JP4134745B2 - ボールねじ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボールねじ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のボールねじ装置は、少なくとも、ナット部材と、このナット部材の内部に同軸に設けられるねじ軸と、これら両部材のねじ溝の間に介装されて転動する複数のボールとを備えたものである(特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
特許文献1に記載のボールねじ装置では、ねじ軸のねじ溝が閉ループとされ、ボールはこの閉ループに沿って循環するようになっている。
【0004】
上記のようなボールねじ装置は、特許文献2にも示されているように、他の可動の部材、たとえば、V溝プーリの可動フランジを軸方向に動かすのに使用される。この場合、ボールねじ装置のねじ軸は、回転方向にも軸方向にも動かないように固定され、これに対してナット部材が回転駆動される。ナット部材は、ねじ軸の周りで回転方向に駆動されることで、螺旋状に回転して軸方向に進退移動する。このナット部材の軸方向の進退移動に伴って、可動フランジのような被押動部材が軸方向に移動させられる。
【0005】
【特許文献1】
実開昭45−12666号公報
【特許文献2】
特開2001−108035号公報(明細書の段落0028、図2)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記したような形態で使用されるボールねじ装置では、ナット部材に対するねじ軸の螺挿深さが一定の深さになったところで、ねじ軸に対するナット部材の動きを止める必要がある。ねじ軸に対して、ナット部材の動きを一定の位置で止めることができないと、ナット部材による可動フランジ等の押動ストロークが一定せず、可動フランジ等の被押動部材を所期通りに正確に動作させることができない。
【0007】
特許文献2に記載のボールねじ装置では、ねじ軸とナット部材との間に、ボールの保持器が設けられていて、ねじ軸に、前記保持器の軸方向の動きを止めるリング状のストッパが取り付けられている。保持器がストッパに受け止められることで、ナット部材のそれ以上の軸方向の動きが阻止される。同様のストッパにより、直接、ナット部材の軸方向の動きを止めるようにすることもある。
【0008】
しかしながら、上記のようなストッパによる停止作用時、該ストッパには、保持器やナット部材の軸端が回転しながら接触することになるので、保持器やナット部材と、ストッパとが互いに食い込んで、容易に離れなくなり、ナット部材を逆方向に駆動する場合、ナット部材が円滑に動かなくなる、という問題がある。
【0009】
これに対しては、、ねじ軸に対するナット部材の回転を、回転方向の当たりで止めるストッパを設けることが考えられている。しかし、このようなストッパは、通常、ナット部材の側から、筒状であるねじ軸の内径側に回り込んだ形で設けることになる。そのため、ボールねじ装置の内径側の構造が複雑となるばかりか、ナット部材とねじ軸との両筒体の径方向の厚みが厚くなって、嵩張るという問題がある。
【0010】
本発明は、上記のような従来の問題点に鑑みてなされたものであって、ねじ軸に対するナット部材の回転停止とその解除とが円滑軽快に行えて、しかも、ボールねじ装置の径方向の厚みを厚くすることなく、コンパクト化することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の発明者は、上記の課題を達成するために、種々検討した結果、ねじ軸に閉ループのねじ溝が形成されている場合、通常、ねじ軸の外周部には、ねじ溝が形成されていない領域があって、この領域が、ねじ軸に対するナット部材の回転を停止させる機構のために利用しうることに気付いた。
【0012】
本発明は、上記の知見に基づいてなされたものであって、内周に一方軸端側から他方軸端側に連続するねじ溝が形成されたナット部材と、このナット部材の内部に同軸に設けられ、外周に上流側と下流側とが接続されて閉ループとなったねじ溝を有するねじ軸と、ナット部材のねじ溝とねじ軸のねじ溝との間に転動自在に介装された複数のボールと、前記ナット部材の一方軸端部に取り付けられるブラケットとを備え、前記ブラケットは、環状の金属板材からなり、外周部には回転の受動部として樹脂歯車が一体に設けられるとともに、内周部には、前記ナット部材の軸端部と、これに軸方向に隣り合う転がり軸受の外輪とが嵌着されており、前記ねじ軸の外周部のうち、ねじ溝の非形成領域に、ナット部材の側への係合部が設けられるとともに、ナット部材には、前記係合部と回転方向に係合してねじ軸に対するナット部材の回転を止める被係合部が設けられているボールねじ装置を構成している。
【0013】
上記構成における閉ループのねじ溝は、ねじ軸の外周部に形成されたボール循環溝により閉ループとなってもよいし、ねじ軸の内部を貫通するボール循環溝により閉ループとなっていてもよい。
【0014】
上記の構成によれば、ねじ軸の係合部と、ナット部材の被係合部とが回転方向に係合することで、ねじ軸に対するナット部材のそれ以上の回転が阻止される。これにより、ナット部材の内部にねじ軸が一定深さ螺挿されたところで、ねじ軸に対するナット部材の軸方向の動きが停止する。
【0015】
この場合、ねじ軸の係合部と、ナット部材の被係合部とは、回転方向に当たっているだけなので、ねじ軸に対してナット部材は逆方向に動きやすく、停止の解除が円滑軽快に行われる。また、係合部と被係合部とは、ねじ軸とナット部材との径方向の厚み内に設けられるので、ねじ軸の内径側の構造が複雑化せず、しかも、径方向の厚みが薄くまとまって嵩張らない。
【0016】
上記構成における係合部、被係合部は、いずれも凸形状のものでも、凹形状のものであってもよい。
【0017】
また、前記係合部と被係合部とは、ねじ軸の螺挿方向内端である前記ブラケットの側において、ねじ軸のねじ溝非形成領域と、ナット部材の内周部とにそれぞれ設けられていることが望ましい。具体的には、ねじ軸の螺挿方向内端にあるねじ溝非形成領域に、前記係合部として、周方向に沿って広がる凹部が形成されるとともに、ナット部材の内周部に、前記被係合部として、ねじ軸の螺挿方向内端の側において径方向内方に突出する凸部が設けられる。あるいは、ねじ軸の螺挿方向内端にあるねじ溝非形成領域に、前記係合部として、径方向外方に突出する凸部が設けられるとともに、ナット部材の内周部に、前記被係合部として、ねじ軸の螺挿方向内端の側において周方向に沿って広がる凹部が形成される。
【0018】
本発明は、ボールの保持器を有しない総ボールタイプのボールねじ装置にも、保持器付きのボールねじ装置にも実施しうる。ねじ軸とナット部材との間に、ボールの保持器を備えている場合、ねじ軸の外周部とナット部材の内周部との間に形成される空間を利用することで、ねじ軸の螺挿方向内端にあるねじ溝非形成領域に、前記係合部として、径方向外方に突出する凸部が設けられるとともに、ナット部材の内周部には、前記被係合部として、ねじ軸の螺挿方向内端の側において径方向内方に突出する凸部が設けられている構成としてもよい。
【0019】
【発明の実施の形態】
〔第1実施形態〕
本発明の詳細を図示の実施形態に基づいて説明すると、図1および図2は、本発明の第1実施形態を示しており、図1は第1実施形態に係るボールねじ装置の断面図で、実線で短縮状態を示し、鎖線で伸張状態を示している。図2は、図1の装置の軸方向右方から見た一部角度範囲の部分正面図である。
【0020】
図1において、符号1は、本発明のボールねじ装置の全体を示し、2は、ボールねじ装置1を貫通する回転軸、3は、回転軸2にスプライン嵌合しているスリーブである。このスリーブ3に、図示しないが、被押動部材であるV溝プーリの可動フランジが同軸で一体に設けられている。スリーブ3は、ボールねじ装置1が伸張動作するのに伴い、軸方向一方(図示の場合は左方)に移動して、可動フランジを同方向に移動させ、この可動フランジと固定フランジとの間隔を狭幅にする。
【0021】
ボールねじ装置1は、図1および図2の図示例では、保持器を有しない総ボールタイプのボールねじ装置であり、いずれの方向にも回転駆動される筒状のナット部材5と、このナット部材5の内周側に同軸に配置される円筒状のねじ軸6と、ナット部材5およびねじ軸6にそれぞれ形成されたねじ溝5a,6a間で転動する多数のボール7と、ナット部材5のスリーブ3側の端部に取り付けられたブラケット8とを含むものである。
【0022】
ナット部材5は、その内周部に一方軸端から他方軸端にわたって所定のリード角で連続する一条のねじ溝5aが形成されている。ねじ軸6は、その内周部と前記の回転軸2の間に設けられた転がり軸受9より、回転軸2に対して支持されるとともに、図示しない所定の固定装置でもって、回転方向にも軸方向にも不動状に固定されている。このねじ軸6の外周部には、互いに平行でそれぞれ独立の閉ループとされた所定のリード角を有する2条のねじ溝6a,6aが形成されている。各ねじ溝6aは、その上流側と下流側とが、S字形に蛇行するとともに内径側に深く沈み込んでいるボール循環溝6b,6bで接続されて、別個に閉ループとされている。ねじ軸6の外周部のうち、ねじ溝6aの軸方向両側はねじ溝非形成領域6c,6dで、いずれも凹凸のない円筒面となっている。このねじ軸6は、ボールねじ装置1が短縮動作している状態で、その一方の軸端(図1で右端)がナット部材5の内部から突出する軸方向長さを有している。
【0023】
ブラケット8は、薄肉鋼板をプレス加工することによって環状に成形されたもので、その外周部には回転の受動部として樹脂歯車10が一体に設けられている。このブラケット8は、二重筒形状の折返し筒部8aと、この折り返し筒部8aに軸方向に連続する軸端筒部8bと、この軸端筒部8bの軸方向外端から径方向に沿って立ち上がる立ち上がり部8cと、芯金部8dとを有している。前記折り返し筒部8aの内周には、ナット部材5の一端部が嵌入されている。軸端筒部8bの内周には、転がり軸受(図示例ではアンギュラ玉軸受)11が装着され、この転がり軸受11により、ブラケット8とナット部材5とが、スリーブ3に対して回転自在に支持されている。芯金部8dは、立ち上がり部8cから外径側に延出しており、この芯金部8dを芯金として 前記樹脂歯車10が合成樹脂の射出成形により形成されている。符号10aは、樹脂歯車10の外周の歯部で、この歯部10aには、図外の回転動力源から駆動力が伝達されて回転する駆動歯車12の歯が噛合している。駆動歯車12は軸方向に幅広で、樹脂歯車10が軸方向一定の範囲内で移動しても、樹脂歯車10と噛み合った状態を保つ。
【0024】
ブラケット8にはさらに、その内径側に、ナット部材5への係止突部8eが形成されている。この係止突部8eは、折返し筒部8aの折返し内端から径方向内方に向けて内歯状に突出しており、ナット部材5のブラケット8側の端部に形成された切り欠き部5bに、外径側から嵌まり込んで係合している。この切り欠き部5bと係止突部8eとの係合により、ナット部材5とブラケット8とが回転方向一体に結合されている。
【0025】
前記ねじ軸6の外周部のうち、ねじ軸6の螺挿方向外端(ブラケット8側とは反対側の端部で、図1では右端)にあるねじ溝非形成領域6cには、ナット部材5の側への係合部として、径方向外方に突出するピン状の凸部13が突設されている。
【0026】
一方、ナット部材5には、ねじ軸6の前記凸部13と回転方向に係合してねじ軸6に対するナット部材5の回転を止める被係合部が設けられており、この被係合部は、第1実施形態では、ねじ軸6の螺挿方向外端の側においてナット部材5の軸端から軸方向外方に突出するピン状の凸部14である。このナット部材5の凸部14は、ボールねじ装置1が短縮動作し、ナット部材5の内部にねじ軸6が一定深さ螺挿されたときに、図1および図2に示すように、ねじ軸6の凸部14と回転方向に係合して、ねじ軸6に対するナット部材5の回転を止めるようになっている。したがって、ねじ軸6の外径側への凸部13と、ナット部材5の軸方向の凸部14とは、ねじ軸6に対するナット部材5の回転を停止させる機構を構成している。
【0027】
上記構成において、ナット部材5が回転駆動されると、ナット部材5はねじ軸6の周りで螺旋回転して軸方向に移動する。ナット部材5とねじ軸6とが互いに伸張している状態では、図1に鎖線で示すように、ねじ軸6の凸部13とナット部材5の凸部14とは、軸方向に離れているが、ナット部材5がねじ軸6と深く重なる方向に移動し、ナット部材5に対するねじ軸6の螺挿深さが一定の深さになると、図1に実線で示すように、ナット部材5の凸部14がねじ軸6の凸部13に受け止められて、ねじ軸6に対するナット部材5のそれ以上の回転が阻止される。これにより、ナット部材5の内部にねじ軸6が一定深さ螺挿されたところで、ねじ軸6に対するナット部材5の軸方向の動きが停止する。
【0028】
この場合、ねじ軸6の凸部13と、ナット部材5の凸部14とは、回転方向に当たっているだけなので、ねじ軸6に対してナット部材5は逆方向に動きやすく、停止の解除が円滑軽快に行われる。また、ねじ軸6の凸部13とナット部材5の凸部14とは、ねじ軸6とナット部材5との径方向の厚み内に設けられるので、ねじ軸6の内径側の構造が複雑化せず、しかも、径方向の厚みが薄くまとまって嵩張らない。
【0029】
さらに、ねじ軸6ではねじ溝非形成領域6cに、また、ナット部材5ではその軸端に、というように各部材のねじ溝6a,5aのない個所に、それぞれピンを立てるなどして凸部13,14を設ければよいから、ねじ軸6およびナット部材5の各ねじ溝6a,5aに加工を加える必要がなく、容易に実施しうる。
【0030】
なお、図1および図2には、ねじ軸6の凸部13およびナット部材5の凸部14として、それぞれピン形状のものを示したが、これらの凸部13,14の形状は、角形、山形、三角形等、他の形状でもよく、また、ねじ軸6やナット部材5の一部を突出させることで形成したものでもよい。
【0031】
〔第2実施形態〕
第1実施形態では、ナット部材5の側への係合部(凸部13)と、この係合部に対応する被係合部(凸部14)とは、ねじ軸6の螺挿方向外端の側において、それぞれねじ軸6とナット部材5とに設けられているが、これら係合部と被係合部とは、図3および図4に示すように、ねじ軸6の螺挿方向内端の側において、それぞれねじ軸6とナット部材5とに設けてもよい。図3および図4は、本発明の第2実施形態を示すもので、図3は、第2実施形態に係るボールねじ装置の半部の断面図で、短縮状態を示している。図4は、図3の装置の(4)−(4)線に沿った断面図である。
【0032】
この第2実施形態では、ねじ軸6の螺挿方向内端にあるねじ溝非形成領域6dに、ナット部材5側への係合部として、周方向に沿って広がる凹部15が形成されている。一方、ナット部材5の内周部には、前記係合部に対応する被係合部として、ねじ軸6の螺挿方向内端の側において径方向内方に突出するピン状の凸部16が設けられている。
【0033】
このナット部材5の凸部16は、ボールねじ装置が短縮動作し、ナット部材5の内部にねじ軸6が一定深さ螺挿されたときに、ねじ軸6の凹部15の内部に入り込んで、該凹部15の周方向一方の内壁に回転方向に当たって受け止められるようになっている。この凸部16の受け止めにより、ねじ軸6に対するナット部材5のそれ以上の回転が阻止され、ねじ軸6に対するナット部材5の軸方向の動きが停止する。
【0034】
上記した以外の構成は、第1実施形態のものと変わらないので、第1実施形態と共通する部分には、第1実施形態と同一の符号を付して示し、その説明は省略する。
【0035】
この第2実施形態では、ナット部材5の凸部16とねじ軸6の凹部15の内壁とは、回転方向に当たるだけなので、第1実施形態と同様に、ナット部材5は、回転が阻止された後、逆方向に動きやすく、停止の解除が円滑軽快に行われる。また、ねじ軸5の凹部15とナット部材5の凸部16とは、ねじ軸6とナット部材5との径方向の厚み内に収まるので、嵩張らず、しかも、ねじ軸6の内径側の構造が複雑化しない点も、第1実施形態と同じである。
【0036】
さらに、第2実施形態では、ねじ軸6の凹部15とナット部材5の凸部16とは、ねじ軸6とナット部材5との各部分のうち、短縮動作時、互いに重なり合う部分に設けられるので、ねじ軸6やナット部材5を軸方向に延長する必要がなく、装置全体の軸方向長さを短くすることができる。
【0037】
〔第3実施形態〕
図5および図6は、本発明の第3実施形態を示すもので、図5は、第3実施形態に係るボールねじ装置の半部の断面図で、短縮状態を示している。図6は、図5の装置の(6)−(6)線に沿った断面図である。
【0038】
この第3実施形態では、ねじ軸6の螺挿方向内端にあるねじ溝非形成領域6dに、ナット部材5側への係合部として、径方向外方に突出するピン状の凸部17が設けられている。一方、ナット部材5の内周部には、前記係合部に対応する被係合部として、ねじ軸6の螺挿方向内端の側において周方向に沿って広がる凹部18が形成されている。上記した以外の構成は、第1実施形態のものと変わらない。
【0039】
ねじ軸6の凸部17は、ボールねじ装置が短縮動作し、ナット部材5の内部にねじ軸6が一定深さ螺挿されたときに、ナット部材5の凹部18の内部に入り込んで、該凹部18の周方向一方の内壁に回転方向に当たって受け止めるようになっている。この凸部17の受け止めにより、ねじ軸6に対するナット部材5のそれ以上の回転が阻止され、ねじ軸6に対するナット部材5の軸方向の動きが停止する。
【0040】
この第3実施形態では、(1)ねじ軸6の凸部17とナット部材5の凹部18の内壁とは、回転方向に当たるだけなので、停止の解除が円滑軽快に行われる、(2)ねじ軸6の凸部17とナット部材5の凹部18とは、ねじ軸6とナット部材5との径方向の厚み内に収まるので、嵩張らず、ねじ軸6の内径側の構造が複雑化しない点は、第1実施形態と同じである。さらに、第3実施形態では、(3)ねじ軸6の凸部17とナット部材5の凹部18とは、ねじ軸6およびナット部材5の各部分のうち、短縮動作時、互いに重なり合う部分に設けられるので、第2実施形態と同様に、ねじ軸6やナット部材5を軸方向に延長する必要がなく、装置全体の軸方向長さを短くまとめることができる。
【0041】
〔第4実施形態〕
第1ないし第3の実施形態では、ボールの保持器を有しない総ボールタイプのボールねじ装置を示したが、本発明は、図7および図8に示すように、保持器付きのボールねじ装置にも実施しうる。図7および図8は、本発明の第4実施形態を示すもので、図7は、第4実施形態に係るボールねじ装置の半部の断面図で、短縮状態を示している。図8は、図7の装置の(8)−(8)線に沿った断面図である。
【0042】
この第4実施形態では、ねじ軸6とナット部材5との間に、ボール7の保持器19を備えている。そして、ねじ軸6の螺挿方向内端にあるねじ溝非形成領域6dに、ナット部材5側への係合部として、径方向外方に突出する凸部20が設けられている。一方、ナット部材5の内周部には、前記係合部に対応する被係合部として、ねじ軸6の螺挿方向内端の側において径方向内方に突出する凸部21が設けられている。これらの凸部20,21は、保持器19を設けることでねじ軸6の外周部とナット部材5の内周部との間に形成される空間内に収まる突出長さである。上記した以外の構成で、第1実施形態のものと共通する部分には、第1実施形態と同一の符号を付して示している。
【0043】
ねじ軸6の凸部20は、ボールねじ装置が短縮動作し、ナット部材5の内部にねじ軸6が一定深さ螺挿されたときに、ナット部材5の凸部21に回転方向に当たって受け止めるようになっている。このように、ナット部材5の凸部21がねじ軸6の凸部20に受け止められることにより、ねじ軸6に対するナット部材5のそれ以上の回転が阻止され、ねじ軸6に対するナット部材5の軸方向の動きが停止する。
【0044】
この第4実施形態では、(1)ねじ軸6の凸部20とナット部材5の凸部21とは、回転方向に当たるだけなので、停止の解除が円滑軽快に行われる、(2)ねじ軸6の凸部20とナット部材5の凸部21とは、ねじ軸6とナット部材5との径方向の厚み内に収まるので、嵩張らず、ねじ軸6の内径側の構造が複雑化しない点は、第1実施形態と同じである。さらに、この第4実施形態では、(3)ねじ軸6の凸部20とナット部材5の凸部21とは、ねじ軸6およびナット部材5の互いに重なり合う部分に設けられるので、ねじ軸6やナット部材5を軸方向に延長する必要がなく、装置全体の軸方向長さを短くまとめることができる。
【0045】
〔その他の実施形態〕
第1実施形態のボールねじ装置1の構成を一部変更して、ねじ軸6の螺挿方向外端にあるねじ溝非形成領域6cに、ナット部材5の側への係合部として、径方向外方に突出する凸部13が設けられ、一方、ナット部材5には、前記凸部13に対応する被係合部として、ねじ軸6の螺挿方向外端の側において周方向に沿って広がる凹部が形成された構成としてもよい。この構成では、ねじ軸6の凸部13は、ボールねじ装置1が短縮動作し、ナット部材5の内部にねじ軸6が一定深さ螺挿されたときに、ナット部材5の凹部の周方向一方の内壁に受け止められるようになっている。
【0046】
次に、第4実施形態の説明でも記したように、本発明は、保持器付きのボールねじ装置にも実施可能であり、したがって、保持器付きのボールねじ装置に、第1実施形態、第2実施形態もしくは第3実施形態の構成を具備させるようにしてもよい。
【0047】
また、上記各実施形態では、薄肉鋼板製で、外周部に回転の受動部として樹脂歯車10が一体に設けられているブラケット8を示したが、外周部に回転の受動部を有するブラケットは、鋳鉄製のものでも、鍛造のものでもよい。また、歯車のような回転の受動部は、直接、ナット部材5の外周部に取り付けてもよい。
【0048】
このほか、上記の各実施形態のボールねじ装置では、ねじ軸6が回転方向にも軸方向にも固定で、これに対してナット部材5が回転駆動されるが、本発明のボールねじ装置は、他の形態でも使用可能であり、たとえば、ナット部材が軸方向にのみ移動可能に支持され、これに対してねじ軸が軸方向一定の位置で回転駆動されるようにしてもよい。この使用形態では、外周部に回転の受動部を有するブラケットをナット部材に設ける必要はない。
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、ねじ軸の係合部と、ナット部材の被係合部とが回転方向に係合することで、ねじ軸に対するナット部材のそれ以上の回転が阻止される。この場合、ねじ軸の係合部と、ナット部材の被係合部とは、回転方向に当たっているだけなので、ナット部材は、回転が阻止された後、逆方向に動きやすく、停止の解除が円滑軽快に行われる。また、係合部と被係合部とは、ねじ軸とナット部材との径方向の厚み内に収まるので、嵩張らず、コンパクト化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係るボールねじ装置の断面図で、短縮状態を示している。
【図2】図1の装置を軸方向右方から見た一部角度範囲の部分正面図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係るボールねじ装置の半部の断面図で、短縮状態を示している。
【図4】図3の装置の(4)−(4)線に沿った断面図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係るボールねじ装置の半部の断面図で、短縮状態を示している。
【図6】図5の装置の(6)−(6)線に沿った断面図である。
【図7】本発明の第4実施形態に係るボールねじ装置の半部の断面図で、短縮状態を示している。
【図8】図7の装置の(8)−(8)線に沿った断面図である。
【符号の説明】
1 ボールねじ装置
5 ナット部材
5a ねじ溝
6 ねじ軸
6a ねじ溝
6c ねじ溝非形成領域(螺挿方向外端側)
6d ねじ溝非形成領域(螺挿方向内端側)
7 ボール
13 凸部(ねじ軸の係合部)
14 凸部(ナット部材の被係合部)
Claims (3)
- 内周に一方軸端側から他方軸端側に連続するねじ溝が形成されたナット部材と、このナット部材の内部に同軸に設けられ、外周に上流側と下流側とが接続されて閉ループとなったねじ溝を有するねじ軸と、ナット部材のねじ溝とねじ軸のねじ溝との間に転動自在に介装された複数のボールと、前記ナット部材の一方軸端部に取り付けられるブラケットとを備え、
前記ブラケットは、環状の金属板材からなり、外周部には回転の受動部として樹脂歯車が一体に設けられるとともに、内周部には、前記ナット部材の軸端部と、これに軸方向に隣り合う転がり軸受の外輪とが嵌着されており、
前記ねじ軸の外周部のうち、ねじ溝の非形成領域に、ナット部材の側への係合部が設けられるとともに、ナット部材には、前記係合部と回転方向に係合してねじ軸に対するナット部材の回転を止める被係合部が設けられていることを特徴とするボールねじ装置。 - 請求項1に記載のボールねじ装置において、
前記係合部と被係合部とは、ねじ軸の螺挿方向内端である前記ブラケットの側において、ねじ軸のねじ溝非形成領域とナット部材の内周部とにそれぞれ設けられており、
前記係合部は、ねじ軸の周方向に沿って拡がる凹部であり、被係合部は、ナット部材から径方向内方に突出するピン状の凸部であるボールねじ装置。 - 請求項1に記載のボールねじ装置において、
前記係合部と被係合部とは、ねじ軸の螺挿方向内端である前記ブラケットの側において、ねじ軸のねじ溝非形成領域とナット部材の内周部とにそれぞれ設けられており、
前記係合部は、ナット部材の周方向に沿って拡がる凹部であり、被係合部は、ねじ軸から径方向外方に突出するピン状の凸部であるボールねじ装置。
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