JP4134453B2 - 水管ボイラ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、貫流ボイラ,自然循環式水管ボイラ,強制循環式水管ボイラなどの水管ボイラの缶体構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
水管ボイラの缶体構造には、複数本の水管を環状に配置して内側水管列を形成し、この内側水管列の内側を燃焼室とし、前記内側水管列の外側にさらに複数本の水管を環状に配置して外側水管列を形成し、両水管列の間にガス通路を形成したものがある。前記燃焼室内では主に輻射による伝熱が行われ、前記ガス通路では主に対流による伝熱が行われる。
【0003】
前記水管ボイラでは、ボイラ効率の向上を図るために、前記水管に伝熱フィンを設けて伝熱面積を増大させる対策が実施されている。具体的には、前記外側水管列に設けた開口部近傍の所定本数の外側水管に全周フィンを設けて、ボイラ効率の向上を図っているものがある(たとえば、特開平9−133301号公報参照)。しかし、前記全周フィンを設けることにより、ある程度の伝熱量の増加は達成できるものの、前記全周フィンを設けた水管の伝熱面全体を有効に活用するには、さらなる工夫が必要である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この発明が解決しようとする課題は、全周フィンを設けた水管の伝熱面全体を有効に活用して、ボイラ効率のさらなる向上を図ることである。
【0005】
この発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、複数の水管により構成され、第一開口部を備えた環状の第一水管列と、複数の水管により構成され、前記第一開口部に対して約180度反対側に設けられる第二開口部を備えた環状の第二水管列とからなり、前記第一水管列の外側に前記第二水管列を配置するとともに、前記第一水管列の内側に燃焼室を設け、前記燃焼室を出たガスが前記第一開口部で分岐して前記両ガス通路へそれぞれ流入し、前記第二開口部において合流するように前記両水管列の間に前記第一開口部から前記第二開口部へ至るガス通路を対流伝熱流路として形成した水管ボイラにおいて、前記ガス通路に面する前記両水管列の伝熱面をガスの流れに沿って上流側から高温域伝熱面構造、中温域伝熱面構造および低温域伝熱面構造とし、前記高温域伝熱面構造は、前記両水管列をフィン無し水管による水管壁構造とし、前記中温域伝熱面構造は、前記第一水管列を互いに密接された状態で連結された複数の片側フィン付水管による水管壁構造とするとともに、前記第二水管列を互いに縦ヒレにて連結し、前記第一水管列の各水管と周方向にほぼ半ピッチずつずらした状態で配置された複数の片側フィン付水管による水管壁構造とし、前記低温域伝熱面構造は、前記第一水管列を互いに縦ヒレ部材にて連結した複数のフィン無し水管による水管壁構造とし、前記第二水管列を前記第一水管列の各水管と周方向にほぼ半ピッチずつずらすとともに、内側となる前記第一水管列側が前記フィン無し水管にほぼ接触するように配置した複数の全周フィン付水管から構成し、前記第一水管列と反対側となる前記全周フィン付水管の外側には、ガス通路壁として機能するガイド部材がほぼ密着した状態で配置され、前記ガイド部材を前記各全周フィン付水管に沿って凹凸状に形成して前記各全周フィン付水管を構成する水管との間に円弧状のガス通路をそれぞれ形成したことを特徴としている。
【0009】
【発明の実施の形態】
つぎに、この発明の実施の形態について説明する。この発明は、多管式の水管ボイラとして実施され、蒸気ボイラや温水ボイラのほか、熱媒を加熱する熱媒ボイラなどに適用される。
【0010】
複数の水管により環状の第一水管列が形成され、この第一水管列の内側に燃焼室が設けられている。前記第一水管列の外側に、複数の水管により環状の第二水管列が形成され、この第二水管列と前記第一水管列との間にガス通路が設けられている。前記第一水管列には第一開口部が設けられ、この第一開口部により前記燃焼室と前記ガス通路とが連通している。前記第二水管列には第二開口部が設けられ、この第二開口部により前記ガス通路と煙道とが連通している。
【0011】
前記第二水管列は、ガス温度に応じて、上流側が水管壁構造となっており、下流側が複数の全周フィン付水管を互いに所定の間隔をおいて配置した構造となっている。これらの各全周フィン付水管で構成される第二水管列は、前記ガス通路内に挿入された形となり、ガスが前記第二水管列の内外両側を流れ、前記各全周フィン付水管の外周全体にガスが接触して伝熱が行われる。
【0012】
前記各全周フィン付水管の伝熱フィンは、帯状のフィン部材を前記水管の周壁にスパイラル状に巻き付けた構成とする。また、前記伝熱フィンは、複数の円板状のフィン部材をそれぞれ分離させて前記水管の軸方向に多段状に設けた構成とすることもできるし、前記伝熱フィンは、周方向に複数個に分割したフィン部材を前記水管の軸方向に多段状に設けた構成とすることもできる。
【0013】
さらに、前記各全周フィン付水管の外側,すなわち前記各全周フィン付水管で構成される第二水管列の半径方向外側には、ガス通路壁として機能するガイド部材が設けられている。このガイド部材は、ガスを前記各全周フィン付水管の外周,具体的には前記各全周フィン付水管における前記半径方向外側の伝熱面に沿って流すような形状に形成され、たとえば前記各全周フィン付水管の外周に沿って凹凸状に形成されている。また、前記ガイド部材は、前記各全周フィン付水管にほぼ密着して配置され、前記ガイド部材と前記全周フィン付水管を構成する水管との間には、前記全周フィンの突出高さに相当する幅の前記ガス通路が形成されている。
【0014】
ここにおいて、前記ガイド部材の内側,すなわち前記全周フィン付水管側に多数の突起を設けることもできる。この突起を設けることにより、ガスが前記ガイド部材と前記各全周フィン付水管との間を流れる際、ガスの流れが乱されて乱流が促進され、伝熱量が増大する。
【0015】
また、前記第一水管列には、前記水管の軸方向に沿って延在した状態で乱流促進部材を設けることができる。この乱流促進部材は、前記第二水管列の前記全周フィン付水管間へ向けて突出して設けられ、前記全周フィン付水管間にガスが滞留するのを防止するように働くとともに、伝熱フィンとしても作用する。前記乱流促進部材は、たとえば平板状,棒状あるいは断面略L字形状等のフィン部材を用いる。
【0016】
前記構成によれば、前記全周フィン付水管の伝熱面全体を有効に活用して、ボイラ効率をさらに向上させることができる。すなわち、前記全周フィン付水管の外側にガイド部材を設けているので、ガスが前記全周フィン付水管の外周に沿って流れるとともに、ガス流速が増加し、これにより前記全周フィン付水管の伝熱面全体を有効に作用させて伝熱を行うことができ、伝熱量が大幅に増加する。
【0017】
【実施例】
以下、この発明を多管式の貫流ボイラに適用した実施例について、図面を参照しながら説明する。
【0018】
まず、図1および図2に示す第一実施例について説明する。図1は、この発明の第一実施例における縦断面説明図であり、また図2は、図1のII−II線に沿う横断面説明図である。
【0019】
最初にボイラの缶体構成について説明すると、ボイラの缶体は、所定の距離を離して配置された上部管寄せ1および下部管寄せ2を備えている。これらの上部管寄せ1および下部管寄せ2の間には、複数の水管3,3,…が環状に配置されている。これらの各水管3は、水管壁構造をした環状の第一水管列4を形成し、前記各水管3の上下端部は、前記上部管寄せ1および前記下部管寄せ2にそれぞれ接続されている。前記第一水管列4は、その一部に第一開口部5を備えている。前記各水管3は、前記第一開口部5を除いて、密接された状態または第一縦ヒレ部材6,6,…によりそれぞれ連結されている。
【0020】
前記第一水管列4の内側には、燃焼室7が設けられている。この燃焼室7の上方には、バーナ8が取り付けられている。このバーナ8は、前記上部管寄せ1の内方中央部から前記燃焼室7へ向けて挿入されている。また、前記バーナ8は、送風機(図示省略)を備えている。
【0021】
前記第一水管列4の外側には、複数の水管3,3,…が環状に配置されている。これらの各水管3は、環状の第二水管列9を形成し、前記各水管3の上下端部は、前記上部管寄せ1および前記下部管寄せ2にそれぞれ接続されている。前記第二水管列9は、その一部に第二開口部10を備えている。この第二開口部10は、前記第一水管列4の前記第一開口部5に対して約180度反対側に設けられている。前記各水管3間には、前記第二開口部10および前記第二開口部10から所定距離上流側の範囲を除いて、第二縦ヒレ部材11,11,…が設けられ、前記各水管3は前記各第二縦ヒレ部材11でそれぞれ連結されている。前記第一水管列4の各水管3と前記第二水管列9の各水管3とは、周方向にほぼ半ピッチずつずらした状態で配置されている。
【0022】
前記第一水管列4と前記第二水管列9との間には、前記第一開口部5から前記第二開口部10へ至るガス通路12,12が設けられている。この両ガス通路12は、前記第一開口部5を介して前記燃焼室7と連通し、前記第二開口部10を介して煙道13と連通している。したがって、前記燃焼室7を出たガスは、前記第一開口部5で分岐して前記両ガス通路12へそれぞれ流入し、前記第二開口部10において合流して前記煙道13へ流入するようになっている。
【0023】
さて、前記缶体構成において、前記ガス通路12を流れるガスの温度は、前記両水管列4,9への伝熱により下流側へ向かうにしたがって低下していく。そこで、この第一実施例においては、ガス温度の低下の度合いに応じて、前記ガス通路12に面する前記両水管列4,9によって構成される伝熱面構造を、高温域伝熱面構造,中温域伝熱面構造および低温域伝熱面構造の3段階とし、つぎのように設定している。なお、以下の説明においては、前記両ガス通路12は、前記第一開口部5から前記第二開口部10へ至る通路としてほぼ対称となっているので、一方の前記ガス通路12について説明する。
【0024】
まず、高温域伝熱面構造について説明する。前記第一開口部5から前記ガス通路12へ流入したガスの温度は、約1300℃である。ガス温度が約900℃〜約1300℃の高温域においては、前記両水管列4,9は、複数のフィン無し水管A,A,…による水管壁構造となっている。前記フィン無し水管Aは、伝熱フィンを設けない構成となっており、前記水管3の熱負荷が高くなり過ぎないようになっている。また、伝熱フィンを設けない代わりに、前記ガス通路12の幅を若干狭めて流路断面積を小さくすることによりガス流速を増加させ、前記水管3の過熱が生じない熱負荷の範囲内で伝熱量の増加を図る構成とすることができる。
【0025】
つぎに、中温域伝熱面構造について説明する。ガス温度が約500℃〜約900℃の中温域においては、前記両水管列4,9は、複数の片側フィン付水管B,B,…による水管壁構造となっている。前記片側フィン付水管Bは、前記水管3の片側(前記ガス通路12側)に横ヒレ形状の多数の第一伝熱フィン14,14,…が多段状に設けられている。ガス温度が低下すると、体積が減少してガス流速も低下するが、前記片側フィン付水管Bとすることにより、水管1本当たりの伝熱面積が増大し伝熱量が増加する。
【0026】
ここにおいて、前記第一伝熱フィン14は、前記水管3の周壁から前記ガス通路12へ向けて突出する横ヒレ形状でかつほぼ水平に設けられているので、ガスの流通抵抗の増大が抑えられる。加えて、前記中温域は、ガス温度が約900℃以下となっているので、前記第一伝熱フィン14が焼損することがなく、また前記片側フィン付水管Bの熱負荷が高くなり過ぎることもない。
【0027】
また、前記各第一伝熱フィン14の取付けピッチは、上流側の水管3ほど大きく下流側の水管3ほど小さくして,すなわち下流側ほどその取付け枚数を多くして、ガスの流れに沿って伝熱面積が順次増加するように設定し、前記各水管3の熱負荷の均等化を図ることもできる。前記伝熱面積を順次増加させる構成は、前記各第一伝熱フィン14における前記水管3の周壁からの突出高さを下流側ほど高くした構成により実施することもできる。さらに、前記取付けピッチの調節および前記突出高さの調節は、両方組み合わせて実施することもできる。
【0028】
さらに、低温域伝熱面構造について説明する。ガス温度が約500℃以下の低温域においては、前記第一水管列4は、複数のフィン無し水管A,A,…による水管壁構造となっており、前記第二水管列9は、複数の全周フィン付水管C,C,…を互いに所定の間隔をおいて配置した構造になっている。前記全周フィン付水管Cは、第二伝熱フィン15として、帯状のフィン部材が前記水管3の周壁にスパイラル状に巻き付けられている。前記第二水管列9の内外両側をガスが流れ、前記全周フィン付水管Cの外周全体にガスが接触して伝熱が行われるようになっている。
【0029】
ここにおいて、前記全周フィン付水管Cは、その内側となる前記第一水管列4側が前記第一水管列4の前記フィン無し水管Aにほぼ接触した状態で配置されており、また前記第一水管列4と反対側となる前記全周フィン付水管Cの外側には、ガス通路壁として機能するガイド部材16がほぼ密着した状態で配置されている。このガイド部材16は、前記低温域伝熱面構造を構成する部分の隔壁として配置されるもので、その上流側端部は、前記中温域伝熱面構造を構成する前記第二水管列9の最下流側に位置する水管に連結されており、またその下流側端部は、前記第二開口部10の一側を画成する端部となっている。
【0030】
また、前記ガイド部材16は、前記各全周フィン付水管Cの外周,すなわち前記各全周フィン付水管Cで構成される第二水管列9の半径方向外側の伝熱面に沿って凹凸状に形成されており、前記ガイド部材16と前記各全周フィン付水管Cを構成する水管3との間には、円弧状のガス通路12がそれぞれ形成されている。このガス通路12の幅は、前記第二伝熱フィン15の突出高さに相当する。前記ガイド部材16は、ガスを前記各全周フィン付水管Cに沿うように流すとともに、前記各全周フィン付水管Cとの間隔を狭めてガス流速を高めることにより伝熱量を増加させる働きをなす。
【0031】
前記低温域においては、ガスが前記第二水管列9の内外両側を流れるので、前記全周フィン付水管Cの伝熱面を有効に作用させることができるとともに、ガスの流通抵抗を低く抑えることができる。加えて、前記低温域は、ガス温度が約500℃以下となっているので、前記第二伝熱フィン15や前記ガイド部材16の焼損が防止される。すなわち、前記第二伝熱フィン15は、前記中温域の前記第一伝熱フィン14より厚みが薄く形成されており、また前記ガイド部材16は、前記水管3のように冷却媒体となる水との接触がないため、ガス温度が高いと焼損しやすいが、前記低温域のガス温度は、前記中温域における伝熱により約500℃以下に低下しているので、焼損が確実に防止される。さらに、前記全周フィン付水管Cの熱負荷が高くなり過ぎることもない。
【0032】
また、前記第二伝熱フィン15の巻付けピッチは、各水管3とも同じにすることもできるし、下流側の水管3ほど小さくして伝熱面積を順次増加させた構成にすることもできる。伝熱面積を順次増加させると、前記各全周フィン付水管Cの熱負荷の均等化を図ることができる。
【0033】
ところで、この第一実施例においては、前記第二開口部10のほぼ中央部に、ガス案内用水管17を設けている。このガス案内用水管17は、ガスを最下流位置,すなわち前記第二開口部10の両側に位置する2本の前記全周フィン付水管C,Cに沿って案内しながら前記煙道13へ導く働きをなす。前記ガス案内用水管17を設けることにより、最下流位置に位置する前記両全周フィン付水管C,Cにおける伝熱を効果的に行うことができるとともに、前記ガス案内用水管17自体も熱を回収する作用をなし、伝熱量が増加する。この第一実施例においては、前記ガス案内用水管17に前記第二伝熱フィン15が設けられている。
【0034】
前記第二水管列9の外側には、断熱材18が設けられ、さらにその外側に、缶体カバー19が設けられている。
【0035】
前記構成の貫流ボイラにおいて、その作用を説明する。前記バーナ8を作動させると、前記燃焼室7内で燃焼反応が行われ、燃焼反応がほぼ完了した高温のガスが、前記第一開口部5を通って前記ガス通路12へ流入する。前記ガス通路12へ流入したガスは、二方向に分かれて前記ガス通路12を流れる。ガスが前記ガス通路12を流れる際、ガスの熱が前記各水管3内の被加熱流体に伝えられ、ガスの温度は下流側へ行くほど低下する。前記第二開口部10で合流したガスは、前記煙道13から排ガスとして外部へ排出される。そして、前記各水管3内の被加熱流体は、加熱されながら上昇し、前記上部管寄せ1から蒸気として取り出される。
【0036】
前記ガス通路12に面する前記両水管列4,9の伝熱面構造を前記3段階の伝熱面構造とすることにより、伝熱量が増加し、ボイラ効率が格段に向上する。特に、前記中温域および前記低温域の伝熱量が大幅に増加する。しかも、全体的にガスの流通抵抗を増大させることなく、かつ前記水管の熱負荷が高くなり過ぎないようにしつつ、ボイラ効率を向上させることができる。ガスの流通抵抗が増大しないため、能力の比較的小さい送風機を使用することができ、また水管の熱負荷が高くなり過ぎないため、スケールが付着しにくく前記水管の焼損を確実に防止することができる。
【0037】
ここで、前記中温域伝熱面構造を設けることによる効果について、さらに詳細に説明する。前記中温域伝熱面構造を設けることにより、ガス温度をより上流位置で約500℃まで低下させることができ、伝熱量の増加に対して効果の大きい前記低温域伝熱面構造をより上流位置を始点として設けることができる。これは、前記中温域伝熱面構造による伝熱量の増加と相俟って、さらなる伝熱量の増加に頗る効果的である。
【0038】
そして、前記中温域伝熱面構造を設けることにより、前記中温域における前記ガス通路12の長さを短くすることができ、その分、前記水管3の本数を減らすことができる。したがって、缶体の外径を小さくしてスリムな缶体とすることができ、省スペース化を図ることができる。
【0039】
さらに、前記ガイド部材16を設けることによる効果について、より詳細に説明する。前記ガイド部材16を設けることにより、伝熱量の増加に対して効果の大きい前記各全周フィン付水管Cの伝熱面全体を有効に活用することができる。すなわち、ガスが、前記ガイド部材16と前記各全周フィン付水管Cを構成する水管3との間を流れるとともに、前記第一水管列4を構成する水管3と前記各全周フィン付水管Cを構成する水管3との間を流れ、前記各全周フィン付水管Cの内外両側を前記各全周フィン付水管Cに沿うように流れる。また、前記ガイド部材16を設けることにより、前記各全周フィン付水管Cの外側の流路断面積が狭くなり、前記各全周フィン付水管Cの外側を流れるガスの流速が増加し、伝熱量が増加する。また、前記ガイド部材16の凸部(符号省略)が、前記各全周フィン付水管C間にガスが滞留するのを防止して、伝熱量の増加により効果的である。さらに、前記ガイド部材16は、凹凸状に形成されているので、加熱および冷却の繰り返しによる膨張,収縮を吸収して熱応力を緩和することができ、耐久性にも優れている。
【0040】
ところで、前記伝熱面構造によれば、缶体の外壁の温度を低く抑えることもできる。すなわち、ガス温度が相対的に高い前記高温域および前記中温域では、前記第二水管列9を水管壁構造としているため、前記第二水管列9の外側は比較的低温となっている。また、前記低温域においては、ガス温度が低下しているため、前記ガイド部材16の外側は比較的低温になっている。したがって、前記伝熱面構造によれば、前記ガイド部材16および前記断熱材18として比較的耐熱性の低いものを用いることができるとともに、前記断熱材18を厚くする必要がなく、缶体の外径を小さくすることができる。
【0041】
つぎに、図3に示す第二実施例について説明する。ここにおいて、前記第一実施例と同様の構成部材には同一の参照番号を付して、その詳細説明を省略する。さて、この第二実施例においては、前記低温域伝熱面構造を複数の片側フィン付水管B,B,…による水管壁構造としており、各片側フィン付水管Bの伝熱フィンとして乱流促進部材20が設けられている。この乱流促進部材20は、平板状のフィン部材が前記第一水管列4の水管3の周壁にその軸方向に沿って延在した状態で設けられ、その先端部が第二水管列9の全周フィン付水管C間へ向けて突出している。この第二実施例においては、ガイド部材16の凸部(符号省略)を、前記乱流促進部材20の突出高さと同程度になるように、前記第一実施例より前記全周フィン付水管C間への突出高さを高くしている。
【0042】
前記乱流促進部材20を設けることにより、前記ガイド部材16の凸部によるガス滞留防止効果と相俟って、前記全周フィン付水管C間にガスが滞留するのを、より効果的に防止することができる。また、前記乱流促進部材20は、伝熱フィンとしても作用し、伝熱量が増加する。さらに、前記乱流促進部材20は、ガス通路12の半径方向の幅を広げることなく、前記第一水管列4の水管3に前記第二水管列9の全周フィン付水管Cを接触させた状態で設けることができ、ガス流速の維持および缶体のスリム化の点でも効果的である。
【0045】
つぎに、図4〜図7に示す第三実施例〜第六実施例について説明する。これらの第三実施例〜第六実施例は、前記ガイド部材16の変形例を示すものであり、図4〜図7は、要部のみを拡大して示している。ここにおいても、前記各実施例と同様の構成部材には同一の参照番号を付して、その詳細説明を省略する。
【0046】
まず、図4に示す第三実施例について説明する。この第三実施例では、ガイド部材16を、平板を屈曲させて形成している。前記ガイド部材16の凸部21が、尖頭形状をし、各全周フィン付水管C間へ向けてより深く突出しており、各全周フィン付水管C間のガスの滞留を防止するのに効果的である。
【0047】
つぎに、図5に示す第四実施例について説明する。この第四実施例では、ガイド部材16の凸部21におけるガス通路12側に、多数の突起22,22,…を設けている。これらの各突起22は、台形状のフィン部材が水平にまたは傾斜して水管の軸方向に多段に設けられている。前記各突起22は、前記全周フィン付水管C間における乱流を促進するのに効果的である。
【0048】
つぎに、図6に示す第五実施例について説明する。この第五実施例では、ガイド部材16の内側,すなわち前記全周フィン付水管C側に多数の突起22,22,…が設けられている。これらの各突起22は、三角形状のフィン部材が前記ガイド部材16の内側全面に設けられている。前記各突起22を設けることにより、全周フィン付水管Cを構成する水管と前記ガイド部材16との間においてガスの流れが乱され、乱流が促進されて伝熱量が増大する。
【0049】
さらに、図7に示す第六実施例について説明する。この第六実施例では、ガイド部材16として波板を用いて形成することにより、前記ガイド部材16の内側,すなわち前記全周フィン付水管C側に多数の突起22,22,…を形成している。これらの各突起22の作用は、前記第五実施例と同様である。
【0050】
この発明によれば、全周フィン付水管の伝熱面全体を有効に活用して、ボイラ効率をさらに向上させることができる。すなわち、全周フィン付水管の外側にガイド部材を設けているので、ガスが全周フィン付水管の外周に沿って流れるとともに、ガス流速が増加し、これにより全周フィン付水管の伝熱面全体を有効に作用させて伝熱を行うことができ、伝熱量を格段に増加させることができる。
また、缶体の外径を小さくしてスリムな缶体とすることができ、省スペース化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明における第一実施例の縦断面説明図である。
【図2】図1のII−II線に沿う横断面説明図である。
【図3】この発明における第二実施例の横断面説明図である。
【図4】この発明における第三実施例の要部を拡大して示す横断面説明図である。
【図5】この発明における第四実施例の要部を拡大して示す横断面説明図である。
【図6】この発明における第五実施例の要部を拡大して示す横断面説明図である。
【図7】この発明における第六実施例の要部を拡大して示す横断面説明図である。
【符号の説明】
3 水管
4 第一水管列
5 第一開口部
7 燃焼室
9 第二水管列
10 第二開口部
16 ガイド部材
20 乱流促進部材
22 突起
C 全周フィン付水管
Claims (1)
- 複数の水管3により構成され、第一開口部5を備えた環状の第一水管列4と、複数の水管3により構成され、前記第一開口部5に対して約180度反対側に設けられる第二開口部10を備えた環状の第二水管列9とからなり、前記第一水管列4の外側に前記第二水管列9を配置するとともに、前記第一水管列4の内側に燃焼室7を設け、前記燃焼室7を出たガスが前記第一開口部5で分岐して前記両ガス通路12へそれぞれ流入し、前記第二開口部10において合流するように前記両水管列4、9の間に前記第一開口部5から前記第二開口部10へ至るガス通路12を対流伝熱流路として形成した水管ボイラにおいて、
前記ガス通路12に面する前記両水管列4、9の伝熱面をガスの流れに沿って上流側から高温域伝熱面構造、中温域伝熱面構造および低温域伝熱面構造とし、
前記高温域伝熱面構造は、前記両水管列4、9をフィン無し水管Aによる水管壁構造とし、
前記中温域伝熱面構造は、前記第一水管列4を互いに密接された状態で連結された複数の片側フィン付水管Bによる水管壁構造とするとともに、前記第二水管列9を互いに縦ヒレ11にて連結し、前記第一水管列4の各水管と周方向にほぼ半ピッチずつずらした状態で配置された複数の片側フィン付水管Bによる水管壁構造とし、
前記低温域伝熱面構造は、前記第一水管列4を互いに縦ヒレ部材6にて連結した複数のフィン無し水管Aによる水管壁構造とし、前記第二水管列9を前記第一水管列4の各水管と周方向にほぼ半ピッチずつずらすとともに、内側となる前記第一水管列4側が前記フィン無し水管Aにほぼ接触するように配置した複数の全周フィン付水管Cから構成し、
前記第一水管列4と反対側となる前記全周フィン付水管Cの外側には、ガス通路壁として機能するガイド部材16がほぼ密着した状態で配置され、前記ガイド部材16を前記各全周フィン付水管Cに沿って凹凸状に形成して前記各全周フィン付水管Cを構成する水管3との間に円弧状のガス通路をそれぞれ形成した
ことを特徴とする水管ボイラ。
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