JP4132705B2 - 空気調和機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
この発明は静電式集塵装置とイオン発生装置を室内ユニットに組み込み、この装置を利用して運転停止時に空気調和機内部を脱臭殺菌する空気調和機に関する。
【0002】
【従来の技術】
空気調和機の室内ユニットの送風経路に静電式集塵装置を取り付け吸込空気に混入するタバコの煙等の微細な塵埃を取り除いて冷暖房を行うと同時に室内の空気を清浄する事は従来より行われ室内の環境改善に大きな効果を上げるものだった。
ところで静電式集塵装置は空気中の塵埃を取り除くだけでなく、その副作用としてオゾンを発生することが知られているが、このオゾンは酸化作用が強いために高濃度では人体に有害であるために、発生するオゾンが室内の人体に害がおよばないように静電式集塵装置の電極に印加する電圧と送風ファンの風量を調整してオゾンの発生を低濃度に抑制していた。
【0003】
またイオン発生装置を吹出口近傍に備えて負イオンを発生することで負イオンを吹出空気に乗せて室内に放出する事も従来より行われ、人体の生理作用の改善等に利用されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
一方空気調和機の室内ユニットの熱交換器は冷房運転により結露水が発生し、運転停止中には熱交換器や熱交換器からの結露水を受けるドレーン皿等に付着した結露水が蒸発して室内ユニット内の湿度が上昇することでカビが発生し、次回の運転開始時にこのカビが室内に散乱し悪臭の原因になると共に人体に有害なものだった。
【0005】
【問題点を解決するための手段】
この発明はこの点に着目し上記欠点を解決する為、特にその構成を、室内ユニット前面中央に吸込口を、該吸込口下方に吹出口を備え、前記室内ユニット内に熱交換器と送風ファンを設け、前記吸込口、熱交換器、送風ファン、吹出口を連通して送風経路を形成し、該送風経路又は吹出口近傍に静電式集塵装置及びイオン発生装置を備えると共に、室温センサと熱交センサを備えた空気調和機に於いて、前記吹出口に風向変更用の水平羽根を設け、空調運転停止後該水平羽根を水平又は斜め上方向きに位置させると共に送風ファンを低回転で運転し、前記静電式集塵装置とイオン発生装置を同時に運転する殺菌運転を行う制御装置を設け、前記殺菌運転の運転時間は前記室温センサ又は熱交センサの温度にて可変するようにしたものである。
また前記殺菌運転を選択する殺菌スイッチを設けたものである。
また前記殺菌運転手段による運転時間は前記室温センサーと熱交センサーの温度差にて可変するようにしたものである。
また前記殺菌運転中を表示する表示手段を設けたものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下この発明の実施の形態を図面をもとに説明すれば、1はセパレート式空気調和機の室内ユニットで、本体ケーシング2と前方の前面カバー3によって筐体を形成し、前記前面カバー3の中央には横長スリット状の吸込口4を有するオープンパネル5を備えこのパネル5上部左右に設けた軸(図示せず)を支点として前面カバー3前方へ開閉自在に取付られ、前記吸込口4下方から前面カバー3底面には横長の吹出口6を設け、また前面カバー3上面には前記吸込口4で不足する開口面積を補うために上部吸込口7を設けている。
【0007】
前記吸込口4・7の内側には横長で多段に屈曲されたフィンチューブ式の熱交換器8を設け、この熱交換器8の後部にはクロスフロー式の送風ファン9を配置している。
この送風ファン9は通常運転時約750〜1,100rpmの早さで回転し、前記吸込口4・7から室内空気を吸い込み吹出口6より熱交換された空気を吹き出すものである。
前記熱交換器8の下方には樹脂の発泡材で一体成形されたドレーン皿10を設け、結露水を受けると共に前記ファン9の送風を吹出口6へ導くエアーガイドの機能を兼ねるものである。
【0008】
11は集塵ユニットで約+2kvの直流電源に接続されたアルミ板に多数の穴12aを設けた放電対極12と、この穴12aの略中心に向かって針先を位置させた針状電極13aで形成され約−2kvの直流電源に接続された放電極13とで構成し、空気中の目に見えない塵やタバコの煙を前記放電極13で帯電し放電対極12にて捕捉するものであり、前記熱交換器8と前面パネル3の間の上部空間に取り付けられるものである。
【0009】
また前記吸込口4と熱交換器8、又は吸込口4と集塵ユニット11の間には樹脂製で網目状のプレフィルタ14を備え、空気中の比較的大きなホコリを捕捉する。
前記吹出口6の右側には空気調和機の運転状態をランプ等で表示する表示部15を設け、この表示部15の更に右側にはイオン発生装置16を設けている。
【0010】
前記表示部15は前面パネル3の蓋体17に設けた表示穴18を通して、この蓋体17の背面に対向して位置するランプ等によって運転停止等の表示を行うものであり、前記蓋体17及び前面カバー3はポリスチレン等の樹脂により形成される。
前記イオン発生装置16は蓋体17に設けた穴部19の背面に対向してイオン発生用の放射電極20を位置させこの穴部19より負イオンを放出するものであり、放出したイオンは吹出口6からの送風に乗って室内に拡散するものである。
【0011】
前記放射電極20は針状で−8kv程の電位がかけられ負イオンを発生するもので、針先は鋭利で有るため前面の穴部19は一個一個が指先の入らない大きさに設けられている。
また前記放射電極20はイオン発生回路基板21から穴部19に向かって3本平行に設けられている。
【0012】
図5をもとに制御回路のブロック図を説明すれば、22は空気調和機の運転停止や前記イオン発生装置16や静電式集塵装置23の制御等空気調和機全体の制御を行うマイクロコンピュータ等の制御装置で、空調運転停止後に殺菌運転を行う殺菌運転手段を兼ねるものである。
【0013】
24はワイヤレスリモコン25の受信装置で、このワイヤレスリモコン25からの信号を前記制御装置22に中継するものである。
26は前記ワイヤレスリモコン25の操作部で、運転スイッチ27や冷暖房の切替等を行うモードスイッチ28や前記イオン発生装置16や静電式集塵装置23の運転を選択する殺菌運転スイッチ29等のスイッチ類を備えている。
【0014】
30は空気中のイオン濃度を測定するイオンセンサで、前記イオン発生装置16近傍に設けられイオンの発生状態を監視するものである。
31は前記吸込口4と熱交換器8の間に設けられた室温センサで、吸込空気の温度を測定する。
【0015】
32は前記熱交換器8の銅管又はアルミフィン等に取り付けられた熱交センサーで、熱交換器8の温度を測定するものであり、前記イオンセンサ30や室温センサ31と共に制御装置22の入力側に接続されている。
前記制御装置22の出力側には表示部15の表示基板33が接続され、この表示基板33には空気調和機運転時に点灯する運転ランプ34や、運転停止時の殺菌運転時に点灯又は点滅する殺菌運転ランプ35や、イオン発生時に点灯又は点滅するイオンランプ36が設けられている。
【0016】
37は前記送風ファン9のファンモータ、38は室外機(図示せず)の室外側制御装置、39は前記吹出口6に備えた風向変更用の水平羽根40を回動するルーバーモータで、前記制御装置22の出力側にそれぞれ接続されている。
【0017】
41は前記イオン発生装置16に備えたイオン発生回路で、電源42との間に設けたリレー43と共に前記放射電極20から発生するイオン量を調整するものである。
前記静電式集塵装置23は集塵ユニット11と集塵回路44と、この集塵回路44と電源45の間をON−OFFするリレー46を備え、前記制御装置22の出力側に接続されている。
【0018】
前記イオン発生装置16は交流100v50Hz又は60Hzの商用電源を直流約8kvに昇圧する前記イオン発生回路41に先尖状のアルミ板や針からなる前記放射電極20をこの放射電極20が約−8kvの電位になるように接続し、前記リレー43によって制御装置22にてイオン発生回路41の作動を制御するものであり、前記放射電極20は蓋体17によって保護され穴部19から約15万〜20万個/ccの負イオンが室内に放出されるものである。
【0019】
また前記静電式集塵装置23は交流100vの電源を集塵回路44にて約+2kvと約−2kvの直流に変換して前記集塵ユニット11に供給するもので、前記リレー46によって制御装置22にて運転、停止を行うものである。
【0020】
ところで静電式集塵装置23は空気中の塵埃を取り除くだけでなく、その副作用としてオゾンを発生することが知られているが、このオゾンは酸化作用が強いために高濃度では人体に有害であり労働環境基準では作業環境濃度0.1ppmを勧告している、そのため発生するオゾンが室内の人体に害がおよばないように静電式集塵装置23の電極に印加する電圧と送風ファン9の風量を調整してオゾンの発生を約0.03ppmの低濃度に抑制するものである。
【0021】
図6のフローチャートによって空気調和機運転停止時の殺菌運転について説明すれば、空気調和機運転中にワイヤレスリモコンの運転スイッチ27にて停止の操作を行えば(ST1)、ステップ2にて制御装置22が殺菌運転スイッチ29がONしているかどうかを検知し、NOならばそのままステップ8に進み空気調和機は全停止する。またYESならばステップ3に進み、殺菌運転ランプ35が点灯し、通常運転時約750〜1,100rpmの早さで回転している送風ファン9は、より低回転の約500rpmに回転を落とすと共に、吹出口6よりの送風方向を水平羽根40の吹出方向を斜め上向きにして、運転する事で吹出し空気がすぐに吸込口4・7に戻りショートサーキット運転になり、室温センサ31の読込が行われ、この時同時にタイマーtがスタートする。もちろん運転停止の操作が行われたので、圧縮機(図示せず)等の冷凍回路は停止するものである。
【0022】
次にステップ4にて室温センサ31の値を比較し、15℃より低い場合には殺菌運転時間(tx)を30秒に、15〜20℃の場合には殺菌運転を(tx)を45秒に、20〜25℃の場合には殺菌運転を(tx)を60秒に、25〜30℃の場合には殺菌運転を(tx)を90秒に、30℃より大きい場合には120秒間に設定し室温に応じた適切な殺菌運転時間を設定するものである。
【0023】
次にステップ5にて静電式集塵装置23とイオン発生装置16が運転を始める。もちろん空気調和機はST1の運転停止操作前に静電式集塵装置23とイオン発生装置16が運転中で有った場合には静電式集塵装置23とイオン発生装置16の運転を継続するものである。
【0024】
この時のオゾン発生量は送風ファン9を通常運転より更に低回転で運転する事と、これによりショートサーキット運転が行われる事で通常運転時のオゾン発生量である0.03ppmより多い0.05ppm程になり、このオゾンとイオン発生装置16から発生するイオンが室内ユニット1内で混合される事でオゾンと負イオンが反応し強い殺菌力が生まれるものであり、室内ユニット1内の送風経路を殺菌するものであり、特に結露水によって濡れた熱交換器8やドレーン皿10にカビが発生して悪臭の原因になる事を防止するものである。
【0025】
次にステップ6にてタイマーtがtx秒に経過するまでこの殺菌運転を継続し、経過後ステップ7にて静電式集塵装置23とイオン発生装置16の通電を停止したのち、10秒後ステップ8にて空気調和機の全停止を行い殺菌運転が終了する。
【0026】
このように空気調和機の運転停止時にオゾンとイオンを混合したショートサーキット運転を行う事で、オゾン・イオンの発生量がそれぞれ人間に害の無い低濃度で有りながら殺菌運転では殺菌効果を充分発揮して熱交換器8やドレーン皿10等にカビが発生する事を防止するものである。
また殺菌運転は殺菌運転スイッチ29によって運転の有無を選択できるので、使用者の好みに応じて殺菌運転を行わないことも選択できるものである。
また殺菌運転時間を室温に応じて変えることにより、室温が高くカビの繁殖が多いと予想される時には殺菌運転を長く設定し、室温が低くカビの発生が比較的少ないと予想される時には殺菌運転を短く設定することで無駄な運転を無くし適切な殺菌運転が行われるものである。
【0027】
また図6の室温センサ31の値Taをそのまま熱交センサ32の値Tbに変え、それぞれの熱交温度Tbの値に応じた殺菌運転時間txを設定すれば殆ど同じ効果が得られるものである。
【0028】
図7の第2の実施例について説明すれば、第2実施例は図6の第1実施例のステップ4をステップ9に置き換えたものである。ステップ9では室温Taをそのまま殺菌運転時間txに反映するのではなく、室温Taと熱交温度Tbの温度差に定数Cを掛けた値にて殺菌運転時間txを決定するのでよりきめ細かい時間管理ができるものである。
【0029】
また殺菌運転中には殺菌運転ランプ35を点灯することで、殺菌運転中である事を使用者に知らしめ、運転停止の操作を行ったにもかかわらずすぐ運転が停止しない等の不信感を使用者にあたえる事を防止するものである。
【0030】
【発明の効果】
以上のようにこの発明によれば、オゾン・イオンの発生量がそれぞれ人間に害の無い低濃度で有りながら殺菌運転では殺菌効果を充分発揮して熱交換器やドレーン皿等にカビが発生する事を防止するものである。
また殺菌運転は殺菌運転スイッチによって運転の有無を選択できるので、使用者の好みに応じて殺菌運転を行わないことも選択できるものである。
また殺菌運転時間を室温に応じて変えることにより、室温が高くカビの繁殖が多いと予想される時には殺菌運転を長く設定し、室温が低くカビの発生が比較的少ないと予想される時には殺菌運転を短く設定することで無駄な運転を無くし適切な殺菌運転が行われるものである。
また殺菌運転中には殺菌運転ランプを点灯することで、殺菌運転中である事を使用者に知らしめ、運転停止の操作を行ったにもかかわらずすぐ運転が停止しない等の不信感を使用者にあたえる事を防止するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施例の斜視図。
【図2】同構造を簡略した側面の断面図。
【図3】同集塵ユニット11の断面図。
【図4】同イオン発生装置16の断面図。
【図5】同制御回路の略図。
【図6】同フローチャート図。
【図7】この発明の第2実施例のフローチャート図。
【符号の説明】
1 室内ユニット
8 熱交換器
9 送風ファン
10 ドレーン皿
11 集塵ユニット
16 イオン発生装置
23 静電式集塵装置
29 殺菌運転スイッチ
31 室温センサ
32 熱交センサ
35 殺菌運転ランプ
40 水平羽根

Claims (4)

  1. 室内ユニット前面中央に吸込口を、該吸込口下方に吹出口を備え、前記室内ユニット内に熱交換器と送風ファンを設け、前記吸込口、熱交換器、送風ファン、吹出口を連通して送風経路を形成し、該送風経路又は吹出口近傍に静電式集塵装置及びイオン発生装置を備えると共に、室温センサと熱交センサを備えた空気調和機に於いて、前記吹出口に風向変更用の水平羽根を設け、空調運転停止後該水平羽根を水平又は斜め上方向きに位置させると共に送風ファンを低回転で運転し、前記静電式集塵装置とイオン発生装置を同時に運転する殺菌運転を行う制御装置を設け、前記殺菌運転の運転時間は前記室温センサ又は熱交センサの温度にて可変する事を特徴とする空気調和機。
  2. 前記殺菌運転を選択する殺菌スイッチを設けた事を特徴とする請求項1記載の空気調和機。
  3. 前記殺菌運転の運転時間は前記室温センサと熱交センサの温度差にて可変する事を特徴とする請求項1又は請求項2記載の空気調和機。
  4. 前記殺菌運転中を表示する表示手段を設けた事を特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3記載の空気調和機。
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