JP4132019B2 - 光電変換装置の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は太陽光発電などに使用される光電変換装置の製造方法に関し、特に粒状結晶半導体を用いた光電変換装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の粒状結晶半導体を用いた光電変換装置を図3〜図5に示す。例えば図3に示すように、第1のアルミニウム箔10に開口を形成し、その開口にp形の上にn形表皮部9を持つシリコン球2を挿着し、このシリコン球2の裏側のn形表皮部9を除去し、第1のアルミニウム箔10の裏面側に酸化物絶縁層3を形成し、シリコン球2の裏側の酸化物絶縁層3を除去し、シリコン球1と第2のアルミニウム箔8とを接合する光電変換装置が開示されている(例えば特開昭61−124179号公報参照)。
【0003】
また、図4に示すように、基板1上に低融点金属層11を形成し、この低融点金属層11上に第1導電形の粒状結晶半導体2を配設し、この粒状結晶半導体2上に第2導電形のアモルファス半導体層7を上記低融点金属層11との間に絶縁層3を介して形成する光電変換装置が開示されている(例えば特許第2641800号公報参照)。
【0004】
また、図5に示すように、基板1上に高融点金属層12と低融点金属層11と半導体微小結晶粒とを堆積し、半導体の微小結晶粒を融解させて飽和させた上で徐々に冷却して半導体を液相エピタキシャル成長させることによって多結晶薄膜13を形成する方法が開示されている(例えば特公平8−34177号公報参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図3に示すような光電変換装置では、第1のアルミニウム箔10に開口を形成し、その開口にシリコン球2を押し込んでシリコン球を第1のアルミニウム箔10に接合させる必要があるため、シリコン球2の球径に均一性が要求され、高コストになるという問題点があった。また、接合させるときの処理温度がアルミニウムとシリコンとの共晶温度である577℃以下であるため、接合が不安定になるという問題があった。
【0006】
また、図4に示すような光電変換装置によれば、第1導電形の粒状結晶半導体2上に第2導電形のアモルファス半導体層7を設けるため、安定なpn接合を形成するにはアモルファス半導体層7を形成する前に粒状結晶半導体2の表面を十分にエッチングおよび洗浄する必要があった。また、アモルファス半導体層7の光吸収が大きいことに起因して膜厚を薄くしなければならず、アモルファス半導体層7の膜厚が薄い場合、欠陥に対する許容度も小さくなり、洗浄工程や製造環境の管理を厳しくする必要があり、その結果、高コストになるという問題があった。
【0007】
また、図5に示すような光電変換装置によれば、低融点金属層11が第1導電形の液相エピタキシャル多結晶層13中に混入するために性能が落ち、絶縁体がないために下部電極12との間にリークが発生するという問題があった。
【0008】
また、絶縁体として従来のガラス組成物を用いた場合、粒状結晶半導体との反応によって発泡現象や信頼性試験によってマイクロクラックが発生することが判明した。
【0009】
本発明は上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、低コストで高性能な信頼性の高い光電変換装置の製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に係る光電変換装置の製造方法は、一方の電極層を有する基板上に、内部に一導電形を呈し、外郭に逆導電形を呈し、シリコンから成る粒状結晶半導体を多数配設して基板に接合する工程と、この粒状結晶半導体間に、1μm以下の粒子が全粒径分布の5%以上で5μm以上の粒子が全粒径分布の20%以上であるガラス組成物粉末のペーストを充填する工程と、前記ペーストから40〜400℃における熱膨張係数が40〜80×10 −7 /℃のガラス組成物である絶縁体を作製する工程と、前記外郭に他方の電極を接続して設ける工程と、を含む。
【0011】
また、前記絶縁体のガラス転移点が515℃以下であることを特徴とする。
【0012】
また、前記基板の一方の電極層がアルミニウムから成ることを特徴とする。
【0013】
また、前記粒状結晶半導体の平均粒径が0.2〜0.6mmであることを特徴とする。
【0014】
本発明の光電変換装置によれば、基板上に粒状結晶半導体を多数配置して加熱して両者の溶融した合金部によって接合し、この多数の粒状結晶半導体の間に絶縁体を充填した構造において、絶縁体が露出している基板の全面を欠陥なく覆い、なお且つ絶縁体に1μm以下の粒径と5μm以上の粒径を含む低温焼成用ガラス組成物粉末のペーストから作製して成るガラス組成物を用いることで、絶縁体及び粒状結晶半導体におけるクラック発生を防止することにより、従来の特開昭61−124179号公報、特許第2641800号公報、特公平8−34177号公報で開示されている光電変換装置と比較して製造マージンが大きく、低コストの製造が可能となる。つまり、粒状結晶半導体をより低い粒径精度で製造すればよく、絶縁体によって正電極と負電極の分離を確実に行うことができ、その結果低コストの製造が可能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明を詳細に説明する。
図1は、請求項1に係る光電変換装置の一実施形態を示す図である。図1において、1は基板、2は粒状結晶半導体、3はガラス材料から成る絶縁体、4は半導体層、5は保護層、15は基板1と粒状結晶半導体の合金層である。
【0016】
基板1はアルミニウムの融点以上の融点を有する金属やセラミックを下地基板とし、例えば鉄、ステンレス、インバー、コバール等の鉄合金、ニッケル、アルミナ等のセラミックが用いられる。そして、下地基板上にアルミニウムから成る電極層1’を形成した構成とし、アルミニウムから成る層1’には更に第2の添加元素としてシリコン、マグネシウム、マンガン、クロム、チタン、ニッケル、亜鉛、銀、銅から選ばれた1種もしくは複数種の元素を添加してもよく、結晶半導体粒子2の接合時の溶融過多の防止を維持することができる。アルミニウムから成る層1’の膜厚は20μm以上とする。20μm未満では結晶半導体粒子2との接合を行う際に膜厚が不足して十分な接合ができなくなる。
【0017】
基板1上には、第一導電型の結晶半導体粒子2を多数配設する。この結晶半導体粒子2は、Siにp形を呈するB、Al、Ga等、又はn形を呈するP、As等が微量元素含まれているものである。結晶半導体粒子2の形状としては多角形を持つもの、曲面を持つもの等があり、粒径分布としては均一、不均一を問わないが、均一の場合は粒径を揃えるための工程が必要になるため、より安価にするためには不均一の方が有利である。更に凸曲面を持つことによって光の光線角度の依存性も小さい。
【0018】
結晶半導体粒子2の粒径としては、0.2〜0.8mmがよく、0.8mmを越えると切削部も含めた従来の結晶板型の光電変換装置のシリコン使用量と変わらなくなり、結晶半導体粒子を用いるメリットがなくなる。また、0.2mmよりも小さいと基板1へのアッセンブルがしにくくなるという別の問題が発生する。より好適にはシリコン使用量の関係から0.2〜0.6mmがよい。
【0019】
結晶半導体粒子2を基板1上に多数配設する方法としては、結晶半導体粒子2を基板1の表面に接着して固定する働きを持つ接合助層を形成した後、その上から結晶半導体粒子2を散布し、余分な結晶半導体粒子2を落とすことによって、結晶半導体粒子2を粒径の大小によらずに安定して密に配置し、その後、一定の荷重を結晶半導体粒子2上に掛けて、基板1のアルミニウムと結晶半導体粒子2のシリコンとの共晶温度577℃以上に加熱することによって、接合助層を焼飛しながら基板と結晶半導体粒子の合金層15を介して基板1と結晶半導体粒子2を接合させる。このとき、基板1又は電極層1’のアルミニウムは全て合金層15となる。
【0020】
なお、合金層15に接触している第1導電形の領域では、基板1の材料であるアルミニウムが拡散してp+層を形成している。しかしながら、単に導電性拡散領域を形成するのであれば、AlとSiとの共晶温度である577℃以下でもできるが、基板1と粒状結晶半導体2の接合が弱いために基板1から粒状結晶半導体2が離脱し、太陽電池としての構造を維持できなくなる。
【0021】
前述の接合助層の材質としては300℃以上で、基板1と結晶半導体粒子2との接合温度以下で焼飛するものであればよく、酸化雰囲気で処理する場合には、例えばブチラール樹脂、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレングリコール(PEG)等の樹脂を溶媒で溶解させた有機系の樹脂が上げられ、形成方法は、スクリーン印刷法、ドクターブレード法、スプレー法、ディッピング法等で基板1の表面上に10〜100μmの厚みに塗布形成する。
【0022】
絶縁体3は、正極と負極の分離を行うための絶縁材料からなり、SiO2、B2O3、ZnO、Al2O3を主な成分とし、Li2O、Na2O、K2Oの1種以上のアルカリ金属酸化物等を添加した低温焼成用ガラス組成物を用いて形成する。またシリコンとガラスとの反応を抑制するためにSnO2またはSnOを含有してもよい。上記材料の粉末を溶媒或いはバインダーを用いてペーストとし、基板1に配設された粒状結晶半導体2の上から塗布後、アルミニウムとシリコンの共晶温度である577℃以下の温度で加熱することによってガラス材料を溶融して絶縁体3を形成する。
【0023】
加熱温度が577℃を越えると、アルミニウムとシリコンの合金層15が溶融し始めるために、基板1と粒状結晶半導体2との接合が不安定となり、場合によっては粒状結晶半導体2が基板1から離脱してしまい、発電電流を取り出せなくなる。
【0024】
また、熱膨張係数が40〜400℃の温度範囲で40〜80×10-7/℃の材料を用いる。熱膨張係数が40×10-7/℃以下だとアルミニウムを用いた基板(Alの熱膨張係数:240×10-7/℃)との熱膨張係数差が大きくなるために、絶縁体3を形成した後に絶縁体表面にクラックが発生し、80×10-7/℃を越えると、粒状結晶半導体2(例えばSiの熱膨張係数:26×10-7/℃)との熱膨張係数差が大きくなるために、粒状結晶半導体2及びその周辺の絶縁体3にクラックが発生する。熱膨張係数のさらに望ましい範囲は、40〜400℃の温度範囲において、特に75×10-7/℃以下、最適には70×10-7/℃以下である。更に、ガラス転移点が515℃よりも高い場合には、基板1と粒状結晶半導体2の接合温度である577℃近辺の温度において材料が溶けずに粒状結晶半導体間を埋めることができなくなり、絶縁体としての機能が果たせなくなる。ガラス転移点は515℃以下、特に望ましい範囲は510℃以下である。
【0025】
また、本発明における前記絶縁体3は、1μm以下の粒径と5μm以上の粒径を含む低温焼成用ガラス組成物粉末のペーストから作製して成るガラス組成物である。前記ペーストを基板1に配設された粒状結晶半導体2の上から塗布後静置し、大きな粒径成分を下方に小さな粒径成分を上方に分離させた後、アルミニウムとシリコンの共晶温度である577℃以下の温度で加熱することによってガラス材料を溶融し絶縁体3を形成する。温度上昇の過程で最初に、乾燥したガラスペーストのうち小さな粒径成分の多い表面が溶解しはじめ、粒状結晶半導体2の側面とガラスがよく濡れた状態の粘稠なガラス膜が表面に形成される。さらなる温度上昇でガラス全体が溶融収縮し、最終的にクラック等の欠陥のない絶縁体3が形成される。
【0026】
この欠陥のない絶縁体を得るためには、前記低温焼成用ガラス組成物粉末材料の粒径分布において、1μm以下の粒子が全粒径分布の5%以上、好適には7%以上であり、5μm以上の粒子が全粒径分布の20%以上、好適には30%以上であることが必要である。1μm以下の粒子が全粒径分布の5%より少ないと、ガラス溶融の初期段階で、粒状結晶半導体2の側面とよく濡れた状態の粘稠な膜が表面に形成され難く、さらなる温度上昇でガラス全体が溶融収縮した時、最終的に粒状結晶半導体2とガラスとが剥がれたり、ガラス表面にクラック等の欠陥が発生する。また5μm以上の粒子が全粒径分布の20%より少ないと、このガラスペーストを基板1に配設された粒状結晶半導体2の上から塗布後静置した時、大きな粒径成分と小さな粒径成分が十分に分離されないため、ガラス溶融の初期段階で、ガラス表面だけでなく内部でも溶融化が始まり、粒状結晶半導体2の側面とよく濡れた状態の粘稠な膜が形成される前にガラス全体が溶融収縮し、最終的に粒状結晶半導体2とガラスとが剥がれたり、ガラス表面にクラック等の欠陥が発生するためである。
【0027】
絶縁体3を形成した後、粒状結晶半導体2の表面を洗浄するために、弗酸を含む洗浄液で洗浄するが、絶縁体3中にPb成分が含有していると、この洗浄のときにPb成分が還元されて金属Pbが絶縁体3の表面に析出して、リークの原因となることから、絶縁体3は酸化鉛を含まないガラス材料を用いることがよい。
【0028】
絶縁体3の材料は上記条件を満たすものであればよい。なお、絶縁体3の形成はここでは基板1上に少なくとも粒状結晶半導体2を接合した後に形成する方法で説明したが、基板1上に少なくとも粒状結晶半導体2を多数配置して基板と接合するときに同時に形成してもよい。
【0029】
半導体層4は例えばSiから成り、気相成長法等で例えばシラン化合物の気相にn形を呈するリン系化合物の気相、又はp形を呈するホウ素系化合物の気相を微量導入して形成する。膜質としては結晶質、非晶質、結晶質と非晶質とが混在するのどちらでもよいが、光線透過率を考慮すると結晶質又は結晶質と非晶質とが混在するものがよく、光線透過率については、粒状結晶半導体2がない部分で入射光の一部が半導体層4を透過し、下部の基板1で反射して粒状結晶半導体2に照射されることで、光電変換装置全体に照射される光エネルギーを効率よく粒状結晶半導体2に照射することが可能となる。
【0030】
導電性については、層中の微量元素の濃度は高くてもよく、例えば1×1016〜1021atm/cm3台程度である。
【0031】
更に、半導体層4は粒状結晶半導体2の表面に沿って形成し、粒状結晶半導体2の凸曲面形状に沿って形成することが望ましい。粒状結晶半導体2の凸曲面状の表面に沿って形成することによってpn接合の面積を広く稼ぐことができ、粒状結晶半導体2の内部で生成したキャリアを効率よく収集することが可能となる。なお、その外郭にn形を呈するP、As等、又はp形を呈するB、Al、Ga等が微量含まれている粒状結晶半導体2を用いる場合には、半導体層4はなくてもよく、その上に導電層(不図示)を形成してもよい。
【0032】
半導体層4上には導電層(他方の電極層)を形成してもよい。導電層はスパッタリング法や気相成長法等の成膜方法あるいは塗布焼成等によって形成し、SnO2、In2O3、ITO、ZnO、TiO2等から選ばれる1種又は複数の酸化物系膜、又はTi、Pt、Au等から選ばれる1種又は複数の金属系膜を形成する。なお、このような導電層は透明であることが必要であり、粒状結晶半導体2がない部分で入射光の一部が導電層を透過し、下部の基板1で反射して粒状結晶半導体2に照射されることで、光電変換装置全体に照射される光エネルギーを効率よく粒状結晶半導体2に照射することが可能となる。透明導電層は膜厚を選べば反射防止膜としての効果も期待できる。更に、導電層は半導体層4あるいは粒状結晶半導体2の表面に沿って形成し、粒状結晶半導体2の凸曲面形状に沿って形成することが望ましい。粒状結晶半導体2の凸曲面状の表面に沿って形成することによってpn接合の面積を広く稼ぐことができ、粒状結晶半導体2の内部で生成したキャリアを効率よく収集することが可能となる。
【0033】
半導体層4あるいは導電層上に保護層5を形成してもよい。このような保護層5としては透明誘電体の特性を持つものがよく、CVD法やPVD法等で例えば酸化珪素、酸化セシウム、酸化アルミニウム、窒化珪素、酸化チタン、SiO2−TiO2、酸化タンタル、酸化イットリウム等を単一組成又は複数組成で単層又は組み合わせて半導体層4又は導電層上に形成する。保護層5は、光の入射面に接しているために、透明性が必要であり、また半導体層4又は導電層と外部との間のリークを防止するために、誘電体であることが必要である。なお、保護層5の膜厚を最適化すれば反射防止膜としての機能も期待できる。
【0034】
また、直列抵抗値を低くするために、半導体層4又は導電層の上に一定間隔のフィンガーやバスバーといったパターン電極を設けて直接的又は間接的に半導体層4と接続し、変換効率を向上させることも可能である。
【0035】
【実施例】
次に、本発明の光電変換装置の実施例を説明する。
〔例1〕
実施例として以下のようにして作製した試料を用いた。
アルミニウム合金をステンレス基材上に50μmの厚みで冷間圧着で形成した基板を用い、接合助層としてブチラール樹脂を有機溶媒で溶解させ、スクリーン印刷又はドクターブレードで塗布して形成した。その上に直径約0.2〜0.6mmのp形シリコン粒子を数回散布して接合助層にp形シリコン粒子を十分に接着させ、その後基板を傾けて余分なp形シリコン粒子を取り除いた。その後、p形シリコン粒子が動かないように一定の荷重をかけて押し付けた状態で、大気中でアルミニウムとシリコンの共晶温度である577℃以上の温度で5〜30分加熱してシリコン粒子をアルミニウム合金に接合させた。その上に絶縁体3を形成するためのB2O3、ZnO、SiO2、Al2O3、Li2O、SnO、SnO2を成分とする表1に示す低温焼成用ガラス組成物粉末(1μm以下の粒子が全粒径分布の5%以上であり5μm以上の粒子が全粒径分布の20%以上)をペースト化したものを焼成した後のガラス厚みがシリコン粒子2の粒径の半分近くになるように塗布して形成し、1時間静置した後大気中でアルミニウムとシリコンの共晶温度である577℃以下の温度で5〜30分加熱して絶縁体3を形成した。なお、比較例8、9には1μm以下の粒子が全粒径分布の5%未満のもの、および5μm以上の粒子が全粒径分布の20%未満のものを用いた。
【0036】
以上の方法で絶縁体3の材料を変えて作製した試料(n=5)のシリコン粒子2と絶縁体3のクラック及び絶縁体3が溶けて層を形成する融解状態等を確認した結果も表に示す。その後p形シリコン粒子の上部表面をクリーニングするために弗酸水溶液(HF:純水=1:100)で2〜5分洗浄した外観結果も表に示す。次に、シリコン粒子2と絶縁体3の上にn形結晶質シリコンと非晶質シリコンとの混晶の半導体層4を300nmの厚みに形成し、更に保護層5として窒化珪素膜を600nmの厚みに形成した。そして、保護層5の一部をエッチング除去したところにパターン電極を設けて半導体層4と接続させて他方の電極とした。以上の試料を−40℃〜90℃の温度サイクル試験500サイクル後のマイクロクラックの発生状況も表に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
実施例1〜3および比較例1、2は、同一の低温焼成用ガラス組成物を用い、概粉末の粒径分布を変化させた例である。比較例1、2ではシリコン粒子2と絶縁体3との境界で剥がれやクラックが見られたのに対し、実施例1〜3では良好な結果が得られた。このことから、低温焼成用ガラス組成物粉末の粒径分布において、1μm以下の粒子が全粒径分布の5%以上であり、かつ5μm以上の粒子が全粒径分布の20%以上であればよいことが分かった。比較例3ではシリコン粒子2間に隙間があり絶縁体3が比較的広く基板を覆っている部分でクラックが見られた。これは絶縁体3と基板との熱膨張差が大きくなったためと考えられる。比較例4ではシリコン粒子2と絶縁体3との境界面から、その法線方向にクラックが発生した。また弗酸処理後もクラックが新たに発生することから、絶縁体3とシリコン粒子2との熱膨張差のため、大きな残存応力が存在することが考えられる。一方、40〜400℃における熱膨張係数を40〜80×10-7/℃に調整した実施例1〜10では、シリコン粒子2と絶縁体3との境界および絶縁体3が比較的広く基板を覆っている部分でクラックは見られず、絶縁体3はシリコン粒子2間の隙間を埋めることができ、温度サイクル試験後もマイクロクラックは発生せず、良好な結果が得られたことから、絶縁体3の熱膨張係数は上記の値の範囲にすればよいことが分かった。また実施例10では絶縁体3の透明度がやや低くなったが、これはガラス転移点が518℃と高くなったことにより、十分なガラス化ができなかったためと考えられる。ガラス転移点は515℃以下で、ガラス粒子が完全に溶けてシリコン粒子2間を埋めることができていることから、ガラス転移点としては515℃以下がよいことがわかった。
【0039】
実施例8、9ではシリコン粒子2の粒子径を0.2mmと0.6mmに変えて試料を作製したが、実施例1〜7と同様の変換効率が得られた。
【0040】
以上のことより、本発明の光電変換装置によれば、シリコン粒子2間を埋め、クラック、発泡及び異常析出等の欠陥の発生を防止し、信頼性として安定した良好な絶縁体を形成できることが確認できた。
【0041】
【発明の効果】
以上のように、請求項1に係る光電変換装置の製造方法によれば、シリコンから成る粒状結晶半導体間に設けられる絶縁体は、1μm以下の粒子が全粒径分布の5%以上で5μm以上の粒子が全粒径分布の20%以上であるガラス組成物粉末のペーストから作製されて成り、かつ40〜400℃における熱膨張係数が40〜80×10−7/℃のガラス組成物を用いることから、粒状結晶半導体間を埋め、クラック、剥がれ等の欠陥の発生を防止し、安定した信頼性を有する良好な絶縁体を形成でき、よって信頼性の高い光電変換装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光電変換装置の実施の形態の一例を示す断面図である。
【図2】本発明の光電変換装置の実施の形態の他の例を示す断面図である。
【図3】従来例1の光電変換装置を示す断面図である。
【図4】従来例2の光電変換装置を示す断面図である。
【図5】従来例3の光電変換装置を示す断面図である。
【符号の説明】
1・・・・基板
1’・・・アルミニウムから成る電極層
2・・・・第一導電形の粒状結晶半導体
3・・・・絶縁体
4・・・・逆導電形の半導体層
5・・・・保護層
6・・・・透明導電膜
7・・・・アモルファス半導体層
8・・・・第2のアルミニウム箔
9・・・・n形表皮部
10・・・第1のアルミニウム箔
11・・・低融点金属層
12・・・高融点金属層
13・・・第一導電形の液相エピタキシャル多結晶層
14・・・第二導電形の多結晶あるいはアモルファス層
15・・・基板のアルミニウムと粒状結晶半導体のシリコンとの合金層
Claims (4)
- 一方の電極層を有する基板上に、内部に一導電形を呈し、外郭に逆導電形を呈し、シリコンから成る粒状結晶半導体を多数配設して基板に接合する工程と、この粒状結晶半導体間に、1μm以下の粒子が全粒径分布の5%以上で5μm以上の粒子が全粒径分布の20%以上であるガラス組成物粉末のペーストを充填する工程と、前記ペーストから40〜400℃における熱膨張係数が40〜80×10 −7 /℃のガラス組成物である絶縁体を作製する工程と、前記外郭に他方の電極を接続して設ける工程と、を含む光電変換装置の製造方法。
- 前記絶縁体のガラス転移点が515℃以下である請求項1に記載の光電変換装置の製造方法。
- 前記基板の一方の電極層がアルミニウムから成る請求項1または2に記載の光電変換装置の製造方法。
- 前記粒状結晶半導体の平均粒径が0.2〜0.6mmである請求項1乃至3のいずれかに記載の光電変換装置の製造方法。
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