JP4133385B2 - 天板付家具 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、天板を配置方向の異なる複数の係合部材を介して支持体にスライド移動により取り付けるに際して、それらの係合部材の共用化を図った天板付家具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
天板付家具は、天板の左右2箇所を支持体に取り付けて構成されるのが通例であり、その取付作業の便を向上させるべく、支持体に天板を載せ置き、この天板を支持体に対し相対的にスライド移動させることによって、天板と支持体との間に構成したダルマ孔等の係合孔と段付ピン等の突出部からなるスライド係合機構を通じて、当該天板の左右を支持体の対応部位に係り合わせて取り付ける構造を採用していることが多い。スライド係合機構は、スライド始端位置で天板を支持体に載せ置いた際に突出部の突出端側を係合孔の挿脱口に挿入し、天板のスライド終端位置で突出部の突出端側を前記係合孔の挿脱口の隣接位置に設けた小孔等の規制部に引き込んで上下方向に係り合わせる構造をなすもので、規制部は挿脱口に対して天板のスライド方向に合致させて設けられている。
【0003】
このうち、木製天板等では、天板本体に係合孔や突出部を一体に作り込むことができないため、例えば特許文献1に見られるように、天板の下面に係合部材を取り付け、この係合部材と支持体との間に前記のスライド係合機構を構成するようにしているのが通例であり、左右の係合部材に共通部材を用いてコストダウンを図っている。
【0004】
【特許文献】
特開平11−164739号 公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近時のオフィスにおけるOA化の進展に伴って、机上におけるデスクワークはペーパー作業からコンピュータを使用した作業へとその大半が移行した。そして、このような作業形態の変化に伴って、天板付家具には、往来の矩形天板から次第にL字形天板などの異形天板を採用したものが増えている。
【0006】
しかして、このような異形天板を支持する際は、左右の支持体を係合部材と共に異なる方向に配置しなければならないケースが少なくなく、これに伴って係合孔に対する突出部の相対的なスライド係合方向も相異してくるため、左右の係合部材等を別仕様のものにしなければ左右同時のスライド係合動作を実現できなくなる可能性があり、部品の共通化によるコストダウンのメリットが損なわれるおそれがある。
【0007】
このような不具合は、木製以外の異形天板であっても複数の係合部材を使用することで天板への複雑な作り込みを回避する場合等には同様に起こり得、異形天板でなくとも荷重支持構造や下肢空間等との関係から複数の係合部材を向きを異ならせて配置する場合には同様に起こり得るものである。
【0008】
本発明は、このような課題に着目してなされたものであって、天板を配置方向の異なる複数の係合部材を介して支持体にスライド移動により取り付ける構成を採用しても、係合部材を共用化する有効な構造を備えた天板付家具を実現しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような構成を採用したものである。
【0010】
すなわち、本発明は、支持体に、少なくとも下面2箇所に係合部材を取り付けた天板を載せ置き、この天板を支持体に対し相対的にスライド移動させることによって、支持体と各係合部材との間に構成されるスライド係合機構を介して、天板を少なくとも2箇所において支持体に同時に接続するようにしたものであって、スライド係合機構が、支持体または係合部材の一方に設けた突出部と、この突出部を挿入すべく他方に設けた係合孔とを具備し、スライド始端位置で天板を支持体に載せ置いた際に突出部の突出端側を係合孔の挿脱口に挿入し、天板のスライド終端位置で突出部の突出端側を前記係合孔の挿脱口の隣接位置に設けた規制部に引き込んで上下方向に係り合わせるようにしている天板付家具を対象とする。
【0011】
そして、係合部材の配置方向が互いに異なっても突出部が係合孔に同時に係り合うように、係合孔を、挿脱口に対して規制部を異なる方向に複数設けてなるものにして、両係合部材の何れかの規制部が挿脱口に対して同一方向を向くように設定したことを特徴とする。
【0012】
このようにすれば、係合部材の仕様としては一つで済むので、別仕様の係合部材を採用する場合に比べて部品製作の面で確実に有利となる。このようなメリットは、1つの天板付家具につき使用する係合部材が増えるにつれて、その効果は格段に顕著となる。
【0013】
具体的な実施の態様としては、以下のようなものが挙げられる。
【0014】
1)スライド係合機構が、支持体に設けた突出部たる段付ピンと、この段付ピンを挿入すべく係合部材に設けた係合孔たるダルマ孔とを具備し、スライド始端位置で天板を支持体に載せ置いた際に段付ピンの突出端側をダルマ孔の挿脱口に挿入し、天板のスライド終端位置で段付ピンの突出端側をダルマ孔の挿脱口の隣接位置に設けた規制部たる小孔に引き込んで上下方向に係り合わせるようにしたものであり、ダルマ孔を、一の挿脱口に対して小孔を異なる方向に複数設けてなる二股ないし多数股形状にしたもの。
【0015】
2)スライド係合機構が、係合部材に設けた突出部たる段付ピンと、この段付ピンを挿入すべく支持体に設けた係合孔たるダルマ孔とを具備し、スライド始端位置で天板を支持体に載せ置いた際に段付ピンの突出端側をダルマ孔の挿脱口に挿入し、天板のスライド終端位置で段付ピンの突出端側をダルマ孔の挿脱口の隣接位置に設けた規制部たる小孔に引き込んで上下方向に係り合わせるようにしたものであり、ダルマ孔を、一の挿脱口に対して小孔を異なる方向に複数設けてなる二股ないし多数股形状にしたもの。
【0016】
3)スライド係合機構が、係合部材に設けた突出部たる係合爪と、この係合爪を挿入すべく支持体に設けた係合孔たるフック孔とを具備し、スライド始端位置で天板を支持体に載せ置いた際に係合爪の突出端側をフック孔の挿脱口に挿入し、天板のスライド終端位置で係合爪の突出端側をフック孔の挿脱口の隣接位置に設けた規制部たる小幅部に引き込んで上下方向に係り合わせるようにしたものであり、フック孔を、一の挿脱口に対して小幅部を異なる方向に複数設けたもの。
【0017】
2つの係合部材の配置方向が所定角度異なる場合には、係合孔の規制部を同一角度をなして異なる2方向に設けておけばよく、例えば天板が平面視L字形をなす異形天板であって、係合部材が支持体とともに方向を90°異ならせて配置される場合には、係合孔を、挿脱口に対して90°異なる方向に2つの規制部を具備するものにすればよい。
【0018】
また、本発明は次のように構成することによっても同様の目的を達成することができる。
【0019】
すなわち、支持体に、少なくとも下面2箇所に係合部材を取り付けた天板を載せ置き、この天板を支持体に対し相対的にスライド移動させることによって、支持体と各係合部材との間に構成されるスライド係合機構を介して、天板を少なくとも2箇所において支持体に同時に接続するようにしたものであって、スライド係合機構は、支持体に設けた突出部と、この突出部を挿入すべく係合部材に設けた係合孔とを具備し、スライド始端位置で天板を支持体に載せ置いた際に突出部の突出端側を係合孔の挿脱口に挿入し、天板のスライド終端位置で突出部の突出端側を前記係合孔の挿脱口の隣接位置に設けた規制部に引き込んで上下方向に係り合わせるようにしたものであり、係合部材の配置方向が互いに異なっても突出部が係合孔に同時に係り合うように、係合部材を、上面及び下面に係合孔を設けてなる中空構造とし、一方の係合部材に対し他方の係合部材を上下反転させることによって、両係合部材の規制部が挿脱口に対して同一方向を向くようにしたもの。
【0020】
このようにしても、上下反転すれば左右の係合部材として使用できるため、仕様の共通化が図れる点では上記のものと同様である。
【0021】
支持体の具体的な実施の態様としては、当該支持体が、所定角度をなして平面視ハの字形または逆ハの字形に配置した一対の支持要素を具備しているものが挙げられる。
【0022】
本発明の好適な適用例としては、天板が異形天板であるもの、天板が木製天板であるものが挙げられる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0024】
この実施形態の天板付家具1は、図1に示すように支持体2に異形天板3を載せ置き、この異形天板3を支持体2に対し図8に矢印で示すように相対的にスライド移動させることによって、異形天板3の少なくとも2箇所を支持体2の対応部位に、その間に介在させたスライド係合機構5を介して同時に接続するようにしたものである。
【0025】
図1に示す支持体2は、主たる支持要素である一対の袖構造体4と、補助的な支持要素であるコーナー脚6とを具備する。袖構造体4は、図1、図2、図4、図5及び図6等に示すように、上壁4A、底壁4B、側壁及4C及び背壁4Dによって5面を閉止し前面側を開口させた収納空間を形成してなる筐体40と、この筐体40の収納空間に出し入れ可能に収容される上下3組の引出し4E1,4E2,4E3とを備えた自立性のあるものである。背壁4Dには、後上方に向けて突出するオプション取付部材4Fが取り付けてある。コーナー脚6は、図1に示すように角パイプ状のもので、直交2面における前記オプション取付部材4Fの対応位置にオプション取付部材6Aを有している。そして、一対の袖構造体4を所定角度(90°)向きを変えて離間配置し、かつコーナー脚6の直交2面のうちの各面が各々最寄の袖構造体4の背壁4Dとそれぞれ面一となる位置に配置して、各袖構造体4とコーナー脚6との上端部間にそれぞれ角パイプ状のフレーム部材7を架け渡して固定することにより、これら一対の袖構造体4とコーナー脚6とを相互に接続して構造物として一体化している。
【0026】
一方、異形天板3は、図2、図3、図8等に示すように、前記一対の袖構造体4及びコーナー脚6の上方をほぼ覆う大きさの平面視L字形をなす木製のものである。反使用縁3bは直交2辺をなし、各辺の中間部やコーナー部等には、それぞれ使用縁3a側に凹む凹所3C,3Dが設けてある。また、この異形天板3の使用縁3a側は、袖構造体4に支持される端部領域が対応する反使用縁3bの辺と平行をなし、コーナー脚6と対面する中央領域はコーナー脚6側に向けて大きく抉った形状をなし、これら中央領域と端部領域との間が滑らかに連続させてある。このような異形天板形状は、主として中央領域に着座した者が、コーナー部にPCのモニターやキーボード等を無理なく有効活用でき、また、左右両側に位置する天板面3Aをサイドデスク的に有効利用できる環境を提供するためのものである。しかしてこの異形天板3は、反使用縁3bの直交2辺がなす内角を2等分する直線を境にして、平面視左右対称形状をなしている。
【0027】
そして、本実施形態は前記スライド係合機構5を、袖構造体4の上壁4Aに取り付けた天板取付部材5Aと、天板3の下面3Bに取り付けた係合部材5Bとの間に構成している。
【0028】
天板取付部材5Aは、図1〜図6等に示すように、袖構造体4の上壁4Aの内側に収まる平面形状をなす底板5A1と、この底板5A1の左右両縁より起立する起立片5A2及び前縁より起立する起立片5A4とを具備するスチール製のもので、左右の起立片5A2の前後2箇所に、起立端から相寄る向きに水平片5A3を形成し、前側の起立片5A4にも前方へ突出させた水平片5A5を形成している。一方、係合部材5Bは、図1〜図3並びに図7等に示すように、底板5B1及び起立片5B2によってチャネル構造をなしその起立端から相離れる向きに取付片5B3を突出させてなるもので、この係合部材5Bを異形天板3の下面3Bに対して、当該異形天板3の所定取付位置において前記袖構造体4の天板取付部材5Aに対向することとなる部位に取り付けている。この係合部材5Bは、その長手方向を天板3の反使用縁3b側の辺に平行な方向(換言すれば、袖構造体4の幅方向、引出し4E1、4E2,4E3の出し入れと直交する方向)に合致させて配置される。
【0029】
そして、天板取付部材5Aの底壁5A1における後端部側に左右一対の取付孔(図示省略)を設けて突出部たる段付ピン8を上方からねじ込んで取り付ける一方、係合部材5Bの底板5B1に前記一対の取付孔と同一ピッチで長手方向2箇所に係合孔たるダルマ孔5B4を形成して、スライド始端位置P(図8参照)で異形天板3を袖構造体4に載せ置いた際に図7(a)に想像線で示すように段付ピン8の突出端側の頭部81をダルマ孔5B4の大径な挿脱口5B41に挿入し、天板3のスライド終端位置Q(図8参照)で前記頭部81を同図(b)、(c)、(d)に示すように前記挿脱口5B4の隣接位置に設けた規制部たる小孔5B42、5B43の何れか一方に引き込んで上下方向に係り合わせるようにしている。小孔5B42,5B43は段付ピン8の軸部82よりも開口が大きく頭部81よりも開口が小さく設定されており、挿脱口5B41の略中心から小孔5B42,5B43の略終端までの距離は、異形天板3をスライド移動させる距離に対応している。
【0030】
その際、この天板付家具1が異形天板3を2箇所において支持すべく袖構造体4を所定角度(90°)向きを変えて配置していることより、袖構造体4に取り付ける天板取付部材5Aや異形天板3の対応部位に取り付ける係合部材5Bの配置方向も図1、図2、図9等に明らかなように同一角度(90°)異なってくる。そこで、このような状況下においても、これら天板取付部材5Aや支持部材5Bを各袖構造体4に共通部材として使用して袖構造体4の段付ピン8と異形天板3側のダルマ孔5B4との係合を有効に実現することができるように、且つそのスライド係合を均等に行うことができるように、係合部材5Bに設けるダルマ孔5B4の形状及び向きに工夫を凝らしている。
【0031】
先ず、この実施形態は、スライド移動方向を、図8に示すように異形天板3の使用縁3aや反使用縁3bの内角を二等分する二等分線方向(45°方向)に設定する。使用縁3aの内角は直線をなす端部領域の角度に相当する。これは、スライド係合機構5が所定角度(90°)をなして平面視ハの字形に一対に配置されている点に着目すれば、スライド移動方向は前記両スライド係合機構5のなす角を二等分する二等分線(以下「中心線CL」)方向であるとも言える。そして、そのために必要な要件として、着座者から見て右側の袖4構造体の対応部位に位置する係合部材5Bのダルマ孔5B4と、左側の袖構造体4の対応部位に位置する係合部材5Bのダルマ孔5B4とは、ともに挿脱口5B41から前記中心線CL方向に向いている必要がある。右側の係合部材5Bと左側の係合部材5Bとは90°配置が異なるから、仮に図10に示すように1つの挿脱口5B41ついて1つのみの小孔5B42を有する一般的なダルマ孔5B4の場合について右側の係合部材5Bを右、左何れに旋回させて左側の係合部材5Bとして使用しても、小孔5B42は二等分線と直交する方向を向き、二等分線方向を向くことはない。そこで、本実施形態は図3、図7、図8等に示すように、係合部材5Bのダルマ孔5B4に90°異なる方向にもう1つ小孔5B43を設けた二股形状を採用し、この係合部材5Bを90°回転させて左側の係合部材5Bとして配置したときに、そのもう一つの小孔5B43を前記中心線CL方向を向かせるようにしている。
【0032】
なお、この実施形態は、前記オプション取付部材4F、6Aを利用して、図1、図8、図9等に示すように、異形天板3の反使用縁3bの2辺にそれぞれパネル9を取り付け、またコーナー部にコーナーボックス10を取り付けるようにしている。パネル9を取り付けることにより、前記凹所3C,3Dは、異形天板3とパネル9の前面9Bとの間に配線類を落とし込むための空間として機能する。
【0033】
また、この天板付家具1は、異形天板3をスライド始端位置Pに誘導する位置決め機能と、異形天板3をスライド終端位置Qに固定する固定機能とを備えている。位置決め機能は、前記パネル9やコーナーボックス10を利用することによって働くもので、図8に想像線で示すように、異形天板3の反使用縁3b側のコーナー部及び2辺をコーナーボックス10やパネル9の前面9Bに突き当てることをもって、左右の袖構造体4におけるダルマ孔5B4の挿脱口5B41と段付ピン8とが合致する位置決めがなされるように設定している。段付ピン8が挿脱口5B41に挿入されると、異形天板3の天板面3Aが沈み込んでパネル9の上端9Aと略同一高さとなるようにして、目視と操作感によってスライド操作の準備ができたことを確認できるようになっている。また、固定機能は、図1〜図3等に示すように、前記袖構造体4の上壁4Aに設けた天板取付部材5Aの前端側における起立片5A4と、異形天板3の下面3Bの対応部位に設けた起立片11Aを有する被固定部材11との協働作用により働くもので、異形天板3をスライド終端位置Qまで移動させたとき、両起立片同士5A4、11Aが突き当たるか若しくは近接して対面する位置関係にそれらを設定している。そして、袖構造体4の前端側から固定部材の起立片5A4にねじ11Bを挿し通して被固定部材11の起立片11Aに締めこむことによって、異形天板3をそのスライド終端位置Qに固定するようにしている。
【0034】
次に、この実施形態における異形天板3の支持体2への取付手順について説明する。
【0035】
先ず、異形天板3を、本来固定すべき位置よりも後方に変位させて支持体2に載せ置く。このとき、異形天板3の反使用縁3b側のコーナー部をパネル9のコーナー部に突き当てれば、ダルマ孔5B4の挿脱口5B41と段付ピン8とを合致させる位置決めがなされ、載せ置いて異形天板3が沈み込んだときに段付ピン8の頭部81をダルマ孔5B4の挿脱口5B41に挿入することができる。次に、異形天板3に設けられた配線落とし込み用の凹所3D,3C等を利用し、その適宜部位を把持して、これを前記中心線方向にスライド移動させる。常に中心線方向に移動させることが好ましいが、段付ピン8とダルマ孔5B4の間にはクリアランスが存在し、そのクリアランスから多少の蛇行は許容されるため、操作し易ければその許容範囲で図8に矢印で示すようにジグザグに操作して、右側の袖構造体4における係合と左側の袖構造体4における係合とを交互に進行させるようにしてもよい。そして、異形天板3がスライドし得なくなった位置、すなわちスライド終端位置Qにまで移動したときに、袖構造体4の正面側からねじ止めすることによって、図8及び図9に示すように異形天板3の支持体2への取り付け作業を完了することができる。
【0036】
以上のように、本実施形態の天板付家具1は、支持体2に、下面2箇所に配置方向の異なる係合部材5B、11を取り付けた天板3を載せ置き、この天板3を支持体2に対し相対的にスライド移動させることによって、支持体2と各係合部材5B、11との間に構成されるスライド係合機構5を介して、天板3を2箇所において支持体2に同時に接続するようにしたものである。そして、スライド係合機構5が、支持体2に設けた突出部たる段付ピン8と、この段付ピン8を挿入すべく係合部材5Bに設けた係合孔たるダルマ孔5B4とを具備し、スライド始端位置Pで天板3を支持体2に載せ置いた際に段付ピン8の突出端側をダルマ孔5B4の挿脱口5B41に挿入し、天板3のスライド終端位置Qで段付ピン8の突出端81側をダルマ孔5B4の挿脱口5B41の隣接位置に設けた規制部たる小孔5B42,5B43に引き込んで上下方向に係り合わせるようにしたものであり、そのダルマ孔5B4を、一の挿脱口5B41に対して小孔5B42,5B43を異なる方向に複数設けてなる二股形状のものにしているものである。
【0037】
このようにすれば、係合部材5Bの仕様としては一つで済むので、別仕様の係合部材を採用する場合に比べて部品製作の面で確実に有利となる。このようなメリットは、1つの天板付家具1につき使用する係合部材が増えるにつれてその効果は格段に顕著となるので、本実施形態を例えば中間にも支持要素を設けて異形天板3を3箇所で支持するような形態に変更するような場合、係合部材5Bの配置方向が3方向となるので2つの小孔5B42,5B43の間にもう一つ小孔を追加して、係合孔を一の挿脱口5B41に対して3方向に小孔を有してなる3股形状にすることで容易に対応することができる。また、このような構造をなす天板付家具1であれば、例えば2つの係合部材5Bを同じ方向に配置した場合に、天板3を異なる方向にスライドさせて取り付けるという別異の取り付け態様も実施できるので、本発明のような用途を有することを前提として、周辺取付事情に応じて取付作業の変更を可能ならしめるという副次的な効果も得られるものである。
【0038】
また、係合孔の小孔の方向5B42,5B43を確定するにあたり、本実施形態のように2つの係合部材5B、11の配置方向が所定角度(90°)異なる点に着目して、当該小孔間を同一角度(90°)となるように設計することとすれば、設計基準が明確となり、加工や組立て間違いの起こり難いものにすることができる。
【0039】
以上のような構成であるから、本発明は、上記実施形態のように支持体が所定角度をなして平面視ハの字形または逆ハの字形に配置した一対の支持要素を具備している天板付家具、天板が異形天板である天板付家具、天板が木製天板である天板付家具などに適用して特に優れた効果を奏するものである。
【0040】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではない。
【0041】
例えば、上記実施形態ではL字型の異形天板3のスライド方向を内角を二等分する方向としているが、例えば図10に示すような方向にスライドさせる場合であれば、係合孔5B4の規制部5B42,5B43を同図に示すようなものにすれば係合部材を90°回転させるだけで共用することができる。
【0042】
また、上記実施形態では、スライド係合機構5が、図11(a)に示すように固定である支持体5A側に段付ピン8を設け(図において段付ピン8に入れたハッチはそれが固定であることを表わしている)、可動である天板5B側にダルマ孔5B4を設けたが、同図(b)に示すように固定である支持体5A側に係合孔150B4を設け(図において係合孔150B4周辺に入れたハッチは係合孔150B4が固定であることを表わしている)、可動である天板5B側に段付ピン8を設けても、同様の作用効果を奏することができる。
【0043】
さらに、図12に示すように、固定である支持体5A側に突出部たる係合爪13を設け、可動である天板5B側にこの係合爪13が移動することにより係合するフック孔250B4を設けるようにした場合に、係合部材として、フック孔250B4を、係合爪13を挿脱可能な挿脱口250B41から2方向に小幅部250B42,250B43を延伸させてなるものにすれば、上記と同様の作用効果を奏することができる。
【0044】
さらにまた、図13に示すように、係合部材14を、上面14A及び下面14Bに係合孔350B4を設けてなる中空構造とし、一方の係合部材14(a)に対し他方の係合部材14(b)を上下反転させることによって両係合部材の規制部350B42が挿脱口350B41に対して同一方向を向くようにしたものであっても、上記と同様の作用効果を得ることができる。この場合は、規制部350B42は基本的に1つでよく、また係合部材14を角パイプ構造等にできるため強度アップも期することができるものとなる。
【0045】
その他、係合孔を挿脱口を中心とした十字形状にしたり、回転方向のスライド移動によって異なる向きに配置された複数の係合部材に対し係合状態を同時に実現するようにしたものに適用するなど、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0046】
【発明の効果】
本発明は、以上説明した構成であるから、天板を配置方向の異なる複数の係合部材を介して支持体にスライド移動により取り付ける必要のある天板付家具において、それらの係合部材を有効に共用化することにより、コストアップを伴わずに取付作業の便を確保した天板付家具を提供することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る天板付家具を、支持体に異形天板を取り付ける前の状態において示す斜視図。
【図2】同正面図。
【図3】異形天板の下面を係合部材等とともに示す分解斜視図。
【図4】同実施形態の支持要素たる袖構造体を示す平面図。
【図5】同正面図。
【図6】同側面図。
【図7】同実施形態の係合部材をこれに設けられた係合孔たるダルマ孔と突出部たる段付ピンの相互作用と共に示す説明図。
【図8】同実施形態に係る天板付家具を、支持体に異形天板を取り付けた状態において示す平面図。
【図9】同正面図。
【図10】本発明の変形例を示す図。
【図11】本発明の他の変形例を示す図。
【図12】本発明のさらに他の変形例を示す図。
【図13】本発明の上記以外の変形例を示す図。
【符号の説明】
1…天板付家具
2…支持体
3…天板(異形天板)
5…スライド係合機構
5B4…係合孔(ダルマ孔)
5B41…挿脱口
5B42…規制部(小孔)
5B43…規制部(小孔)
8…突出部(段付ピン)
13…係合爪
14…係合部材
14A…上面
14B…下面
81…突出端側(頭部)
250B4…フック孔
250B41…挿脱口
250B42…規制部
250B43…規制部
350B4…係合孔
350B42…規制孔
P…スライド始端位置
Q…スライド終端位置

Claims (10)

  1. 支持体に、少なくとも下面2箇所に係合部材を取り付けた天板を載せ置き、この天板を支持体に対し相対的にスライド移動させることによって、支持体と各係合部材との間に構成されるスライド係合機構を介して、天板を少なくとも2箇所において支持体に同時に接続するようにしたものであって、
    スライド係合機構は、支持体または係合部材の一方に設けた突出部と、この突出部を挿入すべく他方に設けた係合孔とを具備し、スライド始端位置で天板を支持体に載せ置いた際に突出部の突出端側を係合孔の挿脱口に挿入し、天板のスライド終端位置で突出部の突出端側を前記係合孔の挿脱口の隣接位置に設けた規制部に引き込んで上下方向に係り合わせるようにしたものであり、
    係合部材の配置方向が互いに異なっても突出部が係合孔に同時に係り合うように、係合孔を、挿脱口に対して規制部を異なる方向に複数設けてなるものにして、両係合部材の何れかの規制部が挿脱口に対して同一方向を向くようにしていることを特徴とする天板付家具。
  2. スライド係合機構は、支持体に設けた突出部たる段付ピンと、この段付ピンを挿入すべく係合部材に設けた係合孔たるダルマ孔とを具備し、スライド始端位置で天板を支持体に載せ置いた際に段付ピンの突出端側をダルマ孔の挿脱口に挿入し、天板のスライド終端位置で段付ピンの突出端側をダルマ孔の挿脱口の隣接位置に設けた規制部たる小孔に引き込んで上下方向に係り合わせるようにしたものであり、
    係合部材の配置方向が互いに異なっても段付ピンがダルマ孔に同時に係り合うように、ダルマ孔を、一の挿脱口に対して小孔を異なる方向に複数設けてなる二股ないし多数股形状のものにした請求項1記載の天板付家具。
  3. スライド係合機構は、係合部材に設けた突出部たる段付ピンと、この段付ピンを挿入すべく支持体に設けた係合孔たるダルマ孔とを具備し、スライド始端位置で天板を支持体に載せ置いた際に段付ピンの突出端側をダルマ孔の挿脱口に挿入し、天板のスライド終端位置で段付ピンの突出端側をダルマ孔の挿脱口の隣接位置に設けた規制部たる小孔に引き込んで上下方向に係り合わせるようにしたものであり、
    係合部材の配置方向が互いに異なっても段付ピンがダルマ孔に同時に係り合うように、ダルマ孔を、一の挿脱口に対して小孔を異なる方向に複数設けてなる二股ないし多数股形状のものにした請求項1記載の天板付家具。
  4. スライド係合機構は、係合部材に設けた突出部たる係合爪と、この係合爪を挿入すべく支持体に設けた係合孔たるフック孔とを具備し、スライド始端位置で天板を支持体に載せ置いた際に係合爪の突出端側をフック孔の挿脱口に挿入し、天板のスライド終端位置で係合爪の突出端側をフック孔の挿脱口の隣接位置に設けた規制部たる小幅部に引き込んで上下方向に係り合わせるようにしたものであり、
    係合部材の配置方向が互いに異なっても係合爪がフック孔に同時に係り合うように、フック孔を、一の挿脱口に対して小幅部を異なる方向に複数設けてなるものにした請求項1記載の天板付家具。
  5. 2つの係合部材の配置方向が所定角度異なる場合に、係合孔の規制部を同一角度をなして異なる2方向に設けている請求項1〜4何れか1項記載の天板付家具。
  6. 天板が平面視L字形をなす異形天板であって、係合部材が支持体とともに方向を90°異ならせて配置されるものであり、係合孔を、挿脱口に対して90°異なる方向に2つの規制部を具備するものにした請求項5記載の天板。
  7. 支持体に、少なくとも下面2箇所に係合部材を取り付けた天板を載せ置き、この天板を支持体に対し相対的にスライド移動させることによって、支持体と各係合部材との間に構成されるスライド係合機構を介して、天板を少なくとも2箇所において支持体に同時に接続するようにしたものであって、
    スライド係合機構は、支持体に設けた突出部と、この突出部を挿入すべく係合部材に設けた係合孔とを具備し、スライド始端位置で天板を支持体に載せ置いた際に突出部の突出端側を係合孔の挿脱口に挿入し、天板のスライド終端位置で突出部の突出端側を前記係合孔の挿脱口の隣接位置に設けた規制部に引き込んで上下方向に係り合わせるようにしたものであり、
    係合部材の配置方向が互いに異なっても突出部が係合孔に同時に係り合うように、係合部材を、上面及び下面に係合孔を設けてなる中空構造とし、一方の係合部材に対し他方の係合部材を上下反転させることによって、両係合部材の規制部が挿脱口に対して同一方向を向くようにしていることを特徴とする天板付家具。
  8. 支持体が所定角度をなして平面視ハの字形または逆ハの字形に配置した一対の支持要素を具備するものである請求項1〜7何れか1項記載の天板付家具。
  9. 天板が異形天板である請求項1〜8何れか1項記載の天板付家具。
  10. 天板が木製天板である請求項1〜9何れか1項記載の天板付家具。
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