JP2024021633A - ボールねじ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】部品点数を増加させずに、かつ、軸方向寸法を大型化することなく、駆動部材からのねじ軸の抜け止め防止を図れる、ボールねじ装置を実現する。【解決手段】ねじ軸2を、外周面に螺旋状の軸側ボールねじ溝13を有するねじ部11と、外周面に内径側係合部18と内径側嵌合面部21と係合凹溝22とを有する嵌合軸部12とから構成し、駆動部材であるキャリア5を、嵌合軸部12に対して相対回転不能に固定する。キャリア5を、内周面に内径側係合部18と相対回転不能に係合する外径側係合部36を有するキャリア本体30と、キャリア本体30の軸方向側面から軸方向に突出した嵌合筒部31とを有するものとし、嵌合筒部31を、内周面に内径側嵌合面部21とインロー嵌合する外径側嵌合面部40を有し、かつ、係合凹溝22と軸方向に係合するかしめ部41を有するものとする。【選択図】図1

Description

本発明は、ボールねじ装置に関する。
ボールねじ装置は、ねじ軸とナットとの間でボールを転がり運動させるため、ねじ軸とナットとを直接接触させる滑りねじ装置に比べて、高い効率が得られる。このため、ボールねじ装置は、たとえば電動モータなどの駆動源の回転運動を直線運動に変換するために、自動車の電動ブレーキ装置やオートマチックマニュアルトランスミッション(AMT)、工作機械の位置決め装置など、各種機械装置に組み込まれている。
ボールねじ装置は、外周面に螺旋状の軸側ボールねじ溝を有するねじ軸と、内周面に螺旋状のナット側ボールねじ溝を有するナットと、軸側ボールねじ溝とナット側ボールねじ溝との間に配置された複数のボールとを有する。ボールねじ装置は、用途に応じて、ねじ軸とナットとのうちの一方を回転運動要素とし、ねじ軸とナットとのうちの他方を直線運動要素として用いられる。
図17は、特開2009-286137号公報(特許文献1)に記載された、従来構造のボールねじ装置100を示している。
ボールねじ装置100は、ねじ軸101と、ナット102と、図示しない複数のボールとを備える。
ねじ軸101は、ねじ部103と、ねじ部103の軸方向一方側に隣接配置された嵌合軸部104とを有する。ねじ部103の外周面には、螺旋状の軸側ボールねじ溝105が形成されている。嵌合軸部104は、ねじ部103よりも小さい外径を有している。ねじ軸101は、ねじ部103をナット102の内側に挿通した状態で、ナット102と同軸に配置されている。
ナット102は、円筒形状を有している。ナット102の内周面には、図示しない螺旋状のナット側ボールねじ溝が形成されている。ナット102は、ハウジング106に対して支持された複数本のガイドロッド107に対して係合している。これにより、ナット102の回り止めが図られている。
軸側ボールねじ溝105とナット側ボールねじ溝とは、径方向に互いに対向するように配置され、螺旋状の負荷路を構成する。負荷路の始点と終点とは、図示しない循環手段により接続されている。このため、負荷路の終点にまで達したボールは、循環手段を通じて、負荷路の始点にまで戻される。なお、負荷路の始点と終点とは、ねじ軸101とナット102との軸方向に関する相対変位の方向(相対回転方向)に応じて入れ替わる。
ボールねじ装置100では、駆動源である電動モータ108の回転を、ねじ軸101に対して、プーリ装置109により減速して伝達する。このために、ねじ軸101の軸方向一方側の端部に備えられた嵌合軸部104に対して、従動プーリ110を相対回転不能に外嵌している。
また、電動モータ108のモータ軸111の先端部に、駆動プーリ112を相対回転不能に外嵌している。そして、駆動プーリ112と従動プーリ110との間に、ベルト113を掛け渡している。これにより、電動モータ108の回転を減速して、ねじ軸101に伝達するようにしている。
特開2009-286137号公報
ねじ軸の軸方向端部に備えられた嵌合軸部が、ねじ軸を回転駆動するためのプーリや歯車などの駆動部材から軸方向に抜け出ることを防止するために、嵌合軸部の外周面のうちで駆動部材から軸方向に突出した部分に、止め輪やナットなどの抜け止め部材を固定することが考えられる。
ただし、ねじ軸の嵌合軸部が駆動部材から軸方向に抜け出ることを防止するために、抜け止め部材を用いる場合には、部品点数が嵩むとともに、ボールねじ装置の軸方向寸法が大型化しやすくなるといった問題を生じる。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、部品点数を増加させずに、かつ、軸方向寸法を大型化することなく、駆動部材からのねじ軸の抜け止め防止を図れる、ボールねじ装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様にかかるボールねじ装置は、ねじ軸と、ナットと、複数のボールと、駆動部材とを備える。
前記ねじ軸は、外周面に螺旋状の軸側ボールねじ溝を有するねじ部と、前記ねじ部の軸方向一方側に配置された嵌合軸部とを有し、使用時に回転運動する。
前記ナットは、内周面に螺旋状のナット側ボールねじ溝を有し、使用時に直線運動する。
前記複数のボールは、前記軸側ボールねじ溝と前記ナット側ボールねじ溝との間に配置される。
前記駆動部材は、前記嵌合軸部に対して相対回転不能に固定され、前記ねじ軸を回転駆動する。
また、前記嵌合軸部は、外周面に、内径側係合部と内径側嵌合面部と係合凹溝とを有している。
また、前記駆動部材は、内周面に前記内径側係合部と相対回転不能に係合する外径側係合部を有する駆動部材本体と、前記駆動部材本体から軸方向他方側に向けて突出した嵌合筒部とを有している。
前記嵌合筒部は、内周面に前記内径側嵌合面部とインロー嵌合する外径側嵌合面部を有し、かつ、前記係合凹溝と軸方向に係合するかしめ部を有している。
本発明の一態様にかかるボールねじ装置では、前記嵌合筒部の径方向の厚さ寸法を、全周にわたり一定とすることができる。
本発明の一態様にかかるボールねじ装置では、前記内径側嵌合面部と前記外径側嵌合面部とを、微小隙間を持たせた隙間嵌めで嵌合させ、前記かしめ部により、前記係合凹溝の溝底面を径方向に押さえ付けることができる。
あるいは、本発明の一態様にかかるボールねじ装置では、前記内径側嵌合面部を、前記外径側嵌合面部に圧入することもできる。
本発明の一態様にかかるボールねじ装置では、前記嵌合筒部を、薄肉部と、前記薄肉部から円周方向に外れた部分に備えられ、かつ、前記薄肉部よりも径方向の厚さ寸法の大きい厚肉部とを有するものとし、前記かしめ部を前記薄肉部に形成することができる。
本発明の一態様にかかるボールねじ装置では、前記薄肉部を、前記嵌合筒部の円周方向の複数箇所に等間隔に配置し、前記薄肉部のそれぞれに、前記かしめ部を形成することができる。
あるいは、前記薄肉部を、前記嵌合筒部の円周方向の1箇所に配置し、該薄肉部に、前記かしめ部を形成することもできる。
本発明の一態様にかかるボールねじ装置では、前記薄肉部を、前記嵌合筒部の軸方向他方側の端部に設け、前記薄肉部の軸方向他方側の端面を、前記厚肉部の軸方向他方側の端面よりも、軸方向一方側に配置することができる。
また、前記厚肉部の軸方向他方側の端面を、前記ねじ部の軸方向一方側の側面に突き当てることができる。
あるいは、前記薄肉部の軸方向他方側の端面と、前記厚肉部の軸方向他方側の端面との軸方向位置を一致させることもできる。
本発明の一態様にかかるボールねじ装置では、前記嵌合筒部を、円周方向に関して前記かしめ部の両側に、スリットを有するものとすることができる。
また、前記嵌合筒部を、前記薄肉部と前記厚肉部とを有するものとする場合には、前記スリットを、前記薄肉部と前記厚肉部との円周方向の間部分に設けることで、前記スリットを円周方向に関して前記かしめ部の両側に配置するができる。ただし、前記スリットは、径方向の厚さが全周にわたり一定の前記嵌合筒部に形成し、前記スリットを円周方向に関して前記かしめ部の両側に配置することもできる。
本発明の一態様にかかるボールねじ装置では、前記嵌合筒部の外周面のうちで前記かしめ部を形成する部分を通る外接円直径を、前記軸側ボールねじ溝の溝谷径よりも小さくすることができる。
また、前記嵌合筒部を、前記薄肉部と前記厚肉部とを有するものとする場合には、前記かしめ部を形成する前記薄肉部の外周面を通る外接円直径を、前記軸側ボールねじ溝の溝谷径よりも小さくすることができる。ただし、径方向の厚さが全周にわたり一定の前記嵌合筒部を対象とする場合には、前記嵌合筒部の外周面を通る外接円直径(外径)を、前記軸側ボールねじ溝の溝谷径よりも小さくすることもできる。
本発明の一態様にかかるボールねじ装置では、内周面に外輪軌道を有する外輪と、前記外輪軌道と径方向に対向する部分に備えられた内輪軌道と、前記外輪軌道と前記内輪軌道との間に転動自在に配置された複数の転動体とを有し、前記駆動部材を回転自在に支持する転がり軸受をさらに備えることができる。
また、前記駆動部材を、遊星減速機構を構成するキャリアであって、外周面に前記内輪軌道が直接形成されたものとすることができる。
本発明の一態様にかかるボールねじ装置では、前記嵌合筒部を、前記ナットの軸方向一方側の端部の内径よりも小さな外径を有するものとすることができる。
本発明のボールねじ装置によれば、部品点数を増加させずに、かつ、軸方向寸法を大型化することなく、駆動部材からのねじ軸の抜け止め防止を図ることができる。
図1は、実施の形態の第1例に関して、ボールねじ装置に遊星減速機構を組み合わせた構造を示す断面図である。 図2は、図1のA部拡大図である。 図3は、実施の形態の第1例にかかるボールねじ装置から、ねじ軸とキャリアと転がり軸受を取り出して示す平面図。 図4は、実施の形態の第1例にかかるボールねじ装置からキャリアを取り出して示す端面図である。 図5は、図4のB-B線断面図である。 図6は、図4のC-C線断面図である。 図7は、かしめ部の形成作業を説明するために示す、図2に相当する図である。 図8は、実施の形態の第2例かかるボールねじ装置を示す断面図である。 図9は、実施の形態の第2例を示す、図2に相当する図である。 図10は、実施の形態の第2例にかかるボールねじ装置から、ねじ軸とキャリアと転がり軸受を取り出して示す斜視図である。 図11は、実施の形態の第2例に係るボールねじ装置からキャリアを取り出し、嵌合筒部の円周方向の一部を示す部分拡大図である。 図12は、実施の形態の第3例を示す、図11に相当する図である。 図13は、実施の形態の第4例を示す、図11に相当する図である。 図14は、実施の形態の第5例を示す、図11に相当する図である。 図15は、実施の形態の第6例を示す、図11に相当する図である。 図16は、実施の形態の第7例に関して、ねじ軸を構成する嵌合軸部の部分拡大断面図である。 図17は、ボールねじ装置にプーリ装置を組み合わせた従来構造を示す断面図である。
[実施の形態の第1例]
実施の形態の第1例について、図1~図7を用いて説明する。
〔ボールねじ装置の全体構成〕
本例のボールねじ装置1は、たとえば、電動ブレーキブースター装置に組み込まれ、駆動源である電動モータの回転運動を直線運動に変換し、油圧シリンダのピストンを動作させるなどの用途で使用される。
ボールねじ装置1は、ねじ軸2と、ナット3と、複数のボール4と、キャリア5とを備える。本例では、キャリア5が、特許請求の範囲に記載した駆動部材に相当する。
ねじ軸2は、駆動源である電動モータ7により遊星減速機構8を介して回転駆動され、使用時に回転運動する回転運動要素である。ねじ軸2は、ナット3の内側に挿通され、ナット3と同軸に配置されている。ナット3は、図示しない回り止め機構により、ねじ軸2に対する供回りが防止されており、使用時に直線運動する直線運動要素である。このため、本例のボールねじ装置1は、ねじ軸2を回転駆動し、ナット3を直線運動させる態様で使用する。
ねじ軸2の外周面とナット3の内周面との間には、螺旋状の負荷路9が備えられている。負荷路9には、複数のボール4が転動可能に配置されている。ねじ軸2とナット3とを相対回転させると、負荷路9の終点に達したボール4は、ナット3の内周面に形成された循環溝10を通じて、負荷路9の始点へと戻される。以下、ボールねじ装置1の各構成部品の構造について説明する。
以下の説明において、軸方向、径方向及び円周方向とは、特に断らない限り、ねじ軸2に関する軸方向、径方向及び円周方向をいう。また、軸方向一方側とは、図1~図3、図5及び図7の右側を指し、軸方向他方側とは、図1~図3、図5及び図7の左側を指す。
〈ねじ軸〉
ねじ軸2は、金属製で、ねじ部11と、ねじ部11の軸方向一方側に隣接配置された嵌合軸部12とを有する。ねじ部11と嵌合軸部12とは、同軸に配置されており、互いに一体に構成されている。嵌合軸部12は、ねじ部11よりも小さい外径を有する。
ねじ部11は、外周面に螺旋状の軸側ボールねじ溝13を有する。軸側ボールねじ溝13は、ねじ部11の外周面に、研削加工、切削加工、又は転造加工を施すことにより形成されている。本例では、軸側ボールねじ溝13の条数を1条としている。軸側ボールねじ溝13の断面の溝形状(溝底形状)は、ゴシックアーチ溝又はサーキュラアーク溝である。ねじ部11は、軸方向一方側の端面に、円輪形状を有する突き当て面14を有する。突き当て面14は、ねじ軸2の中心軸に直交する仮想平面上に存在する平坦面である。ねじ部11は、軸方向他方側の端面の径方向中央部に、有底の第1センタ孔15を有する。
嵌合軸部12は、段付き軸であり、軸方向一方側半部に小径軸部16を有し、軸方向他方側半部に、小径軸部16よりも大きな外径を有する大径軸部17を有する。図示の例では、小径軸部16の軸方向寸法は、大径軸部17の軸方向寸法よりも大きい。
小径軸部16は、外周面に、内径側係合部18を有する。内径側係合部18は、複数の雄スプライン歯19を有している。複数の雄スプライン歯19は、内径側係合部18の円周方向に等間隔に配置されている。このため、本例では、内径側係合部18を雄スプライン部としている。図示の例では、雄スプライン歯19を、インボリュートスプライン歯としているが、角スプライン歯とすることもできる。
図2に示すように、大径軸部17の外周面には、軸方向一方側から順に、テーパ面部20と、内径側嵌合面部21と、係合凹溝22とが設けられている。
テーパ面部20は、大径軸部17の外周面の軸方向一方側の端部に備えられている。テーパ面部20の外径は、軸方向他方側に向かうほど大きくなる。
内径側嵌合面部21は、大径軸部17の外周面の軸方向中間部に備えられている。内径側嵌合面部21の外径は、軸方向にわたり一定である。内径側嵌合面部21は、テーパ面部20の軸方向他方側に隣接配置されている。内径側嵌合面部21の外径は、外周面に複数の雄スプライン歯19を有する小径軸部16の外径よりも大きく、かつ、外周面に軸側ボールねじ溝13を有するねじ部11の外径よりも小さい。本例では、小径軸部16とねじ部11との軸方向の間部分に、外周面に内径側嵌合面部21を有する大径軸部17を配置し、小径軸部16をねじ軸2の軸方向一方側の端部に配置することで、外径側係合部36の雌スプライン歯37の加工が止まり加工になることを防止している。
係合凹溝22は、大径軸部17の外周面の軸方向他方側の端部に備えられている。係合凹溝22は、内径側嵌合面部21の軸方向他方側に隣接配置されている。係合凹溝22は、大径軸部17の外周面に全周にわたり形成された環状凹溝である。係合凹溝22は、軸方向他方側に向かうほど外径が小さくなることで軸方向他方側を向いた、溝底面23を有する。
溝底面23の軸方向一方側の端部は、内径側嵌合面部21の軸方向他方側の端部に接続されており、溝底面23の軸方向他方側の端部は、ねじ部11の軸方向一方側の端面に備えられた突き当て面14の径方向内側の端部に対し、凹円弧状の断面形状を有する逃げ凹溝24を介して接続されている。
本例では、内径側嵌合面部21に研削加工を施す際の逃げ溝の目的で、大径軸部17の外周面に切削加工により形成した係合凹溝22を、嵌合軸部12がキャリア5から軸方向に抜け出ることを防止するために利用する。
図示の例では、内径側嵌合面部21の軸方向寸法は、テーパ面部20の軸方向寸法及び係合凹溝22の軸方向寸法のそれぞれよりも大きい。また、内径側嵌合面部21の外径は、内径側係合部18を構成する雄スプライン歯19の歯先円直径よりも大きく、かつ、ねじ部11の外径よりも小さい。
嵌合軸部12は、軸方向一方側の端面の径方向中央部に、有底の第2センタ孔25を有する。第2センタ孔25と、ねじ部11に備えられた第1センタ孔15とは、互いに同軸に配置されている。また、第2センタ孔25の底部(奥端部)は、嵌合軸部12の軸方向中間部で、かつ、内径側係合部18の径方向内側に位置している。
ねじ軸2は、ねじ部11をナット3の内側に挿通した状態で、ナット3と同軸に配置されている。なお、本例では、ねじ軸2を、ねじ部11と嵌合軸部12とから構成しているが、本発明を実施する場合には、ねじ軸に、他の部材を外嵌固定するための支持軸部(第2嵌合軸部)などを、さらに備えることもできる。
〈ナット〉
ナット3は、金属製で、全体が円筒状に構成されている。ナット3は、内周面に螺旋状のナット側ボールねじ溝26及び循環溝10を有する。
ナット側ボールねじ溝26は、螺旋形状を有しており、ナット3の内周面に、たとえば研削加工、切削加工、転造タップ加工、又は切削タップ加工を施すことにより形成されている。ナット側ボールねじ溝26は、軸側ボールねじ溝13と同じリードを有する。このため、ねじ軸2のねじ部11をナット3の内側に挿通配置した状態で、軸側ボールねじ溝13とナット側ボールねじ溝26とは径方向に対向するように配置され、螺旋状の負荷路9を構成する。ナット側ボールねじ溝26の条数は、軸側ボールねじ溝13と同様に1条である。ナット側ボールねじ溝26の断面の溝形状も、軸側ボールねじ溝13と同様に、ゴシックアーチ溝又はサーキュラアーク溝である。
循環溝10は、略S字形状を有しており、ナット3の内周面に、たとえば鍛造加工(冷間鍛造加工)によって形成されている。循環溝10は、ナット側ボールねじ溝26のうち、軸方向に隣り合う部分同士をなめらかに接続し、負荷路9の始点と終点とをつないでいる。このため、負荷路9の終点にまで達したボール4は、循環溝10を通じて、負荷路9の始点にまで戻される。なお、負荷路9の始点と終点とは、ねじ軸2とナット3との軸方向に関する相対変位の方向(相対回転方向)に応じて入れ替わる。
循環溝10は、略半円形の断面形状を有する。循環溝10は、ボール4の直径よりもわずかに大きな溝幅を有し、循環溝10を移動するボール4が、軸側ボールねじ溝13のねじ山を乗り越えることができる溝深さを有している。
ナット3は、外周面の軸方向一方側の端部に、外向フランジ状の鍔部27を有する。鍔部27には、円周方向複数箇所(図示の例では3箇所)に、ハウジング28などの固定部材に備えられた図示しない回り止め部材と係合して、ナット3の供回りを防止するための係合溝29が備えられている。ただし、本発明を実施する場合には、ナットの回り止め機構としては、従来から知られた各種構造を採用することができる。たとえば、ハウジングなどの固定部材の内周面に備えた突条部(キー)を、ナットの外周面に軸方向に形成した凹溝に係合させる構造などを採用することもできる。
ナット3は、内周面の軸方向一方側部分に、ナット側ボールねじ溝26及び循環溝10の何れも形成されていない、円筒面部58を有する。
なお、図示は省略するが、ナット3の外周面の軸方向他方側の端部に、軸方向一方側に隣接した部分に比べて外径が小さい、小径部を形成することもできる。この場合には、小径部に、たとえば、図示しないピストンなどの嵌合筒を外嵌固定することができる。
〈ボール〉
ボール4は、所定の直径を有する鋼球であり、負荷路9及び循環溝10に転動可能に配置されている。負荷路9に配置されたボール4は、圧縮荷重を受けながら転動するのに対し、循環溝10に配置されたボール4は、圧縮荷重を受けることなく、後続のボール4に押されて転動する。
〈キャリア〉
キャリア5は、遊星減速機構8を構成し、駆動源である電動モータ7から入力されたトルクをねじ軸2に伝達することで、ねじ軸2を回転駆動する。
キャリア5は、円形平板形状を有するキャリア本体30と、円筒形状を有する嵌合筒部31とからなる。キャリア本体30と嵌合筒部31とは、一体に構成されている。本例では、キャリア本体30が、特許請求の範囲に記載した駆動部材本体に相当する。
《キャリア本体》
キャリア本体30は、径方向中央部に、軸方向に貫通した取付孔32を有する。取付孔32は、段付き孔であり、軸方向一方側から順に、大径孔部33と、小径孔部34と、中径孔部35とを有する。
大径孔部33は、取付孔32の軸方向一方側の端部に備えられている。大径孔部33は、小径孔部34及び中径孔部35よりも大きな内径を有している。
小径孔部34は、取付孔32の軸方向中間部に備えられている。小径孔部34は、内周面に、外径側係合部36を有する。外径側係合部36は、複数の雌スプライン歯37を有している。複数の雌スプライン歯37は、外径側係合部36の円周方向に等間隔に配置されている。このため、本例では、外径側係合部36を雌スプライン部としている。外径側係合部36の軸方向寸法は、ねじ軸2の嵌合軸部12の外周面に備えられた内径側係合部18の軸方向寸法とほぼ同じである。図示の例では、雌スプライン歯37を、インボリュートスプライン歯としているが、角スプライン歯とすることもできる。
中径孔部35は、取付孔32の軸方向他方側の端部に備えられている。中径孔部35の内周面は、断面形状が四分の一円弧状の凹曲面からなる。このため、中径孔部35の内径は、軸方向他方側に向かうほど曲線的に大きくなる。中径孔部35の軸方向一方側の端部における内径は、外径側係合部36を構成する雌スプライン歯37の歯底円直径と同じであり、中径孔部35の軸方向他方側の端部における内径は、大径孔部33の内径よりも小さい。中径孔部35の軸方向寸法は、小径孔部34(外径側係合部36)の軸方向寸法よりも小さい。
キャリア本体30の外周面の軸方向中間部(図示の例では中央部)には、転がり軸受6を構成する内輪軌道38が直接形成されている。このため、キャリア5は、遊星減速機構8の構成要素としての機能だけでなく、転がり軸受6を構成する内輪としての機能も兼ね備えている。別の言い方をすれば、本例では、キャリア本体と転がり軸受を構成する内輪とを一体に構成している。図示の例では、後述するように、転がり軸受6を、ラジアル荷重及び両方向のアキシアル荷重を支承可能な深溝玉軸受としているため、内輪軌道38を深溝型としている。具体的には、内輪軌道38の断面形状を凹円弧形状としている。
図示の例では、キャリア本体30は、外周面のうちで内輪軌道38から軸方向両側に外れた部分を、部分円筒面状に構成している。ただし、本発明を実施する場合には、シールリングの内径側端部を摺接させるために、キャリア本体の外周面の軸方向両側部分に、全周にわたりシール凹溝を形成することもできる。
キャリア本体30は、径方向中間部の円周方向複数箇所(図示の例では3箇所)に、遊星減速機構8を構成するピニオンピン48を挿通支持するための支持孔39を有している。複数の支持孔39は、円周方向に関して等間隔に配置されている。また、複数の支持孔39のそれぞれの中心軸は、互いに平行に配置されている。支持孔39は、キャリア本体30を軸方向に貫通した貫通孔である。このため、支持孔39は、キャリア本体30の軸方向一方側の側面に開口しているだけでなく、キャリア本体30の軸方向他方側の側面にも開口している。支持孔39の内径は、軸方向にわたり一定である。図示の例では、複数の支持孔39のそれぞれの径方向内側の端部を通る仮想円の直径(内接円直径)は、ナット側ボールねじ溝26の溝谷径とほぼ同じである。また、複数の支持孔39のそれぞれの径方向外側の端部を通る仮想円の直径(外接円直径)は、ナット3のうち、鍔部27から軸方向に外れた部分の外径よりも少しだけ大きい。なお、本発明を実施する場合には、支持孔を、キャリアの軸方向一方側の側面にのみ開口した有底孔とすることもできる。
図示の例では、キャリア本体30の軸方向一方側の側面は、キャリア5の中心軸に直交する仮想平面上に存在する平坦面である。このため、キャリア本体30の軸方向一方側の側面と、キャリア本体30の軸方向一方側に配置される後述の太陽歯車45や遊星歯車46などの部材との干渉を防止できる。ただし、キャリア本体30の軸方向一方側の側面のうちで、複数の支持孔39の開口部を含む径方向中間部に、径方向外側及び径方向内側に存在する部分よりも、軸方向一方側に向けて張り出した張出部を設けることもできる。キャリア本体30の軸方向他方側の側面は、嵌合筒部31が設けられた部分を除いて、キャリア5の中心軸に直交する仮想平面上に存在する平坦面である。
《嵌合筒部》
嵌合筒部31は、円筒形状を有しており、キャリア本体30の軸方向他方側の側面の径方向内側部分から、軸方向他方側に向けて突出している。このため、嵌合筒部31は、キャリア本体30の取付孔32の軸方向他方側の開口部の周囲に備えられている。嵌合筒部31の軸方向寸法は、ねじ軸2の嵌合軸部12を構成する大径軸部17の軸方向寸法とほぼ同じである。
嵌合筒部31の外径は、後述するかしめ部41を形成する以前の状態で、軸方向にわたり一定であり、ナット3の内周面の軸方向一方側部に備えられた円筒面部58の内径よりも十分に小さい。本例では、図7に示すように、嵌合筒部31の外径D31は、ねじ部11の外周面に備えられた軸側ボールねじ溝13の溝谷径d13よりも小さい(D31<d13)。
嵌合筒部31の内径は、後述するかしめ部41を形成する以前の状態で、先端部を除いて軸方向にわたりほぼ一定であり、キャリア本体30の取付孔32を構成する中径孔部35の軸方向他方側の端部における内径と同じである。このため、嵌合筒部31の内周面は、取付孔32の内周面と滑らかにつながっている。
本例では、嵌合筒部31の径方向の厚さ寸法t31は、全周にわたり一定である。嵌合筒部31の径方向の厚さ寸法t31は、ねじ部11の突き当て面14の径方向幅寸法H14以下である(t31≦H14)。また、嵌合筒部31の外径D31に対する嵌合筒部31の径方向の厚さ寸法t31の比(t31/D31)は、1/30~1/10程度である。このように本例では、嵌合筒部31は、薄肉円筒状に構成されている。
嵌合筒部31は、内周面に、外径側嵌合面部40を有する。外径側嵌合面部40は、軸方向にわたり内径が変化しない円筒面である。外径側嵌合面部40の内径は、外径側係合部36を構成する雌スプライン歯37の歯底円直径よりも大きい。また、本例では、外径側嵌合面部40の内径は、内径側嵌合面部21の外径よりもわずかに大きい。
本例のキャリア5は、取付孔32及び嵌合筒部31の内側に、ねじ軸2を構成する嵌合軸部12を挿入することで、嵌合軸部12に対して外嵌固定されている。また、ねじ部11に備えられた突き当て面14を、嵌合筒部31の軸方向他方側の端面に突き当てることで、ねじ軸2とキャリア5との軸方向の位置決めを図っている。本例では、取付孔32及び嵌合筒部31の内側に、ねじ軸2を構成する嵌合軸部12を挿入した状態で、嵌合軸部12の軸方向一方側の端部は、取付孔32を構成する大径孔部33の内側に突出していない。つまり、嵌合軸部12の軸方向一方側の端面の軸方向位置は、大径孔部33と小径孔部34とを径方向に接続する段差面50の軸方向位置と、ほぼ一致している。
本例では、キャリア本体30の取付孔32に、嵌合軸部12の小径軸部16を挿入することで、外径側係合部36と内径側係合部18とを相対回転不能に係合させている。具体的には、外径側係合部36を構成する雌スプライン歯37と、内径側係合部18を構成する雄スプライン歯19とをスプライン係合させている。これにより、キャリア5を介して、ねじ軸2を回転駆動できるようにしている。また、本例では、外径側係合部36と内径側係合部18とを、隙間嵌めでスプライン嵌合させている。
また、嵌合筒部31の内側に嵌合軸部12の大径軸部17を挿入することで、外径側嵌合面部40と内径側嵌合面部21とをインロー嵌合させている。本例では、外径側嵌合面部40の内径を、内径側嵌合面部21の外径よりもわずかに大きくしているため、外径側嵌合面部40と内径側嵌合面部21とを、がたつきのない程度の微小隙間を持たせた隙間嵌めで嵌合させている。これにより、ねじ軸2とキャリア5との同軸度を確保している。そして、ねじ軸2の中心軸に直交する仮想平面に対してキャリア5が傾くことを防止している(ねじ軸2に対するキャリア5の直角度を確保している)。
特に本例では、嵌合軸部12が取付孔32及び嵌合筒部31の内側から軸方向他方側に抜け出ることを防止するために、嵌合筒部31の内側に大径軸部17を挿入した状態で、嵌合筒部31にかしめ部41を形成している。
かしめ部41は、嵌合筒部31の軸方向他方側部の端部の円周方向の複数箇所(図示の例では2箇所)に形成されている。かしめ部41のそれぞれは、図7に示すように、かしめ治具59により、嵌合筒部31の軸方向他方側の端部を径方向内側に塑性変形させることで形成されている。かしめ部41のそれぞれは、大径軸部17の外周面に備えられた係合凹溝22の内側に入り込み、係合凹溝22と軸方向に係合している。本例では、かしめ部41のそれぞれは、係合凹溝22の溝底面23に対して隙間なく押し付けられている。これにより、かしめ部41のそれぞれは、係合凹溝22の溝底面23を径方向に押さえ付けている。
本例では、かしめ部41のそれぞれを、嵌合筒部31の軸方向他方側の端部を径方向内側に塑性変形させて形成しており、かしめ部41を形成する際に、ねじ軸2に対して軸方向他方側を向いたかしめ荷重が加わらないようにしている。たとえば、かしめ部41を形成する際に、ねじ軸2に対して軸方向他方側を向いたかしめ荷重が加わる場合、該かしめ荷重を、ねじ軸2の軸方向他方側の端面を突き当てた受部材により支承する必要があり、軸側ボールねじ溝13のリードの精度がかしめ荷重によって低下する可能性がある。これに対して本例では、かしめ部41を形成する際に、ねじ軸2に軸方向他方側を向いたかしめ荷重が作用しないため、軸側ボールねじ溝13のリードの精度を良好にできる。
かしめ部41のそれぞれは、径方向内側が凸曲面となり、かつ、径方向外側が凹曲面となるように湾曲した形状、たとえば部分円すい筒形状又は部分球殻形状を有している。
本例では、かしめ部41は、円周方向に等間隔に配置されている。図示の例では、2つのかしめ部41が、嵌合筒部31の直径方向反対側に配置されている。2つのかしめ部41は、2つのかしめ治具59により同時に形成することができる。
以上のように本例では、キャリア5の嵌合筒部31の内側にねじ軸2の大径軸部17を挿入した状態で、嵌合筒部31にかしめ部41を形成することで、ねじ軸2の嵌合軸部12がキャリア5から軸方向に抜け出ることを防止している。
本例のキャリア5は、内輪軌道38が形成されたキャリア本体30の外周面にのみ、高周波焼き入れ処理及び焼き戻し処理が施され、熱処理硬化層が形成されている。キャリア本体30の軸方向一方側の側面及び軸方向他方側の側面、並びに、嵌合筒部31には、熱処理硬化層は形成されていない。
本例のボールねじ装置1は、ねじ軸2に外嵌固定されたキャリア5を、ハウジング28に対して回転自在に支持するともに、キャリア5に伝達されたアキシアル方向の力を、ハウジング28により支承するために、転がり軸受6をさらに有する。
〈転がり軸受〉
転がり軸受6は、外輪42と、内輪軌道38と、複数の転動体43とを備える。
図示の例では、転がり軸受6を、ラジアル荷重及び両方向のアキシアル荷重を支承可能な深溝玉軸受としている。ただし、本発明を実施する場合には、転がり軸受として、多点接触玉軸受(4点接触玉軸受)、複列深溝玉軸受、複列アンギュラ玉軸受、円すい転がり軸受、複列円すいころ軸受など、単列、複列を問わず、ラジアル荷重及びアキシアル荷重を支承可能な軸受を使用することができる。
外輪42は、円環形状を有しており、内周面の軸方向中央部に外輪軌道44を有する。外輪42は、ハウジング28に対して内嵌固定され、使用時にも回転しない。図示の例では、転がり軸受6を深溝玉軸受としているため、外輪軌道44を深溝型としている。具体的には、外輪軌道44の断面形状を凹円弧形状としている。なお、図示は省略するが、ハウジング28の内周面のうち、外輪42が内嵌された部分から軸方向に外れた部分に、止め輪を係止することで、外輪42の抜け止めを図ることができる。
図示の例では、外輪42の内周面のうちで、外輪軌道44から軸方向両側に外れた部分を、部分円筒面状に構成している。ただし、本発明を実施する場合には、転がり軸受を密封するためのシールリングの外径側端部を係止するために、外輪の内周面の軸方向両側部分に、全周にわたり係止溝を形成することもできる。
内輪軌道38は、外輪軌道44と径方向に対向する、キャリア本体30の外周面の軸方向中間部に直接形成されている。これにより本例では、キャリア5に、転がり軸受6を構成する内輪としての機能を持たせて、転がり軸受6を構成する内輪を省略している。
複数の転動体43は、鋼製又はセラミックス製で、外輪軌道44と内輪軌道38との間に、円周方向に関して等間隔に配置されている。図示の例では、転動体43として、玉を使用している。また、転動体43を円周方向に等間隔に転動自在に保持するために、保持器を備えることもできる。
〔遊星減速機構〕
本例では、電動モータ7の回転を、ボールねじ装置1を構成するねじ軸2に伝達するために、遊星減速機構8を利用している。遊星減速機構8は、太陽歯車45と、複数の遊星歯車46と、リング歯車47と、キャリア5と、ピニオンピン48とを備える。
太陽歯車45は、電動モータ7のモータ軸(サンギヤシャフト)49の先端部に固定されている。リング歯車47は、太陽歯車45と同軸に配置され、ハウジング28に内嵌固定されている。なお、図示は省略するが、ハウジング28は、2つ割れ構造とし、リング歯車47が内嵌される部分と転がり軸受6を構成する外輪42が内嵌される部分とを、別々の部材とすることもできる。
複数(たとえば3つ)の遊星歯車46は、円周方向に関して等間隔に配置されており、キャリア5に対して回転自在に支持されている。このために、キャリア5に形成された支持孔39に対してピニオンピン48を挿通支持し、ピニオンピン48の周囲に遊星歯車46を回転自在に支持している。具体的には、ピニオンピン48の軸方向他方側の半部を支持孔39に圧入し、ピニオンピン48の軸方向一方側の半部を、支持孔39から軸方向一方側に突出させている。そして、ピニオンピン48の軸方向一方側の半部の周囲に、図示しない滑り軸受又はニードル軸受(C&R)を介して、遊星歯車46を回転自在に支持している。そして、複数の遊星歯車46のそれぞれと、太陽歯車45及びリング歯車47とを噛合させている。なお、支持孔に対するピニオンピンの固定方法は、特に限定されず、かしめや係止ピンなどを利用した固定構造を採用することもできる。また、ピニオンピンの軸方向一方側の端部を、図示しない円環形状を有する第2のキャリアにより支持する構成を採用することもできる。つまり、ピニオンピンを両持ち支持する構造を採用することもできる。また、遊星歯車の数についても、3つに限定されず、2つ、又は4つ以上とすることができる。
〈ボールねじ装置の動作説明〉
本例のボールねじ装置1は、駆動源である電動モータ7により遊星減速機構8を介してねじ軸2を回転駆動することで、ナット3を直線運動させる。具体的には、電動モータ7に通電し、太陽歯車45を所定方向に回転させると、遊星歯車46は、太陽歯車45の周囲を自転しつつ公転する。そして、遊星歯車46の公転運動が、キャリア5を介してねじ軸2に伝達され、ねじ軸2を所定方向に回転駆動することで、ナット3を直線運動させる。たとえば、太陽歯車45を円周方向一方側に向けて回転駆動した場合には、ナット3がねじ軸2に対して軸方向一方側に相対移動し、太陽歯車45を円周方向他方側に向けて回転駆動した場合には、ナット3がねじ軸2に対して軸方向他方側に相対移動する。
以上のように、本例のボールねじ装置1によれば、駆動源である電動モータ7により、遊星減速機構8を介してねじ軸2を回転駆動することができる。なお、ナット3がねじ軸2に対して軸方向一方側及び軸方向他方側に相対移動することに関するストロークエンドは、従来から知られた各種のストローク制限機構を利用して規制することができる。
以上のような本例のボールねじ装置1によれば、部品点数を増加させずに、かつ、軸方向寸法を大型化することなく、駆動部材であるキャリア5からのねじ軸2の抜け止め防止を図ることができる。
すなわち、本例では、キャリア5を構成する嵌合筒部31に形成したかしめ部41を、嵌合軸部12の外周面に備えられた係合凹溝22に対して軸方向に係合させることで、嵌合軸部12が駆動部材であるキャリア5から軸方向他方側に抜け出ることを防止できる。具体的には、ねじ軸2を回転駆動した際に、ナット3からボール4を介してねじ軸2に作用するアキシアル方向の反力や、遊星歯車46としてはすば歯車を使用した場合に、キャリア5に作用するアキシアル方向の力にかかわらず、嵌合軸部12がキャリア5から軸方向他方側に抜け出ることを防止できる。このため、嵌合軸部12がキャリア5から軸方向他方側に抜け出ることを防止するために、止め輪やナットなどの抜け止め部材を用いる場合に比べて、部品点数を抑えることができる。また、抜け止め部材を固定するために、嵌合軸部12をキャリア5から軸方向一方側に突出させる必要もないため、ボールねじ装置1の軸方向寸法の小型化を図ることができる。したがって、本例のボールねじ装置1によれば、部品点数を増加させずに、かつ、軸方向寸法を大型化することなく、駆動部材であるキャリア5からのねじ軸2の抜け止め防止を図ることができる。
また、本例では、嵌合軸部12に形成した円筒面状の外周面を有する内径側嵌合面部21と、嵌合筒部31に形成した円筒面状の内周面を有する外径側嵌合面部40とをインロー嵌合させているため、ねじ軸2とキャリア5との同軸度を確保できる。
本例では、外径側嵌合面部40と内径側嵌合面部21とを、がたつきのない程度の微小隙間を持たせた隙間嵌めで嵌合させているため、嵌合軸部12を嵌合筒部31の内側に挿入する作業の作業性を高める面で有利になるが、ねじ軸2とキャリア5との同軸度を高める面では不利になる。ただし、本例では、嵌合筒部31に形成したかしめ部41により、係合凹溝22の溝底面23を径方向に押さえ付けるとともに、嵌合筒部31の軸方向他方側の端面をねじ部11に備えられた突き当て面14に突き当てている。したがって、ねじ軸2とキャリア5との同軸度を十分に高めることができる。
また、本例では、外径側嵌合面部40を、キャリア本体30から軸方向他方側に突出した嵌合筒部31の内周面に形成しているため、外径側嵌合面部40と内径側嵌合面部21とがインロー嵌合する部分と、支持孔39にピニオンピン48が圧入される部分とが、径方向に重ならないようにすることができる。別の言い方をすれば、外径側嵌合面部40と内径側嵌合面部21とがインロー嵌合する部分と、支持孔39のうちでピニオンピン48が圧入される部分との、軸方向位置をずらすことができる。このため、支持孔39にピニオンピン48を圧入することに伴い、キャリア本体30のうちで、支持孔39の径方向内側に存在する部分に縮径(径方向内側への材料の移動)が生じた場合にも、外径側嵌合面部40の内径変化に与える影響を小さくすることができる。
また、本例では、嵌合筒部31の外径を、ナット3の内周面の軸方向一方側部に備えられた円筒面部58の内径よりも小さくしているため、ナット3をねじ軸2に対して軸方向一方側に最大限変位させた際に、嵌合筒部31の少なくとも軸方向他方側の端部を、ナット3の円筒面部58の内側に挿入することができる。このため、キャリア5に嵌合筒部31を設けたことに起因して、ナット3の軸方向一方側への変位量が制限されずに済む。
また、本例では、嵌合筒部31の外径を、ねじ部11の外周面に備えられた軸側ボールねじ溝13の溝谷径よりも小さくしているため、図7に示すように、嵌合筒部31にかしめ部41を形成する際に、かしめ治具59が軸方向他方側(軸側ボールねじ溝13側)に移動することを、突き当て面14を利用して規制できる。このため、かしめ治具59により、軸側ボールねじ溝13を損傷することを有効に防止できる。
また、本例では、キャリア5の外周面に、転がり軸受6を構成する内輪軌道38を直接形成しているため、転がり軸受6を構成する内輪を省略することができる。このため、キャリアに対して、キャリアとは別体の内輪を外嵌固定する構造を採用した場合に比べて、部品点数の低減を図れるとともに、組立工数の低減を図れ、組立性の向上を図れる。また、キャリアに対して、キャリアとは別体の内輪を外嵌固定する構造を採用した場合には、キャリアの外周面にアキシアル方向の力を伝達するための鍔部が必要になるが、本例では、このような鍔部も不要になるため、加工工数の低減を図れる。また、本例のキャリア5は、鍔部が不要であるため、内輪軌道38を含む外周面に対してのみ、熱処理硬化層を形成すれば足りる。したがって、キャリア5の軸方向側面に、支持孔39を形成するための穴あけ加工を施す際に、熱処理硬化層を取り除くための除去加工を施す必要がない。したがって、加工工数を低減することができる。
また、本例では、キャリア5を、ハウジング28に対し、転がり軸受6を利用して、回転自在に支持しているため、キャリア5に伝達されたアキシアル方向の力を、転がり軸受6を介してハウジング28により支承することができる。具体的には、本例のボールねじ装置1を油圧シリンダのピストンを動作させる用途などに使用した場合、ねじ軸2を回転駆動した際に、ナット3からボール4を介して、軸方向一方側を向いた大きなアキシアル方向の反力がねじ軸2に加わる。この反力は、ねじ軸2の突き当て面14からキャリア5に伝達され、転がり軸受6を介してハウジング28により支承されるため、該反力が、遊星歯車46と太陽歯車45及びリング歯車47との噛合部に伝わることを防止できる。また、音振性能を確保するなどの理由から、遊星歯車46としてはすば歯車を使用した場合、キャリア5に対してアキシアル方向の力が作用するが、このようなアキシアル方向の力が、ボール4と軸側ボールねじ溝13及びナット側ボールねじ溝26との転がり接触部に伝わることを防止できる。本例のように、キャリア5に加わるアキシアル方向の力を転がり軸受6が受ける用途では、転がり軸受6として4点接触玉軸受を好ましく使用できる。
本例の変形例としては、内径側係合部18を外径側係合部36に対して圧入する、又は/及び、内径側嵌合面部21を外径側嵌合面部40に対して圧入することができる。内径側係合部18を外径側係合部36に対して圧入する、又は/及び、内径側嵌合面部21を外径側嵌合面部40に対して圧入した場合には、当該圧入部により、ねじ軸2とキャリア5との同軸度を高めることができるとともに、かしめ部41と係合凹溝22との係合部をバックアップ(補強)することができる。つまり、圧入部によって、ねじ軸2がキャリア5から軸方向にさらに抜け出にくくすることができる。
[実施の形態の第2例]
実施の形態の第2例について、図8~図11を用いて説明する。
本例では、キャリア5を構成する嵌合筒部31aの構造のみを、実施の形態の第1例の構造から変更している。
すなわち、本例では、嵌合筒部31aの径方向の厚さ寸法を、かしめ部41を形成する以前の状態で、全周にわたり一定とはしていない。具体的には、嵌合筒部31aを、薄肉部51と、薄肉部51よりも径方向の厚さ寸法の大きい厚肉部52とから構成している。
薄肉部51は、径方向視で矩形状を有し、平坦面状の外周面を有している。薄肉部51は、嵌合筒部31aの円周方向の複数箇所(図示の例では2箇所)に備えられている。本例では、薄肉部51は、円周方向に等間隔に配置されている。図示の例では、2つの薄肉部51が、嵌合筒部31aの直径方向反対側に配置されている。薄肉部51は、嵌合筒部31aの軸方向他方側の端部から軸方向中間部にわたる範囲に備えられている。本発明を実施する場合には、嵌合筒部に設ける薄肉部の数は限定されず、嵌合筒部の1箇所にのみ設けることもできるし、3箇所以上に設けても良い。また、嵌合筒部に複数の薄肉部を設ける場合には、薄肉部は円周方向に関して等間隔に配置することが好ましい。また、薄肉部の外周面は、部分円筒状に構成することもできる。
嵌合筒部31aは、薄肉部51から円周方向に外れた部分、及び、薄肉部51から軸方向一方側に外れた部分に、厚肉部52を有する。別の言い方をすれば、厚肉部52は、嵌合筒部31aのうち、薄肉部51以外の部分により構成されている。本例では、薄肉部51と厚肉部52とは、円周方向につながっている。
薄肉部51の径方向の厚さ寸法は、円周方向中央部から円周方向両側に向かうほど大きくなり、薄肉部51の円周方向両側の端部における径方向の厚さ寸法(最大値)t51についても、厚肉部52の径方向の厚さ寸法t52よりも小さい(t51<t52)。薄肉部51の径方向の厚さ寸法t51は、厚肉部52の径方向の厚さ寸法t52の1/5倍~2/3倍程度である。図示の例では、薄肉部51の径方向の厚さ寸法t51は、厚肉部52の径方向の厚さ寸法t52のおよそ1/2倍である。
本例では、薄肉部51の平坦面状の外周面を通る外接円直径R51を、厚肉部52の外周面を通る外接円直径R52よりも小さくすることで、薄肉部51の径方向の厚さ寸法t51を、厚肉部52の径方向の厚さ寸法t52よりも小さくしている。このため、薄肉部51の外周面と厚肉部52の外周面とは、それぞれが平坦面状の周方向段差面53及び軸方向段差面54を介して接続されている。これに対し、薄肉部51の内周面を通る内接円直径は、厚肉部52の内周面を通る内接円直径と同じ大きさである。このため、薄肉部51の内周面と厚肉部52の内周面とは、段差なく滑らかに接続されている。別の言い方をすれば、薄肉部51の内周面と厚肉部52の内周面とは、同一の円筒面上に存在している。
また、嵌合筒部31aの外周面のうちでかしめ部41を形成する部分、つまり、本例では、薄肉部51の外周面を通る外接円直径R51は、ねじ部11の外周面に備えられた軸側ボールねじ溝13の溝谷径d13よりも小さい(R51<d13)。
薄肉部51の軸方向他方側の端面と、厚肉部52の軸方向他方側の端面とは、軸方向位置が互いに一致している。
本例では、薄肉部51のそれぞれに、かしめ部41を形成している。このため、かしめ部41は、嵌合筒部31aの直径方向反対側に2つ備えられている。かしめ部41のそれぞれは、大径軸部17の外周面に備えられた係合凹溝22の内側に入り込み、係合凹溝22と軸方向に係合している。
以上のような本例では、かしめ部41を、嵌合筒部31aを構成する薄肉部51に形成しているため、厚肉部52に形成する場合に比べて、かしめ加工に要するプレス荷重を小さく抑えることができる。また、薄肉部51の外周面を通る外接円直径を、軸側ボールねじ溝13の溝谷径よりも小さくしているため、かしめ治具59(図7参照)により、軸側ボールねじ溝13を損傷することを防止できる。さらに、薄肉部51の外周面と厚肉部52の外周面とを接続する周方向段差面53により、かしめ治具59の周方向位置を規制することもできる。また、嵌合筒部31aを、実施の形態の第1例の構造のように、薄肉部51のみから構成するのではなく、薄肉部51と厚肉部52とから構成しているため、ねじ部11の突き当て面14に対する嵌合筒部31aの軸方向他方側の端面の接触面積を大きくできる。このため、ねじ軸2とキャリア5との同軸度を高める上で有利になる。
その他の構成及び作用効果については、実施の形態の第1例と同じである。
[実施の形態の第3例]
実施の形態の第3例について、図12を用いて説明する。
本例では、キャリア5を構成する嵌合筒部31aの薄肉部51aの構造のみを、実施の形態の第2例の構造から変更している。
すなわち、本例では、薄肉部51aの軸方向寸法を、実施の形態の第2例の構造よりも短くしている。そして、薄肉部51aの軸方向他方側の端面を、厚肉部52の軸方向他方側の端面よりも、軸方向一方側に配置している。
以上のような本例では、ねじ部11に備えられた突き当て面14(図1参照)を、嵌合筒部31aを構成する厚肉部52の軸方向他方側の端面にのみ突き当てることができる。つまり、突き当て面14が、薄肉部51aの軸方向他方側の端面に突き当たらないようにすることができる。このため、薄肉部51aにかしめ部41(図2参照)を形成する際に、薄肉部51aの軸方向他方側の端面から突き当て面14に対して軸方向他方側に向いた力が加わることを防止できる。したがって、かしめ部41を形成するのに要するプレス荷重が過大になることを防止できる。
その他の構成及び作用効果については、実施の形態の第1例及び第2例と同じである。
[実施の形態の第4例]
実施の形態の第4例について、図13を用いて説明する。
本例では、キャリア5を構成する嵌合筒部31bの構造のみを、実施の形態の第2例の構造から変更している。
すなわち、本例では、嵌合筒部31bを構成する薄肉部51と厚肉部52との円周方向の間部分に、スリット55を設けている。別の言い方をすれば、薄肉部51の円周方向両側に、スリット55を設けている。
スリット55は、嵌合筒部31aの外周面及び内周面のそれぞれに開口するとともに、嵌合筒部31aの軸方向他方側の端面に開口している。本例では、嵌合筒部31bを構成する薄肉部51にかしめ部41を形成するため、円周方向に関してかしめ部41の両側にスリット55が配置される。
以上のような本例では、スリット55により薄肉部51の曲げ剛性を低下させることができるため、薄肉部51にかしめ部41を形成するのに要するプレス荷重を小さく抑えることができる。
その他の構成及び作用効果については、実施の形態の第1例及び第2例と同じである。
[実施の形態の第5例]
実施の形態の第5例について、図14を用いて説明する。
本例では、キャリア5を構成する嵌合筒部31bの薄肉部51aの構造のみを、実施の形態の第4例の構造から変更している。
本例では、薄肉部51aの軸方向寸法を、実施の形態の第4例の構造よりも短くしている。そして、薄肉部51aの軸方向他方側の端面を、厚肉部52の軸方向他方側の端面よりも、軸方向一方側に配置している。さらに、薄肉部51aと厚肉部52との円周方向の間部分に、スリット55を設けている。
以上のような本例では、薄肉部51aにかしめ部41を形成するのに要するプレス荷重をより効果的に抑えることができる。
その他の構成及び作用効果については、実施の形態の第1例~第4例と同じである。
[実施の形態の第6例]
実施の形態の第6例について、図15を用いて説明する。
本例では、キャリア5を構成する嵌合筒部31aの薄肉部51bの構造のみを、実施の形態の第2例の構造から変更している。
すなわち、本例では、薄肉部51bを、径方向視で半長円形状(又は半円形状)を有するものとしている。別の言い方をすれば、薄肉部51bと厚肉部52との境界部から角部を省略している。また、薄肉部51bの外周面と厚肉部52の外周面とを軸方向につなぐ軸方向段差面54aを、凹曲面から構成している。
以上のような本例では、薄肉部51bにかしめ部41(図2参照)を形成する際に、薄肉部51bと厚肉部52との境界部に応力が集中することを抑制できる。
その他の構成及び作用効果については、実施の形態の第1例及び第2例と同じである。
[実施の形態の第7例]
実施の形態の第7例について、図16を用いて説明する。
本例では、ねじ軸2の嵌合軸部12の外周面に備えられた係合凹溝22aの構造のみを、実施の形態の第1例の構造から変更している。
すなわち、本例では、係合凹溝22aの軸方向幅を、実施の形態の第1例の構造よりも大きくしている。また、係合凹溝22aの溝底面23aを、軸方向他方側に向かうほど外径が小さくなる溝底傾斜面56と、軸方向にわたり外径が変化しない溝底円筒面57とから構成している。本例では、溝底円筒面57を設けた分だけ、係合凹溝22aの軸方向幅を、実施の形態の第1例の構造よりも大きくしている。
以上のような本例では、かしめ部41(図2参照)と係合凹溝22aとの軸方向の係合により、ねじ軸2がキャリア5から軸方向に抜け出ることをより有効に防止できる。また、かしめ部41により、係合凹溝22aの溝底面23aを径方向に押さえ付ける力を大きくできる。
その他の構成及び作用効果については、実施の形態の第1例と同じである。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、発明の技術思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。また、実施の形態の各例の構造は、矛盾を生じない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。
実施の形態の各例では、ねじ軸の嵌合軸部を、外周面に雄スプライン歯を有するものとし、キャリアを、内周面に雌スプライン歯を有する取付孔を有するものとし、キャリアを嵌合軸部に対してスプライン嵌合させる構造について示した。ただし、本発明を実施する場合には、嵌合軸部に対するキャリアの固定構造は特に限定されない。たとえば、内径側係合部及び外径側係合部としては、スプライン歯に限らず、セレーション歯を採用することができる。また、嵌合軸部を、断面長円形(小判形)で、外周面に互いに平行な1対の平坦外面を備えた二面幅形状を有するものとし、キャリアの取付孔を、長円形孔(小判形孔)とし、内周面に互いに平行な1対の平坦内面を備えた二面幅形状を有するものとし、キャリアを嵌合軸部に対して非円形嵌合させる構造を採用することもできる。
実施の形態の各例では、循環溝を、ナットの内周面に直接形成する構造について説明したが、本発明を実施する場合には、循環溝をナットとは別体の循環部品(たとえばコマ式、チューブ式、エンドデフレクタ式)に形成し、該循環部品をナットに対して固定することもできる。
実施の形態の各例では、駆動部材として、遊星歯車機構を構成するキャリアを採用した場合について説明したが、本発明を実施する場合には、駆動部材として、歯車、プーリ、スプロケットなどを使用することもできる。
実施の形態の各例では、嵌合筒部の円周方向の複数箇所にかしめ部を形成した場合について説明したが、本発明を実施する場合には、嵌合筒部の円周方向の一部にのみかしめ部を形成することもできるし、嵌合筒部の全周にわたりかしめ部を形成することもできる。
実施の形態の各例では、ねじ軸を構成する嵌合軸部の外周面の全周にわたり係合凹溝を形成した場合について説明したが、本発明を実施する場合には、嵌合軸部の外周面の円周方向の一部にのみ係合凹溝を形成することもできる。また、実施の形態の各例では、係合凹溝を内径側嵌合面部よりも軸方向他方側に配置した場合について説明したが、本発明を実施する場合には、係合凹溝を内径側嵌合面部よりも軸方向一方側に配置することもできる。
本発明の態様1にかかるボールねじ装置は、
外周面に螺旋状の軸側ボールねじ溝を有するねじ部と、前記ねじ部の軸方向一方側に配置された嵌合軸部とを有し、使用時に回転運動する、ねじ軸と、
内周面に螺旋状のナット側ボールねじ溝を有し、使用時に直線運動する、ナットと、
前記軸側ボールねじ溝と前記ナット側ボールねじ溝との間に配置された、複数のボールと、
前記嵌合軸部に対して相対回転不能に固定され、前記ねじ軸を回転駆動する、駆動部材と、を備え、
前記嵌合軸部は、外周面に、内径側係合部と内径側嵌合面部と係合凹溝とを有し、
前記駆動部材は、内周面に前記内径側係合部と相対回転不能に係合する外径側係合部を有する駆動部材本体と、前記駆動部材本体から軸方向他方側に向けて突出した嵌合筒部とを有し、
前記嵌合筒部は、内周面に前記内径側嵌合面部とインロー嵌合する外径側嵌合面部を有し、かつ、前記係合凹溝と軸方向に係合するかしめ部を有する。
本発明の態様2にかかるボールねじ装置は、前記態様1において、前記嵌合筒部の径方向の厚さ寸法を、全周にわたり一定にすることができる。
本発明の態様3にかかるボールねじ装置は、前記態様1~前記態様2において、前記内径側嵌合面部と前記外径側嵌合面部とを、微小隙間を持たせた隙間嵌めで嵌合し、前記かしめ部を、前記係合凹溝の溝底面を径方向に押さえ付けるものとすることができる。
本発明の態様4にかかるボールねじ装置は、前記態様1~態様3において、前記嵌合筒部を、薄肉部と、前記薄肉部から円周方向に外れた部分に備えられ、かつ、前記薄肉部よりも径方向の厚さ寸法の大きい厚肉部とを有するものとし、前記かしめ部を、前記薄肉部に形成することができる。
本発明の態様5にかかるボールねじ装置は、前記態様4において、前記薄肉部を、前記嵌合筒部の円周方向の複数箇所に等間隔に配置することができる。
本発明の態様6にかかるボールねじ装置は、前記態様4~態様5において、前記薄肉部を、前記嵌合筒部の軸方向他方側の端部に備えることができ、前記薄肉部の軸方向他方側の端面を、前記厚肉部の軸方向他方側の端面よりも軸方向一方側に配置することができる。また、前記厚肉部の軸方向他方側の端面を、前記ねじ部の軸方向一方側の端面に突き当てることができる。
本発明の態様7にかかるボールねじ装置は、前記態様1~前記態様6において、前記嵌合筒部を、円周方向に関して前記かしめ部の両側に、スリットを有するものとすることができる。
本発明の態様8にかかるボールねじ装置は、前記態様1~前記態様7において、前記嵌合筒部のうちで前記かしめ部を形成する部分の外周面を通る外接円直径を、前記軸側ボールねじ溝の溝谷径よりも小さくすることができる。
本発明の態様9にかかるボールねじ装置は、前記態様1~前記態様8において、内周面に外輪軌道を有する外輪と、前記外輪軌道と径方向に対向する部分に備えられた内輪軌道と、前記外輪軌道と前記内輪軌道との間に転動自在に配置された複数の転動体とを有し、前記駆動部材を回転自在に支持する転がり軸受を備え、前記駆動部材を、遊星減速機構を構成するキャリアとし、外周面に前記内輪軌道を直接形成することができる。
本発明の態様10にかかるボールねじ装置は、前記態様1~前記態様9において、前記嵌合筒部を、前記ナットの軸方向一方側の端部の内径よりも小さな外径を有するものとすることができる。
1 ボールねじ装置
2 ねじ軸
3 ナット
4 ボール
5 キャリア
6 転がり軸受
7 電動モータ
8 遊星減速機構
9 負荷路
10 循環溝
11 ねじ部
12 嵌合軸部
13 軸側ボールねじ溝
14 突き当て面
15 第1センタ孔
16 小径軸部
17 大径軸部
18 内径側係合部
19 雄スプライン歯
20 テーパ面部
21 内径側嵌合面部
22、22a 係合凹溝
23、23a 溝底面
24 逃げ凹溝
25 第2センタ孔
26 ナット側ボールねじ溝
27 鍔部
28 ハウジング
29 係合溝
30 キャリア本体
31、31a、31b 嵌合筒部
32 取付孔
33 大径孔部
34 小径孔部
35 中径孔部
36 外径側係合部
37 雌スプライン歯
38 内輪軌道
39 支持孔
40 外径側嵌合面部
41 かしめ部
42 外輪
43 転動体
44 外輪軌道
45 太陽歯車
46 遊星歯車
47 リング歯車
48 ピニオンピン
49 モータ軸
50 段差面
51、51a、51b 薄肉部
52 厚肉部
53 周方向段差面
54、54a 軸方向段差面
55 スリット
56 溝底傾斜面
57 溝底円筒面
58 円筒面部
59 かしめ治具
100 ボールねじ装置
101 ねじ軸
102 ナット
103 ねじ部
104 嵌合軸部
105 軸側ボールねじ溝
106 ハウジング
107 ガイドロッド
108 電動モータ
109 プーリ装置
110 従動プーリ
111 モータ軸
112 駆動プーリ
113 ベルト

Claims (10)

  1. 外周面に螺旋状の軸側ボールねじ溝を有するねじ部と、前記ねじ部の軸方向一方側に配置された嵌合軸部とを有し、使用時に回転運動する、ねじ軸と、
    内周面に螺旋状のナット側ボールねじ溝を有し、使用時に直線運動する、ナットと、
    前記軸側ボールねじ溝と前記ナット側ボールねじ溝との間に配置された、複数のボールと、
    前記嵌合軸部に対して相対回転不能に固定され、前記ねじ軸を回転駆動する、駆動部材と、を備え、
    前記嵌合軸部は、外周面に、内径側係合部と内径側嵌合面部と係合凹溝とを有し、
    前記駆動部材は、内周面に前記内径側係合部と相対回転不能に係合する外径側係合部を有する駆動部材本体と、前記駆動部材本体から軸方向他方側に向けて突出した嵌合筒部とを有し、
    前記嵌合筒部は、内周面に前記内径側嵌合面部とインロー嵌合する外径側嵌合面部を有し、かつ、前記係合凹溝と軸方向に係合するかしめ部を有する、
    ボールねじ装置。
  2. 前記嵌合筒部の径方向の厚さ寸法は、全周にわたり一定である、請求項1に記載したボールねじ装置。
  3. 前記内径側嵌合面部と前記外径側嵌合面部とは、微小隙間を持たせた隙間嵌めで嵌合しており、
    前記かしめ部は、前記係合凹溝の溝底面を径方向に押さえ付けている、
    請求項1に記載したボールねじ装置。
  4. 前記嵌合筒部は、薄肉部と、前記薄肉部から円周方向に外れた部分に備えられ、かつ、前記薄肉部よりも径方向の厚さ寸法の大きい厚肉部とを有し、
    前記かしめ部は、前記薄肉部に形成されている、
    請求項1に記載したボールねじ装置。
  5. 前記薄肉部は、前記嵌合筒部の円周方向の複数箇所に等間隔に配置されている、請求項4に記載したボールねじ装置。
  6. 前記薄肉部は、前記嵌合筒部の軸方向他方側の端部に備えられており、
    前記薄肉部の軸方向他方側の端面は、前記厚肉部の軸方向他方側の端面よりも軸方向一方側に配置されており、
    前記厚肉部の軸方向他方側の端面は、前記ねじ部の軸方向一方側の端面に突き当てられている、
    請求項4に記載したボールねじ装置。
  7. 前記嵌合筒部は、円周方向に関して前記かしめ部の両側に、スリットを有する、請求項1に記載したボールねじ装置。
  8. 前記嵌合筒部のうちで前記かしめ部を形成する部分の外周面を通る外接円直径は、前記軸側ボールねじ溝の溝谷径よりも小さい、請求項1に記載したボールねじ装置。
  9. 内周面に外輪軌道を有する外輪と、前記外輪軌道と径方向に対向する部分に備えられた内輪軌道と、前記外輪軌道と前記内輪軌道との間に転動自在に配置された複数の転動体とを有し、前記駆動部材を回転自在に支持する転がり軸受を備え、
    前記駆動部材は、遊星減速機構を構成するキャリアであり、外周面に前記内輪軌道が直接形成されている、
    請求項1に記載したボールねじ装置。
  10. 前記嵌合筒部は、前記ナットの軸方向一方側の端部の内径よりも小さな外径を有する、
    請求項1に記載したボールねじ装置。
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