JP4136200B2 - 鉄筋コンクリート造柱と鉄骨造梁との接合構造 - Google Patents
鉄筋コンクリート造柱と鉄骨造梁との接合構造 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄筋コンクリート造柱と鉄骨造梁との接合構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、鉄筋コンクリート造柱と鉄骨造梁との接合構造においては、鉄筋コンクリート造柱に例えば鉄骨造梁と同一の部材で形成したブラケットを取付け、このブラケットに鉄骨造梁を突き合わせ、ブラケットと鉄骨造梁の上下面に接合板を当てて、接合板をブラケット及び鉄骨造梁に高力ボルトで固定することによりブラケットの鉄骨造梁とを接合するのが一般的であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の鉄筋コンクリート造柱と鉄骨造梁の接合構造では、鉄筋コンクリート造柱の外周側に主鉄筋が設けられているものの、圧縮力伝達部材にはさまれたコンクリートの圧縮耐力が比較的弱く、鉄骨造梁に作用する圧縮力を制限する必要があった。つまり、梁の寸法を制限する必要があった。そのため、大スパンや高層建物などの、梁が大きな建物には使用できないという問題があった。
【0004】
本発明の目的は、このような問題点を解決するためになされたものであり、鉄筋コンクリート造柱のコンクリートの圧縮耐力を大きくすることができ、これにより、より大きな梁を用いる建物への適用が可能な鉄筋コンクリート造柱と鉄骨造梁との接合構造を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は鉄筋コンクリート造柱と鉄骨造梁との接合構造であり、前述の技術的課題を解決するために以下のように構成されている。すなわち、本発明の鉄筋コンクリート造柱と鉄骨造梁との接合構造は、鉄骨造梁に作用した圧縮力を鉄筋コンクリート造柱のコンクリートに伝達するための圧縮力伝達部材を前記鉄骨造梁の接合側の端部に設け、前記圧縮力伝達部材を前記コンクリート内に配置し、前記コンクリート内の前記圧縮力伝達部材より中心側に芯鉄筋を配置した鉄筋コンクリート造柱と鉄骨造梁との接合構造であって、
前記コンクリートの断面が4角形であり、前記芯鉄筋を前記コンクリートの各外表面に対してX字状になるように配置したことを特徴とする。
【0006】
また、本発明は、鉄骨造梁に作用した圧縮力を鉄筋コンクリート造柱のコンクリートに伝達するための圧縮力伝達部材を、前記鉄骨造梁の接合側の端面に溶着して前記コンクリート内に配置し、前記コンクリート内の前記圧縮力伝達部材よりも中心側に芯鉄筋を配置した鉄筋コンクリート造柱と鉄骨造梁との接合構造であって、
前記鉄骨造梁の上下に水平接合板を配置し、前記水平接合板を前記鉄筋コンクリート造柱の主鉄筋に固定し、前記水平接合板の略中央部に開口を設け、前記圧縮力伝達部材を前記開口内に配置して、この圧縮力伝達部材の上下端部には鉄骨造梁の上下端よりも突出した係止部分を設け、この係止部分を前記水平接合板の開口内に挿入し、前記圧縮力伝達部材の上下端部を、前記開口の周壁に当接させて係止することにより、前記係止部分を介して鉄骨造梁に作用した圧縮力をコンクリートに伝達することを特徴とする。
【0007】
(作用)
本発明に係る鉄筋コンクリート造柱と鉄骨造梁との接合構造によれば、鉄骨造梁の端部に設けられた圧縮力伝達部材より中心側に芯鉄筋が配置されているので、コンクリートの圧縮耐力が向上し、鉄骨造梁に作用した圧縮力の全部をコンクリートによって支持することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る鉄筋コンクリート造柱と鉄骨造梁との接合構造の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0009】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明に係る鉄筋コンクリート造柱と鉄骨造梁との接合構造の第1の実施の形態を示す横断面図である。この鉄筋コンクリート造柱と鉄骨造梁との接合構造においては、鉄骨造梁11に作用した圧縮力を鉄筋コンクリート造柱10のコンクリート12に伝達するための圧縮力伝達部材15が鉄骨造梁11の接合側の端部に設けられ、この圧縮力伝達部材15がコンクリート12内に配置され、コンクリート12内の圧縮力伝達部材15より中心側に芯鉄筋30が配置されている。
【0010】
また、本実施の形態では、鉄骨造梁11の上下に水平接合板14が配置され、この水平接合板14が主鉄筋13bに固定され、水平接合板14の略中央部に開口17が設けられている。更に、圧縮力伝達部材15の端部が開口17内に配置され、開口17内に鉄骨造梁11の高さ以上に亘って芯鉄筋30が通されている。
【0011】
鉄筋コンクリート造柱10は断面が4角形であり、その4面に鉄骨造梁11が接合されている。鉄筋コンクリート造柱10は、断面4角形のコンクリート12と、その4隅に配置された3本組の主鉄筋13a,13b,13bと、これらの主鉄筋13a,13b,13bより中心寄りに配置された4本の芯鉄筋30を備えている。主鉄筋13b,13bには、後述のように鉄骨造梁11から鉄筋コンクリート造柱10に作用した引張力を支持するために2枚の水平接合板14、14が固定されている。
【0012】
水平接合板14、14は、図2に示すように鉄骨造梁11の上下に配置されている。ここでは、少なくとも内側の2本の主鉄筋13bにネジ鉄筋が使用され、この主鉄筋13bに螺入したロックナット16で、上下の水平接合板14、14が鉄骨造梁11側に密着させて固定されている。これにより、鉄骨造梁11が上下の水平接合板14、14で挟持されている。なお、図2ではロックナット16を水平接合板14、14の片側にのみ配置したが、水平接合板14、14の両側をロックナット16で挟持することもできる。
【0013】
この水平接合板14、14の中央部には、コンクリート打設時に使用される4角形の開口17が設けられている。この開口17の各辺の周壁17aは、それぞれ鉄骨造梁11の端面とほぼ平行であり、鉄骨造梁11の端面より僅かに外側に位置している。
【0014】
鉄骨造梁11の端面に溶着された圧縮力伝達部材15の上下端部には、鉄骨造梁11の上下端より突出した係止部分15aが設けられている。そして、この係止部分15aが水平接合板14の開口17内に挿入され、開口17の周壁に隙間調整部材19(図3)を介して間接的に係止されるようになっている。
【0015】
水平接合板14の開口17の周壁17aと係止部分15aとの間には、図3に示すように組み立て性を考慮して僅かな隙間があくように設定されている。ここでは、開口17の周壁17aに傾斜が設けられており、鉄骨造梁11の組み立て後に隙間内に楔状の隙間調整部材19が挿入される。これにより、寸法誤差を吸収できる。なお、図2中の符号20は隙間調整部材19の脱落を防止する蓋であり、21は蓋20を水平接合板14に固定するボルトである。
【0016】
図2に示すように、鉄筋コンクリート造柱10の主鉄筋13a,13b,13bには、全長に亘ってフープ筋22が適宜な間隔で巻かれている。このフープ筋22は上下の水平接合板14、14の間にも設けられており、ここではフープ筋22が鉄骨造梁11のウェブ11bを貫通している。
【0017】
また、芯鉄筋30は、開口17の4隅に配置されており、その長さは鉄骨造梁11の高さ以上、本実施の形態では鉄骨造梁11の上下にそれぞれ鉄骨造梁11の高さと同じ程度に延ばされている。そして、この芯鉄筋30には、鉄骨造梁11の部分を除いてフープ筋31が適宜な間隔で設けられている。
【0018】
次に、この鉄筋コンクリート造柱と鉄骨造梁との接合構造の作用を説明する。いま、図2の右側の鉄骨造梁11に引張力F1が作用すると、この引張力F1は圧縮力伝達部材15の係止部分15a及び隙間調整部材19(図3)を介して水平接合板14に伝達される。これにより、引張力F1は水平接合板14によって支持される。したがって、水平接合板14と圧縮力伝達部材15とをボルトなどで接合する必要はない。
【0019】
また、鉄骨造梁11に圧縮力F2が作用すると、この圧縮力F2は圧縮力伝達部材15を介してコンクリート12に伝達される。圧縮力伝達部材15の内側には、芯鉄筋30が配置されているので、コンクリート12の圧縮耐力が大きくなっている。したがって、コンクリート12で圧縮力F2を全て支持することができるので、圧縮力伝達部材15を水平接合板14又は特別な抵抗部材などに結合して圧縮力F2の全部又は一部を負担させる必要はない。
【0020】
本発明は、上述のように、鉄骨造梁11の圧縮力伝達部材15より内側に芯鉄筋30を設けたので、コンクリート12の圧縮耐力が増大し、鉄骨造梁11に作用した圧縮力F2を全てコンクリート12で支持することができる。したがって、従来のように圧縮力F2の全部又は一部を負担するために特別な抵抗部材を設けて鉄骨梁を結合する必要がないので、部品点数を低減してコストダウンが可能になる。
【0021】
なお、上述の実施の形態では芯鉄筋30を接合部分及びその上下の一部分にだけ配置したが、芯鉄筋は鉄筋コンクリート造柱10の全高に亘って配置することもできる。この場合には、鉄筋コンクリート造柱10の圧縮耐力が全高に亘って増大するので、高層建築物に適用する場合などに有利になる。
【0022】
(第2の実施の形態)
図4は、本発明の第2の実施の形態を示す。この第2の実施の形態では、芯鉄筋33が鉄筋コンクリート造柱10のコンクリート12の各外表面に対して、X字状となるように配置されている。芯鉄筋33の外周には、適宜な間隔でフープ筋34が設けられている。この場合は、曲げに対して強くなる。
【0023】
(第3の実施の形態は)
図5は、本発明の第3の実施の形態を示す。この第3の実施の形態では、芯鉄筋35がスパイラル状に形成されている。この場合には、ねじりに対して強くなる。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、鉄骨造梁に設けた圧縮力伝達部材より中心側のコンクリートに芯鉄筋が配置されているので、圧縮力伝達部材に挟まれたコンクリートの圧縮耐力が向上し、鉄骨造梁に作用した圧縮力の全部をコンクリートによって支持することができる。したがって、従来のように鉄骨造梁に作用した圧縮力の全部又は一部を負担させるために、特別な抵抗部材を設けて鉄骨造梁を結合する必要がなく、また、大スパンや高層建物などのように梁が大きな建物にも適用が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る鉄筋コンクリート造柱と鉄骨造梁との接合構造の第1の実施の形態を示す横断面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】本発明に係る鉄筋コンクリート造柱と鉄骨造梁との接合構造の第1の実施の形態の隙間調整部材を示す断面図である。
【図4】本発明に係る鉄筋コンクリート造柱と鉄骨造梁との接合構造の第2の実施の形態を示す断面図である。
【図5】本発明に係る鉄筋コンクリート造柱と鉄骨造梁との接合構造の第3の実施の形態を示す断面図である。
【符号の説明】
10 鉄筋コンクリート造柱
11 鉄骨造梁
13b 主鉄筋
14 水平接合板
15 圧縮力伝達部材
17 開口
30、33、34 芯鉄筋
31、34 フープ筋
Claims (5)
- 鉄骨造梁に作用した圧縮力を鉄筋コンクリート造柱のコンクリートに伝達するための圧縮力伝達部材を前記鉄骨造梁の接合側の端部に設け、前記圧縮力伝達部材を前記コンクリート内に配置し、前記コンクリート内の前記圧縮力伝達部材より中心側に芯鉄筋を配置した鉄筋コンクリート造柱と鉄骨造梁との接合構造であって、
前記コンクリートの断面が4角形であり、前記芯鉄筋を前記コンクリートの各外表面に対してX字状になるように配置したことを特徴とする鉄筋コンクリート造柱と鉄骨造梁との接合構造。 - 前記鉄骨造梁の上下に水平接合板を配置し、
前記水平接合板を前記鉄筋コンクリート造柱の主鉄筋に固定し、
前記水平接合板の略中央部に開口を設け、
前記圧縮力伝達部材の端部を前記開口内に配置し、
前記開口内に前記鉄骨造梁の高さ以上に亘って前記芯鉄筋を通したことを特徴とする請求項1に記載の鉄筋コンクリート造柱と鉄骨造梁との接合構造。 - 前記芯鉄筋を前記鉄筋コンクリート造柱の全高に渡って配置したことを特徴とする請求項1又は2に記載の鉄筋コンクリート造柱と鉄骨造梁との接合構造。
- 鉄骨造梁に作用した圧縮力を鉄筋コンクリート造柱のコンクリートに伝達するための圧縮力伝達部材を、前記鉄骨造梁の接合側の端面に溶着して前記コンクリート内に配置し、前記コンクリート内の前記圧縮力伝達部材よりも中心側に芯鉄筋を配置した鉄筋コンクリート造柱と鉄骨造梁との接合構造であって、
前記鉄骨造梁の上下に水平接合板を配置し、前記水平接合板を前記鉄筋コンクリート造柱の主鉄筋に固定し、前記水平接合板の略中央部に開口を設け、前記圧縮力伝達部材を前記開口内に配置して、この圧縮力伝達部材の上下端部には鉄骨造梁の上下端よりも突出した係止部分を設け、この係止部分を前記水平接合板の開口内に挿入し、前記圧縮力伝達部材の上下端部を、前記開口の周壁に当接させて係止することにより、前記係止部分を介して鉄骨造梁に作用した圧縮力をコンクリートに伝達することを特徴とする鉄筋コンクリート造柱と鉄骨造梁との接合構造。 - 前記芯鉄筋はスパイラル状であることを特徴とする請求項4に記載の鉄筋コンクリート造柱と鉄骨造梁との接合構造。
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