JP2002323108A - ボールねじ装置 - Google Patents

ボールねじ装置

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JP2002323108A
JP2002323108A JP2001125622A JP2001125622A JP2002323108A JP 2002323108 A JP2002323108 A JP 2002323108A JP 2001125622 A JP2001125622 A JP 2001125622A JP 2001125622 A JP2001125622 A JP 2001125622A JP 2002323108 A JP2002323108 A JP 2002323108A
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retainer ring
nut member
ball
ball screw
screw device
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JP2001125622A
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English (en)
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Norio Usuki
功雄 臼杵
Masahiro Inoue
昌弘 井上
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Koyo Seiko Co Ltd
Original Assignee
Koyo Seiko Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】保持器リングを用いるボールねじ装置におい
て、保持器リングの軸方向一方への片寄り現象をなくし
て、従来例の不具合を解消すること。 【解決手段】ねじ部材2を非回転かつ軸方向不動に、ま
た、ねじ部材2に対してナット部材1を回転可能かつ軸
方向移動可能に配置したボールねじ装置において、ナッ
ト部材1の回転位相に対して保持器リング4の回転位相
を一定の関係に保つようにしているから、保持器リング
4の軸方向両方への移動量が常に一定に保たれるように
なる。このように、保持器リング4の軸方向移動を規制
する手段として、従来例のようなストッパ部材を用いな
いから、従来例の問題、つまり保持器リング4がストッ
パ部材に当接したときに駆動トルクが上昇するといった
現象を回避できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、保持器リングを用
いるタイプのボールねじ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のこの種のボールねじ装置では、い
ろいろな使用形態が考えられるが、ここでは、説明を簡
単にするために、仮に、ねじ部材を非回転かつ軸方向不
動にして、ナット部材を回転駆動することにより、ナッ
ト部材自身を回転させながら軸方向へ移動させるような
形態で使用する場合を例に挙げて説明する。
【0003】つまり、ナット部材を回転させると、ナッ
ト部材とねじ部材との間に介装されるボールが転動させ
られるとともに、この転動するボールによってそれをボ
ールポケットに保持する保持器リングが押されるので、
保持器リングもボールの公転速度に合わせてナット部材
と同様に回転しながら軸方向に移動することになる。
【0004】このような動作過程において、ボールが純
粋に転動して、不規則な滑りが発生しなければ、保持器
リングは、ボールの理論公転速度と同一速度で回転しな
がら、回転数と螺旋溝リードに応じて軸方向に移動す
る。但し、保持器リングは、ナット部材の回転位相に対
して所定量遅れる。このことは、一般的な転がり軸受で
の保持器リングの回転動作理論に基づき、周知である。
【0005】しかしながら、実際には、ボールが純粋に
転動せずに、不規則な滑りが発生することがあるので、
それに応じて保持器リングの回転位相が上記理想に対し
て進んだり、遅れたりすることになる。特に、この進み
遅れ量は、ナット部材の軸方向移動方向によって、異な
る。
【0006】そのため、ナット部材の回転方向を正逆に
繰り返し反転させていると、保持器リングの回転位相の
進み遅れ量が累積することになって、保持器リングが軸
方向一方へ片寄る現象が発生する。これにより、保持器
リングのボールポケットがナット部材の一方軸端から飛
び出してしまうと、この保持器リングのボールポケット
からボールが脱落してしまう。
【0007】そこで、従来では、例えばねじ部材におい
てナット部材の移動ストローク範囲の両端位置に、保持
器リングの軸方向移動範囲を規制するためのピンや止め
輪などのストッパ部材を1つずつ取り付けるようにして
いる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記従来例では、保持
器リングの軸方向移動範囲をストッパ部材で規制させる
ようにしているが、保持器リングがストッパ部材に対し
て当接したとき、保持器リングが停止させられて、ボー
ルが公転せずに自転して滑るために、ナット部材の駆動
トルクが著しく上昇し、ナット部材をスムーズに移動さ
せられなくなる。
【0009】また、ねじ部材に対してストッパ部材を取
り付けるための孔や溝を設ける必要があるが、これらの
孔や溝をねじ部材に対して形成していると、当該ねじ部
材の製造過程で熱硬化処理を施す際に、前記孔や溝から
クラックが発生しやすくなる。
【0010】このような事情に鑑み、本発明は、保持器
リングを用いるボールねじ装置において、保持器リング
の軸方向一方への片寄り現象をなくして、従来例の不具
合を解消することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明のボールねじ装置
は、請求項1に示すように、ナット部材の内周面に設け
られる螺旋溝とねじ部材の外周面に設けられる螺旋溝と
を複数のボールを介して螺合させた構成で、かつナット
部材とねじ部材との間でトルクを推力に変換させたり、
推力をトルクに変換させたりする構成であって、ナット
部材とねじ部材との対向環状空間に、前記複数のボール
を回転可能に保持する保持器リングが介入されており、
前記ナット部材またはねじ部材の一方を回転側部材とし
たときに、この回転側部材の回転に伴い保持器リングを
前記回転側部材の回転位相に対して一定の関係を保つ状
態で回転させながら前記螺旋溝のリード角に応じて軸方
向に移動させる動力伝達手段を有している、ことを特徴
としている。
【0012】この構成では、ナット部材またはねじ部材
のうち、回転側部材の回転位相に対して保持器リングの
回転位相を一定の関係に保つようにしているから、保持
器リングの軸方向両方への移動量が常に一定に保たれる
ようになる。このように、本発明では、保持器リングの
軸方向移動を規制する手段として、従来例のようなスト
ッパ部材を用いないから、従来例の問題、つまり保持器
リングがストッパ部材に当接したときに駆動トルクが上
昇するといった現象を回避できるようになって、動作の
円滑化を実現できるようになる。しかも、従来例のよう
にナット部材またはねじ部材のいずれか一方に対してス
トッパ部材を取り付けるための孔や溝を形成する必要が
ないから、これら孔や溝を形成する部材を製作過程で熱
処理してもクラックが発生することがなくなる。
【0013】本発明のボールねじ装置は、請求項2に示
すように、上記請求項1において、前記動力伝達手段
が、前記ナット部材の螺旋溝に隣接するランド部に設け
られる内歯と、前記ねじ部材の螺旋溝に隣接するランド
部に螺旋方向に等間隔に設けられる外歯と、これら内歯
と外歯に対してそれぞれ噛合する状態で前記保持器リン
グの円周所要位置に回転可能に保持される遊星歯車とか
ら構成されている、ことを特徴としている。
【0014】この構成では、ナット部材およびねじ部材
に対して内歯および外歯を設け、それらに対して保持器
リングに保持される遊星歯車を噛合させる構成になって
いるから、回転側部材の回転動作によって前記遊星歯車
がボールとほぼ同速度で前記両部材の中心軸線周りに公
転移動することになり、この遊星歯車の公転移動動作に
追従して保持器リングが回転しながら軸方向へ移動させ
られることになる。つまり、遊星歯車が内歯または外歯
に噛合して移動するから、保持器リングが回転側部材の
回転位相に対して一定の関係を保つことになる。また、
保持器リングは、ボールポケットによりボールとの軸方
向位置を拘束されているため、保持器リングの軸方向両
方への移動量は常に一定になる。さらに、この保持器リ
ングは、歯車ポケットにより遊星歯車の軸方向相対位置
を拘束しているため、遊星歯車も保持器リングと共に螺
旋移動動作をすることになる。
【0015】本発明のボールねじ装置は、請求項3に示
すように、上記請求項2において、前記遊星歯車の中心
軸が、前記複数のボールのピッチ円上に配置される、こ
とを特徴としている。
【0016】この構成では、遊星歯車および保持器リン
グがボールと実質的に同一速度で螺旋移動するから、ボ
ールが保持器リングのボールポケットに対して干渉しに
くくなる。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の詳細について図面に示す
実施形態を参照して詳細に説明する。
【0018】図1から図5に本発明の一実施形態を示し
ている。図1は、ボールねじ装置の縦断面図、図2は、
図1の状態からナット部材を軸方向一方へ移動させた状
態を示す縦断面図、図3は、ボールねじ装置の分解斜視
図、図4は、保持器リングに対する遊星歯車の取り付け
部分を示す展開平面図、図5は、遊星歯車および保持器
リングの歯車ポケットを示す斜視図である。
【0019】図例のボールねじ装置では、ナット部材1
の内周面に設けてある螺旋溝1aと、ねじ部材2の外周
面に設けてある螺旋溝2aとの間に、複数のボール3を
介装した構造であり、複数のボール3を保持器リング4
によって転動可能に保持させて循環させない、いわゆる
非循環式と呼ばれる構造になっている。
【0020】ナット部材1の螺旋溝1aとねじ部材2の
螺旋溝2aとは、互いに同じリード角に設定されてい
る。
【0021】また、保持器リング4は、金属板を円筒形
状に形成したものであり、その円周数ヶ所には、ボール
ポケット4aが設けられている。このボールポケット4
aは、軸方向に沿う長孔形状に形成されている。このボ
ールポケット4aは、ナット部材1およびねじ部材2の
螺旋溝1a,2aのほぼ3条分の長さに設定されてお
り、それぞれ2つずつボール3が収納される。
【0022】この実施形態では、上記ねじ部材2が、図
示しないケースなどの固定部分に対して非回転かつ軸方
向不動に取り付けられ、このねじ部材2に対して上記ナ
ット部材1が回転可能かつ軸方向移動可能に配置され
る。
【0023】そして、ナット部材1は、上半分の断面が
ほぼ逆向きコ字形の金属環5の外筒部内周面に対して圧
入により固定されており、この金属環5の外筒部外周面
には、樹脂製ギヤ6が一体成形されている。この樹脂製
ギヤ6に対して、図示しないが、モータなどの回転動力
源が減速ギヤを介して噛合される。
【0024】次に、上述したような構成のボールねじ装
置の動作を説明する。まず、図示しないモータを駆動す
ることによりナット部材1を回転させると、このナット
部材1自身が回転しながらねじ部材2によってガイドさ
れてその軸方向一方へ向けて直線的に移動させられるこ
とになる。例えば図1に示す状態から図2に示す状態に
なる。
【0025】一方、上記モータを前記と逆回転方向に駆
動すると、ナット部材1が前述と逆向きに回転しながら
軸方向他方へ向けて移動させられる。例えば図2に示す
態から図1に示す状態になる。
【0026】このように、モータを正逆方向に駆動する
ことにより、ナット部材1を軸方向で往復移動させるの
である。
【0027】ところで、この実施形態のボールねじ装置
では、上述したように、ナット部材1を回転させながら
軸方向一方へ移動させる過程において、保持器リング4
をナット部材1の回転位相に対して一定の関係を保つ状
態で回転させながら螺旋溝1a,2aのリード角に応じ
て軸方向に移動させる動力伝達手段を有している。
【0028】まず、ナット部材1の螺旋溝1aに隣接す
るランド部には、内歯7が螺旋方向に等間隔に設けられ
ており、また、ねじ部材2の螺旋溝2aに隣接するラン
ド部には、外歯8が螺旋方向に等間隔に設けられてい
る。この内歯7と外歯8の各歯間ピッチは、同一に設定
されている。
【0029】また、上記ナット部材1の内歯7とねじ部
材2の外歯8に対して、保持器リング4の円周所要位置
(例えば3ヶ所)に回転可能な状態で保持される遊星歯
車9がそれぞれ噛合されている。
【0030】これら上記ナット部材1の内歯7と、ねじ
部材2の外歯8と、遊星歯車9とが、前記動力伝達手段
を構成している。
【0031】上記遊星歯車9は、その両端に小径軸部9
a,9aが設けられており、歯車本体部分の軸方向寸法
は、ナット部材1およびねじ部材2のそれぞれ2条のラ
ンド部にまたがる長さに設定されている。この遊星歯車
9は、その中心軸がナット部材1およびねじ部材2の中
心線と平行に配置されるとともに、複数のボール3のピ
ッチ円上もしくはその近傍に位置するように配置され
る。
【0032】さらに、保持器リング4の円周数ヶ所に
は、遊星歯車9を平面から見た形状とほぼ合致する形状
の歯車ポケット4bが径方向内外に貫通して形成されて
いる。
【0033】この歯車ポケット4bにおいて軸方向中間
の幅広部の周方向幅は、遊星歯車9の直径寸法よりも十
分に大きく設定されており、また、歯車ポケット4bに
おいて軸方向両端の幅狭部の周方向幅は、遊星歯車9の
小径軸部9a,9aの直径寸法よりも僅かに大きく設定
されている。これにより、保持器リング4が遊星歯車9
に対して僅かであるものの周方向にずれ動きうるもの
の、遊星歯車9が歯車ポケット4bの幅広部の内壁に対
して接触しないようになっている。
【0034】そして、遊星歯車9の直径は、保持器リン
グ4の肉厚よりも大きく設定されることで、遊星歯車9
が歯車ポケット4bから径方向内外へ突出した状態にな
っており、また、遊星歯車9の軸方向両端に設けられる
小径軸部9a,9aの直径は、保持器リング4の肉厚と
同じか僅かに大きく設定されることで、保持器リング4
に対して周方向で位置決めされた状態になっている。
【0035】ここで、上述した構成を備えた場合の動作
について説明する。
【0036】すなわち、上述した動作説明のようにナッ
ト部材1を回転させながら軸方向へ移動させると、ナッ
ト部材1のランド部に形成してある内歯7と、非回転か
つ軸方向不動のねじ部材2のランド部に形成してある外
歯8とに対して噛合させてある遊星歯車9が、ねじ部材
2の周りを公転させられながら軸方向へ移動させられる
ことになる。
【0037】この遊星歯車9によって保持器リング4
が、ナット部材1の回転位相に対して一定の位相角だけ
遅れてねじ部材2の周りを回転させられながら螺旋溝1
a,2aのリード角に応じて軸方向に移動させられる。
【0038】ちなみに、遊星歯車9を用いない一般的な
ボールねじ装置において、保持器リング4の回転数は、
一般的に、ボール3の公転数とほぼ同じであり、下記の
式で求められる。
【0039】n(r)=0.5{n(i)(1−γ)+
n(o)(1+γ)} γ=D(w)cosα/d(m) 上記において、n(r)は、保持器リング4の回転数、
n(i)はねじ部材2の回転数、n(o)は、ナット部
材1の回転数、D(w)はボール3の直径、d(m)は
ボール3のピッチ円径、αはボール3の接触角である。
【0040】但し、遊星歯車9を用いるボールねじ装置
では、遊星歯車9から見た保持器リング4の回転数は、
ナット部材1を回転させる場合、 n(r)={D(o)/(D(o)+d(i))}n
(o) また、ねじ部材2を回転させる場合、 n(r)={d(i)/(D(o)+d(i))}n
(i) で求められる。上記において、D(o)はナット部材1
の内歯のピッチ円径、d(i)はねじ部材2の外歯のピ
ッチ円径である。
【0041】このように、ナット部材1とねじ部材2と
に対して遊星歯車9を噛合させて、この遊星歯車9に対
して保持器リング4を支持させているので、繰り返し、
ナット部材1を軸方向に往復移動させても、ナット部材
1の回転位相と保持器リング4の回転位相とが常に一定
の関係に保たれることになり、保持器リング4の軸方向
両方への移動量が常に一定になる。
【0042】したがって、ナット部材1が所定の移動ス
トローク範囲を往復移動する過程において、保持器リン
グ4のボールポケット4aが、ナット部材1とねじ部材
2との対向環状空間から飛び出さないように、ナット部
材1に対する保持器リング4の回転遅れ量を予め特定す
るように設計しておけば、ナット部材1の螺旋溝1aと
ねじ部材2の螺旋溝2aとの間からボール3が飛び出す
現象を確実に防止できるようになる。
【0043】なお、遊星歯車9とナット部材の内歯7お
よびねじ部材2の外歯8とのバックラッシ分や、遊星歯
車9の両端の小径軸部9a,9bと保持器リング4の歯
車ポケット4bとの周方向隙間分について、保持器リン
グ4の回転位相が進み遅れすると考えられる。しかし、
前記バックラッシや周方向隙間は、僅かであるので、無
視できる。
【0044】また、上述した動作過程において、仮に何
らかの理由によりボール3が純粋に転動せずに滑ったと
しても、このボール3は保持器リング4によって公転方
向に強制的に動かされるので、保持器リング4の回転位
相が進み遅れせずに済む。但し、この場合、ボール3の
滑り分について、ナット部材1の駆動トルクが若干増加
することが予想される。
【0045】このボール3の滑りについては、上述して
いるように遊星歯車9の中心軸を複数のボール3のピッ
チ円上に配置させることで抑制できる。というのは、遊
星歯車9の中心軸を複数のボール3のピッチ円上に配置
させれば、理論上、遊星歯車9の公転速度とボール3の
公転速度とをほぼ同一にできるからである。ちなみに、
遊星歯車9の中心軸を複数のボール3のピッチ円に対し
て径方向内外にずらして配置していると、ボール3が遊
星歯車9の公転速度に対して進んだりあるいは遅れたり
するために、遊星歯車9で強制的に回転させられる保持
器リング4のボールポケット4aの内壁に対してボール
3が干渉して滑る現象が発生すると考えられる。つま
り、上記のように構成すれば、ボール3の滑り原因のひ
とつを排除できると言える。
【0046】以上説明したように、この実施形態では、
保持器リング4の回転位相を遊星歯車9で制御するよう
にしていて、従来例のようなストッパ部材を用いないか
ら、従来例の問題、つまり保持器リング4がストッパ部
材に当接したときにナット部材1の駆動トルクが上昇す
るといった現象を回避できるようになって、動作の円滑
化を実現できるようになる。しかも、従来例のようにナ
ット部材1またはねじ部材2に対してストッパ部材を取
り付けるための孔や溝を形成する必要がないから、これ
ら孔や溝を形成する部材を製作過程で熱処理してもクラ
ックが発生することがなくなり、製造歩留まりの向上に
貢献できる。
【0047】なお、本発明は上述した実施形態のみに限
定されるものではなく、いろいろな応用や変形が考えら
れる。
【0048】例えば、上記ボールねじ装置については、
ナット部材1またはねじ部材2の一方を回転させること
で他方を軸方向に移動させる使用形態、あるいはナット
部材1またはねじ部材2の一方を軸方向に移動させるこ
とで他方を回転させる使用形態にすることができる。前
者の使用形態については、トルクを推力に変換する正効
率と言い、後者の使用形態については、推力をトルクに
変換する逆効率と言う。
【0049】具体的に、上記正効率では、下記する4パ
ターンが考えられる。
【0050】(A−1)上記実施形態で説明したよう
に、ナット部材1を回転させながら軸方向に移動させ
る。この場合、ねじ部材2を非回転かつ軸方向不動にし
ておいて、ナット部材1を回転駆動させればよい。
【0051】(A−2)ナット部材1を回転させずに軸
方向に移動させる。この場合、ねじ部材2を軸方向不動
にする一方で、ナット部材1を非回転にしておいて、ね
じ部材2を回転駆動させればよい。
【0052】(A−3)ねじ部材2を回転させながら軸
方向に移動させることができる。この場合、ナット部材
1を非回転かつ軸方向不動にしておいて、ねじ部材2を
回転駆動させればよい。
【0053】(A−4)ねじ部材2を回転させずに軸方
向に移動させる。この場合、ねじ部材2を非回転にする
一方で、ナット部材1を軸方向不動にしておいて、ナッ
ト部材1を回転駆動させればよい。
【0054】また、上記逆効率では、下記する4パター
ンが考えられる。
【0055】(B−1)ナット部材1を軸方向不動で回
転させる。この場合、ナット部材1を軸方向不動にする
一方で、ねじ部材2を非回転にしておいて、ねじ部材2
を軸方向に移動させればよい。
【0056】(B−2)ナット部材1を軸方向に移動さ
せながら回転させる。この場合、ねじ部材2を軸方向不
動かつ非回転にしておいて、ナット部材1を軸方向に移
動させればよい。
【0057】(B−3)ねじ部材2を軸方向不動で回転
させる。この場合、ねじ部材2を軸方向不動にする一方
で、ナット部材1を非回転にしておいて、ナット部材1
を軸方向に移動させればよい。
【0058】(B−4)ねじ部材2を軸方向に移動させ
ながら回転させる。この場合、ナット部材1を軸方向不
動かつ非回転にしておいて、ねじ部材2を軸方向に移動
させればよい。
【0059】上記いずれのパターンについても、上述し
たように遊星歯車9で保持器リング4の回転位相および
軸方向移動量を規制させるようにしていれば、ナット部
材1またはねじ部材2のうち、保持器リング4の軸方向
両方への移動量を常に一定の関係を保つことができて、
保持器リング4からボール3が飛び出してしまうという
不具合を無くすことができる。
【0060】
【発明の効果】請求項1の発明に係るボールねじ装置
は、ナット部材またはねじ部材のうち、回転部材の回転
位相に対して保持器リングの回転位相を一定の関係に保
つようにしているから、保持器リングの軸方向両方への
移動量を常に一定に保つことができる。つまり、本発明
では、保持器リングの軸方向移動を規制する手段とし
て、従来例のようなストッパ部材を用いないから、従来
例の問題、つまり保持器リングがストッパ部材に当接し
たときに駆動トルクが上昇するといった現象を回避でき
るようになって、動作の円滑化を実現できるようになる
など、信頼性の向上に貢献できる。しかも、従来例のよ
うにストッパ部材を取り付けるための孔や溝を形成する
必要がないから、当該孔や溝を形成する部材を製作過程
で熱処理してもクラックが発生せずに済むなど、製造歩
留まりの向上に貢献できるようになる。
【0061】請求項2の発明に係るボールねじ装置は、
上記請求項1の動力伝達手段を限定した下位概念に相当
する構成であり、ナット部材およびねじ部材に対して内
歯および外歯を設け、それらに対して保持器リングに保
持される遊星歯車を噛合させる構成になっているから、
回転側部材の回転動作によって前記遊星歯車がボールと
ほぼ同速度で前記両部材の中心軸線周りに螺旋移動する
ことになり、この遊星歯車の螺旋移動動作とほぼ同期し
て保持器リングが回転しながら軸方向へ移動させられる
ことになる。つまり、遊星歯車が内歯または外歯に噛合
して移動するから、保持器リングが回転側部材の回転位
相に対して一定の関係を保つことになって、保持器リン
グの軸方向両方への移動量を常に一定に保つことができ
る。
【0062】請求項3の発明に係るボールねじ装置は、
上記請求項2の遊星歯車の配置関係を限定した下位概念
に相当する構成であり、遊星歯車および保持器リングが
ボールと実質的に同一速度で螺旋移動するから、ボール
が保持器リングのポケットに対して干渉しにくくなるな
ど、ボールの滑り要因を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るボールねじ装置を示す縦断面図
【図2】図1の状態からナット部材を軸方向一方へ移動
させた状態を示す縦断面図
【図3】ボールねじ装置の分解斜視図
【図4】保持器リングに対する遊星歯車の取り付け部分
を示す展開平面図
【図5】遊星歯車および保持器リングの歯車ポケットを
示す斜視図
【符号の説明】
1 ナット部材 1a 螺旋溝 2 ねじ部材 2a 螺旋溝 3 ボール 4 保持器リング 4a ボールポケット 4b 歯車ポケット 7 ナット部材の内歯 8 ねじ部材の外歯 9 遊星歯車

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ナット部材の内周面に設けられる螺旋溝
    とねじ部材の外周面に設けられる螺旋溝との間に複数の
    ボールを介装し、前記ナット部材とねじ部材との間でト
    ルクを推力に変換させたり、推力をトルクに変換させた
    りする構成のボールねじ装置であって、 ナット部材とねじ部材との対向環状空間に、前記複数の
    ボールを回転可能に保持する保持器リングが相対回転可
    能に介入されており、 前記ナット部材またはねじ部材の一方を回転側部材とし
    たときに、この回転側部材の回転に伴い保持器リングを
    前記回転側部材の回転位相に対して一定の関係を保つ状
    態で回転させながら前記螺旋溝のリード角に応じて軸方
    向に移動させる動力伝達手段を有している、ことを特徴
    とするボールねじ装置。
  2. 【請求項2】 請求項1のボールねじ装置において、 前記動力伝達手段が、前記ナット部材の螺旋溝に隣接す
    るランド部に設けられる内歯と、前記ねじ部材の螺旋溝
    に隣接するランド部に螺旋方向に等間隔に設けられる外
    歯と、これら内歯と外歯に対してそれぞれ噛合する状態
    で前記保持器リングの円周所要位置に回転可能に保持さ
    れる遊星歯車とから構成されている、ことを特徴とする
    ボールねじ装置。
  3. 【請求項3】 請求項2のボールねじ装置において、 前記遊星歯車の中心軸が、前記複数のボールのピッチ円
    上に配置される、ことを特徴とするボールねじ装置。
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