本発明の使い捨ておむつについて、図面を参照して説明する。なお本発明は、図面に示された実施態様に限定されるものではない。図1〜図5には、本発明の使い捨ておむつの一例として、パンツ型の使い捨ておむつを示した。図1は使い捨ておむつの斜視図を表し、図2は、図1に示した使い捨ておむつの前側胴部と後側胴部との接合を解いて平面に展開した状態を肌面側から見た図を表し、図3は、図1に示した使い捨ておむつの前側胴部と後側胴部との接合を解いて平面に展開した状態を外面側から見た図を表し、図4は、図2および図3に示した使い捨ておむつのIV−IV断面図を表し、図5は、図3に示した使い捨ておむつの吸収性本体と補助吸収体の平面図を表す。図5では、吸収性本体と補助吸収体を使い捨ておむつの外面側から見た平面図を示している。なお図面では、矢印xが幅方向、矢印yが前後方向を表し、矢印x,yにより形成される面に対して垂直方向が厚み方向zを表す。
使い捨ておむつ1は、前側胴部Pと後側胴部Qとこれらの間に位置する股部Rとから構成された外装部材2を有する。図面に示した使い捨ておむつ1では、外装部材2はウェスト開口部3と一対の脚開口部4を有し、パンツ形状に形成されている。ウェスト開口部3は着用者の胴を通すための開口であり、脚開口部4は着用者の脚を通すための開口である。
外装部材2において、前側胴部Pは、おむつを着用の際に着用者の腹側に当てる部分に相当し、後側胴部Qは、おむつを着用の際に着用者の背側に当てる部分に相当する。股部Rは、前側胴部Pと後側胴部Qとの間に位置し、着用者の股間に当てる部分に相当する。股部Rは、外装部材2を前後方向に3分割した中間に位置する部分であり、パンツ形状に形成された場合に幅方向xの両側で互いに接合されない。使い捨ておむつがパンツ型おむつの場合、外装部材2は、例えば、前側胴部Pと後側胴部Qとを幅方向xの両端のサイド接合部11で接合することによりパンツ形状に形成される。
使い捨ておむつにおいて、前後方向yとは、前側胴部Pから後側胴部Qにかけての方向を意味し、おむつを着用した際の着用者の股間の前後方向に相当する。幅方向xとは、おむつを着用した際の着用者の左右方向に相当する。使い捨ておむつの肌面側とは、おむつを着用した際、着用者の肌に向く側の面を意味する。使い捨ておむつの外面側とは、おむつを着用した際、着用者とは反対側を向く面を意味する。
外装部材2の股部Rには、吸収性本体7が設けられる。吸収性本体7は、トップシート8とバックシート9とこれらの間に配された吸収体10を有する(図4を参照)。トップシート8は、吸収性物品を使用の際に着用者側に位置するシートであり、吸収体10の肌面側に配される。トップシート8は液透過性であることが好ましい。バックシート9は、吸収性物品を使用の際に着用者とは反対側に位置するシートであり、吸収体10の外面側に配される。バックシート9は液不透過性であることが好ましい。着用者から排泄された尿等はトップシート8を透過して吸収体10により収容され、バックシート9は排泄物が外部へ漏れるのを防ぐ。
液透過性のトップシートとしては、例えば、セルロース、レーヨン、コットン等の親水性繊維から形成された不織布や、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の疎水性繊維から形成された不織布であって、疎水性繊維の表面が界面活性剤により親水化されたもの等を用いることができる。また、トップシートとして、織布、編布、有孔プラスチックフィルム等を用いてもよい。
液不透過性のバックシートとしては、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の疎水性繊維から形成された不織布や、プラスチックフィルム等を用いることができる。バックシートは2以上のシートの積層体から構成されていてもよく、例えば、不織布とプラスチックフィルムとの積層体を用いてもよい。この場合、積層体を構成する各シートは同じ大きさであっても異なる大きさであってもよい。液不透過性には撥水性の意味も含まれる。
吸収体は、尿等の排泄物を吸収できる吸収性材料を含むものであれば特に限定されない。吸収体としては、例えば、吸収性材料を所定形状に成形した成形体を用いることができる。吸収体は、紙シート(例えば、ティッシュペーパーや薄葉紙)や液透過性不織布等の被覆シートで覆われてもよい。吸収性材料としては、例えば、パルプ繊維等の親水性繊維や、ポリアクリル酸系、ポリアスパラギン酸系、セルロース系、デンプン・アクリロニトリル系等の吸水性樹脂等が挙げられる。また、吸水性材料には、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン繊維や、PET等のポリエステル繊維、ポリアミド繊維等の熱融着性繊維が含まれてもよい。これらの熱融着性繊維は、尿等との親和性を高めるために、界面活性剤等により親水化処理がされていてもよい。吸収性材料は、吸収容量を高める点から、少なくとも吸水性樹脂を含むことが好ましい。
吸収体は、不織布シート間に吸水性樹脂を有しパルプ繊維を有しないように構成された吸収シートを有するものであってもよい。このように構成された吸収シートは、不織布シート間に吸水性樹脂を有するため、高い吸収容量を実現できるとともに、不織布シート間にパルプ繊維を有しないため、嵩張らず薄型に形成することができる。
吸収体は、吸収性材料として吸水性繊維を用いたものであってもよい。この場合もまた、薄型に形成された吸収体とすることができる。吸水性繊維としては、プロトン化または塩形成したカルボキシル基を含有する繊維が挙げられる。例えば、アクリル繊維を加水分解して、アクリル繊維に含まれるニトリル基をカルボキシル基に変換することにより、吸水性繊維を得ることができる。このとき、吸水性繊維に含まれるカルボキシル基は、アルカリ金属塩またはアンモニア塩を形成していることが好ましい。また吸水性繊維は、親水性繊維をアクリル酸に浸漬し、繊維表面でアクリル酸を析出させることにより製造することができる。
吸収体10の形状(平面形状)は特に限定されない。吸収体10の形状としては、例えば、略長方形、砂時計形、ひょうたん形、羽子板形等が挙げられる。図面では、吸収体10は略長方形に形成されている。
吸収性本体7には、肌面側の幅方向xの両側に立ち上がりフラップ12が設けられることが好ましい(図2および図4を参照)。立ち上がりフラップ12を設けることにより、尿等の排泄物の横漏れを防ぐことができる。立ち上がりフラップ12が立ち上がった状態の上端部(着用者側の端部)には、起立用弾性部材13が設けられることが好ましい。起立用弾性部材13の収縮力により、立ち上がりフラップ12が起立しやすくなる。
外装部材2は、1層のみから構成されていてもよく、複数層から構成されていてもよい。好ましくは、外装部材2は、外面側に配された外側シート5と、肌面側に配された内側シート6とを有する。外装部材2あるいは外側シート5と内側シート6は液不透過性であることが好ましく、これにより吸収性本体7から尿等が漏れても、尿等が外装部材2を透過して外部に漏れるのを防ぐことができる。外装部材2あるいは外側シート5と内側シート6としては、例えばバックシートに使用可能なシート材料を用いることができる。
上記説明したトップシート、バックシート、外側シート、内側シート等のシート材料として不織布を用いる場合、不織布としては、スパンボンド不織布、エアスルー不織布、ポイントボンド不織布、メルトブロー不織布、SMS不織布等を用いることが好ましく、これにより薄くて丈夫なシートを容易に得ることができる。
図1〜図3に示すように、外装部材2の前側胴部Pと後側胴部Qには、幅方向xに延びる複数の胴部弾性部材20が設けられることが好ましい。胴部弾性部材20は、ウェスト開口部3と脚開口部4の間に設けられる。胴部弾性部材20により、着用者の胴周りのフィット性が高められる。なお、胴部弾性部材20のうち、ウェスト開口部3の縁に沿って前後方向yに狭い間隔で設けられる弾性部材を腰部弾性部材21として設けてもよく、これにより着用者の腰周りに沿ったウェストギャザーが形成され、背中側や腹部側からの尿等の排泄物の漏れが防止される。図1〜図3では、腰部弾性部材21は胴部弾性部材20よりも前後方向yに狭い間隔で設けられている。
外装部材2には、脚開口部4の縁に沿って、脚部弾性部材22が設けられることが好ましい。特に、本発明の使い捨ておむつがパンツ型のおむつである場合、このように脚部弾性部材22が設けられることが好ましい。図面では、脚部弾性部材22は、脚開口部4の前側の縁に沿って設けられる前側脚部弾性部材22Fと、脚開口部4の後側の縁に沿って設けられる後側脚部弾性部材22Bとから構成されている。前側脚部弾性部材22Fと後側脚部弾性部材22Bとにより、脚開口部4の縁のほぼ全周にわたり弾性部材が設けられる。脚部弾性部材22により、着用者の脚周りに沿ったレッグギャザーが形成され、股部からの尿等の漏れが防止される。図面では、前側脚部弾性部材22Fと後側脚部弾性部材22Bが互いに離間して設けられているが、前側脚部弾性部材22Fと後側脚部弾性部材22Bは互いに接していたり交差していてもよい。
前側脚部弾性部材22Fと後側脚部弾性部材22Bは、股部Rを幅方向xに横切る部分で断続的に設けられることが好ましい。なお、それ以外の部分では、前側脚部弾性部材22Fと後側脚部弾性部材22Bは連続的に設けられることが好ましい。このように前側脚部弾性部材22Fと後側脚部弾性部材22Bが設けられれば、吸収性本体7が歪みにくくなり、吸収性本体7の着用者の股間でのフィット性が高まる。脚部弾性部材22を断続的に設ける場合は、脚部弾性部材22を外装部材2に接着固定した後、脚部弾性部材22をカッター等で切断すればよい。このようにすることで、脚部弾性部材22を製造上簡単に断続的に設けることができ、また脚部弾性部材22が断続的に設けられた部分で、弾性部材の収縮力を実質的に失わせることができる。
外装部材2に設けられる胴部弾性部材20、腰部弾性部材21、脚部弾性部材22は、図面に示すように外装部材2が外側シート5と内側シート6とから構成されている場合は、外側シート5と内側シート6の間に配されることが好ましい。
使い捨ておむつに設けられる各弾性部材としては、ポリウレタン糸、ポリウレタンフィルム、天然ゴム等の通常の使い捨ておむつに用いられる弾性伸縮材料を用いることができる。各弾性部材は、伸張状態でおむつに固定されることが好ましく、また、ホットメルト接着剤等の接着剤で固定されることが好ましい。例えば、繊度40〜1,240dtexのポリウレタン糸を、倍率1.1〜5.0倍に伸張して配設し、固定する。接着剤としては、ゴム系のホットメルト接着剤を用いることが好ましい。なお、前記倍率は、非伸張状態を1.0倍とする。
吸収性本体7は、外装部材2の肌面側の少なくとも股部Rに設けられ、さらに前側胴部Pおよび/または後側胴部Qに延在していることが好ましい。吸収性本体7は、例えば略砂時計形に形成されたり、略長方形に形成されればよい。
吸収性本体7は、外面側の一部(具体的にはバックシート9の一部)が外装部材2に固定されており、吸収性本体7の外装部材2に固定された部分を固定部14と称する。吸収性本体7は接着剤によって外装部材2に固定されていることが好ましい。図3および図5では、吸収性本体7の固定部14をクロスハッチングで示している。一方、吸収性本体7は、外装部材2に固定されない非固定部15も有しており、非固定部15は、吸収性本体7の幅方向xの両側部の少なくとも一部に設けられる。吸収性本体7は、幅方向xの両側部の少なくとも一部が外装部材2に固定されないことによって、外装部材2の歪みが吸収性本体7に伝わりにくくなり、吸収性本体7が着用者の股間に安定して保持されやすくなる。例えば、着用者が脚を動かすことによって外装部材2の脚開口部4の縁に沿った部分に歪みが生じても、その歪みが吸収性本体7に伝わりにくくなり、吸収性本体7を着用者の股間に安定して保持しやすくなる。以下、吸収性本体7の幅方向xの両側部に非固定部15が設けられた領域を「側部非固定領域」と称し、図5では側部非固定領域が符号16を付して示されている。
吸収性本体7の幅方向xの両側部は、吸収性本体7の幅方向xの一方または他方の側縁を含む部分として規定される。従って、側部非固定領域16は、吸収性本体7の幅方向xの側縁から幅方向xに所定の長さで形成される領域として規定される。吸収性本体7の側部非固定領域16は、外装部材2を含めていずれの部材にも固定されない。
側部非固定領域16は、外装部材2の股部Rの前後方向yの少なくとも一部に形成され、例えば股部Rの前後方向yの50%以上に形成されることが好ましく、70%以上がより好ましく、80%以上がさらに好ましい。側部非固定領域16は、外装部材2の股部Rの前後方向yの全体にわたって形成されてもよい。なお、ここで説明した長さは、使い捨ておむつを展開した状態(すなわち、弾性部材を除去し、あるいは弾性部材を細かく切断して弾性部材の収縮力が発現しないようにして、おむつを完全に広げた状態)で測定する。本明細書におけるその他の様々な長さや位置関係に関しても、同様の条件で測定した値を用いる。
図3に示すように、外装部材2に前側脚部弾性部材22Fと後側脚部弾性部材22Bが設けられる場合は、側部非固定領域16は少なくとも、これらの弾性部材と交差する部分において、前側脚部弾性部材22Fの前側端から後側脚部弾性部材22Bの後側端にかけて形成されることが好ましい。側部非固定領域16は、外装部材2の股部Rから前側胴部Pおよび/または後側胴部Qに延びるように形成されてもよい。
側部非固定領域16は、幅方向xに対して、例えば10mm以上の長さを有することが好ましく、15mm以上がより好ましく、20mm以上がさらに好ましい。側部非固定領域16の前後方向yの長さは、例えば、吸収性本体7の前後方向yの長さの35%以上であることが好ましく、40%以上がより好ましく、50%以上がさらに好ましく、また85%以下が好ましく、80%以下がより好ましく、70%以下がさらに好ましい。
一方、吸収性本体7が外装部材2に固定される固定部14としては、図5に示すように、吸収性本体7を前後方向yに前方部7Fと後方部7Bとそれらの間の中間部7Mとに区分したときに、前方部7Fの固定領域と後方部7Bの固定領域が中間部7Mの固定領域よりも幅方向xの外方の位置に存在するように形成されることが好ましい。なお、吸収性本体7の固定部14が設けられた領域を「固定領域」と称する。この場合、中間部7Mに側部非固定領域16が形成されるとしてもよく、例えば、中間部7Mの固定領域の幅方向xの外方かつ前方部7Fの固定領域と後方部7Bの固定領域の間の部分に側部非固定領域16が形成されるとすることができる。このように固定部14を設けることにより、吸収性本体7を安定して外装部材2に固定させることができる。
前方部7Fの固定領域と後方部7Bの固定領域は、例えば、中間部7Mの固定領域よりも20mm以上幅方向xの外方の位置に存在していることが好ましく、30mm以上がより好ましく、40mm以上がさらに好ましい。前方部7Fの固定領域と後方部7Bの固定領域は、例えば、少なくとも吸収性本体7の幅方向xの側縁から15mm以内の領域に存在することが好ましく、10mm以内の領域に存在することがより好ましく、8mm以内の領域に存在することがさらに好ましい。前方部7Fの固定領域は、少なくとも外装部材2の前側胴部Pに設けられることが好ましく、後方部7Bの固定領域は、少なくとも外装部材2の後側胴部Qに設けられることが好ましい。
吸収性本体7の前方部7Fと中間部7Mと後方部7Bの前後方向yに対する長さの割合は、例えば、吸収性本体7の前後方向yに対する相対位置として前側端を0%とし後側端を100%としたとき、前方部7Fが0%〜35%(好ましくは0%〜30%)の範囲内にあり、後方部7Bが65%〜100%(好ましくは70%〜100%)の範囲内にあることが好ましい。
ところで、上記に説明したように、吸収性本体7には、幅方向xの両側部に外装部材2に固定されない側部非固定領域16が形成されており、これにより吸収性本体7を着用者の股間に安定して保持することができるが、側部非固定領域16には着用者から出た汗や蒸れなどが水分として溜まりやすく、この水分が側部非固定領域16を下方に伝わって落ちると、着用者の股間で濡れ感を覚えやすくなる。そこで使い捨ておむつ1には、吸収性本体7と外装部材2の間に、側部非固定領域16と重なって、吸収性本体7の幅方向xの側縁よりも外方に延在しないように、補助吸収体18が設けられている。このように側部非固定領域16と重なる位置に補助吸収体18を設けることにより、側部非固定領域16に溜まった水分を補助吸収体18によって吸収させることができる。しかも、補助吸収体18は吸収性本体7の幅方向xの側縁よりも外方に延在しないように設けられているため、水分を吸収した補助吸収体18が着用者の肌に触れずに、着用者が濡れ感を覚えることも抑えられる。
補助吸収体は、上記に説明した吸収体に使用可能な吸収性材料から構成したり、吸収シート等から構成することができる。補助吸収体はまた、不織布、織布、編布等の布材料や、スポンジ等の多孔質弾性体から構成することもできる。なお、補助吸収体は厚みが薄く形成されることが好ましく、これにより着用者が補助吸収体が設けられることによる違和感を覚えにくくなる。そのような観点から、補助吸収体は、不織布、織布、編布等の布材料や、上記に説明した吸収シートから構成されることが好ましい。さらに、補助吸収体は脚開口部4の縁近傍である側部非固定領域16に配されることから、仮に補助吸収体が吸水性樹脂を含有するものである場合は、着用者の脚の動きによって補助吸収体に無理な負荷がかかったりして、吸水性樹脂が脱落し、着用感が低下するおそれがある。そのような懸念をなくす点からは、補助吸収体は吸水性樹脂を含有しないことが好ましい。従って、補助吸収体は、不織布、織布、編布等の布材料から構成されることがより好ましい。これらの中でも、補助吸収体の吸収容量を確保する点から、補助吸収体は不織布から構成されることが特に好ましい。
補助吸収体が不織布からなる場合、補助吸収体は、パルプ等の天然繊維および/またはレーヨン等の再生セルロース繊維を50質量%以上含有する不織布からなることが好ましい。補助吸収体を構成する不織布は、より好ましくは天然繊維および/または再生セルロース繊維を70質量%以上含有し、さらに好ましくは80質量%以上含有し、実質的に天然繊維および/または再生セルロース繊維のみから構成されていてもよい。このように補助吸収体が構成されていれば、補助吸収体によって水分が速やかに吸収されやすくなる。なお、ここで説明した含有量は、天然繊維と再生セルロース繊維の両方が不織布に含まれる場合は、それらの合計含有量を意味する。
補助吸収体は、レーヨン等の再生セルロース繊維を50質量%以上含有する不織布からなることがより好ましい。レーヨン等の再生セルロース繊維は長繊維として形成することができるため、このような繊維から不織布を構成することにより、補助吸収体の吸収容量や吸収速度をより高めることができ、また不織布からの繊維の脱落も起こりにくくなる。補助吸収体を構成する不織布は、より好ましくは再生セルロース繊維を70質量%以上含有し、さらに好ましくは80質量%以上含有し、実質的に再生セルロース繊維のみから構成されていてもよい。再生セルロース繊維としては、代表的にはレーヨンを用いることが好ましい。
補助吸収体の不織布は熱融着性繊維を含有していてもよい。熱融着性繊維としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン繊維や、PET等のポリエステル繊維、ナイロン等のポリアミド繊維等が挙げられる。補助吸収体を構成する不織布に熱融着性繊維が含まれていれば、当該不織布の繊維間接着方法として熱接着を採用することができる。
補助吸収体は、吸収容量を高め、速やかな吸収を実現する点から、比較的嵩高い不織布から構成されることが好ましく、具体的にはスパンレース不織布またはエアスルー不織布から構成されることが好ましい。なかでも補助吸収体は、熱融着性繊維の含有量を低く抑えることができ、より高い吸収容量を実現することが可能な点から、スパンレース不織布から構成されることが好ましい。
補助吸収体が不織布から構成される場合、当該不織布の目付は24g/m2以上が好ましく、28g/m2以上がより好ましく、また80g/m2以下が好ましく、65g/m2以下がより好ましい。補助吸収体の不織布の目付がこのような範囲であれば、補助吸収体の吸収容量を確保しつつ、補助吸収体を薄く形成しやすくなる。
補助吸収体18は、側部非固定領域16と少なくとも重なって設けられればよく、固定部14と重なって設けられてもよい。補助吸収体18はまた、側部非固定領域16のうちの少なくとも一部と重なって設けられればよい。なお補助吸収体18は、吸収容量を確保する点から、幅方向xの長さが10mm以上であることが好ましく、15mm以上がより好ましく、20mm以上がさらに好ましい。また、側部非固定領域16と重なる部分の補助吸収体18の幅方向xの長さが、このような範囲であることが好ましい。
補助吸収体18は、前後方向yに対しては、外装部材2の股部Rの最も幅狭な部分の前側および/または後側に設けられることが好ましい。例えば補助吸収体18は、外装部材2の股部Rの最も幅狭な部分から前側に100mmの位置および/または後側に100mmの位置に少なくとも存在するように設けられることが好ましい。このように補助吸収体18を設けることにより、側部非固定領域16に伝わり落ちた水分が補助吸収体18によって好適に捕集されやすくなる。補助吸収体18は、前後方向yの長さが20mm以上であることが好ましく、30mm以上がより好ましく、40mm以上がさらに好ましい。
補助吸収体18は、外装部材2の股部Rの最も幅狭な部分においては、設けられても設けられなくてもよい。なお、外装部材2の股部Rの最も幅狭な部分は着用者の大腿部に挟まれて圧迫を受けやすく、そのような場合に補助吸収体18が吸収した水分が滲み出てくるのを防止する観点からは、補助吸収体18は外装部材2の股部Rの最も幅狭な部分には設けられないことが好ましい。従ってこの場合は、補助吸収体18は、外装部材2の股部Rの最も幅狭な部分と重なって設けられず、それよりも前側および/または後側の部分と重なって設けられることとなる。図面に示した使い捨ておむつ1では、補助吸収体18は、外装部材2の股部Rの最も幅狭な部分よりも前側と後側の幅方向xの一方側と他方側にそれぞれ、合計4つ設けられている。
外装部材2の股部Rの幅方向xの両側に脚部弾性部材22が設けられる場合は、補助吸収体18は、脚部弾性部材22と重ならないように設けられることが好ましい。このように補助吸収体18が設けられることで、脚部弾性部材22の収縮力が補助吸収体18によって阻害されにくくなり、脚部弾性部材22によって脚開口部4の縁に沿ったレッグギャザーが好適に形成されやすくなる。あるいは、補助吸収体18が吸収性本体7に取り付けられる場合は、脚開口部4の縁にレッグギャザーが形成された状態で補助吸収体18が脚開口部4の縁からはみ出しにくくなり、補助吸収体18が吸収した水分によって着用者の衣類などが濡れたりすることが起こりにくくなる。図面に示すように、脚部弾性部材22として、脚開口部4の前側の縁に沿って延び、吸収性本体7を幅方向xに横切って延びる前側脚部弾性部材22Fと、脚開口部4の後側の縁に沿って延び、吸収性本体7を幅方向xに横切って延びる後側脚部弾性部材22Bとが設けられる場合は、補助吸収体18は、前側脚部弾性部材22Fと後側脚部弾性部材22Bと重ならないように設けられることが好ましい。
補助吸収体18は、吸収性本体7と外装部材2の間に設けられる限り、吸収性本体7に取り付けられてもよく、外装部材2に取り付けられてもよい。好ましくは補助吸収体18は、側部非固定領域16において吸収性本体7に取り付けられる。これにより、使い捨ておむつを着用した際に着用者が脚を動かしたりすることにより、外装部材2の側部非固定領域16と重なる部分に付着した水分のみならず当該領域に隣接した部分に付着した水分も補助吸収体18によって吸収させることが可能となる。補助吸収体18は、接着剤や熱融着(例えば、ヒートシールや超音波接着)等により吸収性本体7に取り付けられればよい。
吸収性本体7のバックシート9には、側部非固定領域16に、前後方向yに延びる股部弾性部材19が設けられていることが好ましい。吸収性本体7の側部非固定領域16に股部弾性部材19が設けられることにより、吸収性本体7の幅方向xの両側部が着用者の肌に向かって持ち上げられ、これにより吸収性本体7の着用者の股間へのフィット性が高められ、尿等の横漏れを起こりにくくすることができる。また、使い捨ておむつ1に別体の吸収性物品を併用して、吸収性本体7の上に別体の吸収性物品を載せて使用する際など、股部弾性部材19の収縮力によって、別体の吸収性物品を吸収性本体7上に安定して配置する効果も期待できる。そして、このように股部弾性部材19が設けられることにより、側部非固定領域16に隙間が形成されやすくなり、側部非固定領域16に伝わり落ちた水分が補助吸収体18に好適に吸収されやすくなる。
股部弾性部材19は、吸収性本体7の幅方向xの一方側と他方側にそれぞれ複数本設けられることが好ましい。これにより、吸収性本体7の幅方向xの両側部を広い範囲で持ち上げることができ、股部弾性部材19を設けることによる尿等の横漏れ防止効果をより奏効させることができる。なお、股部弾性部材19が設けられる場合、補助吸収体18は股部弾性部材19の少なくとも一部と重なって設けられることが好ましい。
股部弾性部材19は、バックシート9の肌面側に設けられてもよく、外面側に設けられてもよいが、バックシート9の肌面側に設けられることが好ましい。より好ましくは、股部弾性部材19は、少なくとも一部がバックシートと吸収体10との間に設けられる。このように股部弾性部材19を設けることにより、吸収性本体7の幅方向xの両側部が吸収体10とともに持ち上げられ、着用者の股間へのフィット性を高めることができる。
股部弾性部材19は、外装部材2の股部Rの最も幅狭な部分を横切って当該部分の前側から後側に延在するように設けられることが好ましい。股部弾性部材19はまた、外装部材2の股部Rの最も幅狭な部分よりも前側の部分の長さが後側の部分の長さよりも長く設けられることが好ましい。このように股部弾性部材19が設けられることにより、吸収性本体7の着用者のそけい部付近でのフィット性が高まり、尿等の横漏れ防止効果を高めることができる。
吸収性本体7は、側部非固定領域16に、吸収体10の存在しないマージン部17が形成され、補助吸収体18はマージン部17と重なって設けられていることが好ましい(図5を参照)。マージン部17は、吸収性本体7の幅方向xの両側縁を含んで形成される。吸収性本体7の側部非固定領域16にマージン部17が形成されることにより、側部非固定領域16に隙間が形成されやすくなる。そのため、側部非固定領域16に伝わり落ちた水分が補助吸収体18に好適に吸収されやすくなる。
マージン部17は、側部非固定領域16の前後方向yの全体にわたって形成されることが好ましい。あるいは、マージン部17は、吸収性本体7の中間部7Mの前後方向yの全体にわたって形成されることが好ましい。マージン部17の幅方向xの長さは、5mm以上が好ましく、8mm以上がより好ましく、10mm以上がさらに好ましく、また70mm以下が好ましく、60mm以下がより好ましく、50mm以下がさらに好ましい。なおマージン部17は、側部非固定領域16(あるいは吸収性本体7の中間部7M)の前後方向yの全体にわたって、幅方向xの長さがこのような範囲で形成されることが好ましい。
側部非固定領域16にマージン部17が形成される場合、補助吸収体18は、マージン部17と重なって設けられるとともに、吸収体10とも重なって設けられることが好ましい。すなわち補助吸収体18は、マージン部17と重なる部分と、吸収体10と重なる部分とを有することが好ましい。
吸収体10は、シート部材間に吸水性樹脂を有しパルプ繊維を有しないように構成された吸収シートを有することが好ましい。特に、吸収体10の少なくとも肌面側に当該吸収シートが存在することが好ましい。シート部材間に吸水性樹脂を有しパルプ繊維を有しないように構成された吸収シートは、例えばパルプ繊維を含む繊維集合体と比べて着用者から発せられた蒸れなどを吸収しにくく、側部非固定領域16に水分が溜まりやすくなるため、吸収体10として吸収シートが用いられる場合は、補助吸収体18を設けることの効果がより奏効されるようになる。好ましくは、吸収体10は、シート部材間に吸水性樹脂を有しパルプ繊維を有しないように構成された吸収シートのみから構成され、これにより、補助吸収体18を設けることの効果がより奏効されるようになる。
以上、本発明の使い捨ておむつをパンツ型おむつに適用する場合について説明したが、本発明の使い捨ておむつは、後側胴部の幅方向の両側にそれぞれ止着部材が設けられ、当該止着部材により着用時にパンツ形状に形成するオープンタイプ(テープタイプ)の使い捨ておむつであってもよい。