JP4137271B2 - タイヤの振動・騒音シミュレーション方法 - Google Patents

タイヤの振動・騒音シミュレーション方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、タイヤの振動・騒音シミュレーション方法に係り、より詳しくは、タイヤの振動及び騒音の少なくとも一方を求めるタイヤの振動・騒音シミュレーション方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、路面からの振動入力を考慮してタイヤの振動をシミュレートする方法として、特開平9−288002号公報に記載されているように、タイヤパターンと路面の凹凸とに基づいてタイヤの振動をシミュレートするものがある。
【0003】
一方、路面凹凸によりタイヤ全体が振動することにより発生するロードノイズに関しては、路面凹凸によるタイヤへの入力を考慮したシミュレート方法は提案されていない。
【0004】
ところで、ある適当な入力があった場合にタイヤ軸の振動については有限要素法により予測可能であるが、路面凹凸によるタイヤへの入力を定量的に求める方法は提案されていなかったため、実際の路面を走行させてタイヤの振動や車内騒音を実測するしかなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事実に鑑みて成されたもので、路面凹凸によるタイヤへの入力を定量的に求めてタイヤの振動及び騒音の少なくとも一方を求めることの可能なタイヤの振動・騒音シミュレーション方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため請求項1の発明の第1のステップでは、タイヤの接地領域以外の少なくとも1点への入力(振動入力)に対する振動を求め、第2のステップでは、前記入力の位置、及び、前記入力の位置とタイヤの踏み込み部位置及び蹴り出し部位置のいずれか近い方の位置を考慮し、前記第1のステップの振動に基づいて、タイヤと路面の任意の接触点における伝達特性を求める。なお、この伝達特性は、多数の実験から、前記入力の位置では、上記振動となり、踏み込み部位置及び蹴り出し部位置では0となる一次関数として与えられることが発見された。
【0007】
第3のステップでは、タイヤと路面が接触し始める位置からタイヤと路面との離隔が完了する位置までの区間において、タイヤと突起のオーバーラップ部分を考慮して、突起による振動入力を求める。
【0008】
なお、第2のステップと第3のステップとは、何れを先に実行してもよく、同時でもよい。
【0009】
ここで、タイヤの振動及び騒音は、タイヤの軸力が原因と考えられるが、この軸力は、上記伝達特性と振動入力とから求められる。よって、タイヤの振動及び騒音は上記伝達特性と振動入力とから求められる。
【0010】
そこで、本発明の第4のステップでは、前記第2のステップの伝達特性と前記第3のステップの振動入力とからタイヤの振動及び騒音の少なくとも一方を求める。
【0011】
このように、タイヤと路面が接触し始める位置からタイヤと路面が離隔が完了する位置までの区間において、タイヤと突起のオーバーラップ部分を考慮して、突起による振動入力を求めているので、タイヤの各接触点への突起による振動入力を定量的に求めることができ、この振動入力と、タイヤと路面の任意の接触点における伝達特性と、タイヤの振動及び騒音の少なくとも一方を求めることができる。
【0012】
ここで、請求項2のように、路面を面状に複数間隔配置された突起の集合体として認識し、前記第3のステップにおいて各突起の振動入力を求め、前記第4のステップにおいて各突起による振動を求め、前記各突起による振動を前記認識に基き合成してタイヤの振動及び騒音の少なくとも一方を求めるようにしてもよい。
【0013】
また、ここで、タイヤが突起を完全に覆っている領域、即ち、タイヤの接地領域では、突起からタイヤは振動入力を入力していないと考えられる。そこで、請求項3のように、タイヤの接地領域における前記第2のステップの伝達特性の値を0(ゼロ)としてもよい。よって、不要な領域の演算を無くして演算量を少なくすることができる。
【0014】
更に、車両が路面を走行する際、突起から振動入力を入力する箇所は、経験的に、タイヤの接地領域境界より外側に50mm以内の位置であることが分かっている。そこで、請求項4記載の発明のように、前記第1のステップにおいて、タイヤの接地領域境界より外側に50mm以内の位置に振動を入力するようにしてもよい。よって、実際の走行状態により近似させることができる。
【0015】
ところで、タイヤは、形状及び部材が予め定められる。よって、いかなる振動入力があればどのくらいのタイヤ軸力が発生するかは有限要素法(FEM)により求めることができる。そこで、請求項5のように、前記第1のステップにおいて、前記伝達特性を有限要素法により求めるようにしてもよい。よって、振動を精度よく求めることができる。
【0016】
ところで、以上はタイヤの振動・騒音をシミュレートするものであるが、車両のタイヤ懸架部分及び該タイヤ懸架部分を固定する車両のボディーの振動入力に対する伝達特性がわかれば、車両の振動・騒音をシミュレートすることができる。
【0017】
そこで、次の発明が提案される。即ち、第2の発明として、タイヤの接地領域以外の少なくとも1点への入力に対する振動を求める第1のステップと、前記入力の位置、及び、前記入力の位置とタイヤの踏み込み部位置及び蹴り出し部位置のいずれか近い方の位置を考慮し、前記第1のステップの振動に基づいて、タイヤと路面の任意の接触点における伝達特性を求める第2のステップと、振動入力の車両のタイヤ懸架部分及び該タイヤ懸架部分を固定する車両のボディーへの伝達特性を求める第3のステップと、タイヤと路面が接触し始める位置からタイヤと路面との離隔が完了する位置までの区間において、タイヤと突起のオーバーラップ部分を考慮して、突起による振動入力を求める第4のステップと、前記第2のステップ及び前期第3のステップの伝達特性と前記第4のステップの振動入力とからタイヤの振動及び騒音の少なくとも一方を求める第5のステップと、を有するタイヤの振動・騒音シミュレーション方法である。
【0018】
なお、本発明は、路面を面状に複数間隔配置された突起の集合体として認識し、前記第4のステップにおいて各突起の振動入力を求め、前記第5のステップにおいて各突起による振動を求め、前記各突起による振動を前記認識に基き合成してタイヤの振動及び騒音の少なくとも一方を求めるようにしてもよい。また、 本発明は、タイヤの接地領域における前記第2のステップの伝達特性の値を0(ゼロ)としてもよい。更に、本発明は、前記第1のステップにおいて、タイヤの接地領域境界より外側に50mm以内の位置に振動を入力してもよい。加えて、本発明は、前記第1のステップにおいて、前記伝達特性を有限要素法により求めるようにしてもよい。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
図1に示すように、本形態に係るタイヤ振動・騒音シミュレーション装置10は、パーソナルコンピュータ又はワークステーション等で構成されている。即ち、ディスプレイ32、ワークステーション12、及びワークステーション12に接続された各種の入出力機器を備えている。
【0021】
ワークステーション12は、図2に示すように、CPU14、ROM16、RAM18及び入出力ポート20を備え、これらはバスによって互いに接続されている。更に、ワークステーション12は、入出力ポート20に接続され、フロッピーディスクに記憶された各種データが読み取られると共にデータが書き込まれる記憶装置22を備えている。
【0022】
ワークステーション12及び各入出力機器をタイヤ振動・騒音シミュレーション装置10として作用させるためのタイヤ振動・騒音シミュレーションプログラムは記憶装置22に記憶されている。このプログラムはタイヤ振動・騒音シミュレーション装置10を構成する各機器に電源が投入されると読み出され、実行される。
【0023】
本実施形態では入出力ポート20に接続される入出力機器として、記憶装置22以外に、作業者がデータ等を入力したり各種の指示を与えるためのキーボード24及びマウス28が用いられている。
【0024】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0025】
図3には、あらかじめ定められたタイヤの振動・騒音シミュレーションプログラムが示されている。
【0026】
まず、第1実施形態として、単突起についての振動・騒音シミュレーション方法について、下記に説明する。図3のフローチャートのステップ211において、突起の位置と形状を認識する。次のステップ212において、図4のようにタイヤの接地領域以外の少なくとも1点でタイヤまたは有限要素法(以下FEM)モデルに振動を入力し、該振動入力に対する振動を求める。FEMモデルを使用する場合には、タイヤを実際に製造することも無く、机上にて複数種のタイヤをシミュレート可能となり、コストや開発時間の削減の一助となる。ここでの振動入力は、タイヤ周方向に向かい路面上に沿って、踏み込み部から50mm以内、例えば、20mmの地点において、直径10mmの円柱状の突起を用いて、図17のような路面に対して垂直方向の変位を与えた。さらに、図4のように接地端(踏み込み部もしくは蹴り出し部)から50mm以内のあらかじめ定められた位置における振動入力における振動を求めているので、実際の走行状態により近似させることができ、前記範囲以外の位置ではシミュレーションの精度が低下するので好ましくない。
【0027】
次のステップ221において、前記振動入力位置とタイヤ踏み込み部及び蹴り出し部位置のいずれか近い方の位置を取り込む。すなわち、図13(A)に示すように、タイヤ100の表面は、路面Rと接触している接触領域R1、これから路面Rを踏み込む踏み込み領域Rf、及び路面Bを蹴り出す蹴り出し領域Rkに分かれる。そして、タイヤ踏み込み部Aは、接触領域R1と踏み込み領域Rfの境界であり、蹴り出し部Bは、接触領域R1と蹴り出し領域Rkとの境界である。なお、タイヤ及び車両・リムが特定されると、通常はタイヤの使用内圧及び荷重も特定されることから、踏み込み部A及び蹴り出し部Bは特定されるものである。そして、ステップ222においてタイヤと路面の任意の接触点における伝達特性を求める。ここで、図6は、踏み込み側で振動入力を与えた場合を示し、それぞれの線は踏み込み側の接地端Aから10mm、15mm、20mm、25mmにおける測定結果が示されている。この図6より、タイヤ振動は接地端からの距離が離れるほど大きくなる伝達特性があり、また、該特性は周波数に依存しないことが分かる。
【0028】
そこで、前記特性をより明確にするために、図7のように横軸を接地端から入力位置までの距離、横軸に任意の周波数での振動をプロットした。この図7から理解できるように、接地領域においては振動は伝達されず、また、接地領域から外では接地端から入力位置までの距離にほぼ比例関係であることが判明した。
従って、図8のように、接地領域以外の少なくとも1箇所において振動入力に対する振動G1を求めておけば、接地端から入力位置までの距離をパラメータとする一次関数により、振動入力位置における伝達特性を求めることができる。尚、この伝達特性は踏み込み側及び蹴り出し側でもほぼ同じであり、どちらか片側で求めておけば良いので、前記入力位置とタイヤの踏み込み部位置及び蹴り出し部位置のいずれか近い方の位置を考慮すれば良い。また、前記のように、接地領域では振動は伝達されないために、ステップ223では接地領域の伝達特性の値を0(ゼロ)とすることにより、不要な領域の演算をなくして演算量及び演算時間を少なくすることができる。
【0029】
一方、路面をミクロ的に観察すると多数の凹凸があり、言い換えれば、路面は面状に複数間隔配置された突起の集合体として定義できる。図5は路面を長方形の突起を用いてモデル化したものであり、突起102、104、106のように、前記各突起の高さ及び長さは一定ではなく、従って各突起が接触することによるタイヤへの入力の大きさも当然一定ではないために、各突起ごとに入力の大きさを定量的に求めなければばらない。
【0030】
図9(A)は、タイヤが突起と接触を開始した位置から一定時間経過した時刻t=t1での、ここで例示として用いるのは、前記の突起102とタイヤ100の位置関係を示している。このときのタイヤへの振動入力は、図9(A)に示す斜線部、すなわち突起とタイヤ踏み込み側の(または蹴り出し側の)形状のオーバーラップ部分の大きさで決定されることを究明し、図3のステップ231において求めている。オーバーラップ部の大きさを定量化するために、本第1実施形態では、前記オーバーラップ部分の路面に対して垂直方向の長さを用いたが、他にオーバーラップ部分の面積や体積等も用いることができる。さらに、図9(B)は、時刻t=t1より時間が進んだある時刻t=t2での突起102とタイヤ100の位置関係を示す。この時のタイヤへの振動入力も同様に図10の斜線部で決定される。これを示したのが図10(A)、図10(B)である。すなわち、図10(A)は、図9(A)に対応するものであり、位置X1は、タイヤと突起の前記オーバーラップ部の路面に対して垂直方向の長さが長いので、振動入力も大きいのに対し、位置X2におけるタイヤと突起の前記オーバーラップ部の路面に対して垂直方向の長さは0(ゼロ)に等しいので、振動入力も0(ゼロ)に等しくなっている。また、図10(B)に示すように、位置X3におけるタイヤと突起のオーバーラップ部の路面に対して垂直方向の長さは、位置X2より長いので、振動入力も大きくなっており、位置X1と略同じであるので、振動入力も略同じとなっている。位置X4におけるタイヤと突起のオーバーラップ部の路面に対して垂直方向の長さは、位置X3より長いので、振動入力も大きくなっている。
【0031】
そこで、ステップ232において、オーバーラップ部分の大きさをパラメータとした関数として係数を乗ずることにより各突起の任意の位置での振動入力が求められるのである。本実施形態では、ステップ211で路面に対して垂直方向の変位(長さ)に対する伝達特性を求めており、また、オーバーラップ部分のパラメータも同じ路面に対して垂直方向の長さを適用しているので、前記係数を求めることができる。ここでは、前記係数を求めるための前記パラメータに対する振動入力の測定は省略しているが、ステップ211での入力値と異なるパラメータ(例えば、上記垂直方向の変位(長さ)以外の、オーバーラップ部分の面積や体積等)を適用する場合には、別途異なるパラメータを入力した場合の振動を測定して、前記係数を求めておくことが必要となる。
【0032】
なお、ステップ221〜223とステップ231〜232とは、何れを先に実行してもよく、同時でもよい。
【0033】
以上から、前述したように、伝達特性は踏み込み部Aに近くなるに従って小さくなるので、図9〜図10から理解できるように、振動入力の大きさが踏み込み部Aに近くなる程、オーバーラップ部分の大きさに対応して大きくなるが、伝達特性が踏み込み部Aに近くなる程、小さくなるので、図11(A)、図11(B)に示すように、タイヤ振動は、踏み込み部Aに近くなるに従って小さくなる。
【0034】
そこで、ステップ241において、前記ステップ222の伝達特性と前記232の振動入力の両方を考慮する必要があり、本発明においては前記両方の値を乗ずることにより、本発明のシミュレーションの解となる振動(または騒音)の演算が可能となる。
【0035】
尚、接地領域から蹴り出し領域Rkについては、前記算出した結果と図13の踏み込み部A及び蹴り出し部Bを基準とした場合には対称形となるので、踏み込み領域Rfまたは蹴り出し領域Rkの何れかを算出しておけば良い。
【0036】
すなわち、蹴り出し部Bから突起がタイヤから離隔する位置までの区間は、接地領域から蹴り出し領域Rkについて算出した波形(図12(A)参照)を時間軸を逆転させることにより、図12(B)に示すように求めることができる。
【0037】
以上を用いて、図14(A)に、FEMモデルを用いた場合のある突起を乗り越える間のタイヤの振動のシミュレーション結果と、同様に、図14(B)には、前記FEMモデルと同じ構成からなるタイヤが同じ突起を乗り越える間のタイヤの振動の実測値が示されている。図14(A)及び図14(B)から理解できるように、本実施形態における突起に関する振動のシミュレーション結果は、実測値に波形及び振動レベル共に精度よく一致している。本実施形態では、本発明を明確にするために、ある突起を乗り越した場合のタイヤ振動をシミュレートしたが、この図14から理解できるように、本シミュレーションの結果が実測値とよく一致していることが証明された。
【0038】
次に、本発明の路面からの振動・騒音シミュレーションの第2実施形態を説明する。第2実施形態に係るタイヤ振動・シミュレ−ション装置は前述した第1の実施形態と同様の構成であるので、その説明を省略する。
【0039】
また、本実施形態では、図18のタイヤ振動・騒音シミューレーションプログラムを実行する。即ち、ステップ251において、本シミュレーションに適用すべき路面の各突起の位置(間隔または密度等も含む)・形状(長さ・幅等も含む)を認識する。これは、前記のように、路面をミクロ的に観察すると多数の凹凸があり、言い換えれば、路面は面状に複数間隔配置された突起の集合体として定義できるからである。ここでの認識の方法としては、レーザー変位計等を用いて、シミュレートすべき路面の凹凸を少なくとも異なる2方向から測定し、デジタイズ処理して前記装置10に装着されている前記記憶装置22や前記装置10に接続可能な記憶媒体等に記憶し、前記装置10に読み込み可能とする。
【0040】
次に、ステップ252において、図3のタイヤ振動・騒音シミューレーションプログラムのステップ(ステップ212〜ステップ241)を実行することにより、路面上の突起の振動を演算する。
【0041】
即ち、ステップ212において、図4のようにタイヤの接地領域以外の少なくとも1点でタイヤまたは有限要素法(以下FEM)モデルに振動を入力し、該振動入力に対する振動を求める。FEMモデルを使用する場合には、タイヤを実際に製造することも無く、机上にて複数種のタイヤをシミュレート可能となり、コストや開発時間の削減の一助となる。ここでの振動入力は、タイヤ周方向に向かい路面上に沿って、踏み込み部から50mm以内、例えば、20mmの地点において、直径10mmの円柱状の突起を用いて、図17のような路面に対して垂直方向の変位を与えた。さらに、図4のように接地端(踏み込み部もしくは蹴り出し部)から50mm以内のあらかじめ定められた位置における振動入力における振動を求めているので、実際の走行状態により近似させることができ、前記範囲以外の位置ではシミュレーションの精度が低下するので好ましくない。
【0042】
次のステップ221において、前記振動入力位置とタイヤ踏み込み部及び蹴り出し部位置のいずれか近い方の位置を取り込む。すなわち、図13(A)に示すように、タイヤ100の表面は、路面Rと接触している接触領域R1、これから路面Rを踏み込む踏み込み領域Rf、及び路面Bを蹴り出す蹴り出し領域Rkに分かれる。そして、タイヤ踏み込み部Aは、接触領域R1と踏み込み領域Rfの境界であり、蹴り出し部Bは、接触領域R1と蹴り出し領域Rkとの境界である。なお、タイヤ及び車両・リムが特定されると、通常はタイヤの使用内圧及び荷重も特定されることから、踏み込み部A及び蹴り出し部Bは特定されるものである。そして、ステップ222においてタイヤと路面の任意の接触点における伝達特性を求める。ここで、図6は、踏み込み側で振動入力を与えた場合を示し、それぞれの線は踏み込み側の接地端Aから10mm、15mm、20mm、25mmにおける測定結果が示されている。この図6より、タイヤ振動は接地端からの距離が離れるほど大きくなる伝達特性があり、また、該特性は周波数に依存しないことが分かる。
【0043】
そこで、前記特性をより明確にするために、図7のように横軸を接地端から入力位置までの距離、横軸に任意の周波数での振動をプロットした。この図7から理解できるように、接地領域においては振動は伝達されず、また、接地領域から外では接地端から入力位置までの距離にほぼ比例関係であることが判明した。
従って、図8のように、接地領域以外の少なくとも1箇所において振動入力に対する振動G1を求めておけば、接地端から入力位置までの距離をパラメータとする一次関数により、振動入力位置における伝達特性を求めることができる。尚、この伝達特性は踏み込み側及び蹴り出し側でもほぼ同じであり、どちらか片側で求めておけば良いので、前記入力位置とタイヤの踏み込み部位置及び蹴り出し部位置のいずれか近い方の位置を考慮すれば良い。また、前記のように、接地領域では振動は伝達されないために、ステップ223では接地領域の伝達特性の値を0(ゼロ)とすることにより、不要な領域の演算をなくして演算量及び演算時間を少なくすることができる。
【0044】
一方、路面をミクロ的に観察すると多数の凹凸があり、言い換えれば、路面は面状に複数間隔配置された突起の集合体として定義できる。図5は路面を長方形の突起を用いてモデル化したものであり、突起102、104、106のように、前記各突起の高さ及び長さは一定ではなく、従って各突起が接触することによるタイヤへの入力の大きさも当然一定ではないために、各突起ごとに入力の大きさを定量的に求めなければばらない。
【0045】
図9(A)は、タイヤが突起と接触を開始した位置から一定時間経過した時刻t=t1での、ここで例示として用いるのは、前記の突起102とタイヤ100の位置関係を示している。このときのタイヤへの振動入力は、図9(A)に示す斜線部、すなわち突起とタイヤ踏み込み側の(または蹴り出し側の)形状のオーバーラップ部分の大きさで決定されることを究明し、図3のステップ231において求めている。オーバーラップ部の大きさを定量化するために、本第1実施形態では、前記オーバーラップ部分の路面に対して垂直方向の長さを用いたが、他にオーバーラップ部分の面積や体積等も用いることができる。さらに、図9(B)は、時刻t=t1より時間が進んだある時刻t=t2での突起102とタイヤ100の位置関係を示す。この時のタイヤへの振動入力も同様に図10の斜線部で決定される。これを示したのが図10(A)、図10(B)である。すなわち、図10(A)は、図9(A)に対応するものであり、位置X1は、タイヤと突起の前記オーバーラップ部の路面に対して垂直方向の長さが長いので、振動入力も大きいのに対し、位置X2におけるタイヤと突起の前記オーバーラップ部の路面に対して垂直方向の長さは0(ゼロ)に等しいので、振動入力も0(ゼロ)に等しくなっている。また、図10(B)に示すように、位置X3におけるタイヤと突起のオーバーラップ部の路面に対して垂直方向の長さは、位置X2より長いので、振動入力も大きくなっており、位置X1と略同じであるので、振動入力も略同じとなっている。位置X4におけるタイヤと突起のオーバーラップ部の路面に対して垂直方向の長さは、位置X3より長いので、振動入力も大きくなっている。
【0046】
そこで、ステップ232において、オーバーラップ部分の大きさをパラメータとした関数として係数を乗ずることにより各突起の任意の位置での振動入力が求められるのである。本実施形態では、ステップ211で路面に対して垂直方向の変位(長さ)に対する伝達特性を求めており、また、オーバーラップ部分のパラメータも同じ路面に対して垂直方向の長さを適用しているので、前記係数を求めることができる。ここでは、前記係数を求めるための前記パラメータに対する振動入力の測定は省略しているが、ステップ211での入力値と異なるパラメータ(例えば、上記垂直方向の変位(長さ)以外の、オーバーラップ部分の面積や体積等)を適用する場合には、別途異なるパラメータを入力した場合の振動を測定して、前記係数を求めておくことが必要となる。
【0047】
なお、ステップ221〜223とステップ231〜232とは、何れを先に実行してもよく、同時でもよい。
【0048】
以上から、前述したように、伝達特性は踏み込み部Aに近くなるに従って小さくなるので、図9〜図10から理解できるように、振動入力の大きさが踏み込み部Aに近くなる程、オーバーラップ部分の大きさに対応して大きくなるが、伝達特性が踏み込み部Aに近くなる程、小さくなるので、図11(A)、図11(B)に示すように、タイヤ振動は、踏み込み部Aに近くなるに従って小さくなる。
【0049】
そこで、ステップ241において、前記ステップ222の伝達特性と前記232の振動入力の両方を考慮する必要があり、本発明においては前記両方の値を乗ずることにより、本発明のシミュレーションの解となる振動(または騒音)の演算が可能となる。
【0050】
尚、接地領域から蹴り出し領域Rkについては、前記算出した結果と図13の踏み込み部A及び蹴り出し部Bを基準とした場合には対称形となるので、踏み込み領域Rfまたは蹴り出し領域Rkの何れかを算出しておけば良い。
【0051】
すなわち、蹴り出し部Bから突起がタイヤから離隔する位置までの区間は、接地領域から蹴り出し領域Rkについて算出した波形(図12(A)参照)を時間軸を逆転させることにより、図12(B)に示すように求めることができる。
【0052】
以上を用いて、図14(A)に、FEMモデルを用いた場合のある突起を乗り越える間のタイヤの振動のシミュレーション結果と、同様に、図14(B)には、前記FEMモデルと同じ構成からなるタイヤが同じ突起を乗り越える間のタイヤの振動の実測値が示されている。図14(A)及び図14(B)から理解できるように、本実施形態における突起に関する振動のシミュレーション結果は、実測値に波形及び振動レベル共に精度よく一致している。本実施形態では、本発明を明確にするために、ある突起を乗り越した場合のタイヤ振動をシミュレートしたが、この図14から理解できるように、本シミュレーションの結果が実測値とよく一致していることが証明された。
【0053】
ところで、本第2実施形態では、5本リブ(周方向に実質的に連続する陸部列が5つある)のタイヤ(及びFEMモデル)を用いたので、ステップ252におけるステップ212においては、第1実施形態と同方法にて、各リブ毎の伝達特性を求めて、各リブ毎に分けて各突起毎の振動を演算する。
【0054】
そして、図16のような周波数スペクトルも考慮したい場合には、ステップ253において周波数特性についても考慮するが、それ以外の場合には省略しても良い。具体的な考慮の方法としては、ステップ251にて認識した路面状態(各突起の位置や形状)及びタイヤの転動速度より周波数を算出し、後述する各振動の合成時の演算に使用可能にしておく。また、図6のように周波数スペクトルに応じた、振動のレベルの補正にも使用可能であり、使用した場合には更なる精度が期待できることとなる。
【0055】
ステップ255では、各突起の振動を、特定された路面に対応する突起の間隔・密度等を用いて、タイヤの転動速度を考慮することにより、タイヤが路面を走行する際の各振動を合成する。すなわち、タイヤが路面を走行すると、図15に示すように、タイヤ100は各突起102を乗り越えるが、タイヤ振動は、各突起からの振動入力が独立して入力されていると考えられる。各突起のタイヤの振動はステップ254により、図14に示すように求められているので、タイヤの振動を、路面に対応する突起の間隔・密度等に応じて、タイヤの転動速度を考慮することにより、図15に示すようにタイヤが路面を走行する際の各突起の振動を合成することができる。尚、本第2実施形態で用いたタイヤ(及びFEMモデル)は5本リブであるが、図15では理解し易いように、リブ1から3まで振動の合成方法を図示している。図16には、前記ステップ212においてタイヤ及びFEMモデルに振動を入力し、本第2実施形態で得られた振動の周波数スペクトルと、実際に走行した時の実測値とが示されており、この図から理解できるように、特にタイヤに振動を入力した場合には、本シミュレーションの結果が実測値とよく一致していることがわかる。更に、FEMモデルに振動を入力した場合でも振動レベル・波形共に300Hzまでは実測値とほぼ同じであり、全域に渡り実測値と同じ傾向である。以上のように、本第2実施形態によるシミュレーション方法がタイヤ振動に起因するロードイズを予測する方法として有効な方法であることが理解できる。
【0056】
次に、本発明の路面からの振動・騒音シミュレーションの第3実施形態を説明する。第3実施形態に係るタイヤ振動・シミュレ−ション装置は前述した第1の実施形態と同様の構成であるので、その説明を省略する。
【0057】
また、本実施形態では、図19のタイヤ振動・騒音シミューレーションプログラムを実行する。即ち、ステップ261において、本シミュレーションに適用すべき路面の各突起の位置(間隔または密度等も含む)・形状(長さ・幅等も含む)を認識する。これは、前記のように、路面をミクロ的に観察すると多数の凹凸があり、言い換えれば、路面は面状に複数間隔配置された突起の集合体として定義できるからである。ここでの認識の方法としては、レーザー変位計等を用いて、シミュレートすべき路面の凹凸を少なくとも異なる2方向から測定し、デジタイズ処理して前記装置10に装着されている前記記憶装置22や前記装置10に接続可能な記憶媒体等に記憶し、前記装置10に読み込み可能とする。
【0058】
ステップ262で、時刻を表す変数Tを初期化し、ステップ263において、図3のタイヤ振動・騒音シミューレーションプログラムのステップ(ステップ212〜ステップ241)を実行することにより、路面上の突起の振動をそれぞれ演算する。即ち、ステップ212で、図4のようにタイヤの接地領域以外の少なくとも1点でタイヤまたは有限要素法(以下FEM)モデルに振動を入力し、該振動入力に対する振動を求める。FEMモデルを使用する場合には、タイヤを実際に製造することも無く、机上にて複数種のタイヤをシミュレート可能となり、コストや開発時間の削減の一助となる。ここでの振動入力は、タイヤ周方向に向かい路面上に沿って、踏み込み部から50mm以内、例えば、20mmの地点において、直径10mmの円柱状の突起を用いて、図17のような路面に対して垂直方向の変位を与えた。さらに、図4のように接地端(踏み込み部もしくは蹴り出し部)から50mm以内のあらかじめ定められた位置における振動入力における振動を求めているので、実際の走行状態により近似させることができ、前記範囲以外の位置ではシミュレーションの精度が低下するので好ましくない。
【0059】
次のステップ221において、前記振動入力位置とタイヤ踏み込み部及び蹴り出し部位置のいずれか近い方の位置を取り込む。すなわち、図13(A)に示すように、タイヤ100の表面は、路面Rと接触している接触領域R1、これから路面Rを踏み込む踏み込み領域Rf、及び路面Bを蹴り出す蹴り出し領域Rkに分かれる。そして、タイヤ踏み込み部Aは、接触領域R1と踏み込み領域Rfの境界であり、蹴り出し部Bは、接触領域R1と蹴り出し領域Rkとの境界である。なお、タイヤ及び車両・リムが特定されると、通常はタイヤの使用内圧及び荷重も特定されることから、踏み込み部A及び蹴り出し部Bは特定されるものである。そして、ステップ222においてタイヤと路面の任意の接触点における伝達特性を求める。ここで、図6は、踏み込み側で振動入力を与えた場合を示し、それぞれの線は踏み込み側の接地端Aから10mm、15mm、20mm、25mmにおける測定結果が示されている。この図6より、タイヤ振動は接地端からの距離が離れるほど大きくなる伝達特性があり、また、該特性は周波数に依存しないことが分かる。
【0060】
そこで、前記特性をより明確にするために、図7のように横軸を接地端から入力位置までの距離、横軸に任意の周波数での振動をプロットした。この図7から理解できるように、接地領域においては振動は伝達されず、また、接地領域から外では接地端から入力位置までの距離にほぼ比例関係であることが判明した。
従って、図8のように、接地領域以外の少なくとも1箇所において振動入力に対する振動G1を求めておけば、接地端から入力位置までの距離をパラメータとする一次関数により、振動入力位置における伝達特性を求めることができる。尚、この伝達特性は踏み込み側及び蹴り出し側でもほぼ同じであり、どちらか片側で求めておけば良いので、前記入力位置とタイヤの踏み込み部位置及び蹴り出し部位置のいずれか近い方の位置を考慮すれば良い。また、前記のように、接地領域では振動は伝達されないために、ステップ223では接地領域の伝達特性の値を0(ゼロ)とすることにより、不要な領域の演算をなくして演算量及び演算時間を少なくすることができる。
【0061】
一方、路面をミクロ的に観察すると多数の凹凸があり、言い換えれば、路面は面状に複数間隔配置された突起の集合体として定義できる。図5は路面を長方形の突起を用いてモデル化したものであり、突起102、104、106のように、前記各突起の高さ及び長さは一定ではなく、従って各突起が接触することによるタイヤへの入力の大きさも当然一定ではないために、各突起ごとに入力の大きさを定量的に求めなければばらない。
【0062】
図9(A)は、タイヤが突起と接触を開始した位置から一定時間経過した時刻t=t1での、ここで例示として用いるのは、前記の突起102とタイヤ100の位置関係を示している。このときのタイヤへの振動入力は、図9(A)に示す斜線部、すなわち突起とタイヤ踏み込み側の(または蹴り出し側の)形状のオーバーラップ部分の大きさで決定されることを究明し、図3のステップ231において求めている。オーバーラップ部の大きさを定量化するために、本第1実施形態では、前記オーバーラップ部分の路面に対して垂直方向の長さを用いたが、他にオーバーラップ部分の面積や体積等も用いることができる。さらに、図9(B)は、時刻t=t1より時間が進んだある時刻t=t2での突起102とタイヤ100の位置関係を示す。この時のタイヤへの振動入力も同様に図10の斜線部で決定される。これを示したのが図10(A)、図10(B)である。すなわち、図10(A)は、図9(A)に対応するものであり、位置X1は、タイヤと突起の前記オーバーラップ部の路面に対して垂直方向の長さが長いので、振動入力も大きいのに対し、位置X2におけるタイヤと突起の前記オーバーラップ部の路面に対して垂直方向の長さは0(ゼロ)に等しいので、振動入力も0(ゼロ)に等しくなっている。また、図10(B)に示すように、位置X3におけるタイヤと突起のオーバーラップ部の路面に対して垂直方向の長さは、位置X2より長いので、振動入力も大きくなっており、位置X1と略同じであるので、振動入力も略同じとなっている。位置X4におけるタイヤと突起のオーバーラップ部の路面に対して垂直方向の長さは、位置X3より長いので、振動入力も大きくなっている。
【0063】
そこで、ステップ232において、オーバーラップ部分の大きさをパラメータとした関数として係数を乗ずることにより各突起の任意の位置での振動入力が求められるのである。本実施形態では、ステップ211で路面に対して垂直方向の変位(長さ)に対する伝達特性を求めており、また、オーバーラップ部分のパラメータも同じ路面に対して垂直方向の長さを適用しているので、前記係数を求めることができる。ここでは、前記係数を求めるための前記パラメータに対する振動入力の測定は省略しているが、ステップ211での入力値と異なるパラメータ(例えば、上記垂直方向の変位(長さ)以外の、オーバーラップ部分の面積や体積等)を適用する場合には、別途異なるパラメータを入力した場合の振動を測定して、前記係数を求めておくことが必要となる。
【0064】
なお、ステップ221〜223とステップ231〜232とは、何れを先に実行してもよく、同時でもよい。
【0065】
以上から、前述したように、伝達特性は踏み込み部Aに近くなるに従って小さくなるので、図9〜図10から理解できるように、振動入力の大きさが踏み込み部Aに近くなる程、オーバーラップ部分の大きさに対応して大きくなるが、伝達特性が踏み込み部Aに近くなる程、小さくなるので、図11(A)、図11(B)に示すように、タイヤ振動は、踏み込み部Aに近くなるに従って小さくなる。
【0066】
そこで、ステップ241において、前記ステップ222の伝達特性と前記232の振動入力の両方を考慮する必要があり、本発明においては前記両方の値を乗ずることにより、本発明のシミュレーションの解となる振動(または騒音)の演算が可能となる。
【0067】
尚、接地領域から蹴り出し領域Rkについては、前記算出した結果と図13の踏み込み部A及び蹴り出し部Bを基準とした場合には対称形となるので、踏み込み領域Rfまたは蹴り出し領域Rkの何れかを算出しておけば良い。
【0068】
すなわち、蹴り出し部Bから突起がタイヤから離隔する位置までの区間は、接地領域から蹴り出し領域Rkについて算出した波形(図12(A)参照)を時間軸を逆転させることにより、図12(B)に示すように求めることができる。
【0069】
以上を用いて、図14(A)に、FEMモデルを用いた場合のある突起を乗り越える間のタイヤの振動のシミュレーション結果と、同様に、図14(B)には、前記FEMモデルと同じ構成からなるタイヤが同じ突起を乗り越える間のタイヤの振動の実測値が示されている。図14(A)及び図14(B)から理解できるように、本実施形態における突起に関する振動のシミュレーション結果は、実測値に波形及び振動レベル共に精度よく一致している。本実施形態では、本発明を明確にするために、ある突起を乗り越した場合のタイヤ振動をシミュレートしたが、この図14から理解できるように、本シミュレーションの結果が実測値とよく一致していることが証明された。
【0070】
次のステップ264で、変数Tを、変数Tに所定時間αを加算した値に変更し、変数Tの値に基づいて、計測を終了したか否かを判断する。計測を終了していない場合には、ステップ262に戻って、以上の処理(ステップ262〜265)を実行する。即ち、前記の第2実施形態では、各突起ごとの振動を求めた後に、各突起の振動を合成していたために、計算が煩雑となる場合があるが、本第3実施形態ではステップ262からステップ265までループ内に各時間ごとの演算を行っているために、前記各時間ごとに各リブ毎の振動を合成させることで、演算自体は簡素化が可能となる。また、前記第2実施形態では、ステップ253において、各突起ごとの周波数特性を求めていたが、前記ループにおいて各時間ごとの突起とタイヤの接触時間等も算出可能となることから周波数の算出も可能となるので、ステップ253のような周波数特性の考慮もステップ266にて同時に行うことが可能となる。
【0071】
加えて、前述した実施形態では、路面を特定することにより突起を特定し、この突起に基づいて、タイヤ振動などを求めているので、路面、すなわち、突起を種々特定することにより、種々の路面を走行した時のタイヤの振動および騒音をシミュレートすることができる。
【0072】
また、前述した実施形態では、各接触点の振動入力に対する伝達特性を求めた後に、タイヤへの振動入力を求めているが、本発明はこれに限定されず、タイヤへの振動入力を求めた後に、タイヤの懸架装置および該懸架装置を取り付けたボディー等の伝達特性を順次考慮して、車両の振動及び騒音シミュレーションとして用いることも可能である。
【0073】
さらに、前記ステップ212において振動を入力する場合において、シミュレートする車両に応じたトー角、キャンバー角や荷重等を付与することで、車両の仕様(ジオメトリー等)も考慮することが可能である。
【0074】
前述した実施形態では、タイヤ振動・騒音シミュレーションプログラムを記憶装置に記録しているが、本発明はこれに限定されず、該プログラムをフロッピィーディスクに記憶すると共に、ワークステーションにハードディスクを備え、フロッピィーディスクから該プログラムを読み取り、ハードディスクにインストールしてもよい。また、優先又は無線のネットワークに電話回線等の伝送手段により伝送してインストールしてもよい。なお、該プログラムをフロッピィーディスクに記憶することに限定されず、CD−ROM、磁気テープに該プログラムを格納し、該CD−ROM、磁気テープからパソコンのハードディスクにインストールしてもよい。また、該プログラムを格納したハードディスクを備えるようにしてもよい。更に、パソコンのハードディスクやRAMに直接プログラムを書き込むようにしてもよい。このように上記プログラムは、有形の記憶媒体及び伝送手段の少なくとも一方により流通することができる。
【0075】
【発明の効果】
以上説明したように本発明では、タイヤと路面が接触し始める位置からタイヤと路面が離隔が完了する位置までの区間において、タイヤと突起のオーバーラップ部分を考慮して、突起による振動入力を求めているので、タイヤの各接触点への突起による振動入力を定量的に求めることができ、この振動入力と、タイヤと路面の任意の接触点における伝達特性と、タイヤの振動及び騒音の少なくとも一方を求めることができる、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に係るタイヤ振動・騒音シミュレーション装置の斜視図である。
【図2】本実施形態に係るタイヤ振動・騒音シミュレーション装置のブロック図である。
【図3】本実施形態に係るタイヤ振動・騒音シミューレーションプログラムを示したフローチャートである。
【図4】踏み込み部から50mm以内のあらかじめ定められた位置において振動入力を入力する様子を示した概念図である。
【図5】種々の路面に対応する突起を示した図である。
【図6】踏み込み部からの距離に応じて定められるタイヤ振動の周波数スペクトルである。
【図7】加振位置による出力のレベルを示した図である。
【図8】突起と接触するタイヤの各接触点の振動入力に対する伝達特性を示した図である。
【図9】タイヤの突起との各接触点での突起によるタイヤへの入力を求めるための説明図である。
【図10】タイヤの突起との各接触点での突起によるタイヤへの入力を示した図である。
【図11】タイヤの突起との各接触点での突起によるタイヤへの振動を示した図である。
【図12】(A)は、タイヤと突起が接触を開始する位置から踏み込み部までの区間の各瞬間の振動を示し、(B)は、踏み込み部から突起がタイヤから離隔する位置までの区間の各瞬間の振動を示した図である。
【図13】タイヤが突起を乗り越える間のタイヤの振動を演算することの説明図である。
【図14】タイヤが一つの突起を乗り越える間のタイヤの振動を示した図である。
【図15】タイヤが路面を走行する際の振動の構成を説明した説明図である。
【図16】タイヤが路面を走行する際の振動を構成したシミュレーション結果と実測値とを示した図である。
【図17】振動入力に対する伝達特性を求めたときの、振動入力の波形を示した図である。
【図18】第2の実施形態に係るタイヤ振動・騒音シミューレーションプログラムを示したフローチャートである。
【図19】第3の実施形態に係るタイヤ振動・騒音シミューレーションプログラムを示したフローチャートである。
【符号の説明】
12 ワークステーション
22 記憶装置(記憶媒体)
24 キーボード
28 マウス

Claims (5)

  1. タイヤの接地領域以外の少なくとも1点への入力に対する振動を求める第1のステップと、
    前記入力の位置、及び、前記入力の位置とタイヤの踏み込み部位置及び蹴り出し部位置のいずれか近い方の位置を考慮し、前記第1のステップの振動に基づいて、タイヤと路面の任意の接触点における伝達特性を求める第2のステップと、
    タイヤと路面が接触し始める位置からタイヤと路面との離隔が完了する位置までの区間において、タイヤと突起のオーバーラップ部分を考慮して、突起による振動入力を求める第3のステップと、
    前記第2のステップの伝達特性と前記第3のステップの振動入力とからタイヤの振動及び騒音の少なくとも一方を求める第4のステップと、
    を有するタイヤの振動・騒音シミュレーション方法。
  2. 路面を面状に複数間隔配置された突起の集合体として認識し、前記第3のステップにおいて各突起の振動入力を求め、前記第4のステップにおいて各突起による振動を求め、前記各突起による振動を前記認識に基き合成してタイヤの振動及び騒音の少なくとも一方を求めることを特徴とする請求項1に記載のタイヤの振動・騒音シミュレーション方法。
  3. タイヤの接地領域における前記第2のステップの伝達特性の値を0(ゼロ)とすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のタイヤの振動・騒音シミュレーション方法。
  4. 前記第1のステップにおいて、
    タイヤの接地領域境界より外側に50mm以内の位置に振動を入力することを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載のタイヤの振動・騒音シミュレーション方法。
  5. 前記第1のステップにおいて、
    前記伝達特性を有限要素法により求めることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載のタイヤの振動・騒音シミュレーション方法。
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