JP4131519B2 - 磁場反転配位における制御された融合および直接的なエネルギー変換 - Google Patents

磁場反転配位における制御された融合および直接的なエネルギー変換 Download PDF

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Description

(発明の分野)
本発明は、該して、プラズマ物理学の分野、より詳細には、核融合を可能にするプラズマを閉じ込めるためおよび融合産物からのエネルギーを電気に変換するための方法および装置に関する。
(発明の背景)
融合は、2つの軽い核が合わさってより重い核を形成するプロセスである。融合プロセスは、高速移動粒子の形態で膨大な量のエネルギーを放出する。原子核は正に荷電しているので(その中に含まれる陽子に起因して)、それらの間に反発する静電気力、すなわちクーロン力が存在する。2つの核が融合するためには、この反発性の障壁に打ち勝たなければならず、この障壁は、短い範囲の核力がクーロン力に打ち勝ちそして核を融合するのに十分に強くなるくらい、2つの核が十分に近接する場合に生じる。核がクーロン障壁に打ち勝つために必要とされるエネルギーは、それらの熱エネルギーにより提供され、これは、非常に高くなければならない。例えば、融合速度は、温度が少なくとも10eVのオーダーである場合(およそ華氏1億度に対応する)、認識可能であり得る。融合反応の速度は、温度の関数であり、そしてそれは、反応性と呼ばれる量により特徴付けられる。D−T反応の反応性は、例えば、30keVと100keVとの間の広いピークを有する。
代表的な融合反応として、以下が挙げられる:
D+D→He(0.8MeV)+n(2.5MeV)、
D+T→α(3.6MeV)+n(14.1MeV)、
D+He→α(3.7MeV)+p(14.7MeV)、および
p+B11→3α(8.7MeV)。
ここで、Dは、重水素を示し、Tはトリチウムを示し、αはヘリウム核を示し、nは中性子を示し、pは陽子を示し、Heはヘリウムを示し、そしてB11はホウ素−11を示す。各等式における括弧内の数字は、融合産物の運動エネルギーを示す。
上に列挙される最初の2つの反応(D−D反応およびD−T反応)は、中性子性である。中性子性とは、それらの融合産物のエネルギーのほとんどが高速中性子により輸送されることを意味する。中性子性反応の欠点は、(1)高速中性子のフラックスが多くの問題(反応器の壁の構造的な損傷およびほとんどの建設材料に対する高レベルの放射活性が挙げられる)を生じること;および(2)高速中性子のエネルギーは、それらの熱エネルギーを電気エネルギーに変換することにより回収されるが、これは非常に非効率的(30%未満)であること。中性子性反応の利点は、(1)それらの反応性が比較的低温でピークに達すること;および(2)重水素およびトリチウムの原子数は1であるので、放射に起因するそれらの損失が比較的少ないこと。
他の2つの等式(D−Heおよびp−B11)における反応物は、次世代燃料(advanced fuel)と呼ばれる。中性子性反応におけるように高速中性子を生成する代わりに、それらの融合産物は、荷電した粒子である。次世代燃料の1つの利点は、それらがほとんど中性子を生成せず、それによってそれらに関連する欠点に悩まされないことである。D−Heの場合、ある程度の高速中性子が二次的な反応により生成されるが、これらの中性子は、融合産物のエネルギーの約10%を占めるのみである。p−B11反応は、高速中性子を含まないが、二次的な反応の結果としてある程度の低速中性子を生成するが、ほとんど問題を生じない。次世代燃料の別の利点は、それらの融合産物が、荷電粒子を含むことであり、それらの運動エネルギーは、電気に直接的に変換可能であり得る。適切な直接エネルギー変換プロセスにより、次世代燃料融合産物のエネルギーは、おそらく90%を超える高効率で回収され得る。
次世代燃料は、欠点も有する。例えば、次世代燃料の原子数は高い(Heは2、B11は5)。従って、それらの放射損失は、中性子性反応における損失よりも大きい。また、次世代燃料を融合することは、ずっと困難である。それらのピーク反応性は、ずっと高い温度で生じ、そしてD−Tについての反応性と同じくらい高い反応性に達しない。従って、次世代燃料を用いて融合反応を引き起こすことは、それらがより高いエネルギー状態(それらの反応性が顕著な状態)に置かれることを必要とする。従って、次世代燃料は、より長い期間(それらが適切な融合条件に移行され得る期間)、収容されなければならない。
プラズマの収容時間は、Δt=γ/Dである。ここで、γは最小プラズマ寸法であり、Dは拡散係数である。拡散係数の古典的な値は、Dc=α /τieである。ここで、αは、イオンジャイロ半径であり、τieは、イオン−電子衝突時間である。古典的な拡散係数に従う拡散は、古典的輸送と呼ばれる。短波長の不安定性に起因するBohm拡散係数は、D=(1/16)α Ωである。ここで、Ωはイオンジャイロ周波数である。この関係に従う拡散は、異常輸送と呼ばれる。融合条件
Figure 0004131519
について、異常輸送は、古典的輸送よりもずっと短い収容時間を生じる。この関係は、所定量のプラズマの収容時間が、プラズマが核融合反応を有する時間よりも長くなければならないという要求により、融合反応器の中でプラズマがどのくらい大きくならなければならないかを決定する。従って、古典的な輸送条件が、融合反応器においてより望ましく、より小さな初期プラズマを可能にする。
プラズマのトロイダル閉じ込め(troidal confinement)を用いた初期の実験において、収容時間
Figure 0004131519
を観察した。最近40年の進歩により、収容時間は、
Figure 0004131519
まで増大した。1つの既存の融合反応器のコンセプトは、Tokamakである。Tokamak68の磁場および代表的な粒子軌道66を図5に示す。過去30年間、融合の努力は、D−T燃料を用いるTokamak反応器に集中していた。これらの努力は、図7に示されるInternational Thermonuclear Experimental Reactor(ITER)において極まっている。Tokamakを用いた近年の実験は、古典的輸送
Figure 0004131519
が、可能であり、その場合、最小プラズマ寸法がメートルからセンチメートルに減少され得ることを示唆する。これらの実験は、10〜30keVの温度までプラズマを加熱するためのエネルギービーム(50〜100keV)の注入に関する。非特許文献1を参照のこと。これらの実験におけるエネルギー性ビームイオンは、減速しそして古典的に拡散するが、熱的プラズマは、異常に高速に拡散し続けることを観察した。この理由は、エネルギー性ビームイオンが大きなジャイロ半径を有し、そしてそれ自体、イオンジャイロ半径より短い波長(λ<α)の波動に非感受性であることである。短波長の波動は、周期にわたって平均化し、したがって打ち消す(cancel)傾向がある。しかし、電子は、ずっと小さいジャイロ半径を有するので、それらは、この波動に応答し、そして異常に輸送する。
異常輸送が原因で、プラズマの最小寸法は、少なくとも2.8メートルでなければならない。この寸法に起因して、高さ30メートルおよび直径30メートルのITERを生成した。これは、実現可能な最も小さいD−T Tokamak型反応器である。次世代燃料(例えば、D−Heおよびp−B11)について、Tokamak型反応器は、ずっと大きい必要がある。なぜならば、燃料イオンが核反応を有する時間がずっと長いからである。D−T燃料を用いたTokamak反応器は、融合産物エネルギーのほとんどのエネルギーが14MeV中性子により輸送され、これにより放射の損傷が生じ、そして中性子フラックスに起因してほとんど全ての建築材料において反応性が誘導されるというさらなる問題を有する。さらに、それらのエネルギーの電気への変換は、熱的プロセスによらなければならず、これは、30%より高い効率ではない。
別の提案される反応器の構成は、衝突ビーム反応器である。衝突ビーム反応器において、バックグラウンドのプラズマは、イオンのビームにより衝突される。このビームは、熱的プラズマよりもずっと大きいエネルギーを有するイオンを含む。この型の反応器における有用な融合反応を生成することは、実現不可能であった。なぜならば、バックグラウンドのプラズマは、イオンビームを減速させるからである。この問題を低減し、そして核反応の数を最大にするための種々の提案がなされている。
例えば、Jassbyらに対する特許文献1は、トロイダル閉じ込めシステムにおいて重陽子および三重子の逆流(counterstreaming)衝突ビームを生成する方法を開示している。Jassbyらに対する特許文献2において、電磁気エネルギーは、イオン種の1つに対するバルク平衡プラズマドラッグ(bulk equilibrium plasma drag)の効果を相殺するために注入される。トロイダル閉じ込めシステムは、Tokamakとして認識される。Rostokerに対する特許文献3において、重水素およびトリチウムのビームが注入され、そしてTokamak、ミラー、磁場反転配位において同一の平均速度で捕捉される。ビームを捕捉する目的のみのための、低密度低温バックグラウンドプラズマが存在する。このビームは、それらが高い温度を有するので反応し、そして減速は、主に、注入されたイオンに付随する電子により引き起こされる。電子は、イオンにより加熱され、この場合、減速は最小である。
しかしながら、これらのデバイスにおいて、平衡電場は、全く役割を果たさない。さらに、異常輸送を低減するかまたはそれを考慮する試みさえも、なされていない。
他の特許は、イオンの静電気的閉じ込め、およびいくつかの場合において、電子の磁気的閉じ込めを考慮している。これらとしては、以下が挙げられる:Farnsworthに対する特許文献4およびFarnsworthに対する特許文献5(これらは、イオンの静電気的閉じ込めおよび電子の慣性閉じ込めを開示している);Hirschらに対する特許文献6およびHirschらに対する特許文献7(Farnsworthと同様である);Limpaecherに対する特許文献8(これは、多極カスプ反射壁を用いた、イオンの静電気的閉じ込めおよび電子の磁気的閉じ込めを開示している);ならびに、Bussardに対する特許文献9(これらは、Limpaecherと同様であり、ポイントカプスを含む)。これらの特許は、電子の静電気的閉じ込めおよびイオンの磁気的閉じ込めを全く考慮しない。イオンの静電気的閉じ込めに対する多くの研究計画が存在しているが、これらは、イオンが核融合反応器に必要とされる密度を有する場合、必要とされる静電場を設定することに成功していない。最後に、上に列挙された特許は、磁場反転配位の磁気的トポロジーを議論していない。
磁気反転配位(FRC)は、テータピンチ実験の間にNaval Research Laboratoryにて1960年代に偶然発見された。代表的なFRCトポロジー(ここで、この内部磁場は、方向が逆である)は、図8および図10に示され、そしてFRCにおける粒子軌道は、図11および図14に示される。FRCに関連して、多くの研究計画が、アメリカ合衆国および日本において支援されている。1960年〜1988年のFRC研究の理論および実験における包括的な総括書が存在する。非特許文献2を参照のこと。FRC開発についての白書は、1996年の研究およびさらなる研究に対する推奨を記載している。非特許文献3を参照のこと。今日まで、FRC実験において、FRCは、テータピンチ方法により形成されてきた。この形成方法の結果は、イオンおよび電子の各々が、半分の電流を運び、結果として、プラズマ中に無視できるほどの静電場を生じ、静電的閉じ込めを生じないということである。これらのFRC中のイオンおよび電子は、磁気によって閉じ込められる。ほとんど全てのFRC実験において、異常輸送が想定される。例えば、非特許文献4、1.5.2節の冒頭を参照のこと。
米国特許第4,065,351号明細書 米国特許第4,057,462号明細書 米国特許第4,894,199号明細書 米国特許第3,258,402号明細書 米国特許第3,386,883号明細書 米国特許第3,530,036号明細書 米国特許第3,530,497号明細書 米国特許第4,233,537号明細書 米国特許第4,826,646号明細書 W.HeidbrinkおよびG.J.Sadler,Nuclear Fusion、1994年、第34巻、535頁 M.Tuszewski,Nuclear Fusion、1988年、第28巻、2033頁 L.C.Steinhauerら、Fusion Technology、1996年、第30巻、116頁 M.Tuszewski,Nuclear Fusion、1988年、第28巻、2072頁
従って、イオンおよび電子の異常輸送を実質的に減少または排除する傾向のある閉じ込めシステム、ならびに融合産物のエネルギーを高効率で電気に変換するエネルギー変換システムを有する、融合システムを提供することが望ましい。
(発明の要旨)
本発明は、磁気反転トポリジーを有する磁場における制御された融合、および融合産物エネルギーの電力への直接変換を容易にするシステムに関する。プラズマ電力発生(PEG)システムとして本明細書中で参照されるこのシステムは、好ましくは、核融合反応器を備え、この核融合反応器は閉じ込めシステムを有し、この閉じ込めシステムは、イオンおよび電子の異常輸送を実質的に減少または排除する傾向がある。さらに、このPEGシステムは、エネルギー変換システムを備え、このエネルギー変換システムは、融合産物エネルギーを高効率で電気に直接的に変換する反応器に連結されている。
本発明の1つの革新的な局面において、イオンおよび電子の両方の異常輸送は、実質的に減少または排除される傾向がある。イオンの異常輸送は、磁気反転配位(FRC)の磁場内にイオンを磁気的に閉じ込めることによって回避される傾向がある。電子について、エネルギーの異常輸送は、外部から適用した磁場を調整して強力な電場を発生させることによって回避され、これは、深いポテンシャル井戸(well)に静電気的に電子を閉じ込める。結果として、本発明の閉じ込め装置およびプロセスとともに使用され得る核融合燃料プラズマは、中性子燃料に限定されず、次世代燃料または無中性子も有利に含まれる。無中性子燃料について、核融合反応エネルギーは、ほぼ全体的に荷電粒子(すなわち、エネルギーイオン)の形態であり、この粒子は、磁場内で操作され得、そしてその燃料に依存して、放射能をほとんどまたは全く生じない。
本発明の別の革新的な局面において、直接エネルギー変換システムを使用して、電磁場を通る荷電粒子を減速させることによって、融合産物の運動エネルギーを電力に直接変換する。有利には、本発明の直接エネルギー変換システムは、効率、粒子エネルギー許容、ならびに約5MHzの融合出力の周波数および位相を、外部の60Hzの電力格子の周波数に適合するように変換する電子的性能を有する。
好ましい実施形態において、核融合反応器のプラズマ閉じ込めシステムは、以下を備える:チャンバ、主軸に実質的に沿った方向に磁場を適用するための磁場発生器、およびイオンの循環ビームを含む環状プラズマ層。この環状プラズマビーム層のイオンは、実質的に、軌道中で磁気によってチャンバ内に閉じ込められ、そして電子は、実質的に、静電気によってエネルギー井戸に閉じ込められる。1つの好ましい実施形態の1つの局面において、磁場発生器は、電流コイルを備える。好ましくは、このシステムは、チャンバの端部近くにミラーコイルをさらに備え、このミラーコイルは、チャンバの端部で適用された磁場の大きさを増加させる。このシステムはまた、中和されたイオンビームを、この適用された磁場に噴射するための、ビーム注入器を備え得、ここで、このビームは、適用された磁場によって生じる力に起因して、軌道に入る。好ましい実施形態の別の局面において、このシステムは、磁場反転配位のトポロジーを有する磁場を形成する。
別の好ましい実施形態において、エネルギー変換システムは、核融合反応器の反対の端部に連結された逆サイクロトロン変換器(ICC)を備える。このICCは、それらの間に延びる小さい直線状のギャップを有する複数(好ましくは、4個以上)の半円筒電極から形成される、中空の半円筒様幾何学を有する。操作時には、振動電位が、代替の様式においてこの電極に適用される。ICC内の電場Eは、多極構造を有し、対称軸を消滅し、そして半径を直線的に増加させる(ピーク値はギャップにおいてである)。
さらに、ICCは、核融合反応器の閉じ込めシステムの方向と実質的に反対の方向に、均一な一方向磁場を適用するための磁場発生器を備える。核融合反応器の電源コアから最も離れた端部に、ICCはイオンコントローラを備える。電源コアとICCとの間に、対称性磁気カプスがあり、ここで、閉じ込めシステムの磁場は、ICCの磁場と併せられる。環状電子収集器が、磁気カプス周囲に配置され、そしてイオン収集器に電気的に連結される。
なお別の好ましい実施形態において、生成核および荷電中和電子は、磁気カプスが電子およびイオンのエネルギー差に起因してそれらを分離する密度で、反応器電源の両端部から環状ビームとして現れる。この電子は、電子収集器への磁場線に従い、イオンはカプスを通り、ここで、そのイオン軌道は、ICCの長さに沿った、実質的にらせん状の経路に従って改変される。エネルギーは、それらが、共振回路に接続されている電極をらせん状に通過する際にイオンから取り除かれる。垂直エネルギーの損失は、電極に密接して初期に回転する、最も高いエネルギーのイオンについて最も大きい傾向がある(ここで、電場は最も強い)。
より詳細には、本発明は、以下の項目に関する。
(項目1)
融合生成物エネルギーを電気エネルギーに変換する方法であって、以下:
複数の半円柱形電極から形成されるほぼ円柱形管腔内の螺旋状通路に沿ってイオンを注入する工程であって、この複数の半円柱形電極は互いに間隔のあいた関係にあり、この電極間に複数の細長い間隙を形成する、工程;
2つより多い極内の多極構造を有する管腔内に電場を形成する工程;および
このイオンエネルギーの少なくとも一部を電気エネルギーに変換する工程、
を包含する、方法。
(項目2)
上記複数の電極に振動ポテンシャルを適用する工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
(項目3)
上記複数の間隙を横切る方位電場を生成する工程をさらに包含する、請求項2に記載の方法。
(項目4)
上記イオンを減速する工程をさらに包含する、請求項3に記載の方法。
(項目5)
上記注入工程が、上記イオンの実質的に全ての軸方向エネルギーを回転エネルギーに変換する工程を包含する、請求項4に記載の方法。
(項目6)
上記イオンが、環状ビームの形態で注入される、請求項5に記載の方法。
(項目7)
磁気カスプを通る上記環状ビームを方向付ける工程をさらに包含する、請求項6に記載の方法。
(項目8)
電子が上記時期カスプの磁場線に従う場合、上記環状ビームから電荷中和電子を収集する工程をさらに包含する、請求項7に記載の方法。
(項目9)
一旦、上記エネルギーの実質的部分が電気エネルギーに変換されると、上記イオンを収集する工程をさらに包含する、請求項8に記載の方法。
(項目10)
上記イオンエネルギーから変換された上記電気エネルギーを調整して、既存の電力グリッドを調和させる工程をさらに包含する、請求項9に記載の方法。
(項目11)
上記複数の電極が、少なくとも4個の電極を含む、請求項1に記載の方法。
(項目12)
逆サイクロトロンエネルギー変換器であって、以下:
ほぼ円柱形の管腔を形成する複数の電極であって、この電極は、この電極間に細長い間隙を形成する間隔のあいた関係にあり、ここで、この複数の電極は、2つより多い電極を含む、電極;
この複数の電極の周りに延在する磁場発生器;および
この複数の電極の一端に配置される、イオン収集器、
を備える、変換器。
(項目13)
上記複数の電極の別の端部に隣接して配置される電子収集器をさらに備える、請求項12に記載の変換器。
(項目14)
上記電子収集器が、環形状である、請求項13に記載の変換器。
(項目15)
上記電子収集器およびイオン収集器が、電気的に接続されている、請求項14に記載の変換器。
(項目16)
上記複数の電極に連結されたタンク回路をさらに備える、請求項15に記載の変換器。
(項目17)
上記磁場発生器が、上記複数の電極の周りに延在する複数の界磁コイルを備える、請求項16に記載の変換器。
(項目18)
上記複数の電極が、対称的である、請求項17に記載の変換器。
(項目19)
逆サイクロトロンエネルギー変換器であって、以下:
細長い管腔を形成する少なくとも4個の4分円柱形電極であって、この電極は、この電極間に少なくとも4個の細長い間隙を形成する間隔のあいた関係にある、電極;および
この少なくとも4個の電極の周りに延在する磁場発生器、
を備える、変換器。
(項目20)
請求項19に記載の変換器であって、以下:
上記少なくとも4個の電極の第1の端部に配置されるイオン収集器;および
この少なくとも4個の第2の端部に隣接して配置される環形状の電子収集器、をさらに備え、このイオン収集器および電子収集器が、互いに電気的に接続される、変換器。
(項目21)
上記少なくとも4個の電極に接続されるタンク回路をさらに備える、請求項19に記載の変換器。
(項目22)
上記磁場発生器が、上記少なくとも4個の電極の周りに延在する複数の界磁コイルを備える、請求項19に記載の変換器。
本発明の他の局面および特徴は、添付の図面とともに与えられる以下の記載を考慮することで、明らかになる。
本発明により、イオンおよび電子の異常輸送を実質的に減少または排除する傾向のある閉じ込めシステム、ならびに融合産物のエネルギーを高効率で電気に変換するエネルギー変換システムを有する、融合システムが提供される。
(好ましい実施形態の詳細な説明)
図に示されるように、本発明のプラズマ−電力発生システムは、好ましくは、直接エネルギー変換システムに結合された、衝突ビーム核融合反応器を備える。上で言及したように、理想的な核融合反応器は、イオンと電子との両方についての異常輸送の問題を解決する。本明細書中に見られる、異常輸送の問題の解決法は、磁気反転配位(FRC)を有する磁場を有する、閉じ込めシステムを利用する。イオンの異常輸送は、イオンの大部分が、大きな非断熱性の軌道を有し、これらのイオンを、断熱的なイオンの異常輸送を引き起こす短波機能に対して非感受性にするような様式で、FRCにおける磁気閉じ込めによって回避される。具体的には、FRCにおける、磁場が消失する領域の存在が、大部分の非断熱的イオンを含むプラズマを有することを可能にする。電子については、エネルギーの異常輸送は、外側から適用される磁場を調整して、強い電場(これは、これらの電子を深いポテンシャル井戸に静電的に閉じ込める)を発生させることによって、回避される。
本発明の閉じ込め装置および方法と共に使用され得る核融合燃料プラズマは、D−D(ジュウテリウム−ジュウテリウム)またはD−T(ジュウテリウム−トリチウム)のような中性子燃料に限定されず、好都合には、次世代燃料または無中性子燃料(例えば、D−He(ジュウテリウム−ヘリウム−3)またはp−B11(水素−ホウ素−11)もまた含む。(次世代燃料の議論については、R.FeldbacherおよびM.Heindler,Nuclear Instruments and Methods in Physics Research,A271(1988)JJ−64(North Holland Amsterdam)を参照のこと。)このような無中性子燃料について、核融合反応エネルギーは、ほぼ全体的に荷電粒子(すなわち、エネルギーイオン)の形態であり、これは、磁場において操作され得、そして燃料に依存して、放射能をほとんどまたは全く引き起こさない。D−He反応は、18.2MeVのエネルギーと共にHイオンおよびHeイオンを生成し、一方で、p−B11反応は、3つのHeイオンおよび8.7MeVのエネルギーを生成する。無中性子燃料を利用する融合デバイスについての理論的モデリングに基づいて、出力エネルギーの変換効率は、例えば、K.Yoshikawa,T.NomaおよびY.Yamamotoによって、Fusion Technology,19,870(1991)に記載されるように、約90%程度に高くあり得る。このような効率は、無中性子融合についての予測を、スケール変更可能な(scalable)(1〜1000MW)、小型の、低費用の構成で、劇的に進める。
本発明の直接エネルギー変換プロセスにおいて、融合生成物の荷電粒子は、速度が落ち得、そしてこれらの運動エネルギーが、直接、電気に変換される。好都合には、本発明の直接エネルギー変換システムは、効率、粒子−エネルギー許容、ならびに約5MHzの融合出力電力の周波数および位相を、外部の60ヘルツの電力格子の周波数および位相に適合するように変換する電子的能力を有する。
(融合閉じ込めシステム)
図1は、本発明に従う閉じ込めシステム300の好ましい実施形態を例示する。閉じ込めシステム300は、内部に閉じ込めチャンバ310を規定するチャンバ壁305を備える。好ましくは、チャンバ310は、円筒形状であり、主軸315は、チャンバ310の中心に沿っている。この閉じ込めシステム300を核融合反応器に適用するためには、チャンバ310内部に真空状態または真空に近い状態を作製することが必要である。主軸315と同軸に、チャンバ310内に配置されたベータトロンフラックスコイル320が存在する。ベータトロンフラックスコイル320は、示されるように、長いコイルの周りに電流を指向するように適合された、電流輸送媒体を備え、この長いコイルは、好ましくは、平行な巻線の複数の別個のコイル、そして最も好ましくは、平行な巻線の約4個の別個のコイルを備え、長いコイルを形成する。当業者は、ベータトロンコイル320を流れる電流が、ベータトロンコイル320内に磁場を実質的に主軸315の方向に生じることを理解する。
チャンバ壁305の外側の周りに、外側コイル325が存在する。外側コイル325は、主軸315と実質的に平行に磁束を有する、比較的一定の磁場を生じる。この磁場は、方向が対称である。外側コイル325に起因する磁場が一定であり、そして軸315に対して平行であるという近似は、チャンバ310の末端から離れると最も有効である。チャンバ310の各末端に、ミラーコイル330が存在する。ミラーコイル330は、各末端においてチャンバ310内に増加した磁場を生じるように適合され、従って、各末端において磁力線を内向きに曲げる(図8および10を参照のこと)。説明されるように、この磁力線を内向きに曲げることは、閉じ込めシステム300を脱出し得る末端からプラズマを押し出すことによって、チャンバ310内の閉じ込め領域中の、ほぼミラーコイル330の間にプラズマ335が閉じ込められるのを助ける。ミラーコイル330は、当該分野で公知の種々の方法(ミラーコイル330内の巻線の数を増加させること、ミラーコイル330を流れる電流を増加させること、または外部コイル325でミラーコイル330を覆うことを含む)によって、この末端に増加した磁場を生じるように適合され得る。
外部コイル325およびミラーコイル330は、図1に示されように、チャンバ壁305の外側で与えられる;しかし、これらは、チャンバ310の内側であってもよい。チャンバ壁305が金属のような伝導性材料から構成される場合、チャンバ壁305の内側にコイル325、330を配置することが有利であり得る。なぜならば、磁場が壁305を通って拡散するのにかかる時間が比較的長くあり得、それによりシステム300が遅鈍に反応し得るからである。同様に、チャンバ310は、チャンバ壁305が長い環状リングを形成する、中空の円筒の形状であり得る。このような場合、ベータトロンフラックスコイル320は、この環状リングの中心においてチャンバ壁305の外側に与えられ得る。好ましくは、環状リングの中心を形成する内部壁は、ガラスのような非導電性の材料を含み得る。明らかであるように、チャンバ310は、循環プラズマビームまたは層335が、所定の半径で主軸315の周りを回転するのを可能にするのに十分なサイズおよび形状でなければならない。
チャンバ壁305は、鋼鉄のような高い透磁率を有する材料から形成され得る。このような場合、材料中に誘導される対電流に起因して、チャンバ壁305は、磁束がチャンバ310を脱出しないようにする(磁束を「圧縮する」)のを助ける。このチャンバ壁がプレキシグラスのような低い透磁率を有する材料から作製され得る場合、この磁束を閉じ込めるための別のデバイスが必要である。このような場合、一連の閉ループである平坦な金属リングが提供され得る。磁束デリミッターとして当該分野で公知のこれらのリングは、外側コイル325の内側であるが循環プラズマビーム335の外側に提供される。さらに、これらの磁束デリミッターは、受動的または能動的であり得、ここで、この能動的磁束デリミッターは、チャンバ310内において磁束の閉じ込めをより促進するために所定の電流で駆動される。あるいは、外側コイル325自体は、磁束デリミッターとして役立ち得る。
以下でさらに詳細に説明されるように、荷電粒子を含む循環プラズマビーム335は、外側コイル325に起因して、磁場によって生じるローレンツ力によってチャンバ310内に閉じ込められ得る。このように、プラズマビーム335内のイオンは、外側コイル325から磁束線の周りの大きなベータトロン軌道内に磁気的に閉じ込められ、この軌道は、主軸315に対して平行である。1つ以上のビーム注入ポート340はまた、チャンバ310中の循環プラズマビーム335にプラズマイオンを加えるために提供される。好ましい実施形態において、この注入ポート340は、循環プラズマビーム335が閉じ込められる主軸315から同一の半径位置(すなわち、以下に記載される零曲面の周り)においてイオンビームを注入するように適合される。さらに、この注入ポート340は、この閉じ込められたプラズマビーム335の接線方向に、そしてこのビームのベータトロン軌道の方向に、イオンビーム350を注入するように適合される(図16を参照のこと)。
一群の非エネルギー性プラズマをチャンバ310に注入するために、1つ以上のバックグラウンドプラズマ供給源345もまた提供される。好ましい実施形態において、このバックグラウンドプラズマ供給源345は、チャンバ310の中心軸に向けてプラズマ335を方向付けするために適合される。この方法でプラズマを方向付けすることは、プラズマ335をより良好に閉じ込めるのを助け、そしてチャンバ310内の閉じ込め領域内でより高密度のプラズマ335に導くことが見出された。
(FRC中の荷電粒子)
図2は、FRC70の磁場を示す。この系は、その軸78に対して円柱状の対称性を有する。このFRCにおいて、磁力線の2つの領域:開領域80および閉領域82が存在する。これらの2つの領域を分ける表面は、セパラトリクス84と呼ばれる。このFRCは、磁場が消滅する円柱状の零曲面86を形成する。FRCの中央部88において、磁場は、軸方向にはそれほど変化しない。端部90において、この磁場は、軸方向にかなり変化する。中心軸78に沿った磁場は、FRC中で方向を反転しており、これは、磁気反転配位(Field Reversed configuration)(FRC)中の用語「反転(reversed)」の由来である。
図3Aにおいて、零曲面94の外側の磁場は、第1の方向96である。この零曲面94の内側の磁場は、第1の方向とは逆の第2の方向98である。イオンが方向100で移動する場合、このイオンに作用するローレンツ力30は、この零曲面94の方を向いている。このことは、右手の法則を用いることによって、容易に理解される。半磁性方向102で移動する粒子について、ローレンツ力は、常に、零曲面94の方を向いている。この現象は、以下に記載されるベータトロン軌道と呼ばれる粒子軌道を生じる。
図3Bは、逆反磁性(counterdiamagnetic)方向104に移動するイオンを示す。この場合において、ローレンツ力が、零曲面94から離れる方を向く。この現象は、以下に記載されるように、ドリフト軌道(drift orbit)と呼ばれる1つの型の軌道を生じる。このイオンに関する反磁性方向は、電子に関する逆反磁性方向であり、そして逆もまた然りである。
図4は、イオンの反磁性方向102に回転するプラズマの環または環状層106を示す。この環106は、零曲面86の回りに配置される。環状プラズマ層106によって形成された磁場108は、外部から付与された磁場110と組み合わされて、FRCの位相(この位相は、図2に示されている)を有する磁場を形成する。
プラズマ層106を形成するイオンビームは、一定の温度を有し;従って、イオンの速度は、イオンビームの平均角速度で回転するフレームにおいてマクスウェル分布を形成する。異なる速度のイオン間の衝突は、核融合反応をもたらす。この理由のために、プラズマビーム層または出力コア106は、衝突型ビームシステム(colliding beam system)と呼ばれる。
図5は、衝突型ビームシステム中のイオン軌道(ベータトロン軌道112と呼ばれる)の主な型を示す。ベータトロン軌道112は、零サークル114を中心とする正弦波として表現され得る。上で説明したように、零サークル114上の磁場は、ゼロである。この軌道112の面は、FRCの軸78に対して垂直である。この軌道112におけるイオンは、出発点116からそれらの反磁性方向102に移動する。ベータートロン軌道中のイオンは、2つの動き(放射方向での振動(零サークル114に対して垂直な動き)および零サークル114に沿って平行な動き)を有する。
図6Aは、FRCにおける磁場118のグラフである。グラフの水平軸は、FRC軸78からの距離(cm)を示す。この磁場は、キロガウスである。このグラフに示されるように、この磁場118は、零サークルの半径120で零になる。
図6Bに示されるように、零サークル付近を移動する粒子は、零曲面86から離れた方を向く磁場の勾配126に遭遇する。零サークルから外側の磁場は、第1方向122に存在する一方で、零サークルから内側の磁場は、第1方向とは逆の第2方向124である。勾配ドリフトの方向は、クロス積(cross product):
Figure 0004131519
によって与えられ、ここで、▽Bは、磁場の勾配であり;従って、このイオンが零サークルの外側にあろうと内側にあろうとも、勾配ドリフトの方向が、逆反磁性方向であることが、右手法則を適用することによって理解され得る。
図7Aは、FRC内の電場130のグラフである。このグラフの水平軸は、FRC軸78からの距離(cm)を示す。この電場は、V/cmである。このグラフに示されるように、電場130は、零サークルの半径120の近くで零になる。
図7Bに示されるように、イオンに関する電場は、閉じ込め解除され(deconfine);これは、零曲面86から離れる方向132、134に向く。上のように、磁場は、零表面86の内側および外側で、反対方向122、124で存在する。この
Figure 0004131519
ドリフトの方向は、このイオンが零曲面136の外側にあろうと内側にあろうとも、反磁性方向102にあることが、右手法則を適用することによって理解され得る。
図8Aおよび8Bは、ドリフト軌道138と呼ばれる、FRCにおける別の型の共通軌道を示す。ドリフト軌道138は、図8Aに示されるように、零曲面114の外側に存在し得るか、または図8Bに示されるように、この零曲面114の内側に存在し得る。ドリフト軌道138は、この
Figure 0004131519
ドリフトが支配する場合、反磁性方向に回転し、この勾配ドリフトが支配する場合、逆反磁性方向に回転する。図8Aおよび8Bに示されるドリフト軌道138は、出発点116から反磁性方向102に回転する。
図8Cに示されるように、ドリフト軌道は、相対的に大きなサークルの上を回転している小さなサークルであると考えられ得る。この小さなサークル142は、意味上の軸の周りをスピンする144。この小さなサークル142はまた、この大きなサークル146上を方向102に向かって回転する。点140は、138と類似する経路を空間においてトレースする。
図9Aおよび9Bは、FRC151の末端におけるローレンツ力の方向を示す。図9Aにおいて、磁場150において、反磁性方向102に一定速度148で移動するイオンを示す。このローレンツ力152により、イオンが閉じた磁力線の領域に向かって押し戻される傾向があることが、右手法則を適用することによって理解され得る。従って、この場合において、ローレンツ力152により、このイオンを閉じ込める。図9Bにおいて、電場150において、逆反磁性方向に一定の速度148で移動するイオンを示す。ローレンツ力152により、イオンが開いた磁力線の領域に向かって押し出される傾向があることが、右手法則を適用することによって理解され得る。従って、この場合において、ローレンツ力152が、このイオンを閉じ込め解除する。
(FRCにおける磁気および静電気による閉じ込め)
プラズマ層106(図4を参照のこと)は、零曲面86の周りに高エネルギーイオンビームをイオンの反磁性方向102に注入することによって、FRCに形成され得る(FRCおよびプラズマ環を形成する異なる方法の詳細な議論が、以下でなされる)。回転プラズマ(circulating plasma)層106において、このイオンのほとんどは、ベータトロン軌道112を有し(図5を参照のこと)、高エネルギーであり、そして非断熱性であり、従って、これらのイオンは、異常輸送を生じる短波長の波動に対して非感受性である。
FRCにおいて形成される平衡条件にあるプラズマ層106において、モーメントの保存が、イオンの角速度ωと電子の角速度ωとの間の関係を与える。この関係は、以下:
Figure 0004131519
である。式1において、Zは、イオンの原子番号であり、mは、イオンの質量であり、eは、電荷であり、Bは、印加される磁場の大きさであり、そしてcは、光速である。この関係において、3つの自由パラメーターが存在する:印加される磁場B、電子の角速度ω、およびイオンの角速度ω。これらの2つが分かると、その3番目は、式1から決定され得る。
このプラズマ層106はイオンビームをFRCに注入することによって形成されるので、イオンの角速度ωは、ビームの注入運動エネルギーWによって決定され、このWは、以下:
Figure 0004131519
によって与えられる。ここで、V=ωであり、ここで、Vは、イオンの注入速度であり、ωは、イオンのサイクロトロン周波数であり、そしてrは、零曲面86の半径である。このビーム中の電子の運動エネルギーは、電子の質量mが、イオンの質量mよりもかなり小さいので無視される。
ビームの一定の注入速度(一定のω)に関して、印加された磁場Bは、異なる値ωが得られるように調整され得る。示されるように、外部磁場Bの調整によりまた、プラズマ層の内側の静電場の異なる値を生じる。本発明のこの特徴は、図10Aおよび10Bに例示されている。図10Aは、同一の注入速度ω=1.35×10−1であるが、3つの異なる印加された磁場Bの値から得られた電場(V/cm)の3つのプロットを示す:
Figure 0004131519
上記表中のωの値は、式1に従って得られた。ω>0は、式1においてΩ>ωを意味し、その結果、電子がそれらの逆反磁性方向に回転することが理解され得る。図10Bは、Bおよびωの同一の値のセットに対する電圧(V)を示す。図10Aおよび10B中の水平軸は、FRC軸78からの距離を示し、グラフにおいてcmで示される。この電場および電圧は、ωに非常に依存する。
上記の結果は、単純な物理学の基本から説明され得る。このイオンが、反磁性方向に回転する場合、このイオンは、ローレンツ力によって磁気的に閉じ込められる。このことは、図3Aに示された。電子がイオンと同一方向に回転するということは、ローレンツ力が逆方向であるということなので、電子は閉じ込められない。この電子がプラズマを離れ、そして結果として過剰の正電荷が生じる。これは、他の電子がこのプラズマを離れることを防止する電場を設定する。この電場の方向および大きさが、平衡において、モーメントの保存によって決定される。
静電場が、電子とイオンの両方の輸送における本質的な役割を果たす。従って、本発明の重要な局面は、強い静電場が、プラズマ層106の内側に形成され、この電場の大きさが、容易に調節され得る印加された磁場Bの値によって制御されることである。
説明されるように、ω>0である場合、静電場が、電子を閉じ込める。図10Bに示されるように、井戸の深さは、印加された磁場Bを調整することによって増加され得る。零サークル付近の非常に狭い領域を除いて、電子は、常に、小さな回転半径(gyroradius)を有する。従って、電子は、異常に速い拡散速度を有する短波長の波動に応答する。実際に、この拡散は、一旦核融合反応が生じた場合、ポテンシャル井戸を維持するのを助ける。この核融合生成物のイオンは、かなり高いエネルギーを有するので、このプラズマを離れる。電荷を準中性に維持するために、核融合生成物は、この核融合生成物を用いて、プラズマから電子を引き出さなければならず、主に、プラズマ層の表面から電子を取り出す。プラズマの表面の電子の密度は、非常に低く、この核融合生成物を用いてプラズマを離れる電子は、置換されなければならず;その代わりに、ポテンシャル井戸が現われなくなる。
図11は、電子のマクスウェル分布162を示す。マクスウェル分布の尾部160からの非常に高エネルギーの電子のみが、プラズマの表面に到達し得、そして核融合イオンとともに離れる。従って、この分布162の尾部160は、零曲面付近の高密度の領域で、電子間の衝突により連続的に形成される。この高エネルギーの電子は、さらに、小さな回転半径を有し、その結果、異常な拡散により、逸脱する核融合生成物のイオンに適応するのに十分高速にこの電子が表面に達するのを可能にする。この高エネルギーの電子は、ポテンシャル井戸を上昇させるエネルギーを失い、非常に低いエネルギーを残す。この電子は、磁場を迅速に横切り得るが、異常な輸送に起因して、異常なエネルギーの損失が避けられる傾向にある。なぜならば、低いエネルギーが輸送されるからである。
このポテンシャルウェルの別の結果は、エバポレーション冷却と類似する、電子のための強力な冷却機構である。例えば、水が蒸発するためには、蒸発の潜熱を供給しなければならない。この熱は、残った水および周りの媒体によって供給され、次いで、熱輸送プロセスがエネルギーを置換し得ることよりも早く、より低い温度に迅速に熱化する。同様に、電子に関して、ポテンシャル井戸の深さは、水の蒸発潜熱に等しい。この電子は、マクスウェルの尾部のエネルギーを再供給する熱化プロセスによって、ポテンシャル井戸を上るために必要とされるエネルギーを供給し、その結果、この電子は、脱出し得る。従って、この熱化プロセスは、いずれの加熱プロセスよりもかなり速いので、より低い電子温度を生じる。電子とプロトンとの質量差のために、プロトンからのエネルギー移動時間は、電子熱化時間よりも約1800倍低い。この冷却機構はまた、電子の放射線損失を減少させる。このことは、特に、次世代燃料のために重要であり、放射線損失は、原子番号Zが1より大きい(Z>1)燃料イオンによって増強される。
静電場はまた、イオン輸送に影響を与える。プラズマ層106中の粒子軌道の大部分は、ベータトロン軌道112である。大きな角度の衝突、すなわち、90°と180°との間の散乱角を有する衝突は、ベータトロン軌道をドリフト軌道に変え得る。上記のように、ドリフト軌道の回転の方向は、
Figure 0004131519
ドリフトと勾配ドリフトとの間の競合によって決定される。
Figure 0004131519
ドリフトが優勢である場合、このドリフト軌道は、反磁性方向に回転する。勾配ドリフトが優勢である場合、このドリフト軌道は、逆反磁性方向に回転する。これは、図12Aおよび12Bに示される。図12Aは、180°衝突に起因する、ベータトロン軌道からドリフト軌道への移行を示し、これは、点172で生じる。
Figure 0004131519
ドリフトが優勢であるので、このドリフト軌道は、反磁性方向で回転し続ける。図12Bは、別の180°衝突を示すが、この場合、静電場は弱く、そして、勾配ドリフトが優勢である。従って、ドリフト軌道は、逆反磁性方向に回転する。
ドリフト軌道の回転方向は、これが閉じこめられるか否かを決定する。ドリフト軌道内で移動する粒子はまた、FRC軸に対して平行な速度を有する。その平行移動の結果として、粒子がFRCの一方の端から他方の端まで移動するのにかかる時間は、遷移時間と呼ばれる;従って、ドリフト軌道は、移行時間のオーダーの時間で、FRCの端部に到達する。図9Aと共に示されるように、このFRCの端部におけるローレンツ力は、反磁性方向で回転するドリフト軌道のみを閉じ込めている。従って、遷移時間の後、逆反磁性方向で回転しているドリフト軌道中のイオンは、消失する。
この現象は、全てのFRC実験において存在していると予想されるイオンの消失機構を説明する。実際に、これらの実験において、イオンは、電流の半分を輸送し、そして電子は、残りの半分を輸送した。この条件において、プラズマの内側の電場は、無視でき、そして勾配ドリフトは、常に、
Figure 0004131519
ドリフトを支配した。従って、大きな角度の衝突により生成される全てのドリフト軌道は、遷移時間の後に失われた。これらの実験により、イオン拡散速度が、古典的な拡散推定値により予測される速度よりも速いことが報告された。
強力な静電場が存在する場合、
Figure 0004131519
ドリフトは、勾配ドリフトを支配し、そしてドリフト軌道は、反磁性方向に回転する。これは、図12Aと共に上で示された。これらの軌道が、FRCの端部に到達する場合、これらは、ローレンツ力によって、閉じた磁力線の領域に反射して戻される;従って、これらはこの系内に閉じ込められたままである。
衝突ビーム系中の静電場は、
Figure 0004131519
ドリフトが勾配ドリフトを支配するのに充分に強くあり得る。従って、この系の静電場は、このイオン消失機構(これはミラーデバイスにおける損失円錐と類似している)を排除することによって、イオン輸送を回避する。
イオン拡散の別の局面は、ベータトロン軌道に対する小さな角度の電子−イオン衝突の影響を考慮することによって、理解され得る。図13Aは、ベータトロン軌道112を示し;図13Bは、小さな角度の電子−イオン衝突が考えられる場合174の同じ軌道112を示し;図13Cは、10の因子だけ長い時間176にわたって追跡した図13Bの軌道を示し;そして図13Dは、20の因子だけ長い時間178にわたって追跡した図13Bの軌道を示す。ベータトロン軌道の位相が、小さい角度の電子−イオン衝突に起因して変化しないことが分かり得る;しかし、これらの半径方向の衝突の振幅は、時間と共に増加する。実際に、図13A〜13Dに示される軌道は、時間と共にふくらみ、このことは、古典的な拡散を示す。
(FRCの形成)
FRCを形成するために使用される従来の手順は、θ狭窄領域の反復手順を主に使用する。この従来の方法において、磁気バイアス領域は、中性ガスバック充填チャンバの周りの外部コイルによって適用される。一旦、これが生じると、このガスはイオン化され、そして磁性バイアス領域は、プラズマ中で凍結される。次に、外部コイル中の電流を迅速に逆方向に向け、そして先に凍結されたラインと接続する磁力線を逆方向に向け、閉じたFRC位相を形成する(図2を参照のこと)。この形成プロセスは、ほぼ経験的であり、そしてFRCの形成を制御する手段はほとんど存在しない。この方法は、乏しい再現性を有し、そして結果としてチューニング能力を有さない。
対照的に、本発明のFRC形成方法は、アンプルの制御を可能にし、そしてかなりより認識されないプロセスおよび再現可能なプロセスを提供する。実際に、本発明の方法によって形成されたこのFRCはチューニングされ得、そしてその形状および他の特性は、外側領域のコイル325によって適用された磁場の操作によって直接的に影響され得る。本発明の方法によるFRCの形成はまた、上記の方法における電場および電位壁の形成より生じる。さらに、本発明の方法は、リアクターレベルパラメーターおよび高エネルギー燃料電流までFRCを加速し、そして従来のイオンの閉じ込めを有利に可能にすることが容易に達せられる。さらに、この技術は、コンパクトなデバイス中で使用され得、そして反応器系のための全ての非常に所望される特性を与えるのを非常に強力にかつ容易にする。
本発明の方法において、FRCの形成は、循環プラズマビーム335に関連する。この循環プラズマビーム335は、これは電流であるので、循環ワイヤ中の電流と同様に、ポロイダル磁場を形成することが理解され得る。この循環プラズマビーム335の内側で、誘導する自己電場は、外側コイル325に起因して外側に適用された磁場と対立する。プラズマビーム335の外側で、自己電場は、適用された磁場と同一方向である。プラズマイオン電流が十分大きい場合、自己電場は、適用された領域を覆い、そしてこの磁場は、循環プラズマビーム335の内側へと反転し、これによって、図2および4に示されるようにFRC位相を形成する。
磁場反転の要求値は、単純なモデルで見積もられ得る。大きな半径rおよび小さな半径a<<rのリングによって実施される電流Iを考える。このリングに対して垂直なリングの中心の磁場は、B=2πI/(cr)である。リングの電流I=Ne(Ω/2π)は、角速度Ωを有するNイオンによって輸送されると仮定する。半径r=V/Ωで循環する単一イオンについて、Ω=eB/mcが外部磁場Bのサイクロトロン振動数である。Vが、ビームイオンの平均速度であると仮定する。磁場反転は、以下のように規定され:
Figure 0004131519
これは、N>2r/α、および以下:
Figure 0004131519
を意味し、ここで、α=e/m=1.57×10−16cmであり、そしてこのイオンビームのエネルギーは、1/2m である。1つの寸法モデルにおいて、プラズマ電流由来の磁場は、B=(2π/c)iであり、ここで、iは、単位長さあたりの電流である。この磁場反転の要求値は、i>eV/πrα=0.225kA/cmであり、ここで、B=69.3Gであり、そして1/2m =100eVである。周期リングのモデルについて、Bは、軸座標<B>=(2π/c)(I/s)(sは、リングのスペースである)で平均化され、s=rである場合、このモデルは、i=I/sを有する1つの寸法モデルと同一の平均磁場を有する。
(組み合わせビーム/ベータトロン形成の技術)
上記の閉じ込めシステム300内にFRCを形成する好ましい方法は、本明細書において、組み合わせビーム/ベータトロン技術と呼ばれる。このアプローチは、プラズマイオンの低いエネルギービームと、ベータトロン束コイル320を使用するベータトロン加速度を組み合わせる。
この方法の第1の工程は、バックグラウンドプラズマ供給源345を使用してチャンバ310中に、実質的に環状の一群の層のバックグラウンドプラズマを注入することである。外側コイル325は、このチャンバ310内に磁場を形成し、これにより、バックグラウンドプラズマに磁場を与える。短い期間で、低エネルギーのイオンビームは、チャンバ310内の外側に適用された磁場に対して実質的に横軸方向に、注入ポート340を介してチャンバ310に注入される。上で説明したように、イオンビームは、大きなベータトロン軌道のチャンバ310内で、この磁場によって捕捉される。このイオンビームは、イオン加速器(例えば、イオンダイオードおよびMarx発生器を備えた加速器)によって発生され得る(R.B.Miller,An Introduction to the Physics of Intense Charged Particle Beams,(1982)を参照のこと)。当業者に理解されるように、外部に適用された磁場は、イオンビームがチャンバ310に入るとすぐに、この注入されたイオンビームにローレンツ力を及ぼすが、このビームは偏向せず、イオンビームが循環プラズマビーム335に到達するまでベータトロン軌道に入らないことが所望される。この問題を解決するために、このチャンバ310に入る前に、イオンビームは電子で中性化され、そして実質的に方向付けされていない磁場を介して方向付けされる。図14に例示されるように、イオンビーム350が適切な磁場を介して方向付けされた場合、正に荷電されたイオンおよび負に荷電された電子は、分離する。従って、このイオンビーム350は、電場に起因して、電気自己局在化を得る。この磁場は、例えば、永久磁石またはイオンビームの経路に沿った電磁石によって作製され得る。続いて、閉じ込めチャンバ310に導入される場合、得られる電場は、ビーム粒子の磁力と釣り合い、イオンビームが偏光しないようにする。図15は、イオンビーム350がプラズマ335と接触する場合のイオンビーム350の上面図を示す。示されるように、プラズマ335からの電子は、ビーム350に向かってまたは遠ざかるように電場に沿って移動し、これにより、ビームの電子局在化を弱める。このビームがもはや電気的に局在化しなくなった場合、このビームは、図1に示されるように(図4もまた参照のこと)、主軸315の回りのベータトロン軌道にある循環プラズマビーム335に加わる。
このプラズマビーム335がこのベータトロン軌道中で移動する場合、この移動するイオンは電流を含み、次いで、ポロイダル自己電場を生じる。このチャンバ310内でFRC位相を形成するために、このプラズマビーム335の速度を上昇させ、これにより、プラズマビーム335が引き起こす自己電場の大きさを上昇させることが必要である。この自己電場が十分大きい場合、プラズマビーム335内の軸315からの半径距離における電場の距離が反転し、FRCを生じる(図2および4を参照のこと)。ベータトロン軌道内における循環プラズマビーム335の半径距離を維持するために、プラズマビーム335の速度が上昇するにつれて、外側コイル325から適用される磁場を上昇させることが必要である。従って、コントロールシステムが、外側コイル325を通る電流によって決定される、適切に適用された電場を維持するために提供される。あるいは、第2の外側コイルを使用して、加速される場合にこのプラズマビームの軌道の半径を維持するために必要とされる、さらに適用された磁場を提供し得る。
この軌道において循環プラズマビーム335の速度を上昇させるために、このベータトロン束コイル320が提供される。図16を参照すると、アンペア則によってベータトロン束コイル320を流れる電流を増加させることによって、このチャンバ310内の方位電場Eを誘導することが理解され得る。プラズマビーム335内の正に荷電されたイオンは、この誘導された電場によって加速され、上記のような反転電場に導く。イオンビームが上記のように循環プラズマビーム335に加えられる場合、このプラズマビーム335が、イオンビームを脱分極化する。
場の反転のために、循環プラズマビーム335は、好ましくは、回転エネルギー約100eVに、好ましくは、約75eV〜125eVの範囲に、加速される。融合関連条件に達するために、循環プラズマビーム335は、好ましくは、約200keVに、好ましくは、約100keV〜3.3MeVの範囲に、加速される。
FRC形成が、組み合わせビーム/ベータトロン形成技術を使用して、首尾良く示された。組み合わせビーム/ベータトロン形成技術は、500Gまでの外部付与磁場、5kGまでのベータトロンフラックスコイル320からの磁場、および1.2×10−5トルの減圧を使用して、直径1mおよび長さ1.5mのチャンバ中で実験的に実施された。この実験において、バックグラウンドプラズマは、密度1013cm−3を有し、イオンビームは、密度1.2×1013cm−3、速度2×10cm/s、およびパルス長約20μs(半分の高さにて)を有する中和水素ビームであった。場の反転が観察された。
(ベータトロン形成技術)
閉じ込め系300内にFRCを形成する別の好ましい方法が、本明細書中で、ベータトロン形成技術と呼ばれる。この技術は、ベータトロンフラックスコイル320を使用して循環プラズマビーム335を加速するために、ベータトロン誘導性電流を直接駆動することに基づく。この技術の好ましい実施形態は、図1に示される閉じ込め系300を使用するが、但し、低エネルギーイオンビームの注入は、必要ではない。
示されるように、このベータトロン形成技術中の主要構成要素は、チャンバ310の中心に軸に沿って取り付けられている、ベータトロンフラックスコイル320である。このコイルの別個の並行巻線の構成に起因して、このコイル320は、適切な電源と結合された場合に、非常に低いインダクタンスを示し、低いLC時間定数を有し、これにより、このフラックスコイル320における電流の迅速な上昇(ramp up)が可能になる。
好ましくは、外部場コイル325および330にエネルギー付与することにより、FRCの形成が開始する。このことは、その端部付近に軸方向案内場ならびに半径方向磁場成分を提供して、注入されたプラズマをチャンバ310中に軸方向に閉じ込める。一旦十分な磁場が確立されると、バックグラウンドプラズマ供給源345が、それ自体の電源からエネルギー付与される。プラズマ銃から発されたプラズマは、この軸方向案内場に沿って流れ、そしてその温度に起因して、わずかに拡散する。そのプラズマがチャンバ310の中間面に達したとき、ゆっくり移動する冷たいプラズマの、連続し軸方向に延びる環状層が、確立される。
この時点で、ベータフラックスコイル320が、エネルギー付与される。このコイル320において迅速に生じる電流は、そのコイルの内側において、迅速に変化する軸方向フラックスを引き起こす。誘導効果によって、軸方向フラックスにおけるこの迅速な増加は、方位角(azimuthal)電場Eの生成を引き起こし(図17)、この電場Eは、フラックスコイル周辺の空間に透過する。マクスウェルの方程式により、この電場Eは、そのコイルの内側の磁束強度の変化と正比例する。すなわち、より迅速なベータトロン電流の上昇(ramp−up)は、より強い電場をもたらす。
誘導により生じた電場Eは、プラズマ中の荷電粒子と結合し、ポンデロモーティブ(ponderomotive)力を引き起こし、これにより、環状プラズマ層中の粒子を加速する。電子は、その比較的小さい質量が理由で、加速される最初の種である。従って、このプロセスにより形成される最初の電流は、主に電子に起因する。しかし、十分な加速時間(約数百マイクロ秒)はまた、最終的にイオン電流をもたらす。図17を参照すると、この電場Eは、反対の方向に、この電子およびイオンを加速する。一旦両方の種がその最終速度に達すると、電流は、イオンおよび電子によりほぼ等しく運ばれる。
上記のように、回転するプラズマにより運ばれる電流は、自己磁場を生じる。プラズマ層における電流により生成される自己磁場が、外部場コイル325および330から付与された磁場と匹敵するようになった場合に、実際のFRCのトポロジーの生成が始まる。この時点で、磁気的な再結合(reconnection)が生じ、そして最初に外部により生成された磁場の開いた磁力線(open field line)は、閉じてFRCフラックス表面を形成し始める(図2および図4を参照のこと)。
この方法により確立される基礎のFRCは、中程度の磁場および粒子エネルギーを示し、これらは、代表的には、反応器に関連する作動パラメータにはない。しかし、誘導性電子加速場は、ベータトロンフラックスコイル320中の電流が迅速な速度で増加し続ける限り、存在する。このプロセスの効果は、FRCのエネルギーおよび全磁場強度が、増加し続けることである。従って、このプロセスの程度は、フラックスコイル電源により主に制限される。なぜなら、電流の継続した送達には、多量エネルギー貯蔵バンクが必要であるかである。しかし、原則的に、反応器に関連する条件にこのシステムを加速することは、簡単である。
場の反転のために、循環プラズマビーム335が、好ましくは、回転エネルギー約100eVに、好ましくは、約75eV〜125eVの範囲に、加速される。融合関連条件に達するために、循環プラズマビーム335は、好ましくは、約200keVに、好ましくは、約100keV〜3.3MeVの範囲に、加速される。上記のように、イオンビームが循環プラズマビーム335に付加された場合、このプラズマビーム335は、このイオンビームを減極する。
ベータトロン形成技術を利用するFRC形成が、以下のパラメータレベルにて首尾良く示された:
・減圧チャンバ寸法:直径約1mおよび長さ1.5m
・ベータトロンコイル半径10cm
・プラズマ軌道半径20cm
・減圧チャンバ中で生成された平均外部磁場は、100ガウスまでであり、上昇(ramp−up)期間150μsおよびミラー(mirror)比2:1(供給源:外部コイルおよびベータトロンコイル)であった。
・バックグラウンドプラズマ(実質的に水素ガス)は、平均密度約1013cm−3、運動温度10eV未満によって特徴付けられた。
・この構成の寿命は、この実験において貯蔵された全エネルギーにより制限され、そして一般的には、約30μsであった。
この実験は、まず、このチャンバの内側に円形様式で取り付けられた2組の同軸ケーブル銃によって、バックグラウンドプラズマ層を注入することにより、進行した。8個の銃の各コレクションが、この2つのミラーコイルアセンブリーのうちの1つに取り付けられた。これらの銃を、等距離の様式で方位角によって間隔を空け、そしてもう一方の組に対してずらした。この配置により、これらの銃は同時に発射することが可能であり、これによって、環状のプラズマ層を作製した。
この層の確立の際に、ベータトロンフラックスコイルにエネルギー付与した。このベータトロンコイルの巻線における電流を上昇させることにより、このコイルの内側のフラックスが増加し、これによってこのベータトロンコイルの周囲で曲がる、方位角電場が発生した。ベータトロンフラックスコイルにおける、急激に上昇した高い電流は、強い電場を発生させ、この電場が、環状のプラズマ層を加速し、これによって、相当に大きい電流を誘導した。十分に強いプラズマ電流は、自己磁場を発生させ、この磁場は、外部から供給される場を変化させ、そして場が反転した構成の作製を生じた。Bドットループを用いた詳細な測定値により、このFRCの範囲、強度および持続時間を同定した。
代表的なデータの例を、Bドットプローブ信号の追跡によって、図18に示す。このデータ曲線Aは、実験用チャンバの軸方向の中間平面(いずれかの端部プレートから75cm)での、15cmの半径位置における磁場の軸方向成分の絶対的強度を表す。データ曲線Bは、チャンバの軸方向の中間平面の、30cmの半径位置における磁場の軸方向成分の、絶対的強度を表す。従って、曲線Aのデータセットは、燃料プラズマ層の内側(ベータトロンコイルとプラズマとの間)の磁場の強度を表し、一方で曲線Bのデータセットは、燃料プラズマ層の外側の磁場の強度を示す。これらのデータは、内側の磁場が、約23μsと47μsとの間で方向を反転させ(負であり)、一方で外側の場は正のままである(すなわち、方向を反転させない)ことを、明確に示す。反転の時間は、ベータトロンコイルにおける電流の上昇によって制限される。一旦、ベータトロンコイルにおいてピーク電流に達すると、燃料プラズマ層において誘導される電流は、低下し始め、そしてFRCは急激に崩壊する。今までは、FRCの寿命は、実験において貯蔵され得るエネルギーによって制限されている。注入および捕捉の実験の場合と同様に、この系は、より長いFRC寿命および反応器に関連するパラメータへの加速を提供するように向上され得る。
全体的に、この技術は、コンパクトなFRCを作製するのみでなく、頑丈かつ実行が簡単でもある。最も重要なことには、この方法によって作製された基礎のFRCは、任意の所望のレベルの回転エネルギーおよび磁場強度に容易に加速され得る。このことは、融合の適用および古典的な高エネルギー燃料ビームの閉じ込めのために重要である。
(融合)
重要なことに、上記の閉じ込め系300などの内側にFRCを形成するためのこれら2つの技術は、内部で核融合を起こすために適切な特性を有するプラズマを生じ得る。より具体的には、これらの方法によって形成されたFRCは、任意の所望のレベルの回転エネルギーおよび磁場強度に加速され得る。このことは、融合の適用および古典的な高エネルギー燃料ビームの閉じ込めのために重要である。従って、閉じ込め系300において、高エネルギーのプラズマビームを、融合反応を起こすために十分な時間にわたって捕捉し、そして閉じ込めることが可能となる。
融合に適応するために、これらの方法により形成されるFRCは、好ましくは、ベータトロン加速による回転エネルギーおよび磁場強度の適切なレベルに加速される。しかし、融合は、任意の反応が生じるための物理的条件の特定の設定を要する傾向がある。さらに、燃料の効率的燃焼を達成し、正のエネルギー均衡を得るために、燃料は、長期間にわたり実質的に変化しないでこの状態に維持されなければならない。このことは、高い運動学的温度および/または高い運動エネルギーが融合関連状態を特徴付けるので、重要である。従って、この状態の作製は、かなり大きなエネルギー投入(燃料の大部分が融合すると回収され得る)を必要とする。結論として、燃料の閉じ込め時間は、燃料の燃焼時間よりも長くなければならない。このことは、正のエネルギー均衡をもたらし、結果的に正味のエネルギー生産をもたらす。
本発明の大きな利点は、本明細書中に記載の閉じ込めシステムおよびプラズマが長い閉じ込め時間(すなわち、燃料の燃焼時間を超える閉じ込め時間)を可能にすることである。従って、融合の代表的な状態は、以下の物理的条件(この条件は、燃料および操作モードに基づいて変化する傾向がある)により特徴付けられる:
平均イオン温度:約30〜230keVの範囲、好ましくは約80〜230keVの範囲
平均電子温度:約30〜100keVの範囲、好ましくは約80〜100keVの範囲
燃料ビーム(注入されるイオンビームおよび循環プラズマビーム)のコヒーレントエネルギー:約100keV〜3.3MeV、好ましくは約300keV〜3.3MeVの範囲
総磁場:約47.5〜120kGの範囲、好ましくは約95〜120kG(約2.5〜15kGの範囲、好ましくは約5〜15kGの範囲の磁場を外部から印加する)
古典的閉じ込め時間:燃料燃焼時間より大きく、好ましくは、約10〜100秒の範囲
燃料イオン密度:約1014〜1016cm−3未満の範囲、好ましくは約1014〜1015cm−3の範囲
総融合電力:好ましくは約50〜450kW/cm(チャンバ長1cmあたりの電力)。
上記に例示される融合状態に適応させるために、FRCを好ましくは、約100keV〜3.3MeVの範囲、より好ましくは約300keV〜3.3MeVの範囲のコヒーレント回転エネルギーのレベル、ならびに好ましくは約45〜120kGの範囲、より好ましくは約90〜115kGの範囲の磁場強度のレベルに加速させる。これらのレベルにて、高エネルギーイオンビームがFRCに注入され得、プラズマビーム層を形成するようにトラップされ得る。このプラズマビーム層で、このプラズマビームイオンは磁場により閉じ込められ、プラズマビーム電子は静電的に閉じ込められる。
好ましくは、電子温度は、実際にできるだけ低い温度に維持されて、制動放射(bremsstrahlung radiation)の量が減少される。そうでなければ、制動放射は、放射エネルギー損失をもたらし得る。本発明の静電エネルギーウェルは、このことを達成する効率的手段を提供する。
イオン温度は、好ましくは、効率的燃焼を提供するレベルに維持される。なぜなら、融合断面積は、イオン温度の関数であるからである。燃料イオンビームの高い直接エネルギーは、この適用において議論されるように、古典的な伝達を提供するために必須である。これはまた、燃料プラズマに対する不安定性の効果を最小にする。磁場は、ビーム回転エネルギーと一致する。磁場は、プラズマビームにより部分的に作製され(自己磁場)、次に、サポートを提供し、所望の軌道にプラズマビームを維持させる。
(融合生成物)
融合生成物は、零曲面86近辺で顕著に電力コアにて生成される。この零曲面から、融合生成物は、セパラトリクス84に向かう拡散により発生する(図2および4を参照のこと)。このことは、電子との衝突に起因する。(イオンとの衝突は、質量中心を変化させず、従って磁力線を変化させないからである)。それらの高い運動エネルギー(生成物イオンは、燃料イオンよりはるかに高いエネルギーを有する)に起因して、融合生成物は、セパラトリクス84を容易に横断し得る。一旦融合生成物がセパラトリクス84を超えると、これらは、イオン−イオン衝突からの散乱を経るのであれば、開放磁力線(open field line)80に沿って離れ得る。この衝突プロセスは拡散をもたらさないが、イオン速度ベクトルの方向を変更し得る。その結果、このイオン速度ベクトルの方向は、磁場に対して並行に向く。これらの開放磁力線80は、コアのFRC位相を、FRC位相の外側にもたらされた均一に印加された場で繋ぐ。生成物イオンは、異なる磁力線上で発生し、エネルギーの分布をたどる。有利なことには、生成物イオンおよび電荷中和電子(charge−neutralizing electrons)は、燃料プラズマの両方の端部から回転アニュラービームの形態にて発生する。例えば、p−B11反応の50MW設計に関しては、これらのビームは、約50cmの半径および約10cmの厚みを有する。セパラトリクス84の外側に見出される強い磁場(代表的には、約100kG)において、生成物イオンは、大部分のエネルギー生成物イオンについて、最小値約1cmから最大値約3cmまで変化する回転半径の関連分布を有する。
最初に、生成物イオンは、1/2 M(vparおよび1/2 M(vperpにより特徴付けられる縦エネルギー(longitudinal energy)ならびに回転エネルギーを有する。vperpは、軌道中心としての磁力線の周りの回転と関連する方位速度(azimuthal velocity)である。磁力線が、FRC位相の付近を離れた後に分散するので、総エネルギーが一定なままであると同時に回転エネルギーは、減少する傾向がある。これは、生成物イオンの磁気モーメントの断熱不変性の結果である。磁場において軌道を描いて周る荷電粒子が、それらの運動と関連する磁気モーメントを有することは、当該分野で周知である。ゆっくりと変化している磁場に沿って粒子が動く場合、1/2 M(vperp/Bにより記載される運動の断熱不変性がまた存在する。それらそれぞれの磁力線の周りを、軌道を描いて周る生成物イオンは、磁気モーメントおよびそれらの運動と関連するそのような断熱不変量を有する。Bは、約10分の1減少する(磁力線の広がりによって示される)ので、結果としてvperpが同様に約3.2分の1減少する。したがって、生成物イオンが均一な場の領域に達するときまで、それらの回転エネルギーは、それらの総エネルギーの5%未満である;言い換えると、そのエネルギーのほとんど全てが、縦成分である。
(エネルギー変換)
本発明の直接エネルギー変換システムは、プラズマ−電力生成システム400を形成するために、図19Aおよび20Aに示される、衝突ビーム融合反応炉(reactor)(CBFR)410の(部分的に例示された)電力コア436に連結された逆サイクロトロン変換器(inverse cyclotron converter)(ICC)420を備える。第2のICC(示されず)は、CBFR410の左に対称的に配置され得る。磁力カスプ486は、CBFR410とICC420との間に位置し、CBFR410およびICC420の磁場が統合するときに形成される。
ICC420およびその操作を詳細に記載する前に、代表的サイクロトロン加速器の総説が提供される。従来のサイクロトロン加速器は、磁場に対して垂直の速度を有するエネルギーイオンが、旋回して回転する。エネルギーイオンの軌道半径は、磁場強度およびそれらの電荷 対 質量比により決定され、エネルギーとともに増す。しかし、そのイオンの回転周波数(rotation frequency)は、それらのエネルギーとは無関係である。この事実は、サイクロトロン加速器の設計において活用されている。
図21を参照すると、従来のサイクロトロン加速器700は、2つの鏡像C型電極710を備え、対称的な電極平面(すなわち、そのページの平面)に対して垂直な磁力線を有する均質の磁場720に配置された鏡像D型空洞(cavity)を形成する。振動電圧(oscillating electric potential)がC型電極の間に印加される(図21Bを参照のこと)。イオンIは、サイクロトロン700の中心に配置された供給源から発射される。磁場720は、そのイオンの回転周波数が、電圧および関連する電場の周波数と適合するように調節される。イオンIが、電場の方向と同じ方向にてC型電極710の間の間隙730を横断する場合、イオンIが加速される。イオンIを加速することにより、そのエネルギーおよび軌道半径は増大する。このイオンが半周円弧を移動したとき(エネルギーの増加はない)、このイオンは間隙730を再び横断する。ここでC型電極710の間の電場が逆方向を有する。このイオンIは、再び加速され、そのエネルギーはさらに増大される。このプロセスは、イオンの回転周波数が振動電場の周波数に適合し続けるのであれば、イオンが間隙730を横断するたびにごとに繰り返される(図21Cを参照のこと)。他方で、電場が反対の方向にあるときに粒子が間隙730を横断する場合、粒子は減速され、中心の供給源に戻る。磁場720に対して垂直な初速度を有し、振動電場の適切な相にある間隙730を横断する粒子のみが、加速される。従って、適切な相適合は、加速に必須である。
原則的に、サイクロトロンを使用して、同一のエネルギーイオンのペンシルビームから運動エネルギーを抽出し得る。サイクロトロンを用いたイオンの減速(しかしエネルギー抽出(energy extraction)はない)が、BlochおよびJeffries,Phys.Rev.80,305(1950)により記載されるように、プロトンについて観察された。イオンは、振動場に対して減速相にもたらされるように、空洞へ注入され得る。次いで、そのイオンの全てが、図21Aに示される加速イオンの軌道Tが逆になる。電場との相互作用に起因してイオンが減速するので、それらの運動エネルギーは、サイクロトロンが一部である電気回路における振動電気エネルギーに変換される。電気エネルギーへの直接変換が達成され、非常に高い効率で生じる傾向がある。
実際に、イオンビームのイオンは、全ての可能な相でサイクロトロンに入る。変動する相がサイクロトロンの設計において補償されるのでなければ、そのイオンの半分が加速され、他の半分は減速される。結果として、最大変換効率は、実際上、50%である。さらに、上記で議論されたアニュラー融合生成物イオンビーム(annular fusion product ion beams)は、従来のサイクロトロンについての適切な外形である。
以下でより詳細に議論されるように、本発明のICCは、融合炉電力コアのFRCを出る融合生成物ビームのアニュラー特性(annular character)ならびにビーム内のイオンのランダム相対位相(random relative phase)およびそれらのエネルギーの拡がりに適合する。
図19Aに戻ると、CBFR410の電力コア436の一部は、左側に例示され、ここでプラズマ燃料コア435は、外側磁場コイル425により印加される磁場に部分的に起因して、形成されるFRC470中に閉じ込められる。このFRC470は、閉じた磁力線482、セパラトリクス484および開放磁力線480を備え、これは、上記のように、融合生成物のアニュラービーム437の特性を決定する。その開放磁力線480は、電源コア436から磁力カスプ486に向かって拡がる。上記のように、融合生成物は、エネルギーイオンおよび電荷中和電子を含むアニュラービーム437の形態で開放磁力線480に沿って電力コア436から発生する。
ICC420の外形は、約5mの長さを有する中空円筒状である。好ましくは、小さな直線間隙497を有する、4以上の、等しく半円筒状の電極494が、円筒状表面を構成する。操作時に、振動電圧は、交互になった様式にて、電極494に印加される。コンバーター内の電場Eは、図19Bに例示される端部図において示されるように、四重極構造を有する。電場Eは、対称軸上で消失し、その半径に対して線形的に増大し;ピーク値は、間隙497にて存在する。
さらに、このICC420は、外部場コイル488を備え、一様な場をICCの中空シリンダー形状中に形成する。電流がCBFR場コイル425の中を流れる方向と反対の方向に、電流がこのICC場コイル488中を流れるので、このICC420内の磁力線(field line)496は、CBFR410の開磁力線(open field line)480と方向と反対の方向に流れる。CBFR410の電力コア(power core)436から最も離れた末端において、このICC420は、イオンコレクター(ion collector)492を備える。
CBFR410とICC420と間に、対称磁気カスプ(symmetric magnetic cusp)486が存在し、ここで、CBFR410の開磁力線480が、ICC420の磁力線496と合流する。輪形状の電子コレクター490は、磁気カスプ486の反対の位置であり、そして電気的にイオンコレクター498に結合する。上で議論したように、磁気カスプ486の磁場は、ビーム437の軸方向速度(axial velocity)を高効率で回転速度に変換する。図19Cは、コンバーター420内の代表的なイオン軌道422を例示する。
CBFR410は、円筒状の対称性を有している。その中央に存在するのは、融合反応が生じるFRC470磁場トポロジーに中に含まれる融合プラズマコア435を伴った融合電力コア436である。言及したように、反応核および電荷を中和する電子が、燃料プラズマ435の両端からの軸ビーム437として現れる。p−B11反応の50MWデザインについての例として、これらのビームは、約50cmの半径および約10cmの厚さを有する。この軸ビームは、密度
Figure 0004131519
を有している。このような密度のために、磁気カスプ486は電子とイオンを分離する。これらの電子が、電子コレクター490への磁力線をたどり、イオンがカスプ486を通り、ここで、これらのイオン軌道(イオントラジェクトリ)は、ICC420の長さに沿った実質的にらせん状に経路をたどるように修正される。イオンが、共振回路(図示せず)に連結した電極494をらせん状に通過するときに、これらのイオンからエネルギーが取り出される。垂直(位置)エネルギーの損失は、電極に494の近くを初めに循環する最も高いエネルギーのイオンに対して最大であり、ここで、電場は最も強い。
これらのイオンが磁場カスプ486に到達すると、回転エネルギーは、初期の総エネルギー、すなわち
Figure 0004131519
にほぼ等しくなる。イオンが磁気カスプ486に達するときの、イオンのエネルギーおよびイオンの初期半径rの分布が存在する。しかし、これらの初期半径rは、初期速度vにおおよそ比例する傾向がある。動径方向の磁場および動径方向のビーム速度は、方位角方向にローレンツ力を生じる。このカスプ486における磁場は、粒子エネルギーを変化させないが、初期軸方向の速度
Figure 0004131519
を残りの軸方向速度vおよび方位角方向速度
Figure 0004131519
に変換する。方位角方向速度
Figure 0004131519
の値は、共役運動量
Figure 0004131519
の保存により決定され得る。
ビームイオンは、カスプ486の左側に入り込み、ここで、
Figure 0004131519
である。これは、カスプ486の右側に現れ、ここで、
Figure 0004131519
である。これらのイオンの回転振動数は、約1〜10MHz、好ましくは、5〜10MHz(これは、電力生成が生じる振動数である)の範囲にある。
これらのイオンがカスプ486を通過するために、有効イオンジャイロ半径は、半径rでのカスプ486の幅よりも長くなければならない。10分の1に軸方向速度を低減し、その結果、残差軸方向エネルギーが100分の1に低減することは、実験的に極めて実行可能である。従って、このイオンエネルギーの99%は、回転エネルギーに変換される。このイオンビームは、vおおよびrについての値の分布を有している。しかし、rが、FRCに基づくリアクターの特性により上に示されるようにvに比例しているので、回転エネルギーへの変換効率は全てのイオンについて99%の傾向にある。
図19Bに示されるように、本発明のICC420の対称電極構造は、好ましくは、4つの電極494を備える。タンク回路(示さず)は、瞬時電圧および電場を例示したようにするために、電極構造494に連結される。電圧およびタンク回路は、振動数ω=Ωで振動する。ギャップ497での方位角方向の電場を、図19Bおよび図22に示す。図22は、電極494の間のギャップ497における電場、およびイオンが角速度Ωで有して回転するときに受ける電場を例示する。完全な回転において、この粒子は、初期位相によって決定されるオーダーで加速度および減速度を交互に受けることは明らかである。方位角方向の電場Eθに加えて、動径方向の電場Eがまた、存在する。方位角方向の電場Eθがギャップ497において最大となり、そして、半径が減少するに従って減少する。図22は、粒子が、一定の半径を維持しながら回転することを仮定している。電場の勾配のために、減速度が通常加速度よりも常に優勢になる。加速度の相は、イオン半径を増大させ、その結果、そのイオンが次に減速度する電場を受けたときに、このイオン半径がより大きくなる。この減速度相は、イオンの初期位相に依存せずに優勢となる。なぜならば、軸方向電場Eθの動径方向の勾配は、常に、正であるからである。結果として、エネルギー保存効率は、従来のサイクロトロンと関連する初期位相問題に起因して、50%までに減少される。電場Eはまた、重要である。これはまた、振動して、そして図19Cにおけるような軸に垂直な平面にてゼロ(0)速度を有するもともとの半径にビームトラジェクトリを戻す、動径方向の正味の効果を生じる。
イオンが常に減速されるプロセスは、米国特許第2,736,799号に記載の現在の加速器の本質的な特徴である強力な焦点化(strong focusing)の原理に類似している。正の(焦点化(focusing))レンズおよび負の(脱焦点化(defocusing))レンズの併用は、磁場が正の勾配を有している場合に、正である。強力な焦点化四極子二重レンズ系を図23に例示した。第1のレンズは、x軸において焦点化し、そしてy軸において脱焦点化する。第2のレンズは、互いに取りかえられたx軸特性およびy軸特性に類似している。対称軸に磁場は消失し、そして、正の動径方向の勾配を有する。両方のレンズを介して通過するイオンビームについての正味の結果は、経路の順序に依存しない全方向に焦点化する。
類似の結果が、強力な軸方向磁場を含み、そして、TE111モードで作用する共振性空胴を通過するビームについて報告されている(Yoshikawaら、参照のこと)。このデバイスは、ペニオトロン(peniotron)と呼称される。TE111モードにおいて、共振性空胴は、電場が四極子対称性を有している定在波を有している。これらの結果は、本明細書中に記載の結果のいくつかと定量的に類似している。共振性空胴がサイズにしてはるかに大きく(10m長)、そしてずっと高振動数(155MHz)かつ高磁場(10T)で作用する点で、定量的な差異が存在する。高振動数波からのエネルギーの抽出は、レクテナを必要とする。このビームのエネルギースペクトルは、変換効率を減少させる。2種類のイオンの存在は、より重大な問題であるが、変換効率は、15MeVのプロトンを生成するD−Heリアクターにとって十分である。
ICC420の中の粒子についての単一粒子の軌道422を、図19Cにおいて例示する。この結果を、コンピュータシミュレーションにより得て、そして、類似の結果をペニトロンについて得た。ある半径rでのイオンの流入は、ICCの長さに沿って、らせん状に進み、そして、初期の回転エネルギーを消失した後に、同じ半径rの円上の点に収束する。この初期条件は、非対称性であり;最終状態はその非対称性を反映するが、それは初期位相に依存せず、全ての粒子が減速度される。ICCのイオンコレクター端部でのビームは繰り返して軸状であり、同様の寸法である。この軸方向速度は、10分の1に減少され、そして密度はそれに対応して増大した。単一粒子について、抽出効率99%は、実行可能である。しかし、種々の因子(例えば、軸方向ビームが変換器に入る前の軸方向ビームの垂直方向の回転エネルギー)が約5%分この効率を低減し得る。電力抽出は、約1〜10MHz、そして、好ましくは、5〜10HMzであり、その結果、パワーグリッドに連結するパワーコンディショニングに起因して変換効率のさらなる低減を与える。
図20Aおよび20Bにおいて示すように、ICC420における電極構造494の代替的実施形態は、2つの対称的な半円状電極および/またはイオンコレクター492に向かってテーパー状となったテーパー状電極494を備え得る。
ICC420の主要磁場内部のイオン動力学に対する調節は、図24Aおよび図24Bに示されるように、2つの補助コイルセット500および510を使用して実装され得る。コイルセット500および510は、ともに反対方向の電流を伴った隣接するコンダクターを備え、よって、磁場は、狭い幅を有する。磁場勾配は、図24Aにおいて概略図として例示されるように、イオン回転の振動数および位相を変化させる。図24Bに概略図として示されるように、多極の磁場は、線形加速器中と同様に集群を生じる。
(反応器(リアクター))
図25は、100MWのリアクターを例示する。外皮切断面としたジェネレーター(発生器)は、一様な磁場を印加するための超伝導コイルおよび磁場逆転(field−reversed)トポロジーを有する磁場を形成するためのフラックスコイル(flux coil)を備える融合電力コア領域を例示する。融合電力コア領域の隣接する対立端は、融合生成物の運動エネルギーの電力への直接的な変換のためのICCエネルギーコンバーター(エネルギー変換器)である。このようなリアクターのための支持装置を、図26において図示する。
(推進システム)
図27は、プラズマスラスト推進システム800を例示する。このシステムは、融合燃料コア835が含まれ、融合生成物が軸ビーム837の形態でその末端から現れるFRC電力コア836を備える。ICCエネルギーコンバーター820は、電力コアの1つの端に結合される。磁気ノズル850はこの電力コアのもう一方の端に隣接して位置付けられる。融合生成物の輪状ビーム837は、融合電力コアの一方の端から、磁力線にそって、エネルギー変換のためにICCへと流れ、そして、電力コアのもう一方の端から。そのスラストTのためにノズルから出る磁力線に沿って流れる。
本発明は、種々の改変および代替的な形態を受けやすいが、その具体的な例を図面に示し、そして、本明細書中において詳細に記載する。しかし、本発明は、開示された特定の形態に限定されず、逆に、本発明は、特許請求の範囲の趣旨および範囲内にある、全ての改変物、等価物および代替物に及ぶことが理解されるべきである。
好ましい実施形態は、添付の図面の図において、例として示されるが、限定としては示されておらず、ここで、同じ参照番号は同じ構成要素を参照する。
図1Aは、本発明の例示的な閉じ込めチャンバを示す。 図2は、FRCの磁場を示す。 図3Aおよび3Bは、それぞれ、FRCの反磁性方向および逆反磁性(counterdiamagnetic)方向を示す。 図4は、本発明の衝突ビームシステムを示す。 図5は、ベータトロン軌道を示す。 図6Aおよび図6Bは、それぞれ、FRCにおける磁場および勾配ドリフトの方向を示す。 図7Aおよび図7Bは、それぞれ、FRCにおける電場および
Figure 0004131519
ドリフトの方向を示す。
図8A、図8Bおよび図8Cは、イオンドリフト軌道を示す。 図9Aおよび図9Bは、FRCの端部でのローレンツ力を示す。 図10Aおよび図10Bは、衝突ビームシステムにおける電場および電位の調整を示す。 図11は、マクスウェル分布を示す。 図12Aおよび図12Bは、大きい角度のイオン−イオン衝突に起因する、ベータトロン軌道からドリフト軌道への移動を示す。 図13A、B、CおよびDは、小さい角度の電子−イオン衝突を考慮した場合の、ベータトロン軌道を示す。 図14は、閉じ込めチャンバに入る前に電気的に分極された場合の、中和されたイオンビームを示す。 図15は、閉じ込めチャンバ内にプラズマを接触させた場合の、中和されたイオンビームの正面図である。 図16は、始動手順の好ましい実施形態による、閉じ込めチャンバの概略側面図である。 図17は、始動手順の別の好ましい実施形態による、閉じ込めチャンバの概略側面図である。 図18は、FRCの形成を指向するB点プローブの追跡を示す。 図19Aは、逆サイクロトロン直接型エネルギー変換器に連結された衝突型ビーム核融合反応器を備える、粒子プラズマ電力発生システムを示す。 図19Bは、図19Aの逆サイクロトロン変換器の末端図である。 図19Cは、逆サイクロトン変換器のイオンの軌道を示す。 図20Aは、逆サイクロトン変換器の代替の実施形態に連結された衝突型ビーム核融合反応器を備える、粒子プラズマ電力発生システムを示す。 図20Bは、図20Aの逆サイクロトロン変換器の末端図である。 図21Aは、従来のサイクロトン内部での粒子軌道を示す。図21Bは、振動電場を示す。図21Cは、加速粒子の変化エネルギーを示す。 図22は、角速度を有するイオンによって経験されるICCの電極間のギャップにおける、方位角電場を示す。 図23は、集束四重極双極レンズを示す。 図24Aは、補助磁場コイルシステムを示す。 図24Bは、補助磁場コイルシステムを示す。 図25は、100MWの反応器を示す。 図26は、反応器支持設備を示す。 図27は、プラズマスラスト推進システムを示す。

Claims (22)

  1. プラズマ電力発生システムであって、該プラズマ電力発生システムは、
    イオンと電子とを含むプラズマを閉じ込め、プラズマイオン間の衝突から形成された融合生成物のイオンを生成する融合反応炉(410)であって、第1の磁場発生器(425)を有する融合反応炉(410)と、
    該融合反応炉の第1の端部に接続された直接エネルギー変換器(42)と
    を備え、
    直接エネルギー変換器は、
    減速させる電場を介して磁力線に沿って該融合生成物のイオンを方向付けることにより、該融合生成物のイオンの運動エネルギーを電力に変換することによって電力を生成し、
    円筒状表面を形成する3つ以上の電極であって、隣接する電極間に、長手方向に延びる細長間隙(497)を形成する間隔のあいた関係にある電極を有している第1の複数の電極(494)と、
    該第1の複数の電極(494)の該円筒状表面のまわりに位置する第2の磁場発生器(488)と、
    該第1の磁場発生器と該第2の磁場発生器との間に、そして該第1の複数の電極の第1の端部に隣接して位置する電子コレクター(490)と、
    該第1の複数の電極の第2の端部に隣接して配置されるイオンコレクター(492)と
    を備える、プラズマ電力発生システム。
  2. 前記融合反応炉の第2の端部に接続された第2の直接エネルギー変換器であって、減速させる電場を介して磁力線に沿って前記融合生成物のイオンを方向付けることにより、該融合生成物のイオンの運動エネルギーを電力に変換することによって電力を生成する第2の直接エネルギー変換器をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
  3. 前記融合反応炉(410)が円筒形のチャンバ(305)を備える、請求項1に記載のシステム。
  4. 前記磁場発生器は、前記円筒状のチャンバのまわりに位置し、前記融合反応炉が、チャンバの主軸(315)と同心円状でありかつ該チャンバ内の電源コア領域(436)内に配置される電流コイル(320)をさらに備え、該電源コア領域は、該磁場発生器の対向端部間で該チャンバ内部において軸方向に延びている、請求項3に記載のシステム。
  5. 前記電流コイルが、前記チャンバ内において、該チャンバの半径方向に直交する電場を生成する、請求項4に記載のシステム。
  6. 前記電極に接続されている共振回路をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
  7. 前記電極に接続されているタンク回路をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
  8. 前記電子コレクターが輪形状である、請求項1に記載のシステム。
  9. 前記チャンバ(305)は、長手方向に延びる主軸(315)を有し、
    前記第1の磁場発生器(325、425)は、該チャンバの中央領域内において方位角上対称的な磁場であって、該チャンバの該主軸に実質的に平行な磁力線(480)を有する磁場を生成し、
    前記第1の複数の電極(494)は、3つ以上の電極であって、隣接する電極間に、長手方向に延びる細長間隙(497)を形成する間隔のあいた関係にある電極を含み、該第1の複数の電極は、3つ以上の極を有する多極構造を有する電場を形成し、
    前記第2の磁場発生器(488)は、該チャンバの前記第1の端部領域内において方位角上対称的な磁場であって、該チャンバの該主軸に実質的に平行な磁力線(496)を有する磁場を生成する、請求項3に記載のシステム。
  10. 前記チャンバの第2の端部領域において円筒状表面を形成する第2の複数の電極であって、3つ以上の電極であって、隣接する電極間に、長手方向に延びる細長間隙を形成する間隔のあいた関係にある電極を備えている第2の複数の電極と、
    該チャンバの該第2の端部領域内において方位角上対称的な磁場であって、該チャンバの該主軸に実質的に平行な磁力線を有する磁場を生成する第3の磁場発生器と、
    前記第1の磁場発生器と該第3の磁場発生器との間に、そして該第2の複数の電極の第1の端部に隣接して位置する第2の電子コレクターと、
    該第2の複数の電極の第2の端部に隣接して配置される第2のイオンコレクターと
    を備える第2の直接エネルギー変換器であって、減速させる電場を介して磁力線に沿って前記融合生成物のイオンを方向付けることにより、該融合生成物のイオンの運動エネルギーを電力に変換することによって電力を生成する第2の直接エネルギー変換器をさらに備える、請求項9に記載のシステム。
  11. 前記第1の磁場発生器および前記第2の磁場発生器が、前記チャンバのまわりに配置された輪状場コイルを備え、該第1の磁場発生器の場コイルにより発生される磁場の磁力線が、該第2の磁場発生器の場コイルにより発生される磁場の磁力線に対向する方向に走る、請求項3または9に記載のシステム。
  12. 前記電子コレクターおよびイオンコレクターが、電気的に接続される、請求項1に記載のシステム。
  13. 前記電極が前記円筒状表面の主軸に対して対称的である、請求項1に記載のシステム。
  14. 前記第1の磁場発生器が、さらに、前記チャンバのまわりで間隔のあいた関係に配置されるミラーコイル(330)の第1および第2のセットをさらに備え、該ミラーコイル(330)の第1および第2のセットは、それらの間に電源コア領域(436)を規定する、請求項11に記載のシステム。
  15. 前記チャンバに接続されたプラズマ注入器(345)をさらに備える、請求項3に記載のシステム。
  16. 前記プラズマ注入器が、前記チャンバの中間面に向けてプラズマを注入するように軸方向に配向され、該中間面は、該チャンバの長手方向中心において、該チャンバの主軸に直交して該チャンバを横切る、請求項15に記載のシステム。
  17. 前記第1の磁場発生器が、調節可能である、請求項1に記載のシステム。
  18. 前記第1の磁場発生器に接続された制御システムをさらに備える、請求項17に記載のシステム。
  19. 前記電流コイルが、ベータトロンフラックスコイルである、請求項4に記載のシステム。
  20. 前記電流コイルが、平行な巻線の複数の別個のコイルを含む、請求項4に記載のシステム。
  21. 前記チャンバに接続されたイオンビーム注入器(340)をさらに備える、請求項3に記載のシステム。
  22. 前記イオンビーム注入器が、該注入器から放射されるイオンビームの電荷を中和するための手段を備える、請求項21に記載のシステム。
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