JP2002294250A - 高炉用コークスの強度推定方法 - Google Patents
高炉用コークスの強度推定方法Info
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Abstract
た場合の高炉用コークス強度を精度良く推定する方法を
提供することである。 【解決手段】 原料炭をコークス炉に装入して乾留して
コークスを製造する方法において、核磁気共鳴スペクト
ルによって得られたる石炭の粘結成分量と、石炭の石炭
化度を示す指標によって、コークス強度を推定すること
を特徴とする高炉用コークスの強度推定方法。
Description
強度の推定方法に関するものである。
コークス製造コストの削減を達成するためには、原料炭
中に含まれる非微粘結炭の割合を増加させることが重要
である。これは、非微粘結炭は粘結炭に比べて資源の埋
蔵量が多く、安価であるため、コークスの製造コストを
低減する方法としては、原料炭中に含まれる非微粘結炭
の割合を増加させることが有効であることによる。しか
し、非微粘結炭の増加に伴って、コークスの強度が低下
するという問題があり、しかも、従来のコークス強度推
定方法では、非微粘結炭を多量に使用した場合のコーク
ス強度の推定精度が悪いという問題点があった。
加させた条件でコークス強度を精度良く推定する方法の
開発が求められている。
炭は、通常は複数種(約10種類程度)の石炭を配合し
た後に、コークス炉に装入して乾留して高炉用コークス
を製造する。このため、従来から2種類以上の石炭を混
合した場合のコークス強度を精度良く推定する方法が研
究されてきた。以下に、主な4つの例を示す。 (1)石炭の揮発分量と石炭の最高流動度を指標とした
コークス強度の推定法石炭の揮発分と最高流動度を所定
の範囲に調整して、コークス炉に装入して乾留し、コー
クスを製造する方法が、例えば、「石炭化学と工業」
p.299(三共出版(株)、S52年)等に開示され
ている。この方法は、石炭の揮発分量と、ギーセラープ
ラストメーターによる石炭の流動性試験(JIS M
8801)による石炭の最高流動度の両者から、コーク
ス強度を予測する方法であり、図6に示した矩形枠内部
分が高炉用コークスの石炭として最適であるとされてい
る。
8801に記載されている方法に従って、ギーセラープ
ラストメーターを用いて以下の手順で行なう。まず、撹
拌棒をセットしたレトルト中に石炭試料を装填し、その
後、金属浴中で規定の昇温速度で加熱する。この際撹拌
棒に一定のトルクを与えておくと、石炭の軟化とともに
撹拌棒が回転する。この回転挙動により軟化開始温度、
最高流動度及び固化温度を測定する試験方法である。 (2)石炭の微細組織成分と反射率を指標としたコーク
ス強度の推定方法 石炭の顕微鏡による微細組織成分(以下、「マセラル」
と記す)と、反射率を組み合わせることによって、石炭
の配合割合を調整してコークス炉に装入して乾留して得
られるコークスを推定する方法が、例えば、「石炭化学
と工業」p.302(三共出版(株)、S52年)等に
開示されている。この方法は、加熱により軟化溶融する
石炭中の活性成分(Reactives)であるビトリ
ニット、エクジニット、デグラジニット等のマセラル
と、加熱しても軟化溶融しない不活性成分(Inert
s)、および両者の中間的な性質を 示す半不活性成分
(Semi−Inerts)の割合を光学顕微鏡によっ
て測定し、石炭のマセラルの量比とビトリニットの平均
反射率の値によって、石炭組織の平衡指数(CBI)お
よび強度指数(SI)を算出して、CBIとSIの関係
から、コークス強度を推定する方法である。具体的に
は、図7に一例を示すように、SIとCBIからコーク
ス強度を推定するコークス強度推定線図を予め作成して
おき、石炭のマセラルの量比およびビトリニットの平均
反射率から算出したSIとCBIによってコークス強度
を推定する。
15(JIS K 2151に示すドラム強度試験方法
に従って、ドラム強度試験により測定し、コークス試料
を30回転後に15mm篩上に残存した質量比で表した
もの)を示している。
2151に示すドラム強度試験方法に従って、コーク
ス試料を150回転指せた後に15mm篩上に残存した
質量比で表したもの)を推定する場合には、予め、前記
DI3015の値とDI15015 の関係を求めてお
けば良い。 (3)石炭のギーセラー流動性試験における再固化温
度、および石炭のガス発生量を指標としたコークス強度
の推定方法 コークス製造用石炭のギーセラープラストメーターによ
る石炭の流動性試験(JIS M 8801)における
再固化温度を基準とする指標(X)、および原料炭のコ
ークス炉ガス発生量を表す指標(Y)と、コークスのド
ラム強度との関係を予め統計的に求めて相関式を作成
し、該相関式に基づいてコークス製造用原料炭として使
用する石炭を選択して、コークス炉に装入して乾留し、
コークス強度を推定する方法が、特開平4−24649
5号公報に開示されている。この方法は、石炭が加熱さ
れて軟化溶融した際に発生する粘結成分の量と、該粘結
成分の粘度を測定することが不可能なために、代替する
指標として、数種類の石炭を配合して調整した原料炭の
再固化温度を測定して、指標とするものである。 (4)NMR法によるコークス強度の推定方法 特開平9−328685号公報には、石炭に重水素置換
された溶媒を膨潤させたのち、水素核の核磁気共鳴吸収
スペクトルを測定し、石炭中の全水素の存在量を定量
し、その中の水素結合に関与している水素の存在量比を
算出することで、その量比とコークスドラム強度の関係
から得られるコークス化特性によって石炭の品質を評価
することを特徴とする石炭品質評価方法が開示されてい
る。また特開平10−19814号公報では、石炭を重
水素置換された溶媒に膨潤させたのち、水素核の核磁気
共鳴吸収スペクトルを測定し、石炭中の横緩和時間の相
対的に長い成分と短い成分の量を求め、その量比とコー
クスドラム強度の関係から、装入石炭の乾留後のコーク
スドラム強度を推定することを特徴とする石炭品質評価
方法、及び石炭を重水素置換されたピリジン等の溶媒に
膨潤させたのち、水素核 の核磁気共鳴吸収スペクトル
のエコー信号を測定し、その信号に対して適当な磁場勾
配を与えることで得られるマイクロイメージング像で石
炭中に存在する横緩和時間の相対的に長い成分の分布状
態等を可視化して、溶融し易い成分存在量や分布を評価
し、コークスドラム強度との関係から装入石炭の乾留後
のコークスドラム強度を推定することを特徴とする石炭
品質評価方法が開示されている。
炭を重水素置換された溶媒で膨潤することなしに水素核
の核磁気共鳴吸収スペクトルを測定し、石炭中の横緩和
時間の相対的に長い成分と短い成分の量を求め、その量
比とコークスドラム強度の関係から、装入石炭の乾留後
のコークスドラム強度を推定することを特徴とする石炭
品質評価方法が開示されている。
原料炭の配合方法では、ギーセラープラストメーターに
よる最高流動度や、石炭のマセラルと反射率等を指標と
して、石炭の配合設計を行う方法を採用してきたが、こ
れらの方法では下記の問題点があるために、コークス製
造用の石炭として、非微粘結炭を多量に配合した石炭を
用いてコークス炉で乾留して強度の高い高炉用コークス
を製造するための配合設計が不可能であった。
ープラストメーターによる石炭の最高流動度を指標とし
た石炭の配合方法では、非微粘結炭は軟化溶融時の粘結
性が低いため溶融しにくく、結果としてギーセラープラ
ストメーターの撹拌棒の回転数が小さくなり流動性の検
出精度が低下するという欠点がある。また、図5に示す
ように、ギーセラー流動性による粘結性の指標では、炭
種によって石炭の軟化開始温度、最高流動温度、および
再固化温度が異なるために、例えば、粘結炭である石炭
Aが軟化開始する温度では、既に非微粘結炭である石炭
Lは再固化を開始した状態となっている。このため、非
微粘結炭を多量に配合した石炭を使用する場合には、石
炭の粘結性を正確に評価することができない。この手法
によって石炭の配合設計を行なう場合には、非微粘結炭
の使用割合が約30質量%を超えると、石炭の流動性が
著しく低下するために、コークス強度が著しく低下する
と予測されてしまい、非微粘結炭30質量%以上の配合
条件を検討するためには、この方法は適用が不可能であ
り、非微粘結炭の配合割合の上限は原料炭に対して約3
0質量%が上限であった。さらに、非微粘結炭の中でも
揮発分量が15%以下と少ない半無煙炭の場合は、SI
が約6以上と高く、CBIは約5以上と高い値である
が、単味の石炭を乾留した場合に得られるコークスのド
ラム強度(DI15015 )は0であり、このような
半無煙炭を他の石炭と混合した場合のコークスのドラム
強度は従来のSI−CBI線図では予測できず、石炭の
種類によって適用が不可能であった。
射率を指標とした石炭の調整方法では、非微粘結炭は粘
結炭に比べてSIが低く(約4以下)、非微粘結炭を約
30質量%以上使用した 場合には、SI−CBI線図
から推定されるコークスのドラム強度の実績値と推定値
の差が大きくなる。このため、非微粘結炭の割合が30
質量%以上の場合には、SI−CBI法によるコークス
強度の推定は推定の精度が悪化するので、非微粘結炭を
多量に配合した石炭をコークス炉に装入して乾留し、コ
ークスを製造する場合の石炭の配合設計に適用すること
は不可能であり、この方法による非微粘結炭の配合割合
の上限は原料炭に対して約30質量%が上限であった。
セラープラストメーターによる流動性試験における再固
化温度、およびガス発生量を指標とした石炭の調整方法
では、以下の問題点がある。石炭を乾留した場合に石炭
の粘結性はコークス強度に対して大きな影響を及ぼす
が、石炭のギーセラー流動性試験による石炭の最高流動
性は、複数の石炭を配合した場合、特に非微粘結炭を約
30質量%以上配合した石炭については、前述したよう
に石炭のギーセラー流動性については加成性がない。そ
こで、特開平4−246495号公報では石炭の粘結性
を表す指標として、石炭のギーセラー流動性試験におけ
る再固化温度を指標とした石炭の調整方法を提案してい
る。しかし、この方法では、実際にコークス強度に対し
て強い影響を及ぼす石炭の粘結成分の量および石炭の粘
結成分の粘度を測定することが不可能な方法であるため
に、多量の非微粘結炭を含む石炭を用いてコークスを製
造した場合のコークス強度の推定は不可能である。
報、および特開平10−19814号公報に開示されて
いるNMRによる石炭の調整方法では、これらの方法に
代表される石炭のNMR測定法は非常に有用な情報を与
えるが、重水素溶媒での24時間以上の蒸気膨潤等の前
処理が必要であり、簡便性に欠けていた。また溶媒が石
炭に浸透した結果、その分子構造に微妙な影響を与えて
いた。更に石炭を構成する横緩和時間の比較的長い成分
のみの情報しか与えず、横緩和時間の比較的短い成分に
関する情報は得られなかった。また、測定に要する時間
が長く、水素のみに限定された情報であるのが欠点であ
った。また、特開平11- 326248号公報に開示さ
れている方法で法は、多重パルスを使用する必要があ
り、測定装置に高い性能が要求され、且つ習熟した測定
者が必要であり、したがって汎用的ではないという問題
がある。さらに、実際のコークス製造用の石炭の配合設
計を行なうためには、用いるべき石炭指標の調整方法が
明示されていないので、実際のコークス製造用原料炭の
配合設計を行なうための工夫が求められる。このため、
粘結炭から非微粘結炭までの広い範囲の炭種を対象とし
て、且つ、非微粘結炭を多量に配合した場合でも、コー
クス強度を精度良く推定することが可能である高炉用コ
ークスの強度推定方法の開発が必要とされている。
した原料炭を用いた条件で、コークス強度を精度良く推
定可能とする、高炉用コークスの強度推定方法を提供す
るものである。
る粘結成分の量を表す指標、粘結成分の粘度を表す指
標、および石炭の石炭化度を表す指標を用いて、非微粘
結炭の比率が高い石炭をコークス炉に装入して乾留して
得られるコークスの強度を精度良く推定することを特徴
とする高炉用コークスの強度推定方法を提供するもので
ある。
合した後、コークス炉に装入して乾留して高炉用コーク
スを製造する方法において、核磁気共鳴スペクトルによ
って石炭の粘結成分量を表す指標および石炭の粘度を表
す指標を測定し、前記石炭中の粘結成分量を表す指標が
28%以上、かつ、粘結成分の粘度を表す指標が2.9
以上の範囲において、石炭の粘結成分量を表す指標と、
石炭化度を表す指標によりコークス強度を推定すること
を特徴とする高炉用コークスの強度推定方法。
と、石炭化度を表す指標とにより、下記式(1)を用い
てコークス強度を推定することを特徴とする前記発明
(1)に記載の高炉用コークスの強度推定方法。
(−)、MCは、石炭の粘結成分量を表す指標(%)、
VMは石炭化度を表す指標(%)、a、bは係数、C、
Eは定数を各々示す。
た石炭であることを特徴とする前記発明(1)または
(2)に記載の高炉用コークスの強度推定方法。
の高分子材料を配合した石炭であることを特徴とする前
記発明(1)〜(3)のいずれかに記載の高炉用コーク
スの強度推定方法。
説明する。
セスを示す図である。1は石炭配合槽、2は石炭供給フ
ィーダー、3は石炭乾燥機、4は粘結材添加タンク、5
は粘結材添加装置、6は高分子添加ホッパー、7はコー
クス炉を各々示す。石炭配合槽1の下の石炭供給フィー
ダー2から供給する石炭の量を調節し、原料炭(ここで
は、1種類または2種類以上の石炭を配合し、コークス
炉に装入するた配合炭を指す)中の各石炭を所定の割合
に配合する。原料炭を石炭乾燥機3に送り、水分を2〜
6%程度に乾燥する。その後、粘結材添加装置5によ
り、原料炭に対して質量比で1〜10mass%の粘結
材を添加した後、前記粘結材を添加した原料炭に高分子
材料添加ホッパー6から切り出した高分子材料を添加し
た後、コークス炉7に送り、コークス炉内に装入して乾
留する。
クス製造プロセスを前提として、1種類、または2種類
以上の石炭を混合した後、コークス炉に装入して乾留し
て高炉用コークスを製造する方法において、コークス強
度を精度良く推定する方法について詳細に検討した。
非常に強い影響を及ぼす石炭の粘結成分の量と粘結成分
の粘度、およびこれらとコークス強度の関係について、
一連の実験を行なって詳細に検討した。
して粘結性を発現するためには、石炭分子の運動性が活
発化して液体状態に近くなり、それが石炭粒子内に拡が
ることが必要である。石炭粒子内に存在する横緩和時間
が長い成分、即ち、分子運動性の高い成分(易動性水素
成分)が多いということは石炭の粘結性に関与する成分
量の増加を意味する。加熱条件下において石炭粒子内の
粘結成分の発現量が増加することと、コークスのドラム
強度が向上することは対応している。この関係を活用し
て、石炭が軟化溶融する温度で石炭粒子内における粘結
成分の量を表す指標を用いることにより、コークス強度
を推定できることを見出した。
成分の粘度を表す指標の測定は、下記の方法で行なっ
た。
をせずに石炭の水素核のNMRイメージングを石炭の軟
化溶融温度で測定する。ここで軟化溶融温度とは350
℃から510℃の範囲である。なお、上記の事前処理と
は。石炭を予熱・加熱したり、溶媒等での処理をしたり
することを言うが、本発明の石炭の配合調製のために前
記指標を測定する際にはこの事前処理は不要である。な
おまた、本発明において「調製」という場合、複数種の
石炭を配合して用いる場合と、単味の石炭を用いる場合
のいずれも含むものとする。
気共鳴装置専用の試料管に挿入するだけで良く、試料管
に入るサイズである数ミリメートル以下であれば、特に
試料の大きさや形状には依存しない。
幅は8μsec、エコー時間は50μsec〜3mse
c、繰り返し時間は5msec〜1secとして、積算
回数は512回であった。データのサイズはX方向で5
12ポイント、Y方向で512ポイントで、Z方向は1
〜512ポイントと設定する。その際に試料を3℃/m
inで昇温させながら、X,Y,Z の3軸にそれぞ
れ、89gauss/cm、96gauss/cm、1
07gauss/cmの磁場勾配を短時間で与えるよう
な方法で測定を行い、石炭の水素核NMRイメージング
画像を得る。更に昇温させながら、同じ測定をすること
で、石炭が軟化溶融状態のNMRイメージ画像を得る。
得られた画像から、適当な横緩和時間での分布と易動性
水素成分の存在量を算出する。ここで「易動性水素成
分」とは、本明細書においては「粘結成分の量を表す指
標」のことをいい、その存在量は、上記軟化溶融温度域
で、横緩和時間が100マイクロ秒以上である成分の量
として定義される。ここで多重パルスや横緩和時間に関
しては、特開平11−326248号公報中にその内容
を記載している通りであり、石炭の水素核のNMRスペ
クトルに、数マイクロ秒の短く且つ数百パッドの強いパ
ルスを一定周期で繰り返し与える多重パルス法と同時に
直線的な傾斜勾配を組み合わせることで測定を行う。こ
の時、水素核磁気共鳴から得られた吸収を半値幅の広い
吸収(横緩和時間が短い成分)と、狭い吸収(横緩和時
間が長い成分)に波形分離し、その面積をそれぞれの成
分量とした。本測定時に得られる吸収を先鋭化させ明確
なイメージング像にすることで、横緩和時間の長い成分
と短い成分の差異を明確にすることがよい。
ックエコー法(F. Weigand, D. E. Demco, B. Blumich
and H.W.Spiess,J. Magn. Reson, A120(1996) 190 )が
非常に有効であり。従来のイメージング技術と併用でき
る。同様の効果は、漏洩磁場を利用するSTRAFI法
(A. A. Samoilenko, D. Y. Artemov, and L. Ascibeld
ina, JETP Lett.48 (1998)348 )でも確認されてい
る。横緩和時間とは、NMRイメージング測定の結果得
られる最小画素内に存在する石炭自身に由来する水素核
NMRスペクトル吸収の半値幅(吸収の高さの半分の位
置における吸収の幅を意味する)から導き出されるもの
であり、石炭のバルクとしての運動性を表す。
る10種類の石炭と2種類以上の石炭を混合した配合
炭、石炭と粘結材の混合物、および石炭と高分子材料の
混合物について、本手法によって軟化溶融時の易動性水
素成分の存在量と横緩和時間を求めた。NMRの測定結
果から、横緩和時間の逆数を係数化して「粘結成分の粘
度を表す指標」を求める方法を考案した。具体的には、
NMRイメージング画像から得られる横緩和時間が長い
成分の横緩和時間の逆数であり、横緩和時間の逆数を1
/msecの単位で表したものと定義される。
量を示す指標、および粘結成分の粘度を表す指標を表1
に示す。
ス炉に装入して、1200℃で20時間乾留してコーク
スを製造し、上記の石炭の粘結成分の指標と、コークス
強度の関係を詳細に調べた。その結果、図1に示すよう
に、石炭の粘結成分の量を表す指標とコークスの表面破
壊強度(DI1506)との間には明確な相関関係があ
ることを見いだした。即ち、NMRの測定によって得ら
れる粘結成分量を表す指標によって、コークスの表面破
壊強度(DI1506)が精度良く推定可能である。
量)によってコークスの体積破壊強度(DI1506−
15 )が精度良く推定可能であることを見出した。
コークスの体積破壊によって生じる粉コークス量の関係
について、詳細に検討した。非微粘結炭は、揮発分量の
含有量が多いこと、および石炭組織の中に不活性物質で
あるイナートの含有量が多い特徴がある。揮発分量が多
い石炭を乾留すると図4に一例を示すように、約400
〜600℃のコークスの再固化温度域でのコークスの線
収縮率が大きいために、コークス塊内に発生する熱応力
が増加し、コークス塊内に多くの亀裂が発生する。この
ため、非微粘結炭の単味炭(非微粘結炭のみ)、または
非微粘結炭を配合した石炭をコークス炉に装入して乾留
してコークスを製造する場合には、コークスが衝撃を受
けた際にコークス塊内の亀裂を起点として体積破壊現象
が生じ、直径が6〜15mmの粒度の小さいコークスの
発生量が増加する。本発明者らは、前記の条件で乾留し
たコークスについて、JIS K 2151に従って、
ドラム試験機で150回転した後に篩い目が6〜15m
mの篩い上に残存する試料の割合(以下、DI1506
−15 と記す)を測定した。
化度を表す指標である石炭の揮発分量とコークスのDI
1506−15 の間には、明確な関係があることを見
いだした。即ち、石炭の石炭化度を表す指標である揮発
分量によって、コークスの体積破壊強度(DI1506
−15 )が精度良く推定可能であることを見出した。
)は、コークスの表面破壊強度(DI1506)から
コークスの体積破壊強度(DI1506−15 )を減
じた値として表される。そこで、コークスの表面破壊強
度(DI1506)とコークスの体積破壊強度(DI1
506−15 )の両方を推定できれば、コークスのド
ラム強度(DI15015 )を推定することができ
る。
いて、NMRの測定によって得られる粘結成分量を表す
指標によってコークスの表面破壊強度(DI1506)
を推定し、石炭の石炭化度を表す指標(揮発分量)によ
ってコークスの体積破壊強度を推定することにより、コ
ークスのドラム強度(DI15015 )を精度良く推
定可能であることを見出した。
VMは石炭の揮発分量(%)、a、bは係数、C、Eは
定数を各々示す。
た後、コークス炉に装入して、1200℃で20時間乾
留してコークスを製造し、上記の石炭の粘結成分の指標
と、石炭の揮発分量およびコークス強度の関係を詳細に
調べた結果、図2および図3に例を示すように、式
(1)の係数aは−0.0489、係数bは4.359
2、係数dは0.0745、定数Cは−9.0656,
定数Eは−0.0454であった。
のコークス炉の炉温および乾留時間、コークス炉に装入
する石炭の水分および装入密度などの操業条件によっ
て、変化することが知られており、前述の係数および定
数は一例であり、式(1)を実際のコークス炉での操業
に適用する場合には、この値に限定するものではない。
コークス強度が向上することになるので、粘結成分量の
上限については、特に規定しない。また、NMRで測定
される粘結成分の粘度を表す指数( ここでは、値が大き
いほど粘度が低い) が大きくなるほどコークス強度は向
上するため、粘結成分の粘度を表す指数の上限は規定し
ない。
た石炭が軟化溶融して粘結性を発現するためには、石炭
分子の運動性が活発化して液体状態に近くなり、それが
石炭粒子内に拡がることが必要である。このため、NM
Rで測定される石炭の粘結成分の量が少なすぎると、石
炭を乾留した際の石炭粒子の溶融性が低下し、石炭粒子
間の接着強度が著しく低下する。また、NMRで測定さ
れる石炭の粘結成分の粘度が高すぎると、粘結成分が石
炭粒子内に十分に広がることができないために、コーク
ス粒子間の接着強度が著しく低下する。
の粘結成分の粘度、およびコークス強度の関係につい
て、系統的に一連の試験を行なって解析した結果、前記
石炭の粘結成分量を表す指標(MC)が28%未満、ま
たは、粘結成分の粘度を表す指標が2.9未満の場合
に、コークスの粒子間の接着状況が不良になるため、本
発明の式(1)によるコークス強度の推定には不適とな
る。
を表す指標(MC)が28%以上、かつ、粘結成分の粘
度を表す指標が2.9以上の範囲に規定する。
後、該石炭に粘結材を添加して、コークス炉に装入して
1200℃で20時間乾留し、得られたコークスのドラ
ム強度(DI15015 )を測定した。
られるコークスのDI15015を式(1)によって推
定し、DI15015 の推定値とDI15015 の実
測値の関係を比較した。この結果、図3に示すように式
(1)によって、DI15015 を精度良く推定可能
であることがわかった。
を配合した石炭をコークス炉に装入して1200℃、2
0時間で乾留して得られたコークスのドラム強度(DI
15015 )を測定した。
られるコークスのDI15015を推定し、DI150
15 の推定値とDI15015 の実測値の関係を比較
した。この結果、図3に示すように式(1)によって、
DI15015 を精度良く推定可能であることがわか
った。
5 )とはJIS K 2151に示されているドラム
強度試験により測定し、コークス試料を150回転後に
15mm篩上に残存した質量比で表したものを示す。
ソフトピッチ、石油系粘結材など使用できるまた、石炭
に添加する高分子材料としては、ポリエチレン、ポリス
チレン、容器包装品などの使用済みの廃プラスチック、
廃タイヤなどの高分子材料が使用可能である。
発明はこれに限定されるものではない。
な性状の異なる石炭の粘結成分を下記の方法で測定し
た。
炭、C炭、D炭、E炭、F炭、G炭、H炭、I炭、J炭
について、前処理をせずに石炭の水素核のNMRイメー
ジングを石炭の軟化溶融温度で測定した。ここで軟化溶
融温度とは350℃から510℃の範囲である。
し、水素90度のパルス幅は8μsec、エコー時間は
50μsec〜3msec、繰り返し時間は5msec
〜1secとして、積算回数は512回であった。デー
タのサイズはX方向で512ポイント、Y方向で512
ポイントで、Z方向は1〜512ポイントと設定する。
その際に試料を3℃/minで昇温させながら、X,
Y,Zの3軸にそれぞれ、89gauss/cm、96
gauss/cm、107gauss/cmの磁場勾配
を短時間で与えるような方法で測定を行い、石炭の水素
核NMRイメージング画像を得た。更に昇温させなが
ら、同じ測定をすることで、石炭が軟化溶融状態のNM
Rイメージ画像を得て、得られた画像から石炭の粘結成
分を表す指標と、石炭の粘結成分の粘度を表す指標を算
出した。この方法で得られた石炭の粘結成分量を表す指
標(MC)および、石炭化度を表す指標(VM:揮発
分)を用いて、コークスのDI15015 を推定し
た。揮発分量の測定は、JIS M8801に記載され
ている方法に従って、空気との接触を遮断した状態で、
試料1gを蓋付きるつぼに入れ、900±20℃で7分
間加熱したときの質量減少率から、同時に定量した水分
を差し引いた値を揮発分とする方法で測定した。
水分を3.0〜4.0%に調整して、コークス炉に装入
し、1200℃の加熱温度で20時間乾留して、コーク
スを製造した。
(1)によって推定したコークスのDI15015 の
推定値と実際に得られたコークスのDI15015 の
実績値は良く対応しており、DI15015 を精度良
く推定することができた。
うな粘結炭であるA炭、B炭、D炭、I炭に対して、非
微粘結炭であるK炭、L炭、M炭および半無煙炭N炭を
配合した。配合炭中の非微粘結炭および半無煙炭の配合
割合は50〜60質量%である。該石炭を前処理をせず
に石炭の水素核のNMRイメージングを石炭の軟化溶融
温度で測定した。ここで軟化溶融温度とは350℃から
510℃の範囲である。
し、水素90度のパルス幅は8μsec、エコー時間は
50μsec〜3msec、繰り返し時間は5msec
〜1secとして、積算回数は512回であった。デー
タのサイズはX方向で512ポイント、Y方向で512
ポイントで、Z方向は1〜512ポイントと設定する。
その際に試料を3℃/minで昇温させながら、X,
Y,Zの3軸にそれぞれ、89gauss/cm、96
gauss/cm、107gauss/cmの磁場勾配
を短時間で与えるような方法で測定を行い、石炭の水素
核NMRイメージング画像を得た。更に昇温させなが
ら、同じ測定をすることで、石炭が軟化溶融状態のNM
Rイメージ画像を得て、得られた画像から石炭の粘結成
分を表す指標と、石炭の粘結成分の粘度を表す指標を算
出した。
な2種類以上の石炭を配合した混合物を、水分を3.0
〜4.0%に調整して、コークス炉に装入し、1200
℃の加熱温度で20時間乾留して、コークスを製造し
た。
(1)によって推定したコークスのDI15015 の
推定値と実際に得られたコークスのDI15015 の
実績値は良く対応しており、DI15015 を精度良
く推定することができた。
%配合した場合についても、コークス強度が精度良く推
定可能であった。
うな粘結炭であるA炭単味や、A炭、B炭に対して、非
微粘結炭であるL炭を配合したものを用いた。配合炭中
の非微粘結炭の割合は50〜60質量%である。該石炭
に、粘結材としてタールを3%添加して混合した混合物
について、前処理をせずに石炭の水素核のNMRイメー
ジングを石炭の軟化溶融温度で測定した。ここで軟化溶
融温度と は350℃から510℃の範囲である。
し、水素90度のパルス幅は8μsec、エコー時間は
50μsec〜3msec、繰り返し時間は5msec
〜1secとして、積算回数は512回であった。デー
タのサイズはX方向で512ポイント、Y方向で512
ポイントで、Z方向は1〜512ポイントと設定する。
その際に試料を3℃/minで昇温させながら、X,
Y,Zの3軸にそれぞれ、89gauss/cm、96
gausss /cm、107gauss/cmの磁場勾
配を短時間で与えるような方法で測定を行い、石炭の水
素核NMRイメージング画像を得た。更に昇温させなが
ら、同じ測定をすることで、石炭が軟化溶融状態のNM
Rイメージ画像を得て、得られた画像から石炭の粘結成
分を表す指標と、石炭の粘結成分の粘度を表す指標を算
出した。
な石炭と粘結材の混合物を、水分を3.0〜4.0%に
調整して、コークス炉に装入し、1200℃の加熱温度
で20時間乾留して、コークスを製造した。
(1)によって推定したコークスのDI15015 の
推定値と実際に得られたコークスのDI15015 の
実績値は良く対応しており、DI15015 を精度良
く推定することができた。
うに、実施例27では粘結炭であるA炭に高分子材料と
してポリエチレン系のプラスチックを5%添加した混合
物を用いて、実施例28では、A炭に対して、高分子材
料として容器包装品を混合した一般廃プラスチックを5
%添加した混合物を用いて、粘結成分の量を表す指標と
粘結成分の粘度を表す指標を下記の方法で測定した。表
1に性状を示す石炭について、前処理をせずに石炭の水
素核のNMRイメージングを石炭の軟化溶融温度で測定
した。ここで軟化溶融温度とは350℃から510℃の
範囲である。
し、水素90度のパルス幅は8μsec、エコー時間は
50μsec〜3msec、繰り返し時間は5msec
〜1secとして、積算回数は512回であった。デー
タのサイズはX方向で512ポイント、Y方向で512
ポイントで、Z方向は1〜512ポイントと設定する。
その際に試料を3℃/minで昇温させながら、X,
Y,Zの3軸にそれぞれ、89gauss/cm、96
gauss/cm、107gauss/cmの磁場勾配
を短時間で与えるような方法で測定を行い、石炭の水素
核NMRイメージング画像を得た。更に昇温させなが
ら、同じ測定をすることで、石炭が軟化溶融状態のNM
Rイメージ画像を得て、得られた画像から石炭の粘結成
分を表す指標と、石炭の粘結成分の粘度を表す指標を算
出した。
な割合で各石炭を混合し、石炭の水分を3.0〜4.0
%に調整して、コークス炉に装入し、1200℃の加熱
温度で20時間乾留して、コークスを製造した。
(1)によって推定したコークスのDI15015 の
推定値と実際に得られたコークスのDI15015 の
実績値は良く対応しており、DI15015 を精度良
く推定することができた。
に、非微粘結炭であるK炭、L炭、M炭および非微粘結
炭のうちでも石炭の揮発分量が少ない半無煙炭であるN
炭について、粘結成分の量を表す指標と粘結成分の粘度
を表す指標を下記の方法で測定した。表1に性状を示す
石炭について、前処理をせずに石炭の水素核のNMRイ
メージングを石炭の軟化溶融温度で測定した。ここで軟
化溶融温度とは350℃から510℃の範囲である。
し、水素90度のパルス幅は8μsec、エコー時間は
50μsec〜3msec、繰り返し時間は5msec
〜1secとして、積算回数は512回であった。デー
タのサイズはX方向で512ポイント、Y方向で512
ポイントで、Z方向は1〜512ポイントと設定する。
その際に試料を3℃/minで昇温させながら、X,
Y,Zの3軸にそれぞれ、89gauss/cm、96
gauss/cm、107gauss/cmの磁場勾配
を短時間で与えるような方法で測定を行い、石炭の水素
核NMRイメージング画像を得た。更に昇温させなが
ら、同じ測定をすることで、石炭が軟化溶融状態のNM
Rイメージ画像を得て、得られた画像から石炭の粘結成
分を表す指標と、石炭の粘結成分の粘度を表す指標を算
出した。この結果、石炭の粘結成分量は23.6%〜4
0.1%であり、粘結成分の粘度を表す指標は2.0〜
2.8と低く、2.9未満であった。
て、コークス炉に装入し、1200℃の加熱温度で20
時間乾留して、コークスを製造した。
よって推定したコークスのDI1506−15 の実績
値はDI1506−15 の推定値に比べて非常に多い
ために、DI15015 の推定値と実際に得られたコ
ークスのDI15015 の実績値は良く対応しておら
ず、DI15015 を精度良く推定することはできな
かった。
ス製造用原料炭として、非微粘結炭を多量に配合して
も、コークス強度を精度良く推定することが可能とな
る。したがって、本発明は、石炭資源の有効利用、およ
びコークス製造コストの削減を可能とする方法であり、
発明の技術的経済的な効果は非常に大きい。
1506との関係を示す図である。
5 との関係を示す図である。
るコークスのDI15015の推定値と実測値の関係を
示す図である。
最高流動度の関係を示す図である。
を示す図である。
を示す図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 1種類または2種類以上の石炭を混合し
た後、コークス炉に装入し乾留して高炉用コークスを製
造する際の製造コークスの強度を推定する方法であっ
て、核磁気共鳴スペクトルによって石炭の粘結成分量を
表す指標および石炭の粘度を表す指標を測定し、前記石
炭中の粘結成分量を表す指標が28%以上、かつ、粘結
成分の粘度を表す指標が2.9以上の範囲において、石
炭の粘結成分量を表す指標と、石炭化度を表す指標によ
りコークス強度を推定することを特徴とする高炉用コー
クスの強度推定方法。 - 【請求項2】 前記の石炭の粘結成分量を表す指標と、
石炭化度を表す指標とにより、下記式(1)を用いてコ
ークス強度を推定することを特徴とする請求項1に記載
の高炉用コークスの強度推定方法。 DI15015 =[ a×(MC)2 +b×MC+C] −(d×VM+E)・ ・・(1) ここで、DI15015 はコークスのドラム強度
(−)、MCは、石炭の粘結成分量を表す指標(%)、
VMは石炭化度を表す指標(%)、a、bは係数、C、
Eは定数を各々示す。 - 【請求項3】 前記石炭が、事前に粘結材を添加した石
炭であることを特徴とする請求項1または請求項2に記
載の高炉用コークスの強度推定方法。 - 【請求項4】 前記石炭が、単一または2種類以上の高
分子材料を配合した石炭であることを特徴とする請求項
1〜請求項3のいずれかに記載の高炉用コークスの強度
推定方法。
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- 2001-03-30 JP JP2001100083A patent/JP4132710B2/ja not_active Expired - Fee Related
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