JP4127252B2 - 溶融金属めっき装置、及びその装置における浴中軸受け構造 - Google Patents

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Description

本発明は、溶融金属めっき装置、特にめっき金属浴中で用いるロール軸受け構造に関する。
亜鉛系めっき鋼帯は、自動車、家電製品、建築物、事務用品など広範な分野に使用されている。かかる亜鉛系めっき鋼帯は、冷間圧延により所定の板厚に調整した後、連続焼鈍炉等の熱処理設備により金属結晶組織を調整した鋼帯を、溶融亜鉛めっき設備に通板して製造される。図6に、鋼帯の連続溶融亜鉛系めっきラインにおけるめっき槽内部の概略構造を示す。通常、溶融亜鉛系めっき槽10には、加熱により溶融された亜鉛系金属6が充たされており、その浴中には、斜め下向きに走行されてきた鋼帯8を上向きにターンさせる「シンクロール」1、これを上方で受ける「コレクトロール」2、及び鋼帯のパスラインを安定させる「スタビライズロール」3の三本のロールが設置されている。シンクロール1には、走行される鋼帯8に与えられるテンションにより上方への荷重がかけられている。そしてシンクロール1の両側端に設けられているロール軸4、4の部位において、上方に配置された軸受け5により上記荷重が支えられている。
これらのロール群、特にシンクロール1と組み合わせて使用される軸受け5については、従来からいくつかの形状のものが知られている。まず、図7に示すように、ロール軸65の回転を2平面61、62で支える形状の軸受け60が知られている。このような形状の軸受け60は、ロール軸65及び軸受け平面61、62の間にヘルツ圧が発生して、ロール軸及び軸受けの磨耗速度が速く、結果としてこれらの交換頻度が高くなるという問題があった。
一方、軸受けの別の構造として、図8に示すような円弧状の軸受けも知られている。このような円弧状の軸受け5では、通常その内径がロール軸4の径より大きくなっている(例えば、特許文献1参照)。このように軸受け5の内径をロール軸4より大きくすることで、ロール、及び軸受けの交換が容易となり、また、めっき浴中のドロスがロール軸4と軸受け5との間に入っても容易に排出される、等のメリットがある。
特開2000−64008号公報
しかし、軸受け内径をロール軸よりも大きくすると、ロール軸の回転時にロール軸が以下に説明する「振れ回り」を起こしやすくなる。図9はかかる「触れ回り」について説明する図である。この図では、触れ回りのメカニズムについて、より良い理解を得るために、軸受け5の大きさを実際より大きく誇張して表している。図に示されているように、ロールが時計回り方向に回転されているとき、軸受け5の内径Rがロール軸4の軸径rよりも大きいため、ロール軸4は軸受け5の内周面51上を図の左方向に転動する。しかし、ロール軸4の転動が進むにつれて、軸荷重Lの水平分力Lh(内周面51にロール軸4の外周面41が接する点における接線の方向に平行な分力)が次第に大きさを増し、逆に垂直分力Lvは次第に小さくなる。ロール軸4が、軸受け5の内周面51上を転動できるのは、ロール軸4の外周面41と軸受け5の内周面51との間の摩擦力が所定値以上であることが必要であり、かかる摩擦力は上記垂直分力Lvと、外周面51と及び内周面41との間の摩擦係数μとの積(Lv・μ)により得られる。従って、ロール軸4の図面左方向への転動が進むと、摩擦力が次第に低下する。そうするとある程度転動がされたところでロール軸4はもと来た方向に滑り戻され、原位置に復帰する。そして再び上記の転動、復帰を繰り返す。本明細書においてこのような転動・復帰の繰り返しを「振れ回り」と呼ぶ。
シンクロール等の浴中ロールが振れ回りを起こすと、鋼帯が振動し、めっきのワイピング時のムラや浴中のドロスを舞い上げるため表面欠陥が生じやすくなる。
円弧状の軸受けを使用する場合において、軸受けを構成する材料が磨耗しやすい場合、図10に模式的に示すように、ロール軸4が接触する部分の軸受け50に磨耗痕52が形成される。このような磨耗痕52が形成されると、ロール軸4は軸受け50の磨耗痕52にはまり込んで回転する。このため、一時的に振れ回りが改善されたように見える。しかしながら、このように、容易に磨耗する軸受けを使用した場合には、上記磨耗痕が短時間内に大きなものとなるため、寿命が短く交換頻度も多くなる。したがって交換部品コストや、設備の休止ロスも無視できないものとなってくるので、溶融金属めっき軸受けとしては満足できるものではない。逆に磨耗しにくい材質を軸受けに用いれば、磨耗痕が形成されるまでに時間を要するので、当然ながら振れ回りをしている状態が長く続くことになる。
また、例えば、めっき浴中での耐食性の観点から、セラミックスを軸受けとして使用する場合がある。この場合、セラミックスは耐食性も良好でかつ磨耗しにくいため長寿命であるが、金属で形成されているロール軸受けとの間の摩擦係数が大きい(セラミックスの摩擦係数μ=0.6、サーメットの摩擦係数μ=0.3)。このため、振れ回りもサーメットの場合よりも大きなものとなることが経験されている。例えば、実機での経験ではサーメットを軸受け材量として使用した場合の振れ回りの大きさは8.5mmであるのに対し、セラミックスを使用した場合には9.4mmと振れ回りが大きくなる。
そこで本発明は、内周が円弧状の軸受を用いた場合に生じる、上述のような振れ回りの問題を解決し、長期に亘り円滑な回転を可能とする軸受け、該軸受けが組み込まれた溶融金属めっき装置を提供することを課題とする。
本発明者らは、ロール軸径と軸受け内径の差が小さい場合に、振れ回りを小さくすることが期待出来ることを知見した。また、従来、溶融した時の粘度が非常に低い溶融亜鉛系金属には潤滑剤としての機能はないものとされていたが、本発明者らの精査により、流体潤滑までは期待できないものの、軸と軸受けとの間に数分子レベルの潤滑膜を形成して、境界潤滑剤として機能し、ロール軸と軸受けとの間の摩擦を低下させうることが確認された。
ロール軸の軸径と軸受け内径との差が小さい場合、軸と軸受けの接触面積が大きくなること、および、溶融金属が隙間に入りにくくなって、上述した溶融金属の潤滑剤としての機能が小さくなることから、回転時にロール軸と軸受けとの間に生じる摩擦力が大きくなる。そのため、少しの磨耗や振動等により、回転不良に陥りやすくなる。また、一旦めっき浴中のドロスが巻き込まれると、排出されにくいため、それによる回転不良が生じやすい。
本発明は、振れ回りが抑制された滑らかな回転を得るために、軸受け内周の形状を、内周の一部分の曲率半径をロール軸の半径とほぼ同じとし、その他の部分の曲率半径をロール軸の半径よりも大きくすることを、その要旨とするものである。以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
請求項1に記載の発明は、溶融金属中にあって、走行される鋼帯を巻き架けて方向転換するロールの軸受け構造であって、軸受け内周面に直交する方向の断面形状として、ロール軸と略同一の曲率半径を有する第一円弧A1と、第一円弧A1より大きな曲率半径を有するとともに鋼帯が巻き出される側に第一円弧A1に接続点Xにおいて接続する第二円弧A2と、第一円弧A1より大きな曲率半径を有するとともに鋼帯を巻き込む側に第一円弧A1に接続点Yにおいて接続する第三円弧A3とが予め形成されており、第一円弧A1の中心Cと円弧の中央Zとを結ぶ線分CZは、軸荷重Lの方向に対して第二円弧A2側に傾くように配置されている軸受け構造により前記課題を解決せんとするものである。
ここに、「予め形成され」とは、上記円弧が使用に伴ってロール軸との摩擦により、磨耗して形成されたものではなく、使用開始時にすでにそのような形状に形成された軸受けが存在するという意味である。
この発明によれば、ロール軸受けの転動する方向に寄せて第一円弧が形成されているので、ロール軸外周面が第一円弧内に安定的に納まって、振れ回りが抑制された滑らかな回転を得ることが可能となる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の軸受け構造において、第一円弧A1の中心Cと、接続点Yとを結ぶ線分CYは前記軸荷重Lの方向に一致することを特徴とする。
ここに軸荷重Lは、ロールに架け渡された鋼帯に付与されたテンション(張力)により、ロールを上方に引き寄せる力であり、通常、ロール部通過後の鋼帯が走行される方向が鉛直上方であるので、軸荷重Lの方向も鉛直上方へと向けられている。
この発明によれば、第一円弧全体が転動方向に配置されるので、より安定的なロール軸の回転を得ることができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の軸受け構造において、第一円弧A1の中心角θが、10〜40°であることを特徴とする。
かかる範囲に第一円弧の中心角θを定めることにより、より安定的なロール軸の回転を得ることができる。第一円弧の中心角θが小さすぎると、ロール軸が第一円弧から脱落して転動を始める可能性が大きくなる。そうすると再び振れ回りが始まる恐れがある。一方、第一円弧の中心角θが大きすぎると、軸受け内周面とロール軸との間にドロス等が侵入した場合に、軸受けとロール軸との間に焼き付きが起きて、操業の停止を余儀なくされるような場合が生じる恐れがある。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の軸受け構造において、接続点X及びYにおける各円弧の接線が共有されていることを特徴とする。
この発明によれば、各円弧の接続点において、両側の円弧が滑らかに連続するので、仮にロール軸受けが第一円弧から脱落するようなことがあってもロール軸と軸受け内周面との接触が滑らかであり、異常磨耗が起り難い。また、第一円弧内に滑らかに復帰することができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の軸受け構造において、軸受け内周面の第二円弧A2及び第一円弧A1の部位に、軸の回転方向に平行な溝が形成されていることを特徴とする。
この発明によれば、第一円弧内に溶融金属を導きいれて、ロール軸と軸受けとの間でその境界潤滑剤としての機能を発揮させることができる。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の軸受け構造を備えた溶融金属めっき装置である。
この発明によれば、振れ回りが抑制された滑らかな回転を可能とする軸受けを備えた溶融金属めっき装置を構成することができるので、表面性状の優れためっき鋼帯を安定的に製造することが可能となる。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の溶融金属めっき装置において、少なくとも、軸受け内周面の第一円弧A1の部位と、ロール軸表面とが、サーメット溶射処理されていることを特徴とする。
この発明によれば、ロール軸と軸受けとの耐磨耗性が向上するので、使用可能期間の長い溶融金属めっき装置を提供することができる。
請求項8に記載の発明は、溶融金属中に鋼帯を走行させて行うめっき鋼帯の製造方法であって、鋼帯を溶融金属中のロールに巻き架けて走行方向を転換する工程を含み、ロールの軸受けは、該軸受け内周面に直交する方向の断面形状として、ロール軸と略同一の曲率半径を有する中央円弧と、中央円弧より大きな曲率半径を有するとともに中央円弧の両側に接続する左右の円弧とが予め形成されており、中央円弧の中心と円弧の中央とを結ぶ線が、軸荷重の方向に対して左右のいずれかの側に傾きをもって配置されているときに、鋼帯をロールに、傾きとは反対側から巻き込み、傾きの側から巻き出すように走行させる、めっき鋼帯の製造方法により前記課題を解決するものである。
この発明によれば、鋼帯をロールの触れ回りを抑制する方向に走行させるので、表面性状の優れた鋼帯を安定的に製造することができるめっき鋼帯の製造方法を提供することができる。
本発明の軸受け構造によれば、振れ回りが小ない安定した回転が得られる。これを連続溶融めっきラインのめっき浴中機器として適用した場合、鋼帯のパスラインの振動が抑えられ、良好な品質の溶融めっき鋼帯を製造することができる。本発明のこのような作用及び利得は、次に説明する発明を実施するための最良の形態から明らかにされる。
本発明は、軸受け内周の形状を、内周の一部分の曲率半径をロール軸の半径とほぼ同じとし、その他の部分の曲率半径をロール軸の半径よりも大きくすることで、振れ回りが抑制された滑らかな回転が得られる軸受け構造とするものである。まず、かかる軸受け構造について図1を参照しつつ幾何学的に説明する。図1は、本発明の軸受け15と、その軸受け15に軸荷重を支えられているロール軸14とを、ロール軸14の軸心方向に直交する面により切断した場合の断面を表す図である。図示のロール軸14、及びそのロール軸14を支える軸受け15において、以下に説明する軸受け15の内周側に形成された第一円弧A1に、ロール軸14の外周面が面接触している。軸荷重Lは、図面垂直上方に向けられている。
ロール軸14の断面形状は、その中心をCとして、半径R1の円である。第一円弧A1は、この円の一部であって、一端が中心Cから垂直上方に引いた線と該円との交点Yであり、他端はそれから第二円弧側に所定角度θ振られた半径と該円との交点Xである。換言すれば、第一円弧A1の中央Zは、垂直線CYよりθ/2だけ、第二円弧A2側に傾いた位置に配置されている。これらX、Yはそれぞれ、第一円弧A1と後述する第二円弧A2との接続点、及び第一円弧A1と後述する第三円弧A3との接続点でもある。また、所定の角度θは第一円弧A1の中心角でもある。上記第一円弧A1の中心角θは、軸受け15及びロール軸14を構成する材料の材質等により最適な範囲が存在する。これについては後述する。
次に、第三円弧A3は、その曲率半径をR3とした場合、第一円弧A1の中心Cを基準として、それから垂直下方に
D1=R3−R1
だけ変位した点を中心C3として、それから半径R3の円を接続点Yから時計回り方向に約90°描くことにより得ることができる。このようにすれば接続点Yにおける第一円弧A1の接線と、第三円弧A3の接線とが一致して、円滑に連続する曲面を形成することができる。また、第二円弧A2は、その曲率半径をR2とした場合、第三円弧A3の中心C3を基準として、それから垂直上方にD3、さらに図面右方向にD2だけ変位した点を中心C2として、それから半径R2(=R3)の円を、接続点Xから反時計回り方向に約(90°−θ)描くことにより得ることができる。ここにD2及びD3は、接続点Xにおいて、第一円弧A1の接線と第二円弧A2の接線とが一致するように、幾何学的に一意に定められる長さである。このようにすれば接続点Xにおける第一円弧A1の接線と、第二円弧A2の接線とが一致して、円滑に連続する曲面を形成することができる。
このような、内周部に複数の曲面が形成された軸受けは従来みられないため、その製作方法自体に工夫が必要である。即ち、軸と軸受けが接触する面の硬度が非常に高い場合には、その軸受け面の曲率を自在に変化させ得る研削工具がない。そこで、まず2つの曲率の異なる円筒状の軸受けを2つ作成し、これをワイヤーカッターにて精度良く、所定の角度の扇形に切断する。図1に示されるような軸受けを1つ作るためには、例えば
R1=70mm
R2=R3=80mm
θ=27°
とした場合に、63°と90°の中心角を持つ2つのR80の扇形軸受けを1つずつ、27°の中心角を持つR70の扇形軸受け1つ作製することが必要である。これを母材部分で溶接する。このようにすると、曲率R80の90°扇形軸受けと曲率R70の27°扇形と曲率R80の63°扇形とが合体し、半円形の軸受けを作製することが出来る。なお、母材としては、SUS 316等の材料を使用することができる。
以下において、軸受け内周の曲率半径を適正化した領域を「曲率適正化領域」とよぶ。曲率適性化領域は、上記した第一円弧A1の中心角θに対応する領域でもある。図2に、軸受けの適性化領域を変化させた場合に、ロール軸の振れ回りがどのように変化するかについて、シミュレーション計算した結果の一例を示す。このシミュレーションでは、ロール軸の半径(=R1)を70mmとし、軸受けの内周については、軸受けに最も荷重のかかる方向(図のY軸方向)から、反時計回り方向に一部の領域を曲率適正化領域として、その曲率半径R1を70mm、その他の領域では曲率半径R2=R3を80mmとした。曲率適正化領域を0°とした場合には、図2(a)のように、5mmの振れ回りを起こす。領域を14°にすると図2(b)のように、振れ回りは3.5mmに減少し、領域を27°とすると、図2(c)のように、振れ回り現象は解消した。
このように、軸受け内周面の曲率半径がロール軸半径と実質的に同じ領域、すなわち曲率適正化領域が大きいほど、振れ回りは小さくなるという結果を得た。ただし、その領域が大きくなるほど、前述したように摩擦力が大きくなり、また軸受けとロール軸との間にドロス等の異物が侵入した場合に軸受けとロール軸との間に焼き付きが生じやすくなる等の問題点がある。適正な領域(角度)は、ロール軸と軸受との間の摩擦係数にもよるが、10〜40°である。さらに好ましくは、内周面がセラミックスで、後述する軸受け内周面の溝がない場合には摩擦係数が大きい(約0.6)ので、30〜40°である。内周面がサーメットで、軸受け内周面に溝がない場合には、25〜35°、内周面がサーメットで軸受け内周面に溝を持つ場合には、20〜30°である。摩擦係数が大きいほど曲率適正化領域を広く取ることが好ましい。
軸受けの材質は、例えばセラミックス製のものを用いることができる。また、例えば基材としてはSUS 316L等を用い、内周面にサーメット合金やステライト合金を溶射したものを使用することもできる。このような軸受けは、溶融亜鉛系めっき浴等の溶融金属中での耐食性に優れ、また内周面が硬質で磨耗されにくいので、寿命が長いという利点がある。
本発明の軸受け構造は、好ましくは、少なくとも前記曲率適正化領域を含む軸受け内周面に、図3のように、周方向に溝31、32、33、…を有する。このような溝を設けることで、境界潤滑材として機能する溶融金属がロール軸と軸受けとの間に入り込みやすくなり、ロールの回転がより円滑になる。
ロール軸の材質については特に限定されないが、軸受け内周面と硬度等の物性が極端に異なると、一方だけの磨耗が進んで上述したような問題が発生する可能性があるので、軸受け内周と同様の材質とすることが好ましい。
鋼帯の連続溶融亜鉛めっき製造ラインにおけるシンクロールの軸受け構造として、本発明に係る構造のものと従来例に係る構造のものについて、振れ回りの状況を調査した。
従来例においては、シンクロール径は800mmで、軸の半径は70mm、軸受け内周の曲率半径は80mmとした。軸の長さは140mmとした。素材はロール軸、軸受けともにSUS 316を基材とし、それぞれの表面に耐磨耗サーメット溶射(WC−Co系)を施した。
図4は、めっき浴10直上の鋼帯8の振動をレーザー距離計40で測定することで、振れ回りを評価する状況を表したものである。従来例のロール軸および軸受けを用いた場合、使用当初は振れ回りが約5mm発生していた。軸受けが磨耗するにつれて、振れ回りは次第に小さくなるものの必ずしも抑制し切れなかった。結果の詳細を図5に示す。
図5の破線は、従来例の軸受け構造とした場合の鋼帯の振動幅を示したものである。このとき、スナップロールも併用して鋼帯の振動の抑制を図ったが、それでも鋼帯は±2mmの振幅で振動していた。これに対し、軸受け内周27°の領域で曲率半径をロール軸径と同じ70mmとしたものでは、図5の実線で表したように、振動幅が非常に小さくなった。軸受けの寿命も2倍になることがわかった。
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う溶融金属めっき装置、及びその装置における浴中軸受け構造もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
軸受けとロール軸との断面を示す図である。 軸の振れ回り領域に関するシミュレーション結果を示す図である。 軸受け内周面に形成された溝を示す図である。 めっき浴直上の鋼帯の振動をレーザー距離計で測定する状況を示す図である。 図4の測定の結果を示す図である。 溶融金属めっき槽を示す図である。 従来の軸受け構造の一例を示す図である。 従来の軸受け構造の他の一例を示す図である。 振れ回りのメカニズムを説明する図である。 材料が磨耗しやすい軸受けを模式的に示す図である。
符号の説明
A1 第一円弧
A2 第二円弧
A3 第三円弧
C (第一円弧)中心
C2 第二円弧中心
C3 第三円弧中心
D1、D2、D3 中心点変位
L 軸荷重
Lh 水平分力
Lv 垂直分力
R 内径(軸受け)
R1 第一円弧半径
R2 第二円弧半径
R3 第三円弧半径
r 内径(ロール軸)
Z (第一)円弧中央
X、Y 接続点
μ 摩擦係数
θ 第一円弧中心角
1 シンクロール
2 コレクトロール
3 スタビライズロール
4、14 ロール軸
5、15 軸受け
6 溶融亜鉛系金属
8 鋼帯
10 溶融亜鉛めっき槽
31、32、33、… 溝
40 レーザー距離計
41 ロール軸外周面
51 軸受け内周面
52 磨耗痕
50、60 軸受け
61、62 軸受け平面
65 ロール軸

Claims (8)

  1. 溶融金属中にあって、走行される鋼帯を巻き架けて方向転換するロールの軸受け構造であって、前記軸受け内周面に直交する方向の断面形状として、
    前記ロール軸と略同一の曲率半径を有する第一円弧A1と、
    前記第一円弧A1より大きな曲率半径を有するとともに、前記鋼帯が巻き出される側に前記第一円弧A1に接続点Xにおいて接続する第二円弧A2と、
    前記第一円弧A1より大きな曲率半径を有するとともに、前記鋼帯を巻き込む側に前記第一円弧A1に接続点Yにおいて接続する第三円弧A3とが予め形成されており、
    前記第一円弧A1の中心Cと円弧の中央Zとを結ぶ線分CZは、軸荷重Lの方向に対して前記第二円弧A2側に傾くように配置されている軸受け構造。
  2. 前記第一円弧A1の中心Cと、前記接続点Yとを結ぶ線分CYは前記軸荷重Lの方向に一致する、請求項1に記載の軸受け構造。
  3. 前記第一円弧A1の中心角θが、10〜40°である請求項1又は2に記載の軸受け構造。
  4. 前記接続点X及びYにおける各円弧の接線が共有されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の軸受け構造。
  5. 前記軸受け内周面の第二円弧A2及び第一円弧A1の部位に、前記軸の回転方向に平行な溝が形成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の軸受け構造。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の軸受け構造を備えた溶融金属めっき装置。
  7. 少なくとも、前記軸受け内周面の第一円弧A1の部位と、ロール軸表面とが、サーメット溶射処理されている請求項6に記載の溶融金属めっき装置。
  8. 溶融金属中に鋼帯を走行させて行うめっき鋼帯の製造方法であって、前記鋼帯を前記溶融金属中のロールに巻き架けて走行方向を転換する工程を含み、
    前記ロールの軸受けは、該軸受け内周面に直交する方向の断面形状として、前記ロール軸と略同一の曲率半径を有する中央円弧と、前記中央円弧より大きな曲率半径を有するとともに前記中央円弧の両側に接続する左右の円弧とが予め形成されており、
    前記中央円弧の中心と円弧の中央とを結ぶ線が、軸荷重の方向に対して左右のいずれかの側に傾きをもって配置されているときに、前記鋼帯を前記ロールに、前記傾きとは反対側から巻き込み、前記傾きの側から巻き出すように走行させる、めっき鋼帯の製造方法。
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