JP4130157B2 - 吸収性物品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、湿疹、あせも、かぶれ等の発生を効果的に防止し得る吸収性物品に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
使い捨ておむつを着用中の着用者の腰回りにはあせもが発生しやすいことが知られている。特に、背側の腰回りにあせもが発生しやすい。あせもが発生する原因には様々な説があるが、現時点では明確なメカニズムはわかっていない。しかし、汗があせもの一因になっていると考えられる。
【0003】
あせも等の発生を防止することを目的とした使い捨ておむつが提案されている。例えば蒸れを防止する目的で、吸収体の側縁から側外方にあるフラップを透液性のシートから構成した使い捨ておむつが提案されている(特許文献1参照)。また、蒸れずに吸湿性があり、かぶれにくく、違和感が生じにくくすることを目的として、おむつの最外層の裏面シートを親水性と通気性とを有するシートから構成した使い捨ておむつが提案されている(特許文献2参照)。
【0004】
更に図6に示すように、おむつのウエストフラップの内面に通気性の吸汗シート111を接合した使い捨ておむつが提案されている(特許文献3参照)。この使い捨ておむつは、湿疹、あせも、かぶれ等が発生し易いウエストフラップの内面に汗を吸収するシートを配することで、該シートによって着用者の腰回りから発生する汗を吸収させて、あせも等の発生を防止しようとするものである。このおむつによれば、着用者の腰回りから発生する汗は前記吸汗シートに吸収される。しかし、汗を吸収して湿潤した状態となっている前記吸汗シートは、着用者の肌に当接した状態となっているので、着用者の肌は湿潤状態にさらされることになる。従って、あせも等の発生を十分に防止することはできない。
【0005】
【特許文献1】
特許第3009482号公報
【特許文献2】
特許第2894770号公報
【特許文献3】
特開2000−189454号公報
【0006】
従って本発明は、湿疹、あせも、かぶれ等の発生を効果的に防止し得る吸収性物品を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、左右側部及び前後端部を有し、吸収体の該前後端部側における端縁から延出するエンドフラップを有する吸収性物品であって、
一方の前記エンドフラップは、その肌当接面に、親水性かつ通気性であって、JIS P8141に準じて測定されたクレム吸水高さが25mm以上である吸汗シートを有し、
前記吸汗シートの肌当接面と反対の面側に存する別のシートのすべてが、前記エンドフラップの該吸汗シートと重なる部分においてすべて透湿性かつ撥水性の部位を有する吸収性物品を提供することにより前記目的を達成したものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1には、本発明の吸収性物品の一実施形態としてのパンツ型使い捨ておむつの斜視図が示されている。図2には、図1に示すおむつをサイドシール部で切り離して展開し、トップシート側から見た平面図が示されている。図3には、図2に示す平面図の一部破断分解斜視図が示されている。図4及び図5にはそれぞれ図3及び図2におけるIV−IV線及びV−V線に沿う断面図がそれぞれ示されている。
【0009】
図1に示すようにおむつ1はパンツ型である。図2〜図4に示すように、おむつ1は液透過性の表面シート2、液不透過性の裏面シート3及び両シート2,3間に介在された液保持性の吸収体4を有する吸収性本体10と、該吸収性本体10の外側(非肌当接面側)に位置して該吸収性本体10を接合固定している外装体5とを具備し、着用時に着用者の腹側に配される腹側部Aの両側縁と背側に配される背側部Bの両側縁とが、ヒートシール、高周波シール、超音波シール等の公知の接合手段により互いに接合されてサイドシール部が形成されている。これにより、図1に示すようにおむつ1にはウエスト開口部7及び一対のレッグ開口部8,8が形成されている。なお、腹側部Aと背側部Bとの間は股下部Cとなっている。また、本実施形態では明示していないが、吸収体4は吸収コアがその周囲を台紙で覆われている。
【0010】
図2及び図3に示すように、吸収性本体10は縦長矩形状をなし、その長手方向をおむつ1の長手方向に一致させて、おむつ1の腹側部Aから背側部Bに亘るように、公知の接合手段により外装体5の幅方向中央部に接合されている。吸収性本体10における吸収体4は、長手方向中央部が括れた砂時計状をなし、表面シート2及び裏面シート3間に挟持固定されている。
【0011】
図2〜図4に示すように吸収性本体10においては、その左右両側部に、長手方向へ延びる一対の第1立体ガード6A,6A及び第2立体ガード6B,6Bが形成されている。図4に示すように第1立体ガード6Aは、吸収性本体10の幅方向内方側に自由端61Aを有し且つ外方側に固定端(立ち上がりの基端)62を有している。自由端61A近傍には、該自由端61Aに沿って、弾性部材63Aが伸縮自在に配設されている。一方、第2立体ガード6Bは、外装体5との固定端64を有しており、該固定端64よりも幅方向外方側に自由端61Bを有している。自由端61B近傍には、該自由端61Bに沿って、弾性部材63Bが伸縮自在に配設されている。
【0012】
外装体5は2枚のシート材から構成されている。具体的には図3に示すように、外装体5は外層シート51と内層シート52との積層体から構成されている。図3においては、理解の助けとするため、外層シート51にドット模様を付して内層シート52と区別してある。外層シート51はおむつ1の最外面をなしている。内層シート52は、外層シート51に隣接しておむつ1の内面側に配されている。外層シート51及び内層シート52は何れも撥水性の不織布から構成されている。外層シート51と内層シート52とは、それらの側縁部の輪郭は同形状となっているが、長手方向に関する形状は異なっている。具体的には図3に示すように、外層シート51は、内層シート52の前後端縁から前後方向に延出した延出部51A,51Bを有している。延出部51A、51Bはそれぞれ、外装体5の内層シート上に吸収性本体10が配置固定された後、該吸収性本体10の前後端を覆うように該吸収性本体10側に折り返される(図2及び図5参照)。折り返された延出部51A,51Bの端縁は、吸収体4の前後端縁を越えて延出し吸収体上にまで達している。これによっておむつ1には、吸収体4の前後端縁からそれぞれ前後方向に延出するエンドフラップE1,E2が形成される(図1、図2及び図5参照)。図5から明らかなように、エンドフラップE1,E2は、少なくとも内層シート52と、折り返されて二重になっている外層シート51とから構成されている。そして、液透過性のトップシート2はエンドフラップE1,E2には存在していない。
【0013】
図1〜図3に示すように、エンドフラップE1,E2にはおむつ1の幅方向に延びる複数の弾性部材71が所定間隔をおいて伸長状態で配されている。これによってウエスト開口部7にはその全周に亘って実質的に連続した環状のウエストギャザーが形成されている。また各レッグ開口部8,8には、その開口縁部に沿って複数の弾性部材81が伸長状態で配されている。これらの弾性部材とは別に、図1及び図2に示すように、ウエスト開口部7とレッグ開口部8,8との間に位置する胴周囲部Dには、おむつ1の幅方向に延びる複数の弾性部材91が所定間隔をおいて配されている。弾性部材91は、少なくとも吸収体4の両側縁よりも幅方向外方の部位に弾性伸縮性が発現されるように伸張状態で配設固定されており、且つ吸収体4が存在する部位の少なくとも幅方向中央部には弾性伸縮性が発現される状態では配設されていない。以上の各弾性部材71,81,91は何れも外装体5を構成する外層シート51と内層シート52との間に挟持固定されている。
【0014】
以上の各部材を構成する材料としては当該技術分野において通常用いられているものを特に制限なく用いることができる。例えばトップシート2としては、親水性且つ液透過性の不織布や、開孔フィルムを用いることができる。バックシート3としては液不透過性のフィルム等を用いることができる。このフィルムは透湿性を有していることが好ましい。吸収体4としてはフラッフパルプと高吸収性ポリマーの粒子との混合積繊物を用いることができる。各弾性部材としては天然又は合成のエラストマー材料を用いることができる。立体ガードを構成するシート並びに外層シート51及び内層シート52としては、先に述べた通り撥水性の不織布が用いられる。
【0015】
而して本実施形態においては、図2、図3及び図5に示すように、背側部BのエンドフラップE2の肌当接面に吸汗シート11が配されている。吸汗シート11は、トップシート側へ折り返された外層シート51の延出部51B上に配されている。図5に示すように、吸汗シート11はその前端縁11aが、エンドフラップE2の端縁Eaよりもやや手前(吸収体端縁寄り)の位置にある。また吸汗シート11の後端縁11bは、外層シート51の延出部51Bの端縁51Bbよりもやや手前(エンドフラップ端縁寄り)の位置にある。
【0016】
更に図2に示すように、吸汗シート11の左右両側縁は、背側部Bにおける外装体5の左右両側縁よりも内側寄りの位置にある。これによって、外装体5における腹側部Aの両側縁と背側部Bの両側縁とをシールしてパンツの形態となす際に、内層シート51どうしが対向するようになり、該シールを確実に行うことができる。
【0017】
吸汗シート11は親水性で且つ通気性を有するシート材からなり、JIS P8141に準じて測定されたクレム吸水高さが25mm以上のものである。そしてエンドフラップE2においては、吸汗シート11の肌当接面と反対側の面側において、エンドフラップE2の厚み方向に関して該吸汗シート11と重なる部分に存する別のシートがすべて透湿性かつ撥水性のシート(以下、撥水性シートという)から構成されている。本実施形態においては、吸汗シート11の肌当接面と反対側の面側に存するシートである外層シート51及びその延出部51B並びに内層シート52が、すべて撥水性シートから構成されている。換言すれば、エンドフラップE2においては、その肌当接面の全域が実質的に吸汗シート11から構成され、吸汗シート11よりもおむつ外面側に位置するシートすべてが透湿性かつ撥水性のものとなっている。なお、本発明では前記別のシートの一部が、吸汗シート11と重なる部分の厚み方向において透湿性かつ撥水性であれば、その部分から汗が外部へ放出されるが、本実施形態では最も好ましい例として吸汗シートと重なる部分の全面で別のシート(外層シート51及びその延出部51B並びに内層シート52)が透湿性かつ撥水性であるものを示した。別のシートにおける吸汗シート11と重なる部分の50%以上の面積で透湿性かつ撥水性であることが好ましく、80%以上がより好ましい。
【0018】
エンドフラップE2においては、最外面の外層シート51とそれに対向する内層シート52とが、カーテンスプレーされたホットメルト粘着剤によって互いに部分的又は全面で接合固定されている。また、内層シート52とそれに対向する外層シート51の延出部51Bも同様の手段によって互いに接合固定されている。更に延出部51Bと吸汗シート11についても同様である。このときエンドフラップE2は、該エンドフラップE2と吸収体4の端縁との境界部を含むエンドフラップE2のおむつ幅方向において、エンドフラップE2を構成するシートどうしが連続的に接合されている。これによってエンドフラップE2は、吸収体4に吸収された液がおむつ前後端方向へ流れ出ようとすることに対する液漏れ防止シール部として作用する。該接合はおむつ幅方向全幅にわたり設けられることが好ましい。
【0019】
本実施形態のおむつ1が以上の構成を備えていることで、おむつ1には以下の有利な効果(1)〜(3)が奏される。
(1)おむつ1の着用中に着用者の背側の腰回りから発散された汗は、エンドフラップE2の肌当接面に配された親水性を有する吸汗シート11に吸収される。あせもの発生部位として腰回りが多いことは冒頭に述べた通りである。この場合、吸汗シート11は親水性かつ通気性を有し、クレム吸水高さが25mm以上であり、しかもエンドフラップE2における吸汗シート11よりもおむつ外面側に位置するシートはすべて透湿性かつ撥水性のものなので、吸汗シート11に吸収された汗はエンドフラップE中に保持されにくく、むしろ吸汗シート11から蒸散する。その結果、着用者の腰回りは低湿度のドライな状態が保たれ、あせも等が発生しづらくなる。先に述べた特許文献3に記載のおむつでは吸汗シートに隣接して親水性のトップシートが配されており、通常トップシートは排泄された尿が着用者肌へ戻ることを防止するために厚く、クレム吸水性が低いことから(通常、概ね5cm未満)、吸汗シートに吸収された汗が吸汗シート及びトップシートに保持されやすくなってしまい、これが原因で汗の蒸散が起こりにくくなる。
【0020】
(2)吸収体4に吸収された液は着用者の体圧によって吸収体4からしみ出しエンドフラップE2へ移行しようとする。しかし本実施形態においては、エンドフラップE2は少なくとも吸収体4の端縁との境界部において、何れも撥水性である外層シート51及びその延出部51B並びに内層シート52がおむつ幅方向全長にわたり接合されて、おむつ前後端方向へ流れ出ようとする尿等に対する液漏れ防止シール部を形成しているので、エンドフラップE2への液の移行が阻止される。つまり、エンドフラップE2が湿潤状態となることが防止される。その結果、前記(1)で述べた吸汗シート11からの汗の蒸散が阻害されにくくなる。先に述べた特許文献3に記載のおむつでは吸収体に吸収された液が直接エンドフラップへしみ出しエンドフラップを湿潤させてしまうので、吸汗シートに吸収された汗の蒸散が阻害されるばかりでなく、逆に着用者の腰回りを濡らし、あせも等の発生を助長してしまう。また、おむつの本来の目的であるモレ防止効果も不充分である。
【0021】
(3)エンドフラップE2を構成するシート材の一つである撥水性の延出部51Bが吸収体4の端縁を越えて延出し吸収体上にまで達している。その延出部51B上で且つ延出部51Bの周縁よりも内側に、吸汗シート11が位置しているので、着用者の体圧によって吸収体4からしみ出した液がトップシート2を伝って吸汗シート11に到達したり、エンドフラップE2へ移行することが阻止される。つまり前記(2)と同様にエンドフラップE2が湿潤状態となることが防止される。その結果、前記(1)で述べた吸汗シート11からの汗の蒸散が阻害されにくくなる。先に述べた特許文献3に記載のおむつでは吸収体に吸収された液がトップシートを伝ってエンドフラップへしみ出しエンドフラップを湿潤させてしまうので、吸汗シートに吸収された汗の蒸散が阻害されるばかりでなく、逆に着用者の腰回りを濡らし、あせも等の発生を助長してしまう。
【0022】
前述の効果を確実に奏するためには、撥水性シートはその撥水性の程度が耐水圧で表して好ましくは1g/cm2以上、更に好ましくは3g/cm2以上であり、吸汗シート11は親水性の程度が耐水圧で表して0g/cm2である。耐水圧は以下のように測定する。
【0023】
<耐水圧の測定方法>
垂直に連ねた直径35mmの2つの円筒管の間にサンプルのシートを挟み込み、上側の円筒管に8g/分の速度で生理食塩水を流し込む。生理食塩水がサンプルのシートを突き破り、下側の円筒管に流れ始める時間を測定する。生理食塩水の流速と、サンプルのシートを突き破るまでの時間とから液量を算出する。算出された液量を円筒菅の断面積で除した値を耐水圧とする。
【0024】
吸汗シート11は親水性を有するが、液保持性が高すぎるとシート自身に液を取り込んで、汗が蒸散しなくなってしまうおそれがある。そこで吸汗シート11に吸収された汗の蒸散を一層促進させる観点から、吸汗シート11は適度に液保持性のある繊維シートからなることが好ましい。吸汗シート11は例えば親水性繊維を50重量%以上、特に60重量%以上含むことが好ましい。吸汗シート11は親水性繊維100%から構成されていてもよく、或いは親水性繊維と疎水性繊維と含んで構成されていてもよい。後者の場合には、吸汗シート11は疎水性繊維を50重量%未満、特に40重量%未満の量で含むことができる。
【0025】
親水性繊維としては例えばレーヨン、コットン、パルプなどを用いることができる。一方疎水性繊維としては例えば各種熱可塑性樹脂からなる繊維を用いることができる。本発明で使用される親水性繊維(不織布)の中には、疎水性の熱可塑性樹脂からなる繊維を各種親水処理した繊維や、疎水性繊維からなる不織布を各種親水化処理した不織布も含まれる。これらの繊維を含む繊維シートとしては、例えばスパンレース不織布、エアスルー不織布、紙などが挙げられる。具体的にはレーヨンとポリオレフィン系繊維とからなるスパンレース不織布が挙げられる。これらの繊維シートの坪量は 15〜50g/m2、特に18〜35g/m2であることが、吸汗シート11に吸収された汗の蒸散を一層促進させる点から好ましい。
【0026】
同様の観点から、エンドフラップE2を構成する繊維材料の全量に対する親水性繊維の割合は5〜50重量%、特に10〜35重量%であることが好ましい。この親水性繊維には、疎水性の熱可塑性繊維に親水性油剤が塗布された後、不織布化されたものも含む。例えば、おむつ用の液透過性トップシートとして一般的に使用されるポリオレフィン系のエアスルー不織布がその代表例である。
【0027】
本実施形態の吸汗シート11は一層構造のものであるが、2層以上の構造であっても構わない。この場合には、全層構造体としてクレム吸水高さを測定して25mm以上であることが必要である。
【0028】
吸収された汗の蒸散を更に一層促進させる点から、吸汗シート11は拡散性の高いものであることも好ましい。この観点から、吸汗シート11のクレム吸水高さは30mm以上、特に40mm以上であることが好ましい。
【0029】
また吸収された汗を保持せずに素早く蒸散させる点から、吸汗シート11は生理食塩水の飽和吸収量が100〜400g/m2、特に150〜350g/m2であることが好ましい。飽和吸収量は次の方法で測定される。先ず、吸汗シート11のサンプルの重量を正確に量り取り、生理食塩水〔0.9%NaCl、大塚製薬(株)製〕2000mlの入ったビーカー中に入れ10分間放置する。その後、サンプルを取り出し、サンプルを適当な太さを有する竿に静かに置く。10分後のサンプルの重量を測定し、以下に示す式から飽和吸収量を求める。1種類のサンプルにつき3つのサンプルで測定を行い、その平均値を飽和吸収量とする。これらの操作は温度20℃、湿度65%の恒温環境下において行う。
飽和吸収量(g/m2)={飽和吸収後のサンプル重量−初期のサンプルの重量}/初期のサンプルの面積(平面視したときの見掛け面積)
【0030】
本発明は前記実施形態に制限されない。例えば前記実施形態においては、エンドフラップを構成する吸汗シート以外のシート材はすべて不織布であったが、該シート材としては不織布に限られず透湿性で且つ撥水性であればどのようなシート材を用いてもよい。例えば透湿性で且つ撥水性の不織布に代えて透湿性で且つ撥水性のフィルムを用いることができる。また両者を併用することもできる。
【0031】
また前記実施形態においては、吸汗シートは背側のエンドフラップE2にのみ配されていたが、これに代えて又はこれと共に腹側のエンドフラップE1に吸汗シートを配してもよい。
【0032】
また吸汗シート11の前端縁11aとエンドフラップE2の端縁Eaとは、ほぼ同位置にあってもよい。また、吸汗シート11の後端縁11bは、エンドフラップE2と吸収体4の端縁との境界部に位置していてもよい。要するに、エンドフラップE2の肌当接面の実質的に全域が吸汗シート11から構成されていればよい。
【0033】
更に前記実施形態においては、本発明の吸収性物品の一実施形態としてパンツ型の使い捨ておむつを例にとり説明したが、本発明はこれ以外の吸収性物品、例えば展開型の使い捨ておむつやショーツ型の生理用ナプキン等にも同様に適用することができる。
【0034】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲はかかる実施例に制限されない。
【0035】
〔実施例1〕
吸汗シート、トップシート、外層シーと及び内層シートとして以下の表1に示すものを用い、またバックシートとしてポリプロピレンフィルムからなる透湿性シートを用い、図1〜図5に示す構成のパンツ型使い捨ておむつを作製した。それ以外の部材には公知の材料を用いた。また、吸収体の端縁とエンドフラップの境界部で、おむつ幅方向全幅に渡って外層シート、内層シート及び外層シートの折り返し部を接合した。
【0036】
〔比較例1〕
背側のエンドフラップE2の構成を、図6に示す形態(特開2000−189454号公報の図4に示す形態に同じ)とする以外は実施例1と同様にしてパンツ型使い捨ておむつを作製した。
【0037】
〔比較例2〕
吸汗シートとして表1に示すものを用いる以外は比較例1と同様にしてパンツ型使い捨ておむつを作製した。
【0034‘】
〔比較例3〕
実施例1から吸汗シートを取り除いたパンツ型使い捨ておむつを作製した。
【0038】
〔性能評価〕
実施例及び比較例で得られたおむつおよびシート材料について、以下の方法で▲1▼液蒸散性、▲2▼着装内の水分率変化、▲3▼尿モレ吸収性能を測定した。結果を表1に示す。
【0039】
〔▲1▼液蒸散性〕
7cm×7cmのアクリル板に0.2gの蒸留水をスプレー塗布する。各実施例、比較例のおむつから吸汗シートを含むように10cm×10cmの大きさにサンプリングした評価サンプルシートをその上に載せる。温度20℃、湿度65%RHの恒温環境下にて蒸留水が蒸散する量を重量変化で測定する。10分後の蒸留水の蒸散量を初期の蒸留水量(0.2g)で除し、その割合を液蒸散性の値とする。
【0040】
〔▲2▼着装内の水分率変化〕
成人モニター5名の前腕部3cm×3cmの面積に0.2gの蒸留水をスプレー塗布する。各実施例、比較例のおむつから吸汗シートを含むように5cm×5cmの大きさにサンプリングした評価サンプルシートをその上に載せる。温度20℃、湿度65%RHの恒温環境下にて30分間放置する。その後シートを取り除き、前腕部の水分を軽く拭いた後、当該部位の肌水分率をモイスチャーチェッカー(スカラ社製)を用いて測定する。対照として、同じ部位の処理前の肌水分率を測定する。前記処理後の肌水分率と対照の肌水分率との差を求め、この値を水分率変化とする。
〔▲3▼尿モレ吸収性能〕
実施例、比較例のおむつをベビーモデルに装着させ、40g/回ずつ人工尿を注入して背側から漏れるまでの注入量を測定する。この注入量を尿モレ吸収性能とする。
【0041】
【表1】
【0042】
表1に示す結果から明らかなように、実施例1のおむつ(本発明品)によれば着装内の水分率変化は着装外と同程度となっており、着用者の肌がドライな状態に保たれていることが判る。これに対して比較例1及び2のおむつにおいては、水分率変化の値が高く、着用者の肌が湿潤した状態になっていることが判る。特に比較例2のおむつは水分率変化の値が極めて高いことが判る。比較例2より親水性繊維量を増やしても比較例1では水分変化率が向上していないのに対し、実施例1では親水性繊維量が比較例1、2よりも少ないにも関わらず水分変化率が極めて小さいことは特筆すべきである。また、実施例1のおむつでは吸汗シートを配しない比較例3のおむつと同様の吸収性能を示したのに対し、従来の吸汗シートを配したおむつである比較例1、2では吸収性能が劣っていた。
【0043】
【発明の効果】
本発明の吸収性物品によれば、湿疹、あせも、かぶれ等の発生を効果的に防止できる。特に、あせも等が発生し易い着用者の腰回りおけるあせも等の発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の吸収性物品の一実施形態としてのパンツ型使い捨ておむつを示す斜視図である。
【図2】図1に示すおむつをサイドシール部で切り離して展開し、トップシート側から見た平面図である。
【図3】図2に示すおむつの一部破断分解斜視図である。
【図4】図3におけるIV−IV線に沿う断面図である。
【図5】図2におけるV−V線に沿う断面図である。
【図6】従来のおむつにおけるエンドフラップを示す断面図である。
【符号の説明】
1 パンツ型使い捨ておむつ(吸収性物品)
2 トップシート
3 バックシート
4 吸収体
5 外装体
51 外層シート
52 内層シート
10 吸収性本体
11 吸汗シート
E1,E2 エンドフラップ
Claims (5)
- 左右側部及び前後端部を有し、吸収体の該前後端部側における端縁から延出するエンドフラップを有する吸収性物品であって、
一方の前記エンドフラップは、その肌当接面に、親水性かつ通気性であって、JIS P8141に準じて測定されたクレム吸水高さが25mm以上である吸汗シートを有し、
前記吸汗シートの肌当接面と反対の面側に存する別のシートのすべてが、前記エンドフラップの該吸汗シートと重なる部分においてすべて透湿性かつ撥水性の部位を有し、
前記吸収体上には液透過性の表面シートが存在し、少なくとも一の前記別のシートが前記吸収体上の表面シート上にまで達している吸収性物品。 - 前記エンドフラップと前記吸収体の端縁との境界部においては、前記別のシートが幅方向にわたって接合されている請求項1記載の吸収体物品。
- 前記吸汗シートは、親水性繊維を50重量%以上含んでおり、その坪量が15〜50g/m2である請求項1又は2記載の吸収性物品。
- 前記エンドフラップを構成する繊維材料の全量に対する親水性繊維の割合が5〜50重量%である請求項1〜3の何れかに記載の吸収性物品。
- 前記吸汗シートの生理食塩水の飽和吸収量が100〜400g/m2である請求項1〜4の何れかに記載の吸収性物品。
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