JP2007287390A - リチウム2次電池 - Google Patents

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万希子 吉瀬
Koji Hamano
浩司 濱野
Daigo Takemura
大吾 竹村
Shigeru Aihara
茂 相原
Takashi Nishimura
隆 西村
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Abstract

【課題】高温時に電流を確実に遮断して、電極反応を抑止し、発熱を抑えるリチウム2次電池を提供することである。
【解決手段】リチウム2次電池は、正極活物質層と正極集電体とを有する正極、負極活物質層と負極集電体とを有する負極、上記正極活物質と上記負極活物質とにより挟持される多孔質セパレータおよび電解質を含有する電解液を備えるリチウム2次電池において、上記正極活物質層、上記負極活物質層または上記セパレータのうち少なくともいずれか1つが、微粒子を表面に担持するまたは微粒子を包み込む樹脂2次粒子がバインダで結着されている。
【選択図】図3

Description

この発明は、正極、負極、セパレータ及び非水溶媒に電解質塩を溶解させた非水電解液から構成されるリチウム2次電池に関するものである。
近年、携帯型電子機器の発達に伴い、電源として使用されている電池の高容量化および高出力密度化が図られている。これらの要求を満たす電池として、リチウム2次電池が注目されているが、リチウム2次電池は高電圧、高エネルギー密度であることから、内部短絡や外部短絡などによる異常発熱に対する十分な対策が必要とされている。
現在実用化されているリチウム2次電池は、リチウム−コバルト複合酸化物などの活物質粉末、電子導電性粉末およびバインダ樹脂からなる正極活物質層がアルミニウム集電体上に形成された正極、炭素系等の活物質粉末およびバインダ樹脂からなる負極活物質層が銅集電体上に形成された負極、90〜160℃の融点を有するポリオレフィン系樹脂の多孔質膜のセパレータを有している。このリチウム2次電池は、電池が異常発熱すると、樹脂が溶融して多孔質膜内の微多孔が閉塞され、セパレータのイオン伝導性が低下し、これにより電極反応を遮断させるシャットダウン機能という対応策がとられている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、樹脂の融点よりも温度が上昇すると、樹脂が溶融、流動してしまい、セパレータ自体が収縮したり、セパレータに大きな孔があいたりすることにより、正極と負極間の電子絶縁性が不十分となり内部短絡に至るおそれがある。
そこで、1000℃以上の融点を有する無機酸化物の絶縁性粒子と、200℃程度の融点を有するバインダ樹脂との集合体からなる耐熱性の優れる多孔質膜のセパレータを有することにより、電池温度が異常上昇した時の電流を減少させることが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかし、耐熱性の優れる多孔質膜のセパレータを用いた電池では、多孔質膜の融点が高いため、短絡などによる200℃以下の温度上昇時にセパレータがシャットダウンせず、電池反応を遮断する機能がない。
そこで、ポリオレフィン系樹脂と無機粉体および無機繊維とで構成されるセパレータが提案されている。このセパレータは、ポリオレフィン樹脂、無機粉体および鉱物オイルの混合物を加熱溶融してシート状に成形し、延伸したのち鉱物オイルを除去して作製している(例えば、特許文献3、特許文献4参照)。
しかし、このセパレータはポリオレフィン樹脂が延伸された状態であるため、電池温度が上昇し、樹脂の融点付近になるとシャットダウン機能が働くが、樹脂の融点よりもさらに温度が上昇すると、樹脂が溶融、流動してしまい、無機粉体も溶融した樹脂とともに流動してしまい、短絡の恐れがある。
そこで、電池温度が高温に達したときに、電極中に混入した樹脂が体積膨張して導電性微粒子の間隔を広げて電極抵抗を増大させることにより電池の安全性を保つ方法が提案されている(例えば、特許文献5参照)。
特開平03−105851号公報 国際公開第97/08763号パンフレット 特開平10−50287号公報 特開平11−260338号公報 国際公開第99/67837号パンフレット
しかし、活物質層に導電性微粒子と樹脂粒子とを含有させる方法では、活物質層の作製時に導電性微粒子が凝集しやすいために、活物質層中で導電性微粒子の偏りが生じ、常温時の電池特性が低下するとともに、導電性微粒子が凝集した領域では高温時に樹脂が体積膨張しても十分に導電性微粒子の間隔を広げることができないために、抵抗が十分に増加せずに過電流を確実に遮断できないという問題がある。
したがって、セパレータおよび活物質層に高温時に溶融または体積膨張する樹脂を混入させただけでは、高温時に電流を確実に遮断することできないという問題がある。
この発明の目的は、高温時に電流を確実に遮断して、電極反応を抑止し、発熱を抑えるリチウム2次電池を提供することである。
この発明に係るリチウム2次電池は、正極活物質層と正極集電体とを有する正極、負極活物質層と負極集電体とを有する負極、上記正極活物質層と上記負極活物質層とにより挟持される多孔質セパレータおよび電解質を含有する電解液を備えるリチウム2次電池において、上記セパレータが、微粒子を表面に担持するまたは微粒子を包み込む樹脂2次粒子がバインダで結着されている。
この発明に係る別のリチウム2次電池は、正極活物質層と正極集電体とを有する正極、負極活物質層と負極集電体とを有する負極、上記正極活物質層と上記負極活物質層とにより挟持される多孔質セパレータおよび電解質を含有する電解液を備えるリチウム2次電池において、上記正極活物質層または上記負極活物質層のうち少なくともいずれか1つが、電子導電性微粒子を表面に担持するまたは電子導電性微粒子を包み込む樹脂2次粒子がバインダで結着されている。
この発明に係わるリチウム2次電池の効果は、表面に無機粉体微粒子を担持した樹脂からなる樹脂2次粒子をセパレータに含有することにより、オーブン試験時短絡の有無の違いはあるが電池温度がオーブン温度より上昇することがなく、また、過充電試験時にも発火が見られず、リチウム2次電池が濫用されても安全性の高いリチウム2次電池を提供することができる
この発明に係わる別のリチウム2次電池の効果は、正極活物質層または負極活物質層のうち少なくともいずれか1つが、電子導電性微粒子を表面に担持するまたは電子導電性微粒子を包み込む樹脂2次粒子がバインダで結着されていることにより、オーブン試験時短絡の有無の違いはあるが電池温度がオーブン温度より上昇することがなく、また、過充電試験時にも発火が見られず、リチウム2次電池が濫用されても安全性の高いリチウム2次電池を提供することができる。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係わるリチウム2次電池の電極部の断面図である。図2は、この発明の実施の形態1に係わるセパレータの断面図である。図3は、この発明の実施の形態1に係わる第1の方法で作製した樹脂2次粒子の外観図である。図4は、この発明の実施の形態1に係わる第2の方法で作製した樹脂2次粒子の断面図である。
この発明の実施の形態1に係わるリチウム2次電池は、図1に示すように、正極集電体1上に形成される正極活物質層6からなる正極3と、負極集電体2上に形成された負極活物質層7からなる負極4と、正極活物質層6と負極活物質層7との間に介設されるセパレータ5とを備える。
正極活物質層6、負極活物質層7およびセパレータ5には電解液が含浸されている。
そして、正極3、セパレータ5、負極4が巻回されたり、積層されたりしてから図示しない容器内に収納され、容器内は電解液により満たされたのち、封止されている。
正極集電体1と負極集電体2は、電解液内で所定の電圧が印加されたときに安定な金属であれば適用できるが、正極集電体1にはアルミニウム、負極集電体2には銅が好ましい。また、正極集電体1と負極集電体2の形状は、箔、網状、エクスパンドメタルなど何れの形状のものでも適用することができる。また、正極集電体1と負極集電体2の厚みは、5μm〜100μmが好ましく、5μm〜25μmがより好ましい。この範囲内の厚みであれば、十分な機械的強度を維持しつつ、リチウム2次電池の薄型化が可能である。
この発明の実施の形態1に係わる正極活物質層6は、正極活物質がバインダにより結着されている。
この実施の形態1に係わる正極3に用いる正極活物質として、例えば、コバルト、マンガン、ニッケルなどの遷移金属のリチウム複合酸化物、銅、鉄、クロム、チタンまたはアルミニウムなどの金属のリチウム複合酸化物、リチウムとバナジウム、リチウムとモリブデンまたはリチウムとカルコゲンなどの複合化合物、ポリピロール、ポリアニリンまたはポリジサルファイドなどの複合ポリマーを適用することができる。
また、正極活物質として、遷移金属のリチウム複合酸化物、銅、鉄、クロム、チタンまたはアルミニウムなどの金属のリチウム複合酸化物、リチウムとバナジウム、リチウムとモリブデンまたはリチウムとカルコゲンなどの複合化合物に各種の添加元素を添加したものを適用することができる。
また、正極活物質として、これらを単独で、または2種以上を組み合わせて適用することができる。
正極活物質層6に含まれる正極活物質の割合は、50重量%〜98重量%が好ましく、70重量%〜98重量%がより好ましい。
正極活物質層6に含まれる正極活物質の平均粒子径は、0.05〜100μmが好ましく、0.1〜50μmがより好ましい。この範囲内の平均粒子径であれば、正極活物質の充填密度を高められ、且つ、他の材料との接触が良好となるので、電池特性を向上させることができる。
また、正極活物質の導電性を補うために、導電助剤を併用してもよい。導電助剤としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラックまたは人造黒鉛などの炭素質材料、金属材料、導電性を有する金属化合物、導電性を有する高分子を適用することができる。
バインダは、正極活物質、導電助剤などの正極活物質層6を構成する材料を結着し、且つ正極活物質層6と正極集電体1とを接着させることができるものであればよい。例えば、フッ化ビニリデン、四フッ化エチレン、アクリロニトリル、エチレンオキシドなどの単独重合体または共重合体、スチレン−ブタジエンゴムなどを適用することができる。特に、90℃〜160℃の融点を有するバインダを用いることにより、この温度域においてバインダが溶融し、正極活物質層6を構成する材料間の結着性が低下するので、正極3の抵抗が大きくなり、短絡電流を減少させることができる。
正極活物質層6に含まれるバインダの割合は、1重量%〜20重量%が好ましく、1重量%〜10重量%がより好ましい。この範囲内であれば、正極活物質層6を構成する材料を効率よく結着することができる。
この発明の実施の形態1に係わる負極活物質層7は、負極活物質がバインダにより結着されている。
この実施の形態1に係わる負極4に用いる負極活物質として、例えば、易黒鉛化炭素、難黒鉛化炭素、天然黒鉛、人造黒鉛、ポリアセンなどの炭素質材料、V−Sn、Cu−Sn、Fe−Sn、Sn−S、SnOなどのすず系の合金化合物、ホウ素系の酸化物、Li2.6Co0.4Nなどの窒化物を、化学的特性に関わらず適用することができる。これらの中でも、その形状が粒状のものが好ましい。
また、負極活物質として、金属リチウムを適用することができ、粒状、箔状いずれの形状のものでもよい。
負極活物質層7に含まれる負極活物質の割合は、50重量%〜98重量%が好ましく、70重量%〜98重量%がより好ましい。また、負極活物質層7に含まれる負極活物質の平均粒子径は、0.05〜100μmが好ましく、0.1〜50μmがより好ましい。この範囲内の平均粒子径であれば、負極活物質の充填密度を高められ、且つ、他の材料との接触が良好となるので、電池特性を向上させることができる。
また、負極活物質の導電性を補うために、導電助剤を併用してもよい。導電助剤としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラックまたは人造黒鉛などの炭素質材料、金属材料、導電性を有する金属化合物、導電性を有する高分子を適用することができる。
バインダは、負極活物質、導電助剤などの負極活物質層7を構成する材料を結着し、且つ負極活物質層7と負極集電体2とを接着させることができるものであればよい。例えば、フッ化ビニリデン、四フッ化エチレン、アクリロニトリル、エチレンオキシドなどの単独重合体または共重合体、スチレン−ブタジエンゴムなどを適用することができる。特に、90℃〜160℃の融点を有するバインダを用いることにより、この温度域においてバインダが溶融し、負極活物質層7を構成する材料間の結着性が低下するので、負極4の抵抗が大きくなり、短絡電流を減少させることができる。
負極活物質層7に含まれるバインダの割合は、1重量%〜20重量%が好ましく、1重量%〜10重量%がより好ましい。この範囲内であれば、負極活物質層7を構成する材料を効率よく結着することができる。
この発明の実施の形態1に係わるセパレータ5は、図2および図3に示すように、樹脂11と無機粉体微粒子10とが一体化した樹脂2次粒子9および無機粉体微粒子10とがバインダ8で結着されている。このセパレータ5は、イオン伝導性を有し、且つ、160℃より高い耐熱性を有している。
この発明の説明において、160℃より高い耐熱性を有するものとは、そのものの温度を160℃より高い温度まで加熱しても、そのものを電極間に挟持したときの電気絶縁性が保持されること、また、一旦そのものの温度を160℃以上に加熱した後、温度を100℃以下に冷却したときでも、イオン伝導性を示すものを意味する。
この耐熱性を有する温度は高ければ高いほど安全性の高いリチウム2次電池を提供できることからより好ましいが、正極活物質の自己分解反応が生じてもその発熱に耐えられるための300℃、より実用的には200℃まで耐熱性を有することが好ましく、具体的にはその材料の300℃まで、より実用的には200℃までの温度域における熱変形率(特に熱収縮率)が好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下である必要がある。この熱変形率(特に熱収縮率)が10%より大きいと正極3と負極4の間の短絡が生じ易くなる。
このような材料の具体例としては、絶縁性粒子およびマトリックス樹脂を含むものや、160℃より高い融点を有する多孔質樹脂膜がある。
この発明の実施の形態1に係わる樹脂2次粒子9は、図3に示すように、樹脂11の表面に無機粉体微粒子10が担持されている。
この実施の形態1に係わる樹脂2次粒子9中の樹脂11として、90℃〜160℃の融点を有し、結晶性を示す樹脂であればよく、例えば、高密度ポリエチレン(融点:130℃〜140℃)、低密度ポリエチレン(融点:110℃〜112℃)、ポリウレタンエラストマー(融点:140℃〜160℃)、ポリ塩化ビニル(融点:約145℃)、ポリブデン、エポキシ樹脂(融点:75℃〜145℃)またはこれらの重合体を適用することができる。
この実施の形態1に係わる樹脂2次粒子9中の無機粉体微粒子10とセパレータ5に含まれる無機粉体微粒子10として、電気絶縁性を有し、電解液内で所定の電圧が印加されたときに安定に存在できるものであればよく、例えば、Al、SiO、TiO、ZrO、CeO、Y、La、LiAlO、LiO、BeO、B、NaO、MgO、P、CaO、Cr、FeまたはZnOなどの無機酸化物、Si、BN、AIN、TiNまたはBaなどの無機窒化物、SiC、ZrCまたはBCなどの無機炭化物、MgCOまたはCaCOなどの無機炭酸塩、CaSOまたはBaSOなどの無機硫酸塩、ゼオライト、セピオライトまたはパリゴルスカイトなどの多孔質複合セラミックスを適用することができ、これらを単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、無機粉体微粒子10として、160℃より高い融点を有するもの、例えば、Al、SiOなどの無機酸化物を用いると、セパレータ5の耐熱性を向上させることができる。
無機粉体微粒子10の平均粒子径は、正極3および負極4に用いる正極活物質および負極活物質の平均粒子径以下であることが好ましく、1μm以下であることがより好ましい。無機粉体微粒子10の平均粒子径が、正極活物質および負極活物質の平均粒子径より大きくなると電解質保持能力の低下により、電池特性が低下し、無機粉体微粒子10の添加効果がなくなってしまう。また、平均粒子径が1μmより大きくなると、無機粉体微粒子10が作り出す細孔径と電極の細孔径とが同程度になるので、電解質保持能力が低下する。
無機粉体微粒子10の形状については、特に限定はしないが、球形状、楕円状、繊維状、鱗片状等が挙げられる。特に球形状のものを用いると、充填密度が上げられるので、セパレータ5を薄くすることができる。また、楕円状、繊維状、鱗片状のものを用いると、セパレータ5の空孔容積を大きくすることができる。
樹脂2次粒子9の製造方法の第1の方法として、樹脂11からなる樹脂粒子と無機粉体微粒子10を所定量秤量し、所定の温度、圧力下で混合する方法がある。混合法としては、ボールミルやプラストミルなど装置に特に限定はなく、樹脂粒子表面に無機粉体微粒子10が均一に担持できるものであればよい。このようにして、図3に示す樹脂2次粒子が作製できる。
また、樹脂2次粒子9の製造方法の第2の方法として、樹脂11を溶解した溶液中に無機粉体微粒子10を分散させた後、溶液を冷却して樹脂11と無機粉体微粒子10との混合物からなる樹脂2次粒子9を析出させる方法がある。この場合、樹脂11を溶解する溶媒としては、キシレン、トルエン、ベンゼン、ヘキサン、デカリン、テトラリン等の有機溶媒がある。これらの溶媒は、樹脂2次粒子9中の樹脂11が室温程度では溶解せずに、加熱すると樹脂11が分解する温度以下の温度で樹脂11を溶解するものである。この方法で樹脂2次粒子9を作製した場合、図4に示すように、無機粉体微粒子10の表面に樹脂9が被覆されるので、無機粉体微粒子10と樹脂9の割合を適切な値に設定することにより、樹脂2次粒子9の粒径は無機粉体微粒子10の粒径に比べて樹脂11の厚み分だけ大きくなるだけで原料の無機粉体微粒子10の粒径とほぼ同じにすることができる。従って、電解質保持能力が低下せず、また負極4表面にデンドライト状の反応析出物が形成されても、短絡等の生じないリチウム2次電池ができる。
また、第2の方法で作製した樹脂2次粒子9の粒径は、無機粉体微粒子10の粒径より小さくすることはできないので、最小粒径は最小0.007μmに限定されてしまう。
この実施の形態1に係わるセパレータ5に含まれるバインダ8として、電池内において安定に存在できるものであればよく、例えば、ポリフッ化ビニリデンまたはポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素樹脂、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとテトラフルオロエチレンとの共重合体などのフッ素ゴム、ポリビニルアルコール、酢酸ビニル、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス及びアクリロニトリル−ブタジエン共重合体ラテックスなどのゴム類、カルボキシメチルセルロースのアンモニウム塩などのセルロース誘導体、ポリイミド樹脂及びその前駆体(ポリアミック酸など)を適用することができる。
特に、160℃より高い融点を有し、バインダ8の機能を有するものを用いると、セパレータ8の耐熱性をより向上させることができる。この様にセパレータ8がバインダを含有することにより、無機粉体微粉体10および樹脂2次粒子9を強固に結着し、無機粉体微粒子10による骨格が形成されるため、電池温度が樹脂の融点付近の温度に上昇しても、樹脂の融解による収縮や流動がなく、その結果短絡しない電池を得ることができる。
また、セパレータ5の強度および正極負極間の絶縁性を向上させるために、正極活物質層6と負極活物質層7とに挟まれるように基材を入れてもよい。好ましい基材としては、電気絶縁性の多孔質織物、不織布、紙、多孔質膜またはメッシュ、または正極負極間の寸法を安定化することのできる粒状材料を挙げることができる。基材の材質として、電気絶縁性であればよく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸エステル、フッ素樹脂(例えば、ポリテトラフルオロエチレンまたはポリフッ化ビニリデン)、ポリアミド樹脂(アラミド樹脂)、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテル樹脂(例えば、ポリエチレンオキサイドまたはポリプロピレンオキサイド)、エポキシ樹脂、アセタール樹脂またはABS樹脂などの樹脂、またはガラス繊維またはアルミナ繊維などの無機繊維を適用することができる。
セパレータ5の製造方法としては、特に限定はしないが、均一に且つ安定に製造できる点から湿式法が好ましい。具体的には、バインダ8を溶解した溶液中に樹脂2次粒子9と無機粉体微粒子10とを分散してペーストを調製し、そのペーストをポリエチレンテレフタレート(PET)などの樹脂フィルム上に塗布して、乾燥させた後、塗布した膜を剥がすことによりフィルム状の単独膜からなるセパレータ5を製造する方法がある。
また、バインダ8を溶解した溶液中に樹脂2次粒子9と無機粉体微粒子10とを分散したペーストを、正極活物質層6または負極活物質層7上に塗布して、正極3または負極4と接着一体化させたセパレータ5を製造する方法がある。
単独膜からなるセパレータ5を製造する方法では、セパレータ5を薄くすることができるので、リチウム2次電池のエネルギー密度を向上させることができる。一方、正極3または負極4と接着一体化されたセパレータ5を製造する方法では、正極3または負極4とセパレータ5とが接着一体化するため、外力を加えなくともリチウム2次電池として機能するので、金属缶容器等を用いずに軽いフィルム状外装容器が使用できるので、単位重量当たりのエネルギー密度が向上する。
また、正極3または負極4とセパレータ5とのずれが生じないため、正極3または負極4とセパレータ5との位置ずれによる短絡が防止できる。
この方法で用いる溶媒として、樹脂2次粒子9と無機粉体微粒子10が均一に且つ安定に分散され、バインダ8が均一に且つ安定に溶解できるものであればよく、例えば、N−メチルピロリドン(NMP)またはN,N−ジメチルホルムアルデヒド(DMF)を適用することができる。
また、樹脂2次粒子9と無機粉体微粒子10とを分散し、バインダ8を溶解させたペーストを安定化させるために、添加物を加えてもよい。この添加物は、加熱などにより除去できるものであってもよいし、高温下や高電圧下においても安定に存在し、電池反応を阻害しないものであれば、リチウム2次電池内に残存していてもよい。
バインダ8を溶解した溶液中に樹脂2次粒子9と無機粉体微粒子10とを分散したペーストの塗布方法としては特に限定しないが、目的の厚み、塗布形態に合った方法が好ましく、例えば、スクリーン印刷法、バーコーター法、ロールコーター法、グラビア印刷法、ドクターブレード法、ダイコーター法等を適用することができる。
このように樹脂11と無機粉体微粒子10とが一体化されて作製された樹脂2次粒子9が含まれているので、樹脂2次粒子9と無機粉体微粒子10とを分散させるときに樹脂11だけが凝集することがなく、均一に分散できる。この結果、セパレータ5を伝導するイオン電流が均一になり、良好なリチウム2次電池特性が得られる。
この実施の形態1に係わる電解液として、特に限定されないが、例えば、LiPF、LiClO、LiBF、LiAsF、LiCFSO、LiN(CFSO、LiN(CSO、LiC(CFSOなどの電解質を有機溶媒に溶解したものを適用することができる。
有機溶媒としては、ジメトキシエタン、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、エチルメチルカーボネート(MEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)等のエステル系溶媒、γ―ブチロラクトン(GBL)、テトラヒドロフラン(THF)、テトラヒドロピラン(THP)、1,3−ジオキサン(DOX)、リン酸エチルジメチル(EDMP)、リン酸トリメチル(TMP)、リン酸プロピルジメチル(PDMP)などの溶媒を適用することができ、これらを単独でまたは2種以上を組み合わせて適用することができる。
また、電解液に、他の添加物が含まれていても良い。電解液の組合せ例として、LiPF/EC+DEC、LiBF/EC+DEC、LiN(CFSO/EC+DEC、LiN(CSO/EC+DEC、LiPF/EC+PC、LiPF/EC+GBL、LiBF/EC+PC、LiBF/EC+GBL、LiBF/EDMP、LiBF/EC+EDMP、LiN(CFSO/EC+GBL、LiN(CSO/EC+GBL、LiN(CFSO/EC+EDMP、LiN(CSO/EC+EDMPが適用されるが、これらに限定されるものではない。また、100℃以上の高温においても、イオン伝導性を有するために、有機溶媒はEC、PC、GBLなどの高沸点溶媒を含むことが好ましい。
また、電解液をゲル状にして用いることもでき、ゲル化する方法や材料は、特に限定しないが、電解液を20重量%以上、98重量%以下含有し、残部がポリマー成分であるゲルが好ましい。電解液の含有量が20重量%未満であると、ゲルのイオン伝導性が低くなり、セパレータに十分なイオン伝導性を付与できない。また、電解液の含有量が98重量%を超えると、ゲルの粘度が低下し、セパレータの電解質保持能力が低下する。
ポリマー成分としては特に限定するものではないが、メタクリル酸、アクリル酸系のモノマーや、アルキレンオキサイド、アクリロニトリル、エチレン、スチレン、ビニルアルコール、ビニルピロリドン等のモノマーを主鎖とする重合体、フッ化ビニリデンの単独重合体または共重合体などを用いることができる。
また、電解液の代わりに、液体を含まない固体電解質を用いることも可能である。固体電解質としては特に限定しないが、電池の作動温度において、イオン伝導性を有する材料であればよい。例えば、高分子固体電解質として、Li塩を含むポリエチレンオキシド(PEO)系、ポリアクリロニトリル(PAN)系、ポリエーテル系、ポリフッ化ビニリデン系及びポリメチルメタクリレート系の混合体、複合体及び共重合体が適用することができる。液体を含まない固体電解質を用いると、電池の温度が上昇した時においても電池内部の圧力が上昇しないなどの利点がある。
この実施の形態1に係わる電池容器の材質や形状は特に限定はしないが、ステンレス、アルミニウムなどの金属からなる円筒型または角型の容器、金属と樹脂により構成されるラミネートフィルムからなる袋状または箱型の容器でもよい。このラミネートフィルムによる容器は熱融着(ヒートシール)によってシールすることができ、電池内部からの電解液の漏出や電池外部からの水分の侵入を防げるものであればよい。シール部に熱融着性を有する樹脂フィルムを用いることもできるが、金属を蒸着したり、金属めっきでコートしたり、アルミ等の金属箔をラミネートしたものが好ましい。金属箔を用いる場合、十分な厚さがあれば単独で用いることもできるが、一般には軽量化のために、数ミクロンから数十ミクロンの厚さの金属箔に樹脂がラミネートされたものが用いられる。そして、その内面には熱融着性を付与するためのポリエチレンやポリプロピレンのフィルム、外面には強度向上のためのポリエチレンテレフタレートや延伸ナイロンフィルムを積層させることが好ましい。
袋状容器の形成方法は各種のものが適用可能であり、例えば、角形に裁断したフィルムを二つ折りにして3辺をヒートシールする方法、円筒型に形成したフィルムの両開口部をヒートシールする方法が適用できる。容器材料は裁断したままのものを用いる場合もあるが、電極体に対応した凹部をプレス加工してから用いることもできる。ヒートシールした後に余分な容器材料を切断したり、曲げ加工を施したりしてもよい。
この実施の形態1に係わるリチウム2次電池は、負極4に対して正極3が対向しており、この正極3と負極4との間に電解液を含浸させたセパレータ5が存在している構造であればよく、平板状の正極3と負極4を複数枚重ね合わせた積層型構造、帯状の正極3と負極4を巻回した巻き型構造、帯状の正極3と負極4を折り畳みながら重ねた折り畳み型構造、またはこれらを組み合わせた複合構造にしてもよい。負極4に対向する正極3の面積を少し小さく(約1%〜約10%)することにより、正極3と負極4との間のイオン伝導性を向上させることができる。
また、リチウム2次電池の集電体部分に接続される集電端子は、リチウム2次電池内で安定に存在する導電性の材質であれば特に限定はしないが、正極3ではアルミニウム、負極4ではニッケルまたは銅などの金属やニッケルメッキ銅のようなメッキ金属で形成されたものを集電体に接合したものでも、活物質が塗布されていない集電体部分を取り出したものでもよい。
実施の形態2.
図5は、この発明の実施の形態2に係わる正極の断面図である。図6は、この発明の実施の形態2に係わる樹脂2次粒子の外観図である。
この発明の実施の形態2に係わるリチウム2次電池は、実施の形態1に係わるリチウム2次電池と正極3Bとセパレータとが異なり、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記して説明を省略する。
この発明の実施の形態2に係わる正極活物質層6Bは、図5に示すように、正極活物質12、樹脂11と電子導電性微粒子13とが一体化した樹脂2次粒子9Bおよび電子導電性微粒子13がバインダ8で結着されている。そして、樹脂2次粒子9Bは、図6に示すように、樹脂11からなる樹脂粒子の表面に電子導電性微粒子13が担持されたものである。
この実施の形態2に係わる正極活物質層6Bは、90℃〜160℃において反応遮断機能または電流遮断機能を有する。この反応遮断機能とは、所定温度において、正極活物質12の表面をコーティングするなどにより正極活物質12の反応を遮断する機能やイオンの経路を閉塞するなどにより電解質イオンの移動を遮断する機能を意味する。また、電流遮断機能とは、所定温度において、正極活物質層6Bの抵抗が増大するなど正極活物質層6B中の電子の流れを遮断する機能を意味する。
より具体的には、図6において、90℃〜160℃の温度で樹脂2次粒子9B中の樹脂11が体積膨張することにより電子導電性微粒子13同士の接触を分断し、正極活物質層6B中の電子の流れを遮断する。また、90℃〜160℃において樹脂2次粒子9B中の樹脂11が溶融して正極活物質12の表面を覆うことにより電池反応を遮断する。
この電流遮断機能または反応遮断機能が発現する温度が90℃未満であることは安全性の確保という観点からは好ましいが、リチウム2次電池が通常使用される温度範囲において正極活物質層6Bの抵抗値が上昇することになるので電池性能の低下が起こる。また、電流遮断機能または反応遮断機能が発現する温度が160℃を越す場合には、リチウム2次電池の内部温度がこの温度まで上昇することになり、安全面の観点から好ましくない。従って、電流遮断機能または反応遮断機能が発現する温度は90℃以上、160℃以下の範囲となるように、樹脂2次粒子9Bを設計することが好ましい。
この実施の形態2に係わる正極活物質層6Bに用いる正極活物質12として、例えば、コバルト、マンガン、ニッケルなどの遷移金属のリチウム複合酸化物、銅、鉄、クロム、チタンまたはアルミニウムなどの金属のリチウム複合酸化物、リチウムとバナジウム、リチウムとモリブデンまたはリチウムとカルコゲンなどの複合化合物、ポリピロール、ポリアニリンまたはポリジサルファイドなどの複合ポリマーを適用することができる。
また、正極活物質12として、遷移金属のリチウム複合酸化物、銅、鉄、クロム、チタンまたはアルミニウムなどの金属のリチウム複合酸化物、リチウムとバナジウム、リチウムとモリブデンまたはリチウムとカルコゲンなどの複合化合物に各種の添加元素を添加したものを適用することができる。
また、正極活物質12として、これらを単独で、または2種以上を組み合わせて適用することができる。
正極活物質層6Bに含まれる正極活物質12の割合は、50重量%〜98重量%が好ましく、70重量%〜98重量%がより好ましい。
正極活物質層6Bに含まれる正極活物質12の平均粒子径は、0.05〜100μmが好ましく、0.1〜50μmがより好ましい。この範囲内の平均粒子径であれば、正極活物質12の充填密度を高められ、且つ、他の材料との接触が良好となるので、電池特性を向上させることができる。
また、正極活物質12の導電性を補うために、樹脂2次粒子9Bとは別に導電助剤を併用してもよい。導電助剤として、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラックまたは人造黒鉛などの炭素質材料、金属材料、導電性を有する金属化合物、導電性を有する高分子を適用することができる。
この実施の形態2に係わる正極活物質層6Bに含まれる樹脂2次粒子9B中の樹脂11として、90℃〜160℃の融点を有し、結晶性を示す樹脂であればよく、例えば、高密度ポリエチレン(融点:130℃〜140℃)、低密度ポリエチレン(融点:110℃〜112℃)、ポリウレタンエラストマー(融点:140℃〜160℃)、ポリ塩化ビニル(融点:約145℃)、ポリブデン、エポキシ樹脂(融点:75℃〜145℃)またはこれらの重合体を適用することができる。
この実施の形態2に係わる正極活物質層6Bに含まれる樹脂2次粒子9B中の電子導電性微粒子13として、例えば、カーボンブラック、グラファイト、カーボンファイバーまたは金属炭化物などのカーボン材料、金属窒化物、金属ケイ素化物または金属ホウ化物などの導電性非酸化物を適用することができ、これらを単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。カーボンブラックとは、例えば、アセチレンブラック、ファーネスブラック、ランプブラックなどである。金属炭化物とは、例えば、TiC、ZrC、VC、VbC、TaC、MoC、WC、BC、Crなどである。金属窒化物とは、例えば、TiN、ZrN、VN、NbN、TaN、CrNなどである。金属ホウ化物とは、例えば、TiB、ZrB、NbB、TaB、CrB、MoB、WBなどである。
樹脂11と電子導電性微粒子13とからなる樹脂2次粒子9Bの製造方法は、樹脂11からなる樹脂粒子と電子導電性微粒子13とを所定量秤量し、所定の温度、圧力下で混合する方法がある。混合法としては、ボールミル、プラストミル等装置に特に限定はなく、樹脂粒子表面に電子導電性微粒子13が均一に担持できるものであればよい。
この発明の実施の形態2に係わるセパレータは、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどの微多孔性のポリオレフィン樹脂フィルムからなる。
このように樹脂2次粒子9Bが正極活物質層6Bに含まれると、電子導電性微粒子13が樹脂11により均一な骨格になるように連なり、正極活物質12を有効に正極集電体1に集電するので、電池特性が向上する。
実施の形態3.
図7は、この発明の実施の形態3に係わる負極の断面図である。
この発明の実施の形態3に係わるリチウム2次電池は、実施の形態1に係わるリチウム2次電池と負極4Bとセパレータとが異なり、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記して説明を省略する。
この発明の実施の形態3に係わる負極活物質層7Bは、図7に示すように、負極活物質15、樹脂11と電子導電性微粒子13とが一体化した樹脂2次粒子9Bおよび電子導電性微粒子13がバインダ8で結着されている。
この実施の形態3に係わる負極活物質層7Bは、90℃〜160℃において反応遮断機能または電流遮断機能を有する。この反応遮断機能とは、所定温度において、負極活物質15の表面をコーティングするなどにより負極活物質15の反応を遮断する機能やイオンの経路を閉塞するなどにより電解質イオンの移動を遮断する機能を意味する。また、電流遮断機能とは、所定温度において、負極活物質層7Bの抵抗が増大するなど負極活物質層7B中の電子の流れを遮断する機能を意味する。
より具体的には、90℃〜160℃において樹脂2次粒子9B中の樹脂11が体積膨張することにより電子導電性微粒子13同士の接触を分断し、負極活物質層7B中の電子の流れを遮断する。また、90℃〜160℃において樹脂2次粒子9B中の樹脂11が溶融して負極活物質15の表面を覆うことにより電池反応を遮断する。
この電流遮断機能または反応遮断機能が発現する温度が90℃未満であることは安全性の確保という観点からは好ましいが、リチウム2次電池が通常使用される温度範囲において負極活物質層7Bの抵抗値が上昇することになるので電池性能の低下が起こる。また、電流遮断機能または反応遮断機能が発現する温度が160℃を越す場合には、リチウム2次電池の内部温度がこの温度まで上昇することになり、安全面の観点から好ましくない。従って、電流遮断機能または反応遮断機能が発現する温度は90℃以上、160℃以下の範囲となるように、樹脂2次粒子9Bを設計することが望ましい。
この実施の形態3に係わる負極活物質層7Bに用いる負極活物質15として、例えば、易黒鉛化炭素、難黒鉛化炭素、天然黒鉛、人造黒鉛、ポリアセンなどの炭素質材料、V−Sn、Cu−Sn、Fe−Sn、Sn−S、SnOなどのすず系の合金化合物、ホウ素系の酸化物、Li2.6Co0.4Nなどの窒化物を化学的特性に関わらず適用することができる。これらの中でも、その形状は粒状のものが用いられる。
負極活物質層7Bに含まれる負極活物質15の割合は、50重量%〜98重量%が好ましく、70重量%〜98重量%がより好ましい。
また、負極活物質層7Bに用いる負極活物質15の平均粒子径は、0.05〜100μmが好ましく、0.1〜50μmがより好ましい。この範囲内であれば、負極活物質15の充填密度を高められ、且つ、他の材料との接触が良好となるので、電池特性を向上させることができる。
また、負極活物質15の導電性を補うために、樹脂2次粒子9Bとは別に導電助剤を併用してもよい。導電助剤として、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラックまたは人造黒鉛などの炭素質材料、金属材料、導電性を有する金属化合物、導電性を有する高分子を適用することができる。
この実施の形態3に係わる負極活物質層7Bに含まれる樹脂2次粒子9B中の樹脂11として、90℃〜160℃の融点を有し、結晶性を示す樹脂であればよく、例えば、高密度ポリエチレン(融点:130℃〜140℃)、低密度ポリエチレン(融点:110℃〜112℃)、ポリウレタンエラストマー(融点:140℃〜160℃)、ポリ塩化ビニル(融点:約145℃)、ポリブデン、エポキシ樹脂(融点:75℃〜145℃)またはこれらの重合体を適用することができる。
この実施の形態3に係わる負極活物質層7Bに含まれる樹脂2次粒子9B中の電子導電性微粒子13としては、例えば、カーボンブラック、グラファイト、カーボンファイバーまたは金属炭化物などのカーボン材料、金属窒化物、金属ケイ素化物または金属ホウ化物などの導電性非酸化物を適用することができ、これらを単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。カーボンブラックとは、例えば、アセチレンブラック、ファーネスブラック、ランプブラックなどである。金属炭化物とは、例えば、TiC、ZrC、VC、VbC、TaC、MoC、WC、BC、Crなどである。金属窒化物とは、例えば、TiN、ZrN、VN、NbN、TaN、CrNなどである。金属ホウ化物とは、例えば、TiB、ZrB、NbB、TaB、CrB、MoB、WBなどである。
樹脂11と電子導電性微粒子13とからなる樹脂2次粒子9Bの製造方法は、実施の形態2と同様である。
この発明の実施の形態3に係わるセパレータは、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどの微多孔性のポリオレフィン樹脂フィルムからなる。
次に、具体的にリチウム2次電池を作製して評価を行い、その結果を説明する。
実施例1.
(実施例1の正極の作製)
正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO−日本化学工業製)86重量部、導電助剤としてアセチレンブラック(電気化学工業製)3重量部およびバインダとしてポリフッ化ビニリデン(以下、PVDFと略す−呉羽化学製)6重量部を分散媒であるN−メチルピロリドン(以下、NMPと略す)に分散させて正極活物質層ペーストを得た。この正極活物質層ペーストを、正極集電体となる厚さ20μmのアルミニウム箔上にドクターブレード法により塗布し、100℃で乾燥させた後、厚さ約100μmのシートを得た。さらに、このシートを、温度20℃、線圧2×10Paの条件でロールプレス機によりプレスし、厚さ約70μmのシートを得た。このシートを248mm×46mmの大きさに切断して実施例1の正極を得た。そして、長尺方向の一方の端部の幅10mmの正極活物質層を剥がして、アルミニウム箔を露出させて正極集電部とした。
(実施例1の負極の作製)
負極活物質としてメソフェーズカーボンマイクロビーズ(以下、MCMBと略す−大阪ガスケミカル製)90重量部およびPVDF10重量部をNMPに分散させて、負極活物質層ペーストを得た。この負極活物質層ペーストを、負極集電体となる厚さ14μmの銅箔上に、ドクターブレード法により塗布し、100℃で乾燥させた後、厚さ約100μmのシートを得た。さらに、このシートを、温度20℃、線圧2×10Paの条件でロールプレス機によりプレスし、厚さ約70μmのシートを得た。このシートを262mm×50mmの大きさに切断して実施例1の負極を得た。そして、長尺方向の一方の端部の幅10mmの負極活物質層を剥がして、銅箔を露出させて負極集電部とした。
(実施例1のセパレータの作製)
ポリエチレン粉末粒子(住友精化製、フロービーズ、平均粒径6.8μm、融点107℃)20重量部および平均粒子径約0.01μmのアルミナ粉末(デグサ製)80重量部をボールミル混合容器中に入れ、120分間混合して樹脂2次粒子を得た。この樹脂2次粒子50重量部およびPVDF50重量部をNMPに溶解分散させ、セパレータペーストを得た。このセパレータペーストをドクターブレード法によりポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に塗布し、60℃で乾燥させた後、塗布した膜をPETフィルムから剥がして、厚さ約25μmの多孔質フィルムを得た。この多孔質フィルムを270mm×56mmの大きさに切断して実施例1のセパレータを得た。
(実施例1のリチウム2次電池の作製)
各部材を十分に真空乾燥させた後、正極活物質層と負極活物質層とが対向するように、実施例1の正極と実施例1の負極とを向かい合わせ、その間に実施例1のセパレータを挟み込み、重ね合わせた後に端部より巻き回してテープで固定することにより電極体を得た。この電極体の正極集電部に、融着材を付着させた厚さ0.1mmのアルミ板をスポット溶接により接合させた。また、負極集電部に、融着材を付着させた厚さ0.1mmのニッケル板をスポット溶接により接合させた。これをアルミラミネートシートで封筒状に作成した外装袋に入れ、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の混合溶媒に六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を1mol/dmの濃度で溶解した電解液を注入し、真空含浸した後に熱融着により減圧封口して実施例1のリチウム2次電池を得た。
実施例2.
(実施例2のセパレータの作製)
キシレン800gに高密度ポリエチレン9gを投入し、120℃まで撹拌しながら加熱した。その中にアルミナ粒子(粒径0.01μm)34gを少量ずつ投入して高速で30分撹拌した後、徐々に60℃まで冷却し、濾過して生成物を回収した。これを80℃で1晩乾燥して、塊状物を得た。そして塊状物をマルチブレンダーミルにより平均粒径4μmになるようにして樹脂2次粒子を得た。この樹脂2次粒子50重量部およびPVDF50重量部をNMPに溶解分散させ、セパレータペーストを得た。このセパレータペーストをドクターブレード法によりポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に塗布し、60℃で乾燥させた後、塗布した膜をPETフィルムから剥がして、厚さ約25μmの多孔質フィルムを得た。この多孔質フィルムを270mm×56mmの大きさに切断して実施例2のセパレータを得た。
(実施例2のリチウム2次電池の作製)
実施例1の正極、実施例1の負極および実施例2のセパレータを用いて、実施例1と同様にして、実施例2のリチウム2次電池を得た。
実施例3.
(実施例3の正極の作製)
ポリエチレン粉末粒子(住友精化製、フロービーズ平均粒径6.8μm、融点107℃)90重量部および平均粒子径約0.03μmのカーボンブラック(ケッチェンブラックインターナショナル製)10重量部をボールミル混合容器中に入れ、30分間混合して樹脂2次粒子を得た。この樹脂2次粒子10重量部、正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO−日本化学工業製)85.5重量部、導電助剤としてカーボンブラック(ケッチェンブラックインターナショナル製)0.5重量部およびバインダとしてPVDF4重量部を分散媒であるNMPに分散溶解させて正極活物質層ペーストを得た。この正極活物質層ペーストを、正極集電体となる厚さ20μmのアルミニウム箔上にドクターブレード法により塗布し、100℃で乾燥させた後、厚さ約100μmのシートを得た。さらに、このシートを、温度20℃、線圧2×10Paの条件でロールプレス機によりプレスし、厚さ約70μmのシートを得た。このシートを248mm×46mmの大きさに切断して実施例3の正極を得た。そして、長尺方向の一方の端部の幅10mmの正極活物質層を剥がして、アルミニウム箔を露出させて正極集電部とした。
(実施例3のセパレータの作製)
ポリオレフィン系多孔質シート(旭化成製ハイポア9620)を270mm×56mmの大きさに切断して実施例3のセパレータを得た。
(実施例3のリチウム2次電池の作製)
実施例3の正極、実施例1の負極および実施例3のセパレータを用いて、実施例1と同様にして、実施例3のリチウム2次電池を得た。
実施例4.
(実施例4の負極の作製)
ポリエチレン粉末粒子(住友精化製、フロービーズ、平均粒径6.8μm、融点107℃)90重量部および平均粒子径約0.03μmのカーボンブラックケッチェンブラックインターナショナル製)10重量部をボールミル混合容器中に入れ、30分間混合して樹脂2次粒子を得た。この樹脂2次粒子18重量部、MCMB70重量部およびPVDF12重量部をNMPに分散溶解させて、負極活物質層ペーストを得た。この負極活物質層ペーストを、負極集電体となる厚さ14μmの銅箔上に、ドクターブレード法により塗布した後、100℃で乾燥し、厚さ約100μmのシートを得た。さらに、このシートを、温度20℃、線圧2×10Paの条件でロールプレス機によりプレスし、厚さ約70μmのシートを得た。このシートを262mm×50mmの大きさに切断して実施例4の負極を得た。そして、長尺方向の一方の端部の幅10mmの負極活物質層を剥がして、銅箔を露出させて負極集電部とした。
(実施例4のリチウム2次電池の作製)
実施例1の正極、実施例4の負極および実施例3のセパレータを用いて、実施例1と同様にして、実施例4のリチウム2次電池を得た。
比較例1.
(比較例1のリチウム2次電池の作製)
実施例1の正極、実施例1の負極および実施例3のセパレータを用いて、実施例1と同様にして、比較例1のリチウム2次電池を得た。
比較例2.
(比較例2のセパレータの作製)
平均粒子径約0.01μmのアルミナ粉末(デグサ製)50重量部およびPVDF50重量部をNMPに溶解分散させ、セパレータペーストを得た。このセパレータペーストをドクターブレード法によりポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に塗布し、60℃で乾燥させた後、塗布した膜をPETフィルムから剥がして、厚さ約25μmの多孔質フィルムを得た。この多孔質フィルムを270mm×56mmの大きさに切断して比較例2のセパレータを得た。
(比較例2のリチウム2次電池の作製)
実施例1の正極、実施例1の負極および比較例2のセパレータを用いて、実施例1と同様にして、比較例2のリチウム2次電池を得た。
比較例3.
(比較例3のセパレータの作製)
エチレン酢酸ビニル共重合体(融点83℃)を粉砕して得られた平均粒径12μmの粉末粒子20重量部および平均粒子径約0.01μmのアルミナ粉末(デグサ製)80重量部をボールミル混合容器中に入れ、120分間混合して樹脂2次粒子を得た。この樹脂2次粒子50重量部およびPVDF50重量部をNMPに溶解分散させ、セパレータペーストを得た。このセパレータペーストをドクターブレード法によりポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に塗布し、60℃で乾燥させた後、塗布した膜をPETフィルムから剥がして、厚さ約25μmの多孔質フィルムを得た。この多孔質フィルムを270mm×56mmの大きさに切断して比較例3のセパレータを得た。
(比較例3のリチウム2次電池の作製)
実施例1の正極、実施例1の負極および比較例3のセパレータを用いて、実施例1と同様にして、比較例3のリチウム2次電池を得た。
比較例4.
(比較例4のセパレータの作製)
ポリプロピレン(融点165℃)を粉砕して得られた平均粒径10μmの粉末粒子20重量部および平均粒子径約0.01μmのアルミナ粉末(デグサ製)80重量部をボールミル混合容器中に入れ、120分間混合して樹脂2次粒子を得た。この樹脂2次粒子50重量部およびPVDF50重量部をNMPに溶解分散させ、セパレータペーストを得た。このセパレータペーストをドクターブレード法によりポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に塗布し、60℃で乾燥させた後、塗布した膜をPETフィルムから剥がして、厚さ約25μmの多孔質フィルムを得た。この多孔質フィルムを270mm×56mmの大きさに切断して比較例4のセパレータを得た。
(比較例4のリチウム2次電池の作製)
実施例1の正極、実施例1の負極および比較例4のセパレータを用いて、実施例1と同様にして、比較例4のリチウム2次電池を得た。
このようにして得られた実施例1〜4、比較例1〜4のリチウム2次電池について、容量試験、オーブン試験、過充電試験を行い、その結果を図8に示す。なお、リチウム2次電池の設計放電容量は560mAhであり、1C充電または1C放電とは560mAで定電流充電または定電流放電することである。2C充電または2C放電とは1120mAで定電流充電または定電流放電することである。
容量試験は、試験対象のリチウム2次電池を室温において定電流560mAで定電流充電を行いながら端子電圧を検出し、端子電圧が4.2Vに達したら4.2Vを保持する様に電流を制御し、充電開始後3時間経過したら、充電を終了する。その後2C放電、すなわち1120mAで定電流放電を行いながら端子電圧を検出し、その端子電圧が2.75Vに達したら放電を終了し、放電開始から放電終了までの時間を用いて放電容量を求めた。
オーブン試験は、容量試験を行ったリチウム2次電池を560mAで定電流充電を行い、端子電圧が4.3Vに達したら4.3Vを保持する様に電流を制御し、充電開始後3時間経過したら充電を終了し、その状態のまま6時間以上放置した。その後、5℃/分の昇温速度で160℃まで昇温し、160℃で60分間保持し、短絡の有無を確認するとともに、電池表面の温度変化を測定した。
過充電試験は、定電流560mAで2.75Vに達するまで室温で定電流放電した後、2C充電、すなわち1120mAで12Vまで定電流充電を行った時の電池の発火の有無を確認するとともに電池表面の温度変化を測定した。
図8は、各リチウム2次電池に対する容量試験、オーブン試験および過充電試験の結果である。
実施例1、2のリチウム2次電池は、図8に示すように、セパレータに樹脂2次粒子を含んでいるため、オーブン試験時の短絡がない。また、160℃において樹脂2次粒子の樹脂が融解してイオン電流を遮断したため、電池温度がさらに上昇することがなかった。また、過充電試験においても、電池温度上昇時に樹脂が融解してイオン電流を遮断したため、発火しなかった。
実施例3、4のリチウム2次電池は、セパレータとして通常のポリエチレン製セパレータを使用しているため、オーブン試験時に、セパレータのポリエチレンの融点以上の温度で溶融し、短絡した。しかし、過充電試験時には、それぞれ正極活物質層または負極活物質層中に樹脂2次粒子を含んでいるため、正極活物質層または負極活物質層の抵抗が増加して、規定の電圧(12V)に早期に到達したため充電電流が減少して電池温度が低下して、発火しなかった。
比較例1のリチウム2次電池は、正極、負極およびセパレータに樹脂2次粒子を含まず、セパレータとしてポリエチレン製のセパレータを使用しているため、オーブン試験時にセパレータが溶融し、短絡し、発火した。また、過充電試験時においても発火した。
比較例2のリチウム2次電池は、正極、負極およびセパレータに樹脂2次粒子を含まず、無機粉体微粒子とバインダからなるセパレータを使用しているため、オーブン試験において短絡はしなかった。しかし、160℃に放置してから25分経過後に突然電池温度が急上昇して発火した。これは、正極活物質の発熱によるものである。また、過充電試験時において、電池温度は最高158℃まで到達したが、発火はしなかった。
比較例3のリチウム2次電池は、樹脂2次粒子の樹脂に融点が83℃のエチレン酢酸ビニル共重合体を使用しているため、比較的低温で樹脂が融解して、オーブン試験時および過充電試験時に発火はしなかった。しかし、70℃位から容量が減少し始め、80℃程度で樹脂が溶融し、電池として機能しなくなった。電池の使用環境として70℃付近での用途は十分考えられるため、このような電池は使用不可能である。
比較例4のリチウム2次電池は、セパレータに樹脂2次粒子を含むため、オーブン試験において短絡はなかったが、160℃に放置してから17分経過後に正極活物質の発熱により発火した。これは、樹脂2次粒子の樹脂にポリプロピレンを使用しているため、オーブン試験において樹脂が融解せず、イオン電流が遮断されなかったためである。また、過充電試験時においても発火した。
このように表面に無機粉体微粒子を担持した融点が90℃以上、160℃以下の樹脂からなる樹脂2次粒子をセパレータ、正極活物質層または負極活物質層に含有することにより、オーブン試験時短絡の有無の違いはあるが電池温度がオーブン温度より上昇することがなく、また、過充電試験時にも発火が見られず、リチウム2次電池が濫用されても安全性の高いリチウム2次電池を提供することができる。
また、融点が90℃以上、160℃以下の樹脂により覆われた無機粉体微粒子からなる樹脂2次粒子をセパレータに含有することにより、オーブン試験時短絡がみられないとともに電池温度がオーブン温度より上昇することがない。また、過充電試験時にも発火が見られずに安全性の高いリチウム2次電池を提供することができる。
また、樹脂2次粒子を構成する樹脂の融点が90℃以上、160℃以下の樹脂を用いているので、リチウム2次電池の使用温度は実用上充分であるとともに、電池温度が必要以上に上昇する前に電流を遮断することができ、リチウム2次電池が高温に曝されても発火することがない。
また、無機粉体微粒子が表面に担持された樹脂2次粒子がセパレータに含まれているとき、電池温度が上昇しても無機粉体微粒子による骨格が残り、その骨格内を樹脂が閉塞するので、イオン電流は遮断することができるとともに、正極と負極が接触することは防げる。
実施例5
(実施例5のセパレータの作製)
ポリエチレン粉末粒子(住友精化製、フローセン、平均粒径20μm、融点112℃)20重量部および平均粒子径約0.01μmのアルミナ粉末(デグサ製)80重量部をボールミル混合容器中に入れ、120分間混合して樹脂2次粒子を得た。この樹脂2次粒子50重量部およびPVDF50重量部をNMPに溶解分散させ、セパレータペーストを得た。このセパレータペーストをドクターブレード法によりポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に塗布し、60℃で乾燥させた後、塗布した膜をPETフィルムから剥がして、厚さ約25μmの多孔質フィルムを得た。この多孔質フィルムを270mm×56mmの大きさに切断して実施例5のセパレータを得た。
(実施例5のリチウム2次電池の作製)
実施例1の正極、実施例1の負極および実施例5のセパレータを用いて、実施例1と同様にして、実施例5のリチウム2次電池を得た。
比較例5
(比較例5のセパレータの作製)
ポリエチレン粉末粒子(住友精化製、フローセン、平均粒径25μm、融点112℃)20重量部および平均粒子径約0.01μmのアルミナ粉末(デグサ製)80重量部をボールミル混合容器中に入れ、120分間混合して樹脂2次粒子を得た。この樹脂2次粒子50重量部およびPVDF50重量部をNMPに溶解分散させ、セパレータペーストを得た。このセパレータペーストをドクターブレード法によりポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に塗布し、60℃で乾燥させた後、塗布した膜をPETフィルムから剥がして、厚さ約25μmの多孔質フィルムを得た。この多孔質フィルムを270mm×56mmの大きさに切断して比較例5のセパレータを得た。
(比較例5のリチウム2次電池の作製)
実施例1の正極、実施例1の負極および比較例5のセパレータを用いて、実施例1と同様にして、比較例5のリチウム2次電池を得た。
比較例6
(比較例6のセパレータの作製)
ポリエチレン粉末粒子(住友精化製、フローセン、平均粒径20μm、融点112℃)20重量部および平均粒子径約0.01μmのアルミナ粉末(デグサ製)80重量部をボールミル混合容器中に入れ、120分間混合して樹脂2次粒子を得た。この樹脂2次粒子50重量部およびPVDF50重量部をNMPに溶解分散させ、セパレータペーストを得た。このセパレータペーストをドクターブレード法によりポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に塗布し、60℃で乾燥させた後、塗布した膜をPETフィルムから剥がして、厚さ約30μmの多孔質フィルムを得た。この多孔質フィルムを270mm×56mmの大きさに切断して比較例6のセパレータを得た。
(比較例6のリチウム2次電池の作製)
実施例1の正極、実施例1の負極および比較例6のセパレータを用いて、実施例1と同様にして、比較例6のリチウム2次電池を得た。
図9は、実施例5、比較例5および比較例6のリチウム2次電池に対する容量試験およびオーブン試験の結果である。
実施例5のリチウム2次電池は、樹脂2次粒子の粒径が25μmより小さいので、オーブン試験時に短絡が発生せず、また、高放電容量が得られた。
一方、比較例5のリチウム2次電池は、樹脂2次粒子の粒径が25μmとセパレータの厚みと同等であるため、160℃のオーブン試験で樹脂2次粒子中の樹脂の融解によりセパレータが収縮してしまい、短絡して発火した。これは、樹脂の粒径が大きいため無機粉体微粒子による骨格形成が不十分であり、そのため樹脂の溶解とともに無機粉体微粒子が流れてしまうためである。
また、比較例6のリチウム2次電池は、樹脂2次粒子の粒径が20μmとセパレータの厚みよりは小さいが、セパレータ自体の厚みが厚いため、放電容量が小さくなってしまう。
このように放電容量を大きくするためにセパレータの厚みを25μm位にまでに薄くしたときでも、セパレータに含まれる樹脂2次粒子の粒径を25μm未満にすることにより、電池温度が上昇しても収縮が少なく、短絡しないセパレータを得ることができる。
この発明の実施の形態1に係わるリチウム2次電池の電極部の断面図である。 この発明の実施の形態1に係わるセパレータの断面図である。 この発明の実施の形態1に係わる第1の方法で作製した樹脂2次粒子の外観図である。 この発明の実施の形態1に係わる第2の方法で作製した樹脂2次粒子の断面図である。本発明の実施の形態1によるリチウム2次電池の要部断面を示す図である。 この発明の実施の形態2に係わる正極の断面図である。 この発明の実施の形態2に係わる樹脂2次粒子の外観図である。 この発明の実施の形態3に係わる負極の断面図である。 実施例1乃至4、比較例1乃至4のリチウム2次電池に対する容量試験、オーブン試験および過充電試験の結果である。 実施例5、比較例5および比較例6のリチウム2次電池に対する容量試験およびオーブン試験の結果である。
符号の説明
1 正極集電体、2 負極集電体、3 正極、4 負極、5 セパレータ、6 正極活物質層、7 負極活物質層、8 バインダ、9 樹脂2次粒子、10 無機粉体微粒子、11 樹脂、12 正極活物質、13 電子導電性微粒子、15 負極活物質。

Claims (5)

  1. 正極活物質層と正極集電体とを有する正極、負極活物質層と負極集電体とを有する負極、上記正極活物質層と上記負極活物質層とにより挟持される多孔質セパレータおよび電解質を含有する電解液を備えるリチウム2次電池において、
    上記セパレータが、微粒子を表面に担持するまたは微粒子を包み込む樹脂2次粒子がバインダで結着されていることを特徴とするリチウム2次電池。
  2. 正極活物質層と正極集電体とを有する正極、負極活物質層と負極集電体とを有する負極、上記正極活物質層と上記負極活物質層とにより挟持される多孔質セパレータおよび電解質を含有する電解液を備えるリチウム2次電池において、
    上記正極活物質層または上記負極活物質層のうち少なくともいずれか1つが、電子導電性微粒子を表面に担持するまたは電子導電性微粒子を包み込む樹脂2次粒子がバインダで結着されていることを特徴とするリチウム2次電池。
  3. 上記樹脂2次粒子の樹脂の融点は、90℃以上、160℃以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のリチウム2次電池。
  4. 上記微粒子が、無機粉体であることを特徴とする請求項1に記載のリチウム2次電池。
  5. 上記樹脂2次粒子の平均粒径は、上記セパレータの厚みより小さいことを特徴とする請求項1に記載のリチウム2次電池。
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