JP4132588B2 - 電気化学デバイス - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリマーリチウム二次電池、電気二重層キャパシタ等の電気化学デバイス及びその製造方法に関し、特に、内部の出ガスに対する安全機構を有する電気化学デバイスに関する。
【0002】
【従来の技術】
携帯用電子機器の普及に伴い、軽量、小型でなおかつ長時間の連続駆動が可能な二次電池等の電気化学デバイスが求められている。従来の二次電池は金属の外装缶を使用していたが、リチウムポリマー電池に代表されるように、外装袋に薄くて軽いフィルムを用いることによって電池重量を減らし、設計の自由度を増大させることが可能となった。
【0003】
外装袋に使用されているフィルムは、主に数種の樹脂でアルミ箔をコーティングしたアルミラミネートフィルムである。このアルミラミネートフィルムは軽量であり、今までの金属の外装缶を用いた電池よりも薄く、軽くすることが可能となった。
【0004】
従来、このようなフィルムを外装袋に用いた電池に何らかの異常が生じた場合、使用する電解質の種類にもよるが、ガスが発生したり、最悪の場合発火に至ることがある。例えば、充電器は所定の時間や電圧に達すると充電を停止するように設定されているが、何らかの理由で充電が停止しなかった場合、電池の容量を超え過充電となる。さらに過充電状態が進むと電解質が分解してガスが発生して外装袋が膨らみ、その後袋が破裂したり、発火する。
【0005】
このような事態を避けるために、通常、電池には保護回路が設けられている。この保護回路は、通常、所定の電圧に達すると電流を流さないような機能を有している場合が多い。
【0006】
また、ガスが発生して外装袋が膨らんだ場合、破裂をさけるために外装袋にガスを逃がす機構を付加する事もある。これは外装袋内部の圧力が上がると外装袋の所定の場所からガスを逃がすことによってさらなる袋の膨張を防ぎ、また、ガスを逃がすことにより内部温度を下げて電池の熱暴走を防止する効果がある。
【0007】
しかし、上記保護回路を設けるとすると、それだけ部品を余計に必要とし、小型、軽量化が重要な要素である携帯機器の要求にそぐわない。また、保護回路を設けたとしても、何らかの理由で保護回路が動作しない可能性があり、その場合にも安全性を確保する必要がある。また、ガスを逃がす機構を付加する場合、ガスが抜けた後も充電が続くため、依然として発火の危険性が残る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、柔軟性のあるフィルムを外装袋に用いた二次電池などの電気化学デバイスにおいて、保護回路を有することなく、ガスが発生するような異常時に電流が流れないようにする安全機構を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記の本発明により解決される。
(1)柔軟性を有する外装袋と、この外装袋内に封入される電気化学素子とを有する電気化学デバイスであって、
電気化学素子は、内部電極と、外装袋外に導出されている外部電極とを有し、
内部電極は、接着、又は溶接、又はハンダ付けにより、外部電極と接続され、
内部電極及び外部電極は、外装袋の内部空間の膨張による応力が内部電極と外部電極との接続を破壊するように、外装袋とそれぞれ接続されている電気化学デバイス。
(2)内部電極の一部が引っ張り強度Aで外装袋と接着され、外部電極の一部が引っ張り強度Bで外装袋と接着されており、内部電極と外部電極とが引っ張り強度Cで接続されているとき、A>CかつB>Cである上記(1)の電気化学デバイス。
(3)リチウム二次電池である上記(1)又は(2)の電気化学デバイス。
【0010】
【作用】
本発明者は、検討を重ねた結果、電気化学デバイス素体の内部電極と接続され、外装袋外に導出する外部電極に着目し、この外部電極と、内部電極との接続を遮断することにより、過充電等による事故を防止することとした。
【0011】
そして、過充電状態、ないし異常状態を検出し、外部電極と内部電極との接続を解除する手段として、過充電状態、ないし異常状態で生じる出ガスにより、内部空間が膨張し、この膨張圧力が外装袋に加えられることを利用することとした。
【0012】
すなわち、内部電極と外部電極とを、外装袋が膨らんだ状態のときに引っ張られ、接続が解除されるような力が加えられる外装袋の位置に固定する。そして、外装袋が出ガスで膨らむと、内部電極と外部電極との機械的接続が膨張による応力により引き剥がされ、結果として電気的接続が遮断される。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の電気化学デバイスは、柔軟性を有する外装袋と、この外装袋内に封入される電気化学素子とを有する電気化学デバイスであって、前記電気化学素子は、内部電極と、この内部電極と電気的に接続され外装袋外に導出されている外部電極とを有し、前記外装袋の内部空間の膨張による応力を検出して少なくとも前記内部電極と外部電極とのいずれかの電気的接続を遮断する電流遮断手段を有するものである。
【0014】
また、好ましくは前記電流遮断手段は、内部電極と外部電極との機械的接続を前記応力により破壊するものであり、前記外装袋の内部空間の膨張による応力が、それぞれの接続を破壊するように外装袋と接続されているものである。
【0015】
すなわち、内部電極の一部が引っ張り強度Aで外装袋と接着され、外部電極の一部が引っ張り強度Bで外装袋と接着されており、内部電極と外部電極とが引っ張り強度C接続されているとき、
A>CかつB>Cであり、好ましくはAおよびB>2C、特にAおよびB>5Cである。
【0016】
内部電極と、外部電極とをそれぞれ引っ張り強度AおよびBで外装袋と接着するには、通常用いられている接着剤を用いればよい。具体的には、外部電極を外装袋の封入部で封止するための接着剤などが適している。より具体的には、例えばカルボン酸等の酸変性ポリエチレン、酸変性ポリプロピレン、エポキシ樹脂、変性イソシアネート等を例示できる。
【0017】
内部電極と、外部電極とが外装袋と接続される引っ張り強度としては、上記関係を満たすものであれば特に限定されるものではないが、例えば、単位面積当たり20〜100gf/mm2 、特に30〜65gf/mm2 程度である。
【0018】
内部電極と、外部電極とを引張強度Cで接続するための手段としては、接着、溶接、ハンダ付け等一般に金属同士を接続するために用いられている手段を用いることができる。これらのなかでも超音波溶接が、接着応力を容易に調節することができるため好ましい。超音波溶接で接着応力を調節するには、超音波出力、溶接時間、溶接時に加える圧力のいずれか1つ、あるいはこれらを複合的に調節することにより調節することができる。
【0019】
内部電極と、外部電極とが接続される引っ張り強度としては、上記関係を満たすものであれば特に限定されるものではないが、例えば、単位面積当たり3〜30gf/mm2 、特に6〜13gf/mm2 程度である。
【0020】
なお、外装袋が膨張するときに得られる応力は、通常、20〜100gf/mm2 程度である。
【0021】
次に、本発明の電気化学デバイスについて、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の電気化学デバイスの概略の構造を示す一部断面図である。図2は、図1において、外装袋2が出ガスにより膨張した状態を示している。
【0022】
図1に示す電気化学デバイスは、正極4、電解質5、負極6が積層された電気化学素子を、外装袋2の中に封入した構造となっている。このとき、電気化学素子の外部電極(導出端子)3を外部に突き出した状態で収納し、外装袋2の開口した端面を外部電極3を挟んで熱融着で封口してシール部7を形成して構成されている。電気化学デバイスは、電気化学素子を外装袋2内に密封すると共に、シール部7から外部電極3が外部に突き出した構造を有する。このとき、外装袋2の内部は、実質的にガスが抜かれ、外装袋2は電気化学素子に密着するようにして密封している。なお、図1,2は、電気化学素子と外装袋の外部電極付近の一部を示している。
【0023】
図示例では、外部電極3は、外装袋2の上部側に接着剤8で接着固定され、内部電極(正極)4は、外装袋2の下部側に接着剤9で接着固定されている。また、外部電極3と内部電極(正極)4とは、接着部11で接続されている。
【0024】
いま過充電などの何らかの異常状態により、出ガスが生じ、外装袋2内が膨張すると、外装袋2は図示例で上下方向にも膨らもうとするので、外部電極3と内部電極(正極)4とは、接着部11において引き剥がされるような応力を受ける。そして、さらに出ガスによる膨張が進むと、図2に示すように、ついに外部電極3と内部電極(正極)4との接着応力Cより、膨張による応力が勝り、接着部11での接続(接着)が破壊され(引き剥がされ)て両者の接続は遮断される。この場合、接続が破壊されるのは正極側でも負極側でも、その両者であってもよく、少なくともいずれかの接続が遮断されれば電流は流れず、安全が確保される。
【0025】
このとき、外部電極3と内部電極(正極)4との接着応力Cより、外部電極3と内部電極4とが、外装袋2に接着剤8,9で接着固定されている応力A,Bが勝っているので、接着部11での接着破壊が優先して生じる。また、外装袋2がある程度膨らんだ状態で一気に接着破壊が生じるので、図示例のように破壊と同時に外部電極3と内部電極4とは一気に引き剥がされ、完全に電気的接続は遮断される。そして、その後も膨らんだ状態は維持されているので、接続が回復することはない。
【0026】
電気化学素子は、例えば図3に示すように、アルミニウム箔や銅箔等の金属箔等で構成される正負両極の電極4、6と高分子固体電解質5とが交互に積層された構造を有する。正負両極の電極4,6には、それぞれ外部電極(導出端子)3が接続されている(図中負極側は省略している)。外部電極3は、アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス等の金属箔で構成される。外部電極3は、接着剤7で覆われる領域のシール部を有する。
【0027】
外装袋2は、例えばアルミニウム等の金属層の両面に、熱接着性樹脂層としてのポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂層や耐熱性のポリエステル樹脂層が積層されたラミネートフィルムから構成されている。外装袋2は、予め2枚のラミネートフィルムをそれらの3辺の端面の熱接着性樹脂層相互を熱接着して第1のシール部を形成し、1辺が開口した袋状に形成される。あるいは、一枚のラミネートフィルムを折り返して両辺の端面を熱接着してシール部を形成して袋状としてもよい。
【0028】
本発明の電気化学デバイスの第2のシール部では、図1に示すように、外部電極3が外装袋2を構成するラミネートフィルムで挟まれており、外部電極3とラミネートフィルムの熱接着性樹脂層との間には、外部電極3上に直接積層された金属−樹脂間接着剤7を有する。
【0029】
金属−樹脂間接着剤7としては、例えばカルボン酸等の酸変性ポリエチレン、酸変性ポリプロピレン、エポキシ樹脂、変性イソシアネート等を例示できる。金属−樹脂間接着剤は、金属とポリオレフィン樹脂との間に介在してこれらの密着性を良好にするためのものであるから、導出端子3のシール部を覆う程度の大きさで十分である。
【0030】
なお、外装袋を構成するラミネートフィルムとしては、ラミネートフィルムを構成する金属箔と導出端子間の絶縁を確保するため、内層側から熱接着性樹脂層/ポリエステル樹脂層/金属箔/ポリエステル樹脂層の積層構造を有するラミネートフィルムを用いることが好ましい。このようなラミネートフィルムを用いることにより、熱接着時に高融点のポリエステル樹脂層が溶けずに残るため、導出端子と外装袋の金属箔との離間距離を確保し、絶縁を確実にすることができる。そのため、ラミネートフィルムのポリエステル樹脂層の厚さは、5〜100μm程度とすることが好ましい。
【0031】
本発明の電気化学デバイスに用いられる電気化学素子は、図1,2に示すような積層構造の二次電池に限定されるものではなく、図3〜5に示すような巻回された二次電池、あるいはこれらと同様な構造を有するキャパシタなどを用いることができる。
【0032】
図4において、図示例の二次電池21は、負極23と正極25と、これらの間に挟まれた電解質24とを巻回した構造を有している。そして、正極25の端部には巻止め用テープ27を有し、巻回された状態を維持している。負極23、正極25には、それぞれ外部電極(導出端子)22,23を有する。
【0033】
このような二次電池21は、図5に示すように外装袋22内に封入される。そして、内部電極(正極)25を含む二次電池21は、接着剤29で外装袋22の下部に接着され、外部電極23は、接着剤28で外装袋の上部に接着されている。
【0034】
そして、図6に示すように、上記同様に何らかの異常により外装袋22が膨らむと、外部電極23と、内部電極25との接続部31が破壊され、両者は一気に引き剥がされる。
【0035】
本発明の電気化学デバイスは、次のようなリチウム二次電池、電気二重層キャパシタとして用いることができる。
【0036】
<リチウム二次電池>
本発明のリチウム二次電池の構造は特に限定されないが、通常、正極、負極及び高分子固体電解質から構成され、積層型電池や角型電池等に適用される。
【0037】
また、高分子固体電解質と組み合わせる電極は、リチウム二次電池の電極として公知のものの中から適宜選択して使用すればよく、好ましくは電極活物質とゲル電解質、必要により導電助剤との組成物を用いる。
【0038】
負極には、炭素材料、リチウム金属、リチウム合金あるいは酸化物材料のような負極活物質を用い、正極には、リチウムイオンがインターカレート・デインターカレート可能な酸化物または炭素材料のような正極活物質を用いることが好ましい。このような電極を用いることにより、良好な特性のリチウム二次電池を得ることができる。
【0039】
電極活物質として用いる炭素材料は、例えば、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、天然あるいは人造の黒鉛、樹脂焼成炭素材料、カーボンブラック、炭素繊維などから適宜選択すればよい。これらは粉末として用いられる。中でも黒鉛が好ましく、その平均粒子径は1〜30μm 、特に5〜25μm であることが好ましい。平均粒子径が小さすぎると、充放電サイクル寿命が短くなり、また、容量のばらつき(個体差)が大きくなる傾向にある。平均粒子径が大きすぎると、容量のばらつきが著しく大きくなり、平均容量が小さくなってしまう。平均粒子径が大きい場合に容量のばらつきが生じるのは、黒鉛と集電体との接触や黒鉛同士の接触にばらつきが生じるためと考えられる。
【0040】
リチウムイオンがインターカレート・デインターカレート可能な酸化物としては、リチウムを含む複合酸化物が好ましく、例えば、LiCoO2、LiMn2O4、LiNiO2、LiV2O4などが挙げられる。これらの酸化物の粉末の平均粒子径は1〜40μm 程度であることが好ましい。
【0041】
電極には、必要により導電助剤が添加される。導電助剤としては、好ましくは黒鉛、カーボンブラック、炭素繊維、ニッケル、アルミニウム、銅、銀等の金属が挙げられ、特に黒鉛、カーボンブラックが好ましい。
【0042】
電極組成は、正極では、重量比で、活物質:導電助剤:ゲル電解質=30〜90:3〜10:10〜70の範囲が好ましく、負極では、重量比で、活物質:導電助剤:ゲル電解質=30〜90:0〜10:10〜70の範囲が好ましい。ゲル電解質は、特に限定されず、通常用いられているものを用いればよい。また、ゲル電解質を含まない電極も好適に用いられる。この場合、バインダとしてはフッ素樹脂、フッ素ゴム等を用いることができ、バインダの量は3〜30質量%程度とする。
【0043】
電極の製造は、まず、活物質と必要に応じて導電助剤を、ゲル電解質溶液またはバインダ溶液に分散し、塗布液を調製する。
【0044】
そして、この電極塗布液を集電体に塗布する。塗布する手段は特に限定されず、集電体の材質や形状などに応じて適宜決定すればよい。一般に、メタルマスク印刷法、静電塗装法、ディップコート法、スプレーコート法、ロールコート法、ドクターブレード法、グラビアコート法、スクリーン印刷法等が使用されている。その後、必要に応じて、平板プレス、カレンダーロール等により圧延処理を行う。
【0045】
集電体は、電池の使用するデバイスの形状やケース内への集電体の配置方法などに応じて、適宜通常の集電体から選択すればよい。一般に、正極にはアルミニウム等が、負極には銅、ニッケル等が使用される。なお、集電体は金属箔、金属メッシュなどが、通常、使用される。金属箔よりも金属メッシュの方が電極との接触抵抗が小さくなるが、金属箔でも十分小さな接触抵抗が得られる。
【0046】
そして、溶媒を蒸発させ、電極を作製する。塗布厚は、50〜400μm 程度とすることが好ましい。
【0047】
高分子膜は、例えば、PEO(ポリエチレンオキシド))系、PAN(ポリアクリロニトリル)系、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)系等の高分子微多孔膜を用いることができる。
【0048】
このような正極、高分子膜、負極をこの順に積層し、圧着して電池素体とする。
【0049】
高分子膜に含浸させる電解液は一般に電解質塩と溶媒よりなる。電解質塩としては、例えば、LiBF4 、LiPF6 、LiAsF6 、LiSO3 CF3 、LiClO4 、LiN(SO2 CF3 )2 等のリチウム塩が適用できる。
【0050】
電解液の溶媒としては、前述の高分子固体電解質、電解質塩との相溶性が良好なものであれば特に制限はされないが、リチウム電池等では高い動作電圧でも分解の起こらない極性有機溶媒、例えば、エチレンカーボネート(略称EC)、プロピレンカーボネート(略称PC)、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート(略称DMC)、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等のカーボネート類、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチルテトラヒドロフラン等の環式エーテル、1,3−ジオキソラン、4−メチルジオキソラン等の環式エーテル、γ−ブチロラクトン等のラクトン、スルホラン等が好適に用いられる。3−メチルスルホラン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、エトキシメトキシエタン、エチルジグライム等を用いてもよい。
【0051】
溶媒と電解質塩とで電解液を構成すると考えた場合の電解質塩の濃度は、好ましくは0.3〜5mol/lである。通常、1mol/l辺りで最も高いイオン伝導性を示す。
【0052】
このような電解液に微多孔性の高分子膜を浸漬すると、高分子膜が電解液を吸収してゲル化し、高分子固体電解質となる。
【0053】
高分子固体電解質の組成を共重合体/電解液で示した場合、膜の強度、イオン伝導度の点から、電解液の比率は40〜90質量%が好ましい。
【0054】
<電気二重層キャパシタ>
本発明の電気二重層キャパシタの構造は特に限定されないが、通常、一対の分極性電極が高分子固体電解質を介して配置されており、分極性電極および高分子固体電解質の周辺部には絶縁性ガスケットが配置されている。このような電気二重層キャパシタはペーパー型、積層型等と称されるいずれのものであってもよい。
【0055】
分極性電極としては、活性炭、活性炭素繊維等を導電性活物質とし、これにバインダとしてフッ素樹脂、フッ素ゴム等を加える。そして、この混合物をシート状電極に形成したものを用いることが好ましい。バインダの量は5〜15質量%程度とする。また、バインダとしてゲル電解質を用いてもよい。
【0056】
分極性電極に用いられる集電体は、白金、導電性ブチルゴム等の導電性ゴムなどであってよく、またアルミニウム、ニッケル等の金属の溶射によって形成してもよく、上記電極層の片面に金属メッシュを付設してもよい。
【0057】
電気二重層キャパシタには、上記のような分極性電極と高分子固体電解質とを組み合わせる。
【0058】
高分子膜は、例えば、PEO(ポリエチレンオキシド))系、PAN(ポリアクリロニトリル)系、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)系等の高分子微多孔膜を用いることができる。
【0059】
電解質塩としては、(C2H5)4 NBF4 、(C2H5)3 CH3 NBF4 、(C2H5)4 PBF4 等が挙げられる。
【0060】
電解液に用いる非水溶媒は、公知の種々のものであってよく、電気化学的に安定な非水溶媒であるプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、1,2−ジメトキシエタン、スルホラン単独または混合溶媒が好ましい。
【0061】
このような非水溶媒系の電解質溶液における電解質の濃度は、0.1〜3mol/lとすればよい。
【0062】
このような電解液に微多孔性の高分子膜を浸漬すると、高分子膜が電解液を吸収してゲル化し、高分子固体電解質となる。
【0063】
高分子固体電解質の組成を共重合体/電解液で示した場合、膜の強度、イオン伝導度の点から、電解液の比率は40〜90質量%が好ましい。
【0064】
絶縁性ガスケットとしては、ポリプロピレン、ブチルゴム等の絶縁体を用いればよい。
【0065】
【実施例】
以下、本発明について、更に、実施例によりに説明する。
<実施例>
負極とゲル状電解質と正極を交互に積層して図1に示すような構成の電池を作製した。内部電極である正極集電体4のタブには超音波溶接機を用いて外部電極であるアルミ箔のリード3を接続した。また、負極集積体6のタブには電気抵抗溶接機を用いてニッケル箔を溶接した。このとき正極4のタブとリード3の接続の引つ張り強度は6.3gf/mm2 であった。
【0066】
さらにこれをアルミラミネートフィルムで形成された外装袋2に入れ、正極4のタブ部とリード3をアルミラミネートフィルム2にマレイン酸変性ポリプロピレンを用いて接着した。ここで、樹脂によって接着されたタブ及びリードとアルミラミネートフィルムの引っ張り強度は共に63gf/mm2 であった。これを減圧下で密閉して電池を作成した。
【0067】
この電池を端子間電圧5.0Vまで1.0Aの一定電流で充電し、その後5.0Vに保つように電流を制御しながら充電を行った。試験開始から約66分でガスが発生して外装袋が膨らみ始めたが、その約30秒後に正極集電体のタブとリードの接続がはずれて電流が遮断された。
【0068】
その後電流が流れない状態で保持され、破裂、発火は起きなかった。
【0069】
<比較例>
正極集電体のタブとリードをアルミラミネートフィルムに接着しないことをのぞいて実施例と同じ条件で電池を作成し、充電を行った。
【0070】
試験開始から約65分でガスが発生して外装袋が膨らみ始めた。その後電流は流れ続けて試験開始後70分で破裂、発火した。
【0071】
【発明の効果】
以上のように、本発明の電気化学デバイスによれば、柔軟性のあるフィルムを外装袋に用いた二次電池などの電気化学デバイスにおいて、保護保護回路を有することなく、ガスが発生するような異常時に電流が流れないようにする安全機構を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電気化学デバイスの構造を示した一部断面図である。
【図2】図1の外装袋が膨らんだ状態を示した図である。
【図3】電気化学素子の構造を示す分解斜視図である。
【図4】本発明の電気化学デバイスの他の構造を示した斜視図である。
【図5】本発明の電気化学デバイスの他の構造を示した一部断面図である。
【図6】図5の外装袋が膨らんだ状態を示した図である。
【符号の説明】
2 外装袋
3 外部電極(導出端子)
4 正極
5 電解質
6 負極
7 接着剤(シール部)
8,9 接着剤
11 接続部
Claims (3)
- 柔軟性を有する外装袋と、この外装袋内に封入される電気化学素子とを有する電気化学デバイスであって、
前記電気化学素子は、内部電極と、前記外装袋外に導出されている外部電極とを有し、
前記内部電極は、接着、又は溶接、又はハンダ付けにより、前記外部電極と接続され、
前記内部電極及び前記外部電極は、前記外装袋の内部空間の膨張による応力が前記内部電極と前記外部電極との前記接続を破壊するように、前記外装袋とそれぞれ接続されている電気化学デバイス。 - 前記内部電極の一部が引っ張り強度Aで前記外装袋と接着され、前記外部電極の一部が引っ張り強度Bで前記外装袋と接着されており、前記内部電極と前記外部電極とが引っ張り強度Cで接続されているとき、A>CかつB>Cである請求項1記載の電気化学デバイス。
- リチウム二次電池である請求項1又は2記載の電気化学デバイス。
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