JP4132710B2 - 高炉用コークスの強度推定方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高炉用コークスの強度の推定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高炉用コークス製造プロセスにおいて、コークス製造コストの削減を達成するためには、原料炭中に含まれる非微粘結炭の割合を増加させることが重要である。これは、非微粘結炭は粘結炭に比べて資源の埋蔵量が多く、安価であるため、コークスの製造コストを低減する方法としては、原料炭中に含まれる非微粘結炭の割合を増加させることが有効であることによる。しかし、非微粘結炭の増加に伴って、コークスの強度が低下するという問題があり、しかも、従来のコークス強度推定方法では、非微粘結炭を多量に使用した場合のコークス強度の推定精度が悪いという問題点があった。
【0003】
そこで、原料炭中の非微粘結炭の割合を増加させた条件でコークス強度を精度良く推定する方法の開発が求められている。
【0004】
高炉用コークスを製造する際に用いる原料炭は、通常は複数種(約10種類程度)の石炭を配合した後に、コークス炉に装入して乾留して高炉用コークスを製造する。このため、従来から2種類以上の石炭を混合した場合のコークス強度を精度良く推定する方法が研究されてきた。以下に、主な4つの例を示す。
(1)石炭の揮発分量と石炭の最高流動度を指標としたコークス強度の推定法
石炭の揮発分と最高流動度を所定の範囲に調整して、コークス炉に装入して乾留し、コークスを製造する方法が、例えば、「石炭化学と工業」p.299(三共出版(株)、S52年)等に開示されている。この方法は、石炭の揮発分量と、ギーセラープラストメーターによる石炭の流動性試験(JIS M 8801)による石炭の最高流動度の両者から、コークス強度を予測する方法であり、図6に示した矩形枠内部分が高炉用コークスの石炭として最適であるとされている。
【0005】
石炭の最高流動度の測定は、JIS M 8801に記載されている方法に従って、ギーセラープラストメーターを用いて以下の手順で行なう。まず、撹拌棒をセットしたレトルト中に石炭試料を装填し、その後、金属浴中で規定の昇温速度で加熱する。この際撹拌棒に一定のトルクを与えておくと、石炭の軟化とともに撹拌棒が回転する。この回転挙動により軟化開始温度、最高流動度及び固化温度を測定する試験方法である。
(2)石炭の微細組織成分と反射率を指標としたコークス強度の推定方法
石炭の顕微鏡による微細組織成分(以下、「マセラル」と記す)と、反射率を組み合わせることによって、石炭の配合割合を調整してコークス炉に装入して乾留して得られるコークスを推定する方法が、例えば、「石炭化学と工業」p.302(三共出版(株)、S52年)等に開示されている。この方法は、加熱により軟化溶融する石炭中の活性成分(Reactives)であるビトリニット、エクジニット、デグラジニット等のマセラルと、加熱しても軟化溶融しない不活性成分(Inerts)、および両者の中間的な性質を 示す半不活性成分(Semi−Inerts)の割合を光学顕微鏡によって測定し、石炭のマセラルの量比とビトリニットの平均反射率の値によって、石炭組織の平衡指数(CBI)および強度指数(SI)を算出して、CBIとSIの関係から、コークス強度を推定する方法である。具体的には、図7に一例を示すように、SIとCBIからコークス強度を推定するコークス強度推定線図を予め作成しておき、石炭のマセラルの量比およびビトリニットの平均反射率から算出したSIとCBIによってコークス強度を推定する。
【0006】
図7では、コークス強度として、DI3015(JIS K 2151に示すドラム強度試験方法に従って、ドラム強度試験により測定し、コークス試料を30回転後に15mm篩上に残存した質量比で表したもの)を示している。
【0007】
コークスのDI15015 (JIS K 2151に示すドラム強度試験方法に従って、コークス試料を150回転指せた後に15mm篩上に残存した質量比で表したもの)を推定する場合には、予め、前記DI3015の値とDI15015 の関係を求めておけば良い。
(3)石炭のギーセラー流動性試験における再固化温度、および石炭のガス発生量を指標としたコークス強度の推定方法
コークス製造用石炭のギーセラープラストメーターによる石炭の流動性試験(JIS M 8801)における再固化温度を基準とする指標(X)、および原料炭のコークス炉ガス発生量を表す指標(Y)と、コークスのドラム強度との関係を予め統計的に求めて相関式を作成し、該相関式に基づいてコークス製造用原料炭として使用する石炭を選択して、コークス炉に装入して乾留し、コークス強度を推定する方法が、特開平4−246495号公報に開示されている。この方法は、石炭が加熱されて軟化溶融した際に発生する粘結成分の量と、該粘結成分の粘度を測定することが不可能なために、代替する指標として、数種類の石炭を配合して調整した原料炭の再固化温度を測定して、指標とするものである。
(4)NMR法によるコークス強度の推定方法
特開平9−328685号公報には、石炭に重水素置換された溶媒を膨潤させたのち、水素核の核磁気共鳴吸収スペクトルを測定し、石炭中の全水素の存在量を定量し、その中の水素結合に関与している水素の存在量比を算出することで、その量比とコークスドラム強度の関係から得られるコークス化特性によって石炭の品質を評価することを特徴とする石炭品質評価方法が開示されている。また特開平10−19814号公報では、石炭を重水素置換された溶媒に膨潤させたのち、水素核の核磁気共鳴吸収スペクトルを測定し、石炭中の横緩和時間の相対的に長い成分と短い成分の量を求め、その量比とコークスドラム強度の関係から、装入石炭の乾留後のコークスドラム強度を推定することを特徴とする石炭品質評価方法、及び石炭を重水素置換されたピリジン等の溶媒に膨潤させたのち、水素核 の核磁気共鳴吸収スペクトルのエコー信号を測定し、その信号に対して適当な磁場勾配を与えることで得られるマイクロイメージング像で石炭中に存在する横緩和時間の相対的に長い成分の分布状態等を可視化して、溶融し易い成分存在量や分布を評価し、コークスドラム強度との関係から装入石炭の乾留後のコークスドラム強度を推定することを特徴とする石炭品質評価方法が開示されている。
【0008】
特開平11−326248号公報には、石炭を重水素置換された溶媒で膨潤することなしに水素核の核磁気共鳴吸収スペクトルを測定し、石炭中の横緩和時間の相対的に長い成分と短い成分の量を求め、その量比とコークスドラム強度の関係から、装入石炭の乾留後のコークスドラム強度を推定することを特徴とする石炭品質評価方法が開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従来のコークス製造用原料炭の配合方法では、ギーセラープラストメーターによる最高流動度や、石炭のマセラルと反射率等を指標として、石炭の配合設計を行う方法を採用してきたが、これらの方法では下記の問題点があるために、コークス製造用の石炭として、非微粘結炭を多量に配合した石炭を用いてコークス炉で乾留して強度の高い高炉用コークスを製造するための配合設計が不可能であった。
【0010】
前述した(1)の石炭の揮発分とギーセラープラストメーターによる石炭の最高流動度を指標とした石炭の配合方法では、非微粘結炭は軟化溶融時の粘結性が低いため溶融しにくく、結果としてギーセラープラストメーターの撹拌棒の回転数が小さくなり流動性の検出精度が低下するという欠点がある。また、図5に示すように、ギーセラー流動性による粘結性の指標では、炭種によって石炭の軟化開始温度、最高流動温度、および再固化温度が異なるために、例えば、粘結炭である石炭Aが軟化開始する温度では、既に非微粘結炭である石炭Lは再固化を開始した状態となっている。このため、非微粘結炭を多量に配合した石炭を使用する場合には、石炭の粘結性を正確に評価することができない。この手法によって石炭の配合設計を行なう場合には、非微粘結炭の使用割合が約30質量%を超えると、石炭の流動性が著しく低下するために、コークス強度が著しく低下すると予測されてしまい、非微粘結炭30質量%以上の配合条件を検討するためには、この方法は適用が不可能であり、非微粘結炭の配合割合の上限は原料炭に対して約30質量%が上限であった。さらに、非微粘結炭の中でも揮発分量が15%以下と少ない半無煙炭の場合は、SIが約6以上と高く、CBIは約5以上と高い値であるが、単味の石炭を乾留した場合に得られるコークスのドラム強度(DI15015 )は0であり、このような半無煙炭を他の石炭と混合した場合のコークスのドラム強度は従来のSI−CBI線図では予測できず、石炭の種類によって適用が不可能であった。
【0011】
また、前記の(2)の石炭のマセラルと反射率を指標とした石炭の調整方法では、非微粘結炭は粘結炭に比べてSIが低く(約4以下)、非微粘結炭を約30質量%以上使用した 場合には、SI−CBI線図から推定されるコークスのドラム強度の実績値と推定値の差が大きくなる。このため、非微粘結炭の割合が30質量%以上の場合には、SI−CBI法によるコークス強度の推定は推定の精度が悪化するので、非微粘結炭を多量に配合した石炭をコークス炉に装入して乾留し、コークスを製造する場合の石炭の配合設計に適用することは不可能であり、この方法による非微粘結炭の配合割合の上限は原料炭に対して約30質量%が上限であった。
【0012】
前記(3)のコークス製造用の石炭のギーセラープラストメーターによる流動性試験における再固化温度、およびガス発生量を指標とした石炭の調整方法では、以下の問題点がある。石炭を乾留した場合に石炭の粘結性はコークス強度に対して大きな影響を及ぼすが、石炭のギーセラー流動性試験による石炭の最高流動性は、複数の石炭を配合した場合、特に非微粘結炭を約30質量%以上配合した石炭については、前述したように石炭のギーセラー流動性については加成性がない。そこで、特開平4−246495号公報では石炭の粘結性を表す指標として、石炭のギーセラー流動性試験における再固化温度を指標とした石炭の調整方法を提案している。しかし、この方法では、実際にコークス強度に対して強い影響を及ぼす石炭の粘結成分の量および石炭の粘結成分の粘度を測定することが不可能な方法であるために、多量の非微粘結炭を含む石炭を用いてコークスを製造した場合のコークス強度の推定は不可能である。
【0013】
前記(4)の特開平9−328685号公報、および特開平10−19814号公報に開示されているNMRによる石炭の調整方法では、これらの方法に代表される石炭のNMR測定法は非常に有用な情報を与えるが、重水素溶媒での24時間以上の蒸気膨潤等の前処理が必要であり、簡便性に欠けていた。また溶媒が石炭に浸透した結果、その分子構造に微妙な影響を与えていた。更に石炭を構成する横緩和時間の比較的長い成分のみの情報しか与えず、横緩和時間の比較的短い成分に関する情報は得られなかった。また、測定に要する時間が長く、水素のみに限定された情報であるのが欠点であった。また、特開平11- 326248号公報に開示されている方法で法は、多重パルスを使用する必要があり、測定装置に高い性能が要求され、且つ習熟した測定者が必要であり、したがって汎用的ではないという問題がある。さらに、実際のコークス製造用の石炭の配合設計を行なうためには、用いるべき石炭指標の調整方法が明示されていないので、実際のコークス製造用原料炭の配合設計を行なうための工夫が求められる。このため、粘結炭から非微粘結炭までの広い範囲の炭種を対象として、且つ、非微粘結炭を多量に配合した場合でも、コークス強度を精度良く推定することが可能である高炉用コークスの強度推定方法の開発が必要とされている。
【0014】
本発明の目的は、非微粘結炭を多量に配合した原料炭を用いた条件で、コークス強度を精度良く推定可能とする、高炉用コークスの強度推定方法を提供するものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、石炭に含まれる粘結成分の量を表す指標、粘結成分の粘度を表す指標、および石炭の石炭化度を表す指標を用いて、非微粘結炭の比率が高い石炭をコークス炉に装入して乾留して得られるコークスの強度を精度良く推定することを特徴とする高炉用コークスの強度推定方法を提供するものである。
【0016】
本発明の内容は、下記の通りである。
【0017】
(1)1種類または2種類以上の石炭を混合した後、コークス炉に装入し乾留して高炉用コークスを製造する際の製造コークスの強度を推定する方法であって、石炭の水素核の核磁気共鳴イメージングを石炭の軟化溶融温度で測定し、得られたイメージング画像から石炭の粘結成分量を表す指標(横緩和時間が100マイクロ秒以上である成分の量)および石炭の粘結成分の粘度を表す指標(横緩和時間が100マイクロ秒以上である成分の横緩和時間の逆数)を算出し、前記石炭の粘結成分量を表す指(横緩和時間が100マイクロ秒以上である成分の量)標が28%以上、かつ、石炭の粘結成分の粘度を表す指標横緩和時間が100マイクロ秒以上である成分の横緩和時間の逆数)が2.9以上の範囲において、石炭の粘結成分量を表す指標(横緩和時間が100マイクロ秒以上である成分の量)と、石炭の石炭化度を表す指標(揮発分量)により、下記式(1)を用いてコークスのドラム強度(DI15015)を推定することを特徴とする高炉用コークスの強度推定方法。
【0019】
DI15015 =[ a×(MC) 2 +b×MC+C] −(d×VM+E)・・・(1)
ここで、DI15015はコークスのドラム強度(−)、MCは、石炭の粘結成分量を表す指標(横緩和時間が100マイクロ秒以上である成分の量)(%)、VMは石炭の石炭化度(揮発分量)を表す指標(%)、a、b、dは係数、C、Eは定数を各々示す。なお、係数a、係数b、及び、定数Cは、予め石炭の粘結成分量を表す指標とコークスの表面破壊強度(DI1506)との関係から求められ、係数d、定数Eは、予め石炭の石炭化度(揮発成分量)を表す指標とコークスの体積破壊強度(DI1506−15)との関係から求められる。
【0020】
(2)前記石炭が、事前に粘結材を添加した石炭であることを特徴とする前記発明(1)に記載の高炉用コークスの強度推定方法。
【0021】
(3)前記石炭が、単一または2種類以上の高分子材料を配合した石炭であることを特徴とする前記発明(1)または(2)に記載の高炉用コークスの強度推定方法。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、具体的に説明する。
【0023】
図8は、本発明に関わるコークス製造プロセスを示す図である。1は石炭配合槽、2は石炭供給フィーダー、3は石炭乾燥機、4は粘結材添加タンク、5は粘結材添加装置、6は高分子添加ホッパー、7はコークス炉を各々示す。石炭配合槽1の下の石炭供給フィーダー2から供給する石炭の量を調節し、原料炭(ここでは、1種類または2種類以上の石炭を配合し、コークス炉に装入する配合炭を指す)中の各石炭を所定の割合に配合する。原料炭を石炭乾燥機3に送り、水分を2〜6%程度に乾燥する。その後、粘結材添加装置5により、原料炭に対して質量比で1〜10mass%の粘結材を添加した後、前記粘結材を添加した原料炭に高分子材料添加ホッパー6から切り出した高分子材料を添加した後、コークス炉7に送り、コークス炉内に装入して乾留する。
【0024】
特に本発明者らは、図8に示すようなコークス製造プロセスを前提として、1種類、または2種類以上の石炭を混合した後、コークス炉に装入して乾留して高炉用コークスを製造する方法において、コークス強度を精度良く推定する方法について詳細に検討した。
【0025】
特に本発明者らは、コークス強度に対して非常に強い影響を及ぼす石炭の粘結成分の量と粘結成分の粘度、およびこれらとコークス強度の関係について、一連の実験を行なって詳細に検討した。
【0026】
コークス炉内で加熱された石炭が軟化溶融して粘結性を発現するためには、石炭分子の運動性が活発化して液体状態に近くなり、それが石炭粒子内に拡がることが必要である。石炭粒子内に存在する横緩和時間が長い成分、即ち、分子運動性の高い成分(易動性水素成分)が多いということは石炭の粘結性に関与する成分量の増加を意味する。加熱条件下において石炭粒子内の粘結成分の発現量が増加することと、コークスのドラム強度が向上することは対応している。この関係を活用して、石炭が軟化溶融する温度で石炭粒子内における粘結成分の量を表す指標を用いることにより、コークス強度を推定できることを見出した。
【0027】
石炭の粘結成分量を表す指標、および粘結成分の粘度を表す指標の測定は、下記の方法で行なった。
【0028】
例えば、表1に示す石炭について、前処理をせずに石炭の水素核のNMRイメージングを石炭の軟化溶融温度で測定する。ここで軟化溶融温度とは350℃から510℃の範囲である。なお、上記の前処理とは、石炭を予熱・加熱したり、溶媒等での処理をしたりすることを言うが、本発明の石炭の配合調製のために前記指標を測定する際にはこの前処理は不要である。なおまた、本発明において「調製」という場合、複数種の石炭を配合して用いる場合と、単味の石炭を用いる場合のいずれも含むものとする。
【0029】
本発明の前記測定のためには、試料を核磁気共鳴装置専用の試料管に挿入するだけで良く、試料管に入るサイズである数ミリメートル以下であれば、特に試料の大きさや形状には依存しない。
【0030】
測定の手法としては、水素90度のパルス幅は8μsec、エコー時間は50μsec〜3msec、繰り返し時間は5msec〜1secとして、積算回数は512回であった。データのサイズはX方向で512ポイント、Y方向で512ポイントで、Z方向は1〜512ポイントと設定する。その際に試料を3℃/minで昇温させながら、X,Y,Z の3軸にそれぞれ、89gauss/cm、96gauss/cm、107gauss/cmの磁場勾配を短時間で与えるような方法で測定を行い、石炭の水素核NMRイメージング画像を得る。更に昇温させながら、同じ測定をすることで、石炭が軟化溶融状態のNMRイメージ画像を得る。得られた画像から、適当な横緩和時間での分布と易動性水素成分の存在量を算出する。ここで「易動性水素成分の存在量」とは、本明細書においては「粘結成分の量を表す指標」のことをいい、その存在量は、上記軟化溶融温度域で、横緩和時間が100マイクロ秒以上である成分の量として定義される。ここで多重パルスや横緩和時間に関しては、特開平11−326248号公報中にその内容を記載している通りであり、石炭の水素核のNMRスペクトルに、数マイクロ秒の短く且つ数百パッドの強いパルスを一定周期で繰り返し与える多重パルス法と同時に直線的な傾斜勾配を組み合わせることで測定を行う。この時、水素核磁気共鳴から得られた吸収を半値幅の広い吸収(横緩和時間が短い成分)と、狭い吸収(横緩和時間が長い成分)に波形分離し、その面積をそれぞれの成分量とした。本測定時に得られる吸収を先鋭化させ明確なイメージング像にすることで、横緩和時間の長い成分と短い成分の差異を明確にすることがよい。
【0031】
このため、適当な多重パルスを与えるマジックエコー法(F. Weigand, D. E. Demco, B. Blumich and H.W.Spiess,J. Magn. Reson, A120(1996) 190 )が非常に有効であり、従来のイメージング技術と併用できる。同様の効果は、漏洩磁場を利用するSTRAFI法(A. A. Samoilenko, D. Y. Artemov, and L. Ascibeldina, JETP Lett.48 (1998)348 )でも確認されている。横緩和時間とは、NMRイメージング測定の結果得られる最小画素内に存在する石炭自身に由来する水素核NMRスペクトル吸収の半値幅(吸収の高さの半分の位置における吸収の幅を意味する)から導き出されるものであり、石炭のバルクとしての運動性を表す。
【0032】
本発明者らは、表1に示す石炭化度の異なる10種類の石炭と2種類以上の石炭を混合した配合炭、石炭と粘結材の混合物、および石炭と高分子材料の混合物について、本手法によって軟化溶融時の易動性水素成分の存在量と横緩和時間を求めた。NMRの測定結果から、横緩和時間の逆数を係数化して「粘結成分の粘度を表す指標」を求める方法を考案した。具体的には、NMRイメージング画像から得られる横緩和時間が長い成分の横緩和時間の逆数であり、横緩和時間の逆数を1/msecの単位で表したものと定義される。
【0033】
この方法によって求めた石炭の粘結成分の量を示す指標、および粘結成分の粘度を表す指標を表1に示す。
【0034】
石炭を水分3〜4%に乾燥した後、コークス炉に装入して、1200℃で20時間乾留してコークスを製造し、上記の石炭の粘結成分量の指標と、コークスの表面破壊強度の関係を詳細に調べた。その結果、図1に示すように、石炭の粘結成分の量を表す指標とコークスの表面破壊強度(DI1506)との間には明確な相関関係があることを見いだした。即ち、NMRの測定によって得られる粘結成分量を表す指標によって、コークスの表面破壊強度(DI1506)が精度良く推定可能である。
【0035】
また、石炭の石炭化度を表す指標(揮発分量)によってコークスの体積破壊強度(DI1506−15 )が精度良く推定可能であることを見出した。
【0036】
本発明者は、石炭の石炭化度を表す指標とコークスの体積破壊によって生じる粉コークス量の関係について、詳細に検討した。非微粘結炭は、揮発分量の含有量が多いこと、および石炭組織の中に不活性物質であるイナートの含有量が多い特徴がある。揮発分量が多い石炭を乾留すると図4に一例を示すように、約400〜600℃のコークスの再固化温度域でのコークスの線収縮率が大きいために、コークス塊内に発生する熱応力が増加し、コークス塊内に多くの亀裂が発生する。このため、非微粘結炭の単味炭(非微粘結炭のみ)、または非微粘結炭を配合した石炭をコークス炉に装入して乾留してコークスを製造する場合には、コークスが衝撃を受けた際にコークス塊内の亀裂を起点として体積破壊現象が生じ、直径が6〜15mmの粒度の小さいコークスの発生量が増加する。本発明者らは、前記の条件で乾留したコークスについて、JIS K 2151に従って、ドラム試験機で150回転した後に篩い目が6〜15mmの篩い上に残存する試料の割合(以下、DI1506−15 と記す)を測定した。
【0037】
その結果、図2に示すように、石炭の石炭化度を表す指標である石炭の揮発分量とコークスのDI1506−15 の間には、明確な関係があることを見いだした。即ち、石炭の石炭化度を表す指標である揮発分量によって、コークスの体積破壊強度(DI1506−15 )が精度良く推定可能であることを見出した。
【0038】
コークスのドラム強度(DI15015 )は、コークスの表面破壊強度(DI1506)からコークスの体積破壊強度(DI1506−15 )を減じた値として表される。そこで、コークスの表面破壊強度(DI1506)とコークスの体積破壊強度(DI1506−15 )の両方を推定できれば、コークスのドラム強度(DI15015 )を推定することができる。
【0039】
以上の検討の結果から、下記式(1)を用いて、NMRの測定によって得られる粘結成分量を表す指標によってコークスの表面破壊強度(DI1506)を推定し、石炭の石炭化度を表す指標(揮発分量)によってコークスの体積破壊強度を推定することにより、コークスのドラム強度(DI15015 )を精度良く推定可能であることを見出した。
【0040】
DI15015 =[ a×(MC)2 +b×MC+C] −(d×VM+E)
・・・(1)
ここで、MCは、石炭の粘結成分量を表す指標(%)、VMは石炭の揮発分量(%)、a、b、dは係数、C、Eは定数を各々示す。
【0041】
本試験では、石炭を水分3〜4%に乾燥した後、コークス炉に装入して、1200℃で20時間乾留してコークスを製造し、上記の石炭の粘結成分の指標と、石炭の揮発分量およびコークス強度の関係を詳細に調べた結果、図1および図2に例を示すように、式(1)の係数aは−0.0494、係数bは4.3958、係数dは0.0746、定数Cは−9.6604,定数Eは−0.0462であった。
【0042】
コークス強度は、コークス炉で乾留する際のコークス炉の炉温および乾留時間、コークス炉に装入する石炭の水分および装入密度などの操業条件によって、変化することが知られており、前述の係数および定数は一例であり、式(1)を実際のコークス炉での操業に適用する場合には、この値に限定するものではない。
【0043】
NMRで測定される粘結成分量は多いほどコークス強度が向上することになるので、粘結成分量の上限については、特に規定しない。また、NMRで測定される粘結成分の粘度を表す指標( ここでは、値が大きいほど粘度が低い) が大きくなるほどコークス強度は向上するため、粘結成分の粘度を表す指標の上限は規定しない。
【0044】
前述したように、コークス炉内で加熱された石炭が軟化溶融して粘結性を発現するためには、石炭分子の運動性が活発化して液体状態に近くなり、それが石炭粒子内に拡がることが必要である。このため、NMRで測定される石炭の粘結成分の量が少なすぎると、石炭を乾留した際の石炭粒子の溶融性が低下し、石炭粒子間の接着強度が著しく低下する。また、NMRで測定される石炭の粘結成分の粘度が高すぎると、粘結成分が石炭粒子内に十分に広がることができないために、コークス粒子間の接着強度が著しく低下する。
【0045】
今回、石炭の粘結成分量を表す指標と石炭の粘結成分の粘度、およびコークス強度の関係について、系統的に一連の試験を行なって解析した結果、前記石炭の粘結成分量を表す指標(MC)が28%未満、または、粘結成分の粘度を表す指標が2.9未満の場合に、コークスの粒子間の接着状況が不良になるため、本発明の式(1)によるコークス強度の推定には不適となる。
【0046】
そこで、本発明では、石炭中の粘結成分量を表す指標(MC)が28%以上、かつ、粘結成分の粘度を表す指標が2.9以上の範囲に規定する。
【0047】
1種類または2種類以上の石炭を混合した後、該石炭に粘結材を添加して、コークス炉に装入して1200℃で20時間乾留し、得られたコークスのドラム強度(DI15015 )を測定した。
【0048】
式(1)を用いて、前記の石炭試料から得られるコークスのDI15015 を式(1)によって推定し、DI15015 の推定値とDI15015 の実測値の関係を比較した。この結果、図3に示すように式(1)によって、DI15015 を精度良く推定可能であることがわかった。
【0049】
また、単一または2種類以上の高分子材料を配合した石炭をコークス炉に装入して1200℃、20時間で乾留して得られたコークスのドラム強度(DI15015 )を測定した。
【0050】
式(1)を用いて、前記の石炭試料から得られるコークスのDI15015 を推定し、DI15015 の推定値とDI15015 の実測値の関係を比較した。この結果、図3に示すように式(1)によって、DI15015 を精度良く推定可能であることがわかった。
【0051】
本明細書で、コークスのドラム強度(DI15015 )とはJIS K 2151に示されているドラム強度試験により測定し、コークス試料を150回転後に15mm篩上に残存した質量比で表したものを示す。
【0052】
石炭に添加する粘結材としては、タール、ソフトピッチ、石油系粘結材など使用できる。また、石炭に添加する高分子材料としては、ポリエチレン、ポリスチレン、容器包装品などの使用済みの廃プラスチック、廃タイヤなどの高分子材料が使用可能である。
【0053】
【実施例】
次に、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0054】
(実施例1〜実施例10)
表1に示すような性状の異なる石炭の粘結成分を下記の方法で測定した。
【0055】
表1に性状を示す粘結炭であるA炭、B炭、C炭、D炭、E炭、F炭、G炭、H炭、I炭、J炭について、前処理をせずに石炭の水素核のNMRイメージングを石炭の軟化溶融温度で測定した。ここで軟化溶融温度とは350℃から510℃の範囲である。
【0056】
試料を核磁気共鳴装置専用の試料管に挿入し、水素90度のパルス幅は8μsec、エコー時間は50μsec〜3msec、繰り返し時間は5msec
〜1secとして、積算回数は512回であった。データのサイズはX方向で512ポイント、Y方向で512ポイントで、Z方向は1〜512ポイントと設定する。その際に試料を3℃/minで昇温させながら、X,Y,Zの3軸にそれぞれ、89gauss/cm、96gauss/cm、107gauss/cmの磁場勾配を短時間で与えるような方法で測定を行い、石炭の水素核NMRイメージング画像を得た。更に昇温させながら、同じ測定をすることで、石炭が軟化溶融状態のNMRイメージ画像を得て、得られた画像から石炭の粘結成分の量を表す指標と、石炭の粘結成分の粘度を表す指標を算出した。この方法で得られた石炭の粘結成分量を表す指標(MC)および、石炭化度を表す指標(VM:揮発分量)を用いて、コークスのDI15015 を推定した。揮発分量の測定は、JIS M8802に記載されている方法に従って、空気との接触を遮断した状態で、試料1gを蓋付きるつぼに入れ、900±20℃で7分間加熱したときの質量減少率から、同時に定量した水分を差し引いた値を揮発分量とする方法で測定した。
【0057】
表1の実施例1〜実施例10に示す石炭の水分を3.0〜4.0%に調整して、コークス炉に装入し、1200℃の加熱温度で20時間乾留して、コークスを製造した。
【0058】
この結果、表1及び図3に示すように、式(1)によって推定したコークスのDI15015 の推定値と実際に得られたコークスのDI15015 の実績値は良く対応しており、DI15015 を精度良く推定することができた。
【0059】
(実施例11〜実施例23)
表1に示すような粘結炭であるA炭、B炭、D炭、I炭に対して、非微粘結炭であるK炭、L炭、M炭および半無煙炭N炭を配合した。配合炭中の非微粘結炭および半無煙炭の配合割合は50〜60質量%である。該石炭を前処理をせずに石炭の水素核のNMRイメージングを石炭の軟化溶融温度で測定した。ここで軟化溶融温度とは350℃から510℃の範囲である。
【0060】
試料を核磁気共鳴装置専用の試料管に挿入し、水素90度のパルス幅は8μsec、エコー時間は50μsec〜3msec、繰り返し時間は5msec〜1secとして、積算回数は512回であった。データのサイズはX方向で512ポイント、Y方向で512ポイントで、Z方向は1〜512ポイントと設定する。その際に試料を3℃/minで昇温させながら、X,Y,Zの3軸にそれぞれ、89gauss/cm、96gauss/cm、107gauss/cmの磁場勾配を短時間で与えるような方法で測定を行い、石炭の水素核NMRイメージング画像を得た。更に昇温させながら、同じ測定をすることで、石炭が軟化溶融状態のNMRイメージ画像を得て、得られた画像から石炭の粘結成分の量を表す指標と、石炭の粘結成分の粘度を表す指標を算出した。
【0061】
表1の実施例11〜実施例23に示すような2種類以上の石炭を配合した混合物を、水分を3.0〜4.0%に調整して、コークス炉に装入し、1200℃の加熱温度で20時間乾留して、コークスを製造した。
【0062】
この結果、表1及び図3に示すように、式(1)によって推定したコークスのDI15015 の推定値と実際に得られたコークスのDI15015 の実績値は良く対応しており、DI15015 を精度良く推定することができた。
【0063】
実施例23では、半無煙炭であるN炭を5%配合した場合についても、コークス強度が精度良く推定可能であった。
【0064】
(実施例24〜実施例26)
表1に示すような粘結炭であるA炭単味や、A炭、B炭に対して、非微粘結炭であるL炭を配合したものを用いた。配合炭中の非微粘結炭の割合は50〜60質量%である。該石炭に、粘結材としてタールを3%添加して混合した混合物について、前処理をせずに石炭の水素核のNMRイメージングを石炭の軟化溶融温度で測定した。ここで軟化溶融温度と は350℃から510℃の範囲である。
【0065】
試料を核磁気共鳴装置専用の試料管に挿入し、水素90度のパルス幅は8μsec、エコー時間は50μsec〜3msec、繰り返し時間は5msec〜1secとして、積算回数は512回であった。データのサイズはX方向で512ポイント、Y方向で512ポイントで、Z方向は1〜512ポイントと設定する。その際に試料を3℃/minで昇温させながら、X,Y,Zの3軸にそれぞれ、89gauss/cm、96gausss /cm、107gauss/cmの磁場勾配を短時間で与えるような方法で測定を行い、石炭の水素核NMRイメージング画像を得た。更に昇温させながら、同じ測定をすることで、石炭が軟化溶融状態のNMRイメージ画像を得て、得られた画像から石炭の粘結成分の量を表す指標と、石炭の粘結成分の粘度を表す指標を算出した。
【0066】
表1の実施例24〜実施例26に示すような石炭と粘結材の混合物を、水分を3.0〜4.0%に調整して、コークス炉に装入し、1200℃の加熱温度で20時間乾留して、コークスを製造した。
【0067】
この結果、表1及び図3に示すように、式(1)によって推定したコークスのDI15015 の推定値と実際に得られたコークスのDI15015 の実績値は良く対応しており、DI15015 を精度良く推定することができた。
【0068】
(実施例27〜実施例28)
表1に示すように、実施例27では粘結炭であるA炭に高分子材料としてポリエチレン系のプラスチックを5%添加した混合物を用いて、実施例28では、A炭に対して、高分子材料として容器包装品を混合した一般廃プラスチックを5%添加した混合物を用いて、粘結成分の量を表す指標と粘結成分の粘度を表す指標を下記の方法で測定した。表1に性状を示す石炭について、前処理をせずに石炭の水素核のNMRイメージングを石炭の軟化溶融温度で測定した。ここで軟化溶融温度とは350℃から510℃の範囲である。
【0069】
試料を核磁気共鳴装置専用の試料管に挿入し、水素90度のパルス幅は8μsec、エコー時間は50μsec〜3msec、繰り返し時間は5msec〜1secとして、積算回数は512回であった。データのサイズはX方向で512ポイント、Y方向で512ポイントで、Z方向は1〜512ポイントと設定する。その際に試料を3℃/minで昇温させながら、X,Y,Zの3軸にそれぞれ、89gauss/cm、96gauss/cm、107gauss/cmの磁場勾配を短時間で与えるような方法で測定を行い、石炭の水素核NMRイメージング画像を得た。更に昇温させながら、同じ測定をすることで、石炭が軟化溶融状態のNMRイメージ画像を得て、得られた画像から石炭の粘結成分の量を表す指標と、石炭の粘結成分の粘度を表す指標を算出した。
【0070】
表1の実施例27、実施例28に示すような割合で各石炭を混合し、石炭の水分を3.0〜4.0%に調整して、コークス炉に装入し、1200℃の加熱温度で20時間乾留して、コークスを製造した。
【0071】
この結果、表1及び図3に示すように、式(1)によって推定したコークスのDI15015 の推定値と実際に得られたコークスのDI15015 の実績値は良く対応しており、DI15015 を精度良く推定することができた。
【0072】
(比較例1〜比較例4)
表1に示すように、非微粘結炭であるK炭、L炭、M炭および非微粘結炭のうちでも石炭の揮発分量が少ない半無煙炭であるN炭について、粘結成分の量を表す指標と粘結成分の粘度を表す指標を下記の方法で測定した。表1に性状を示す石炭について、前処理をせずに石炭の水素核のNMRイメージングを石炭の軟化溶融温度で測定した。ここで軟化溶融温度とは350℃から510℃の範囲である。
【0073】
試料を核磁気共鳴装置専用の試料管に挿入し、水素90度のパルス幅は8μsec、エコー時間は50μsec〜3msec、繰り返し時間は5msec〜1secとして、積算回数は512回であった。データのサイズはX方向で512ポイント、Y方向で512ポイントで、Z方向は1〜512ポイントと設定する。その際に試料を3℃/minで昇温させながら、X,Y,Zの3軸にそれぞれ、89gauss/cm、96gauss/cm、107gauss/cmの磁場勾配を短時間で与えるような方法で測定を行い、石炭の水素核NMRイメージング画像を得た。更に昇温させながら、同じ測定をすることで、石炭が軟化溶融状態のNMRイメージ画像を得て、得られた画像から石炭の粘結成分の量を表す指標と、石炭の粘結成分の粘度を表す指標を算出した。この結果、石炭の粘結成分量は23.6%〜40.1%であり、粘結成分の粘度を表す指標は2.0〜2.8と低く、2.9未満であった。
【0074】
石炭の水分を3.0〜4.0%に調整して、コークス炉に装入し、1200℃の加熱温度で20時間乾留して、コークスを製造した。
【0075】
この結果、表1に示すように、式(1)によって推定したコークスのDI1506−15 の実績値はDI1506−15 の推定値に比べて非常に多いために、DI15015 の推定値と実際に得られたコークスのDI15015 の実績値は良く対応しておらず、DI15015 を精度良く推定することはできなかった。
【0076】
【表1】
【0077】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、コークス製造用原料炭として、非微粘結炭を多量に配合しても、コークス強度を精度良く推定することが可能となる。したがって、本発明は、石炭資源の有効利用、およびコークス製造コストの削減を可能とする方法であり、発明の技術的経済的な効果は非常に大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】石炭の粘結成分量を表す指標とコークスのDI1506との関係を示す図である。
【図2】石炭の揮発分量とコークスのDI1506−15 との関係を示す図である。
【図3】本発明を適用した実施例1〜実施例27におけるコークスのDI15015 の推定値と実測値の関係を示す図である。
【図4】コークスの収縮係数を示す図である。
【図5】石炭のギーセラー流動性を示す図である。
【図6】石炭の揮発分量とギーセラー流動性試験による最高流動度の関係を示す図である。
【図7】石炭のCIとCBIおよびコークス強度の関係を示す図である。
【図8】本発明を適用するコークス製造プロセスの概要を示す図である。
【符号の説明】
1;石炭配合槽
2;石炭供給フィーダー
3;石炭乾燥機
4;粘結材添加タンク
5;粘結材添加装置
6;高分子添加ホッパー
7;コークス炉
Claims (3)
- 1種類または2種類以上の石炭を混合した後、コークス炉に装入し乾留して高炉用コークスを製造する際の製造コークスの強度を推定する方法であって、石炭の水素核の核磁気共鳴イメージングを石炭の軟化溶融温度で測定し、得られたイメージング画像から石炭の粘結成分量を表す指標(横緩和時間が100マイクロ秒以上である成分の量)および石炭の粘結成分の粘度を表す指標(横緩和時間が100マイクロ秒以上である成分の横緩和時間の逆数)を算出し、前記石炭の粘結成分量を表す指標(横緩和時間が100マイクロ秒以上である成分の量)が28%以上、かつ、前記石炭の粘結成分の粘度を表す指標(横緩和時間が100マイクロ秒以上である成分の横緩和時間の逆数)が2.9以上の範囲において、前記石炭の粘結成分量を表す指標(横緩和時間が100マイクロ秒以上である成分の量)と、石炭の石炭化度を表す指標(揮発分量)により、下記式(1)を用いてコークスのドラム強度(DI15015)を推定することを特徴とする高炉用コークスの強度推定方法。
DI15015 =[ a×(MC) 2 +b×MC+C] −(d×VM+E)・・・(1) ここで、DI15015はコークスのドラム強度(−)、MCは、前記石炭の粘結成分量を表す指標(横緩和時間が100マイクロ秒以上である成分の量)(%)、VMは前記石炭の石炭化度(揮発分量)を表す指標(%)、a、b、dは係数、C、Eは定数を各々示す。なお、係数a、係数b、及び、定数Cは、予め石炭の粘結成分量を表す指標とコークスの表面破壊強度(DI1506)との関係から求められ、係数d、定数Eは、予め石炭の石炭化度(揮発成分量)を表す指標とコークスの体積破壊強度(DI1506−15)との関係から求められる。 - 前記石炭が、事前に粘結材を添加した石炭であることを特徴とする請求項1に記載の高炉用コークスの強度推定方法。
- 前記石炭が、単一または2種類以上の高分子材料を配合した石炭であることを特徴とする請求項1または2に記載の高炉用コークスの強度推定方法。
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