JP4132789B2 - 内燃機関の吸気系故障診断装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スロットルバルブ下流の吸気圧力の検出値に基づいて燃料噴射量を制御する内燃機関において、スロットルバルブ下流の空気漏れ有無の故障診断を行う技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、機関のスロットルバルブ吸気圧力と機関回転速度とから燃料噴射量を求めるDジェトロ方式と呼ばれる電子制御燃料噴射装置が知られている(特開昭58−206624号公報等参照)。
また、前記Dジェトロ方式において、スロットルバルブ下流の吸気系で蒸発燃料やブローバイガスの導入管、プレッシャレギュレータやブレーキ倍力装置への負圧供給管などのシール機能低下により空気漏れを生じると、吸気圧力の検出値が増大するため、該吸気圧力を基本として設定される燃料噴射量が増量され、機関回転速度が予期せぬ上昇を生じてしまう。因みに、スロットルバルブ上流の吸入空気流量を検出して燃料噴射量を設定するLジェトロ方式と呼ばれる電子制御燃料噴射装置の場合、同様の空気漏れを生じた場合、該漏れ分は検出されないので、実際の吸入空気流量の増量に対して燃料噴射量が増量されず空燃比リーンとはなるが、機関出力自体に大きな変化はないため許容される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このため、Dジェトロ方式により推定される第1の吸入空気量と、スロットルバルブ開度と機関回転速度の検出値に基づく第2の吸入空気量との比較によって空気漏れを診断するようにしたものがある(特開平2−305348号公報)。
しかし、上記のものでは第2の吸入空気量の、第1の吸入空気量との過渡特性の相違や、スロットルバルブ開度の詰まりによる影響等が考慮されておらず、診断精度に難点があった。
【0004】
本発明は、このような従来の課題に着目してなされたもので、上記方式を改良して空気漏れの故障診断精度を高めた内燃機関の吸気系故障診断装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
このため、請求項1に係る発明は、
スロットルバルブ下流の吸気圧力と機関回転速度の検出値に基づき推定される第1の吸入空気量に応じて燃料噴射量を制御する内燃機関であって、
スロットルバルブ開度と機関回転速度の検出値に基づき第2の吸入空気量推定し、
推定した第2の吸入空気量と第1の吸入空気量とを比較し、第1の吸入空気量が第2の吸入空気量より大きい時に、第2の吸入空気量を増大方向に補正する学習を禁止すると共に、第1の吸入空気量の方が所定値以上小さい時に、該第2の吸入空気量を減少補正する学習値を算出して第2の吸入空気量を補正し、
前記学習値によって補正された第2の吸入空気量に対して、内燃機関過渡時の吸気管圧力変化の遅れによって生じる前記第1吸入空気量の変化に対応させる補正を行い、
該補正された第2の吸入空気量と前記第1の吸入空気量とを比較してスロットルバルブ下流の吸気系における空気漏れの有無を診断することを特徴とする。
【0012】
請求項1に係る発明によると、
スロットルバルブの詰まりが増大すると、開口面積が減少することにより、実際の吸入空気量は減少し、スロットルバルブ下流の吸気圧力は低下するので、第1の吸入空気量は、詰まりによる実際の吸入空気量の減少を検出できている。
しかし、スロットルバルブ開度の検出値では詰まりによる開口面積の減少を検出できないので、第2の吸入空気量は、詰まりによる減少分を検出できていない。すなわち、スロットルバルブの詰まりが増大すると、等空気量を得るためのスロットル開度が増大し、第2の吸入空気量が見かけ上増大し、そのために、空気漏れが生じたときでも、第1の吸入空気量よりしきい値以上小さくならず、空気漏れを正しく検出できなくなってしまう。
【0013】
そこで、前記第2の吸入空気量を第1の吸入空気量と比較しつつ、前記詰まりに対する学習を行う。ここで、第2の吸入空気量に対して、第1の吸入空気量の方が所定以上小さいときに、第2の吸入空気量を減少する方向のみの学習を行うことで、詰まりによる減少を補正する学習のみが行われる。該学習により、スロットルバルブの詰まりによる第1の吸入空気量の減少に見合うように第2の吸入空気量が減少補正され、空気漏れの発生を正しく検出することができる。一方、第2の吸入空気量を増大する方向の学習も行うと、第1の吸入空気量との比較で空気漏れ検出を行うときに、空気漏れが検出されにくくなり、空気漏れ発生中にも第1の吸入空気量に対する第2の吸入空気量の減少を修正するように学習して空気漏れを検出しにくくしてしまうので、該第2の吸入空気量を増大する方向の学習は禁止し、正しく空気漏れを検出ができるようにする。
【0014】
また、請求項2に係る発明は、
前記第1吸入空気量の変化に対応させる補正を、加重平均演算で行い、加速時と減速時とで前記加重平均演算の加重平均重み係数を切り換えて行うことを特徴とする。
【0015】
請求項2に係る発明によると、
前記スロットルバルブの詰まりに対する学習を行うものにおいて、過渡時の遅れに合わせる遅れ補正を、加重平均演算で行い、加速時と減速時とで前記加重平均演算の加重平均重み係数を切り換えて行うことにより、より高精度な空気漏れ診断を行うことができる。
【0017】
また、請求項3に係る発明は、
前記第2の吸入空気量を、吸気温度及び大気圧に対して補正した値を用いることを特徴とする。
請求項3に係る発明によると、
前記スロットルバルブの詰まりに対する学習を行うものにおいて、第2の吸入空気量を質量流量として求めることで、さらに高精度な空気漏れ診断を行うことができる。
【0019】
また、請求項4に係る発明は、
前記スロットルバルブが開度を電子制御され、該スロットルバルブ開度の検出値に異常を生じたときは、前記第2の吸入空気量の推定に用いるスロットルバルブの開度を、前記異常時用に設定されたデフォルト値とすることを特徴とする。
【0020】
請求項4に係る発明によると、
スロットルバルブ開度を検出するセンサや制御系の異常によって、スロットルバルブ開度検出値に異常を生じたときに、スロットルバルブ開度を異常時用に設定されたデフォルト値(例えば、車両の走行に必要最小限な機関出力を確保できるように設定)に制御するものでは、該デフォルト値に制御されているときは、スロットルバルブ開度として実際に制御されているデフォルト値を用いることで、該異常時においても空気漏れ診断を正しく行うことができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を説明する。
図1は実施の形態における内燃機関のシステム構成図である。
この図1において、車両に搭載される内燃機関1の各気筒の燃焼室には、エアクリーナ2,吸気通路3,モータで開閉駆動される電子制御式スロットルバルブ4を介して空気が吸入される。
【0022】
各気筒の燃焼室内に燃料(ガソリン)を直接噴射する電磁式の燃料噴射弁5が設けられており、該燃料噴射弁5から噴射される燃料と前記吸入される空気とによって燃焼室内に混合気が形成される。
燃料噴射弁5は、コントロールユニット20から出力される噴射パルス信号によりソレノイドに通電されて開弁し、所定圧力に調圧された燃料を噴射する。そして、噴射された燃料は、吸気行程噴射の場合は燃焼室内に拡散して均質な混合気を形成し、また圧縮行程噴射の場合は点火栓6回りに集中的に層状の混合気を形成する。燃焼室内に形成される混合気は、点火栓6により着火燃焼する。
【0023】
但し、内燃機関1を上記の直接噴射式ガソリン機関に限定するものではなく、吸気ポートに燃料を噴射する構成の機関であってもよい。
機関1からの排気は排気通路7より排出され、該排気通路7には排気浄化用の触媒8が介装されている。
また、燃料タンク9にて発生した蒸発燃料を燃焼処理する蒸発燃料処理装置が設けられている。
【0024】
キャニスタ10は、密閉容器内に活性炭などの吸着剤11を充填したもので、燃料タンク9から延設される蒸発燃料導入管12が接続されている。従って、燃料タンク9にて発生した蒸発燃料は、前記蒸発燃料導入管12を通って、キャニスタ10に導かれ吸着捕集される。
また、キャニスタ10には、新気導入口13が形成されると共に、パージ配管14が導出され、前記パージ配管14には、コントロールユニット20からの制御信号によって開閉が制御されるパージ制御弁15が介装される。
【0025】
上記構成において、パージ制御弁15が開制御されると、機関1の吸入負圧がキャニスタ10に作用する結果、新気導入口13から導入される空気によってキャニスタ10の吸着剤11に吸着されていた蒸発燃料がパージされ、パージエアがパージ配管14を通って吸気通路3のスロットルバルブ4下流に吸入され、その後、機関1の燃焼室内で燃焼処理される。
【0026】
コントロールユニット20は、CPU,ROM,RAM,A/D変換器及び入出力インターフェイス等を含んで構成されるマイコンを備え、各種センサからの入力信号を受け、これらに基づいて演算処理して、燃料噴射弁5,点火栓6,パージ制御弁15などの作動を制御する。
前記各種センサとして、機関1のクランク角を検出するクランク角センサ21、カム軸から気筒判別信号を取り出すが設けられており、前記クランク角センサ21からの信号に基づき機関の回転速度NRPMが算出される。
【0027】
この他、スロットルバルブ4下流の吸気コレクタ部17で、吸気圧力を検出する吸気圧センサ23、吸気温度を検出する吸気温センサ31、アクセルペダルの踏込み量(アクセル開度)APSを検出するアクセルセンサ24、スロットルバルブ4の開度TPOを検出するスロットルセンサ25、機関1の冷却水温Twを検出する水温センサ26、排気中の酸素濃度に応じて燃焼混合気の空燃比を検出する空燃比センサ27、車速VSPを検出する車速センサ28などが設けられている。
【0028】
前記コントロールユニット20は、前記吸気圧センサ23で検出される吸入負圧PBE(吸気管圧力)とクランク角センサ21からの信号に基づき算出される機関回転速度Neを基本的なパラメータとして推定される吸入空気量(以下第1吸入空気量という)に見合った燃料噴射量を演算し、該燃料噴射量に応じて燃料噴射弁5を制御する。いわゆるDジェトロ方式である。
【0029】
また、スロットルバルブ下流の吸気系における空気漏れの有無を、前記第1の吸入空気量AVTPR0と、前記スロットルバルブの開度TPOと機関回転速度Neを基本的なパラメータとして推定した第2の吸入空気量TPQH0と、の比較によって診断する。
ここで、本発明では、上記空気漏れの診断を以下のようにして高精度に実行する。
【0030】
以下、前記空気漏れの診断と該診断結果に応じたフェールセーフ制御を、フローチャートにしたがって説明する。
メインフローを示す図2において、ステップ1では、該空気漏れの診断条件が成立しているか否かを判別する。具体的には、イグニッションスイッチがON、スタータスイッチがOFF、第1の吸入空気量AVTPR0及び第2の吸入空気量TPQH0を検出するためのセンサ類が故障していないこと、機関回転速度Ne所定値以上であること等を全て満たしたときに、診断条件が成立していると判断する。
【0031】
ステップ1で空気漏れの診断条件が成立していると判断したときは、ステップ2へ進み、診断条件不成立時はこのフローを終了する。
ステップ2では、Dジェトロ方式により算出した第1の吸入空気量AVTPR0を読み込む。
ステップ3では、スロットルバルブ開度および機関回転速度を基本として算出した第2の吸入空気量TPQH0を読み込む。
【0032】
ステップ4では、前記第1の吸入空気量AVTPR0と第2の吸入空気量TPQH0とを比較してスロットルバルブ下流の吸気系の空気漏れの有無を診断する。
具体的には、第1の吸入空気量AVTPR0が第2の吸入空気量TPQH0より運転条件毎に設定したしきい値UAFSTPより大きいときには、空気漏れ異常があると診断してステップ5へ進みフェールセーフ制御を実行する。前記AVTPR0−TPQH0がしきい値UAFSTP以下のときは正常と診断してこのフローを終了する。
【0033】
ステップ5でのフェールセーフ制御は、前記第2の吸入空気量TPQH0を用いて燃料噴射量を設定し、燃料噴射制御を行う。また、異常有りとの判定が所定時間以上継続したときは、リーン燃焼によるアフターファイアを回避するように、運転状態毎に燃料カット気筒数を切り換える燃料カット制御に移行する。
次に、前記Dジェトロ方式による第1の吸入空気量AVTPR0の算出を、図3のフローチャートにしたがって説明する。
【0034】
ステップ11では、吸気圧センサ23により検出される吸気圧力PBEと、クランク角センサ21からの信号に基づき検出される機関回転速度Neと、機関運転停止状態等に吸気圧センサ23で検出される大気圧ALT(コスト高につくが勿論大気圧センサを備えて検出してもよく、運転中に変化する大気圧の検出も可能となる)と、吸気温センサ31により検出される吸気温度TAFを読み込む。
【0035】
ステップ12では、吸気圧力PBEと機関回転速度Neとに基づいて、内部EGR分に対応する吸入効率補正値KNをマップからの検索等によって算出する。
ステップ13では、同じく吸気圧力PBEと機関回転速度Neとに基づいて、排圧PEXをマップからの検索等によって算出する。
前記排圧PEXは大気圧に対する差圧として設定されるので、ステップ14では、該排圧PEXに大気圧ALTを加算し、合計した絶対圧としての排圧(PEX+ALT)を、前記吸入効率補正値KNに乗じることで、内部EGR分圧力PIEGRを算出する。
【0036】
ステップ15では、吸気温センサ31により検出される吸気温度TAFに基づいて吸気温補正係数KTAHOS0を算出する。該吸気温補正係数KTAHOS0の詳細な算出の説明は省略するが、各マップのデータ値や係数等を、吸気温が基準温度(例えば25°C)のときのシリンダ内吸気温に適合させて設定しているので、実際の吸気温でのシリンダ内吸気温の変化による新気吸入割合を運転領域毎に補正する係数として算出されるものである。
【0037】
そして、ステップ16で、次式のように、前記吸気圧力PBEから前記内部EGR分圧力PIEGRを減算し、この減算した新気圧力分に前記吸気温補正係数KTAHOS0を乗じることによって、Dジェトロ方式による第1の吸入空気量AVTPR0を推定演算する。
AVTPR0=(PBE−PIEGR)×KTAHOS0
次に、前記スロットルバルブの開度TPOと機関回転速度Neを基本的なパラメータとする第2の吸入空気量TPQH0の算出を、図4,図5のフローチャートにしたがって説明する。
【0038】
ステップ21では、スロットルセンサ25によって検出されたスロットルバルブ開度TPOと、前記吸気圧力PBE、機関回転速度Ne、大気圧ALT、吸気温度TAFを読み込む。ただし、スロットルセンサ25の故障等によってスロットル開度を走行に必要最小限の出力を確保できるデフォルト開度に制御しているときは、該デフォルト開度をスロットルバルブ開度TPOとして読み込む。
【0039】
ステップ22では、前記スロットルバルブ開度TPOから、後述するスロットルバルブの詰まりに対するオフセット学習により得られた学習値TPOFQADを減算して補正してTPODQLとする。
ステップ23では、前記補正されたスロットルバルブ開度TPODQLを図示のマップからの検索等によりスロットル開口面積AADJに変換する。
【0040】
ステップ24では、前記スロットル開口面積AADJを、機関回転速度Neと排気量VOL#とで除算して得られる状態量AANVDJを算出する。
ステップ25では、前記状態量AANVDJを図示マップからの検索等により体積流量比QH0DJに変換する。
ステップ26以降では、前記第2の吸入空気量TPQH0相当値である体積流量比QH0DJに、D−ジェトロ方式の第1の吸入空気量AVTPR0と位相合わせするための位相遅れ補正を行う。すなわち、D−ジェトロ方式で算出される第1の吸入空気量AVTPR0は、過渡時のマニホールド部内の圧力変化に遅れがあるのに対し、スロットルバルブ開度を基本として算出される第2の吸入空気量TPQH0は、過渡時の遅れが無いため、位相合わせのために、以下のように位相遅れ補正を行う。
【0041】
ステップ26では、前記体積流量比QH0DJを、該体積流量比を位相遅れ補正した値(最新値)QCYLDJと比較する。
そして、QH0DJ≧QCYLDJのときは、ステップ27へ進んで、該体積流量比QH0DJと機関回転速度Neとに基づいて、加速時用の加重平均重み係数FLADXをマップから検索し、QH0DJ<QCYLDJのときは、ステップ28へ進んで、同じくQH0DJとNeとに基づいて、減速時用の加重平均重み係数FLADXをマップから検索する。
【0042】
そして、ステップ29で、体積流量比QH0DJに対して次式のように前記加重平均重み係数FLADXを用いた加重平均演算により位相遅れ補正を行い、補正値QCYLDJを算出する。
QCYLDJ=(1−FLADX)・QCYLDJz+FLADX
QCYLDJzはQCYLDJの前回算出値
ステップ30では、前記補正値QCYLDJに、後述するように第1の吸入空気量AVTPR0と比較するためゲイン(=100%/TPGAIN)を乗じて調整し、さらにステップ31で大気圧補正係数(=大気圧検出値ALT/基準大気圧BASEALT#)を乗じて大気圧補正を行い、ステップ32で吸気温度補正係数[=基準吸気温度BASETAF#/(吸気温度検出値TAF+273)]を乗じて吸気温度補正を行い、質量流量に換算して第2の吸入空気量TPQH0とする。
【0043】
次に、前記スロットルバルブの詰まりに対するオフセット学習を、図6のフローチャートにしたがって説明する。
ステップ41では、該オフセット学習を実行する条件が成立しているかを判定する。
具体的には、以下の各条件が全て成立した状態が所定時間DLTOQLF♯以上継続したときに学習を実行する。
【0044】
該学習実行条件を以下に示す(自明や本質的でない条件は省略)。
a.吸気圧センサ、スロットルセンサ、水温センサが故障診断でいずれも故障と診断されていない。
b.スロットルバルブの全閉位置学習が終了していること。
c.水温、負荷(基本燃料噴射量Tpで代表)、機関回転速度、スロットルバルブ開度の各変化量が所定以下の定常状態であること。
【0045】
d.アイドル回転速度制御を実行中であること。
ステップ41で前記詰まりに対する学習条件が成立と判定されたときは、ステップ42以降へ進んで、該学習を実行する。
該学習は、前記第2の吸入空気量TPQH0を前記第1の吸入空気量AVTPR0と比較して行う。すなわち、スロットルバルブの詰まりが増大すると、開口面積が減少することにより、実際の吸入空気量は減少する。しかし、スロットルバルブ開度の検出値TPOでは詰まりによる開口面積の減少を検出できないので、該検出値TPOに基づく第2の吸入空気量TPQH0は、詰まりによる減少分を検出できていない。
【0046】
一方、スロットルバルブ下流の吸気圧力PBEは、スロットルバルブの詰まりが増大すると吸気圧力PBEの低下(負圧の増大)として検出されるので、該吸気圧力PBEを基本とするDジェトロ方式により検出される第1の吸入空気量AVTPR0は、詰まりによる実際の吸入空気量の減少を検出できている。
そこで、前記第1の吸入空気量AVTPR0と第2の吸入空気量TPQH0とを比較しつつ、前記詰まりに対する学習を行う
ステップ42〜44で順次、前記第2の吸入空気量における位相補正前の体積流量比QH0DJに前記ゲイン(=100%/TPGAIN)、大気圧補正係数(=大気圧検出値ALT/基準大気圧BASEALT#)吸気温度補正係数[=基準吸気温度BASETAF#/(吸気温度検出値TAF+273)]を乗じて質量流量に換算した学習用吸入空気量GKTPQH0を算出する。
【0047】
ステップ45では、前記学習用吸入空気量GKTPQH0と前記第1の吸入空気量AVTPR0との偏差|GKTPQH0−AVTPR0|を、しきい値DTPTOG#と比較し、|GKTPQH0−AVTPR0|≦DTPTOG#と判定されたときは、基本学習値TPQLFを現在値TPQLF(-1)に維持し、学習更新は行わない。
【0048】
ステップ46で、|GKTPQH0−AVTPR0|>DTPTOG#と判定されたときは、ステップ39へ進み、次式により学習更新を行う。
TPQLF=TPQLF(-1)+GTOQLF#・(GKTPQH0−AVTPR0)
ステップ47では、前記基本学習値TPQLFを下限値TOQFMN#以上で上限値TOPFMX#以下に規制する。
【0049】
ステップ40では、次式のように前記基本学習値TPQLFにゲインKTPOFAD#を乗じ、かつ、この値を下限値0以上で上限値TPFQMX#以下に規制する。
TPOFQAD=TPQLF×KTPOFAD#
ただし、0≦TPOFQAD≦TPFQMX#
ここで、下限値を0以上とすることで、第2の吸入空気量TPQH0に対し、スロットルバルブの詰まりによる減少方向のみ学習値を更新するようにしており、これにより、空気漏れ発生時の誤学習を防止して空気漏れを検出できなくなることを防止できる。
【0050】
また、学習に用いる第2の吸入空気量として、前記位相補正前の値を用いることにより、過渡補正による影響で正しく学習できなくなることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態における内燃機関のシステム構成図。
【図2】実施形態における空気漏れ診断のメインルーチンを示すフローチャート。
【図3】実施形態における第1の吸入空気量を算出するルーチンを示すフローチャート。
【図4】実施形態における第2の吸入空気量を算出するルーチンの前段を示すフローチャート。
【図5】実施形態における第2の吸入空気量を算出するルーチンの後段を示すフローチャート。
【図6】実施形態におけるスロットルバルブの詰まりに対する第2の吸入空気量の学習ルーチンを示すフローチャート。
【符号の説明】
1…内燃機関
4…スロットルバルブ
5…燃料噴射弁
20…コントロールユニット
21…クランク角センサ
23…吸気圧センサ
25…スロットルセンサ
31…吸気温センサ
Claims (4)
- スロットルバルブ下流の吸気圧力と機関回転速度の検出値に基づき推定される第1の吸入空気量に応じて燃料噴射量を制御する内燃機関であって、
スロットルバルブ開度と機関回転速度の検出値に基づき第2の吸入空気量推定し、
推定した第2の吸入空気量と第1の吸入空気量とを比較し、第1の吸入空気量が第2の吸入空気量より大きい時に、第2の吸入空気量を増大方向に補正する学習を禁止すると共に、第1の吸入空気量の方が所定値以上小さい時に、該第2の吸入空気量を減少補正する学習値を算出して第2の吸入空気量を補正し、
前記学習値によって補正された第2の吸入空気量に対して、内燃機関過渡時の吸気管圧力変化の遅れによって生じる前記第1吸入空気量の変化に対応させる補正を行い、
該補正された第2の吸入空気量と前記第1の吸入空気量とを比較してスロットルバルブ下流の吸気系における空気漏れの有無を診断することを特徴とする内燃機関の吸気系故障診断装置。 - 前記第1吸入空気量の変化に対応させる補正を、加重平均演算で行い、加速時と減速時とで前記加重平均演算の加重平均重み係数を切り換えて行うことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の吸気系故障診断装置。
- 前記第2の吸入空気量を、吸気温度及び大気圧に対して補正した値を用いることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の内燃機関の吸気系故障診断装置。
- 前記スロットルバルブが開度を電子制御され、該スロットルバルブ開度の検出値に異常を生じたときは、前記第2の吸入空気量の推定に用いるスロットルバルブの開度を、前記異常時用に設定されたデフォルト値とすることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の内燃機関の吸気系故障診断装置。
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