JP4127810B2 - 超音波振動子およびその製造方法 - Google Patents

超音波振動子およびその製造方法 Download PDF

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この発明は、超音波振動を応用して生体組織等の被処置体に外科的な医療処置を行う超音波手術システムの振動源として用いられる超音波振動子およびその製造方法に関するものである。
従来から、超音波振動を応用して被処置体に外科的な医療処置を行う超音波手術システムが開発され、この超音波手術システムの振動源として超音波振動子が用いられる。一般に、超音波振動子は、電歪効果による電気・機械エネルギー変換を行って超音波振動を発振する圧電素子が固定された共振体を有し、該共振体には、超音波振動を増幅するホーンと該ホーンによって増幅された超音波振動を伝達して被処置体に医療処置を行う処置部とが設けられている。この場合、超音波振動子は、圧電素子から発振された超音波振動をホーンによって増幅するとともに処置部に伝達し、該処置部を被処置体に接触させた場合に該被処置体に対する医療処置を達成する。このような技術に関し、たとえば、ボルト締結によって圧電素子に圧縮応力をかけるとともに該圧電素子をホーンに固定した超音波振動子がある。(特許文献1参照)。
米国特許第6077285号
しかしながら、上述した特許文献1に記載された超音波振動子では、圧電素子がボルト締結によってホーンに固定されているので、このボルト締結を実現するボルトおよび螺子穴等の締結手段を備えなければならず、この締結手段に起因して、超音波振動子の小型化が制限されるという問題点があった。
なお、近年、内視鏡に挿入された超音波振動子を用いて、内視鏡観察の下、体腔内の患部に対する医療処置を行う超音波手術システムの実現が要望されている。このためには、超音波振動子の更なる小型化が必要である。
この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、超音波振動を用いて被処置体に対する医療処置を行う超音波手術システムの振動源としての機能を損なうことなく、装置規模が小型化された超音波振動子およびその製造方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる超音波振動子は、電歪効果によって超音波振動を発振する振動発振手段と該振動発振手段が発振した超音波振動を増幅する共振体とを有し、該共振体によって増幅された超音波振動を用いて被処置体に対する医療処置を行う超音波振動子において、前記振動発振手段と前記共振体との焼き嵌めを行って、前記振動発振手段と前記共振体とを一体的に固定することを特徴とする。
この発明によれば、前記振動発振手段と前記共振体との焼き嵌めを行って、前記振動発振手段と前記共振体とを一体的に固定するようにし、ボルト等を用いて前記共振体と前記振動発振手段とを螺子締結することなく、前記振動発振手段に対して圧縮応力を印加するとともに該振動発振手段を前記共振体に確実に固定し、前記振動発振手段による超音波振動の出力効率を損なうことなく装置規模を小型化した超音波振動子を実現している。
また、本発明にかかる超音波振動子は、上記発明において、前記共振体は、前記振動発振手段の挿入部位である空間を形成し、該空間に挿入した前記振動発振手段に対して前記超音波振動の少なくとも発振方向に圧縮応力を印加するとともに前記振動発振手段を固定する固定部材を備え、前記空間の寸法は、前記圧縮応力の印加方向について、前記固定部材の温度が所定温度未満の場合に前記振動発振手段の寸法以下であり、前記固定部材の温度が所定温度以上の場合に前記振動発振手段の寸法より大きいことを特徴とする。
この発明によれば、前記共振体に設けられた固定部材が、前記振動発振手段の挿入部位である空間を形成し、該空間に挿入した前記振動発振手段に対して前記超音波振動の少なくとも発振方向に圧縮応力を印加するとともに前記振動発振手段を固定し、前記空間の寸法が、前記圧縮応力の印加方向について、前記固定部材の温度が所定温度未満の場合に前記振動発振手段の寸法以下であり、前記固定部材の温度が所定温度以上の場合に前記振動発振手段の寸法より大きくなるようにし、前記共振体を前記振動発振手段に焼き嵌めるとともに、前記振動発振手段に対して前記超音波振動の発振方向に圧縮応力を確実に印加し、前記振動発振手段による超音波振動の出力効率を高めるとともに装置規模の小型化を促進した超音波振動子を実現している。
また、本発明にかかる超音波振動子は、上記発明において、前記共振体は、前記振動発振手段の挿入部位である空間を形成し、該空間に挿入した前記振動発振手段に対して前記超音波振動の発振方向に垂直な方向に圧縮応力を印加するとともに前記振動発振手段を固定する固定部材を備え、前記空間の寸法は、前記圧縮応力の印加方向について、前記固定部材の温度が所定温度未満の場合に前記振動発振手段の寸法以下であり、前記固定部材の温度が所定温度以上の場合に前記振動発振手段の寸法より大きいことを特徴とする。
この発明によれば、前記共振体に設けられた固定部材が、前記振動発振手段の挿入部位である空間を形成し、該空間に挿入した前記振動発振手段に対して前記超音波振動の発振方向に垂直な方向に圧縮応力を印加するとともに前記振動発振手段を固定し、前記空間の寸法が、前記圧縮応力の印加方向について、前記固定部材の温度が所定温度未満の場合に前記振動発振手段の寸法以下であり、前記固定部材の温度が所定温度以上の場合に前記振動発振手段の寸法より大きくなるようにし、前記共振体を前記振動発振手段に焼き嵌める処理を容易にするとともに、前記振動発振手段の前記共振体との接触端の他端を開放し、該他端に前記振動発振手段の電極配置部位を確保している。これによって、装置規模を小型化し、特に、装置の幅方向について小型化した超音波振動子を容易に実現している。
また、本発明にかかる超音波振動子は、上記発明において、前記振動発振手段は、該振動発振手段を貫通するロッドが配置され、前記振動発振手段を貫通した前記ロッドが前記共振体の開口部に挿入された場合に、前記共振体に前記振動発振手段を固定する固定部材を備え、前記開口部の寸法は、前記共振体の温度が所定温度未満の場合に前記ロッドの横断面の寸法以下であり、前記共振体の温度が所定温度以上の場合に前記ロッドの横断面の寸法より大きいことを特徴とする。
この発明によれば、前記振動発振手段は、該振動発振手段を貫通するロッドが配置された固定部材を有し、前記固定部材が、前記振動発振手段を貫通した前記ロッドが前記共振体の開口部に挿入された場合に、前記共振体に前記振動発振手段を固定し、前記開口部の寸法が、前記共振体の温度が所定温度未満の場合に前記ロッドの横断面の寸法以下であり、前記共振体の温度が所定温度以上の場合に前記ロッドの横断面の寸法より大きくなるようにし、前記振動発振手段を構成する圧電素子および正電極または圧電素子および負電極が相互に固着されていない場合であっても、前記共振体に前記振動発振手段を確実に固定し、特に、前記共振体に円筒状の前記振動発振手段を固定する処理を容易にし、前記振動発振手段による超音波振動の出力効率を損なうことなく装置規模の小型化を促進した超音波振動子を容易に実現している。
また、本発明にかかる超音波振動子は、上記発明において、前記所定温度は、150℃以上、500℃以下の範囲内の温度であることを特徴とする。
この発明によれば、前記所定温度は、150℃以上、500℃以下の範囲内の温度に設定されるようにし、前記振動発振手段に前記共振体を焼き嵌める処理を最適化している。
また、本発明にかかる超音波振動子の製造方法は、電歪効果によって超音波振動を発振する振動発振手段と該振動発振手段が発振した超音波振動を増幅する共振体とを有し、該共振体によって増幅された超音波振動を用いて被処置体に対する医療処置を行う超音波振動子の製造方法において、前記共振体に挿入する前記振動発振手段の全挿入方向に垂直な方向について、前記振動発振手段の外形寸法以下の寸法を有する空間を前記共振体に形成する空間形成工程と、前記共振体を所定温度以上に加熱し、前記空間の寸法を前記振動発振手段の外形寸法よりも大きくする熱膨張工程と、前記熱膨張工程によって大きくした前記空間に前記振動発振手段を挿入する挿入工程と、前記振動発振手段が挿入された前記共振体を前記所定温度未満に冷却し、前記振動発振手段を前記共振体内に固定する固定工程と、を含んだことを特徴とする。
この発明によれば、前記共振体に挿入する前記振動発振手段の全挿入方向に垂直な方向について、前記振動発振手段の外形寸法以下の寸法を有する空間を前記共振体に形成し、つぎに、熱膨張工程によって前記共振体を所定温度以上に加熱して、前記空間の寸法を前記振動発振手段の外形寸法よりも大きくし、前記熱膨張工程によって大きくした前記空間に前記振動発振手段を挿入し、その後、前記振動発振手段が挿入された前記共振体を前記所定温度未満に冷却し、前記振動発振手段を前記共振体内に固定するようにし、ボルト等を用いて前記共振体と前記振動発振手段とを螺子締結することなく、前記振動発振手段に対して圧縮応力を印加するとともに前記共振体に前記振動発振手段を確実に固定し、前記振動発振手段による超音波振動の出力効率を損なうことなく装置規模を小型化した超音波振動子を実現している。
また、本発明にかかる超音波振動子の製造方法は、電歪効果によって超音波振動を発振する振動発振手段と該振動発振手段が発振した超音波振動を増幅する共振体とを有し、該共振体によって増幅された超音波振動を用いて被処置体に対する医療処置を行う超音波振動子の製造方法において、前記振動発振手段を貫通するロッドの横断面寸法以下の寸法を有する開口部を前記共振体に形成する開口部形成工程と、前記共振体を所定温度以上に加熱し、前記開口部の寸法を前記ロッドの横断面寸法よりも大きくする熱膨張工程と、前記熱膨張工程によって大きくした前記開口部に対して、前記振動発振手段を貫通した前記ロッドを挿入するとともに前記振動発振手段を前記共振体に接触させる挿入工程と、前記挿入工程によって前記共振体に接触させた前記振動発振手段を前記共振体に押し付けるとともに前記共振体を所定温度未満に冷却し、前記振動発振手段を前記共振体に固定する固定工程と、を含んだことを特徴とする。
この発明によれば、前記振動発振手段を貫通するロッドの横断面寸法以下の寸法を有する開口部を前記共振体に形成し、つぎに、熱膨張工程によって前記共振体を所定温度以上に加熱して、前記開口部の寸法を前記ロッドの横断面寸法よりも大きくし、前記熱膨張工程によって大きくした前記開口部に対して、前記振動発振手段を貫通した前記ロッドを挿入するとともに、前記振動発振手段を前記共振体に接触させ、その後、前記共振体に接触させた前記振動発振手段を前記共振体に押し付けるとともに前記共振体を所定温度未満に冷却し、前記振動発振手段を前記共振体に固定するようにし、前記振動発振手段を構成する圧電素子および正電極または圧電素子および負電極が相互に固着されていない場合であっても、前記共振体に前記振動発振手段を確実に固定し、特に、前記共振体に円筒状の前記振動発振手段を固定する処理を容易にし、前記振動発振手段による超音波振動の出力効率を損なうことなく装置規模の小型化を促進した超音波振動子を容易に実現している。
また、本発明にかかる超音波振動子の製造方法は、上記発明において、前記固定工程によって前記共振体に固定された前記振動発振手段を構成する圧電素子に対して分極処理を行う分極工程を含んだことを特徴とする。
この発明によれば、前記固定工程の後に、前記振動発振手段を構成する圧電素子に分極処理を行うようにし、前記熱膨張工程の加熱温度を高温に設定できるとともに、前記分極処理によって得られた前記振動発振手段の電歪効果が、前記熱膨張工程による加熱処理によって喪失されることを防止し、前記振動発振手段に前記共振体を焼き嵌める処理を容易にするとともに、前記共振体を焼き嵌めた前記振動発振手段の電歪効果を確実に得られるようにしている。
また、本発明にかかる超音波振動子の製造方法は、上記発明において、前記挿入工程に用いる前記振動発振手段を構成する圧電素子は、予め分極処理がなされていることを特徴とする。
この発明によれば、前記振動発振手段を構成する圧電素子に対する分極処理が、前記挿入工程以前に行われるようにし、前記分極処理による加熱温度によって、前記共振体と前記振動発振手段との嵌め合いが損なわれることを防止し、前記振動発振手段に前記共振体を確実に焼き嵌めるようにしている。
また、本発明にかかる超音波振動子の製造方法は、上記発明において、前記所定温度は、150℃以上、500℃以下の範囲内の温度であることを特徴とする。
この発明によれば、前記所定温度が、150℃以上、500℃以下の範囲内の温度に設定されるようにし、前記振動発振手段に前記共振体を焼き嵌める処理を最適化している。
本発明によれば、前記振動発振手段と前記共振体との焼き嵌めを行って、前記振動発振手段と前記共振体とを一体的に固定しているので、ボルト等を用いて前記共振体と前記振動発振手段とを螺子締結することなく、前記振動発振手段に対して圧縮応力を印加するとともに該振動発振手段を前記共振体に確実に固定でき、前記振動発振手段による超音波振動の出力効率を損なうことなく装置規模を小型化した超音波振動子を実現できるという効果を奏する。
また、本発明によれば、前記共振体に設けられた固定部材が、前記振動発振手段の挿入部位である空間を形成し、該空間に挿入した前記振動発振手段に対して前記超音波振動の少なくとも発振方向に圧縮応力を印加するとともに前記振動発振手段を固定し、前記空間の寸法が、前記圧縮応力の印加方向について、前記固定部材の温度が所定温度未満の場合に前記振動発振手段の寸法以下であり、前記固定部材の温度が所定温度以上の場合に前記振動発振手段の寸法より大きくなるので、前記共振体を前記振動発振手段に焼き嵌めるとともに、前記振動発振手段に対して前記超音波振動の発振方向に圧縮応力を確実に印加でき、前記振動発振手段による超音波振動の出力効率を高めるとともに装置規模の小型化を促進した超音波振動子を実現できるという効果を奏する。
また、本発明によれば、前記共振体に設けられた固定部材が、前記振動発振手段の挿入部位である空間を形成し、該空間に挿入した前記振動発振手段に対して前記超音波振動の発振方向に垂直な方向に圧縮応力を印加するとともに前記振動発振手段を固定し、前記空間の寸法が、前記圧縮応力の印加方向について、前記固定部材の温度が所定温度未満の場合に前記振動発振手段の寸法以下であり、前記固定部材の温度が所定温度以上の場合に前記振動発振手段の寸法より大きくなるので、前記振動発振手段に前記共振体を容易に焼き嵌めることができるとともに、前記振動発振手段の前記共振体との接触端の他端を開放でき、該他端に前記振動発振手段の電極配置部位を確保できる。これによって、装置規模を小型化でき、特に、装置の幅方向について小型化した超音波振動子を容易に実現できるという効果を奏する。
また、本発明によれば、前記振動発振手段は、該振動発振手段を貫通するロッドが配置された固定部材を有し、前記固定部材が、前記振動発振手段を貫通した前記ロッドが前記共振体の開口部に挿入された場合に、前記共振体に前記振動発振手段を固定し、前記開口部の寸法が、前記共振体の温度が所定温度未満の場合に前記ロッドの横断面の寸法以下であり、前記共振体の温度が所定温度以上の場合に前記ロッドの横断面の寸法より大きくなるので、前記振動発振手段を構成する圧電素子および正電極または圧電素子および負電極が相互に固着されていない場合であっても、前記振動発振手段を前記共振体に確実に固定でき、特に、前記共振体に円筒状の前記振動発振手段を容易に固定することができ、前記振動発振手段による超音波振動の出力効率を損なうことなく装置規模の小型化を促進した超音波振動子を容易に実現できるという効果を奏する。
また、本発明によれば、前記所定温度は、150℃以上、500℃以下の範囲内の温度に設定されるので、前記振動発振手段に前記共振体を焼き嵌める処理を最適化でき、前記振動発振手段による超音波振動の出力効率を損なうことなく装置規模の小型化を促進した超音波振動子を効率よく実現できるという効果を奏する。
また、本発明によれば、前記共振体に挿入する前記振動発振手段の全挿入方向に垂直な方向について、前記振動発振手段の外形寸法以下の寸法を有する空間を前記共振体に形成し、つぎに、熱膨張工程によって前記共振体を所定温度以上に加熱して、前記空間の寸法を前記振動発振手段の外形寸法よりも大きくし、前記熱膨張工程によって大きくした前記空間に前記振動発振手段を挿入し、その後、前記振動発振手段が挿入された前記共振体を前記所定温度未満に冷却し、前記振動発振手段を前記共振体内に固定しているので、ボルト等を用いて前記共振体と前記振動発振手段とを螺子締結することなく、前記振動発振手段に対して圧縮応力を印加するとともに前記共振体に前記振動発振手段を確実に固定でき、前記振動発振手段による超音波振動の出力効率を損なうことなく装置規模を小型化した超音波振動子を実現できるという効果を奏する。
また、本発明によれば、前記振動発振手段を貫通するロッドの横断面寸法以下の寸法を有する開口部を前記共振体に形成し、つぎに、熱膨張工程によって前記共振体を所定温度以上に加熱して、前記開口部の寸法を前記ロッドの横断面寸法よりも大きくし、前記熱膨張工程によって大きくした前記開口部に対して、前記振動発振手段を貫通した前記ロッドを挿入するとともに、前記振動発振手段を前記共振体に接触させ、その後、前記共振体に接触させた前記振動発振手段を前記共振体に押し付けるとともに前記共振体を所定温度未満に冷却し、前記振動発振手段を前記共振体に固定しているので、前記振動発振手段を構成する圧電素子および正電極または圧電素子および負電極が相互に固着されていない場合であっても、前記共振体に前記振動発振手段を確実に固定でき、特に、前記共振体に円筒状の前記振動発振手段を容易に固定でき、前記振動発振手段による超音波振動の出力効率を損なうことなく装置規模の小型化を促進した超音波振動子を容易に実現できるという効果を奏する。
また、本発明によれば、前記固定工程の後に、前記振動発振手段を構成する圧電素子に分極処理を行うので、前記熱膨張工程の加熱温度を高温に設定できるとともに、前記分極処理によって得られた前記振動発振手段の電歪効果が、前記熱膨張工程による加熱処理によって喪失されることを防止でき、これによって、前記振動発振手段に前記共振体を容易に焼き嵌めることができるとともに、前記共振体を焼き嵌めた前記振動発振手段の電歪効果を確実に得ることができるという効果を奏する。
また、本発明によれば、前記振動発振手段を構成する圧電素子に対する分極処理を前記挿入工程以前に行うので、前記分極処理による加熱温度によって、前記共振体と前記振動発振手段との嵌め合いが損なわれることを防止でき、前記振動発振手段に前記共振体を確実に焼き嵌めることができるという効果を奏する。
また、本発明によれば、前記所定温度が、150℃以上、500℃以下の範囲内の温度に設定されるので、前記振動発振手段に前記共振体を焼き嵌める処理を最適化でき、前記振動発振手段による超音波振動の出力効率を損なうことなく装置規模の小型化を促進した超音波振動子を効率よく実現できるという効果を奏する。
以下、添付図面を参照して、この発明にかかる超音波振動子およびその製造方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1である超音波振動子の概略構成を例示する斜視図である。図1において、超音波振動子10は、積層圧電素子5に共振体1を焼き嵌めた構造を有する。共振体1は、Ti−6Al−4V等のチタン合金によって実現され、積層圧電素子5から出力された超音波振動を増幅するホーン3と、積層圧電素子5をホーン3に固定する固定部材2と、ホーン3によって増幅された超音波振動を被処置体に伝達して該被処置体に医療処置を行う処置部4とを有する。ホーン3は、積層圧電素子5との接触端から先端に向けて徐々にその断面積が小さくなる形状を有し、この接触端の周囲には、フランジ3aが設けられる。また、ホーン3の接触端には固定部材2が設けられ、ホーン3の先端には処置部4が設けられる。
固定部材2は、縦断面がコの字形状である枠体によって構成され、積層圧電体5に共振体1を焼き嵌める焼き嵌め処理が行われた場合、固定部材2の空間内に積層圧電素子5を組み込む。この場合、積層圧電素子5は、共振体1が伝達する超音波振動の発振方向と積層圧電素子5の発振方向とが一致するように、固定部材2の空間内に挿入される。また、固定部材2は、挿入された積層圧電素子5に対して、この発振方向に圧縮応力を印加するとともに、この発振方向と積層圧電素子5の挿入方向とに垂直な方向に圧縮応力を印加し、これによって、固定部材2は、ホーン3に積層圧電素子5を押し付けるとともに固定する。なお、積層圧電素子5は、共振体1と積層圧電素子5に配置された外部電極とが常時絶縁状態になるように、固定部材2の空間内に組み込まれる。
ここで、上述した焼き嵌め処理は、一般に、開口部を有する円板等の部材を加熱膨張させ、膨張した部材の開口部に該開口部の設計寸法よりも若干大きい寸法の軸を嵌め入れ、その後、この軸が嵌め入れられた部材を冷却して該部材の開口部の寸法をその設計寸法に戻し、これによって、部材に軸を固定する処理として定義される。しかし、ここでは、固定部材を有する共振体を加熱膨張させ、膨張した共振体の固定部材が形成する空間内に、該空間の設計寸法、すなわち、この固定部材の内部寸法の設計値よりも若干大きい外形寸法の積層圧電素子を嵌め入れ、その後、この空間内に積層圧電素子が嵌め入れられた共振体を冷却してこの固定部材の内部寸法をその設計値に戻し、これによって、共振体内に積層圧電素子を組み込む処理も焼き嵌め処理として定義する。
図2は、超音波振動子10を共振体1と積層圧電体5とに分解した状態を例示する模式図である。図2において、積層圧電素子5の外形寸法は、その発振方向について寸法aであり、該発振方向に垂直な方向について寸法bである。固定部材2は、空間2aを形成し、固定部材2の内部寸法は、共振体1が伝達する超音波振動の発振方向について寸法cであり、該発振方向および積層圧電素子5の挿入方向に垂直な方向について寸法dである。すなわち、空間2aの寸法は、この発振方向について寸法cであり、該発振方向および積層圧電素子5の挿入方向に垂直な方向について寸法dである。ここで、共振体1の温度が所定温度未満(たとえば常温)である場合、寸法c,dは、固定部材2の内部寸法の設計値であり、寸法c,dは、それぞれ寸法a,b以下である。一方、共振体1の温度が所定温度以上(たとえば150℃〜500℃の範囲の温度)である場合、固定部材2は膨張し、寸法c,dは、それぞれ寸法a,bよりも、たとえば、数μm〜数10μm程度大きくなる。すなわち、固定部材2の寸法c,dが、それぞれ寸法a,b以下に設計され、共振体1を所定温度以上に加熱して固定部材2を熱膨張させた場合に、それぞれ寸法a,bよりも大きくなるように構成すれば、上述した焼き嵌め処理を行うことができる。また、積層圧電素子5に共振体1を焼き嵌めた場合に固定部材2が積層圧電素子5に印加する圧縮応力は、固定部材2の内部寸法の設計値を変更することによって調整することができ、たとえば、寸法c,dの設計値をそれぞれ寸法a,bに近づけるように変更すれば、この圧縮応力を小さくでき、寸法c,dの設計値をそれぞれ寸法a,bとの偏差が大きくなるように変更すれば、この圧縮応力を大きくすることができる。
なお、積層圧電素子5の挿入方向についての固定部材2の内部寸法の設計値は、この挿入方向についての積層圧電素子5の外形寸法以上であることが望ましく、さらには、この外形寸法と同値であることが望ましい。
つぎに、積層圧電素子5の構成について詳細に説明する。図3は、積層圧電素子5を構成する圧電素子を模式的に例示する斜視図である。図4は、図3に示す圧電素子の側面を模式的に例示するA矢視図である。図3および図4において、圧電素子6は、チタン酸バリウムまたはチタン酸ジルコン酸鉛等の圧電セラミックによって構成される圧電体6aと、内部正電極6bと、内部負電極6cとを有する。圧電体6aには、その上面から所定の一側面にかけて内部正電極6bが配置され、圧電体6aについて内部正電極6bと点対称の位置に内部負電極6cが配置される。この場合、内部正電極6bおよび内部負電極6cは、相互に接触しないように配置され、かつ、それぞれ圧電体6aの三面以上に露出しないように配置される。
図5は、積層圧電素子5を分解した状態を模式的に例示する分解斜視図である。図5において、積層圧電素子5は、絶縁材によって構成される保護部材7a,7bの間に所望数量の圧電素子6が積層された構造を有する。この場合、所望数量の圧電素子6は、隣接する圧電素子6の内部正電極6b同士を合わせるとともに内部負電極6c同士を合わせるように、さらに、各圧電素子6の一側面に露出した内部正電極6b同士が同一列に配置されるとともにその別の一側面に露出した内部負電極6c同士が同一列に配置されるように積層される。また、保護部材7a,7bは、所望数量積層された圧電素子6の上面または下面に固着され、この上面または下面に露出した内部正電極6bまたは内部負電極6cを覆う。さらに、所望数量積層された圧電素子6の一側面に露出した内部正電極6b列には外部正電極8aが配置され、その別の一側面に露出した内部負電極6c列には外部負電極8bが配置される。
図6は、所望数量の圧電素子6、保護部材7a,7b、外部正電極8a、および外部負電極8bを用いて組み立てられた積層圧電素子5を模式的に例示する斜視図である。図6に示すように、積層圧電素子5は、保護部材7a,7bと15個の圧電素子6とが上述したように積層され、この積層された圧電素子6の一側面に外部正電極8aが配置され、その相対する側面に外部負電極8bが配置された構造を有する。ここで、積層圧電素子5の各圧電素子6を分極する分極処理が行われた場合、積層圧電素子5は、保護部材7a,7bに対して垂直な軸方向、すなわち、図6に示す分極方向に分極する。分極処理がなされた積層圧電素子5は、外部正電極8aおよび外部負電極8bを介して電気エネルギーが供給された場合、保護部材7a,7bに対して垂直な軸方向、すなわち、図6に示す発振方向に超音波振動を出力する。また、保護部材7a,7bは、上述したように、積層された圧電素子6の上面または下面に露出した内部正電極6bまたは内部負電極6cを覆い、これによって、保護部材7a,7bは、共振体1に組み込まれた積層圧電素子5と該共振体1とを絶縁状態にできる。なお、後述する分極処理がなされた積層圧電素子5が、図1に示したように、共振体1の固定部材2内に組み込まれた場合、この積層圧電素子5は、外部正電極8aおよび外部負電極8bを介して電気エネルギーが供給され、所望の超音波振動を共振体1に出力することができる。この場合、積層圧電素子5は、超音波振動子10の振動発振手段として機能する。
つぎに、超音波振動子10を製造するまでの各処理工程について詳細に説明する。図7は、加工された共振体1と積層圧電素子5とを用いて超音波振動子10を製造するまでの各処理工程を説明するフローチャートである。図7において、所望数量(たとえば15個)の圧電素子6、保護部材7a,7b、外部正電極8a、および外部負電極8bを用い、上述したように組み立てられた積層圧電素子5に対して、その外部正電極8aおよび外部負電極8bに数kV/cm〜数10kV/cmの電圧を数時間印加し、積層圧電素子5の各圧電素子6を分極する分極処理を行う(ステップS101)。この分極処理を行う場合、圧電素子6は、必要に応じて、100℃〜200℃程度に加熱される。
一方、共振体1は、Ti−6Al−4V等のチタン合金を原材料とした機械加工によって製造される。この場合、共振体1は、固定部材2、ホーン3、および処置部4を有するように機械加工され、固定部材2は、上述したように、共振体1が伝達する超音波振動の発振方向について寸法cの内部寸法を有し、該発振方向および積層圧電素子5の挿入方向に垂直な方向について寸法dの内部寸法を有するように機械加工される。この場合、固定部材2の寸法c,dは、上述したように、それぞれ積層圧電素子5の外形寸法である寸法a,b以下である。すなわち、この共振体1の機械加工によって、この寸法c,dを有する空間2aが、固定部材2内に形成される(ステップS102)。なお、共振体1は、Ti−6Al−4V等のチタン合金を原材料とし、MIM(Metal Injection Molding)等による金属成形によって製造することもでき、この場合、固定部材2内の空間2aは、このMIM等による金属成形によって実現される。
つぎに、共振体1を所定温度以上になるように加熱し、該共振体1を膨張させる(ステップS103)。この共振体1に対する熱膨張処理によって、固定部材2は膨張し、固定部材2の寸法c,dは、積層圧電素子5の寸法a,bに比して、それぞれ大きくなる。この場合、固定部材2の寸法c,dは、積層圧電素子5の寸法a,bに比して、それぞれ数μm〜数10μm程度大きくなればよい。また、共振体1は150℃〜200℃の範囲内の温度になるように加熱されることが望ましい。このことは、上述した分極処理がなされた積層圧電素子5が200℃以上に加熱保持された場合、この分極処理によって得られた積層電圧素子5の電歪効果が喪失されることに起因する。
共振体1がステップS103の熱膨張処理によって膨張した場合、上述した分極処理がなされた積層圧電素子5は、膨張した共振体1の固定部材2内に挿入される(ステップS104)。この場合、積層圧電素子5は、上述したように、共振体1が伝達する超音波振動の発振方向と積層圧電素子5の発振方向とが一致するように、かつ、外部正電極8aおよび外部負電極8bが固定部材2内から露出するように、固定部材2の空間2a内に挿入される。これによって、積層圧電素子5は、共振体1に対する絶縁状態を維持できるとともに、外部正電極8aおよび外部負電極8bを介して積層圧電素子5に電気エネルギーを供給できるように構成できる。なお、積層圧電素子5は、積層圧電素子5の発振方向の中心軸とホーン3および処置部4の中心軸とが一致するように挿入されることが望ましい。
その後、固定部材2内に積層圧電素子5が挿入された共振体1を所定温度未満になるように冷却し、ステップS103によって膨張した共振体1を元の大きさに収縮させる。この場合、固定部材2は、その寸法c,dが設計値に戻るように収縮する。この固定部材2の収縮によって、固定部材2は、挿入された積層圧電素子5に対して、積層圧電素子5の発振方向に圧縮応力を印加するとともに、積層圧電素子5の発振方向と挿入方向とに垂直な方向に圧縮応力を印加し、これによって、固定部材2は、ホーン3に積層圧電素子5を押し付けるとともに固定する(ステップS105)。すなわち、積層圧電素子5は、保護部材7a,7bが共振体1のホーン3または固定部材2に接触するように、かつ、外部正電極8aまたは外部負電極8bを配置しない側面が挟まれるように、固定部材2内に固定される。なお、この共振体1の冷却処理は、自然空冷によって達成してもよいし、放熱装置等を用いて行ってもよい。この場合、共振体1は、膨張した固定部材2が収縮され、その内部寸法が積層圧電素子5の外形寸法以下になる温度、たとえば常温になるまで冷却されればよい。
ここで、共振体1内に組み込まれた積層圧電素子5が所望の超音波振動を効率よく出力するためには、この積層圧電素子5に対して、その発振方向に圧縮応力を印加することが有効である。このことは、一般に、積層圧電素子の圧縮強度が該積層圧電素子の引張強度よりも10倍程度大きく、予め積層圧電素子に圧縮応力を印加した場合、この積層圧電素子に印加される引張応力が抑制され、これによって、積層圧電素子の機械的振動耐性が高まることに起因する。
また、積層圧電素子5に共振体1を焼き嵌める焼き嵌め処理は、ステップS103の熱膨張処理からステップS105による積層圧電素子5の固定処理までの各処理を順次行った場合に達成され、この焼き嵌め処理によって、積層圧電素子5が共振体1内に組み込まれる。この場合、外部正電極8aおよび外部負電極8bを介して積層圧電素子5に電気エネルギーを供給すれば、積層圧電素子5は所望の超音波振動をホーン3に出力し、ホーン3は、積層圧電素子5が出力した超音波振動を増幅するとともに処置部4に伝達する。処置部4は、増幅された超音波振動を被処置体に伝達し、これによって、この被処置体に対する医療処置を達成することができる。
なお、上述した分極処理がなされた積層圧電素子5を共振体1内に組み込む場合、ステップS101の分極処理は、ステップS104によって積層圧電素子5が固定部材2内に挿入される前に完了すればよく、望ましくは、この分極処理が完了するまでに要する時間を考慮し、ステップS103の熱膨張処理が達成される前に完了する。
図8は、上述したステップS103の熱膨張処理によって膨張させた共振体1内に積層圧電素子5を挿入した状態を説明する模式図である。図9は、図8に示す共振体1のB−B線断面図である。図8および図9において、積層圧電素子5が、上述したステップS104の挿入処理によって、膨張した固定部材2内に挿入された場合、積層圧電素子5と固定部材2との間には、積層圧電素子5の発振方向および挿入方向に垂直な方向に空隙e,fが生じ、この発振方向に空隙gが生じる。この空隙e,fおよび空隙gは、上述したステップ103によって膨張した固定部材2の内部寸法と積層圧電素子5の外形寸法との差である。空隙e,fの総和は、膨張した固定部材2の寸法cと積層圧電素子5の寸法aとの差に相当し、たとえば数μm〜数10μm程度である。空隙gは、膨張した固定部材2の寸法dと積層圧電素子5の寸法bとの差に相当し、たとえば数μm〜数10μm程度である。すなわち、上述したステップS103によって固定部材2を膨張させた場合、固定部材2の内部寸法と積層圧電素子5の外形寸法との間には、空隙e,fの総和に相当する寸法差と空隙gに相当する寸法差とが生じ、これによって、積層圧電素子5を固定部材2内に挿入することができる。
図10は、上述したステップS105の固定処理を行い、共振体1内に積層圧電素子5を固定した状態を説明する模式図である。図11は、図10に示す共振体1のC−C線断面図である。図10および図11において、固定部材2内に積層圧電素子5が挿入された共振体1を所定温度未満、たとえば常温になるまで冷却し、膨張した固定部材2を元の大きさに収縮させた場合、固定部材2は、上述した空隙e,fおよび空隙gを埋めるとともに、積層圧電素子5に圧縮応力を印加する。この場合、固定部材2は、積層圧電素子5の発振方向と挿入方向とに垂直な方向に圧縮応力を印加し、積層圧電素子5の外部正電極8aまたは外部負電極8bが配置されていない側面から積層圧電素子5を挟み込む。さらに、固定部材2は、積層圧電素子5の発振方向に圧縮応力を印加し、積層圧電素子5をホーン3に押し付ける。これによって、積層圧電素子5は、ホーン3に所望の超音波振動を出力できるように、ホーン3に確実に固定される。
一方、超音波振動子10を製造する場合、予め共振体1を焼き嵌めた積層圧電素子5に対して、上述した分極処理を行うことができる。図12は、加工された共振体1内に積層圧電素子5を組み込んだ後、この積層圧電素子5に分極処理を行って超音波振動子10を実現するまでの各処理工程を説明するフローチャートである。図12において、共振体1は、上述したステップS102と同様に、固定部材2、ホーン3、および処置部4を有するように機械加工され、これによって、上述した寸法c,dを有する空間2aが、固定部材2内に形成される(ステップS201)。
つぎに、空間2aが形成された共振体1は、上述したステップS103と同様に、所定温度以上になるように加熱される。これによって、共振体1は膨張し(ステップS202)、固定部材2の寸法c,dは、上述したように、積層圧電素子5の寸法a,bに比して、それぞれ大きくなる。この場合、共振体1は、分極処理がなされた積層圧電素子5が挿入されていないので、150℃〜500℃の範囲内の温度になるように加熱することができる。これによって、共振体1を加熱膨張させて、固定部材2の寸法c,dを積層圧電素子5の寸法a,bよりも大きくする熱膨張処理を容易に達成することができる。
共振体1がステップS202の熱膨張処理によって膨張した場合、分極処理がなされていない積層圧電素子5は、上述したステップS104と同様に、膨張した固定部材2内に挿入され(ステップS203)、つぎに、上述したステップS105と同様に、固定部材2内に積層圧電素子5が挿入された共振体1を冷却して、固定部材2を元の大きさに戻るように収縮させ、これによって、積層圧電素子5を固定部材2内に固定する(ステップS204)。この場合、固定部材2は、上述したステップS105の場合と同様に、積層圧電素子5に圧縮応力を印加し、ホーン3に積層圧電素子5を押し付ける。その後、共振体1内に固定された積層圧電素子5に対して、上述したステップS101と同様に、外部正電極8aおよび外部負電極8bに数kV/cm〜数10kV/cmの電圧を数時間印加し、積層圧電素子5の各圧電素子6を分極する(ステップS205)。ステップS204によって共振体1内に組み込まれた積層圧電素子5に対して分極処理を行った場合、分極処理がなされた積層圧電素子5は、200℃以上に加熱保持される場合が少なくなり、この分極処理による電歪効果を確実に得ることができる。これによって、所望の超音波振動を確実に出力する超音波振動子を実現でき、出力された超音波振動を被処置体に伝達した場合に、この被処置体に対する医療処置を達成することができる。
なお、超音波振動子10が可撓性シース等に内蔵される場合、共振体1のフランジ3aが可撓性シースの外壁等に固定される。したがって、積層圧電素子5の電歪効果によって出力された超音波振動は、積層圧電素子5とホーン3との接触位置、すなわち、フランジ3aの位置において節を呈し、かつ、処置部4の位置において腹を呈する縦波(定在波)として、超音波振動子10に伝達される。このため、積層圧電素子から出力された超音波振動が、共振体のホーンと積層圧電素子との接触位置および処置部の位置において腹を呈し、かつ、フランジの位置において節を呈する定在波として超音波振動子に伝達された場合、超音波振動の出力効率を高めることができる。図13は、この発明の実施の形態1の変形例である超音波振動子の概略構成を例示する模式図である。図13において、超音波振動子11は、積層圧電素子5に共振体12を焼き嵌めた構造を有する。共振体12は、Ti−6Al−4V等のチタン合金によって実現され、上述した共振体1の場合と同様の固定部材2とホーン3と処置部4とを有する。また、共振体12には、固定部材2とホーン3との間に共振部材13が設けられる。共振部材13は、固定部材2内に固定された積層圧電素子5から出力された超音波振動をホーン3に伝達する。ホーン3は、図13に示すように、共振部材13から伝達された超音波振動を増幅するとともに、増幅した超音波振動を処置部4に伝達する。この場合、フランジ3aは、積層圧電素子5が共振部材13とホーン3とを介して処置部4に出力した超音波振動の節部近傍に設けられる。なお、上述したステップS101以降の各処理を行った場合、または、上述したステップS201以上の各処理を行った場合、積層圧電素子5に共振体12を焼き嵌めた構造を有する超音波振動子11を製造できる。
ここで、共振体12を焼き嵌めた積層圧電素子5が、その電歪効果によって超音波振動を出力した場合、この超音波振動に対応する定在波は、図13に示すように、積層圧電素子5が共振部材13と接触する位置と処置部4の位置とにおいて腹を呈し、フランジ3aの位置において節を呈する。この場合、積層圧電素子5は、フランジ3aの影響を受けることなく、超音波振動を効率よく出力することができる。したがって、超音波振動子11は、上述した超音波振動子10よりも効率的に超音波振動を出力することができる。
なお、この実施の形態1では、縦断面がコの字形状の枠体によって構成された固定部材内に積層圧電素子を固定した場合を説明したが、この発明は、これに限定されるものではなく、縦断面がL字形状の枠体によって構成された固定部材内に積層圧電素子を固定した場合に適用してもよい。ただし、固定部材の横断面がコの字形状またはL字形状である場合、積層圧電素子の内部正電極および内部負電極の配置と外部正電極および外部負電極の配置と調整し、固定部材と積層圧電素子との絶縁状態を維持できるように構成すればよい。
また、この実施の形態1では、15個の圧電素子を積層した積層圧電素子を共振体内に組み込んだ場合を例示したが、この発明は、これに限定されるものではなく、所望の電歪効果に応じて、14個以下の圧電素子または16個以上の圧電素子を積層した積層圧電素子を共振体内に組み込んだ場合に適用してもよい。
以上に説明したように、この実施の形態1では、超音波振動を用いて被処置体に所望の医療処置を行う超音波振動子が、積層圧電素子に共振体を焼き嵌めることによって構成されているので、ボルト等を用いて共振体と積層圧電素子とを螺子締結することなく、共振体内に積層圧電素子を組み込むことができ、これによって、超音波振動子の構造を単純化するとともに共振体のホーンに積層圧電体を確実に固定することができ、共振体の加工処理または成形処理あるいは超音波振動子の製造作業を容易にするとともに、超音波振動子を小型化することができる。
また、この実施の形態1では、共振体に組み込まれた積層圧電素子に対して超音波振動の発振方向に圧縮応力を印加し、該共振体のホーンに該積層圧電素子を押し付けるとともに固定しているので、積層圧電素子が超音波振動を出力する場合に該積層圧電素子に生じる引張応力を抑制して積層圧電素子の機械的振動耐性を高めることができ、これによって、積層圧電素子による超音波振動の出力効率を高めることができ、被処置体に対する医療処置を効率的に行える超音波振動子を実現できる。
さらに、共振体を焼き嵌めた積層圧電素子に対して、この積層圧電素子を構成する各圧電素子を分極する分極処理を行った場合、分極処理がなされた積層圧電素子が200℃以上に加熱保持される場合を少なくすることができるので、共振体を焼き嵌めた積層圧電素子の電歪効果を確実に得ることができる。
また、この実施の形態1の変形例では、積層圧電素子から出力された超音波振動に対応する定在波が積層圧電素子のホーン側端部および処置部の位置において腹を呈するように共振体を構成したので、この共振体に組み込まれた積層圧電素子は、該共振体に効率的に超音波振動を出力することができ、これによって、積層圧電素子による超音波振動の出力効率をさらに高めることができる。
図14は、この実施の形態1である超音波振動子を用いて構成した内視鏡の一例を模式的に示す一部破断図である。なお、図14では、この内視鏡の体腔内への挿入側先端を模式的に図示する。図14において、内視鏡100は、直径hの筒状構造を有し、先端に観察系レンズ101が配置された貫通口とチャンネル102とが設けられる。チャンネル102は、超音波振動子が組み込まれた可撓性シースを挿入する直径kの貫通口である。術者は、チャンネル102に挿入された可撓性シースを操作し、該可撓性シースに組み込まれた超音波振動子の超音波振動を用いて、生体組織等の被処置体の破砕、乳化、止血等の医療処置を内視鏡観察下で行う。
ここで、内視鏡100が消化器系内視鏡である場合、内視鏡100の直径hは11mm程度であり、チャンネル102の直径kは6mm程度である。超音波振動子10は、上述したように、積層圧電素子5に共振体1を焼き嵌めた構造を有しているので、その全長nを25mm程度にし、かつ、積層圧電素子5の組み込み部分の長さpを15mm程度にすることができ、さらに、フランジ3aの直径を5mm以下にすることができる。この超音波振動子10を可撓性シース103に組み込んだ場合、可撓性シース103の直径mは、5mm以下に抑えることができる。この場合、消化器系内視鏡である内視鏡100のチャンネル102に超音波振動子10が組み込まれた可撓性シース103を挿入することができ、術者は、消化管内にある被処置体に対して、内視鏡観察下で所望の医療処置を行うことができる。すなわち、この発明によれば、消化管内の被処置体に対して内視鏡観察下で医療処置を行う消化器系内視鏡に好適な小型の超音波振動子を実現することができる。
また、内視鏡100が気管支系内視鏡である場合、内視鏡100の直径hは5mm程度であり、チャンネル102の直径kは2mm程度である。この場合、フランジ3aの直径を1mm程度にした超音波振動子10を構成すれば、この超音波振動子10が組み込まれた可撓性シース103の直径mを1mm程度にすることができ、上述した消化器系内視鏡の場合と同様に、気管支系内視鏡である内視鏡100のチャンネル102に超音波振動子10が組み込まれた可撓性シース103を挿入することができる。これによって、術者は、気管支内にある被処置体に対して、内視鏡観察下で所望の医療処置を行うことができる。すなわち、この発明によれば、気管支内の被処置体に対して内視鏡観察下で医療処置を行う気管支系内視鏡に好適な小型の超音波振動子を実現することもできる。
(実施の形態2)
つぎに、この発明の実施の形態2について詳細に説明する。上述した実施の形態1では、共振体を焼き嵌めた積層圧電素子に対して超音波振動の発振方向に圧縮応力を印加するようにしていたが、この実施の形態2では、積層圧電素子に対して超音波振動の発振方向に圧縮応力を印加せず、積層圧電素子とホーンとの接触端の他端、すなわち、共振体の後部から積層圧電素子の正電極および負電極を露出するように構成している。
図15は、この発明の実施の形態2である超音波振動子の概略構成を例示する斜視図である。この超音波振動子20は、実施の形態1である超音波振動子10を構成する共振体1の固定部材2に代えて、ホーンとの接触と相反する側(後部)を開放した固定部材22を設け、また、積層圧電素子5に代えて、固定部材22内に挿入した場合に固定部材22の後部から正電極および負電極を露出する積層圧電素子23を用いている。その他の構成は実施の形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
固定部材22は、積層圧電素子23との接触面がほぼ平らであり、それぞれが対向して配置された固定板22a,22bによって構成され、上述した焼き嵌め処理によって、固定部材22の空間内に積層圧電素子23を組み込む。この場合、積層圧電素子23は、共振体21が伝達する超音波振動の発振方向と積層圧電素子23の発振方向とが一致するように、固定板22a,22bに平行な方向から固定部材22の空間内に挿入される。固定部材22は、挿入された積層圧電素子23に対して、積層圧電素子23の挿入可能な全方向に垂直な方向、すなわち、超音波振動の発振方向に垂直な方向に圧縮応力を印加し、これによって、固定部材22は、ホーン3に積層圧電素子5を固定する。また、固定部材22の後部は開放されているので、固定部材22内に挿入された積層圧電素子23の正電極および負電極は、固定部材22の後部から露出される。
図16は、超音波振動子20を共振体21と積層圧電素子23とに分解した状態を例示する模式図である。図16において、積層圧電素子23は、その外形寸法として、超音波振動の発振方向に垂直な方向について寸法sを有する。固定部材22は、固定板22a,22bによって挟まれる空間22cを形成し、固定部材22の内部寸法として、固定板22aと固定板22bとの距離である寸法rを有する。すなわち、空間22cの寸法は、積層圧電素子23の挿入可能な全方向に垂直な方向について寸法rである。ここで、共振体21の温度が所定温度未満(たとえば常温)である場合、寸法rは、固定部材22の内部寸法の設計値であり、寸法rは、積層圧電素子23の寸法s以下である。一方、共振体21の温度が所定温度以上(たとえば150℃〜500℃の範囲の温度)である場合、共振体21が膨張するとともに、固定板22aと固定板22bとが相互に離れる方向に変位する。この場合、空間22cは膨張し、寸法rは、寸法sよりも、たとえば、数μm〜数10μm程度大きくなる。すなわち、固定部材22の寸法rが、寸法s以下に設計され、共振体21を所定温度以上に加熱して空間22cを膨張させた場合に寸法sよりも大きくなるように構成すれば、上述した焼き嵌め処理を行うことができる。また、積層圧電素子23に共振体21を焼き嵌めた場合に固定部材22が積層圧電素子23に印加する圧縮応力は、固定部材22の内部寸法の設計値を変更することによって調整することができ、たとえば、寸法rの設計値を寸法sに近づけるように変更すれば、この圧縮応力を小さくでき、寸法rの設計値を寸法sとの偏差が大きくなるように変更すれば、この圧縮応力を大きくすることができる。
なお、固定板22a,22bの積層圧電素子23との接触面の縦寸法および横寸法の設計値は、それぞれ積層圧電素子23の接触面の縦寸法以上および横寸法以上であることが望ましく、さらには、それぞれ積層圧電素子23の接触面の縦寸法および横寸法と同値であることが望ましい。
つぎに、積層圧電素子23の構成について詳細に説明する。図17は、積層圧電素子23の概略構成を模式的に例示する斜視図である。図17において、積層圧電素子23は、チタン酸バリウムまたはチタン酸ジルコン酸鉛等の圧電セラミックによって構成される圧電体23a,23b、正電極23c、および負電極23d,23eを有する。圧電体23a,23bは、正電極23cを介して積層され、負電極23dは、圧電体23aの正電極23c配置面に相反する面に配置され、負電極23eは、圧電体23bの正電極23c配置面に相反する面に配置される。この場合、正電極23cおよび負電極23eは、積層圧電素子23の同一側面から、フィン状の電極をそれぞれ突出させている。この正電極23cのフィン状部分および負電極23eのフィン状部分は、積層圧電素子23が共振体21内に組み込まれた場合に、固定部材22の後部から露出する。また、このフィン状の電極が突出する側面と相反する側面において、正電極23cは、圧電体23aと圧電体23bとの間にクリアランス24が存在するように、この側面の内側に配置される。このことは、積層圧電素子23が共振体21内に組み込まれた場合、共振体21を介した正電極23cと負電極23d,23eとの短絡を防止する。
ここで、積層圧電素子23の圧電体23a,23bを分極する分極処理が行われた場合、積層圧電素子23は、圧電体23a,23bの積層方向、すなわち、図17に示す分極方向に分極する。分極処理がなされた積層圧電素子23は、正電極23cおよび負電極23d,23eを介して電気エネルギーが供給された場合、正電極23cおよび負電極23eが突出する側面とその相反する側面とを振動する方向、すなわち、図17に示す発振方向に超音波振動を出力する。なお、分極処理がなされた積層圧電素子23が、図15に示したように、共振体21の固定部材22内に組み込まれた場合、この積層圧電素子23は、正電極8aと、負電極23e、共振体21、および負電極23dとを介して電気エネルギーが供給され、所望の超音波振動を共振体21に出力することができる。この場合、積層圧電素子23は、超音波振動子20の振動発振手段として機能する。
つぎに、超音波振動子20を製造するまでの各処理工程について詳細に説明する。図18は、加工された共振体21と積層圧電素子23とを用いて超音波振動子20を製造するまでの各処理工程を説明するフローチャートである。図18において、圧電体23a,23b、正電極23c、および負電極23d,23eを用い、上述したように組み立てられた積層圧電素子23に対して、正電極23cおよび負電極23d,23eに数kV/cm〜数10kV/cmの電圧を数時間印加し、圧電体23a,23bを分極する分極処理を行う(ステップS301)。この分極処理を行う場合、圧電体23a,23bは、必要に応じて、100℃〜200℃程度に加熱される。
一方、共振体21は、Ti−6Al−4V等のチタン合金を原材料とした機械加工によって製造される。共振体21は、固定板22a,22b、ホーン3、および処置部4を有するように機械加工される。この場合、固定板22a,22bは、上述したように、固定板22aと固定板22bとの距離が寸法rになるように機械加工され、すなわち、固定板22a,22bを備えた固定部材22は、内部寸法として、固定板22aと固定板22bとの距離である寸法rを有するように機械加工される。ただし、固定部材22の寸法rは、上述したように、積層圧電素子23の寸法s以下である。この共振体21の機械加工によって、寸法rを有する空間22cが、固定部材22内に形成される(ステップS302)。なお、共振体21は、Ti−6Al−4V等のチタン合金を原材料とし、MIM等による金属成形によって製造することもでき、この場合、固定部材22内の空間22cは、このMIM等による金属成形によって実現される。
つぎに、共振体21を所定温度以上になるように加熱し、該共振体21を膨張させる(ステップS303)。この共振体21に対する熱膨張処理によって、固定板22aと固定板22bとが、相互に離れる方向に変位し、空間22cの寸法rは、積層圧電素子23の寸法sよりも大きくなる。この場合、空間22cの寸法rは、積層圧電素子5の寸法sよりも、数μm〜数10μm程度大きくなればよい。また、ステップS303において、共振体21は150℃〜200℃の範囲内の温度になるように加熱されることが望ましい。このことは、上述した分極処理がなされた積層圧電素子23が200℃以上に加熱保持された場合、この分極処理によって得られた積層電圧素子23の電歪効果が喪失されることに起因する。
空間22cがステップS303の熱膨張処理によって膨張した場合、ステップS301の分極処理がなされた積層圧電素子23は、ホーン3に接触するように、空間22c内に挿入される(ステップS304)。この場合、積層圧電素子23は、上述したように、共振体21が伝達する超音波振動の発振方向と積層圧電素子23の発振方向とが一致するように、かつ、正電極23cおよび負電極23eの各フィン状部分が固定部材22の後部から露出するように、空間22c内に挿入される。ここで、ステップS304による挿入処理では、固定板22a,22bに平行な方向から空間22c内に積層圧電素子23を挿入できるので、積層圧電素子23の挿入方向について自由度が増加し、これによって、積層圧電素子23の挿入処理の容易性を高めることができる。なお、積層圧電素子23は、積層圧電素子23の発振方向の中心軸とホーン3および処置部4の中心軸とが一致するように挿入されることが望ましい。
その後、空間22c内に積層圧電素子23が挿入された共振体21を所定温度未満になるように冷却し、ステップS303によって膨張した共振体21を元の大きさに収縮させる。この場合、固定板22a,22bは、寸法rが設計値に戻るように変位する。この固定板22a,22bの変位によって、固定部材22は、ホーン3に接触するように挿入された積層圧電素子23に対して、積層圧電素子5の挿入可能な全方向に垂直な方向に圧縮応力を印加し、これによって、固定部材22は、ホーン3と積層圧電素子23との接触状態を維持するように、積層圧電素子23を固定する(ステップS305)。この場合、正電極23cは、共振体21との非接触状態を維持し、負電極23eは、共振体21を介して負電極23dと電気的に接続できるようになる。すなわち、積層圧電素子23を固定部材22内に固定した場合、超音波振動子20は、正電極8aと、負電極23e、共振体21、および負電極23dとを介して、積層圧電素子23に電気エネルギーを供給できるように構成される。なお、この共振体21の冷却処理は、自然空冷によって達成してもよいし、放熱装置等を用いて行ってもよい。この場合、共振体21は、固定板22a,22bが元の状態に変位し、固定部材22の内部寸法が積層圧電素子5の外形寸法以下になる温度、たとえば常温になるまで冷却されればよい。
ここで、積層圧電素子23に共振体21を焼き嵌める焼き嵌め処理は、ステップS303の熱膨張処理からステップS305による積層圧電素子23の固定処理までの各処理を順次行った場合に達成され、この焼き嵌め処理によって、積層圧電素子23が共振体21内に組み込まれる。この場合、正電極23cおよび負電極23eを介して積層圧電素子23に電気エネルギーを供給すれば、積層圧電素子23は所望の超音波振動をホーン3に出力し、ホーン3は、積層圧電素子23が出力した超音波振動を増幅するとともに処置部4に伝達する。処置部4は、増幅された超音波振動を被処置体に伝達し、これによって、この被処置体に対する医療処置を達成することができる。
なお、分極処理がなされた積層圧電素子23を共振体21内に組み込む場合、ステップS301の分極処理は、ステップS304によって積層圧電素子23が固定部材22内に挿入される前に完了すればよく、望ましくは、この分極処理が完了するまでに要する時間を考慮し、ステップS303の熱膨張処理が達成される前に完了する。
図19は、上述したステップS303の熱膨張処理によって膨張させた共振体21内に積層圧電素子23を挿入した状態を説明する模式図である。図20は、図19に示す共振体21のD−D線断面図である。図19および図20において、積層圧電素子23が、上述したステップS304の挿入処理によって、膨張した共振体21に挿入された場合、積層圧電素子23と固定板22aとの間には空隙tが生じ、積層圧電素子23と固定板22bとの間には空隙uが生じる。この空隙t,uの総和は、上述したステップ303によって変位した固定板22aと固定板22bとの距離と積層圧電素子5の外形寸法との差に相当し、この差は、たとえば、数μm〜数10μm程度である。すなわち、上述したステップS303によって共振体21を膨張させた場合、固定部材22の内部寸法と積層圧電素子23の外形寸法との間には、空隙t,uの総和に相当する寸法差が生じ、これによって、積層圧電素子23を共振体21内に挿入することができる。ただし、積層圧電素子23は、ホーン3に接触するように共振体21内に挿入される。
図21は、上述したステップS305の固定処理を行い、共振体21内に積層圧電素子23を固定した状態を説明する模式図である。図22は、図21に示す共振体21のE−E線断面図である。図21および図22において、固定部材22内に積層圧電素子23が挿入された共振体21を所定温度未満、たとえば常温になるまで冷却して該共振体21を収縮させ、変位した固定板22a,22bを元の状態に戻した場合、固定部材22は、上述した空隙t,uを埋めるとともに、積層圧電素子23に圧縮応力を印加する。この場合、固定部材22は、積層圧電素子5の挿入可能な全方向に垂直な方向に圧縮応力を印加し、ホーン3と積層圧電素子23との接触状態を維持するように、負電極23d,23eが配置された面から積層圧電素子5を挟み込む。これによって、積層圧電素子23は、ホーン3に所望の超音波振動を出力できるように、ホーン3に確実に固定される。
一方、超音波振動子20を製造する場合、予め共振体21を焼き嵌めた積層圧電素子23に対して、上述した分極処理を行うことができる。図23は、加工された共振体21内に積層圧電素子23を組み込んだ後、この積層圧電素子23に分極処理を行って超音波振動子20を実現するまでの各処理工程を説明するフローチャートである。図23において、共振体21は、上述したステップS302と同様に、固定板22a,22b、ホーン3、および処置部4を有するように機械加工され、これによって、上述した寸法rを有する空間22cが、固定部材22内に形成される(ステップS401)。
つぎに、空間22cが形成された共振体21は、上述したステップS303と同様に、所定温度以上になるように加熱される。これによって、共振体21は膨張し(ステップS402)、固定板22aと固定板22bとの距離、すなわち、寸法rは、上述したように、積層圧電素子23の寸法sよりも大きくなる。この場合、共振体21は、分極処理がなされた積層圧電素子5が挿入されていないので、150℃〜500℃の範囲内の温度になるように加熱することができる。これによって、共振体21を加熱膨張させて、固定板22aと固定板22bとの距離である寸法rを積層圧電素子23の外形寸法である寸法sよりも大きくする熱膨張処理を容易に達成することができる。
共振体21がステップS402の熱膨張処理によって膨張した場合、分極処理がなされていない積層圧電素子23は、上述したステップS304と同様に、空間22c内に挿入され(ステップS403)、つぎに、上述したステップS305と同様に、空間22c内に積層圧電素子5が挿入された共振体21を冷却して、固定板22a,22bを元の状態に戻るように変位させ、これによって、積層圧電素子23を固定部材22内に固定する(ステップS404)。この場合、固定部材22は、上述したステップS305の場合と同様に、ホーン3と積層圧電素子23との接触状態を維持するように、積層圧電素子23に圧縮応力を印加する。その後、共振体21内に組み込まれた積層圧電素子23に対して、上述したステップS301と同様に、正電極23cおよび負電極23eに数kV/cm〜数10kV/cmの電圧を数時間印加し、積層圧電素子23の圧電体23a,23bを分極する(ステップS405)。ステップS404によって共振体21内に組み込まれた積層圧電素子23に対して分極処理を行った場合、この積層圧電素子23は、200℃以上に加熱保持される場合が少なくなり、ステップS405の分極処理による電歪効果を確実に得ることができる。これによって、所望の超音波振動を確実に出力する超音波振動子を実現でき、出力された超音波振動を被処置体に伝達した場合に、この被処置体に対する医療処置を達成することができる。
なお、この実施の形態2では、平面を内側に向かい合わせる2つの固定板によって構成された固定部材内に積層圧電素子を固定した場合を説明したが、この発明は、これに限定されるものではなく、挿入される積層圧電素子の形状に応じ、横断面が弧形状である固定板を用いて構成された固定部材内に積層圧電体を固定してもよいし、横断面が円または楕円あるいはコの字形状の枠体によって構成された固定部材内に積層圧電体を固定してもよい。
また、この実施の形態2では、2つの圧電体を積層した積層圧電素子を共振体内に組み込んだ場合を例示したが、この発明は、これに限定されるものではなく、所望の電歪効果に応じて、3つ以上の圧電体を積層した積層圧電素子を共振体内に組み込んだ場合に適用してもよい。
以上に説明したように、この実施の形態2では、超音波振動の発振方向に垂直な方向から積層圧電素子を挟み込む固定板を有するように共振体を構成しているので、積層圧電素子の挿入方向の自由度が増加し、積層圧電素子に共振体を容易に焼き嵌めることができる。また、積層圧電素子に共振体を焼き嵌めた場合、共振体の後部から積層圧電素子の正電極および負電極を露出させているので、積層圧電素子に電気エネルギーを供給するための配線等が占める体積を小さくできる。したがって、共振体の加工処理または成形処理あるいは超音波振動子の製造作業を容易にするとともに、装置構造の小型化を促進し、消化器系内視鏡または気管支系内視鏡に好適な超音波振動子を容易に実現できる。また、共振体が、上述した実施の形態1の変形例と同様に、ホーンと固定部材との間に共振部材を有するように構成されれば、出力される超音波振動に対応する定在波は、積層圧電素子のホーン側端部および処置部の位置において腹を呈するので、上述した実施の形態1の変形例の場合と同様の作用効果を享受できる。
(実施の形態3)
つぎに、この発明の実施の形態3について詳細に説明する。上述した実施の形態1,2では、積層圧電素子に共振体を焼き嵌めて、共振体内に積層圧電素子が組み込まれた超音波振動子を実現していたが、この実施の形態3では、積層圧電素子を貫通したロッドに共振体を焼き嵌めて、共振体のホーンに積層圧電素子を固定するように構成している。
図24は、この発明の実施の形態3である超音波振動子の概略構成を例示する斜視図である。この超音波振動子30は、実施の形態1である超音波振動子10を構成する共振体1の固定部材2を設けず、ホーン3に代えてホーン33を設けている。また、積層圧電素子5に代えて円筒形状の積層圧電素子34を用い、積層圧電素子34に固定部材32を配置している。その他の構成は実施の形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
図25は、超音波振動子30を共振体31と固定部材32と積層圧電素子34とに分解した状態を模式的に例示する分解斜視図である。図25において、共振体31は、Ti−6Al−4V等のチタン合金によって実現され、積層圧電素子34から出力された超音波振動を増幅するホーン33と、ホーン33によって増幅された超音波振動を被処置体に伝達して該被処置体に医療処置を行う処置部4とを有する。ホーン33は、積層圧電素子34との接触端から先端に向けて徐々にその断面積が小さくなる形状を有し、この接触端の周囲には、フランジ3aが設けられる。また、ホーン33の接触端には直径yの開口部33aが設けられ、ホーン33の先端には処置部4が設けられる。
固定部材32は、共振体31と同様の金属材料を用いて実現され、積層圧電素子34を貫通するロッド32bと、ロッド32bによって貫通した積層圧電素子34をホーン33に押し付ける押付部材32aとによって構成される。ロッド32bは、ロッド32bが押付部材32aの平面に対して直角になるように、押付部材32aの平面の中心付近に配置される。また、ロッド32bは、直径xを有し、かつ、積層圧電素子34を貫通した場合に開口部33a内に挿入できる程度の長さに設定される。ここで、ロッド32bの直径xは、上述した共振体31の開口部33aの直径y以上に設計され、共振体31が所定温度以上(たとえば150℃〜500℃の範囲内の温度)に加熱された場合、膨張した開口部33aの直径yよりも、たとえば、数μm〜数10μm程度小さくなる。すなわち、開口部33aは、共振体31が所定温度未満(たとえば常温)の場合、ロッド32bの直径x以下であり、共振体31が所定温度以上の場合に膨張し、ロッド32bの直径xよりも大きくなる。
積層圧電素子34は、チタン酸バリウムまたはチタン酸ジルコン酸鉛等の圧電セラミックによって構成される圧電体34aと、正電極34bと、負電極34cとをそれぞれ所望数量有する。積層圧電素子34は、正電極34bが配置された圧電体34aと負電極34cが配置された圧電体34aとを交互に積層して実現される。この場合、積層圧電素子34は、正電極34bのフィン状電極と負電極34cのフィン状電極とをそれぞれ側面から露出させている。また、積層圧電素子34には圧電体34aの積層方向に積層圧電素子34を貫通する貫通口34dが設けられ、貫通口34dは、ロッド32bの直径xよりも若干大きい直径を有する。積層圧電素子34は、貫通口34dにロッド32bを貫通させた場合、その積層構造を維持する。さらに、積層圧電素子34の各圧電体34aを分極する分極処理が行われた場合、積層圧電素子34は、その積層方向、すなわち、図25に示す分極方向に分極する。分極処理がなされた積層圧電素子34は、正電極34bおよび負電極34cを介して電気エネルギーが供給された場合、その積層方向、すなわち、図25に示す発振方向に超音波振動を出力する。なお、積層圧電素子34は、圧電体34a、正電極34b、および負電極34cがそれぞれ固着されていなくてもよい。
ここで、超音波振動子30は、積層圧電素子34を貫通したロッド32bに共振体31を焼き嵌めた場合に実現される。この場合、積層圧電素子34の電歪効果によって出力された超音波振動は、ホーン33によって増幅された後、処置部4に伝達される。すなわち、共振体31は、上述した積層圧電素子34の発振方向と同一方向に超音波振動を伝達する。超音波振動子30は、処置部4を介して被処置体に所望の超音波振動を伝達し、これによって、この被処置体に対する医療処置が達成される。この場合、積層圧電素子34は、超音波振動子30の振動発振手段として機能する。
つぎに、超音波振動子30を製造するまでの各処理工程について詳細に説明する。図26は、加工された共振体31と積層圧電素子34とを用いて超音波振動子30を製造するまでの各処理工程を説明するフローチャートである。図27は、積層圧電素子34を貫通したロッド32bが、膨張したホーン33の開口部33a内に挿入される状態を説明する模式図である。図28は、積層圧電素子34を貫通したロッド32bが、開口部33a内に固定された状態を説明する模式図である。図26〜28において、の圧電体34a、正電極34b、および負電極34cをそれぞれ所望数量用い、上述したように組み立てられた積層圧電素子34に対して、正電極34bおよび負電極34cに数kV/cm〜数10kV/cmの電圧を数時間印加し、積層圧電素子34の各圧電体34aを分極する分極処理を行う(ステップS501)。この分極処理を行う場合、圧電体34aは、必要に応じて、100℃〜200℃程度に加熱される。
一方、共振体31は、Ti−6Al−4V等のチタン合金を原材料とした機械加工によって製造される。この場合、共振体31は、ホーン33および処置部4を有するように機械加工され、ホーン33には、上述したように、開口部33aおよびフランジ3aが設けられる。この場合、開口部33aの直径yは、上述したように、固定部材32のロッド32bの直径x以下に設定される。また、開口部33aの深さ寸法は、積層圧電素子34を貫通した場合に該積層圧電素子34から突出するロッド32bの長さ寸法、すなわち、開口部33a内に挿入されるロッド32bの挿入部分の長さ寸法よりも大きく設定される。すなわち、この共振体31の機械加工によって、直径yを有する開口部33aが、ホーン33に形成される(ステップS502)。なお、共振体31は、Ti−6Al−4V等のチタン合金を原材料とし、MIM(Metal Injection Molding)等による金属成形によって製造することもでき、この場合、ホーン33の開口部33aは、このMIM等による金属成形によって実現される。
つぎに、共振体31を所定温度以上になるように加熱し、該共振体31を膨張させる(ステップS503)。この共振体31に対する熱膨張処理によって、ホーン33は膨張し、開口部33aの直径yは、ロッド32bの直径xよりも大きくなる。この場合、開口部33aの直径yは、ロッド32bの直径xよりも数μm〜数10μm程度大きくなればよい。また、共振体31は、150℃〜200℃の範囲内の温度になるように加熱されることが望ましい。このことは、分極処理がなされた積層圧電素子34が200℃以上に加熱保持された場合、この分極処理によって得られた積層電圧素子34の電歪効果が喪失されることに起因する。
ホーン33がステップS503の熱膨張処理によって膨張した場合、分極処理がなされた積層圧電素子34を貫通したロッド32bは、図27に示すように、膨張したホーン33の開口部33a内に挿入される(ステップS504)。この場合、ロッド32bは、積層圧電素子34が固定部材32の押付部材32aとホーン33とによって挟み込まれるように、開口部33a内に挿入される。ここで、開口部33aの深さは、上述したように、ロッド32bの挿入部分の長さ寸法よりも大きく設定されているので、ロッド32bの挿入部分が全て開口部33a内に挿入された場合であっても、開口部33a内のロッド32b先端側に空隙が生じる。この空隙は、積層圧電素子34を貫通したロッド32bにホーン33を焼き嵌めた場合に、ホーン33と積層圧電素子34との接触が阻害されることを防止する。なお、ロッド32bは、積層圧電素子34の積層方向の中心軸とホーン33および処置部4の中心軸とが一致するように挿入されることが望ましい。
その後、図28に示すように、積層圧電素子34が、押付部材32aを介して印加される圧力によって圧縮されるとともに、共振体31が、所定温度未満になるように冷却され、これによって、ホーン33が、開口部33aの直径yが設計値に戻るように収縮し、開口部33a内に挿入されたロッド32bに圧縮応力を印加する。この場合、ホーン33および固定部材32は、積層圧電素子34に圧縮応力を印加した状態を維持し、ホーン33は、開口部33a内にロッド32bを固定し、これによって、積層圧電素子34は、超音波振動の発振方向に圧縮されるとともに、ホーン33に接するように固定される(ステップS505)。積層圧電素子34は、上述したようにホーン33に固定された場合、その側面から露出した正電極34bおよび負電極34cと共振体31および固定部材32とを介して、電気的エネルギーを供給できるように構成される。なお、この共振体31の冷却処理は、自然空冷によって達成してもよいし、放熱装置等を用いて行ってもよい。この場合、共振体31は、膨張したホーン33が収縮し、開口部33aの直径yがロッド32bの直径x以下になる温度、たとえば常温になるまで冷却されればよい。
ここで、積層圧電素子34を貫通したロッド32bに共振体31を焼き嵌める焼き嵌め処理は、ステップS503の熱膨張処理からステップS505による積層圧電素子34の固定処理までの各処理を順次行った場合に達成され、この焼き嵌め処理によって、積層圧電素子34が共振体31と固定部材32との間に組み込まれる。
図29は、上述したステップS505の固定処理を行い、積層圧電素子34が共振体31と固定部材32との間に組み込まれた状態を説明する模式図である。図30は、図29に示す超音波振動子30のF−F線断面図である。図29および図30において、積層圧電素子34は、共振体31のホーン33と固定部材32の押付部材32aとによって圧縮応力が印加されるとともに、ホーン33と押付部材32aとの間に挟み込まれる。すなわち、積層圧電素子34は、ロッド32bに貫通され、かつ、ホーン33と押付部材32aとに圧縮された場合、その積層構造を維持するとともに、ホーン33に確実に固定される。また、積層圧電素子34は、側面から正電極34bおよび負電極34cを露出しているので、正電極34bおよび負電極34cを介して積層圧電素子34に電気エネルギーを供給すれば、積層圧電素子34は所望の超音波振動をホーン33に出力し、ホーン33は、積層圧電素子34が出力した超音波振動を増幅するとともに処置部4に伝達する。処置部4は、増幅された超音波振動を被処置体に伝達し、これによって、この被処置体に対する医療処置を達成することができる。
なお、分極処理がなされた積層圧電素子34を貫通したロッド32bに共振体31を焼き嵌める場合、ステップS501の分極処理は、ステップS504によって積層圧電素子34を貫通したロッド32bが開口部33a内に挿入される前に完了すればよく、望ましくは、この分極処理が完了するまでに要する時間を考慮し、ステップS503の熱膨張処理が達成される前に完了する。
一方、超音波振動子30を製造する場合、共振体31と固定部材32との間に予め組み込まれた積層圧電素子34に対して、上述した分極処理を行うことができる。図31は、積層圧電素子34を貫通したロッド32bに共振体31を焼き嵌め、その後、この積層圧電素子34に分極処理を行って超音波振動子30を実現するまでの各処理工程を説明するフローチャートである。図31において、共振体31は、上述したステップS502と同様に、ホーン33および処置部4を有するように機械加工され、これによって、上述した直径yの開口部33aが、ホーン33に形成される(ステップS601)。
つぎに、開口部33aが形成された共振体31は、上述したステップS503と同様に、所定温度以上になるように加熱される。これによって、ホーン33は膨張し(ステップS602)、開口部33aの直径yは、上述したように、ロッド32bの直径xよりも大きくなる。この場合、共振体31は、分極処理がなされた積層圧電素子34と接触しないので、150℃〜500℃の範囲内の温度になるように加熱することができる。これによって、共振体31を加熱膨張させて、開口部33aの直径yをロッド32bの直径xよりも大きくする熱膨張処理を容易に達成することができる。
ホーン33がステップS202の熱膨張処理によって膨張した場合、分極処理がなされていない積層圧電素子34を貫通したロッド32bは、上述したステップS504と同様に、膨張した開口部33a内に挿入される(ステップS603)。つぎに、ロッド32が挿入された共振体31は、上述したステップS505と同様に、積層圧電素子34を圧縮した状態で冷却され、これによって、ホーン33が、収縮するとともに開口部33a内にロッド32bを固定し、積層圧電素子34が、ホーン33に接するように固定される(ステップS604)。この場合、ホーン33および固定部材32は、積層圧電素子34に対して、超音波振動の発振方向に圧縮応力を印加する。
その後、共振体31と固定部材32との間に組み込まれた積層圧電素子34に対して、上述したステップS501と同様に、正電極34bおよび負電極34cに数kV/cm〜数10kV/cmの電圧を数時間印加し、積層圧電素子34の各圧電体34aを分極する(ステップS605)。ここで、共振体31と固定部材32との間に組み込まれた積層圧電素子34に対して分極処理を行った場合、分極処理がなされた積層圧電素子34は、200℃以上に加熱保持される場合が少なくなり、この分極処理による電歪効果を確実に得ることができる。これによって、所望の超音波振動を確実に出力する超音波振動子30を実現でき、出力された超音波振動を被処置体に伝達した場合に、この被処置体に対する医療処置を達成することができる。
なお、この実施の形態3では、円筒形状を有する積層圧電素子をホーンに固定させた場合を示したが、この発明は、これに限定されるものではなく、角柱形状を有する積層圧電素子をホーンに固定した場合に適用してもよい。
また、この実施の形態3では、横断面が円形状の開口部およびロッドを用い、該開口部内に該ロッドを挿入した場合を示したが、この発明は、これに限定されるものではなく、開口部およびロッドの各横断面が相似形であればよく、この場合、開口部およびロッドの横断面を楕円または多角形等の各種形状にしてもよい。
以上に説明したように、この実施の形態3では、積層圧電素子を共振体に押し付ける押付部材と積層圧電素子を貫通するロッドとを備えた固定部材が機械加工または金属成形によって製造され、積層圧電素子を貫通したロッドに共振体を焼き嵌めるとともに、該積層圧電素子に対して、超音波振動の発振方向に圧縮応力を印加するように構成しているので、ボルト等を用いて共振体と積層圧電素子とを螺子締結することなく、すなわち、螺子加工を必要としない固定部材と共振体とを用いて、共振体のホーンに積層圧電素子を確実に固定できる。したがって、共振体または固定部材の製造作業を容易にするとともに、超音波振動子の構造を単純化することができ、これによって、消化器系内視鏡または気管支系内視鏡に好適な小型の超音波振動子を実現することができる。
また、角柱形状の積層圧電素子よりも超音波振動の出力効率が高い円柱形状の積層圧電素子を共振体のホーンに確実に固定できるので、装置構造の小型化を促進するとともに超音波振動の出力効率を高めた超音波振動子を実現することができる。さらに、共振体が、上述した実施の形態1の変形例と同様に、ホーンと固定部材との間に共振部材を有するように構成されれば、出力される超音波振動に対応する定在波は、積層圧電素子のホーン側端部および処置部の位置において腹を呈するので、超音波振動の出力効率をさらに高めた超音波振動子を実現できる。
以上のように、この発明では、電歪効果による超音波振動の出力効率を損なうことなく超音波振動子を小型化することができ、消化管内にある被処置体に破砕、乳化、または止血等の各種医療処置を内視鏡観察下で行う消化器系内視鏡、または気管支内にある被処置体に破砕、乳化、または止血等の各種医療処置を内視鏡観察下で行う気管支系内視鏡に適する。
この発明の実施の形態1である超音波振動子の概略構成を例示する斜視図である。 この発明の実施の形態1である超音波振動子を分解した状態を例示する模式図である。 この発明の実施の形態1に用いる積層圧電素子の圧電素子を模式的に例示する斜視図である。 図3に示す圧電素子の側面を模式的に例示するA矢視図である。 この発明の実施の形態1に用いる積層圧電素子を分解した状態を模式的に例示する分解斜視図である。 この発明の実施の形態1に用いる積層圧電素子の概略構成を模式的に例示する斜視図である。 この発明の実施の形態1である超音波振動子を製造するまでの各処理工程を説明するフローチャートである。 この発明の実施の形態1の共振体内に積層圧電素子を挿入した状態を説明する模式図である。 図8に示す共振体のB−B線断面図である。 この発明の実施の形態1の共振体内に積層圧電素子を固定した状態を説明する模式図である。 図10に示す共振体のC−C線断面図である。 共振体内に積層圧電素子を組み込んだ後に分極処理を行い、この発明の実施の形態1の超音波振動子を実現する場合の各処理工程を説明するフローチャートである。 この発明の実施の形態1の変形例である超音波振動子の概略構成を例示する模式図である。 この実施の形態1である超音波振動子を用いて構成した内視鏡の一例を模式的に示す一部破断図である。 この発明の実施の形態2である超音波振動子の概略構成を例示する斜視図である。 この発明の実施の形態2である超音波振動子を分解した状態を例示する模式図である。 この発明の実施の形態2に用いる積層圧電素子の概略構成を模式的に例示する斜視図である。 この発明の実施の形態2である超音波振動子を製造するまでの各処理工程を説明するフローチャートである。 この発明の実施の形態2の共振体内に積層圧電素子を挿入した状態を説明する模式図である。 図19に示す共振体のD−D線断面図である。 この発明の実施の形態2の共振体内に積層圧電素子を固定した状態を説明する模式図である。 図21に示す共振体のE−E線断面図である。 共振体内に積層圧電素子を組み込んだ後に分極処理を行い、この発明の実施の形態2の超音波振動子を実現するまでの各処理工程を説明するフローチャートである。 この発明の実施の形態3である超音波振動子の概略構成を例示する斜視図である。 この発明の実施の形態3である超音波振動子を分解した状態を模式的に例示する分解斜視図である。 この発明の実施の形態3である超音波振動子を製造するまでの各処理工程を説明するフローチャートである。 積層圧電素子を貫通したロッドが開口部内に挿入される状態を説明する模式図である。 積層圧電素子を貫通したロッドが開口部内に固定された状態を説明する模式図である。 この発明の実施の形態3共振体と固定部材との間に積層圧電素子が組み込まれた状態を説明する模式図である。 図29に示す超音波振動子のF−F線断面図である。 ロッドに共振体を焼き嵌めた後に分極処理を行い、この発明の実施の形態3の超音波振動子を実現するまでの各処理工程を説明するフローチャートである。
符号の説明
1,12,21,31 共振体
2,22,32 固定部材
2a,22c 空間
3,33 ホーン
3a フランジ
4 処置部
5,23,34 積層圧電素子
6 圧電素子
6a,23a,23b,34a 圧電体
6b 内部正電極
6c 内部負電極
7a,7b 保護部材
8a 外部正電極
8b 外部負電極
10,11,20,30 超音波振動子
13 共振部材
22a,22b 固定板
23c,34b 正電極
23d,23e,34c 負電極
24 クリアランス
32a 押付部材
32b ロッド
33a 開口部
34d 貫通口
100 内視鏡
101 観察系レンズ
102 チャンネル
103 可撓性シース

Claims (9)

  1. 電歪効果によって超音波振動を発振する振動発振手段と、該振動発振手段を当該共振体に固定する固定部材が形成され、該固定部材によって固定された前記振動発振手段が発振した超音波振動を増幅する共振体とを有し、該共振体によって増幅された超音波振動を用いて被処置体に対する医療処置を行う超音波振動子において、
    前記固定部材は、前記振動発振手段の挿入部位である空間を形成し、前記振動発振手段への焼き嵌めによって、前記空間に挿入した前記振動発振手段に対して前記超音波振動の少なくとも発振方向に圧縮応力を印加するとともに前記共振体に前記振動発振手段を固定し、
    前記空間の寸法は、前記圧縮応力の印加方向について、前記固定部材の温度が所定温度未満の場合に前記振動発振手段の寸法以下であり、前記固定部材の温度が所定温度以上の場合に前記振動発振手段の寸法より大きいことを特徴とする超音波振動子。
  2. 電歪効果によって超音波振動を発振する振動発振手段と、該振動発振手段を当該共振体に固定する固定部材が形成され、該固定部材によって固定された前記振動発振手段が発振した超音波振動を増幅する共振体とを有し、該共振体によって増幅された超音波振動を用いて被処置体に対する医療処置を行う超音波振動子において、
    前記固定部材は、前記振動発振手段の挿入部位である空間を形成し、前記振動発振手段への焼き嵌めによって、前記空間に挿入した前記振動発振手段に対して前記超音波振動の発振方向に垂直な方向に圧縮応力を印加するとともに前記共振体に前記振動発振手段を固定し、
    前記空間の寸法は、前記圧縮応力の印加方向について、前記固定部材の温度が所定温度未満の場合に前記振動発振手段の寸法以下であり、前記固定部材の温度が所定温度以上の場合に前記振動発振手段の寸法より大きいことを特徴とする超音波振動子
  3. 電歪効果によって超音波振動を発振する振動発振手段と、該振動発振手段が発振した超音波振動を増幅する共振体と、該共振体に前記振動発振手段を固定する固定部材とを有し、前記共振体によって増幅された超音波振動を用いて被処置体に対する医療処置を行う超音波振動子において、
    前記固定部材は、前記振動発振手段を貫通するロッドが配置され、前記振動発振手段を貫通した前記ロッドが前記共振体の焼き嵌めによって前記共振体の開口部に挿入された場合に、前記共振体に前記振動発振手段を固定し、
    前記開口部の寸法は、前記共振体の温度が所定温度未満の場合に前記ロッドの横断面の寸法以下であり、前記共振体の温度が所定温度以上の場合に前記ロッドの横断面の寸法より大きいことを特徴とする超音波振動子
  4. 前記所定温度は、150℃以上、500℃以下の範囲内の温度であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の超音波振動子。
  5. 電歪効果によって超音波振動を発振する振動発振手段と該振動発振手段が発振した超音波振動を増幅する共振体とを有し、該共振体によって増幅された超音波振動を用いて被処置体に対する医療処置を行う超音波振動子の製造方法において、
    前記共振体に挿入する前記振動発振手段の全挿入方向に垂直な方向について、前記振動発振手段の外形寸法以下の寸法を有する空間を前記共振体に形成する空間形成工程と、
    前記共振体を所定温度以上に加熱し、前記空間の寸法を前記振動発振手段の外形寸法よりも大きくする熱膨張工程と、
    前記熱膨張工程によって大きくした前記空間に前記振動発振手段を挿入する挿入工程と、
    前記振動発振手段が挿入された前記共振体を前記所定温度未満に冷却し、前記振動発振手段を前記共振体内に固定する固定工程と、
    を含んだことを特徴とする超音波振動子の製造方法。
  6. 電歪効果によって超音波振動を発振する振動発振手段と該振動発振手段が発振した超音波振動を増幅する共振体とを有し、該共振体によって増幅された超音波振動を用いて被処置体に対する医療処置を行う超音波振動子の製造方法において、
    前記振動発振手段を貫通するロッドの横断面寸法以下の寸法を有する開口部を前記共振体に形成する開口部形成工程と、
    前記共振体を所定温度以上に加熱し、前記開口部の寸法を前記ロッドの横断面寸法よりも大きくする熱膨張工程と、
    前記熱膨張工程によって大きくした前記開口部に対して、前記振動発振手段を貫通した前記ロッドを挿入するとともに前記振動発振手段を前記共振体に接触させる挿入工程と、
    前記挿入工程によって前記共振体に接触させた前記振動発振手段を前記共振体に押し付けるとともに前記共振体を所定温度未満に冷却し、前記振動発振手段を前記共振体に固定する固定工程と、
    を含んだことを特徴とする超音波振動子の製造方法。
  7. 前記固定工程によって前記共振体に固定された前記振動発振手段を構成する圧電素子に対して分極処理を行う分極工程を含んだことを特徴とする請求項5または6に記載の超音波振動子の製造方法。
  8. 前記挿入工程に用いる前記振動発振手段を構成する圧電素子は、予め分極処理がなされていることを特徴とする請求項5または6に記載の超音波振動子の製造方法。
  9. 前記所定温度は、150℃以上、500℃以下の範囲内の温度であることを特徴とする請求項5〜8のいずれか一つに記載の超音波振動子の製造方法。
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JP2015227034A (ja) * 2014-06-02 2015-12-17 株式会社リコー 液滴吐出記録装置、液滴吐出記録方法及び液滴吐出記録装置の制御プログラム

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