JP4136737B2 - 缶蓋供給装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、パネル面同士が略同じ平面上となるように積み重なることなく搬送される各缶蓋を、缶蓋同士を互いに接触させた状態で搬送するる第1搬送手段から、各缶蓋同士を互いに所定の間隔を置いた状態で搬送する第2搬送手段に間欠的に移載するための手段として使用される缶蓋供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
缶容器の端板部として缶胴に巻き締められる缶蓋について、例えば、プレス成形されてからカーリングマシンによりパネル面の外周側にフランジカールが成形されただけのベーシックな形状の缶蓋に対して更にスコア線を形成したりタブを取り付けたりするような缶蓋の製造工程で各缶蓋を連続的に搬送したり、或いは、製造された各缶蓋を缶本体に巻き締めるために缶蓋巻締機(シーマー)に向けて連続的に搬送したりするような場合に、従来から一般的には、各缶蓋のパネル面が搬送方向(進行方向)に向くように各缶蓋を積み重ねた状態(各缶蓋のパネル面同士が略平行となる状態)で各缶蓋を連続的に搬送しており、積み重ねた状態の各缶蓋を搬送路の所定の箇所で一枚ずつに分離してから次の工程に供給するようにしている(必要とあれば、例えば、特公昭58−46417号公報,特公昭63−48769号公報,特開昭56−139242号公報等参照)。
【0003】
しかしながら、上記のような積み重ねた状態での缶蓋の搬送については、缶蓋の形状によっては缶蓋同士を安定した状態に積み重ねられず、そのために安定した状態で缶蓋を連続的に搬送できない場合があり、一方、缶蓋同士がきっちりと嵌合した状態で積み重なるような場合には、搬送してから各缶蓋同士を一枚ずつに分離する際に、缶蓋の外周部を傷付けたり変形させたりするような虞がある。また、各缶蓋を積み重ねた状態で搬送する場合には、搬送中に缶蓋同士が押し合たり擦れ合ったりすることが避けられず、それにより缶蓋の内外面の塗膜が損傷される虞があって、特に、製造されたプルタブ付きの缶蓋を搬送するような場合には、一方の缶蓋のプルタブが他方の缶蓋のパネル内面に接触した状態で擦られることがあるため、その損傷傾向が大きくなってしまう。
【0004】
これに対して、パネル面同士が略平行となるように各缶蓋を積み重ねた状態で搬送するのではなく、パネル面同士が略同じ平面上となるように各缶蓋を寝かして一列に並べた状態で搬送するということが従来公知になっており(特開平7−241641号公報参照)、そのような従来公知の技術においては、例えば、缶蓋の外径より小さい円形の開口部が所定の間隔で設けられている移送ベルト等を使用することによって、各缶蓋を所定の間隔に位置決めした状態で連続的に搬送するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のように各缶蓋を積み重ねることなく搬送する場合に、搬送路の全てで缶蓋を所定の間隔に位置決めした状態で搬送しようとすると、上記の移送ベルトのような搬送手段を長い距離にわたって設置することで設備コストが嵩むことになる。そこで、缶蓋同士の間に所定の間隔を設ける必要のない部分では、ガイド部材により案内されて互いに接触している状態の缶蓋をエアーブロー等によって搬送するなどの簡単な搬送手段によって缶蓋を搬送すると共に、缶蓋同士の間に所定の間隔を設ける必要がある部分(例えば、缶蓋を所定の工程に送り込む部分等)では、上記の移送ベルトのような搬送手段によって缶蓋を搬送するという使い分けが考えられるが、そのような場合に、両方の搬送手段の間で缶蓋を移載するための装置をどのように設けるかということが問題となってくる。
【0006】
本発明は、上記のような問題の解消を課題とするものであり、具体的には、缶蓋を積み重ねない状態で搬送する各搬送手段の間で、一方の搬送手段により互いに接触した状態で搬送されてくる各缶蓋を、簡単な構造の装置により間欠的に他方の搬送手段に供給できるようにすることで、他方の搬送手段により缶蓋同士が所定の間隔を置いて搬送されるようにすることを課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記のような課題を解決するために、パネル面同士が略同じ平面上となるように積み重なることなく搬送される各缶蓋を、缶蓋同士を互いに接触させた状態で搬送する第1搬送手段から、缶蓋同士を互いに所定の間隔を置いた状態で搬送する第2搬送手段に間欠的に移載するための手段として、第1搬送手段から搬送されてくる缶蓋を一つずつ受け入れて一旦停止させる一対のブレーキ部材が、搬送路の両側から缶蓋を弾性的に挟み込むように設置され、また、ブレーキ部材により弾性的に挟み込まれた缶蓋を間欠的に押し出すためのフィンガー部材が、一つのクランク軸の回転により二本のリンク部材を介して駆動されることで、搬送路に沿って往復移動すると共に上下方向に往復揺動するように設置されていて、それにより、ブレーキ部材に挟み込まれて一旦停止された缶蓋が、その後に続く缶蓋との間の隙間に上方から挿入されるフィンガー部材の端部によって強制的に搬送方向に押し出されることで、第2搬送手段に対して間欠的に供給されるように構成されていることを特徴とするものである。
【0008】
上記のような構成によれば、搬送路の両側から缶蓋を弾性的に挟み込むように設置される一対のブレーキ部材と、一つのクランク軸の回転により二本のリンク部材を介して駆動されるフィンガー部材とによる簡単な構造によって、第1搬送手段により互いに接触した状態で搬送されてくる各缶蓋を、缶蓋同士を互いに所定の間隔を置いた状態で搬送するための第2搬送手段に対して、缶蓋同士が所定の間隔となるように間欠的に供給することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の缶蓋供給装置の実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明の缶蓋供給装置の一実施形態について、図1は、各搬送手段に対する装置全体の設置状態を示し、図2は、第1搬送手段の具体的な構造を示し、図3は、装置全体の作動状態を示し、図4は、(A)フィンガー部材の構造と(B)ブレーキ部材に挟み込まれた缶蓋をフィンガー部材により押し出すときの状態とをそれぞれ示し、図5および図6は、クランク軸の回転に連れて装置が作動する時の各段階(A),(B),(C),(D)での状態をそれぞれ示すものである。
【0010】
本実施形態の缶蓋供給装置は、缶蓋の製造工程において円板状に打ち抜かれてプレス成形されてからカーリングマシンによりフランジカールが成形されただけのベーシックな形状の缶蓋を後の工程(スコアー成形工程やタブ取付工程等)に向けて連続的に送り込むための搬送路に設置されるものであり、図1に示すように、各缶蓋2を積み重ねることなく各缶蓋2のパネル面同士が略同じ平面上となるように一列に搬送している状態で、缶蓋2同士を互いに接触させた状態で搬送する第1搬送手段3から、缶蓋2同士を互いに所定の間隔を置いた状態で搬送する第2搬送手段4に、缶蓋2を間欠的に供給して移載するために使用されるものである。
【0011】
なお、缶蓋2は、製缶用の金属板(アルミ系又はスチール系)の少なくとも缶内面側となる面(内容物と接する面)に樹脂被膜が形成された金属板材からプレス成形されたものであり、図2に示すように、円板状のパネル面21の外周にチャックウォール部22を介してフランジカール部23が一体成形されたベーシックエンドと言われる中間製品であって、その後の製造工程においてスコア線が形成されたりタブが取り付けられたりするものである。
【0012】
そのような缶蓋2同士を互いに接触させた状態で搬送する第1搬送手段3については、図1に示すように、左右一対の蓋ガイド部材31の内側面の横溝内に缶蓋2のフランジカール部を載置させ、各缶蓋2のフランジカール部同士を接触させるように、各缶蓋2を一列に繋がるように並べた状態で、図2に示すように、各缶蓋2の下方に配置されているジェットコンベア32の吸気口32aから導入された圧縮空気を多数の排気口32bから吹き出すことで、蓋ガイド部材31により案内されている各缶蓋2を、斜め下方から搬送方向に向けて吹き出すエアーブローの力によって連続的に搬送方向に押し流すようにしたものである。
【0013】
また、缶蓋2同士を互いに所定の間隔を置いた状態で搬送する第2搬送手段4については、図1に示すように、実質的に非伸長性な材料による無端状の移送ベルト41をドラム42の回転によりエンドレスに駆動するベルトコンベアによるものであって、移送ベルト41には、各缶蓋2の所定の間隔に位置決めするために、フランジカール部をベルト上面に載置した状態で缶蓋2が嵌り込むような大きさの円形の開口部41aが、搬送方向で所定の間隔となるように多数形成されている。
【0014】
上記のような第1搬送手段3と第2搬送手段4との接続部分に設置される本実施形態の缶蓋供給装置1については、第1搬送手段3から搬送されてくる缶蓋2を一つずつ受け入れて一旦停止させる左右一対のブレーキ部材11,11と、ブレーキ部材11,11により弾性的に挟み込まれた缶蓋2を間欠的に押し出すためのフィンガー部材12とを有するものであって、各ブレーキ部材11,11の外面側には、図4(B)に示すように、各ブレーキ部材11,11を内側に付勢するための適当数のスプリング11aが設けられている。また、フィンガー部材12は、図3に示すように、スライド部材13によって上下方向で揺動自在に支持されており、スライド部材13は、図1に示すように、搬送方向に沿った左右一対のレール部材14によって搬送方向でスライド自在に支持されている。
【0015】
そして、缶蓋供給装置1の駆動源となるクランク軸15に対して、図1および図3に示すように、フィンガー部材12が、第1リンク部材16を介してクランク軸15のピン部分15aに可動的に連結され、また、スライド部材13が、第2リンク部材17を介してクランク軸15のピン部分15aに可動的に連結されていて、一つのクランク軸15の回転により、スライド部材13が搬送方向に沿って所定の範囲だけ往復移動すると共に、それとタイミングを合わせて同期的に、フィンガー部材12が、スライド部材13との連結軸を回動中心として、上下方向で所定の範囲だけ往復揺動するようになっている。
【0016】
なお、フィンガー部材12の具体的な構造については、図4(A)に示すように、前側(缶蓋の進行側)が二股に分かれた平面コ字状の基板部12aに対して、その左右の前端の下面側にそれぞれフィンガー部12b,12bを垂下させると共に、その後端の上面側に一対の連結部12c,12cを立設させたものであって、各連結部12c,12cの下部には、スライド部材13に軸支されるための回動軸孔12dが形成され、各連結部12c,12cの上部には、第1リンク部材16を連結させるためのリンク連結孔12eが形成されている。
【0017】
そのようなフィンガー部材12における左右のフィンガー部12b,12bの間隔は、缶蓋2の外径よりも少し小さい程度となっており、それによって、図4(B)に示すように、左右のブレーキ部材11,11に挟み込まれた缶蓋2とその後に続く缶蓋2との間の隙間に各フィンガー部12b,12bを上方から挿入することができて、各フィンガー部12b,12bにより缶蓋2の両側付近を後方から支えた状態で、各ブレーキ部材11,11のスプリング11aによる付勢力に抗して、缶蓋2を強制的に搬送方向に押し出すことができるようになっている。
【0018】
上記のように構成された本実施形態の缶蓋供給装置1の作動状態について説明すると、第1搬送手段3によって搬送されている各缶蓋2が、フランジカール部同士を接触させた状態で、ブレーキ部材11に向けて連続的に送り込まれてくるのに対して、スライド部材13に軸支されたフィンガー部材12は、クランク軸15の回転により、各リンク部材16,17を介して、搬送方向に沿って往復移動すると共に上下方向に往復揺動している。そして、一つの缶蓋2が左右のブレーキ部材11,11の間に挟み込まれた状態で、スライド部材13に軸支されたフィンガー部材12は、フィンガー部12bを上げた状態で、搬送方向の移動範囲の後限に位置している。
【0019】
そのような状態から、クランク軸15の回転に連れて、図5(A)に示すように、フィンガー部材12が前端のフィンガー部12bを下げるように下方に揺動して、ブレーキ部材11,11の間に挟み込まれた缶蓋2とそれに続く缶蓋2との間の左右の隙間に、左右のフィンガー部12bがそれぞれ上方から挿入されてから、図5(B)に示すように、フィンガー部材12が前方に移動することで、バネ部材11aによる左右のブレーキ部材11,11の弾性的な挟持力に抗して、ブレーキ部材11,11に挟み込まれて一旦停止していた一つの缶蓋2を前方(搬送方向)に強制的に押し出している。
【0020】
さらに、一つの缶蓋2をブレーキ部材11,11の間から前方(搬送方向)に押し出した後は、クランク軸15の回転に連れて、図6(C)に示すように、フィンガー部材12が前端のフィンガー部12bを上げるように上方に揺動しながら、図6(D)に示すように、フィンガー部12bを上げたままの状態で、フィンガー部材12が移動範囲の後限にまで移動して、次の缶蓋2の押し出し動作に備えられることとなる。
【0021】
フィンガー部材12によりブレーキ部材11,11から前方に押し出された缶蓋2は、図3に示すように、第2搬送手段4の移送ベルト41の開口部41aにタイミングを合わせて供給されるようになっている。すなわち、フィンガー部材12を駆動するクランク軸15の回転と、移送ベルト41を駆動するドラム42の回転とは、フィンガー部材12による缶蓋2の押し出しのタイミングと、移送ベルト41の開口部41aが通過するタイミングとが一致するように、同期的に回転駆動されるように制御されている。
【0022】
なお、ブレーキ部材11,11の間から前方(搬送方向)に押し出された缶蓋2は、図示していないが、ブレーキ部材11,11よりも前方に設置されたストッパーにより進行が阻止されて位置決めされた状態で、上方からのノックアウトエアーの吹きつけや、下方からのバキューム吸引等によって、確実に下方の移送ベルト41に供給されるようになっている。
【0023】
上記のように作動する本実施形態の缶蓋供給装置1によれば、両側から缶蓋を弾性的に挟み込む一対のブレーキ部材11,11と、一つのクランク軸15の回転により二本のリンク部材16,17を介して駆動されるフィンガー部材12とによる簡単な構造により、フィンガー部材12の駆動源(クランク軸15)と第2搬送手段4の駆動源(ドラム42)を同期的に駆動制御するだけで、第1搬送手段3により互いに接触した状態で搬送されてくる各缶蓋2を、缶蓋2同士を互いに所定の間隔を置いた状態で搬送するための第2搬送手段4に対して、缶蓋2同士が所定の間隔となるように間欠的に供給することができて、第2搬送手段4により所定のピッチで缶蓋2を後の工程に送り込むことができる。
【0024】
以上、本発明の缶蓋供給装置の一実施形態について説明したが、本発明は、上記のような実施形態にのみ限定されるものではなく、例えば、第2搬送手段については、直線方向に搬送するベルトコンベアに限らず、円周方向に搬送するターンテーブル等の異なる搬送手段であっても良いし、第1搬送手段についても、ジェットコンベアのエアーブローによるものに限られるものではなく、各搬送手段の具体的な構成については適宜に変更可能なものであり、また、対象となる缶蓋については、平面形状が円形の缶蓋に限らず、互いに接触した状態で連続して搬送される各缶蓋同士の間にフィンガー部の入る隙間ができるようなものであれば、平面形状が八角形等の缶蓋であっても適用可能なものであり、さらに、缶蓋供給装置の使用対象については、缶蓋を製造するための工程に限らず、製造された缶蓋を缶本体に巻き締めるための工程であっても良い等、適宜に設計変更可能なものであることは言うまでもない。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したような本発明の缶蓋供給装置によれば、缶蓋を積み重ねない状態で搬送する場合に、一方の搬送手段により互いに接触した状態で搬送されてくる各缶蓋を、所定の間隔を置いて缶蓋を搬送するための他方の搬送手段に対して、一つの駆動源による簡単な構造により、他方の搬送手段での所定の間隔にタイミングを合わせて間欠的に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の缶蓋供給装置の一実施形態について、各搬送手段に対する装置全体の設置状態を示す斜視図。
【図2】第1搬送手段の具体的な構造を示す搬送方向に沿った縦断面側面図。
【図3】缶蓋供給装置の全体の作動状態を示す側面説明図。
【図4】(A)フィンガー部材の構造と(B)ブレーキ部材に挟み込まれた缶蓋をフィンガー部材により押し出すときの状態とをそれぞれ示す斜視図。
【図5】缶蓋供給装置の作動時における各段階(A),(B)での状態をそれぞれ示す斜視図。
【図6】缶蓋供給装置の作動時における各段階(C),(D)での状態をそれぞれ示す斜視図。
【符号の説明】
1 缶蓋供給装置
2 缶蓋
3 第1搬送手段
4 第2搬送手段
11 ブレーキ部材
12 フィンガー部材
12b フィンガー部(フィンガー部材の端部)
15 クランク軸
16 第1リンク部材
17 第2リンク部材
Claims (1)
- パネル面同士が略同じ平面上となるように積み重なることなく搬送される各缶蓋を、缶蓋同士を互いに接触させた状態で搬送する第1搬送手段から、缶蓋同士を互いに所定の間隔を置いた状態で搬送する第2搬送手段に間欠的に移載するための手段として、第1搬送手段から搬送されてくる缶蓋を一つずつ受け入れて一旦停止させる一対のブレーキ部材が、搬送路の両側から缶蓋を弾性的に挟み込むように設置され、また、ブレーキ部材により弾性的に挟み込まれた缶蓋を間欠的に押し出すためのフィンガー部材が、一つのクランク軸の回転により二本のリンク部材を介して駆動されることで、搬送路に沿って往復移動すると共に上下方向に往復揺動するように設置されていて、それにより、ブレーキ部材に挟み込まれて一旦停止された缶蓋が、その後に続く缶蓋との間の隙間に上方から挿入されるフィンガー部材の端部によって強制的に搬送方向に押し出されることで、第2搬送手段に対して間欠的に供給されるように構成されていることを特徴とする缶蓋供給装置。
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