JP4134996B2 - スローアウェイチップの外周研磨方法 - Google Patents

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Description

この発明は、スローアウェイチップの外周研磨方法に係るものであり、特に、使い回しが行えるいずれの側で使用しても切削条件が変化しないような高い寸法精度を備えたスローアウェイチップの外周研磨方法に関するものである。
スローアウェイチップの中には、例えば、図9に示すようなものがある。このスローアウェイチップ1は、菱形平板状で下面に工具本体(図示せず)の着座面2を有するチップ本体3の上面にすくい面4が形成され、着座面2と上面との間に形成されたチップ本体3の周面が逃げ面5として形成され、これらすくい面4と逃げ面5との稜線部に、チップ本体3上面の2つのコーナ部をノーズ部6とする切刃7が形成されている。また、上記チップ本体3の上面から下面を貫通して、チップ本体3を工具本体に取り付けるクランプネジの挿通孔8が形成されている。
したがって、チップ本体3は対角線上に設けた2つのノーズ部6とこれに連なる上記逃げ面5をコーナーチェンジして合計2回の使い回しが可能となっている。
このように構成されたチップ本体3の外周、すなわち、逃げ面5を研磨する場合には、図10に示すように、Vブロック9に形成されたV字溝にチップ本体3の一側を差し込むようにセットし、図11に示すように、チップ本体3の着座面2を押圧する下面治具10と、チップ本体3の上面を押圧する上面治具11とでチップ本体3を挟持して、挟持治具に対して位置決めされた加工工具でチップ本体3の周面を研磨する。
しかしながら、上記従来のスローアウェイチップにあっては、焼結により焼き上がった素材の段階で上記外周研磨が行われるので、最初にVブロック9にセットされた状態では素材の持つ寸法誤差を持ったまま外周研磨がなされてしまうという問題がある。そして、このような寸法誤差が生ずると、例えば、チップ本体3の表面にブレーカー面等が形成されている場合に、このブレーカー面等の部位が一方のノーズ部6側と他方のノーズ部6側とで相対的な位置ずれを起こす可能性があるという問題があり、その結果、本来ならばどちらの側を使用しても変わらない条件で行えるはずのチップ本体3による切削が、使用する側によって異なってしまう虞がある。
そこで、この発明は、使い回しが行えるいずれの側で使用しても切削条件が変化しないような高い寸法精度を備えたスローアウェイチップの外周研磨方法を提供するものである。
上記課題を解決するために、この発明においては、多角形平板状で下面に工具本体への着座面を有するチップ本体の上面にすくい面が形成され、着座面と上面との間に形成されたチップ本体の周面が逃げ面として形成され、これらすくい面と逃げ面との稜線部に、チップ本体上面のコーナ部をノーズ部とする切刃が形成されているスローアウェイチップの外周研磨方法であって、上記スローアウェイチップには、上記チップ本体の上面から下面を貫通して、チップ本体を工具本体に取り付けるクランプ部材の挿通孔が形成され、この挿通孔のチップ本体上面側の開口部周縁に、チップ本体の加工用治具の基準面に当接するテーパー面が形成されていて、上記加工用治具の基準面を上記チップ本体の挿通孔の上記テーパー面に当接させて該加工用治具に上記チップ本体を固定し、上記加工用治具に対して位置決めされた加工工具で上記チップ本体の上記逃げ面を研磨することを特徴とする。
したがって、挿通孔が形成されたチップ本体の略中央部を基準としてチップ本体の外周を研磨することが可能となる。
また、チップ本体を工具本体に取り付けるクランプ部材の挿通孔に加工用治具の基準面に当接するテーパー面を形成することで、工具本体にチップ本体を取り付けたと同様の状況で研磨加工等の加工を行うことを可能とする。ここで、上記挿通孔のテーパー面の開き角度αは90゜<α<180゜の範囲に設定されていることが望ましい。
この発明によれば、チップ本体の挿通孔のテーパー面を基準としてチップ本体の外周を研磨できるため、従来のようにチップ本体の端部側を基準としてチップ本体の外周を研磨した場合に比較して、ノーズ部等のチップ本体の外側における寸法誤差を抑えることができる効果がある。また、チップ本体を工具本体に取り付けるクランプ部材の挿通孔に加工用治具の基準面に当接するテーパー面、例えば、その開き角度αが90゜<α<180゜の範囲内で設定されたテーパー面が形成されているため、このテーパー面を押圧した状態で研磨加工等をすれば、工具本体にチップ本体を取り付けたと同様の状況下での加工となるため、チップ本体を取り付けた状態でのチップ本体の寸法精度を高めることができる効果がある。
以下、この発明の一実施形態を図面と共に説明する。図1乃至図5において、12はチップ本体であって、チップ本体12は超硬合金等の硬質材料から菱形平板状に一体成形されたもので、下面に工具本体(図示せず)の着座面13を有している。チップ本体12の上面にはすくい面14が形成され、着座面13と上面との間にはチップ本体12の周面を構成する逃げ面15が形成されている。そして、これらすくい面14と逃げ面15との稜線部に、チップ本体12上面のコーナ部をノーズ部16とした鋭角の切刃17(ポジチップ)が形成されている。
上記ノーズ部16付近においては、すくい面14間にこれに連なる平坦面18が設けられている。上記平坦面18はノーズ部16に近づくにしたがってチップ本体12の肉厚が厚くなり着座面13から離れるように形成され、切削時に負荷がかかるノーズ部16近傍の切刃強度を確保するようになっている。上記チップ本体12の上面であって、すくい面14に挟まれた部位には、平坦面18に連なり、切屑の排出方向、すなわち、チップ本体12の長手方向に沿って立ち上がった山部19aを備えたブレーカー面19が設けられている。また、ブレーカー面19にはさらに同様の構成のブレーカー面20が連設され、このブレーカー面20の稜線部20aは、ブレーカー面19の山部19aよりも高く成形されている。
そして、上記ブレーカー面19,20は前述したように他のノーズ部16側にも形成され、これら各ブレーカー面20間に形成された平坦面21に図示しない工具本体にスローアウェイチップを取り付けるための図示しないクランプネジ(クランプ部材)の挿通孔22が形成されている。ここで、この挿通孔22はチップ本体12の中央部に位置し、チップ本体12は挿通孔22の中心に対して回転対称となっており、対角線上に設けた2つのノーズ部16とこれに連なる切刃17とをコーナーチェンジして合計2回の使い回しが可能となっている。
上記挿通孔22は図3、図7に示すようにチップ本体12の着座面13側では小径で、チップ本体12の上面に行くにしたがって徐々に拡径し、チップ本体12の上面側では着座面13よりも大きな大径部22aとして形成された、いわゆる、ベル型形状の挿通孔22である。この挿通孔22のチップ本体12の上面側の開口部周縁、具体的には上記大径部22aの開口部周縁は面取りされ、ここにテーパー面23が形成されている。この挿通孔22のテーパー面23の開き角度αは90゜<α<180゜の範囲に設定されることが望ましく、この実施形態においては後述する上面治具24の押圧部25のテーパー面26に対応して120゜に設定されている。
ここで、図6に示すのはチップ本体の12の上面を押圧する上面治具(加工用治具)24である。この上面治具24は中央部にナット部24aを備え、先端側の円柱状の押圧部25は先端外周縁が面取りしてあり、ここにチップ本体12のテーパー面23に嵌合して当接するテーパー面(基準面)26がθ=120度の開きを持って形成されている。また、図7、図8に示すのはチップ本体12の下面を押圧する下面治具(加工用治具)27であって、先端側にはチップ本体の12の着座面13に周囲を残して当接する押圧部28を備えている。
そして、このように成形されたチップ本体12が上面治具24と下面治具27とによって挟持されVブロック9に支持された状態で、上面治具24と下面治具27に対して位置決めされた加工工具によってチップ本体12の外周研磨が行われるのである。
すなわち、本実施形態においては、上記チップ本体12の外周研磨を行う場合に、上面治具24の押圧部25のテーパー面26をチップ本体12のクランプネジの挿通孔22にセットし、下面治具27の押圧部28をチップ本体12の着座面13に当接させ、これら上面治具24と下面治具27とによってチップ本体12を挟持する。なお、ここでチップ本体12の下面は着座面13として予め研磨してある。この状態でVブロック9に形成されたV字溝にチップ本体12の一方の切刃17を差し込むようにセットして、上記上面治具24と下面治具27に対して位置決めされた加工工具によってチップ本体12の他の切刃17側の逃げ面15を研磨する。そして、研磨が終了すると、他方の切刃17を同様にVブロック9にセットして、前記一方の切刃17側の逃げ面15を研磨する。
したがって、チップ本体12の中央部に位置する挿通孔22を基準としてチップ本体12の外周を研磨できるため、チップ本体12の端部側を基準として研磨した場合に比較して、チップ本体12の外側部位(ノーズ部16等)における寸法誤差を抑えることができる。その結果、チップ本体12を一方のノーズ部16を先端にして工具本体に装着した場合と、他方のノーズ部16を先端にして工具本体に装着した場合の各部の相対的な位置ずれがなくなるため、どちらの向きにチップ本体12を取り付けた場合でも、変わらない条件で切削を行うことができる。例えば、上記チップ本体12にはブレーカー面19,20が設けられているが、チップ本体12の外周研磨がチップ本体12の取付方向によって異なると、ブレーカー面19,20の形成位置が微妙にずれることとなり、チップ本体12の取付態様によって切屑の排出抵抗が異なってしまい切削抵抗にばらつきが生ずる等の不具合が生ずるのであるが、このようなことがなくなるのである。
とりわけ、チップ本体12を工具本体に取り付けるクランプネジの挿通孔22のテーパー面23に上面治具24の押圧部25のテーパー面26を当接させて位置決めするため、工具本体にチップ本体12を取り付けたと同様の状況で研磨加工等を行うことができる点で有利となる。すなわち、実際にチップ本体12を工具本体に装着する場合には、チップ本体12はクランプネジの頭部が挿通孔22の内周面を押圧してチップ本体12を着座面13側に押圧することとなるため、同様にして上面治具24の押圧部25のテーパー面26によって挿通孔22のテーパー面23を押圧した状態でチップ本体12を研磨すれば、研磨して寸法精度が確保された状態が実装時に再現されるからである。
したがって、実装時にチップ本体12がクランプネジの押圧力により微妙に変形したとしても、上面治具24と下面治具27とでクランプした状態で研磨加工されたチップ本体12の寸法精度を確保することができる。また、上面治具24はチップ本体12の挿通孔22のテーパー面23のみを押圧するものであるため、チップ本体の上面を押圧する従来に比較してチップ本体の変形によるチップ位相ずれ、チップ割れが生じにくい点で有利である。なお、この発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、チップ本体12の形状は菱形に限られず、四角形等の多角形であってもよい。
この発明の実施形態に係わるスローアウェイチップの斜視図である。 図1のA−A線に沿う部位を切除した斜視図である。 図1のB−B線に沿う断面図である。 図1のC−C線に沿う断面図である。 図1のD−D線に沿う断面図である。 上面治具の正面図である。 チップ本体をクランプしている状態を示す断面図である。 下面治具の図7のE矢視図である。 従来のスローアウェイチップの斜視図である。 従来技術のスローアウェイチップをVブロックにセットした状態を示す斜視図である。 従来技術の図7に対応する断面図である。
符号の説明
12 チップ本体
13 着座面
14 すくい面
15 逃げ面
16 ノーズ部
17 切刃
22 挿通孔
23 テーパー面
24 上面治具(加工治具)
25 押圧部
26 テーパー面(基準面)
27 下面治具(加工治具)
28 押圧部
α 開き角度

Claims (2)

  1. 多角形平板状で下面に工具本体への着座面を有するチップ本体の上面にすくい面が形成され、着座面と上面との間に形成されたチップ本体の周面が逃げ面として形成され、これらすくい面と逃げ面との稜線部に、チップ本体上面のコーナ部をノーズ部とする切刃が形成されているスローアウェイチップの外周研磨方法であって、
    上記スローアウェイチップには、上記チップ本体の上面から下面を貫通して、チップ本体を工具本体に取り付けるクランプ部材の挿通孔が形成され、この挿通孔のチップ本体上面側の開口部周縁に、チップ本体の加工用治具の基準面に当接するテーパー面が形成されていて、上記加工用治具の基準面を上記チップ本体の挿通孔の上記テーパー面に当接させて該加工用治具に上記チップ本体を固定し、上記加工用治具に対して位置決めされた加工工具で上記チップ本体の上記逃げ面を研磨することを特徴とするスローアウェイチップの外周研磨方法。
  2. 上記挿通孔のテーパー面の開き角度αが90゜<α<180゜の範囲に設定されていることを特徴とする請求項1に記載のスローアウェイチップの外周研磨方法。
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