JP5017759B2 - 電気化学デバイス用セパレータおよび電気化学デバイス - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気化学デバイス用のセパレータに関するものであり、特に熱によって電流を遮断する機能を有することで安全性が高く、なおかつサイクル特性や負荷特性に優れた電気化学デバイスに関する。
【0002】
【従来の技術】
携帯用電子機器の普及に伴い、軽量、小型でなおかつ長時間の連続駆動が可能な電源デバイスが求められている。近年、最も普及しているのはリチウムイオンを使用する非水二次電池(以降、リチウムイオン電池と称す)であるが、電池容量の増加に伴い、異常時における電池の安全性の向上が求められている。
【0003】
リチウムイオン電池は過充電などで電池が発熱すると熱暴走を起こして、最悪の場合発火、爆発を起こすことが広く知られている。
【0004】
従来のリチウムイオン電池の多くはポリオレフイン系樹脂を延伸して多孔化したセパレータを使用している。このセパレータは熱によって軟化すると、延伸された方向に縮んで孔を塞ぐ特徴がある。このため、発熱した電池はイオンの導通が妨げられ、電池として機能しなくなり、加熱、発火といった異常状態を回避できる。
【0005】
しかしながら、このようなポリオレフイン系樹脂は、非水電解液との親和性が劣っており、例えば特開平11−339852号公報に記載されているような、表面を濡れ性を改善する処理をしたり、長時間かけて電解液となじませる等の処理が必要がある。しかし、このような処理を行うと、工程数が増加し、長時間をかけてなじませるとすると、製造期間が長くなってしまう。また、これらのセパレータは、前述のように電流を遮断するときに縮むため、正負極が直接触れて短絡するおそれがある。さらに、特開2001−6738号公報に記載されているように、ポリマー電解質にポリマー粒子を混ぜる検討が行われているが、電解質をポリマーにすると内部抵抗が上昇するため、低温特性や、負荷特性が劣るという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、低融点の樹脂粒子を含有するセパレータを使用することによって、発熱時に縮むことなく空孔を塞いで電流を遮断する機構を有し、なおかつバインダーにPVDFやフッ素ゴムなどの電解液との親和性の高いバインダーを使用することが可能なため、サイクル特性や負荷特性に優れた電気化学デバイス用セパレータ、電気化学デバイスを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち上記目的は、以下の本発明の構成により達成される。
(1)70℃〜150℃における電解液とのゲル分率が50〜100%の範囲であり、かつムーニー粘度(ML1+10 100℃)が30〜120であるバインダと、
融点が70〜150℃の範囲である樹脂粒子と、からなり、
前記樹脂粒子は、平均粒径をr[μm]、比重をA[g/cm 3 ]、比表面積をS[m 2 /g]としたとき、
0.1≦r≦15 かつ
6/(r・A)≦S≦18/(r・A)
を満たすものである、電気化学デバイス用セパレータ。
(2)70℃〜150℃における電解液とのゲル分率が50〜100%の範囲であり、かつムーニー粘度(ML1+10 100℃)が30〜120であるバインダと、
融点が70〜150℃の範囲である樹脂粒子と、
直径が0.1〜15μm、長さが0.01〜10mmの繊維と、からなり、
前記樹脂粒子は、平均粒径をr[μm]、比重をA[g/cm 3 ]、比表面積をS[m 2 /g]としたとき、
0.1≦r≦15 かつ
6/(r・A)≦S≦18/(r・A)
を満たすものである、電気化学デバイス用セパレータ。
(3)前記樹脂粒子の含有量が40〜95質量%である上記(1)または(2)の電気化学デバイス用セパレータ。
(4)膜厚が10〜50μmである上記(1)〜(3)のいずれかの電気化学デバイス用セパレータ。
(5)上記(1)〜(4)のいずれかの電気化学デバイス用セパレータを有する電気化学デバイス。
(6)リチウム二次電池である上記(5)の電気化学デバイス。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のセパレータは、例えば図1に示すように、正極活物質含有層2bを有する正極集電体2aとからなる正極と、負極活物質含有層4bを有する負極集電体4aからなる正極との間にセパレータ3が挟まれる状態で積層、あるいは捲回されて、外装体に収容されている電気化学デバイスに用いられる。なお、図1は積層体の一部、つまり電極セパレータの積層構造を示したものである。このときの外装体の材質はアルミニウムやステンレスといった金属や金属箔を樹脂フィルムで挟んだラミネートフィルムなどが使用できる。
【0009】
本発明のセパレータは、70℃〜150℃における電解液とのゲル分率が50〜100%の範囲であり、かつムーニー粘度が30〜120であるバインダと、融点が70℃〜150℃である樹脂粒子とを含有するものである。
【0010】
このように、樹脂粒子とバインダ樹脂とでセパレータを構成することにより、例えば図2に示すように、樹脂粒子12同士がバインダ11を介して結合され、実質的に多孔体の膜として機能する。なお、図2は、セパレータの一部を拡大した状態を模式的に示した図である。
【0011】
すなわち、本発明のセパレータは、通常温度ではイオン導電性を有する多孔膜として機能し、デバイス内の温度が異常温度にまで上昇したときには前記樹脂粒子が融解して孔を塞ぎ(膜状になり)、イオン導電を遮断し、発熱、発火といった熱暴走を抑止することができる。
【0012】
樹脂粒子の種類は、融点が70℃〜150℃、特に80〜110℃の範囲で、なおかつ電解液に容易に溶解しないものであれば特に制限はなく、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフイン系樹脂やアクリル系樹脂等が使用できる。樹脂粒子の融点を上記範囲とすることにより、デバイス発熱時に樹脂粒子が融解して多孔体の孔を塞ぎ、所謂シャットダウン機能を発現する。
【0013】
使用するバインダーは、70℃〜150℃における使用する電解液中でのゲル分率が50〜100%、好ましくは70〜100%、さらに好ましくは90〜100%とする。ゲル分率が低いと樹脂粒子が融けたときにバインダと分離することがあり、この場合もシャツトダウン特性が悪くなり、安全性が十分に確保できない場合がある。
【0014】
また、バインダーのムーニー粘度(ML1+10 100℃)は30〜120、特に50〜70であることが好ましい。このムーニー粘度が小さすぎると機械的強度が劣り、セパレータとしての形態を保持でき無くなってくる。一方、ムーニー粘度が大きすぎるとセパレータが脆くなり、形状が損なわれることがある。ムーニー粘度は、例えば株式会社島津製作所製等のムーニー粘度計(SMV−200)を使用して、100℃で1分予熱したのち、10分間測定してゴムのムーニー粘度(ML1+10、100℃)を得ることができる。
【0015】
このようなバインダとしては、電解質液でゲル化することなく、膜が所定の強度を保てるだけの粘度を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えばフッ素ゴム、スチレンブタジエンゴム、ニトリルゴム、ネオプレンゴム等を挙げることができる。フッ素ゴムとしては、具体的には、バイトン(VITON):デュポン社製、Fluorel:3M 製、ダイエル:ダイキン工業製等を挙げることができる。特に、デュポン社製:バイトン(VITON)GFが好ましい。バイトン(VITON)GFは、ペルオキサイド硬化型、過フッ化炭化水素エラストマーであり、比重約1.91,ムーニー粘度(123℃)約63であり、油や有機溶剤に耐性を有する。
【0016】
使用される樹脂粒子は、球形、特に真球に近いような、表面が平滑なものが好ましい。粒子の形状が球状でなく、破砕粉のような複雑な形状をしていたり、表面が荒れていると、バインダーと良好に混合できなくなり、セパレータとしての機能に支障がでたり、シャットダウン機能がうまく発現しない。
【0017】
樹脂粒子は、平均粒子径を、r[μm]、比重をA[g/cm3]、比表面積をS[m2/g]としたとき、0.1≦r≦15であり、好ましくは1≦r≦10、さらに好ましくは4≦r≦6であり、かつ6/(r・A)≦S≦18/(r・A)を満たす。
【0018】
粒子系径が上記の範囲であるとセパレータの通気度が高いため、サイクル特性や負荷特性が良好な電気化学デバイスが得られる。ここで、樹脂粒子の比表面積を規定しているのは、比表面積が大きいと球形状から外れ、粒子に付着するバインダーの量が増えるため、発熱時に樹脂粒子同士が融着しにくくなり、シャットダウン特性が悪くなるからである。
【0019】
セパレータの製造方法はバインダを溶剤に溶かしたバインダ溶液に樹脂粒子を分散し、ポリエステルなどのベースフィルム上に塗布する。塗布する手段は特に限定されず、一般に、メタルマスク印刷法、静電塗布法、ディップコート法、スプレーコート法、ロールコート法、ドクターブレード法、グラビアコート法、スクリーン印刷法などが使用できる。
【0020】
また、樹脂粒子の好ましい含有量としては、40〜95質量%、特に70〜85質量%である。樹脂粒子が多すぎると膜が脆くなり、少なすぎると空孔率が減少しイオン伝導性に悪影響が生じると共に、シャットダウン機能も低下してくる。
【0021】
また、直径が0.1〜15μm 、長さが0.01〜10mmの範囲である繊維を全体の1〜60体積%、好ましくは5〜30体積%混ぜることにより、セパレータの強度を上げることが可能である。
【0022】
使用する繊維の種類は、容易に電解液に溶けるものでなければ特に制限はないが、ガラス繊維や、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維などが使用できる。
【0023】
セパレータの空孔率としては、20%〜50%、特に25〜40%が好ましい。空孔率が前記範囲より少ないとイオン導電性が低下し、多すぎると膜が脆くなる。なお、空孔率は、各材料の組成と比重、そしてセパレータの比重から計算によって求めることができる。
【0024】
セパレータの膜厚としては、好ましくは10〜50μm 、特に15〜35μm である。膜厚が薄すぎるとセパレータとしての機能が低下し、厚すぎるとイオン伝導性が低下してくる。
【0025】
本発明のセパレータは、上記のように従来のセパレータと置き換えて使用することができるが、従来のセパレータ、高分子固体電解質と組み合わせて用いてもよい。その場合、少なくとも従来のセパレータ、高分子固体電解質と、正負いずれかの電極の間に本発明のセパレータを配置すればよい。
【0026】
なお、このセパレータはリチウム二次電池や電気二重層キヤパシタといった電気化学デバイスに用いることができるが、それらは以下のように作成できる。
【0027】
<リチウム二次電池>
負極には、炭素材料、リチウム金属、リチウム合金あるいは酸化物材料のような負極活物質を用い、正極には、リチウムイオンがインターカレート・デインターカレート可能な酸化物または炭素材料のような正極活物質を用いることが好ましい。このような電極を用いることにより、良好な特性のリチウム二次電池を得ることができる。
【0028】
負極活物質として用いる炭素材料は、例えば、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、天然あるいは人造の黒鉛、樹脂焼成炭素材料、カーボンブラック、炭素繊維などから適宜選択すればよい。これらは粉末として用いられる。中でも黒鉛が好ましく、その平均粒子径は1〜30μm 、特に5〜25μm であることが好ましい。平均粒子径が小さすぎると、充放電サイクル寿命が短くなり、また、容量のばらつき(個体差)が大きくなる傾向にある。平均粒子径が大きすぎると、容量のばらつきが著しく大きくなり、平均容量が小さくなってしまう。平均粒子径が大きい場合に容量のばらつきが生じるのは、黒鉛と集電体との接触や黒鉛同士の接触にばらつきが生じるためと考えられる。
【0029】
正極活物質として用いる金属酸化物は、リチウムを含有するものが好ましく、リチウムイオンがインターカレート・デインターカレート可能な酸化物としては、リチウムを含む複合酸化物が好ましく、例えば、LiCoO2、LiMn2O4、LiNiO2、LiV2O4などが挙げられる。これらの酸化物の粉末の平均粒子径は1〜40μm 程度であることが好ましい。
【0030】
電極には、必要により導電助剤が添加される。導電助剤としては、好ましくは黒鉛、カーボンブラック、炭素繊維、ニッケル、アルミニウム、銅、銀等の金属が挙げられ、特に黒鉛、カーボンブラックが好ましい。
【0031】
電極組成は、正極では、重量比で、活物質:導電助剤:ゲル電解質=30〜90:3〜10:10〜70の範囲が好ましく、負極では、質量比で、活物質:導電助剤:ゲル電解質=30〜90:0〜10:10〜70の範囲が好ましい。ゲル電解質は、特に限定されず、通常用いられているものを用いればよい。また、ゲル電解質を含まない電極も好適に用いられる。この場合、バインダとしてはフッ素樹脂、フッ素ゴム等を用いることができ、バインダの量は3〜30質量%程度とする。
【0032】
電極の製造は、まず、活物質と必要に応じて導電助剤を、ゲル電解質溶液またはバインダ溶液に分散し、塗布液を調製する。
【0033】
そして、この電極塗布液を集電体に塗布する。塗布する手段は特に限定されず、集電体の材質や形状などに応じて適宜決定すればよい。一般に、メタルマスク印刷法、静電塗装法、ディップコート法、スプレーコート法、ロールコート法、ドクターブレード法、グラビアコート法、スクリーン印刷法等が使用されている。その後、必要に応じて、平板プレス、カレンダーロール等により圧延処理を行う。
【0034】
集電体は、電池の使用するデバイスの形状やケース内への集電体の配置方法などに応じて、適宜通常の集電体から選択すればよい。一般に、正極にはアルミニウム等が、負極には銅、ニッケル等が使用される。なお、集電体は金属箔、金属メッシュなどが、通常、使用される。金属箔よりも金属メッシュの方が電極との接触抵抗が小さくなるが、金属箔でも十分小さな接触抵抗が得られる。
【0035】
そして、溶媒を蒸発させ、電極を作製する。塗布厚は、50〜400μm 程度とすることが好ましい。
【0036】
電解液は一般に電解質塩と溶媒よりなる。電解質塩としては、例えば、LiBF4 、LiPF6 、LiAsF6 、LiSO3 CF3 、LiClO4 、LiN(SO2 CF3 )2 等のリチウム塩が適用できる。
【0037】
電解液の溶媒としては、電解質塩との相溶性が良好なものであれば特に制限はされないが、リチウム電池等では高い動作電圧でも分解の起こらない極性有機溶媒、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等のカーボネート類、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチルテトラヒドロフラン等の環式エーテル、1,3−ジオキソラン、4−メチルジオキソラン等の環式エーテル、γ−ブチロラクトン等のラクトン、スルホラン等が好適に用いられる。3−メチルスルホラン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、エトキシメトキシエタン、エチルジグライム等を用いてもよい。
【0038】
溶媒と電解質塩とで電解液を構成すると考えた場合の電解質塩の濃度は、好ましくは0.3〜5mol/lである。通常、1mol/l辺りで最も高いイオン伝導性を示す。
【0039】
このような電解液に上記の微多孔性の高分子膜を浸漬すると、高分子膜が電解液を吸収してセパレータとして機能する。
【0040】
セパレータの組成を樹脂(粒子+バインダー)/電解液で示した場合、膜の強度、イオン伝導度の点から、電解液の比率は40〜90質量%が好ましい。
【0041】
上記のように作成した電極をセパレータと交互に積層、あるいは捲回する事によって電池が作成される。
【0042】
<電気二重層キャパシタ>
本発明の電気二重層キャパシタの構造は特に限定されないが、通常、一対の分極性電極がセパレータを介して配置されており、分極性電極およびセパレータの周辺部には絶縁性ガスケットが配置されている。このような電気二重層キャパシタはペーパー型、積層型等と称されるいずれのものであってもよい。
【0043】
分極性電極としては、活性炭、活性炭素繊維等を導電性活物質とし、これにバインダとしてフッ素樹脂、フッ素ゴム等を加える。そして、この混合物をシート状電極に形成したものを用いることが好ましい。バインダの量は5〜15質量%程度とする。また、バインダとしてゲル電解質を用いてもよい。
【0044】
分極性電極に用いられる集電体は、白金、導電性ブチルゴム等の導電性ゴムなどであってよく、またアルミニウム、ニッケル等の金属の溶射によって形成してもよく、上記電極層の片面に金属メッシュを付設してもよい。
【0045】
電気二重層キャパシタには、上記のような分極性電極とセパレータとを組み合わせる。
【0046】
電解質塩としては、(C2H5)4 NBF4 、(C2H5)3 CH3 NBF4 、(C2H5)4 PBF4 等が挙げられる。
【0047】
電解液に用いる溶媒は、公知の種々のものであってよく、硫酸に代表される水系の電解液や、電気化学的に安定な非水溶媒であるプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、1,2−ジメトキシエタン、スルホランの単独または混合溶媒が好ましい。
【0048】
このような非水溶媒系の電解質溶液における電解質の濃度は、0.1〜3mol/lとすればよい。
【0049】
【実施例】
以下、さらに本発明について実施例に基づき、より具体的に説明する。
[実施例1]
<セパレータの作成>
100℃におけるゲル分率が95%のフッ素ゴムを、メチルエチルケトン(MEK)に溶かし、バインダ液を調合した、これに融点が85℃、比表面積が1.2[m2 /g]、平均粒経が6μm のポリエチレンの粒子(住友精化製 LE-1080)を、80重量%、バインダが20重量%となるように混合した。このときのバインダのムーニー粘度(ML1+10 100℃)は、63であった。
【0050】
この混合液を、ドクターブレードによって剥離性PETフィルム上に塗布し、室温で乾燥させて、厚さ40μm のセパレータを得た。このときのセパレータの空孔率は34%であった。これを所定の大きさに切り出し使用した。
【0051】
<正極の作成>
リチウムコバルト複合酸化物(LiCoO2 )と、カーボンブラックと、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを、N−メチルピロリドン(NMP)を溶媒として分散させスラリーを得た。これを集電体であるアルミニウム箔の両面に塗布、乾燥した後ロールプレスを行った。これをプレス機で所定の大きさに打ち抜き使用した。
【0052】
<負極の作成>
人造黒鉛とPVdFをNMP中で分散させて、スラリーを作成して、集電体である銅箔の両面に塗布、乾燥を行った後、ロールプレスを行った。これをプレス機で所定の大きさに打ち抜き使用した。
【0053】
<電解液の調整>
エチレンカーポネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)が混合された溶媒に電解質塩としてのLiPF6 を溶解させて電解液を調整した。
【0054】
上記正極、負極、セパレータを積層したアルミラミネートフィルム製の外装体に入れた後、電解液を含浸、密封してリチウム二次電池を作成した。なお、この電池の容量は330mAhであった。
【0055】
[実施例2]
直径10μm 、長さ100〜300μm のガラス繊維を加え、セパレータの組成を重量比で、バインダ:樹脂粒子:ガラス繊維=15:65:20としたこと以外実施例1と同様に、リチウム二次電池を作成した。
【0056】
[比較例1]
平均粒径3μm 、比表面積が10m2/g の樹脂粒子を使用したこと以外実施例1と同様に、リチウム二次電池を作成した。
【0057】
[比較例2]
平均粒径1μm のセラミックス粒子(SiO2 粒子)を加え、セパレータの組成を重量比で、バインダ:樹脂粒子:セラミックス粒子=20:70:10としたこと以外実施例1と同様にリチウム二次電池を作成した。
【0058】
[比較例3]
バインダーをPVdF、溶剤をDMF(ジメチルホルムアミド)にしたこと以外実施例1と同様に、リチウム二次電池を作成した。
【0059】
以上のようにして電池を各5個作成し65mAで1時間充電し、充電終了後12時間経過したときの電圧の低下が0.05V 以上あるものを内部短絡が起きていると判断し、不良とした。電圧低下の少ないものを良品とし、1kHz でのインピーダンスを測定したのち、100℃の雰囲気中に10分間放置し再度1kHz でインピーダンスを測定した。
【0060】
また、100℃雰囲気中に放置する前の電池を充電電流2Aで7Vまで定電流、7V到達後は定電圧になるように電流を制御して充電する過充電試験を行った。測定結果を表1に示す。
【0061】
【表1】
【0062】
表1に示すように、実施例1,2では100℃の雰囲気中に放置すると内部抵抗が100倍近く上昇する。また、ガラス繊維を入れて補強することにより内部短絡が防がれていることがわかる。
【0063】
比較例1では樹脂粒子の比表面積が大きいため、粒子表面にバインダーが多量に付着したためセパレータの空孔が小さくなり、加熱前のインピーダンスは実施例に比べて高くなっている。また、同様の理由により加熱後のインピーダンス上昇も5倍程度と低くなっていると考えられる。さらに比較例2では混ぜたセラミックス粒子に多量のバインダーが付着し、樹脂粒子間の空孔を塞いだため、加熱前のインピーダンスがさらに高くなったと考えられる。加熱時もバインダで覆われたセラミックス粒子が樹脂粒子の融着を妨げたため、インピーダンス上昇が少なくなったと考えられる。
【0064】
比較例3では加熱前のインピーダンスが低いが、加熱後のインピーダンス増加が低い。これは加熱することによってバインダーであるPVdFが電解液で膨潤し、ポリエチレンと分離し、ポリエチレンの膜に多数の穴が開いた状態となったためと考えられる。また、バインダにフッ素ゴムを使用したセパレータに比べ脆いため、内部短絡が起きやすくなっている。
【0065】
このように、適切な粒径と比表面積を持つ樹脂粒子をセパレータに含有することによって、過充電などで電池が発熱した場合、内部抵抗が上昇することにより発火しない安全な電池の製造が可能となる。
【0066】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、発熱時に縮むことなく空孔を塞いで電流を遮断する機構を有し、なおかつバインダーにPVDFなどの電解液との親和性の高いバインダーを使用することが可能なため、サイクル特性や負荷特性に優れた電気化学デバイス用セパレータ、電気化学デバイスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電気化学デバイスの基本構成を示した概略断面図である。
【図2】セパレータの構造を模式的に示した図である。
【符号の説明】
2a 正極集電体
2b 正極活物質含有層
3 セパレータ
4a 負極集電体
4b 負極活物質含有層
11 バインダ
12 樹脂粒子
Claims (6)
- 70℃〜150℃における電解液とのゲル分率が50〜100%の範囲であり、かつムーニー粘度(ML1+10 100℃)が30〜120であるバインダと、
融点が70〜150℃の範囲である樹脂粒子と、からなり、
前記樹脂粒子は、平均粒径をr[μm]、比重をA[g/cm 3 ]、比表面積をS[m 2 /g]としたとき、
0.1≦r≦15 かつ
6/(r・A)≦S≦18/(r・A)
を満たすものである、電気化学デバイス用セパレータ。 - 70℃〜150℃における電解液とのゲル分率が50〜100%の範囲であり、かつムーニー粘度(ML1+10 100℃)が30〜120であるバインダと、
融点が70〜150℃の範囲である樹脂粒子と、
直径が0.1〜15μm、長さが0.01〜10mmの繊維と、からなり、
前記樹脂粒子は、平均粒径をr[μm]、比重をA[g/cm 3 ]、比表面積をS[m 2 /g]としたとき、
0.1≦r≦15 かつ
6/(r・A)≦S≦18/(r・A)
を満たすものである、電気化学デバイス用セパレータ。 - 前記樹脂粒子の含有量が40〜95質量%である請求項1または2の電気化学デバイス用セパレータ。
- 膜厚が10〜50μmである請求項1〜3のいずれかの電気化学デバイス用セパレータ。
- 請求項1〜4のいずれかの電気化学デバイス用セパレータを有する電気化学デバイス。
- リチウム二次電池である請求項5の電気化学デバイス。
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JP2001273330A JP5017759B2 (ja) | 2001-09-10 | 2001-09-10 | 電気化学デバイス用セパレータおよび電気化学デバイス |
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