JP4132331B2 - 多層プリント配線板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、多層プリント配線板に関し、特に粗化めっき層の未析出および導体回路の溶解を阻止することができるように構成された多層プリント配線板に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、多層配線板の高密度化の要請から、いわゆる多層ビルドアップ配線基板と呼ばれる多層プリント配線板が注目されている。
この多層ビルドアップ配線基板は、コアと呼ばれる100〜1000μm程度のガラスクロス等で補強された樹脂基板上に、銅等による配線層と層間樹脂絶縁層とが交互に積層され、コアを挟んだ配線層同士はスルーホールにより、また、層間樹脂絶縁層を挟んだ配線層はバイアホールにより、それぞれ電気的に接続されて構成されている。
【0003】
この多層ビルドアップ配線基板を製造する際には、例えば、特開平6−283860号公報に開示された方法を用いる。即ち、まず、基板上に形成された内層導体回路表面に無電解めっきによりCu−Ni−Pからなる針状または多孔質状の合金の粗化層を設け、ついで、この粗化層の上に層間樹脂絶縁層を形成した後、この層間樹脂絶縁層にバイアホール用の開口を設ける。
【0004】
その後、この基板にめっき処理を施し、開口に導体を充填するとともに、層間樹脂絶縁層上に上層導体回路を形成する。さらに、このような導体回路の形成と層間樹脂絶縁層の形成とを繰り返すことにより多層化が図られる。
【0005】
このような特開平6−283860号公報に開示された方法によれば、多層ビルドアップ配線基板では、導体回路上に形成されたCu−Ni−Pからなる針状または多孔質状の合金により、該導体回路とその上に形成される層間樹脂絶縁層との密着性を確保することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
通常、配線板の製造においては、基板を酸で洗浄したり、バイアホール用の開口を設けた層間樹脂絶縁層の表面をクロム酸等で処理する。
この際、導体回路上にCu−Ni−P合金の粗化層が形成されていると、導体回路を構成する銅との間に局部電池反応が生じ、導体回路が溶解することがある。
【0007】
このような導体回路の溶解を防止するために、特開平9−130050号公報には、Cu−Ni−P合金の粗化層をSn等の金属で被覆することにより、局部電池反応を抑制する技術が開示されている。
しかしながら、製品レベルの多層プリント配線板では、導体回路に粗密があるため、Sn層によりCu−Ni−P合金の粗化層を完全に被覆するのは難しく、そのため導体回路の溶解を完全を防止することは困難であった。
【0008】
また、導体回路にCu−Ni−P合金のめっき処理を施す際に、めっき浴の使用回数が多くなり、めっき浴が劣化してくると、導体回路表面にめっき被膜が形成されにくくなるという現象が発生するという問題もあった。
【0009】
本発明は、これらの従来技術の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、基板を酸等により処理する際に、導体回路の局部電池反応による導体回路の溶解を完全に阻止することができ、また、導体回路にめっきによるCu−Ni−P合金の析出等の粗化処理を施す際に、充分にめっき析出反応を進行させることができ、粗化層を確実に形成ことができるように構成された多層プリント配線板を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、上記目的の実現に向け鋭意研究した。その結果、発明者らが想到した発明の要旨構成は以下のとおりである。
(1) 下層導体回路が設けられた基板上に、層間樹脂絶縁層と上層導体回路とが順次積層形成され多層化された多層プリント配線板であって、少なくとも上記下層導体回路の表面には、イオン化傾向がスズより大きく、アルミニウム以下の金属および貴金属の群から選ばれる少なくとも1種以上の金属からなる金属層が形成され、その金属層上に粗化層が形成されてなることを特徴とする多層プリント配線板である。
なお、上記(1) 記載の多層プリント配線板においては、上記イオン化傾向がスズより大きく、アルミニウム以下の金属および貴金属の群から選ばれる少なくとも1種以上の金属は、アルミニウム、クロム、鉄、亜鉛、ニッケル、コバルト、スズおよび貴金属の群から選ばれる少なくとも1種以上の金属であることが望ましく、上記粗化層は、Cu−Ni−P合金からなる針状または多孔質状のものであることが望ましい。
また、上記層間樹脂絶縁層には、バイアホールが設けられ、そのバイアホールは、上記イオン化傾向がスズより大きく、アルミニウム以下の金属および貴金属の群から選ばれる少なくとも1種以上の金属からなる金属層および上記粗化層を介して、基板上に形成された上記下層導体回路と電気的に接続されていることが望ましい。
上記粗化層には、イオン化傾向が銅よりも大きくかつチタン以下である金属を1種以上含む金属層もしくは貴金属層が、被覆形成されていることが望ましい。さらに、上記バイアホールは、めっき膜で充填されていることが望ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明は、下層導体回路が設けられた基板上に、層間樹脂絶縁層と上層導体回路とが順次積層形成され多層化された多層プリント配線板であって、少なくとも上記下層導体回路(以下、単に導体回路という。なお、後述する金属層は、上層導体回路に形成されていてもよいため、以下の説明では、格段のことわりの無いかぎり導体回路に下層導体回路、上層導体回路の両方を含むものとする)の表面には、イオン化傾向がスズより大きく、アルミニウム以下の金属および貴金属の群から選ばれる少なくとも1種以上の金属からなる金属層が形成され、その金属層上にCu−Ni−P合金等からなる粗化層が形成されていることに特徴がある。
【0012】
このような本発明の構成によれば、上記導体回路の表面には、イオン化傾向がスズより大きく、アルミニウム以下の金属および貴金属の群から選ばれる少なくとも1種以上の金属からなる金属層が形成されているため、導体回路表面の粗化層が露出した基板を酸等により処理する際に、導体回路を構成する銅とCu−Ni−P合金等の粗化層との間の局部電池反応が抑制され、導体回路の溶解が阻止される。
【0013】
また、特に、上記金属層の表面には、めっきにより粗化層を形成する際に、Cu−Ni−P合金等の金属が析出しやすく、めっき液が劣化しても、めっきの未析出は生じず、確実に導体回路上にCu−Ni−Pからなる針状または多孔質状の合金等の粗化層を形成することができる。
さらに、上記金属層は、銅からなる導体回路のエッチングマスクとしても機能するため、導体回路の過剰エッチングを防止することができる。
上記金属層は、導体回路の上面または上面および側面に形成される。なお、上記金属層及び粗化層は、全ての導体回路に形成される必要はない。従って、例えば、最上層の導体回路には、上記金属層及び粗化層が形成されない場合もある。
【0014】
上記金属層に用いられる金属としては、上記したアルミニウム、クロム、鉄、亜鉛、ニッケル、コバルト、スズのほかに、例えば、金、銀、白金、パラジウム等の貴金属が挙げられる。従って、上記金属層には、上記金属及び上記貴金属から選ばれる少なくとも1種以上の金属を用いることができる。
上記金属層の厚さは、0.2〜3μmが望ましい。0.2μm未満では、局部電池反応が抑制できず、3μmよりも厚い場合は、導体回路自体の厚さが厚くなってしまい、層間樹脂絶縁層も厚くなるため、小さな直径のバイアホールを形成することが困難になる。層間樹脂絶縁層の厚さが薄い方が、小さな直径のバイアホールを形成しやすいからである。
【0015】
Cu−Ni−Pからなる針状または多孔質状の合金等の粗化層は、その全体の厚みが1〜7μmであることが望ましい。
上記厚みにした場合、層間樹脂絶縁層の間隔、および、導体回路の間隔を従来の多層プリント配線板に比べて小さく設定することができ、多層プリント配線板の高密度化及び軽量化を図ることができるからである。
【0016】
Cu−Ni−P合金等の粗化層の形状は、針状または多孔質状が好ましい。上記粗化層をめっき処理により形成する際、上記粗化層の形状は、界面活性剤の種類等により変化するが、針状または多孔質状の粗化層を形成できる条件を選択する必要がある。
【0017】
本発明では、粗化層として、Cu−Ni−Pからなる針状または多孔質状の合金以外に、Cu−Co−Pからなる凹凸めっきや銅コブめっきを形成することができる。
銅コブめっきを形成する場合、めっき液として、例えば、22〜38g/lの銅化合物、10〜20g/lの錯化剤、150〜250g/lのピロリン酸塩、5〜10g/lの硝酸塩、1〜3g/lのアンモニア、10〜25g/lのオルソリン酸塩を含む水溶液を使用することができる。錯化剤は、EDTAやロッシェル塩等を使用することができる。
【0018】
本発明では、Cu−Ni−P合金の粗化層の表面には、イオン化傾向が銅よりも大きくかつチタン以下である金属、または、貴金属からなる被覆層(以下、粗化層被覆層という)が形成されていることが好ましい。また、この粗化層被覆層の厚さは、0.1〜2μmが好ましい。
これらの金属の粗化層被覆層が形成されることにより、電解質溶液と粗化層との直接の接触を防止することができる。また、これら金属層自体が酸化され、緻密な酸化膜が形成されるため、粗化層や導体回路の溶解を防止することができる。
【0019】
イオン化傾向が銅より大きくかつチタン以下である金属としては、例えば、チタン、アルミニウム、亜鉛、鉄、インジウム、タリウム、コバルト、ニッケル、スズ、鉛、ビスマス等が挙げられる。また、上記貴金属としては、例えば、金、銀、白金、パラジウム等が挙げられる。従って、上記粗化層被覆層には、上記金属および上記貴金属から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。これらの金属のうちでは、特にスズが好ましい。スズは、無電解置換めっきにより薄い層を形成することができ、粗化層の凹凸に沿って析出形成させることができるからである。
【0020】
上記金属としてスズを用いる場合には、ホウフッ化スズ−チオ尿素液または塩化スズ−チオ尿素を含む液を使用する。この場合、Cu−Snの置換反応により0.1〜2μm程度のSn層が形成される。また、貴金属を用いる場合には、スパッタや蒸着などの方法や簡単な置換タイプのめっき液によりめっき処理する方法等を採用することができる。
【0021】
本発明において導体回路表面に形成する金属層は、電気めっき、無電解めっき、スパッタリング、蒸着法などにより形成することができる。
無電解ニッケルめっきを施す際には、10〜50g/lの塩化ニッケル、5〜20g/lの次亜りん酸ナトリウムおよび30〜60g/lのヒドロキシ酢酸ナトリウムを含む水溶液、または、10〜50g/lの塩化ニッケル、5〜20g/lの次亜りん酸ナトリウムおよび5〜20g/lのクエン酸ナトリウムを含む水溶液を使用することができる。
【0022】
電気ニッケルめっきを施す際には、100〜300g/lの硫酸ニッケル、10〜60g/lの塩化ニッケルおよび10〜50g/lのホウ酸を含む水溶液を使用することができる。
無電解スズめっきを施す際には、0.1〜0.5mol/lのクエン酸ナトリウム、0.01〜0.08mol/lのEDTA、0.01〜0.08mol/lの塩化ズスおよび0.01〜0.05mol/lの塩化チタンを含む水溶液を使用することができる。
【0023】
無電解コバルトめっきを施す際には、0.1〜1.0mol/lの塩化コバルト、0.1〜0.5mol/lの次亜リン酸ナトリウム、0.5〜2.0mol/lの酒石酸ナトリウムおよび0.5〜2.0mol/lの塩化アノモニウムを含む水溶液を使用することができる。
さらに、無電解パラジウムめっきを施す際には、1〜10g/lのテトラミンパラジウムクロライド、10〜50g/lのEDTA ナトリウム塩、100〜500g/lのアンモニアおよび0.1〜1.0g/lのヒドラジンを含む水溶液を使用することができる。
【0024】
電解クロムめっきを施す際には、250〜350g/lの無水クロム酸、12〜20g/lのケイフッ化ナトリウムおよび0.1〜0.5g/lの硫酸を含む水溶液をめっき浴とし、このめっき浴に基板を浸漬した後、10〜30A/dm2 の電流密度で通電すればよい。
また、アルミニウムからなる上記金属層を形成する際には、めっきを施すことが困難であるため、スパッタリングで上記金属層を形成する。
【0025】
無電解亜鉛めっきを施す際には、100〜800g/lの水酸化ナトリウムおよび50〜200g/lの酸化亜鉛を含む水溶液を使用し、常温でめっき処理を施す。
電気鉄めっきを施す際には、100〜400g/lの硫酸第一鉄および50〜200g/lの硫酸アッモニウムを含む水溶液をめっき浴とし、このめっき浴に基板を浸漬した後、6〜10A/dm2 の電流密度で通電すればよい。
【0026】
次に、本発明において、導体回路の表面にCu−Ni−P合金のめっき層等を析出成長させ、粗化層を形成するためのめっき方法について説明する。
本発明では、下層導体回路が形成された基板を、例えば、錯化剤、銅化合物、ニッケル化合物、次亜リン酸塩,アセチレン含有ポリオキシエチレン系界面活性剤からなるめっき水溶液中に浸漬し、基板に振動または揺動を与える方法により、または、金属イオンを供給せしめることにより、Cu−Ni−Pからなる針状または多孔質状の合金を析出成長させ、被覆層と粗化層で構成した合金の粗化層を形成する。なお、めっき水溶液は、銅イオン濃度、ニッケルイオン濃度、次亜リン酸イオン濃度、錯化剤濃度が、それぞれ0.007〜0.160mol/l、0.001〜0.023mol/l、0.1〜1.0mol/l、0.01〜0.2mol/lとなるように調整しておくことが望ましい。
【0027】
上記錯化剤としては、例えば、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、EDTA、クワドロール、グリシン等が挙げられる。
アセチレン含有ポリオキシエチレン系界面活性剤としては、下記の(1)式または(2)式のような構造を有するものを使用することが最適である。このような界面活性剤としては、例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール等のアルキンジオール等が挙げられる。これらの市販品としては、例えば、日信化学工業製のサーフィノール104(多孔質状)、同440、同465、同485(いずれも針状)等が挙げられる。
【0028】
【化1】
【0029】
(上記(1)式中、m、nは、その和が3〜30となる整数を表し、上記(2)式中、R1 およびR2 はアルキル基、R3 およびR4 は水素原子または低級アルキル基を表す。)
【0030】
このような無電解めっき液から析出するCu−Ni−P合金は、その表面は、針状あるいは多孔質状になる。多孔質合金の場合は、その微孔の数は、1cm2 当たり100,000〜1,000,000の範囲内にあり、一般には、3,000,000〜300,000,000の範囲に含まれるものである。また、その微孔の径は、0.01〜100μmの範囲内、一般には0.1〜10μmの範囲に含まれるものである。
【0031】
本発明では、上記導体回路上に形成する層間樹脂絶縁層として無電解めっき用接着剤を用いることが望ましい。この無電解めっき用接着剤は、硬化処理された酸または酸化剤に可溶性の耐熱性樹脂粒子が、酸あるいは酸化剤に難溶性の未硬化の耐熱性樹脂中に分散されてなるものが最適である。酸あるいは酸化剤の溶液で処理することにより、耐熱性樹脂粒子が溶解除去されて、この接着剤層の表面に蛸つぼ状のアンカーからなる粗化面を形成できるからである。
【0032】
上記無電解めっき用接着剤において、特に硬化処理された上記耐熱性樹脂粒子としては、1)平均粒径が10μm以下の耐熱性樹脂粉末、2)平均粒子径が相対的に大きな粒子と平均粒子径が相対的に小さな粒子を混合した粒子が望ましい。これらは、より複雑なアンカーを形成できるからである。
【0033】
使用できる耐熱性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂と熱可塑性樹脂との複合体等が挙げられる。複合させる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエーテルスルホン(PES)等が挙げられる。また、酸や酸化剤の溶液に溶解する耐熱性樹脂粒子としては、例えば、エポキシ樹脂(特にアミン系硬化剤で硬化させたエポキシ樹脂がよい)、アミノ樹脂が挙げられる。また、本発明で使用されるソルダーレジストとしては、例えば、エポキシ樹脂アクリレートおよびイミダゾール硬化剤からなるものが挙げられる。
【0034】
次に、本発明の多層プリント配線板を製造する一方法について説明する。
(1) まず、コア基板の表面に内層銅パターン(下層導体回路)を形成した配線基板を作製する。
このコア基板への下層導体回路の形成は、銅張積層板をエッチングすることにより行うか、または、以下の方法により行う。即ち、ガラスエポキシ基板、ポリイミド基板、セラミック基板、金属基板等の基板上に無電解めっき用接着剤の層を形成し、続いて、この接着剤層表面を粗化した後、電解めっきにより導体層を形成し、この導体層をエッチングして下層導体回路を形成する。
【0035】
なお、コア基板には、スルーホールが形成され、このスルーホールを介して表面と裏面の配線層が電気的に接続されている。
また、スルーホールおよびコア基板の下層導体回路間には樹脂が充填され、平滑性が確保されていてもよい。
特に本発明では、コア基板の下層導体回路表面、スルーホールのランド表面には、前述したようにアルミニウム、クロム、鉄、亜鉛、ニッケル、コバルト、スズおよび貴金属から選ばれる少なくとも1種以上の金属からなる金属層、その金属層上に針状又は多孔質状のCu−Ni−P合金等からなる粗化層を形成する。さらに、必要に応じて、上記粗化層上に、前述した粗化層被覆層を形成する。
【0036】
(2) 次に、上記(1) で作製した配線基板の上に、層間樹脂絶縁層を形成する。特に本発明では、層間樹脂絶縁層の材料として前述した無電解めっき用接着剤を用いることが望ましい。
(3) 形成した無電解めっき用接着剤層を乾燥した後、必要に応じてバイアホール用の開口を設ける。感光性樹脂の場合は、露光、現像してから熱硬化することにより、また、熱硬化性樹脂の場合は、熱硬化したのちレーザー加工することにより、上記層間樹脂絶縁層にバイアホール用の開口を設ける。
【0037】
(4) 次に、硬化した上記無電解めっき用接着剤層(層間樹脂絶縁層)の表面に存在する酸や酸化剤に可溶性の樹脂粒子を酸または酸化剤によって溶解除去し、無電解めっき用接着剤層の表面を粗化する。
ここで、上記酸としては、例えば、リン酸、塩酸、硫酸等の鉱酸;蟻酸、酢酸等の有機酸等が挙げられるが、特に有機酸を用いることが望ましい。有機酸を用いると、粗化処理の際、バイアホールから露出する金属導体層を腐食させにくいからである。
一方、上記酸化剤としては、クロム酸、過マンガン酸塩(過マンガン酸カリウム等)の水溶液を用いることが望ましい。
【0038】
(5) 次に、層間樹脂絶縁層表面を粗化した配線基板に触媒核を付与する。
触媒核の付与には、貴金属イオンや貴金属コロイド等を用いることが望ましく、一般的には、塩化パラジウムやパラジウムコロイドを使用する。なお、触媒核を固定するために加熱処理を行うことが望ましい。このような触媒核としてはパラジウムが好ましい。
【0039】
(6) 次に、触媒核を付与した層間樹脂絶縁層の表面に無電解めっきを施し、粗化面全面に無電解めっき膜を形成する。無電解めっき膜の厚みは、0.5〜5μmが好ましい。
次に、無電解めっき膜上にめっきレジストを形成する。
【0040】
(7) 次に、めっきレジスト非形成部に5〜20μmの厚みの電気めっきを施し、上層導体回路およびバイアホールを形成する。
ここで、上記電気めっきとしては、銅めっきを用いることが望ましい。
さらに、金属層および無電解めっき膜をエッチングする際のレジスト層としてのアルミニウム、クロム、鉄、亜鉛、ニッケル、コバルト、スズ、および貴金属から選ばれる少なくとも1種以上の金属からなる金属層を形成する。
さらに、めっきレジストを除去した後、そのめっきレジストの下に存在していた無電解めっき膜を、硫酸と過酸化水素の混合液や過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の水溶液からなるエッチング液で溶解除去し、独立した導体回路とする。
【0041】
銅等からなる上層導体回路は、アルミニウム、クロム、鉄、亜鉛、ニッケル、コバルト、スズおよび貴金属から選ばれる少なくとも1種以上の金属からなる金属層がレジスト層として形成されているためエッチングされない。
なお、アルミニウム、クロム、鉄、亜鉛、ニッケル、コバルト、スズおよび貴金属から選ばれる少なくとも1種以上の金属からなる金属層は、独立した上層導体回路およびバイアホールを設けた後、上層導体回路およびバイアホールの上面および側面に形成してもよい。
【0042】
(8) ついで、アルミニウム、クロム、鉄、亜鉛、ニッケル、コバルト、スズおよび貴金属から選ばれる少なくとも1種以上の金属からなる金属層が形成された上層導体回路の上にCu−Ni−P合金等からなる粗化層を形成する。
上記金属層の表面は、酸化還元反応が生じやすいため、Cu−Ni−Pからなる合金めっき等が析出しやすい。
【0043】
(9) 次に、Cu−Ni−P合金の粗化層の表面には、イオン化傾向が銅よりも大きくかつチタン以下である金属または貴金属からなる粗化層被覆層を形成する。
(10)この後、上記粗化層被覆層が形成された基板上に層間樹脂絶縁層として、無電解めっき用接着剤の層を形成する。
【0044】
(11)さらに、上記 (3)〜(10)の工程を繰り返して上層の上層導体回路を設け、例えば、片面3層の6層両面多層プリント配線板を得る。
上記 (3)〜(10)の工程中、バイアホール用の開口を設けた後、表面をクロム酸で粗化するが、クロム酸処理でも導体回路の溶解を防止できる。
【0045】
なお、以上の説明は、セミアティティブ法と呼ばれる方法によりプリント配線板を製造する例であるが、無電解めっき用接着剤層を粗化した後、触媒核を付与し、めっきレジストを設けて、無電解めっきを行い導体回路を形成する、いわゆるフルアディティブ法にも適用することが可能である。
【0046】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。
(実施例1)
A.無電解めっき用接着剤の調製
1)クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬社製、分子量:2500)の25%アクリル化物35重量部、感光性モノマー(東亜合成社製、アロニックスM325)3.15重量部、消泡剤0.5重量部およびN−メチルピロリドン(NMP)3.6重量部を容器にとり、攪拌混合することにより混合組成物を調製した。
【0047】
2)ポリエーテルスルフォン(PES)12重量部、エポキシ樹脂粒子(三洋化成社製、ポリマーポール)の平均粒径1.0μmのもの7.2重量部および平均粒径0.5μmのもの3.09重量部を別の容器にとり、攪拌混合した後、さらにNMP30重量部を添加し、ビーズミルで攪拌混合し、別の混合組成物を調製した。
【0048】
3)イミダゾール硬化剤(四国化成社製、2E4MZ−CN)2重量部、光開始剤であるベンゾフェノン2重量部、光増感剤であるミヒラーケトン0.2重量部およびNMP1.5重量部をさらに別の容器にとり、攪拌混合することにより混合組成物を調製した。
そして、1)、2)および3)で調製した混合組成物を混合することにより無電解めっき用接着剤を得た。
【0049】
B.プリント配線板の製造方法
(1) 厚さ1mmのガラスエポキシ樹脂またはBT(ビスマレイミドトリアジン)樹脂からなる基板1の両面に18μmの銅箔8がラミネートされている銅張積層板を出発材料とした(図1(a)参照)。まず、この銅張積層板をドリル削孔し、続いてめっきレジストを形成した後、この基板に無電解銅めっき処理を施してスルーホール9を形成し、さらに、銅箔を常法に従いパターン状にエッチングすることにより、基板の両面に内層銅パターン(下層導体回路)4を形成した。
【0050】
下層導体回路4を形成した基板を水洗いし、乾燥した後、NaOH(10g/l)、NaClO2 (40g/l)、Na3 PO4 (6g/l)の水溶液を酸化浴(黒化浴)とする酸化浴処理を行い、そのスルーホール9を含む下層導体回路4の全表面に粗化面4a、9aを形成した(図1(b)参照)。
【0051】
(2) エポキシ樹脂を主成分とする樹脂充填剤10を、基板の両面に印刷機を用いて塗布することにより、下層導体回路4間またはスルーホール9内に充填し、加熱乾燥を行った。即ち、この工程により、樹脂充填剤10が下層導体回路4の間あるいはスルーホール9内に充填される(図1(c)参照)。
【0052】
(3) 上記(2) の処理を終えた基板の片面を、ベルト研磨紙(三共理化学社製)を用いたベルトサンダー研磨により、下層導体回路4の表面やスルーホール9のランド表面に樹脂充填剤10が残らないように研磨し、ついで、上記ベルトサンダー研磨による傷を取り除くためのバフ研磨を行った。このような一連の研磨を基板の他方の面についても同様に行った。そして、充填した樹脂充填剤10を加熱硬化させた(図1(d)参照)。
【0053】
このようにして、スルーホール9等に充填された樹脂充填剤10の表層部および下層導体回路4上面の粗化層4aを除去して基板両面を平滑化し、樹脂充填剤10と下層導体回路4の側面とが粗化面4aを介して強固に密着し、またスルーホール9の内壁面と樹脂充填剤10とが粗化面9aを介して強固に密着した配線基板を得た。
【0054】
(4) 上記(3) の工程を経た基板を塩化ニッケル(30g/l)、次亜りん酸ナトリウム(10g/l)、クエン酸ナトリウム(10g/l)の水溶液(90℃) の無電解ニッケル浴に浸漬し、下層導体回路4の上面およびスルーホール9のランド上面に厚さ1.2μmのニッケル被覆層11aを形成した。
【0055】
(5) さらに、露出した導体回路4およびスルーホール9のランド上面のニッケル層上に厚さ2μmのCu−Ni−Pからなる針状または多孔質状の合金の粗化層11bを形成し、さらにこの粗化層11bの表面に厚さ0.3μmのSn層を設けた(図2(a)参照)。但し、Sn層については図示しない。
【0056】
その粗化層11bの形成方法は以下のようである。即ち、基板をアルカリ脱脂してソフトエッチングし、次いで、塩化パラジウムと有機酸からなる触媒溶液で処理して、Pd触媒を付与し、この触媒を活性化した後、硫酸銅(3.2×10-2mol/l)、硫酸ニッケル(2.4×10-3 mol/l)、クエン酸(5.2×10-2mol/l)、次亜リン酸ナトリウム(2.7×10-1 mol/l)、ホウ酸(5.0×10-1 mol/l)、界面活性剤(日信化学工業社製、サーフィノール465)(1.0g/l)の水溶液からなるpH=9の無電解銅めっき浴に基板を浸漬し、浸漬2分後から1秒に1回の割合で縦方向に振動させて、銅導体回路4およびスル−ホ−ル9のランドの表面のニッケル層上に、厚さ5μmのCu−Ni−Pからなる針状または多孔質状の合金の粗化層11bを設けた。さらに、ホウフッ化スズ0.1mol/l、チオ尿素1.0mol/l、温度35℃、pH=1.2の条件でCu−Sn置換反応させ、粗化層の表面に厚さ0.3μmのSn層(図示せず)を設けた。
【0057】
(6) 基板の両面に、上記Aにおいて記載した組成の無電解めっき用接着剤をロールコータを用いて2回塗布し、水平状態で20分間放置してから、60℃で30分の乾燥を行った(図2(b)参照)。
【0058】
(7) 上記(6) で無電解めっき用接着剤の層を形成した基板の両面に、直径85μmの黒円が印刷されたフォトマスクフィルムを密着させ、超高圧水銀灯により500mJ/cm2 強度で露光した。これをジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)溶液でスプレー現像することにより、その接着剤の層に直径85μmのバイアホールとなる開口を形成した。さらに、当該基板を超高圧水銀灯により3000mJ/cm2 で露光し、100℃で1時間、その後150℃で5時間の加熱処理をすることにより、フォトマスクフィルムに相当する寸法精度に優れた開口(バイアホール用開口6)を有する厚さ18μmの層間樹脂絶縁層2(2a、2b)を形成した(図2(c)参照)。
【0059】
(8) バイアホール用開口6を形成した基板を、クロム酸水溶液(7500g/l)に73℃で20分間浸漬し、層間樹脂絶縁層2の表面に存在するエポキシ樹脂粒子を溶解除去してその表面を粗化し、粗化面を得た。その後、中和溶液(シプレイ社製)に浸漬してから水洗いした(図2(d)参照)。
さらに、粗面化処理した該基板の表面に、パラジウム触媒(アトテック社製)を付与することにより、層間絶縁材層2の表面およびバイアホール用開口6の内壁面に触媒核を付着させた。
【0060】
(9) 次に、以下の組成の無電解銅めっき水溶液中に基板を浸漬して、粗面全体に厚さ0.8μmの無電解銅めっき膜12を形成した(図3(a)参照)。
〔無電解めっき水溶液〕
EDTA 50 g/l
硫酸銅 10 g/l
HCHO 10 ml/l
NaOH 6 g/l
α、α’−ビピリジル 80 mg/l
ポリエチレングリコール(PEG) 0.1 g/l
〔無電解めっき条件〕
70℃の液温度で15分
【0061】
(10)市販の感光性ドライフィルムを無電解銅めっき膜12に貼り付け、マスクを載置して、100mJ/cm2 で露光し、0.8%炭酸ナトリウム水溶液で現像処理することにより、めっきレジスト3を設けた(図3(b)参照)。
【0062】
(11)ついで、以下の条件で電解銅めっきを施し、厚さ13μmの電気銅めっき膜13を形成した(図3(c)参照)。
〔電解めっき水溶液〕
硫酸 180 g/l
硫酸銅 80 g/l
添加剤(アトテックスジャパン社製、カパラシドGL)
1 ml/l
〔電解めっき条件〕
電流密度 1 A/dm2
時間 30 分
温度 室温
【0063】
(12)めっきレジスト3を5%KOH水溶液で剥離除去した後、そのめっきレジスト3下の無電解めっき膜12を硫酸と過酸化水素の混合液でエッチング処理して溶解除去し、無電解銅めっき膜12と電解銅めっき膜13からなるL/S=28/28で厚さ11μmの上層導体回路5(バイアホール7を含む)を形成した。さらに 塩化ニッケル(30g/l)、次亜りん酸ナトリウム(10g/l)、クエン酸ナトリウム(10g/l)の水溶液(90℃) の無電解ニッケル浴に浸漬し、導体回路全面、スルーホールランド全面に厚さ1.2μmのニッケル被覆層11aを形成した(図3(d)参照)。
【0064】
(13)上層導体回路5およびニッケル被覆層11aを形成した基板に対し、上記(5) と同様の処理を行い、上層導体回路5の表面に厚さ2μmのCu−Ni−P合金の粗化層11bを形成した(図4(a)参照)。さらに、ホウフッ化スズ0.1mol/l、チオ尿素1.0mol/l、温度35℃、pH=1.2の条件でCu−Sn置換反応させ、粗化層の表面に厚さ0.3μmのSn層(図示せず)を設けた。
【0065】
(14)上記 (6)〜(13)の工程を繰り返すことにより、さらに上層の導体回路を形成し(図4(b)〜図5(d)参照)、図示はしていないが、最後に開口を有するソルダーレジスト層の形成、金めっき処理等を行った後、はんだバンプを形成し、はんだバンプを有する多層プリント配線板を得た。
【0066】
(実施例2)
工程(12)を以下のように変えたほかは、実施例1と同様にして多層プリント配線板を得た。
(12)電解銅めっきを施した後、さらに、硫酸ニッケル(240g/l)、塩化ニッケル(45g/l)、ホウ酸(30g/l)の水溶液からなるpH=4.5のめっき浴に基板を浸漬し、温度55±5℃、電流密度4A/dm2 の条件で、Ni板を陽極として電気ニッケルめっきを施し、厚さ0.8μmのニッケル被覆層を形成した。
【0067】
さらに、めっきレジスト3を5%KOH水溶液で剥離除去した後、そのめっきレジスト3下の無電解めっき膜12を硫酸と過酸化水素の混合液でエッチング処理して溶解除去し、無電解銅めっき膜12と電解銅めっき膜13からなるL/S=28/28で厚さ11μmの上層導体回路5(バイアホール7を含む)を形成した(図6(a)参照)。
なお、図6(a)に示した基板上に、新たな上層導体回路を形成したときの図を図6(b)に示す。
【0068】
(比較例1)
ニッケル被覆層を形成しなかったほかは、実施例1と同様の方法により多層プリント配線板を製造した。
【0069】
(実施例3)
ニッケル層の代わりに厚さ1.1μmのスズ層を無電解めっきにより形成したほかは、実施例1と同様の方法により多層プリント配線板を製造した。めっき液は、以下の組成および温度である。
クエン酸ナトリウム 0.34 mol/l
EDTA 0.04 mol/l
塩化スズ 0.04 mol/l
酢酸ナトリウム 0.12 mol/l
塩化チタン 0.029 mol/l
液温 70〜90℃
【0070】
(実施例4)
ニッケル層の代わりに、コバルト層を無電解めっきにより形成したほかは、実施例1と同様の方法により多層プリント配線板を製造した。無電解めっきの条件は以下の通りである。
〔無電解めっき液〕
塩化コバルト 0.60 mol/l
次亜リン酸ナトリウム 0.26 mol/l
酒石酸ナトリウム 0.90 mol/l
塩化アンモニウム 1.30 mol/l
pH 8〜10
液温 90〜100℃
【0071】
(実施例5)
ニッケル層の代わりに、パラジウム層を無電解めっきにより形成したほかは、実施例1と同様の方法により多層プリント配線板を製造した。無電解めっきの条件は以下の通りである。
〔無電解めっき液〕
テトラミンパラジウムクロライド 5.4 g/l
EDTA ナトリウム塩 33.6 g/l
アンモニア 350 g/l
ヒドラジン 0.3 g/l
液温 90 ℃
【0072】
(実施例6)
ニッケル層の代わりに、クロム層を電解めっきにより形成したほかは、実施例2と同様の方法により多層プリント配線板を製造した。電解めっきの条件は以下の通りである。
〔電解めっき液〕
無水クロム酸 300 g/l
ケイフッ化ナトリウム 15 g/l
硫酸 0.5 g/l
液温 45 ℃
〔電解めっき条件〕
電流密度 20 A/dm2
【0073】
(実施例7)
電解ニッケルめっきによりニッケル層を形成する代わりに、アルミニウム層をスパッタリングにより形成し、また、Cu−Ni−P合金の粗化層を形成する代わりに、銅コブめっきにより粗化層を形成したほかは、実施例2と同様の方法により多層プリント配線板を製造した。電解めっきの条件は以下の通りである。
〔アルミニウムスパッタの条件〕
スパッタリング装置 日本真空株式会社製、SV−4540
気圧 0.7 Pa
電力 200 W
時間 15 分
アルミニウム層の厚さ 0.4 μm
〔銅コブめっきのめっき液〕
硫酸銅 20 g/l
EDTA 15 g/l
ピロリン酸ナトリウム 200 g/l
硝酸ナトリウム 8 g/l
アンモニア 2 g/l
オルソリン酸ナトリウム 15 g/l
【0074】
(実施例8)
ニッケル層の代わりに、亜鉛層を無電解亜鉛めっきにより形成したほかは、実施例2と同様の方法により多層プリント配線板を製造した。無電解めっきの条件は以下の通りである。
〔無電解めっき液〕
水酸化ナトリウム 100〜800 g/l
酸化亜鉛 50〜200 g/l
液温 常温 ℃
【0075】
(実施例9)
ニッケル層の代わりに、鉄層を電解鉄めっきにより形成したほかは、実施例2と同様の方法により多層プリント配線板を製造した。無電解めっきの条件は以下の通りである。
〔電解めっき液〕
硫酸第一鉄 100〜400 g/l
硫酸アンモニウム 50〜200 g/l
〔電解めっき条件〕
電流密度 6〜10 dm2
【0076】
(実施例10)
電解ニッケルめっきによりニッケル層を形成する代わりに、無電解ニッケルめっきによりニッケル層を形成したほかは、実施例2と同様の方法により多層プリント配線板を製造した。無電解めっきの条件は以下の通りである。
〔無電解めっき液〕
塩化ニッケル 30 g/l
次亜りん酸ナトリウム 10 g/l
クエン酸ナトリウム 10 g/l
液温 90 ℃
【0077】
上記実施例および比較例で得られた配線板について、断面を光学顕微鏡で観察して、導体回路の溶解およびCu−Ni−P粗化層の未析出を観察した。
実施例1〜10では、導体回路の溶解はみられなかったが、比較例1では、電源層(プレーン層)の一部に溶解が見られた。
また、実施例1〜6および8〜10では、Cu−Ni−Pからなる針状または多孔質状の合金のめっき処理を行った際、10ターンでもめっきの未析出はなかったが、比較例1では、3ターンでめっきの未析出が生じた。また、実施例7の銅コブめっきでも、めっき未析出は見られなかった。
さらに、形成可能なパターン幅(L/S)に関し、実施例2および6〜10では、15/15μmと小さなパターン幅が形成可能であったが、比較例では、30/30と大きなパターン幅しか形成することができなかった。
【0078】
【発明の効果】
以上説明のように本発明の構成からなる多層プリント配線板によれば、基板を酸等により処理する際に、導体回路の局部電池反応による導体回路の溶解を完全に阻止することができ、また、導体回路にCu−Ni−Pからなる針状または多孔質状の合金等の粗化めっき処理を施す際に、充分にめっき析出反応を進行させることができ、粗化層を確実に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(d)は、本発明の多層プリント配線板の製造工程の一部を示す断面図である。
【図2】(a)〜(d)は、本発明の多層プリント配線板の製造工程の一部を示す断面図である。
【図3】(a)〜(d)は、本発明の多層プリント配線板の製造工程の一部を示す断面図である。
【図4】(a)〜(c)は、本発明の多層プリント配線板の製造工程の一部を示す断面図である。
【図5】(a)〜(d)は、本発明の多層プリント配線板の製造工程の一部を示す断面図である。
【図6】(a)〜(b)は、本発明の別の多層プリント配線板の一製造工程を示す断面図である。
【符号の説明】
1 基板
2 層間樹脂絶縁層(無電解めっき用接着剤層)
3 めっきレジスト
4 下層導体回路(内層銅パターン)
4a 粗化面
5 上層導体回路
6 バイアホール用開口
7 バイアホール
8 銅箔
9 スルーホール
9a 粗化面
10 樹脂充填剤
11 ニッケル被覆層および粗化層
11a ニッケル被覆層
11b 粗化層
12 無電解めっき膜
13 電解めっき膜
Claims (6)
- 下層導体回路が設けられた基板上に、層間樹脂絶縁層と上層導体回路とが順次積層形成され多層化された多層プリント配線板であって、
少なくとも前記下層導体回路の表面には、イオン化傾向がスズより大きく、アルミニウム以下の金属および貴金属の群から選ばれる少なくとも1種以上の金属からなる金属層が形成され、その金属層上に粗化層が形成されてなることを特徴とする多層プリント配線板。 - 前記イオン化傾向がスズより大きく、アルミニウム以下の金属および貴金属の群から選ばれる少なくとも1種以上の金属は、アルミニウム、クロム、鉄、亜鉛、ニッケル、コバルト、スズおよび貴金属の群から選ばれる少なくとも1種以上の金属である請求項1に記載の多層プリント配線板。
- 前記粗化層は、Cu−Ni−P合金からなるものである請求項1に記載の多層プリント配線板。
- 前記層間樹脂絶縁層には、バイアホールが設けられ、そのバイアホールは、前記イオン化傾向がスズより大きく、アルミニウム以下の金属および貴金属の群から選ばれる少なくとも1種以上の金属からなる金属層および前記粗化層を介して、基板上に形成された前記下層導体回路と電気的に接続されている請求項1に記載の多層プリント配線板。
- 前記粗化層には、イオン化傾向が銅よりも大きくかつチタン以下である金属を1種以上含む金属層もしくは貴金属層が、被覆形成されてなる請求項1に記載の多層プリント配線板。
- 前記バイアホールは、めっき膜で充填されてなる請求項4に記載の多層プリント配線板。
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