JP4129679B2 - 構造物の免震構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、既存の建物を免震化するための構造物の免震構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、構造物の免震構造は、構造物の上部構造と下部構造との間に免震装置を介装して免震層を形成することにより、構造物全体の固有周期を長期化するとともに、上部構造への地震エネルギーの入力を防ぐ構成が考案されている。こうした免震層は、免震レトロフィットとして、耐震安全性に課題を有している既存の構造物に対して付加されるケースが増えつつある。しかし、免震装置が介装される免震層を地上階に水平に配置すると、エレベータ等の縦重心線を有する装置が備えられた連通空間に免震層が抵触するため、地震等により免震装置が作動し上部構造が水平方向の挙動を示した際の、クリアランスを連通空間内に設けるべく、エレベータ等の装置のサイズを縮小する等して連通空間内を再編成をする必要が生じる。
このような中、特許文献1に示すように、構造物の所定領域には基礎上に、他の領域には地下階の中間層に各々免震層を設け、両者間の段差部が当接する水平部材に開口を設けて、多段階免震層を形成する構成が考案されている。このような多段階免震層を用いて、構造物の所定領域内に連通空間を備える構成とすれば、免震層と連通空間の抵触を回避することは可能である。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−121904号公報(p4、図1参照)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、免震層を地下階及び基礎上に配置すると、地震時に水平方向への挙動を生じる上部構造に地下階が含まれることから、地震等により免震装置が作動して上部構造が水平方向の挙動を示した際に、越境する可能性が考えられるとともに、免震ピットを新たに構築する必要が生じるため、膨大な工費が生じることとなる。
【0005】
上記事情に鑑み、本発明は、敷地に余裕のない既存構造物に、簡略な構成で安価に耐震性能を付加することのできる構造物の免震構造を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の構造物の免震構造は、柱と梁を備える構造物の免震構造であって、前記構造物の少なくとも外周に位置する柱には、地上部の中間層内に免震装置が介装されて、第1の免震層が形成されるとともに、前記構造物内の所定領域における柱には、前記第1の免震層と異なる階層内に免震装置が介装されて、第2の免震層が形成され、前記所定領域と他の領域との境界に位置する水平部材には、第1の免震層と第2の免震層との高さ方向の段差部が当接する位置に、開口部が設けられて、第1の免震層及び第2の免震層が連続する多段階免震層が形成され、前記所定領域と他の領域との境界に位置する前記水平部材に備えられた開口部が、前記所定領域側に位置する柱との取り合い部近傍に設けられており、前記水平部材における他の領域側の開口部近傍を、該所定領域側に位置する柱の前記免震装置が備えられた位置の下方より突出して設けられたブラケットに支持することを特徴としている。
【0007】
請求項2記載の構造物の免震構造は、柱と梁を備える構造物の免震構造であって、前記構造物の少なくとも外周に位置する柱には、地上部の中間層内に免震装置が介装されて、第1の免震層が形成されるとともに、前記構造物内の所定領域における柱には、前記第1の免震層と異なる階層内に免震装置が介装されて、第2の免震層が形成され、前記所定領域と他の領域との境界に位置する水平部材には、第1の免震層と第2の免震層との高さ方向の段差部が当接する位置に、開口部が設けられて、第1の免震層及び第2の免震層が連続する多段階免震層が形成され、前記所定領域と他の領域との境界に位置する前記水平部材に備えられた開口部が、前記他の領域側に位置する柱との取り合い部近傍に設けられており、前記水平部材における所定領域側の開口部近傍を、該他の領域側に位置する柱より突出して設けられたブラケットに免震装置を介して支持することを特徴としている。
【0008】
請求項3記載の構造物の免震構造は、前記構造物に、鉛直方向に連通する連通空間が備えられており、該連通空間が前記所定領域内に位置するとともに、前記第2の免震層が、連通空間の底部より下方に配置されることを特徴としている。
【0010】
請求項4記載の構造物の免震構造は、前記所定領域と他の領域との境界に位置する前記水平部材に備えられた開口部に、水平方向に伸縮自在な可動装置が備えられることを特徴としている。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の構造物の免震構造は、既存構造物の少なくとも外周に位置する柱を含めた領域に対して、地上部の中間層に第1の免震層を形成するとともに、既存構造物内の所定領域には、該第1の免震層と異なる階層に第2の免震層を形成し、該第1の免震層と第2の免震層が連続する多段階免震層を形成することにより、地下階に現状機能を保持したい施設を備える場合や、鉛直方向に連続するエレベータ等を備えている既存構造物に対して、所定領域に現状機能を保持したい施設やエレベータ等を含める構成とすることで、敷地に余裕のないような場合であっても、エレベータや施設に改修を加えることなく、免震性能を付与することができるものである。
【0012】
図1に示すように、既存の構造物1は、柱2と梁3を備えてなり、内方にはエレベータ8が設置された鉛直方向に延在する連通空間7が形成されている。該構造物1は地下階を有しており、前記連通空間7は地上階から地下階の中間層にまで連通している。
このような構造物1は、前記連通空間7を含む所定の広さを有する領域を第2の領域4、その他の領域を第1の領域5として区分しており、第2の領域4には、前記連通空間7の底部より下方に第2の免震層12、第1の領域5には地上階の中間層に第1の免震層11が形成されている。該第2の免震層12は、第2の領域4に位置する前記柱2aにおいて、前記連通空間7の底部より下方の所定位置に、免震装置9を介装することにより形成されており、第1の免震層11は、第1の領域5に位置する前記柱2bにおいて、地上階の所定位置に、免震装置9を介装することにより形成されている。
【0013】
なお、本実施の形態では、前記免震装置9に積層ゴムを用いているが、前記構造物1を支持することが可能で、かつ免震装置として機能するものであれば、何れを用いても良い。
また、第2の免震層12は、前記連通空間7の直下に配置されているが、第1の免震層11と異なる階層に設置されれば何れの高さ位置に配置されても良い。このとき、前記連通空間7は、上部構造1aに位置することとなるため、連通空間7に備えられる前記エレベータ8も、上部構造1aのみに備えられた構成となっている。したがって、改修後の下部構造1bにおいて、図2に示すように、下部構造1bに新たに連通空間7を設ければ、同一階層での乗り換えが必要になるものの、上部構造1aと下部構造1bで、連続するエレベータ8の施設を設置できる。
さらに、第1の免震層11と第2の免震層12は、上下に連続する階層に各々配置されているが、第1の免震層11が地上階に位置しており、第2の免震層12が第1の免震層11と異なる階層に備えられていれば、必ずしもこれにこだわるものではない。
また、前記第1の免震層11は、水平に形成されているが、必ずしもこれにこだわるものではなく、少なくとも外周に位置する柱2に形成される第1の免震層11が地上階の中間層に位置していれば、図3に示すように、階段状に配置する構成としても良い。
【0014】
ところで、図2に示すように、これら第1の免震層11及び第2の免震層12は、その高さ方向の段差部10aが、前記第2の領域4と第1の領域5に跨って位置する前記梁3aに当接することとなるが、この当接位置には開口部6が設けられている。このように、前記第2の領域4と第1の領域5に跨って位置する前記梁3aに開口部6が設けられることにより、第1の免震層11及び第2の免震層12は、段差部10aが連通されて多段階免震層10を形成する。該多段階免震層10は、記免震装置9を備えることで、該多段階免震層10より上方に位置する上部構造1aの、下方に位置する下部構造1bに対する前記水平方向の挙動を絶縁し、前記構造物1全体の固有周期を長期化するとともに、上部構造1aへの地震エネルギーの入力を抑制するため、前記構造物1には、多段階免震層10を備える免震構造が形成されることとなる。
なお、前記開口部6は、地震等が発生した場合に、上部構造1aが免震装置9を介して下部構造1bと異なる水平挙動を示す際の免震クリアランスとして機能するものである。したがって、開口部6には、前記上部構造1aが水平挙動を示した際に、下部構造1bに抵触することのない十分な幅を確保しておく。
【0015】
このとき、前記開口部6は梁3aの何れの位置に設けても良く、前記第2の領域4の確保の仕方に応じて、適宜決定すればよい。つまり、前記構造物1に多段階免震層10を付与する際に、現状機能を維持したい施設を含んだ第2の領域4が、平面計画でどのような平面視形状に構成されている場合にも、開口部6の位置を適宜調整することにより対応することができるものである。
なお、第2の領域4には、前記連通空間7のみならず、金融機関の倉庫、売り上げの多い売り場、発電機等の設備等、構造物の利用状況に応じて、現状機能を保持したい何れの施設をも含むことができ、図3に示すように、広領域を確保しても良い。
【0016】
しかし、前記梁3aに開口部6を設置すると、設置しない場合と比較して荷重等の鉛直方向に作用する力に対する耐力が低下することが考えられる。このため、前記梁3aには、荷重等の鉛直方向に作用する力に対して、前記開口部6を設置する以前と同様の耐力を保持することを目的に、前記梁3aの開口部6近傍を補強している。
前記梁3aは、第2の領域4側に位置する柱2aと第1の領域5側に位置する柱2bに架け渡されているが、例えば、図2に示すA部のように、前記第2の領域4の外周部近傍に柱2aを配置させたい場合には、前記開口部6の配置位置を、前記第2の領域4側に位置する柱2aとの取り合い部近傍に設置する。この場合には、該第2の領域4側に位置する柱2aで前記免震装置9が備えられた高さ位置より下方に、第1の領域5に向けて水平に突出するブラケット13を設け、該ブラケット13の上面に支持部材13aを設置した上で、該支持部材13aに前記梁3における第1の領域5側の開口部6近傍を支持させる。
一方、図2に示すB部のように、前記第2の領域4の外周部に梁3aを長く配置させたい場合には、前記開口部6の配置位置を前記第1の領域5側に位置する柱2bとの取り合い部近傍に設置する。この場合には、前記梁3aより下方で、第1の領域5側に位置する柱2bに、第2の領域4に向けて水平に突出するブラケット13を設け、該ブラケット13の上面に免震装置9を介装した上で、該免震装置9に前記梁3における第2の領域4側の開口部6近傍を支持させる。
【0017】
これにより、前記開口部6は、梁3の何れの位置に設けた場合にも、ブラケット13に備えられた免震装置9もしくは支持部材13aを介して開口部6を支持されることから、荷重等の鉛直方向に作用する力に対する耐力は従来と変わることがないため、開口部6を有する該梁3aを備える階層も、従来と同様に使用することができるものである。
【0018】
上述する多段階免震層10が構築された既存の構造物1は、地震等が発生すると、前記免震装置9に支持された上部構造1aが下部構造1bに対して水平方向の異なる挙動を示すことから、前記開口部6の間隔が上部構造1aの挙動に応じて伸縮する。このような前記開口部6の水平方向の伸縮に係る挙動に対応することを目的に、開口部6が形成される梁3aに取り付く天井14、床15、及び第1の免震層11及び第2の免震層12の段差部10aに位置する壁16等の天井仕上げ材14a、床仕上げ材15a、壁仕上げ材16aに可動部を構築する必要がある。以下に、これら天井14、床15及び壁16の天井仕上げ材14a、床仕上げ材15a、壁仕上げ材16a各々の可動部に備えられた天井可動装置17、床可動装置21、壁可動装置26を詳述する。
【0019】
図4(a)に示すように、前記開口部6を有する梁3aに備えられた天井14は、一般部の梁3と同様に、天井仕上げ材14aと、該天井仕上げ材14aを梁3より吊り降ろす吊り材14bにより構成されている。また、該天井仕上げ材14aには、前記梁3aに備えられた開口部6と鉛直方向でほぼ同軸位置に、開口が設けられており、該開口を塞ぐように天井可動装置17が備えられている。該天井可動装置17は、前記天井仕上げ材14aと同一平面を形成して開口を塞ぐように配され、開口の一方の側部に鉛直方向に回転するヒンジ19を介して、一方の側辺18aが取り付けられる可動天井仕上げ材18と、天井仕上げ材14aの開口を広げる方向のテーパー面を持って、開口の他方の端部と前記梁3aの底面を連結するように配される斜方板材20により構成されている。ここで、前記ヒンジ19が、水平面から鉛直下方向には回転しないように製作されているため、前記可動天井仕上げ材18は、ヒンジ19が取り付けられている一方の側辺18aを回転軸として、水平面より上方に回転するものの、水平面より下方へは回転しない構成となっている。
【0020】
このような構成の天井可動装置17は、地震等が生じると、前記多段階免震層10に備えられた前記免震装置9が作動して前記上部構造1aが水平方向に挙動し、前記梁3aの開口部6の開口幅が小さくなると同時に天井仕上げ材14aの開口も小さくなる。これに伴い、前記可動天井仕上げ材18の他方の側辺18bには、斜方板材20から押圧力が作用するため、図4(b)に示すように、前記可動天井仕上げ材18は、一方の側辺18aを回転軸として、他方の側辺18b近傍を斜方板材20のテーパー面に沿わせながら上昇するように回転し、斜面を形成する。なお、前記可動天井仕上げ材18を、よりスムーズに回転させることを目的に、可動天井仕上げ材18の他方の側辺18bの端面には、前記斜方板材20のテーパー面と平行な面を形成させておくと良い。
【0021】
これにより、天井仕上げ材14aの開口が狭まった場合にも、天井可動装置17を構成する可動天井仕上げ材18は、他方の側辺18b近傍を斜方板材20のテーパー面に支持されて、斜面を形成しながら天井仕上げ材14aの開口を覆っており、損傷することがなく、天井可動装置17は、天井14の可動部として機能するものである。なお、天井可動装置17を構成する可動天井仕上げ材18は、斜方板材20から押圧力が開放されれば、一方の側辺18aを回転軸として、他方の側辺18bを斜方板材20のテーパー面に沿わせながら下降するように回転し、水平面を形成するため、容易に通常時の状態に復元することができるものである。
【0022】
図5(a)に示すように、前記開口部6を有する梁3aに備えられた床15は、一般部の梁3と同様に、床仕上げ材15aと、前記梁3の上面に備えられて、表面を該床仕上げ材15aに覆われている床スラブ15bにより構成されている。また、該床仕上げ材15a及び床スラブ15bには、前記梁3aに備えられた開口部6と鉛直方向でほぼ同軸に、同様の幅を有する開口が設けられており、該開口を塞ぐように床可動装置21が備えられている。該床可動装置21は、前記床仕上げ材15aと同一平面を形成するして開口を塞ぐように配され、開口の一方の側部に鉛直方向に回転するヒンジ23を介して、一方の側辺22aが取り付けられる可動床仕上げ材22と、前記床スラブ15bの開口に向けて水平方向に突出するように、床スラブ15b設けられた支持部材24と、床仕上げ材15aの開口を狭める方向のテーパー面を持って、床仕上げ材15aの開口の他方の端部と前記支持部材24とを連結するように配される斜方板材25により構成されている。ここで、前記ヒンジ23が、水平面から鉛直下方向には回転しないように製作されているため、前記可動床仕上げ材22は、ヒンジ23が取り付けられている一方の側辺22aを回転軸として、水平面より上方に回転するものの、水平面より下方へは回転しない構成となっている。
【0023】
このような構成の床可動装置21は、地震等が生じると、前記多段階免震層10に備えられた前記免震装置9が作動して前記上部構造1aが水平方向に挙動し、前記梁3aの開口部6の開口幅が小さくなると同時に、床仕上げ材15a及び床スラブ15bの開口も小さくなる。これに伴い、前記可動床仕上げ材22の他方の端辺22bには、斜方板材25から押圧力が作用するため、図5(b)に示すように、前記可動床仕上げ材22は、一方の側辺22aを回転軸として、他方の側辺22b近傍を斜方板材25のテーパー面に沿いながら上昇するように回転し、斜面を形成する。なお、前記可動床仕上げ材22を、よりスムーズに回転させることを目的に、可動床仕上げ材22の他方の側辺22bの端面には、前記斜方板材25のテーパー面と平行な面を形成させておくと良い。
【0024】
これにより、床仕上げ材15a及び床スラブ15bの開口が狭まった場合にも、床可動装置21を構成する可動床仕上げ材22は、他方の側辺22bを斜方板材25のテーパー面に支持されて、斜面を形成しながら床仕上げ材15aの開口を覆っており、損傷することがなく、床可動装置21は、床15の可動部として機能するものである。なお、可動床仕上げ材22は、斜方板材25から押圧力が開放されれば、一方の側辺22aを回転軸として、他方の側辺22bを斜方板材25のテーパー面に沿いながら下降するように回転し、水平面を形成するため、容易に通常時の状態に復元することができるものである。
【0025】
図6(a)に示すように、前記壁16は、壁仕上げ材16aと、表面を該壁仕上げ材16aに覆われている外壁躯体16bにより構成されている。また、該壁仕上げ材16a及び外壁躯体16bには、前記多段階免震層10の段差部10aと水平方向でほぼ同軸に、開口16cが設けられており、該開口16cを塞ぐように壁可動装置26が備えられている。該壁可動装置26は、前記壁仕上げ材16aと同一平面を形成するようにして開口を塞ぐように配され、開口の一方の側部に水平方向に回転するヒンジ28を介して、一方の側辺27aが取り付けられる垂直壁部材27と、前記開口16cに向けて、水平方向に突出するように壁仕上げ材16aの裏面に設けられた支持部材29と、開口16cを狭める方向のテーパー面を持って、壁仕上げ材16aの開口の他方の端部と前記支持部材29とを連結するように配される斜方板材30により構成されている。ここで、前記ヒンジ28が、壁仕上げ材16aと平行な垂直面から後方向には回転しないように製作されているため、前記垂直壁部材27は、ヒンジ28が取り付けられている一方の側辺27aを回転軸として、壁仕上げ材16aと平行な垂直面より外方に回転するものの、垂直面より内方へは回転しない構成となっている。
【0026】
このような構成の壁可動装置26は、地震等が生じると、前記多段階免震層10に備えられた前記免震装置9が作動して前記上部構造1aが水平方向に挙動し、前記梁3aの開口部6の開口幅が小さくなると同時に、壁仕上げ材16a及び外壁躯体16bの開口16cも小さくなる。これに伴い、前記垂直壁部材27の他方の端辺27bには、斜方板材30から押圧力が作用するため、図6(b)に示すように、前記垂直壁部材27は、一方の側辺27aを回転軸として、他方の側辺27bを斜方板材30のテーパー面に沿わせながら壁仕上げ材16aと平行な垂直面より外方に回転し、斜面を形成する。なお、前記垂直壁部材27を、よりスムーズに回転させることを目的に、垂直壁部材27の他方の側辺27bの端面には、前記斜方板材30のテーパー面と平行な面を形成させておくと良い。
【0027】
これにより、壁仕上げ材16a及び外壁躯体16bの開口16cが狭まった場合にも、壁可動装置26を構成する垂直壁部材27は、他方の側辺27bを斜方板材30のテーパー面に支持されて、斜面を形成しながら壁仕上げ材16aの開口を覆っており、損傷することがなく、壁可動装置26は、壁16の可動部として機能するものである。なお、垂直壁部材27は、斜方板材30から押圧力が開放されれば、一方の側辺27aを回転軸として、他方の側辺27bを斜方板材30のテーパー面に沿わせながら壁仕上げ材16aと平行な垂直面に向けて内方に回転し、垂直面水平面を形成するため、容易に通常時の状態に復元することができるものである。
【0028】
なお、上述する天井可動装置17、床可動装置21、壁可動装置26は、一事例であって必ずしも上述する構成にこだわるものではなく、天井仕上げ材14a、床仕上げ材15a、壁仕上げ材16aの可動部に備えることが可能で、水平方向の伸縮を自在にすることのできる構成を有していれば、何れを用いても良い。
【0029】
上述する構成によれば、構造物1の免震構造には、第1の領域5には、地上部の中間層に第1の免震層11、第2の領域4には、第1の免震層11と異なる階層内に第2の免震層12が形成され、前記第2の領域4と第1の領域5との境界に位置する前記梁3aには、第2の免震層12と第1の免震層11との高さ方向の段差部10aが当接する位置に、開口部6が設けられて、該開口部6を介して第2の免震層12及び第1の免震層11が連続する多段階免震層10が形成される。
これにより、機械室などの建物全体の現状機能の維持に必要な施設が地下階にある場合に、その施設を含む領域を第2の領域4として多段階免震層10を形成することにより、現状機能の維持に必要な施設が、多段階免震層10の上方に位置する上部構造1aとなるため、改修することなく現状のまま保持することができ、構造物1全体の機能を極力損なわずに免震性能を付与することができ、既存の構造物1に対する改修工事の影響を最小限に留めることが可能となる。
【0030】
また、前記構造物1に備えられた連通空間7を第2の領域4に備えることにより、該連通空間7を多段階免震層10より上方に位置する上部構造1aとして改修することなく現状のまま保持することができるため、改修工事中であっても連通空間7に備えられるエレベータ8の使用ができるとともに、エレベータ8の断面を再編成する必要が無いため、連通空間7に係る改修工事も不要となり、工費削減、工期短縮に大きく寄与できるとともに、既存の構造物1の使用者に対する利便性を保持した状態で改修工事を実施することが可能となる。
【0031】
前記梁3aの開口部6近傍は、開口部6に隣接する柱2a、2bより水平に突出して設けられた前記ブラケット13の上面に配置された免震装置9もしくは支持部材13aにより支持されることから、上部構造1aの水平挙動を拘束することがないとともに、開口部6を備える以前に前記梁3aが有していた鉛直方向の力が作用した際の耐力を、開口部6を備えた場合にも維持することができ、開口部6を有する梁3aを備える階層にも、従来と同様の施設や設備を設置することができ、構造物1の利用者の利便性を保持することが可能となる。
【0032】
前記梁3aの開口部6、及び多段階免震層10の段差部10aに取り付く構造物1の天井14、床15、壁16の天井仕上げ材14a、床仕上げ材15a、壁仕上げ材16aには、伸縮自在な天井可動装置17、床可動装置21、壁可動装置26を備えることから、震度5以下程度の地震であれば、構造物1の前記天井仕上げ材14a、床仕上げ材15a、壁仕上げ材16aを破壊することなく、ほぼ無被害で構造物1を保持することが可能であり、また震度6以上であっても、部分的な損傷や変形は避けられないものの、甚大な被害を回避することが可能となる。
【0033】
【発明の効果】
本発明の構造物の免震構造によれば、柱と梁を備える構造物の免震構造であって、前記構造物の少なくとも外周に位置する柱には、地上部の中間層内に免震装置が介装されて、第1の免震層が形成されるとともに、前記構造物内の所定領域における柱には、前記第1の免震層と異なる階層内に免震装置が介装されて、第2の免震層が形成され、前記所定領域と他の領域との境界に位置する水平部材には、第1の免震層と第2の免震層との高さ方向の段差部が当接する位置に、開口部が設けられて、第1の免震層及び第2の免震層が連続する多段階免震層が形成される。
これにより、機械室などの建物全体の現状機能の維持に必要な施設が地下階にある場合に、その施設を含む領域を所定領域として多段階免震層を形成することにより、現状機能の維持に必要な施設が、多段階免震層の上方に位置する上部構造となるため、改修することなく現状のまま保持することができ、構造物全体の機能を極力損なわずに免震性能を付与することができ、既存の構造物に対する改修工事の影響を最小限に留めることが可能となる。
そして、請求項1記載の構造物の免震構造では、前記所定領域と他の領域との境界に位置する前記水平部材に備えられた開口部が、前記所定領域側に位置する柱との取り合い部近傍に設けられており、前記水平部材における他の領域側の開口部近傍を、該所定領域側に位置する柱の前記免震装置が備えられた位置の下方より突出して設けられたブラケットに支持する。
また、請求項2記載の構造物の免震構造では、前記所定領域と他の領域との境界に位置する前記水平部材に備えられた開口部が、前記他の領域側に位置する柱との取り合い部近傍に設けられており、前記水平部材における所定領域側の開口部近傍を、該他の領域側に位置する柱より突出して設けられたブラケットに免震装置を介して支持する。
これにより、上部構造の水平挙動を拘束することがないとともに、開口部を備える以前に前記水平部材が有していた鉛直方向の力が作用した際の耐力を、開口部を備えた場合にも維持することができ、開口部を有する水平部材を備える階層にも、従来と同様の施設や設備を設置することができ、構造物の利用者の利便性を保持することが可能となる。
【0034】
請求項3記載の構造物の免震構造によれば、前記構造物に、鉛直方向に連通する連通空間が備えられており、該連通空間が前記所定領域内に位置するとともに、前記第2の免震層が、連通空間の底部より下方に配置される。
これにより、該連通空間を多段階免震層より上方に位置する上部構造として改修することなく現状のまま保持することができるため、改修工事中であっても連通空間に備えられるエレベータの使用ができるとともに、エレベータの断面を再編成する必要が無いため、連通空間に係る改修工事も不要となり、工費削減、工期短縮に大きく寄与できるとともに、既存の構造物の使用者に対する利便性を保持した状態で改修工事を実施することが可能となる。
【0036】
請求項4記載の構造物の免震構造によれば、前記所定領域と他の領域との境界に位置する前記水平部材に備えられた開口部に、水平方向に伸縮自在な可動装置が備えられることから、震度5以下程度の地震であれば、構造物の前記天井仕上げ材、床仕上げ材、壁仕上げ材を破壊することなく、ほぼ無被害で構造物を保持することが可能であり、また震度6以上であっても、部分的な損傷や変形は避けられないものの、甚大な被害を回避することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る多段階免震層の概略を示す図である。
【図2】 本発明に係る多段階免震層の詳細を示す図である。
【図3】 本発明に係る多段階免震層を備えた構造物の他の事例を示す図である。
【図4】 本発明に係る天井仕上げ材の可動部に備えられる天井可動装置の詳細を示す図である。
【図5】 本発明に係る床仕上げ材の可動部に備えられる床可動装置の詳細を示す図である。
【図6】 本発明に係る壁仕上げ材の可動部に備えられる壁可動装置の詳細を示す図である。
【符号の説明】
1 構造物
2 柱
3 梁
4 第2の領域
5 第1の領域
6 開口部
7 連通空間
8 エレベータ
9 免震装置
10 多段階免震層
11 第1の免震層
12 第2の免震層
13 ブラケット
14 天井
15 床
16 壁
17 天井可動装置
18 可動天井仕上げ材
19 ヒンジ
20 斜方板材
21 床可動装置
22 水平部材
23 ヒンジ
24 支持部材
25 斜方板材
26 壁可動装置
27 垂直壁部材
28 ヒンジ
29 支持部材
30 斜方板材

Claims (4)

  1. 柱と梁を備える構造物の免震構造であって、
    前記構造物の少なくとも外周に位置する柱には、地上部の中間層内に免震装置が介装されて、第1の免震層が形成されるとともに、
    前記構造物内の所定領域における柱には、前記第1の免震層と異なる階層内に免震装置が介装されて、第2の免震層が形成され、
    前記所定領域と他の領域との境界に位置する水平部材には、第1の免震層と第2の免震層との高さ方向の段差部が当接する位置に、開口部が設けられて、第1の免震層及び第2の免震層が連続する多段階免震層が形成され、
    前記所定領域と他の領域との境界に位置する前記水平部材に備えられた開口部が、前記所定領域側に位置する柱との取り合い部近傍に設けられており、
    前記水平部材における他の領域側の開口部近傍を、該所定領域側に位置する柱の前記免震装置が備えられた位置の下方より突出して設けられたブラケットに支持することを特徴とする構造物の免震構造。
  2. 柱と梁を備える構造物の免震構造であって、
    前記構造物の少なくとも外周に位置する柱には、地上部の中間層内に免震装置が介装されて、第1の免震層が形成されるとともに、
    前記構造物内の所定領域における柱には、前記第1の免震層と異なる階層内に免震装置が介装されて、第2の免震層が形成され、
    前記所定領域と他の領域との境界に位置する水平部材には、第1の免震層と第2の免震層との高さ方向の段差部が当接する位置に、開口部が設けられて、第1の免震層及び第2の免震層が連続する多段階免震層が形成され、
    前記所定領域と他の領域との境界に位置する前記水平部材に備えられた開口部が、前記他の領域側に位置する柱との取り合い部近傍に設けられており、
    前記水平部材における所定領域側の開口部近傍を、該他の領域側に位置する柱より突出して設けられたブラケットに免震装置を介して支持することを特徴とする構造物の免震構造。
  3. 請求項1または2に記載の構造物の免震構造において、
    前記構造物に、鉛直方向に連通する連通空間が備えられており、
    該連通空間が前記所定領域内に位置するとともに、前記第2の免震層が、連通空間の底部より下方に配置されることを特徴とする構造物の免震構造。
  4. 請求項1から3の何れか1項に記載の構造物の免震構造において、
    前記所定領域と他の領域との境界に位置する前記水平部材に備えられた開口部に、水平方向に伸縮自在な可動装置が備えられることを特徴とする構造物の免震構造。
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