JP4132307B2 - ガススプリングの操作機構及びそれを用いた椅子 - Google Patents

ガススプリングの操作機構及びそれを用いた椅子 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガススプリングの長さを変更可能にしたり固定したりするガススプリングの操作機構及びそれを用いた椅子に関する。さらに詳述すると、本発明は椅子の脚部のガススプリングの操作機構として好適な操作アームの支持構造の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
椅子の座の昇降機構などにガススプリングを使用したものがある。この椅子では、例えば脚柱に内蔵されて脚の一部を成すガススプリングの先端に座受部材を取り付けてガススプリングの伸縮によって座受部材に支持される座並びに背凭れなどの高さを変更可能に設けられている。
【0003】
この昇降機構は、例えば図10に示すように、脚柱に内蔵されたガススプリング101の先端を座受部材100の筒状のガススプリング支持部102に圧入して固定し、ガススプリング支持部102から突出する調整ピン103を操作用アーム104で押圧することによってロック、アンロックの切り換えが操作可能とされている。ガススプリング101は調整ピン103の押し込みにより伸縮可能とされ、座受部材100並びにこれに支持される図示していない座や背凭れなどを任意の高さに昇降することができる。また、ガススプリング101は、調整ピン103への押圧解除により調整ピン103を突出させてガススプリングの長さを固定し、座受部材100並びにこれに支持される座や背凭れなどの高さをその位置に維持することができる。
【0004】
このようなガススプリング101の操作機構では、操作アーム104は図示していないが座受部材100側に設けられた双璧を成す支持部に挿入されて1本の回転軸を貫通させることによって揺動自在に支持されている。一方、ガススプリング101の上端部は、先細のテーパ形状とされており、座受部材100のガススプリング支持部102に圧入されることによって固定されている。ガススプリング支持部102の内周面はガススプリング支持部102の内周面はリーマ加工などによりガススプリング101のテーパ面と同じ勾配のテーパ面に形成されている。そして、ガススプリング101の上端面101aとガススプリング支持部102の上端面102aとがほぼ面一になるまで圧入されることによって、ガススプリング101と座受部材100とが組み立てられている。さらに、操作アーム104の調整ピン103を押圧する部分とガススプリング支持部102の上端面102aに当接する部分とを平面にしている。このため、操作アーム104を押し下げて調整ピン103を押し込んだときは、操作アーム104が脚101の上端面101aとガススプリング支持部102の上端面102aとに当接する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した椅子の昇降機構では、図11に示すようにガススプリング支持部102の内周面のリーマ加工による寸法誤差などで、ガススプリング101とガススプリング支持部102との位置関係がずれて、調整ピン103がガススプリング支持部102から出過ぎたりあるいは引っ込みすぎたりすることがある。この場合、調整ピン103が押しっぱなしとなったり、あるいはガススプリング支持部102内に没入しているために押すことができなくなったりする問題が生じる。
【0006】
このような事態を防止するために、ガススプリング支持部102のリーマ加工やガススプリング101のテーパ面寸法については高い精度が要求されることとなり、加工コストがかかり椅子の製造コストが高くなってしまう問題を有している。このことは、椅子の昇降機構に限られず、ガススプリングを利用する製品全段について言えることである。
【0007】
そこで、本発明は、ガススプリングと支持部材との固定部分の高い寸法精度を不要にするガススプリングの操作機構を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために請求項1記載の発明は、ガススプリングの先端に取り付けられる支持部材の双壁を成す軸受け部の間に操作アームを挿入して支持部材の軸受け部と操作アームとを貫通する回転軸周りに揺動自在に取付け、該操作アームでガススプリングの調整ピンを押圧してガススプリングを伸縮可能にするガススプリングの操作機構において、回転軸が貫通する軸受け部の貫通孔と操作アームの貫通孔とが同軸上に配置された状態で操作アームを軸受け部に引っ掛ける位置決めフィンを有するようにしている。
【0009】
したがって、組立の際に支持部材に操作アームを組み付けるとき、操作アームの位置決めフィンを支持部材の軸受け部に引っ掛けることにより、操作アームを手で持つことなく各貫通孔を同軸上に位置決めすることができる。そして、そのまま回転軸を各貫通孔に貫通させることができる。よって、組立性を向上することができる。
【0010】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載のガススプリングの操作機構において、操作アームの調整ピンを押圧する部分には押圧突起が設けてあるようにしている。
【0011】
したがって、操作アームがガススプリング側に移動することにより、押圧突起がガススプリングの調整ピンを押圧してガススプリングを伸縮可能にすることができる。このとき、ガススプリングの先端部と支持部材との寸法誤差により調整ピンが支持部材から十分に突出しなくても、押圧突起が調整ピンに向けて突出しているので調整ピンを押圧することができる。よって、ガススプリングの先端部と支持部材との寸法精度を特別に高くする必要が無くなるので、加工作業が容易に成ると共に部品コストを低減することができる。
【0012】
さらに、請求項3記載の発明は、請求項1または2記載のガススプリングの操作機構において、操作アームは、遠隔操作用のワイヤの係止球を開口から挿入して収容する球保持部と、球保持部の開口の周縁の一部から切り込んだ形状のワイヤ溝とを有すると共に、球保持部に収容した係止球よりも開口側の球保持部に抜け止め突起が形成されているようにしている。
【0013】
したがって、球保持部に係止球を保持させるときは、ワイヤをワイヤ溝に差し入れながら係止球を球保持部に挿入する。そして、係止球を押し込むことにより、係止球が球保持部を押し広げながら抜け止め突起を乗り越える。このため、球保持部の内部に収容した係止球は抜け止め突起により容易に抜け落ちることはないので、操作アームにワイヤを取り付けた状態で球保持部を指等で押さえなくても容易に移動等することができる。よって、組立性を向上することができる。
【0014】
また、請求項4記載の発明は、請求項1から3までのいずれか記載のガススプリングの操作機構において、操作アームを回転させる遠隔操作用のワイヤを摺動可能に収容するポリエチレン製の管を備えるようにしている。したがって、管を廃棄する際に溶解してオレフィン系の材料としてリサイクルすることができる。
【0015】
また、請求項5記載の椅子は、請求項1から4のいずれかに記載のガススプリングの操作機構を備えるようにしている。したがって、椅子の組立性を向上させることができると共に、部品コストを低減することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。図1〜図9に本発明のガススプリングの操作機構63を椅子1に適用した場合の一実施形態を示す。この操作機構63は、ガススプリングの先端に取り付けられる支持部材の双壁を成す軸受け部55の間に操作アーム50を挿入して軸受け部55と操作アーム50とを貫通する回転軸49周りに揺動自在に取付け、該操作アーム50でガススプリングの調整ピン47を押圧してガススプリングを伸縮可能にするものである。そして、この操作機構63は、回転軸49が貫通する軸受け部55の貫通孔55aと操作アーム50の貫通孔52aとが同軸上に配置された状態で操作アーム50を軸受け部55に引っ掛ける位置決めフィン56を有している。ここで、本実施形態では、ガススプリングは脚45の上部に内蔵されており、調整ピン47を脚45の上端から突出させている。また、支持部材は、脚45の上部に嵌合して座7を支持するための座受部材2とする。このため、椅子1の組立の際に座受部材2に操作アーム50とガススプリングとを組み付けるとき、図6に示すように操作アーム50の位置決めフィン56を座受部材2の軸受け部55に置くようにする。これにより、操作アーム50を手で持つことなく軸受け孔52a,55aを重ねた状態に位置決めすることができる。さらに、作業者はガススプリング31を持って位置決めしながら回転軸49を座受部材2と操作アーム50とガススプリング31に貫通させる。よって、ガススプリング31だけを持って位置決めしながら座受部材2と操作アーム50とガススプリング31との組付けを行うことができるので、組立の作業性を向上させることができる。
【0017】
また、この操作機構63では、操作アーム50の調整ピン47を押圧する部分に押圧突起57が形成されている。このため、操作アーム50を座受部材2に対して回転させることにより、ガススプリングの調整ピン47を押圧することができる。そして、この押圧によりガススプリングが伸縮可能となって座7を昇降することができる。また、調整ピン47への押圧を解除することにより調整ピン47が操作アーム50を押し返すように突出して、ガススプリングの長さを固定し座7の高さを固定することができる。
【0018】
ここで、図1に示すように脚45の上部とガススプリング支持部46との寸法誤差により調整ピン47がガススプリング支持部46の上部から十分に突出しなくても、押圧突起57がガススプリング支持部46に入り込んで調整ピン47を押圧することができる。よって、脚45の上部とガススプリング支持部46との寸法精度を特別に高くする必要が無くなるので、例えばガススプリング支持部46の内周面のリーマ加工に要される精度等を下げることができ加工作業が容易に成ると共に部品コストを低減することができる。なお、ガススプリング支持部46と脚45の上部との寸法誤差によりガススプリング支持部46の内径が脚45の上部の外径よりも大きくなり調整ピン47がガススプリング支持部46の上側に大幅に突出した場合は、ワイヤ51の張りを緩めることにより操作アーム50と調整ピン47との位置関係を適切に調整することができる。よって、この場合も操作アーム50の回転により押圧突起57が調整ピン47を押圧したり調整ピン47に押し返されたりする。
【0019】
また、操作アーム50は、ガススプリング支持部46の上側に回転軸49を中心として回転可能に設けられている。そして、操作アーム50には、その一部を引っ張って回転させるワイヤ51が設けられている。ワイヤ51には、例えば座7の裏に設けられたレバー(図示せず)が連結されている。よって、レバーを操作してワイヤ51を引き込むことにより操作アーム50を回転させて調整ピン47を押圧することができる。また、レバーを解放してワイヤ51を引いていないときは、調整ピン47が突出して操作アーム50を押し上げる。
【0020】
ここで、ワイヤ51の一部には、該ワイヤ51を摺動可能に収容するポリエチレン(PE)製の管(図示せず)が設けられている。ここで、管がPE製であるので、管を廃棄する際に溶解してオレフィン系の材料としてリサイクルすることができる。
【0021】
操作アーム50は、押圧突起57の他に、回転軸49に支持される軸受け部52と、ワイヤ51の係止球53を保持してワイヤ51に連結する連結部54とを有している。軸受け部52は二股に分かれており、座受部材2の後端部の左右に形成された軸受け部55の内側に位置すると共に、ロック機構30のガススプリング31の下部を内側に位置させている。操作アーム50の回転軸49はロック機構30のガススプリング31の下部を支持する回転軸と同一部材としているので、部品点数の増大を防止できる。
【0022】
さらに、連結部54は、図7及び図8に示すように係止球53を側方の開口から収容する筒状の球保持部58と、球保持部58の開口の周縁の一部から切り込んだ形状のワイヤ溝59と、球保持部58に収容した係止球53よりも開口側の内周面に形成された抜け止め突起60とを備えている。ワイヤ溝59は、開口の周縁から切り込まれて球保持部58の中央部で折れ曲がって周方向に沿った形状としている。このため、ワイヤ51をワイヤ溝59の最も奥部に位置させることにより、係止球53の脱落を防止することができる。
【0023】
また、抜け止め突起60は、周方向に沿って等間隔の3カ所に形成されている。連結部54にワイヤ51を連結するときは、ワイヤ51をワイヤ溝59に合わせて係止球53を球保持部58に挿入する。そして、係止球53を押し込むことにより、係止球53が球保持部58を押し広げながら抜け止め突起60を乗り越える。このため、球保持部58の中央部に収容した係止球53は容易に抜け落ちることはないので、操作アーム50にワイヤ51を取り付けた状態で球保持部58を指等で押さえなくても容易に移動等でき組立性を向上することができる。
【0024】
一方、この椅子1は、図2及び図3に示すように座受部材2に対して1箇所の回動軸3を中心に揺動部材4を揺動可能に支持すると共に、揺動部材4を反力付与機構5により初期位置に向けて付勢するロッキング装置6を有している。さらに、座受部材2及び揺動部材4に座7が支持されていると共に、揺動部材4には背凭れ(図示せず)を支持する背支桿8が取り付けられている。そして、反力付与機構5は、揺動部材4の前端部を後方に付勢することにより、背凭れ及び座7の傾動に対して反力を与えて初期位置に戻すように付勢している。よって、着座者は座7に体重を掛けて背凭れに凭れることにより、反力付与機構5の反力に抗して揺動部材4を傾動させてロッキング動作を行うことができる。
【0025】
そして、反力付与機構5は非線形ばね9を反力源としている。この非線形ばね9としては、不等ピッチのコイルばねを使用している。ここで、不等ピッチのコイルばねとは、コイル径とコイルの線径及び材質を均一としながらコイルピッチのみを異ならせたものを意味する。このため、非線形ばね9のばね定数は、荷重の小さいときに小さく荷重の大きいときに大きく成る。このようなばね定数を有する非線形ばね9を使用することにより、体重の軽い者にとっては揺動部材4を容易にロッキングできる傾斜角度が広がると共に、体重の重い者にとっては揺動部材4が揺動限界に達するまでの弾性的にロッキングできる荷重の範囲が広がる。よって、着座者の体重に応じて常に適切な反力を与えることができるようになるので、椅子1の座り心地を向上することができる。
【0026】
また、反力付与機構5は、摺動軸10により案内されて間隔を変更可能な前ばねマウント11及び後ばねマウント12と、各ばねマウント11,12の間に介在する非線形ばね9と、非線形ばね9の初期長さを調整する初圧操作機構13とを備えている。前ばねマウント11と後ばねマウント12とは、非線形ばね9が圧縮されるときに座屈しないように保持する。そして、揺動部材4が傾斜して反力付与機構5に外力を与えることにより、非線形ばね9が圧縮される。
【0027】
後ばねマウント12は、後端側に係合フック14を有している。そして、揺動部材4の前端部に取り付けられた連結軸15が後ばねマウント12の係合フック14に入り込むことにより、揺動部材4と後ばねマウント12とが回転可能に連結されている。
【0028】
また、前ばねマウント11は、座受部材2のマウント受けリブ16の中央部に形成された支持孔17に前後動可能に嵌入されている。この前ばねマウント11の支持孔17に嵌入した部分の前端部には、上側を前側に突出させるように傾斜した摺動面18が形成されて初圧操作機構13に当接している。
【0029】
初圧操作機構13は、前ばねマウント11に当接して摺動させる当接部材19と、座受部材2に一体形成されると共に当接部材19が前方に移動することを防止する裏当リブ20と、当接部材19を座受部材2に対して昇降させる昇降ねじ21と、昇降ねじ21を回転操作するためのグリップ(図示せず)とを備えている。当接部材19には、下側を後側に突出させるように傾斜した摺動面22が形成されて前ばねマウント11の摺動面18に当接している。昇降ねじ21は、座受部材2に形成された取付孔23に抜け落ちることなく回転可能に取り付けられると共に当接部材19に螺合している。よって、昇降ねじ21を回転させることにより当接部材19が昇降する。そして、当接部材19が昇降することにより、前ばねマウント11と摺動面18,22同士が押し合って前ばねマウント11を非線形ばね9の付勢力を受けながら前後動させる。これにより、非線形ばね9の初期長さを変更して反力付与機構5の初圧を調整することができる。
【0030】
例えば、非線形ばね9の初期長さを最も長く設定しておけば、荷重を掛け始めたときにはばね定数が小さく、荷重を大きくするに従ってばね定数が大きくなるので、着座者の体重によらず快適なロッキング動作を行うことができる。また、非線形ばね9の初期長さを短く設定しておけば、ピッチの短い部分が潰れているので、荷重を掛け始めたときから非線形ばね9はばね定数の大きい線形ばねのように機能する。このため、背凭れ等を初期位置から傾動させる際に最初から強い反力を得ることができるので、特に体重の重い着座者にとって座り心地を向上することができる。このように、背凭れ等を傾動させるために必要な荷重の大きさを着座者の好みに応じた強さに設定できるので、座り心地を向上させることができる。さらに、初圧操作機構13により非線形ばね9を押し縮めるときは、非線形ばね9は十分に長くてばね定数が小さいので、グリップの回転操作を容易に行うことができる。
【0031】
ところで、反力付与機構5の前ばねマウント11が連結する部材、即ち座受部材2には、図4に示すように反力付与機構5の後ばねマウント12を係合させて仮置き可能な仮置き部24が形成されている。この仮置き部24は、座受部材2の後ばねマウント12の下方に位置する部位に形成されており、後ばねマウント12の係合フック14の下部や非線形ばね9の付勢力を受けるフランジ状のばね受け部25の下部に合致する形状を有している。このため、椅子1を組み立てる際に、前ばねマウント11及び後ばねマウント12に非線形ばね9を挟んで組み合わせてから前ばねマウント11をマウント受けリブ16の支持孔17に嵌入して、非線形ばね9を押し縮めて後ばねマウント12を仮置き部24に填め合わせて非線形ばね9の付勢力により係合した状態を維持するように仮置きすることができる。この仮置きした状態では、大きな衝撃を与えない限り後ばねマウント12は仮置き部24から外れないので、作業者が後ばねマウント12や非線形ばね9を持って押さえておくことなく座受部材2をそのまま移動させたり、後ばねマウント12に揺動部材4を組み付けたりすることができる。よって、組立性を向上することができる。
【0032】
また、仮置き部24の前側には、非線形ばね9と座受部材2との干渉を防止するための凹部26が形成されている。このため、後ばねマウント12を仮置き部24に仮置きしたときに、圧縮されて下方に撓んだ非線形ばね9が座受部材2に当接することを防止できるので、仮置きが容易に外れてしまうことを防止できる。
【0033】
一方、この椅子1の揺動部材4は、座受部材2のほぼ中央部に回動軸3により揺動可能に支持されている。この回動軸3は軸部材であり、その先端面には円錐状の凹みから成る受け部27が形成されている。このため、座受部材2に揺動部材4を組み付けるときには、図5に示すような先端に突出部28を有すると共に回動軸3と同じ径のガイド治具29を座受部材2及び揺動部材4に貫通しておき、この貫通したガイド治具29の突出部28に回動軸3の受け部27を嵌合して(図5中、二点鎖線で示す)、これらガイド治具29と回動軸3とを軸方向に同時に滑らせる。これにより、回動軸3を座受部材2と揺動部材4とに嵌入して、座受部材2と揺動部材4とを回転可能に組み付けるようにできる。ここで、ガイド治具29の先端に突出部28を形成できるので、ガイド治具29を座受部材2及び揺動部材4へ挿入する際に突出部28が案内をして容易に嵌入することができるように成る。よって、組立性を向上することができる。
【0034】
また、座受部材2と揺動部材4とには、これらの間に介在されて揺動部材4の傾動をロック可能なロック機構30が設けられている。ロック機構30は、両端部がそれぞれ座受部材2と揺動部材4とに回転可能に取り付けられたガススプリング31と、このガススプリング31の操作機構33とを備えている。操作機構33は、ガススプリング31の調整ピン32を押圧する操作アーム34と、操作アーム34を回転可能に支持すると共にガススプリング31に固定された支持フレーム35と、操作アーム34を回転させるために一端が操作機構33に接続されたワイヤ36及び該ワイヤ36を摺動可能に収容する管37とを有している。ここで、管37はPE製としている。このため、管37を廃棄する際に、溶解してオレフィン系の材料としてリサイクルすることができる。
【0035】
そして、ワイヤ36を操作アーム34に連結すると共に、管37を支持フレーム35に取り付ける。そして、ワイヤ36の他端を引っ張って操作アーム34を回転させて調整ピン32を押し込むことにより、ガススプリング31が伸縮可能となり揺動部材4がロッキング可能と成る。また、ワイヤ36を緩めて調整ピン32が飛び出すことによりガススプリング31の長さが固定されると、座受部材2と揺動部材4とガススプリング31とが三角形のフレームを形成するので、揺動部材4がロックされてロッキングできなくなる。
【0036】
支持フレーム35は、支持軸38を中心に揺動部材4に対して回転可能に支持されている。また、操作アーム34は、支持フレーム35に回転可能に支持されると共に外側に偏心している軸部39と、ワイヤ36の先端の係止球を引っ掛けるための球保持部40とを有している。この操作アーム34は、球保持部40を力点とすると共に軸部39を支点として、これら球保持部40と軸部39との間で調整ピン32を押圧するようにしている。すなわち、この操作機構33では、基端部65は軸部39に対して操作アーム34の先端部側に偏心して形成されると共に、支持フレーム35は、軸部39よりも僅かに広い幅を有して支持フレーム35の外縁から調整ピン32の突出方向に切り込んだ形状の案内部67と、案内部67の最奥部に形成されて調整ピン32の突出方向への軸部の付勢を受ける支持部66と、案内部67の側壁のうちのガススプリング31側に位置する方に該側壁の近傍に位置する規制部70とを備えるようにしている。規制部70は、コ字形状に折り曲げた形状の支持フレーム35の中央部分の端部から成るようにしている。このため、操作機構33の組立時には、図9に示すように操作アーム34の先端部をガススプリング31と反対側に位置させて操作アーム34の軸部39を支持フレーム35の案内部67に差し入れて支持部66まで案内する。このとき、軸部39は基端部65に対して偏芯しているので、基端部65が規制部70に引っ掛からずに支持部66まで入り込むことができる。さらに、操作アーム34を軸部39を中心に回転させ、ガススプリング31の調整ピン32を挟んで操作アーム34の先端部にケーブル36を取り付けることによって、操作アーム34を支持フレーム35に取り付けることができる。
【0037】
支持フレーム35は、ガススプリング31の先端部にねじ止めされている。そして、案内部67は、支持部66からガススプリング31の調整ピン32の押し込み方向に向けて形成されている。このため、操作アーム34は支持部66と調整ピン32とで反対方向に支持されるので、操作アーム34が軸部39を中心に回転して調整ピン32を押し込むときに調整ピン32から反力を受けても支持部66により支持することができる。
【0038】
また、軸部39は基端部65に対して操作アーム34の重心Gから離れる方向に偏心しているので、操作アーム34の支点と重心との距離が長くなることにより操作アーム34が安定して揺動し難くなる。しかも、操作アーム34の軸部39に対して基端部65が偏芯しているので、操作アーム34の先端部をガススプリング31と反対側に位置させたとき以外には基端部65と規制部70とが当接して操作アーム34が支持フレーム35から外れることを防いでいる。よって、操作機構33を他の装置等に組み付ける際に、支持フレーム35からの脱落を防止することができるので、組立性を向上することができる。
【0039】
また、座受部材2の上側には座7が取り付けられている。座7は、心材となる座板とその上に載置されるクッション並びに該クッションを覆う上張地とから一般に構成されている。この座7は、座受部材2の前部に形成された座支持孔41に前座支持軸42によって前部を前後動可能かつ揺動可能に支持されると共に、揺動部材4に後座支持軸43によって後部を揺動可能に支持されている。このため、揺動部材4の揺動に伴って座7の後部が昇降すると共に、座7の前部が前後に微動しながら揺動する。これにより、背凭れ及び座7が連動してロッキング動作を行うことができる。
【0040】
さらに、揺動部材4には、揺動できる角度を規制するストッパ44が形成されている。このストッパ44は揺動部材4の傾動に伴い座受部材2の上面に当接することにより、揺動部材4がそれ以上傾動できないように規制すると共にそのときに背凭れ及び座7に作用する荷重を支持する。
【0041】
一方、座受部材2の底部は、内部機構を覆い隠して保護を図ると共に見栄えを向上するカバー部61とされている。そして、揺動部材4と座受部材2とを連結する回動軸3や揺動部材4と後ばねマウント12を連結する連結軸15の下方のカバー部61には、透孔から成るメンテナンス孔62が形成されている。このため、椅子1を長期間使用してカバー部61の内側の機構で油切れが生じたときに、外部からメンテナンス孔62に注油装置のノズルを差し入れて内部の可動部分に直接油を噴射することができる。これにより、椅子1を分解することなく注油を行うことができるので、摩擦音の発生防止や摩耗防止のためのメンテナンス性を向上することができる。
【0042】
上述した椅子1に搭載したガススプリングの操作機構63の動作を以下に説明する。
【0043】
着座者が座7の高さを調整するときは、座7の裏に取り付けられたレバーを操作してワイヤ51を引く。これにより、操作アーム50が回転して、ガススプリングの調整ピン47を押圧することができる。このとき、脚45の上部とガススプリング支持部46との寸法誤差により調整ピン47がガススプリング支持部46の上部から十分に突出しなくても、押圧突起57がガススプリング支持部46に入り込んで調整ピン47を押圧することができる。このため、ガススプリングが伸縮可能となり、座7を昇降することができる。
【0044】
また、着座者が座7の高さを固定するときは、座7の裏に取り付けられたレバーを操作してワイヤ51の引っ張りを解除する。これにより、調整ピン47が操作アーム50を押し返して突出するので、ガススプリングの長さが固定されて座7の高さを固定することができる。
【0045】
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、上述した実施形態の椅子1では、反力付与機構5と、反力付与機構5の仮置き部24と、回動軸3の受け部27と、抜け止め突起60と、メンテナンス孔62とを設けているが、これらは無くても良い。
【0046】
また、上述した実施形態では、本発明を椅子1に適用した場合について説明しているが、これには限られず椅子1以外の例えばテーブル等に適用しても良い。この場合もガススプリングの先端部と支持部材との寸法精度を特別に高くする必要が無くなるので、加工作業が容易に成ると共に部品コストを低減することができる。
【0047】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、請求項1記載のガススプリングの操作機構によれば、操作アームの位置決めフィンを支持部材の軸受け部に引っ掛けることにより、操作アームを手で持つことなく各貫通孔を同軸上に位置決めすることができるので、そのまま回転軸を各貫通孔に貫通させることができる。よって、組立性を向上することができる。
【0048】
また、請求項2記載のガススプリングの操作機構によれば、ガススプリングの先端部と支持部材との寸法誤差により調整ピンが支持部材から十分に突出しなくても、押圧突起が調整ピンに向けて突出しているので調整ピンを押圧することができる。よって、ガススプリングの先端部と支持部材との寸法精度を特別に高くする必要が無くなるので、加工作業が容易に成ると共に部品コストを低減することができる。
【0049】
さらに、請求項3記載のガススプリングの操作機構によれば、球保持部の内部に収容した係止球は抜け止め突起により容易に抜け落ちることはないので、アームにワイヤを取り付けた状態で球保持部を指等で押さえなくても容易に移動等することができる。よって、組立性を向上することができる。
【0050】
また、請求項4記載のガススプリングの操作機構によれば、管を廃棄する際に溶解してオレフィン系の材料としてリサイクルすることができる。
【0051】
また、請求項5記載の椅子によれば、椅子の組立性を向上させることができると共に、部品コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガススプリングの操作機構を示す中央縦断面側面図である。
【図2】ガススプリングの操作機構を搭載する椅子を示す中央縦断面側面図である。
【図3】椅子を示す平面図である。
【図4】仮置き部を示す中央縦断面側面図である。
【図5】回動軸とガイド治具とを示す平面図である。
【図6】操作アームの軸受け部と位置決めフィンを示す斜視図である。
【図7】操作アームの連結部と抜け止め突起を示す側面図である。
【図8】操作アームの抜け止め突起とワイヤの係止球を示す断面図である。
【図9】ガススプリングの操作機構を示す縦断面側面図である。
【図10】従来の椅子の昇降機構を示す側面図であり、脚の嵌入長さが適正である状態を示す。
【図11】従来の椅子の昇降機構を示す側面図であり、脚の嵌入長さが不十分である状態を示す。
【符号の説明】
1 椅子
2 座受部材(支持部材)
45 脚(ガススプリング)
46 ガススプリング支持部(支持部)
47 ガススプリングの調整ピン
50 操作アーム(操作アーム)
57 押圧突起
63 ガススプリングの操作機構

Claims (5)

  1. ガススプリングの先端に取り付けられる支持部材の双壁を成す軸受け部の間に操作アームを挿入して前記支持部材の前記軸受け部と前記操作アームとを貫通する回転軸周りに揺動自在に取付け、該操作アームで前記ガススプリングの調整ピンを押圧して前記ガススプリングを伸縮可能にするガススプリングの操作機構において、前記回転軸が貫通する前記軸受け部の貫通孔と前記操作アームの貫通孔とが同軸上に配置された状態で前記操作アームを前記軸受け部に引っ掛ける位置決めフィンを有することを特徴とするガススプリングの操作機構。
  2. 前記操作アームの前記調整ピンを押圧する部分には押圧突起が設けてあることを特徴とする請求項1記載のガススプリングの操作機構。
  3. 前記操作アームは、遠隔操作用のワイヤの係止球を開口から挿入して収容する球保持部と、球保持部の前記開口の周縁の一部から切り込んだ形状のワイヤ溝とを有すると共に、前記球保持部に収容した前記係止球よりも前記開口側の前記球保持部に抜け止め突起が形成されていることを特徴とする請求項1または2記載のガススプリングの操作機構。
  4. 前記操作アームを回転させる遠隔操作用のワイヤを摺動可能に収容するポリエチレン製の管を備えることを特徴とする請求項1から3までのいずれか記載のガススプリングの操作機構。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載のガススプリングの操作機構を備えたことを特徴とする椅子。
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