なくとも一方に、核剤が配合されているのが好ましい。核剤はプロピレン重合体組成物(I)及びプロピレン重合体組成物(II)のいずれか一方のみに配合されていても良く、また両方に同時に配合されていてもよい。
【0045】
ここで用いられる核剤としては、芳香族カルボン酸金属塩、芳香族燐酸金属塩、ソルビトール系誘導体、ロジンの金属塩等が挙げられる。これらの核剤の中では、P−t−ブチル安息香酸アルミニウム、燐酸2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−ブチルフェニル)ナトリウム、燐酸2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−ブチルフェニル)アルミニウム、p−メチル−ベンジリデンソルビトール、p−エチル−ベンジリデンソルビトール、ロジンのナトリウム塩等が好適である。
【0046】
前記核剤の配合割合は、前記プロピレン重合体組成物[プロピレン重合体組成物(I)又は(II)]100重量部に対して0.03〜1重量部、好ましくは0.05〜0.8重量部、さらに好ましくは0.07〜0.6重量部である。核剤の配合割合が上記範囲を下回ると剛性が不足し、上記範囲を上回ると透明性の低下が起こるほかに、さらに剛性の向上を図ることができず、単にコストの上昇を招くだけとなる。
【0047】
また、本発明で用いられる上記プロピレン重合体組成物(I)及びプロピレン重合体組成物(II)には、上述した成分に加えて、さらに他の付加的成分を、本発明の効果を著しく損なわない範囲で任意に配合することができる。
【0048】
このような任意成分としては、通常のポリオレフィン樹脂材料に使用される酸化防止剤、透明化剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、防曇剤、中和剤、金属不活性剤、着色剤、分散剤、過酸化物、充填剤、蛍光増白剤等が挙げられる。また、本発明で用いられる上記重合体成分以外の樹脂や、エラストマー等を配合することもできる。
【0049】
これらの任意成分は各々単独で、又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。また、該任意成分は、目的とするプロピレン重合体組成物もしくは成形体を製造するまでのいずれの段階で配合してもよい。
【0050】
上記必須成分及び所望により用いられる任意成分は、各々直接成形機に投入して成形に供することもできるが、一般には、予め各成分を溶融混練して組成物、好ましくはペレット状組成物とし、これを成形用材料として使用するのが望ましい。
【0051】
溶融混練については、例えば粉末状、ペレット状等の形状の各成分を一軸又は二軸の押出機、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、Vブレンダー、タンブラーミキサー、リボンブレンダー、バンバリーミキサー、ニーダーブレンダー、ブラベンダープラストグラフ、小型バッチミキサー、連続ミキサー、ミキシングロール等の混練機を使用して行う。混練温度は、一般に180〜270℃で行われる。また、混練機は上述したものを二種以上組み合わせて用いることもできる。
【0052】
(5)積層シート
本発明のプロピレン重合体積層シートは、上述した重合体組成物からなる表裏2層の表面層と中間層とを少なくとも含む積層体である。すなわち、表面層、中間層、及びもう一方の表面層(裏面層)から構成される三層構造(表面層/中間層/裏面層)の積層体によって基本的に形成されている。
【0053】
前記積層体は、上述した三層のみからなるものであってもよいが、さらにこれら表面層と中間層との間に、及び/又は、中間層と裏面層(もう一方の表面層)との間に他の樹脂層を設け、例えば4層構造、5層構造、或いは7層以上の構造の積層体としてもよい。また、前記表面層のさらに外側の表面等に他の層を設けることもできる。
【0054】
このように、本発明の積層シートには、本発明の必須構成層以外に他の任意層を、本発明の効果を著しく損なわない範囲内で追加することができる。本発明で設けることのできる他の任意層としては、再生樹脂層、ガスバリヤー性樹脂層、接着性樹脂層、ヒートシール性樹脂層、イージーピール性樹脂層、保香性樹脂層等を挙げることができる。
【0055】
本発明のプロピレン重合体積層シートは、好ましくは、全シート厚みが0.1〜3mmである。また、表裏2層の表面層の厚みの合計が該全シート厚みに対して、2〜70%、より好ましくは5〜60%、特に好ましくは7〜50%の割合で形成されていることが望ましい。全シート厚みが上記範囲を下回ると剛性が不足し、上記範囲を上回ると透明性が損なわれる傾向がある。また、表面層の厚みの合計が上記範囲を下回ると積層シートの厚みがコントロールし難くなる傾向があり、また、表面層の厚み合計が上記範囲を上回ると衝撃強度が不足する。
【0056】
本発明のプロピレン重合体積層シートの製造方法としては、通常の成形加工法を採用することができる。例えば、Tダイ法、インフレーション法、カレンダーロール法等の共押出成形機を利用して製造することができる。
【0057】
より具体的な例を挙げて共押出Tダイ成形機による製造方法を説明すると、各層の押出機に本発明で用いるプロピレン重合体組成物を投入し、200〜280℃の温度で加熱溶融混練後、フィードブロックで積層構造にし、Tダイのダイリップより膜状に押し出し、エアーナイフ法やエアーチャンバー法、ポリシングロール法、スイングロール法、ベルトキャスト法、水冷法等で積層溶融膜を挟圧冷却して、引取機で引き取り、積層シートを製造する。
【0058】
本発明のプロピレン重合体積層シートは、シートのまま使用することもできるが、さらに通常の差圧を利用した真空、圧空、プラグアシスト成形機等を利用して容器に成形加工することもできる。
【0059】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。なお、以下の実施例における各種物性等の測定法及び評価法は次の通りである。
【0060】
(1)MFR
プロピレン重合体及びプロピレン・エチレンブロック共重合体については、JIS−K7210(230℃、2.16kg荷重)に準拠して測定した。エチレン・α−オレフィンランダム共重合体については、JIS−K7210(190℃、2.16kg荷重)に準拠して測定した(単位:g/10分)。
【0061】
(2)各構成単位の含量
重合体中の各構成単位の含量は、13C−NMRを用いて測定した。
(3)密度
JIS−K7112(23℃)に準拠して測定した。
【0062】
(4)キシレン可溶分
プロピレン・エチレンブロック共重合体を沸騰キシレンで溶解後冷却し、析出物を除いて残された成分を測定した(単位:%)。
【0063】
(5)Q値
重量平均分子量及び数平均分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定し、それに基づいて求めた。
【0064】
(6)曲げ弾性率
JIS−K6758に準拠して曲げ弾性率を測定した(単位:MPa)。
(7)透明性
JIS−K7105に準拠してヘーズ(HAZE)を測定し、透明性の指標とした(単位:%)。
【0065】
(8)耐衝撃性
ASTM−D2794に準拠して−20℃におけるデュポン衝撃強度を測定し、耐衝撃性を評価した(単位:J)。
【0066】
【実施例1】
MFRが2.5g/10分のプロピレン単独重合体100重量部に対して、メタロセン触媒を用いて重合された密度が0.905g/cm3、MFRが2.2g/10分、ヘキセン含量が15重量%のエチレン・ヘキセン−1ランダム共重合体を10重量部、及び核剤としてP−t−ブチル安息香酸アルミニウム(PTBBA−AL)0.1重量部を添加して、250℃のスクリュー押出機にて混合し、表面層用のプロピレン重合体組成物(I)を得た。
【0067】
一方、MFRが0.5g/10分、エチレン含量5重量%、キシレン可溶分が3重量%のプロピレン−エチレンブロック共重合体100重量部に対して、メタロセン触媒を用いて重合された密度が0.905g/cm3、MFRが2.2g/10分、ヘキセン含量が15重量%のエチレン・ヘキセン−1ランダム共重合体10重量部を添加して、250℃のスクリュー押出機にて混合し、中間層用のプロピレン重合体組成物(II)を得た。
【0068】
上記表面層用プロピレン重合体組成物(I)を、240℃に加熱したスクリュー径45mmの押出機から2種3層構成のフィードブロックの両表面層側に入れ、中間層用プロピレン重合体組成物(II)を240℃に加熱したスクリュー径65mmの押出機から上記フィードブロックの中間層側に入れた。
【0069】
これらを、230℃に加熱した幅450mmのT型ダイスよりシート状に押出し、50℃の冷却水が内部で循環している2本の鏡面ロール(硬質クロムメッキ加工が施してある)で挟み、冷却固化させて引き取り、プロピレン重合体積層シートを得た。該積層シートの厚みは、両表面層がそれぞれ70μm、中間層が210μmで、計350μm(全シート厚み)である。
【0070】
このシートについて、曲げ弾性率、透明性、及び衝撃強度を測定した。結果を表1に示す。
【0071】
【実施例2〜3、比較例1〜4】
表面層及び中間層の各組成物の配合を表1〜2に示したものに変えたほかは、実施例1と同様にして積層シートを製造し、評価した。結果を表3に示す。
【0072】
【表1】
Figure 0004137272
【0073】
【表2】
Figure 0004137272
【0074】
【表3】
Figure 0004137272
【0075】
なお、表1〜2中、「ブロック」は、プロピレン・エチレンブロック共重合体を、「ランダム」はプロピレン・エチレンランダム共重合体を、「ホモ」はプロピレンホモポリマーを表す。
【0076】
【発明の効果】
本発明のプロピレン重合体積層シートは、耐衝撃性、透明性、剛性のいずれにも優れており、包装材料等に好適に用いることができる。

Claims (5)

  1. 表裏2層の表面層、及び該表面層の間に形成される中間層を有する積層シートであって、前記表面層が、以下に示す成分(A)100重量部に対して成分(C)2〜60重量部を配合してなるプロピレン重合体組成物(I)からなり、前記中間層が成分(B)100重量部に対して成分(C)2〜100重量部を配合してなるプロピレン重合体組成物(II)からなることを特徴とする、プロピレン重合体積層シート。
    成分(A):MFRが0.5〜50g/10分のプロピレン重合体。
    成分(B):MFRが0.1〜30g/10分であってエチレン含量が1〜30重量%のプロピレン・エチレンブロック共重合体。
    成分(C):密度が0.850〜0.925g/cm3、MFRが0.5〜30g/10分、及び重量平均分子量を数平均分子量で除した値が1.4〜3.5であってエチレン含量が99〜50重量%のエチレン・α−オレフィンランダム共重合体。
  2. 前記プロピレン・エチレンブロック共重合体のキシレン可溶分が0.5〜20重量%であって、該キシレン可溶分を前記プロピレン・エチレンブロック共重合体のエチレン含量で除した値が1以下であることを特徴とする、請求項1記載のプロピレン重合体積層シート。
  3. 前記エチレン・α−オレフィンランダム共重合体が、メタロセン系触媒を用いて重合されたものであることを特徴とする、請求項1又は2記載のプロピレン重合体積層シート。
  4. 前記プロピレン重合体組成物(I)及びプロピレン重合体組成物(II)の少なくとも一方に、核剤が、該プロピレン重合体組成物100重量部に対し0.03〜1重量部の割合で配合されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のプロピレン重合体積層シート。
  5. 全シート厚みが0.1〜3mmであって、かつ表裏2層の表面層の厚みの合計が該全シート厚みに対して2〜70%の割合である、請求項1〜4のいずれかに記載のプロピレン重合体積層シート。
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