JP2022166703A - ボールねじ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】直線運動要素であるナットの回り止めを低コストで実現できる、ボールねじ装置を提供する。【解決手段】ハウジング5に備えられた挿通孔7の内側に、軸方向に伸長した軸状部材であり、ハウジング5に支持固定された回り止め部材6を配置する。ナット3の外周面に、回り止め部材6と円周方向に係合可能な案内凹溝18を設け、案内凹溝18に対して回り止め部材6を軸方向に摺動可能に係合させる。【選択図】図2

Description

本発明は、ボールねじ装置に関する。
ボールねじ装置は、ねじ軸とナットとの間でボールを転がり運動させるため、ねじ軸とナットとを直接接触させる滑りねじ装置に比べて、高い効率が得られる。このため、ボールねじ装置は、たとえば電動モータなどの駆動源の回転運動を直線運動に変換するために、自動車の電動ブレーキ装置やオートマチックマニュアルトランスミッション(AMT)、工作機械の位置決め装置など、各種機械装置に組み込まれている。
ボールねじ装置は、外周面に螺旋状の軸側ボールねじ溝を有するねじ軸と、内周面に螺旋状のナット側ボールねじ溝を有するナットと、軸側ボールねじ溝とナット側ボールねじ溝との間に配置された複数のボールとを有する。ボールねじ装置は、用途に応じて、ねじ軸とナットとのうちの一方を回転運動要素とし、ねじ軸とナットとのうちの他方を直線運動要素として用いられる。
ボールねじ装置においては、直線運動要素が回転運動要素と供回りすることを防止するために、直線運動要素の回転を阻止することが行われている。図11及び図12は、特開2007-303515号公報(特許文献1)に記載された、直線運動要素の回転を阻止する構造を備えた従来構造のボールねじ装置100を示している。
ボールねじ装置100は、ねじ軸101と、ナット102と、複数のボール103と、進退部材104と、ハウジング105とを備える。
ねじ軸101は、外周面に螺旋状の軸側ボールねじ溝106を有しており、使用時に回転運動する。このため、ねじ軸101は、回転運動要素であり、ハウジング105に対して回転自在に支持されている。
ナット102は、内周面に螺旋状のナット側ボールねじ溝107を有しており、使用時に直線運動する。このため、ナット102は、直線運動要素であり、後述するようにハウジング105に対する相対回転が阻止されている。
ねじ軸101は、ナット102の内側に挿通され、ナット102と同軸に配置されている。軸側ボールねじ溝106とナット側ボールねじ溝107とは、径方向に互いに対向するように配置され、螺旋状の負荷路108を構成している。
負荷路108の始点と終点とは、図示しない循環手段により接続されている。負荷路108の終点にまで達したボール103は、循環手段を介して、負荷路108の始点にまで戻される。なお、負荷路108の始点と終点とは、ねじ軸101とナット102との軸方向に関する相対変位の方向(相対回転方向)に応じて入れ替わる。
進退部材104は、有底円筒形状を有しており、ナット102に対し相対回転不能に外嵌固定されている。進退部材104は、ナット102の外径よりも大きな外径を有している。進退部材104は、外周面に、軸方向に伸長したキー溝109を有している。
ハウジング105は、ナット102及び進退部材104を軸方向に挿通可能な挿通孔110を有する。挿通孔110は、内周面に、径方向内側に向けて突出したキー111を有する。キー111は、進退部材104の外周面に備えられたキー溝109に対して軸方向に摺動可能に係合されている。このような構成により、ナット102が、ハウジング105に対して相対回転することを阻止し、ナット102の直線運動を可能としている。
特開2007-303515号公報
特開2007-303515号公報に記載された従来構造のボールねじ装置100においては、キー111を挿通孔110の内周面に一体成形している。このため、キー111の形状精度を確保することが困難になる。キー111を挿通孔110の内周面に一体成形し、かつ、キー111の形状精度を確保するためには、製造コストが嵩みやすくなる。たとえば、キーを削り出しにより加工すれば、キーを挿通孔の内周面に一体成形し、かつ、キーの形状精度を確保することができるが、歩留まりが悪くなり、製造コストが嵩みやすくなる。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、直線運動要素であるナットの回り止めを低コストで実現できる、ボールねじ装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様にかかるボールねじ装置は、ねじ軸と、ナットと、複数のボールと、ハウジングと、回り止め部材とを備える。
前記ねじ軸は、外周面に螺旋状の軸側ボールねじ溝を有し、使用時に回転運動する。
前記ナットは、内周面に螺旋状のナット側ボールねじ溝を有し、使用時に直線運動する。
前記複数のボールは、前記軸側ボールねじ溝と前記ナット側ボールねじ溝との間に配置される。
前記ハウジングは、前記ナットを軸方向に挿通可能な挿通孔を有する。
前記回り止め部材は、前記ハウジングに対する前記ナットの相対回転を阻止する。
本発明の一態様にかかるボールねじ装置では、前記ナットは、外周面に、前記回り止め部材と円周方向に係合可能な案内凹溝をさらに有する。
前記回り止め部材は、軸方向に伸長した軸状部材であり、前記ハウジングに対して支持固定された状態で前記挿通孔の内側に配置され、前記案内凹溝に対して軸方向に摺動可能に係合している。
本発明の一態様にかかるボールねじ装置では、前記回り止め部材を、軸方向両側から挟持することで、前記ハウジングに対して支持固定することができる。
本発明の一態様にかかるボールねじ装置では、前記ハウジングに対して軸方向の相対変位を不能に固定される、固定部材をさらに備えることができる。そして、前記ハウジングを、前記固定部材と軸方向に対向する対向面をさらに有するものとし、前記回り止め部材を、前記固定部材と前記対向面との間で軸方向両側から挟持することで、前記ハウジングに対して支持固定することができる。
本発明の一態様にかかるボールねじ装置では、前記固定部材を、円環形状を有するものとし、前記ハウジングに対して内嵌固定することができる。
この場合には、前記固定部材を、転がり軸受とすることができる。
あるいは、前記固定部材を、ねじ筒、スペーサ、密封装置又はその他の部材とすることもできる。
本発明の一態様にかかるボールねじ装置では、前記対向面を、前記ハウジングの内面に備えられた、軸方向を向いた段差面又は底面とすることができる。
本発明の一態様にかかるボールねじ装置では、前記ナットを、内周面に循環溝をさらに有するものとし、前記案内凹溝を、前記循環溝から円周方向に位置(位相)をずらして配置することができる。
この場合には、前記ナットを、円周方向に関して等間隔複数個所に、前記循環溝を有するものとし、前記案内凹溝を、円周方向位置の近い2つの前記循環溝に対して、円周方向に関して反対側に同じ角度だけ位置をずらして配置することができる。別の言い方をすれば、前記案内凹溝を、円周方向に関して隣り合う2つの前記循環溝同士の円周方向中央位置に配置することができる。
本発明の一態様にかかるボールねじ装置では、循環溝を有し、かつ、前記ナットに固定される循環部品をさらに備え、前記案内凹溝を、前記循環部品から円周方向に位置をずらして配置することができる。
さらにこの場合には、前記循環部品を、円周方向に関して等間隔複数個所に備え、前記案内凹溝を、円周方向位置の近い2つの前記循環部品に対して、円周方向に関して反対側に同じ角度だけ位置をずらして配置することができる。別の言い方をすれば、前記案内凹溝を、円周方向に関して隣り合う2つの前記循環部品同士の円周方向中央位置に配置することができる。
本発明の一態様にかかるボールねじ装置では、前記案内凹溝を複数備え、前記回り止め部材を、前記案内凹溝と同数備えることができる。
あるいは、前記案内凹溝及び前記回り止め部材を、1本ずつ備えることもできる。
本発明の一態様にかかるボールねじ装置では、前記ナットを、径方向外側に向けて突出した外向フランジ部を備えるものとし、前記案内凹溝を、前記外向フランジ部にのみ備えることができる。
本発明のボールねじ装置によれば、直線運動要素であるナットの回り止めを、低コストで実現することができる。
図1は、実施の形態の第1例にかかるボールねじ装置を軸方向一方側から見た正面図である。 図2は、図1のA-A線断面図である。 図3は、実施の形態の第1例にかかるボールねじ装置の部分断面斜視図である。 図4は、実施の形態の第1例にかかるボールねじ装置を、ハウジング及び回り止め部材を省略して示す斜視図である。 図5は、実施の形態の第1例にかかるボールねじ装置からナットを取り出して示す断面斜視図である。 図6は、実施の形態の第1例に関して、循環溝と案内凹溝との円周方向に関する位置関係を説明するために示す模式図である。 図7は、図2のB-B線断面に相当する模式図である。 図8は、実施の形態の第2例を示す、図4に相当する図である。 図9は、実施の形態の第3例を示す、図7に相当する図である。 図10は、実施の形態の第4例を示す、図7に相当する図である。 図11は、従来構造のボールねじ装置を示す断面図である。 図12は、従来構造のボールねじ装置からハウジングを取り出して示す斜視図である。
[実施の形態の第1例]
実施の形態の第1例について、図1~図7を用いて説明する。
〔ボールねじ装置の全体構成〕
本例のボールねじ装置1は、たとえば電動ブレーキブースター装置に組み込まれ、駆動源である図示しない電動モータの回転運動を、後述するピストン34の直線運動に変換する用途で使用される。
ボールねじ装置1は、ねじ軸2と、ナット3と、複数のボール4と、ハウジング5と、回り止め部材6とを備える。
ねじ軸2は、図示しない駆動源により回転駆動され、使用時に回転運動する回転運動要素である。ねじ軸2は、ナット3の内側に挿通され、ナット3と同軸に配置されている。ナット3は、回り止め部材6により、ハウジング5に対する相対回転が阻止されている。ナット3は、ナット3に固定した後述のピストン34とともに、ハウジング5に備えられた挿通孔7の内側を直線運動する、直線運動要素である。このため、本例のボールねじ装置1は、ねじ軸2を回転駆動し、ナット3を直線運動させる態様で使用する。
ねじ軸2の外周面とナット3の内周面との間には、螺旋状の負荷路8が備えられている。負荷路8には、複数のボール4が転動可能に配置されている。ねじ軸2とナット3とを相対回転させると、負荷路8の終点に達したボール4は、ナット3の内周面に形成された循環溝9(図5参照)を通じて、負荷路8の始点へと戻される。以下、ボールねじ装置1の各構成部品の構造について説明する。
以下の説明において、軸方向、径方向及び円周方向とは、特に断らない限り、ねじ軸に関する軸方向、径方向及び円周方向をいう。また、軸方向一方側とは、図2~図5の右側を指し、軸方向他方側とは、図2~図5の左側を指す。
〈ねじ軸〉
ねじ軸2は、金属製で、ねじ部10と第1嵌合軸部11と第2嵌合軸部12とを有する。ねじ部10と第1嵌合軸部11と第2嵌合軸部12とは、同軸に配置されており、一体に構成されている。
ねじ部10は、外周面に螺旋状の軸側ボールねじ溝13を有する。軸側ボールねじ溝13は、ねじ部10の外周面に、研削加工(切削加工)又は転造加工を施すことにより形成されている。本例では、軸側ボールねじ溝13の条数を1条としている。軸側ボールねじ溝13の断面の溝形状(溝底形状)は、ゴシックアーチ溝又はサーキュラアーク溝である。
第1嵌合軸部11は、ねじ部10の軸方向一方側に隣接配置されており、ねじ部10よりも小径である。すなわち、第1嵌合軸部11は、軸側ボールねじ溝13の溝底径よりも小さい外径を有する。第1嵌合軸部11は、外周面に雄スプライン歯14を全周にわたり有している。このため、第1嵌合軸部11は、スプライン軸部である。雄スプライン歯14には、インボリュートスプライン歯又は角スプライン歯を採用することができる。第1嵌合軸部11は、外周面に雄セレーション歯を全周にわたり有する、セレーション軸部とすることもできる。
第2嵌合軸部12は、第1嵌合軸部11の軸方向一方側に隣接配置されており、第1嵌合軸部11よりも小径である。第2嵌合軸部12は、円筒面状の外周面を有する。
ねじ軸2は、ねじ部10をナット3の内側に挿通した状態で、ナット3と同軸に配置されている。
〈ナット〉
ナット3は、金属製で、全体が円筒状に構成されている。ナット3は、内周面に螺旋状のナット側ボールねじ溝15及び循環溝9を有する。
ナット側ボールねじ溝15は、螺旋形状を有しており、ナット3の内周面に、たとえば研削加工(切削加工)又は転造タップ加工(切削タップ加工)を施すことにより形成されている。ナット側ボールねじ溝15は、軸側ボールねじ溝13と同じリードを有する。このため、ねじ軸2のねじ部10をナット3の内側に挿通配置した状態で、軸側ボールねじ溝13とナット側ボールねじ溝15とは径方向に対向するように配置され、螺旋状の負荷路8を構成する。ナット側ボールねじ溝15の条数は、軸側ボールねじ溝13と同様に1条である。ナット側ボールねじ溝15の断面の溝形状も、軸側ボールねじ溝13と同様に、ゴシックアーチ溝又はサーキュラアーク溝である。
循環溝9は、略S字形状を有しており、ナット3の内周面に、たとえば鍛造加工(冷間鍛造加工)によって形成されている。循環溝9は、ナット側ボールねじ溝15のうち、軸方向に隣り合う部分同士をなめらかに接続し、負荷路8の始点と終点とをつないでいる。このため、負荷路8の終点にまで達したボール4は、循環溝9を通じて、負荷路8の始点にまで戻される。なお、負荷路8の始点と終点とは、ねじ軸2とナット3との軸方向に関する相対変位の方向(相対回転方向)に応じて入れ替わる。
循環溝9は、略半円形の断面形状を有する。循環溝9は、ボール4の直径よりもわずかに大きな溝幅を有し、循環溝9を移動するボール4が、軸側ボールねじ溝13のねじ山を乗り越えることができる溝深さを有している。本例では、ナット3の内周面に、円周方向に関して等間隔に(90度等配で)、4つの循環溝9を備えている。このため、本例のボールねじ装置1は、4つの回路を備えている。なお、本例のボールねじ装置1では、循環溝9をナット3の内周面に直接形成しているが、循環溝をナットとは別体の循環部品(たとえばコマ)に形成し、該循環部品をナットに対して固定することもできる。
ナット3は、軸方向にわたり外径の変化しない円筒面状の外周面を有している。また、本例ではナット3の内周面を、段付き円筒面により構成している。具体的には、ナット3は、内周面にナット側ボールねじ溝15が形成された小径面部16と、小径面部16から軸方向他方側に外れた部分に備えられた、小径面部16よりも内径の大きい円筒面状の大径面部17とを有する。
本例のボールねじ装置1は、ナット3を直線運動要素として用いる。このため、ナット3の回り止めを図るために、ナット3の外周面に、回り止め部材6と円周方向に係合可能な案内凹溝18を有している。案内凹溝18は、ナット3の外周面の円周方向複数個所(本例では2個所)に備えられている。
案内凹溝18は、軸方向に伸長した凹溝であり、ナット3の軸方向の全長にわたり備えられている。このため、案内凹溝18は、ナット3の外周面及び軸方向両側の端面のそれぞれに開口している。案内凹溝18の中心軸は、ナット3の中心軸と平行に配置されている。
案内凹溝18は、回り止め部材6のうちの径方向に関する内側部分と円周方向に係合可能な断面形状を有する。本例では、後述するように、回り止め部材6を円柱形状に構成しているため、図7に示すように、ナット3の中心軸に直交する仮想平面に関する案内凹溝18の断面形状を、円弧形としている。具体的には、案内凹溝18の断面形状を、中心角がおよそ180度の半円弧形としている。このため、案内凹溝18の円周方向幅(図7の左右方向幅)は、径方向外側に向かうほど大きくなる。
なお、本発明を実施する場合に、案内凹溝の断面形状は、回り止め部材との円周方向に関する係合により、ナットの回り止めを図ることができれば、中心角が180度よりも小さい円弧形としても良いし、中心角が180度よりも大きい円弧形としても良い。
案内凹溝18は、回り止め部材6の直径Dの1/2と同じか又は該直径Dの1/2よりもわずかに大きい曲率半径を有する。ナット3の外周面における案内凹溝18の円周方向に関する開口幅は、回り止め部材6の直径Dとほぼ同じである。また、案内凹溝18のうちで最も径方向の深さが大きくなった部分を通る内接円直径は、大径面部17の内径よりも大きい。
案内凹溝18は、ナット3の外周面に、円周方向に関して等間隔に配置されている。本例では、案内凹溝18を2つ備えているため、2つの案内凹溝18は、位相が180度異なる位置に配置されている。また、案内凹溝18のそれぞれは、ナット3の内周面に備えられたすべての循環溝9から円周方向に位置(位相)をずらして配置されている。
具体的には、2つの案内凹溝18のうち、一方の案内凹溝18(図5の下方の案内凹溝18)を、ナット3の内周面に備えられた循環溝9のうち、円周方向位置の近い1つの循環溝9の中央部から、円周方向一方側に45度だけ位置をずらして配置している。また、2つの案内凹溝18のうち、他方の案内凹溝18(図5の上方の案内凹溝18)を、前記1つの循環溝9の中央部から、円周方向他方側に135度だけ位置をずらして配置している。このため、図6に示すように、ナット3を軸方向から見た場合に、丸印で表した2つの案内凹溝18のそれぞれは、×印で表した、円周方向位置の近い2つの循環溝9に対して、円周方向に関して反対側に45度ずつ位置をずらして配置されている。別の言い方をすれば、一方の案内凹溝18は、4つの循環溝9のうち、円周方向に隣り合う2つの循環溝9の円周方向中央位置に配置され、かつ、他方の案内凹溝18は、残り2つの循環溝9の円周方向中央位置に配置されている。なお、循環溝を有するコマなどの循環部品を、ナットに対して固定する構成を採用した場合には、案内凹溝を、循環部品から円周方向に位置をずらして配置することができる。さらに、循環部品を、円周方向に関して等間隔複数個所に備える場合には、案内凹溝を、円周方向位置の近い2つの循環部品に対して、円周方向に関して反対側に同じ角度だけ位置をずらして配置することができる。別の言い方をすれば、案内凹溝を、円周方向に関して隣り合う2つの循環部品同士の円周方向中央位置に配置することができる。
ナット3は、軸方向一方側の端部に、第1係合部19を有する。第1係合部19は、ナット3の軸方向一方側の側面の円周方向一部に備えられており、軸方向一方側に向けて突出している。第1係合部19は、扇柱形状を有している。図示の例では、第1係合部19は、ナット3と一体に備えられているが、本発明を実施する場合には、ナットとは別体に構成した第1係合部を、ナットに対して固定することもできる。
〈ボール〉
ボール4は、所定の直径を有する鋼球であり、負荷路8及び循環溝9に転動可能に配置されている。負荷路8に配置されたボール4は、圧縮荷重を受けながら転動するのに対し、循環溝9に配置されたボール4は、圧縮荷重を受けることなく、後続のボール4に押されて転動する。
〈ハウジング〉
ハウジング5は、有底円筒形状を有しており、内部に、段付き孔である挿通孔7を備える。挿通孔7の中心軸は、ねじ軸2の中心軸と同軸に配置されている。
挿通孔7は、軸方向中間部に、ナット3を軸方向に挿通可能なナット挿通部20を有する。このため、ナット挿通部20は、ナット3の外径よりも大きな内径を有している。具体的には、ナット挿通部20は、ナット挿通部20の内周面に対して回り止め部材6を接触させた状態で、回り止め部材6のうちの径方向に関する内側部分が、ナット3の外周面に形成された案内凹溝18に対して、軸方向に摺動可能に係合できる程度、すなわち、回り止め部材6が案内凹溝18に近接対向するか、軽く接触する程度の内径を有している。ナット挿通部20は、円筒面状の内周面を有している。ナット挿通部20の軸方向寸法は、ナット3の軸方向寸法よりも十分に大きい。
挿通孔7は、ナット挿通部20よりも軸方向一方側に位置する軸方向一方側部に、ナット挿通部20よりも大径の固定孔部21を有する。固定孔部21は、内周面の軸方向一部に、係止凹溝22を有する。係止凹溝22には、後述する転がり軸受29が、固定孔部21から軸方向一方側に抜け出ることを防止するための、図示しない止め輪が係止される。
挿通孔7は、ナット挿通部20よりも軸方向他方側に位置する軸方向他方側部に、ナット挿通部20よりも小径のシリンダ孔部23を有する。本例では、シリンダ孔部23は、ナット3の内周面を構成する大径面部17とほぼ同じ大きさの内径を有する。シリンダ孔部23の内周面のうちの軸方向一方側部には、複数(図示の例では2つ)のシール凹溝24a、24bが備えられている。シール凹溝24a、24bは、円環形状を有している。シール凹溝24a、24bのそれぞれには、シリンダ孔部23の内周面と後述するピストン34の外周面との間を密封するためのOリング25a、25bが装着されている。シリンダ孔部23は、軸方向他方側の端部に円形状の底面26を有する。このため、シリンダ孔部23は、軸方向一方側にのみ開口している。
挿通孔7は、ナット挿通部20と固定孔部21との間に、軸方向一方側を向いた大径段差面27を有しており、ナット挿通部20とシリンダ孔部23との間に、軸方向一方側を向いた小径段差面28を有している。つまり、ナット挿通部20の軸方向一方側の端部と固定孔部21の軸方向他方側の端部とは、大径段差面27を介して接続されており、ナット挿通部20の軸方向他方側の端部とシリンダ孔部23の軸方向一方側の端部とは、小径段差面28を介して接続されている。大径段差面27及び小径段差面28のそれぞれは、挿通孔7の中心軸に直交する仮想平面上に存在する、円環状の平坦面である。本例では、小径段差面28が、特許請求の範囲に記載した対向面に相当する。
なお、本例では、ハウジング5を有底円筒形状に構成しているが、本発明を実施する場合には、ハウジングの形状は適宜変更することができる。また、本例では、ハウジング5は、内部に挿通孔7のみを備えた構成としているが、本発明を実施する場合には、ハウジングの内部に、モータを収容するモータ収容部やギヤを収容するギヤ収容部などを備えることもできる。
本例のボールねじ装置1は、ねじ軸2をハウジング5に対して回転自在に支持し、かつ回り止め部材6をハウジング5に対して支持するための転がり軸受29をさらに備える。
〈転がり軸受〉
転がり軸受29は、円環形状を有しており、ハウジング5に対して内嵌固定されている。転がり軸受29は、内周面に外輪軌道30aを有する円環状の外輪30と、外周面に内輪軌道31aを有する円環状の内輪31と、外輪軌道30aと内輪軌道31aとの間に転動自在に配置された複数の転動体(玉)32と、転動体32を円周方向に関して等間隔に保持する保持器33とを有する。
本例では、転がり軸受29を構成する外輪30を、挿通孔7を構成する固定孔部21に圧入により内嵌することで、転がり軸受29を、ハウジング5に対して軸方向の相対変位を不能に固定している。また、この状態で、外輪30の軸方向他方側の側面を、挿通孔7の内周面に備えられた大径段差面27に対して突き当てている。外輪30は、大径段差面27の内径よりも小さな内径を有している。このため、外輪30の軸方向他方側の側面のうちの径方向内側部分は、大径段差面27よりも径方向内側に張り出している。したがって、外輪30の軸方向他方側の側面のうちの径方向内側部分は、小径段差面28と軸方向に対向する。
また、転がり軸受29を構成する内輪31を、ねじ軸2に備えられた第2嵌合軸部12に圧入により外嵌することで、内輪31を、第2嵌合軸部12に対して相対回転を不能に外嵌固定している。本例では、このような構成により、ねじ軸2をハウジング5に対して回転自在に支持している。
〈回り止め部材〉
回り止め部材6は、ナット3がハウジング5に対して相対回転するのを阻止するための部材であり、軸方向に伸長した軸状部材である。本例では、回り止め部材6は、金属製で、円柱形状を有している。このため、回り止め部材6は、円形の断面形状を有している。回り止め部材6は、挿通孔7の内周面を構成する小径段差面28の径方向幅よりも小さな直径を有する。回り止め部材6は、挿通孔7を構成するナット挿通部20の軸方向寸法よりもわずかに大きい軸方向寸法を有する。
回り止め部材6は、中心軸を挿通孔7の中心軸と平行に配置した状態で、挿通孔7を構成するナット挿通部20の内側に配置されている。本例では、案内凹溝18をナット3の外周面に2本備えているため、回り止め部材6を、ナット挿通部20の内側に、案内凹溝18と同数の2本備えている。2本の回り止め部材6は、ナット挿通部20の直径方向反対側に配置されている。
回り止め部材6は、挿通孔7の内周面を構成する小径段差面28と、転がり軸受29を構成する外輪30の軸方向他方側の側面のうちの径方向内側部分との間で、軸方向両側から挟持されることで、ハウジング5に対して支持固定されている。別な言い方をすれば、回り止め部材6は、小径段差面28と外輪30の軸方向他方側の側面との間で軸方向に突っ張っており、ナット挿通部20の内周面に対して接着や凹凸嵌合などの固定手段により固定されていない。本例では、回り止め部材6の外周面の一部は、ナット挿通部20の内周面に対して接触している。
回り止め部材6のうちの径方向に関する内側部分(図7の下側部分)は、案内凹溝18に対して、軸方向に摺動可能に係合している。
本例のボールねじ装置1は、ナット3に固定され、ナット3とともに直線運動するピストン34を備える。
〈ピストン〉
ピストン34は、金属製で、円筒形状を有している。ピストン34は、ナット3に対して内嵌固定されている。ピストン34は、ナット3と同軸に配置されている。ピストン34は、シリンダ孔部23とナット挿通部20との間に掛け渡されるように配置されており、ピストン34のうちの軸方向他方側部が、シリンダ孔部23に軸方向の移動可能に嵌装されている。ピストン34は、円筒部35と、円筒部35の内部空間を仕切る隔壁部36とを有する。
円筒部35は、ナット3の小径面部16とほぼ同じ大きさの内径を有しており、ナット3の大径面部17の内径よりもわずかに大きい外径を有している。円筒部35の内径は、ねじ軸2を構成するねじ部10の外径よりも大きい。円筒部35は、軸方向にわたり内径及び外径が一定である。
円筒部35は、軸方向一方側の端部を、ナット3の大径面部17に圧入により内嵌固定している。円筒部35の内側の空間37a、37bのうち、隔壁部36よりも軸方向一方側の空間37aには、ねじ部10の軸方向他方側部が挿入可能であり、隔壁部36よりも軸方向他方側の空間37bには、コイルばね38の軸方向一方側部が配置されている。コイルばね38は、隔壁部36の軸方向他方側の側面とシリンダ孔部23の底面26との間で、弾性的に挟持されている。コイルばね38は、ピストン34を軸方向一方側に向けて押圧し、ピストン34及びナット3を所定の位置(たとえば初期位置)に戻す役割を有する。
本例のボールねじ装置1は、ナット3のストロークエンドを規制するためのストッパ39をさらに備える。
〈ストッパ〉
ストッパ39は、円環形状を有するボス部40と、突起形状を有する第2係合部(爪部)41とを有する。
ボス部40は、ねじ軸2の第1嵌合軸部11に対して相対回転不能に外嵌されている。ボス部40は、径方向中央部に、第1嵌合軸部11を軸方向に挿通可能な係合孔42を有する。本例では、係合孔42を、内周面に雌スプライン歯43が形成されたスプライン孔としている。ボス部40は、係合孔42の内周面に形成された雌スプライン歯43を、第1嵌合軸部11の外周面に形成された雄スプライン歯14に対してスプライン係合させることで、第1嵌合軸部11に対して相対回転不能に外嵌されている。なお、第1嵌合軸部11をセレーション軸部とした場合には、係合孔42を、内周面に雌セレーション歯が形成されたセレーション孔とすることができる。
ボス部40は、円筒面状の外周面を有している。第2係合部41は、ボス部40の外周面の円周方向一部に備えられており、径方向外側に向けて突出している。
〈ボールねじ装置の動作説明〉
本例のボールねじ装置1は、図示しない駆動源によりねじ軸2を回転駆動すると、回り止め部材6によりハウジング5に対する相対回転が阻止されたナット3が、ピストン34とともに、挿通孔7の内側を直線運動する。具体的には、ナット3は、挿通孔7を構成するナット挿通部20の内側を直線運動し、ピストン34は、挿通孔7を構成するシリンダ孔部23及びナット挿通部20の内側を直線運動する。これにより、シリンダ孔部23の内側に充填した液体又は気体を、たとえば底面26に形成した図示しない連通孔を通じて排出又は吸入する。また、ナット3及びピストン34を直線運動させる際には、コイルばね38を弾性変形させる。
ナット3がねじ軸2に対して軸方向一方側に相対移動してストロークエンドに達すると、ナット3に備えられた第1係合部19と、ストッパ39に備えられた第2係合部41とが円周方向に係合する。これにより、ねじ軸2の回転が阻止される。このように、本例のボールねじ装置1は、ストッパ39により、ナット3がねじ軸2に対して軸方向一方側に相対移動することに関するストロークエンドを規制することができる。なお、ナット3がねじ軸2に対して軸方向他方側に相対移動することに関するストロークエンドは、ナット3の軸方向他方側の端面を、ハウジング5の小径段差面28に突き当てることで規制することもできるし、あるいは、従来から知られた各種のストローク制限機構を利用して規制することもできる。
以上のような本例のボールねじ装置1によれば、直線運動要素であるナット3の回り止めを低コストで実現することができる。
すなわち、本例では、ハウジング5に対してナット3が相対回転することを阻止するための回り止め部材6を、ハウジング5と一体に構成せずに、ハウジング5とは別体に構成し、ハウジング5に対して支持固定している。このため、回り止め部材6の形状精度を、低コストで良好にできる。したがって、本例のボールねじ装置1によれば、ナット3の回り止めを、低コストで実現できる。
しかも本例では、回り止め部材6を、ねじ軸2をハウジング5に対して回転自在に支持するための転がり軸受29と、ハウジング5の内周面に備えられた小径段差面28との間で軸方向両側から挟持することで、ハウジング5に対して支持固定している。これにより、回り止め部材6をハウジング5に支持固定するための専用の部品が不要になるため、さらなる低コスト化を図れる。また、回り止め部材6をハウジング5に対して支持固定するために、挿通孔7の内周面に特別な加工を施す必要もないため、加工コストの低減を図れるとともに、ハウジング5の薄肉化を図れる。
また、回り止め部材6を、ハウジング5に対して支持固定する作業は、ナット3の外周面に備えられた案内凹溝18によって回り止め部材6を保持した状態で、ハウジング5の固定孔部21に転がり軸受29(外輪30)を内嵌固定し、転がり軸受29と小径段差面28との間で軸方向両側から挟持することにより行える。このため、回り止め部材6の固定作業も容易に行うことができる。
本例では、案内凹溝18のそれぞれを、ナット3の内周面に備えられたすべての循環溝9から円周方向に位置をずらして配置している。具体的には、ナット3を軸方向から見た場合に、2つの案内凹溝18のそれぞれを、円周方向位置の近い2つの循環溝9に対して、円周方向に関して反対側に同じ角度だけ(本例では45度ずつ)位置をずらして配置している。このため、案内凹溝18を形成することによる、ナット3の強度低下を抑制することができる。したがって、ナット3の外径をいたずらに大きくしなくて済み、ボールねじ装置1の大型化を防止できる。
[実施の形態の第2例]
実施の形態の第2例について、図8を用いて説明する。
本例では、ナット3aの外周面の軸方向他方側の端部に、径方向外側に向けて突出した外向フランジ部44を設けている。そして、外向フランジ部44に、回り止め部材6(図2等参照)と円周方向に係合可能な案内凹溝18を設けている。本例では、ナット3aの外周面のうち、外向フランジ部44の外周面にのみ、案内凹溝18を設けている。案内凹溝18は、外向フランジ部44の外周面に、円周方向に関して等間隔に配置されている。
また、本例では、ねじ軸2の第1嵌合軸部11aに対するストッパ39aのボス部40aの固定構造を、実施の形態の第1例の構造から変更している。
具体的には、第1嵌合軸部11aを、断面長円形(小判形)で、外周面に互いに平行な1対の平坦外面45を有する二面幅形状としている。また、ボス部40aの係合孔42aを、長円形孔(小判形孔)とし、内周面に互いに平行な1対の平坦内面46を有する二面幅形状としている。
本例では、ねじ軸2の第1嵌合軸部11aをストッパ39aの係合孔42aの内側に緩く挿通した状態で、係合孔42aの内周面に備えらえた1対の平坦内面46のそれぞれと、第1嵌合軸部11aの外周面に備えられた1対の平坦外面45のそれぞれとを係合(面接触)させている。これにより、ストッパ39aを第1嵌合軸部11aに対して相対回転不能に非円形嵌合させている。なお、ストッパ39aを構成するボス部40aは、第1嵌合軸部11aに対して圧入状態で非円形嵌合させても良い。
以上のような構成を有する本例では、案内凹溝18の軸方向寸法を、実施の形骸の第1例の構造に比べて短くすることができる。このため、案内凹溝18の加工工数の低減を図れる。したがって、ボールねじ装置1(図2等参照)の製造コストを低減できる。また、ナット3aの外径を、外向フランジ部44から軸方向に外れた部分で小さくできるため、ボールねじ装置1の小型化を図ることもできる。
また、第1嵌合軸部11aの外面形状及び係合孔42aの内面形状を、スプライン歯を形成する場合と比較して、簡略化することができる。このため、加工コストの低減を図ることができ、製造コストの低減を図れる。また、実施の形態の第1例の構造に比べて、第1嵌合軸部11aと係合孔42aとの嵌合長さを確保しやすいため、ストッパ39aの軸方向の厚さを小さくすることができる。したがって、ボールねじ装置1の軸方向寸法を小型化できる。
その他の構成及び作用効果については、実施の形態の第1例と同じである。
[実施の形態の第3例]
実施の形態の第3例について、図9を用いて説明する。
本例では、ナット3の外周面に備えられた案内凹溝18aの断面形状のみを、実施の形態の第1例の構造から異ならせている。
具体的には、ナット3の中心軸に直交する仮想平面に関する案内凹溝18aの断面形状を矩形状としている。つまり、案内凹溝18aを角溝としている。このため、案内凹溝18aの円周方向幅は、径方向にわたり一定である。
案内凹溝18aは、回り止め部材6の直径Dの1/2とほぼ同じ大きさの溝深さを有する。また、ナット3の外周面における案内凹溝18aの円周方向に関する開口幅は、回り止め部材6の直径Dと同じである。
以上のような構成を有する本例では、案内凹溝18aを、フライス盤を利用して容易に加工することができる。このため、ボールねじ装置1(図2等参照)の製造コストの低減を図る上で有利になる。また、案内凹溝18aの隅角部に、断面略三角形状の隙間47を形成することができる。このため、隙間47に十分な量のグリースを保持することができる。したがって、案内凹溝18aに対する回り止め部材6の摺動抵抗を低くできる。
その他の構成及び作用効果については、実施の形態の第1例と同じである。
[実施の形態の第4例]
実施の形態の第4例について、図10を用いて説明する。
本例では、回り止め部材6aの形状のみを、実施の形態の第3例の構造から異ならせている。
具体的には、回り止め部材6aを四角柱形状に構成している。そして、回り止め部材6aのうちの径方向に関する内側部分を、矩形状の断面形状を有する案内凹溝18aの内側にほぼ隙間なく配置している。つまり、回り止め部材6aの周面のうち、径方向に関する内側面を、案内凹溝18aの径方向底面に面接触させ、かつ、回り止め部材6aの円周方向に関する両側面を、案内凹溝18aの周方向側面に面接触させている。
以上のような構成を有する本例では、回り止め部材6aを安価に製造することができる。このため、ボールねじ装置1の製造コストの低減を図る上で有利になる。また、案内凹溝18aの内側で、回り止め部材6aががたつくことを抑制できる。このため、ハウジング5に対してナット3が円周方向にがたつくことを防止できる。
その他の構成及び作用効果については、実施の形態の第1例と同じである。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、発明の技術思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。また、実施の形態の各例の構造は、矛盾を生じない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。
実施の形態の各例では、ハウジングに対して軸方向の相対変位を不能に固定された固定部材である転がり軸受と、転がり軸受と軸方向に対向した対向面である小径段差面との間で、回り止め部材を軸方向両側から挟持することで、回り止め部材をハウジングに対して支持固定する構造について説明した。ただし、本発明を実施する場合に、固定部材は、転がり軸受に限定されず、たとえば、ねじ筒、スペーサ、密封部材など、その他の部材を採用することもできる。また、対向面は、段差面に限定されず、底面など、その他の面を採用することもできる。
また、本発明を実施する場合に、回り止め部材を軸方向両側から挟持する2つの部材は、ハウジングと固定部材に限定されない。たとえば、ハウジングを構成する2つの部材同士の間で回り止め部材を軸方向両側から挟持することもできるし、ハウジングに対して軸方向の変位を不能に固定された2つの固定部材同士の間で回り止め部材を軸方向両側から挟持することもできる。
さらに、本発明を実施する場合に、ハウジングに対する回り止め部材の固定構造は、回り止め部材を軸方向両側から挟持する構造に限定されない。追加的又は代替的に、回り止め部材の軸方向端部を、ハウジング又は固定部材に形成した支持孔に挿通支持する構造などを採用することもできる。
実施の形態の各例では、回り止め部材を、円柱形状又は角柱形状とした場合について説明したが、本発明を実施する場合には、回り止め部材を、半円柱状や三角柱状とすることもできるし、その他の形状とすることもできる。
実施の形態の各例では、案内凹溝の断面形状を、円弧形及び矩形とした場合について説明したが、本発明を実施する場合には、案内凹溝の断面形状は、適宜変更することができる。
実施の形態の各例では、案内凹溝及び回り止め部材を2本ずつ備える場合について説明したが、本発明を実施する場合には、案内凹溝及び回り止め部材を1本ずつ備える構成を採用することもできるし、案内凹溝及び回り止め部材を3本以上ずつ備える構成を採用することもできる。案内凹溝及び回り止め部材を複数本ずつ備える場合には、案内凹溝及び回り止め部材を、円周方向に関して等間隔に配置することもできるし、円周方向に関して不等間隔に配置することもできる。
1 ボールねじ装置
2 ねじ軸
3、3a ナット
4 ボール
5 ハウジング
6 回り止め部材
7 挿通孔
8 負荷路
9 循環溝
10 ねじ部
11、11a 第1嵌合軸部
12 第2嵌合軸部
13 軸側ボールねじ溝
14 雄スプライン歯
15 ナット側ボールねじ溝
16 小径面部
17 大径面部
18、18a 案内凹溝
19 第1係合部
20 ナット挿通部
21 固定孔部
22 係止凹溝
23 シリンダ孔部
24a、24b シール凹溝
25a、25b Oリング
26 底面
27 大径段差面
28 小径段差面
29 転がり軸受
30 外輪
30a 外輪軌道
31 内輪
31a 内輪軌道
32 転動体
33 保持器
34 ピストン
35 円筒部
36 隔壁部
37a、37b 空間
38 コイルばね
39、39a ストッパ
40、40a ボス部
41 第2係合部
42、42a 係合孔
43 雌スプライン歯
44 外向フランジ部
45 平坦外面
46 平坦内面
47 隙間
100 ボールねじ装置
101 ねじ軸
102 ナット
103 ボール
104 進退部材
105 ハウジング
106 軸側ボールねじ溝
107 ナット側ボールねじ溝
108 負荷路
109 キー溝
110 挿通孔
111 キー

Claims (11)

  1. 外周面に螺旋状の軸側ボールねじ溝を有し、使用時に回転運動する、ねじ軸と、
    内周面に螺旋状のナット側ボールねじ溝を有し、使用時に直線運動する、ナットと、
    前記軸側ボールねじ溝と前記ナット側ボールねじ溝との間に配置された、複数のボールと、
    前記ナットを軸方向に挿通可能な挿通孔を有する、ハウジングと、
    前記ハウジングに対する前記ナットの相対回転を阻止する、回り止め部材と、を備え、
    前記ナットは、外周面に、前記回り止め部材と円周方向に係合可能な案内凹溝を有し、
    前記回り止め部材は、軸方向に伸長した軸状部材であり、前記ハウジングに対して支持固定された状態で前記挿通孔の内側に配置され、前記案内凹溝に対して軸方向に摺動可能に係合している、
    ボールねじ装置。
  2. 前記回り止め部材は、軸方向両側から挟持されることで、前記ハウジングに対して支持固定されている、請求項1に記載したボールねじ装置。
  3. 前記ハウジングに対して軸方向の相対変位を不能に固定される固定部材を備え、
    前記ハウジングは、前記固定部材と軸方向に対向する対向面を有し、
    前記回り止め部材は、前記固定部材と前記対向面との間で軸方向両側から挟持されることで、前記ハウジングに対して支持固定されている、
    請求項2に記載したボールねじ装置。
  4. 前記固定部材は、円環形状を有し、前記ハウジングに対して内嵌固定される、請求項3に記載したボールねじ装置。
  5. 前記固定部材は、転がり軸受である、請求項4に記載したボールねじ装置。
  6. 前記ナットは、内周面に循環溝を有し、
    前記案内凹溝は、前記循環溝から円周方向に位置をずらして配置されている、
    請求項1~5のうちのいずれか1項に記載したボールねじ装置。
  7. 前記ナットは、円周方向に関して等間隔複数個所に、前記循環溝を有しており、
    前記案内凹溝は、円周方向位置の近い2つの前記循環溝に対して、円周方向に関して反対側に同じ角度だけ位置をずらして配置されている、
    請求項6に記載したボールねじ装置。
  8. 循環溝を有し、かつ、前記ナットに固定される循環部品を備え、
    前記案内凹溝は、前記循環部品から円周方向に位置をずらして配置されている、
    請求項1~5のうちのいずれか1項に記載したボールねじ装置。
  9. 前記循環部品を、円周方向に関して等間隔複数個所に備えており、
    前記案内凹溝は、円周方向位置の近い2つの前記循環部品に対して、円周方向に関して反対側に同じ角度だけ位置をずらして配置されている、
    請求項8に記載したボールねじ装置。
  10. 前記案内凹溝は、複数備えられており、
    前記回り止め部材は、前記案内凹溝と同数備えられている、
    請求項1~9のうちのいずれか1項に記載したボールねじ装置。
  11. 前記ナットは、径方向外側に向けて突出した外向フランジ部を備えており、
    前記案内凹溝は、前記外向フランジ部にのみ備えられている、
    請求項1~10のうちのいずれか1項に記載したボールねじ装置。
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