JP4131441B2 - スチレン系樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、防塵性及び外観に優れたスチレン系樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にポリスチレンは、成形性や寸法精度が良好で外観も美しく、カセットケース、食品容器、家庭用品などに広く使用されている。また耐衝撃性ポリスチレンやABS樹脂は、耐衝撃性、剛性、成形加工性に優れ、外観も良好であるところから、自動車内外装部品、家電製品、OA機器、住宅機器、レジャー用品、雑貨等に幅広く使用されている。ところがこのようなスチレン系樹脂は、一般に電気抵抗が大きく摩擦によって容易に帯電するので、成形品表面に塵埃が付着し易いという欠点を有している。このため種々の帯電防止の処方が検討されてきた。
【0003】
例えば本出願人の提案に係る特開平7−216178号や特開平8−134295号の各公報によれば、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアルカリ金属アイオノマー、とりわけカリウムアイオノマーと、ポリエチレングリコールやグリセリンなどのポリヒドロキシ化合物とをスチレン系樹脂に配合することにより、優れた帯電防止性能を有し、防塵性良好な成形品が得られることを開示している。ところがこのような配合処方においては、スチレン系樹脂の優れた特長である良好な外観を損ね易いという欠点を有していた。すなわち通常のスチレン系樹脂の成形温度で成形しようとすると成形品が着色することがあり、また着色を回避するため成形温度が低くしすぎると、成形品表面が平滑にならないという問題を抱えていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明者らは、スチレン系樹脂、アイオノマー及びポリヒドロキシ化合物配合系における優れた防塵性を損なうことなく、その外観を改良する処方について検討した。その結果、このような配合系にさらにスチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物又はその変性物を配合することにより、この目的が達成できることを見出すに至った。
したがって本発明の目的は、外観が良好で防塵性に優れたスチレン系樹脂組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、スチレン系樹脂(A)、スチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物又はその変性体(B)、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアルカリ金属アイオノマー(C)及びポリヒドロキシ化合物(D)からなり、(A)、(B),(C)の合計100重量部当たり、(A)が40〜94重量部、(B)が1〜30重量部、(C)が5〜40重量部の割合であって、(D)が(C)の0.1〜30重量%の割合で配合されてなるスチレン系樹脂組成物に関する。
【0006】
【発明の実施の態様】
本発明におけるスチレン系樹脂は、スチレンの単独重合体又は共重合体からなる熱可塑性樹脂であって、その代表例として、ポリスチレン、AS樹脂及びABS樹脂を例示することができる。
ここにポリスチレンとしては、懸濁重合法や乳化重合法などの各種製造方法によって得られる一般用ポリスチレンや耐熱性ポリスチレンのほか、ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエン共重合ゴム、エチレン・プロピレン共重合ゴムのようなゴム成分にスチレンをグラフト重合して得られる耐衝撃性ポリスチレンなどを総称するものである。
【0007】
またABS樹脂は、ブレンド法、グラフト法あるいはグラフトブレンド法などの各種製造方法によって合成されるゴム強化スチレン重合体樹脂を総称するものであり、ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエン共重合ゴム、エチレン・プロピレン共重合ゴムなどのゴム成分に、スチレンと、アクリロニトリル、メタクリル酸メチル、α―メチルスチレン、エチレンビスイミド、フェニルマレイミドなどの他のモノマーをグラフトしたものを代表例として挙げることができる。
【0008】
スチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物又はその変性物(B)におけるスチレン・共役ジエンブロック共重合体は、スチレン重合体単位と共役ジエン重合体単位を少なくとも一つ含有するブロック共重合体であって、このような重合体単位がある限り、スチレンと共役ジエンのランダム共重合体単位が包含されていてもよい。これらの代表例として、ポリスチレン・ポリブタジエン・ポリスチレントリブロック共重合体及びポリスチレン・ポリイソプレン・ポリスチレントリブロック共重合体を例示することができる。
このようなブロック共重合体の水素添加物は、原料ブロック共重合体の共役ジエン重合単位が水素添加されたものであり、最も代表的なものは、上記トリブロック共重合体が水素添加された一般にSEBS及びSEPSと称せられているポリスチレン・ポリ(エチレン・ブテン)・ポリスチレンブロック共重合体及びポリスチレン・ポリ(エチレン・プロピレン)・ポリスチレンブロック共重合体の形になっているものである。このようなブロック共重合体の水素添加物において、ポリスチレン重合単位は10〜50重量%、とくに20〜40重量%、共役ジエン重合体ブロックの水素添加物単位が50〜90重量%、とくに60〜80重量%のものが好ましい。
【0009】
本発明においてはこのようなブロック共重合体の水素添加物をそのまま使用することができるが、添加効果を考慮すると、これらにさらに官能基を付与するような変性を施したものを使用するほうが好ましい。このような変性の1例として、不飽和カルボン酸又はその無水物によるグラフト変性を挙げることができる。具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸のような不飽和カルボン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、ノルボルネンジカルボン酸無水物のような不飽和ジカルボン酸無水物によるグラフト変性を挙げることができる。最も好ましいのは、無水マレイン酸によるグラフト変性である。このような酸変性物においては、酸価が0.1〜20mgCH3ONa/g、とくに2〜10mgCH3ONa/gのものを使用するのが好ましい。また200℃、5kg荷重におけるメルトフローレートが、0.1〜200g/10分、とくに1〜100g/10分のものを使用するのが好ましい。
【0010】
本発明の(C)成分として用いるエチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアルカリ金属アイオノマーのベースポリマーとなるエチレン・不飽和カルボン酸共重合体は、エチレンと不飽和カルボン酸,さらに任意に他の極性モノマーを共重合して得られるものである。
ここに不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチルなどを例示することができるが、とくにアクリル酸またはメタクリル酸が好ましい。また共重合成分となりうる極性モノマーとしては、酢酸ビニル、ピロピオン酸ビニルのようなビニルエステル、アクリル酸メチル,アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸イソオクチル、メタクリル酸メチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチルのような不飽和カルボン酸エステル、一酸化炭素などであり,とくに不飽和カルボン酸エステルは好適な共重合成分である。
このようなエチレン・不飽和カルボン酸共重合体は、エチレンと不飽和カルボン酸、任意に他の極性モノマーを、高温,高圧下でラジカル共重合することによって得ることができる。
【0011】
アルカリ金属アイオノマー(C)としては、非帯電性に優れたものが使用されるが、そのためにはベースポリマーとなるエチレン・不飽和カルボン酸共重合体の不飽和カルボン酸含量、アルカリ金属の種類、その中和度などを適当に選択する必要がある。非帯電性や経済性を考慮するとカリウムアイオノマーの使用が最も好ましい。ここにカリウムアイオノマーとして、ベースポリマーとなるエチレン・不飽和カルボン酸共重合体の酸含量が少なすぎたり、あるいは中和度が小さすぎるものを使用すると、非帯電性良好な組成物を得ることが容易でない。そのため例えば、不飽和カルボン酸含量が10〜30重量%、好ましくは15〜25重量%のエチレン・不飽和カルボン酸共重合体のカリウムイオンによる中和度が60%以上、好ましくは70重量%以上のカリウムアイオノマーを使用するのが好ましい。
【0012】
よりカリウムイオン量が少なくて高い非帯電性を示すものとして、平均酸含量の異なる2種以上のエチレン・不飽和カルボン酸共重合体のカリウムアイオノマーがある。例えば、平均酸含量が10〜30重量%、好ましくは11〜20重量%である2種以上の共重合体であって、最高酸含量と最低酸含量のものの酸含量差が1重量%以上、好ましくは2〜20重量%異なるエチレン・不飽和カルボン酸共重合体のカリウムイオンによる中和度が60%以上、好ましくは70%以上の混合アイオノマーである。種々の性状を考慮すると、このような混合アイオノマーの使用がより好ましい。
【0013】
カリウムアイオノマーのベースポリマーとなる上記のようなエチレン・不飽和カルボン酸共重合体には、すでに述べたような極性モノマーが40重量%以下、好ましくは30重量%以下の割合で共重合されていてもよい。カリウムアイオノマーとしてはまた、加工性や他成分との混和性等を考慮すると、190℃,2160g荷重におけるメルトフローレートが、0.1〜100g/10分、とくに0.1〜50g/10分のものを使用するのが好ましい。
【0014】
ポリヒドロキシ化合物(D)は、アルコール性水酸基を2個以上有する化合物であり、具体的には各種分子量のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレングリコールなどのポリオキシアルキレングリコール、グリセリン,ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ソルビトールのような多価アルコール及びこれらのエチレンオキシド付加物、多価アミンとアルキレンオキシドの付加物などを例示することができる。
【0015】
本発明において、スチレン系樹脂(A)、スチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物又はその変性物(B)及びエチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマー(C)の使用比率は、この3者の合計量を100重量部とするときに、(A)を40〜9重量部、好ましくは45〜85重量部、(B)を1〜30重量部、好ましくは5〜25重量部、(C)を5〜40重量部、好ましくは10〜35重量部とされる。ここに(A)成分の使用比率が上記範囲より少なくなると、スチレン系樹脂の優れた特性を発現することが難しくなる。また(B)成分の使用量があまりに少ないと、外観改良の効果を充分に発揮することが難しくなる一方で、その量が上記範囲を越えると柔軟になりすぎるので好ましくない。また(C)成分の使用量が上記範囲より少ないと、充分な防塵性を付与することが難しくなり、また上記範囲より多量に使用すると、組成物が吸湿し易くなるので好ましくない。
【0016】
一方、ポリヒドロキシ化合物(D)は、カリウムアイオノマーの低湿度下での非帯電性を改善するために重要な成分であり、その使用量は、充分な非帯電性を付与するためには、(C)に対し0.1〜30重量%、好ましくは1〜20重量%、一層好ましくは2〜15重量%の割合となるようにする。このようにポリヒドロキシ化合物は、上述のようなカリウムアイオノマーとともに使用することより、相当量配合しても組成物中に取りこまれブリードアウトすることはないが、上記範囲を超えて配合するとブリードアウトするようになるので好ましくない。
【0017】
(A),(B),(C),(D)の各成分は、同時に配合することができるし、また任意の順序で逐次的に配合することもできる。一般には、(D)成分の混和性を考慮すると、(C)と(D)を予め混合しておくことが望ましい。配合は、例えば、押出機等の溶融混練装置を用い、各成分を溶融混合することによって行うことができる。本発明の組成物からの成形は、溶融混合後直ちに行ってもよく、また溶融混合後、一旦ペレット化した後、別の成形機で成形することができる。
【0018】
本発明の組成物にはまた、目的に応じ各種添加剤を配合することができる。このような添加剤として、例えば、酸化防止剤、光安定剤,紫外線吸収剤、顔料、染料、スリップ剤、架橋剤、架橋助剤、発泡剤、発泡助剤、粘着付与剤、無機充填剤、繊維強化材などを例示することができる。
【0019】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。尚、実施例及び比較例において使用した原料と得られた組成物の物性測定方法を以下に示す。
【0020】
1. 原料
(1) スチレン系樹脂
HIPS樹脂(日本ポリスチレン(株)製HIPS H640N)
(2) スチレン・ブタジエンブロック共重合体水素添加物(SEBS)の酸変性物
旭化成工業(株)製 タフテックM1962(ポリスチレン単位/エチレン・ブチレン単位=30/70、MFR60g/10分(200℃、5kg))
(3) スチレン・ブタジエンブロック共重合体水素添加物(SEBS)
旭化成工業(株)製 タフテックH1031(ポリスチレン単位/エチレン・ブチレン単位=30/70、MFR80g/10分(200℃、5kg))
(4) アイオノマー・グリセリン混合物
メタクリル酸含量12.5重量%のエチレン・メタクリル酸共重合体のカリウムアイオノマー(中和度82%、カリウム含量1.2モル/kgアイオノマー、MFR0.4g/10分)に関東化学(株)製グリセリンを10重量%配合したもの
【0021】
1.物性測定方法
(1)成形品外観
T型の成形品を加工し、色調、直角部の再現性及び表面の平滑性について評価し、以下のようにして判定した。
色調:焼けなどによる黄変の有無を調べた。
直角部の再現性:角が口金と同様に直角になっているか否かで判定した。
良好:再現性があった。
不良:角が丸くなった。
表面平滑性:成形品表面の凹凸の有無を確認した。
良好:表面の凹凸が見られなかった。
不良:全体的に凹凸が見られた。
(2)表面抵抗率
試験片を23℃、相対湿度30%、40%、50%、60%で24時問エージングした後、表面抵抗率を三菱化学(株)製高抵抗率計(H1RESTA-IP)で測定した。
【0022】
実施例1
HIPS樹脂、SEBS酸変性物及びアイオノマー・グリセリン混合物を重量比で60:10:30の配合割合で混合した後、40mmφ押出機を用い、樹脂温度190℃でT型の成形品を加工した。得られた成形品の外観は良好であった。
得られた成形品を真空乾燥機を用いて100℃、10torrで一晩乾燥した後、180℃で加圧成形し、厚さ1mmのシートとした。この試験片の相対湿度30%、40%、50%、60%における表面抵抗率の測定結果を表1に示す。
得られた成形品の表面抵抗率は、いずれも湿度依存性が小さく、かつ非帯電性を示すに充分小さい値であった。
【0023】
実施例2
実施例1において、HIPS樹脂、SEBS酸変性物及びアイオノマー・グリセリン混合物の重量比を55:15:30に代えた以外は実施例1と同様に行った。得られた成形品の外観は良好であった。また表面抵抗率も表1に示すように、いずれも湿度依存性が小さく、かつ非帯電性を示すに充分小さい値であった
【0024】
実施例3
実施例1において、HIPS樹脂、SEBS酸変性物及びアイオノマー・グリセリン混合物の重量比を50:20:30に代えた以外は実施例1と同様に行った。得られた成形品の外観は良好であった。また表面抵抗率も表1に示すように、いずれも湿度依存性が小さく、かつ非帯電性を示すに充分小さい値であった
【0025】
実施例4
実施例2において、SEBS酸変性物をSEBSに代えた以外は実施例1と同様に行った。得られた成形品の外観は良好であった。また表面抵抗率も表1に示すように、いずれも湿度依存性が小さく、かつ非帯電性を示すに充分小さい値であった。
【0026】
【表1】
Figure 0004131441
【0027】
比較例1
実施例1において、SEBS酸変性物を添加しない以外は同様にして成形品を加工した。成形品の表面は鮫肌状となった。
成形品の加圧成形試験片を作成し、その表面抵抗率を同様に測定した。結果は表2に示す通り、いずれも湿度依存性が小さく、かつ非帯電性を示すに充分小さい値であった。
【0028】
比較例2
HIPS樹脂のみから、実施例1と同様にして成形品を加工した。成形品の外観は良好であった。
成形品の加圧成形試験片を作成し、その表面抵抗率を同様に測定した。結果は表2に示す通り、いずれも非帯電性を示さなかった。
【0029】
【表2】
Figure 0004131441
【0030】
【発明の効果】
本発明の組成物から押出成形、射出成形、中空成形、圧縮成形等の各種成形法によって得られる成形品は、スチレン系樹脂が本来有する優れた特性を備えつつ、外観が良好であり、また非帯電性に優れ、低湿度下でも帯電防止効果の低下が少ない。また帯電防止の持続性に優れ、成形品表面におけるべたつきもないので防塵性が優れている。このような特長を生かし、例えば、自動車内外装材、OA機器、家電製品部品あるいはその保管収納ケース、文具、日用品などに広く使用することができる。

Claims (1)

  1. スチレン系樹脂(A)、スチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物又はその変性体(B)、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアルカリ金属アイオノマー(C)及びポリヒドロキシ化合物(D)からなり、(A)、(B),(C)の合計100重量部当たり、(A)が40〜94重量部、(B)が1〜30重量部、(C)が5〜40重量部の割合であって、(D)が(C)の0.1〜30重量%の割合で配合されてなるスチレン系樹脂組成物。
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