JP2012189184A - 液体潤滑すべり軸受装置用摺動部材 - Google Patents

液体潤滑すべり軸受装置用摺動部材 Download PDF

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Abstract

【課題】軸部材と軸受部材とが低い動摩擦で回転することができ、摩擦磨耗が抑制された液体潤滑すべり軸受装置用摺動部材を提供する。
【解決手段】一の中心軸と、前記中心軸周りに所定の半径で形成された摺動面を有する液体潤滑すべり軸受装置用摺動部材であって、前記摺動面には、前記中心軸に対し直交する方向に、当該摺動面に接続された端を有する溝が形成されていることを特徴とする液体潤滑すべり軸受装置用摺動部材である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、液体潤滑すべり軸受装置を構成する軸部材や軸受部材などの摺動部材に関する。
上記技術分野に係わる液体潤滑すべり軸受装置用摺動部材が利用される技術の一例として、溶融金属めっき技術がある。例えば、溶融金属めっき鋼板の一種である亜鉛めっき鋼板は、その耐腐食性の高さから、住宅の材料等、各種の用途に広く使用されている。こうした亜鉛めっき鋼板においては、薄い鋼板の表面に亜鉛めっきが施されている。ここで、鋼板は通常知られる製造方法によって得られ、その後でその表面に亜鉛めっきが施されて亜鉛めっき鋼板となる。
この亜鉛めっきを行う溶融亜鉛めっき装置50の概要を図9に示す。ここで、溶融亜鉛めっき浴(以下めっき浴と言う場合がある。)51がめっき槽52中に溜められている。熱延または冷延されてシート状とされた後に熱処理された被めっき材である鋼板Wは、スナウト53を通ってめっき浴51中に浸漬される。この際、鋼板Wは、めっき浴51の中に設けられたシンクロール54・サポートロール55を用いて、めっき浴51の中を等速度で通板し、めっき浴51の外側のワイピングノズル56を経由してから冷却される。これにより、一様な膜厚の亜鉛めっき層が鋼板Wの表面上に形成される。この例ではシンクロール54は1本、サポートロール55は2本設けられ、これらはその軸を平行にした状態で設置される。めっき浴51に斜め方向の姿勢で浸漬された鋼板Wは、このシンクロール54に巻き掛けられて上方に向きを変え、2本のサポートロール55の間を通ってめっき液51の外側に取り出される。なお、従来の液体潤滑すべり軸受装置用摺動部材の問題点を明らかにするため、以下溶融亜鉛めっき浴に浸漬されるシンクロール54を支持する液体潤滑すべり軸受装置(以下軸受装置と言う場合がある。)を構成する軸部材・軸受部材を例として説明するが、本発明の液体潤滑すべり軸受装置用摺動部材(以下摺動部材と言う場合がある。)は、これに限定されない。
シンクロール54は、めっき浴51の中で、すべり軸受(軸受部材)であるシンクロール軸受57によって、それぞれの両端部の軸部(軸部材)が回転自在に支持されている。シンクロール54の軸部とともに軸受装置を構成するシンクロール軸受57は、めっき浴51の外部から伸びる各々シンクロール支持部59で支持されており、これによりシンクロール54のめっき浴51中での位置が固定される。擦れ疵などめっき層に不良を生じさせることなく鋼板Wを円滑に通板させるためには、シンクロール54と鋼板Wとの間では滑りが発生しないように、シンクロール54が鋼板Wの通板速度に同期して円滑に回転することが必要である。このため、シンクロール54の軸部とこの軸部を支持するシンクロール軸受57との間の動摩擦が小さく、シンクロール54の回転が円滑に行われることが要求される。ここで、シンクロール54の回転運動の際には、液状であるめっき浴51自身が、その軸部とシンクロール軸受57との間の摺動界面における潤滑媒体としての役割を果たしている。このため、軸受装置においては、シンクロール54の軸部とシンクロール軸受57との摺動面の間に存在するめっき浴51に、軸部の回転により圧力(動圧)を発生させ、両者の直接接触を避けることによりその摺動界面における動摩擦を低減し、シンクロール54の回転を円滑化させるとともに、軸受装置の長寿命化のために、圧力変動により生じる両者の摩擦磨耗を低減することが重要である。
また、溶融亜鉛めっき浴51の場合に特徴的な問題として、シンクロール54およびシンクロール軸受57は、例えば450℃程度の高温に保持されためっき浴51に浸漬され使用されるという点がある。このような条件で使用されるシンクロール54およびシンクロール軸受57には、上記摩擦摩耗の他に、めっき浴51との間の化学反応による腐食磨耗や変形等が生ずることがある。この腐食磨耗や変形が大きくなった場合には、鋼板Wの通板を円滑に行うことができなくなり、均一なめっき層を形成することができなくなる。このような場合には、シンクロール54・シンクロール軸受57を交換する必要が生じるが、シンクロール54・シンクロール軸受57の寿命が短い場合には交換の頻度が高くなり、亜鉛めっき鋼板の製造コストが高くなる。
このように、亜鉛めっき鋼板の製造コストを低下させるためには、シンクロール54の軸部とシンクロール軸受57の間の動摩擦を低減してこれらの摩擦摩耗を低減し、加えてめっき浴との化学反応に対する耐性を高めて腐食磨耗や変形を抑制し、長寿命を図る必要がある。そして、シンクロール54とシンクロール軸受57の寿命は、これらを構成する材料に大きく依存するため、その選択は極めて重要である。この材料としては、従来、低炭素鋼・高クロム鋼・ステンレス鋼等が用いられてきた。また、シンクロール54の軸部とシンクロール軸受57の表面にタングステンカーバイド(Co添加)を溶射したものも用いられている。
上記技術分野に係わる溶融金属めっき浴用部材が下記特許文献1〜3を開示されている。そのうち特許文献1・2には、シンクロールの軸部を構成する材料として、窒化珪素セラミックスやサイアロンセラミックスを用いることが記載されている。また、特許文献3には、特にこの用途に適した窒化珪素質セラミックスの特性や組成が記載されている。
特開平10−18008号公報 特開平1−316443号公報 国際公開公報WO2005/056862号
上記特許文献1・2に開示されるように、回転の円滑性の向上および摩擦磨耗の低減を目的とし従来より種々の試みがなされている。しかしながら、従来の摺動部材で構成された軸受装置では、依然として、軸部の回転により生じる、軸部およびすべり軸受の摺動界面に存在する潤滑媒体の圧力が低く、潤滑媒体の特性・軸部の摺動面の性情その他の摺動特性に影響を与える要因の変化にともなう圧力の変動により鋼板の通板速度に同期した円滑な回転が得られないばかりか、軸部とすべり軸受の各々の摺動面が直接接触し、各々の摺動面に摩擦磨耗が生じる場合があった。
さらに、軸部材と軸受部材を共にセラミックスで構成する場合の特有の問題があった。すなわち、軸部材と軸受部材とが組み合わせて用いられる場合には、摩擦磨耗の進行はこれらの一方だけによって決まるものではなく、これらの組み合わせによって決まる。軸部材および軸受部材を共にセラミックスで構成した場合(いわゆる友材の場合である。)には、各々のめっき浴との化学反応性は低いものの、双方の摺動面の摩擦磨耗が進行することが知見された。
具体的には、軸部材と軸受部材のうち一方がセラミックス製であり、他方が金属製である場合には、これらの間の動摩擦が低減して摩擦磨耗は比較的抑制され、セラミックス製の側についてはめっき浴による腐食摩耗も低減した。しかしながら、軸部材と軸受部材の双方にセラミックスを用いた場合には、上記の場合と比べて動摩擦が低減されず、摩擦磨耗が進行した。これは、潤滑媒体として機能するめっき浴に対するセラミックス表面の濡れ性が低いために、めっき浴による潤滑の効果が低くなったことに起因すると考えられる。
このため、従来は、摩擦磨耗の観点から軸部材と軸受部材のうち一方のみしかセラミックスを用いることができず、セラミックスが用いられない金属製の他方については、めっき浴に対する化学反応性が高いため腐食磨耗が進み、当然ながら寿命が短く、軸受装置全体として見た場合に寿命を延長することができなかった。
従って、従来は、液体潤滑すべり軸受装置において、軸部材と軸受部材とが低い動摩擦で回転することができ、摩擦磨耗が抑制された液体潤滑すべり軸受装置用摺動部材を得ることは困難であった。さらに、めっき浴のように化学反応性の高い液体が潤滑媒体である液体潤滑すべり軸受装置において、当該潤滑媒体に対する腐食磨耗が抑制された液体潤滑すべり軸受装置用摺動部材を得ることは困難であった。
本発明は、斯かる問題点に鑑みてなされたものであり、上記の問題点を解決する液体潤滑すべり軸受装置用摺動部材を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決すべく、以下に掲げる構成とした。
一の中心軸と、前記中心軸周りに所定の半径で形成された摺動面を有する液体潤滑すべり軸受装置用摺動部材であって、前記摺動面には、中心軸に対し直交する方向に、当該摺動面に接続された端を有する溝が形成されていることを特徴とする液体潤滑すべり軸受装置用摺動部材。
前記中心軸と直交する断面視において、前記溝は複数条形成されている請求項1に記載の液体潤滑すべり軸受装置用摺動部材。
前記複数条の溝の長さは略同一であり、かつ略一定のピッチで形成されている請求項2に記載の液体潤滑すべり軸受装置用摺動部材。
前記中心軸と直交する断面視において、前記溝の底面は、円周方向において端が浅く、中央部が深い形状である請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の液体潤滑すべり軸受装置用摺動部材。
前記摺動面には、前記中心軸に沿う方向に、前記溝が複数形成されている請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の液体潤滑すべり軸受装置用摺動部材。
前記液体潤滑すべり軸受装置用摺動部材は、軸受部材であり、前記軸受部材は、当該軸受部材の摺動面と対応する摺動面を有する回転する軸部材と摺動可能に配置されている請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の液体潤滑すべり軸受装置用摺動部材。
前記軸受部材は、前記中心軸と直交する断面視において、前記軸部材の回転方向における前記溝の終端が、前記軸部材と前記軸受部材との近接部に含まれるように配置される請求項6に記載の液体潤滑すべり軸受装置用摺動部材。
前記液体潤滑すべり軸受装置用摺動部材は軸部材であり、前記軸部材は、当該軸部材の摺動面と対応する摺動面が形成された軸受部材と摺動可能に配置されている請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の液体潤滑すべり軸受装置用摺動部材。
前記軸部材の摺動面には、前記中心軸に沿う方向に、前記溝が複数、千鳥状に配置されている請求項8に記載の液体潤滑すべり軸受装置用摺動部材。
セラミックスで構成されている請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の液体潤滑すべり軸受装置用摺動部材。
前記セラミックスは窒化珪素質セラミックスである請求項10に記載の液体潤滑すべり軸受装置用摺動部材。
溶融金属めっき浴用摺動部材である請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載の液体潤滑すべり軸受装置用摺動部材。
本発明は以上のように構成されているので、本発明の課題を解決することができる。
本発明の第1の実施の形態に係る摺動部材である軸受部材の構成を示す中心軸方向の断面図(a)、及び中心軸に直交する方向の断面図(b)である。 本発明の実施の形態に係る軸受部材とロールとが組み合わされた際の形態を示す斜視図(一部欠損)である。 本発明の実施の形態に係る軸受部材の内面における溝の形態を示す斜視図である。 軸部が回転する際の本発明の実施の形態に係る軸受部材と軸部との関係を模式的に示す断面図である。 溝がない場合(a)とある場合(b)における、軸部周囲のめっき浴の圧力と軸部の回転角度θとの関係をシミュレーションによって算出した結果である。 溝がない場合(a)とある場合(b)における、軸部周囲のめっき浴の圧力分布を模式的に示す図である。 本発明の第1の実施の形態に係る摺動部材である軸受部材の変形例の構成を示す中心軸方向の断面図(a)、及び中心軸に直交する方向の断面図(b)である。 本発明の第2の実施の形態に係る摺動部材である軸部の構成を示す中心軸方向の断面図(a)、及び中心軸に直交する方向の断面図(b)である。 めっき装置の構成を示す図である。 本発明の第1の実施の形態に係る摺動部材における溝の変形例を示す断面図である。
以下、本発明について、溶融亜鉛めっき浴・溶融アルミニウムめっき浴その他の溶融金属めっき浴に浸漬される軸受装置に組み込まれる摺動部材を対象に、その一例である軸受部材および軸部材が適用されたすべり軸受および軸部に関する具体的な実施形態を示しながら説明する。本発明の摺動部材は、図9に示す、すべり軸受であるシンクロール軸受10・サポートロール軸受40を構成する軸受部材として用いることができ、軸部材であるシンクロール20・サポートロール30の軸部としても用いることができる。この場合、どちらにおいても、めっき浴51が軸部とすべり軸受との間の潤滑媒体として機能し、両者の摺動界面に潤滑膜を形成する。以下、図9に示すシンクロール20の軸受装置1を対象とし、第1の実施の形態として摺動部材が軸受部材である場合、第2の実施の形態として摺動部材が軸部材である場合、各々について説明する。なお、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、シンクロール20の軸受装置1の摺動部材は、基本的に、セラミックス・金属・樹脂その他各種の材料で構成されたサポートロール30の軸受装置2の摺動部材として適用可能であり、さらに液体潤滑を行うすべり軸受装置全般に適用可能である。
(第1の実施の形態:軸受部材)
図1は、軸部21と、本発明の第1実施形態に係る摺動部材である軸受部材で構成された軸受装置1を示す概略構成図である。ここで、図1(a)は、軸受装置1の概略構成を示す中心軸Gに沿った方向の断面図であり、図1(b)はそのA方向矢視図であり、図1(a)は図1(b)におけるB方向矢視図となっている。図1に示す軸受装置1は、図9に示すように、めっき浴51に浸漬されている。また、回転における軸となる円柱形状である軸部21を両端部に備えたシンクロール20が、一対の軸受装置1に装着された状態の一部切欠斜視図が、図2である。以下、軸受装置1を構成する、軸部材である本態様の軸部21および軸受部材である軸部21と摺動するすべり軸受10について説明する。
まず、上記軸部21を備えたシンクロール20の構成について説明する。図2に示すように、セラミックスで構成されたシンクロール20は、円柱形状の胴部22と、その両端から伸びる胴部22よりも小径である円柱形状の軸部21とで構成される。本態様のシンクロール20では、軸部21の外周面が、すべり軸受10と摺動する摺動面23となる。本シンクロール20は、胴部22と軸部21の外径は異なるものの、これらの中心軸は同軸に配置されており、双方は継ぎ目なく一体化されている。しかしながら、胴部22をセラミックスで構成し、胴部22とは別体の部品である金属製の軸部21を胴部22に固定してシンクロール20を構成するようにしてもよい。また、胴部22および軸部21は共に金属製であっても構わない。なお、胴部22をセラミックスで構成する場合には、熱衝撃による破損の防止および製造の容易性の観点から、胴部22は中空部を有する円筒形状とし、軸部21を胴部22に嵌入れして固定する構造とすることが好ましく、さらに軸部21もセラミックスで構成する場合には同様に中空部を有する円筒形状とすれば好適である。上記シンクロール20は、その両端に対照に配置された一対の軸受装置1に組み込まれたすべり軸受10により、回転自在に支持される。そして、シンクロール20と軸受装置1は、いずれもめっき浴中に浸漬されるため、めっき浴は軸部21とすべり軸受10の間の潤滑媒体として機能する。
次に、シンクロール20を回転自在に支持する軸受装置1を構成するすべり軸受10について説明する。本態様のすべり軸受10は、図1に示すように、セラミックスで形成された軸受部材そのものである。中心軸Gに沿う断面視が略コの字状であるすべり軸受10は、中心軸Gの方向から眺めた場合に中央部に形成された中空部15を有し、その中空部15に、上記軸部21の摺動面23に対応する、中心軸Gの周りに所定の半径で形成された内面である円柱形状の摺動面14と、その摺動面14の円周に沿う方向に対し平行に形成され、当該摺動面14に接続された端16・17を有する溝13とを基本的な構成として有している。そして、軸部21の摺動面23の外径よりも大きな内径である摺動面14を有する中空部15には、軸部21が、図1(a)において右側から挿入されている。
ここで、図1(a)に示すように、本態様のすべり軸受10には、稼動中に水平方向へ移動するロール20の軸部21の端面を受け水平方向のロール20の位置を保持するために、左端に軸受端部11が配置されているが、軸受端部11を設けず、中空部15を左端まで延設してもよい。また、上記のようにすべり軸受10に軸受端部11を設ける場合には、ドロスなどと呼ばれるめっき浴中の異物がすべり軸受10の内部に滞留することを抑制するため、中空部15の左端から軸受端部11に至るまでの領域に配置された、中空部15と比べて内径の大きな液溜部12と、中心軸Gに沿い軸受端部11を貫通するように形成された開口部11aとを設けておくことが好ましい。この構成により、すべり軸受10に軸部21が挿入された場合であっても、めっき浴は液溜部12に自由に出入りでき、中空部15を循環する。
上記のように軸部21が挿入されるすべり軸受10の摺動面14には、その円周上において中心軸Gに直交する方向(以下円周方向または長手方向と言う。)に、双方に端16および17を有する複数条の溝13が形成されている。すなわち、図1(b)に示すように、中心軸Gに直交する断面視において、各々の溝13は、摺動面14の表面の一部を占めるように有限長に形成されており、長手方向において摺動面14に接続された端16および17を有する。具体的には、各々の溝13の形態は、底面131が円弧形状(図3参照)であり、長手方向において中心付近で深く、中心の両側で端16・17に向かうにつれ徐々に浅くなった形状である。そして、各々の溝13の、円周方向における長さ、中心軸Gに沿う方向(以下軸方向または短手方向と言う。)における幅は、全て同一である。この溝13は、円周方向においては、図1(b)に示すように、4条の溝13が90°の等角度で同ピッチに、軸方向においては、図1(a)に示すように等間隔に4列、設けられている。
図3は、すべり軸受10の摺動面14において、溝13が形成された箇所の拡大斜視図である。図示するように、長手方向に端16・17を有する溝13の底面131は円弧形状をなす曲面であり、その曲率半径は、軸受10の摺動面14を構成する円柱形状の半径よりも小さい。また、溝13の短手方向の幅は、例えば直径が90mmの軸部21に対応する場合には通常5mm程度である。
次に、上記のように構成されている軸部21とすべり軸受10の配置関係について説明する。本態様の軸受装置1では、図1(b)に示すように、中心軸Gに直交する断面視において、軸部21の回転方向における溝13の終端である端16(以下終端16と言う場合がある。)が、軸部21とすべり軸受10の摺動面14との近接部Xに含まれるように配置されている。この配置の技術的意義について、めっき浴が、温度が450℃程度で比較的粘度の低い液体である溶融亜鉛めっき浴中に浸漬する状態で配置された上記構成の軸受装置1において、シンクロール20が回転する際の、軸部21とすべり軸受10の摺動状況を例にして、以下説明する。
図4は、図1の構造を単純化し、溝13が円周上において1個だけ存在する場合を示した断面図である。図4に示すように、軸部21が回転している際、すべり軸受10と軸部21は、めっき浴で形成された潤滑膜を介し各々の摺動面14・23が近接する実質的な摺動領域である近接部Xにおいて接している。つまり、軸部21は、その回転にともないめっき浴に生じる圧力(動圧)により、一定の周長を有する近接部Xにおいて、めっき浴で形成された潤滑膜の厚み分だけ、すべり軸受10の摺動面14から浮いた状態となっている。ここで、上記のように、溝13の終端16は、近接部Xの中に含まれるよう、本態様の場合には両摺動面14・23が最も近接する点とほぼ同一の位置に配置されており、軸部21は、その回転中心Y(中心軸Gとは異なる)を中心として上記の位置関係を保ったまま回転する。すなわち、軸部21の回転運動において、軸受10は固定され、軸部21のみが回転し、回転中心Y及び近接部Xの位置は保持される。しかして、シンクロール20の胴部22に接する鋼板Wの通板速度が一定している場合には、シンクロール20に対して常に一定の方向に力が加わり、かつ、すべり軸受10の摺動面14は円柱形状であるため、軸部21の回転の際の回転中心Yの位置ズレはほとんど発生せず、近接部Xと溝13の終端16の位置関係は維持されている。
ここで、軸部21の周囲に存在するめっき浴は、その粘性により、軸部21の回転運動とともに流動し、軸部21とすべり軸受10との摺動界面(近接部X)に流入し、摺動界面において流速に分布が生じる。流体潤滑における動圧発生理論として周知のように、軸部21とすべり軸受10の各々の摺動面14・23の2面の間に形成された摺動界面を液体が運動する場合には、その流速の変化に応じ、その摺動界面に圧力(動圧)が生じる。すなわち、めっき浴が潤滑媒体として作用する摺動界面において、圧力分布が生じる。この点についてシミュレーションによって調べた結果について以下に説明する。
図5(a)は、図6(a)に示すすべり軸受87の摺動面844に溝が無い場合において、めっき浴中で軸部841を所定の周速で回転させた場合の、軸部841の周囲(摺動面873を含む)における定常状態の圧力分布のシミュレーション結果を、図4における回転角度θを横軸、圧力を縦軸として現した線図、図6(a)は、理解を容易にするためその結果のうち圧力が正の部分のみを模式的に表示した線図である。ここで、図5において「θ=0°」とは、図4に示す軸部21の回転中心Yから上方に鉛直に伸ばした基準線Hの位置であり、この基準線Hと軸部21とすべり軸受10の摺動面14・23の交わる箇所に近接部Xが配置されている。そして、図5における符号「+」とは、図4において矢印で示す軸部21の右回りの回転方向に対し、基準線Hを起点とし、基準線Hから右回り180°の範囲の角度を示し、符号「−」とは、基準線Hを終点とし、基準線Hに至るまでの左回り180°の範囲の角度を示している。すなわち、図4における潤滑媒体としてのめっき浴は、軸部21の回転に伴い近接部Xの左側から、近接部Xの摺動界面を経て、右側側に流動しており、図5および図6は、上記各角度位置で見た場合の、摺動界面における潤滑膜の相対的な圧力分布を示している。そして、摺動面844に溝を設けない場合には、図5(a)・図6(a)に示すように、圧力のピークは、基準線H(近接部X)よりも60°左側の位置であるθ=−60°にあり、近接部X(θ=0°)における圧力は、このピーク値よりも大きく減少している。そして、この圧力は、近接部Xを越えると更に大きく減少した後、再び増大する。
一方で、図5(b)は、図1に示した軸受装置1の場合における圧力分布を、上記溝の無いすべり軸受87の場合と同様にシュミレーションした結果を示す線図、図6(b)は、その結果を模式的に表示した線図である。摺動面14に上記態様の溝13を設け、中心軸Gに対し直交する断面視において、溝13の終端16が、軸部21とすべり軸受の摺動面14・23との近接部Xに含まれるように配置したことにより、溝を設けない場合と比べて圧力分布が大きく変化している。特に、基準線Hよりも右側であるθ<0°における圧力が高まり、圧力のピーク位置が近接部Xに近いθ=−15°の位置になっている。これに伴い、近接部X(θ=0°)における圧力も、溝が無い場合に比べ高くなっている。すなわち、上記態様の溝13が形成されたすべり軸受10と上記態様で配置された軸部21とを有する軸受装置1によれば、近接部Xにおけるめっき浴の圧力を高め、めっき浴で形成される潤滑膜を介し軸部21をすべり軸受10からより離間させるので、シンクロール20の回転が安定し、軸部21およびすべり軸受10の摩擦磨耗の進行を抑制することができる。このような効果が生じる原理は、以下のように推定される。始端である端17(以下始端17と言う場合がある。)から溝13に流入した潤滑媒体としてのめっき浴は、溝13の内部で流速が低下し、溝13の終端16から近接部Xの摺動界面へ流出する。この流出の際に、めっき浴の流速は急激に高まり、その結果近接部Xの付近においてめっき浴の圧力も高まることとなる。この近接部Xにおける圧力上昇は、特に溶融金属めっき浴に対する濡れ性に劣り、当該めっき浴による潤滑の効果が低くなる、セラミックス製の軸部21とすべり軸受10との組み合わせの場合には、特に有効である。
なお、図9に示す構成のめっき装置において、鋼板Wはシンクロール20を引き上げるように配置されており、かつめっき浴中に浸漬されるシンクロール20には浮力が生じているので、その合力方向の頂部に近接部Xが位置するよう配置すればよい。通常の操業において、鋼板Wの搬送速度はほぼ一定であるので、近接部Xの位置は、さほど変化することはない。
以上のように、すべり軸受10の摺動面14に溝13を設けるとともに、上記の位置関係で軸部21をすべり軸受10に配置することによって、近接部Xにおけるめっき浴の圧力を高めることができる。これによって、潤滑媒体であるめっき浴の特性・軸部の摺動面の性情その他の摺動特性に影響を与える要因の変化にともなう圧力の変動が生じた場合でも、軸部21とすべり軸受10の摺動界面に存在するめっき浴の圧力が一定以上に維持され、シンクロール20の回転運動を円滑にし、鋼板の表面に安定して溶融金属めっき処理を行い、品質の高いめっき層を有する金属めっき鋼板を形成することができる。また、めっき浴の圧力が一定以上に維持されることにより、摺動面14・23の直接接触する機会が減少するので、軸部21とすべり軸受10の摩擦摩耗を抑制することができる。そして、本態様の軸受装置1を構成する軸部21とすべり軸受10は、好適な態様としてセラミックスにより構成されているので、更にめっき浴による腐食磨耗や変形も抑制され、総合的に軸受装置1を長寿命化することが可能となる。
なお、摺動面14の全円周に渡り連続して形成され、摺動面14に接続された端16・17が無い溝は、上記の原理からして、所望の圧力分布を生じ得ない。また、摺動面14に接続された端を有する溝であっても、円周方向に対し傾斜する姿勢で摺動面14に形成された溝は、端からのめっき浴の流入・流出が円滑に行われ難いので、所望の圧力分布を生じ得ない。したがって、本発明において摺動面14に形成する溝13は、図1〜4に示すように、その断面視において、各々の溝13は、摺動面14の表面の一部を占めるように有限長に形成されていること、すなわち摺動面14の円周方向に対し平行であり、かつ摺動面14に接続された終端16を有する形態とすることが必須となる。
なお、上記のように溝13の形状は、局所的にめっき浴の流速を変化させて、その圧力を高める構成である。したがって、図10(a)に示す溝73のように、中心軸に直交する断面において、その底面731が平坦面であり、当該底面731の両端から端面732が起立し、摺動面14に接続された端736・737を構成する形状としてもよく、さらに底面731が摺動面14と同心円状をなす形状としてもよい。また、軸方向に沿う幅も一定である必要はなく、例えば円周方向において始端部で広く、終端部に至るにつれ除々に狭くなる形態、広幅部と狭幅部が繰り返す波形の形態その種々の形態の溝を形成することができる。しかしながら、めっき浴の流入および流出を円滑にする観点から、図10(b)に示す溝83のように、中心軸Gに直交する断面において、摺動面14に配置された端836・837から底面831に向かい斜めに形成された傾斜面832を有する台形状・三角形状その他当該断面視において溝83の中心部付近で深く、中心から端836・837に向かうにつれ浅くなる形状であれば好ましく、本態様の溝13のように、上記端面732や傾斜面832が無く、円弧形状の底面131のみで形成されていることが好適である。
加えて、上記態様の近接部Xは、軸部21との摩擦による溝13の磨耗を考慮し、図1(b)に示すように、すべり軸受10の摺動面14において、溝13の終端である端16を含む位置に配置されている。しかしながら、摺動面14・23の摩擦磨耗をさらに抑制する点からは、近接部Xを、円周方向において溝13の端16と端17の間に、特にすべり軸受10を時計回りに15°回転させた位置に配置し、図1(b)において圧力がピークとなるθ=―15°の位置に近接部Xを設けてもよい。その際には、軸部21との摩擦による溝13の磨耗の進行を防止するため、例えば溝13の開放端の角部にR面やC面を形成しておくことが望ましい。加えて、近接部Xは、終端16からやや離れた位置(本態様の場合には、一の溝13の終端部からその次の溝13の始端部の間の、溝13の形成されていない部分)に設けることもできる。すなわち、上記原理によれば、単純な円柱形状のみの摺動面の場合に比して、溝13の形状・寸法・配置位置により、摺動界面における圧力の立つ位置および大きさその他めっき浴の圧力分布を任意に設定することができ、シンクロールの回転の安定性と摺動面14・23の摩擦磨耗を考慮し、溝13に対して適切な位置に近接部Xを配置することができる。
また、中心軸Gに直交する断面視において、円周方向に複数列の溝13を設けることは必須ではないが、一の溝13において摺動面14の摩耗が進行した場合には、軸受10を90°回転させることにより、次の溝13において上記と同様の効果が得ることが可能となり、本態様の場合には4回、交換せずに、すべり軸受10の使用を継続することができる。すなわち、すべり軸受10の摺動面14に、好ましくは等角度で複数の溝13を設けることによって、軸受装置1をさらに長寿命化することができる。
さらに、すべり軸受10の摺動面14に、軸方向に沿い複数列の溝13を設けることも必須ではないが、長尺の軸部21を均等に支持し、シンクロール20の回転性をより向上し、加えて軸部21およびすべり軸受10の摩擦磨耗をより抑制するためには、当該軸部21の長さに応じ、軸方向に沿い複数の溝13を設けておくことが好ましい。
また、図1・2の例におけるすべり軸受10を、上下分割式、または左右分割式とすることもできる。すべり軸受10を分割式とすることで、軸部21に対するすべり軸受10の設置が容易となる。溝13の形状・寸法・配置形態は、この分割の形態に応じて適宜設定すればよい。
上記摺動部材を構成する好適な材料であるセラミックスとしては、溶融金属めっき浴との化学反応性が低く、優れた耐食性および特に高温において高い強度を有する窒化珪素質セラミックスが望ましく、特に、Mgを含み、Al含有量が0.2重量%以下、酸素含有量が5重量%以下、MgとAlを含む周期律表第3族元素の総含有量が酸化物換算で0.6〜7重量%(ただし、酸化マグネシウム/周期律表第3族元素酸化物の重量比が1〜70)である窒化珪素セラミックスが高い熱伝導率を有し、耐熱衝撃性の観点から好ましい。その特性としては、熱伝導率が50W/(m・K)以上、表面粗さRaが0.01〜20μm、相対密度が98%以上、常温での4点曲げ強度が700MPa以上であることが好ましい。さらに、こうした窒化珪素セラミックスにおいては、主成分となる窒化珪素において、細長い形状であるβ型窒化珪素粒子における短軸径が5μm以上となるものの割合が10体積%以下であることが好適である。
こうした材料は、窒化珪素粉末と、焼結剤となるMgO、Y希土類元素酸化物粉末等を混合、造粒、成形した後に、1650〜1850℃で焼成することによって得られる。こうした材料ですべり軸受10および軸部21を構成すれば、めっき浴51との化学反応による腐食磨耗および変形が抑制され、軸受装置1をより長寿命化することが可能となる。無論、その材料に限定されず、他の炭化物系、窒化物系、酸化物系等のセラミックスでも良い。
セラミックスで構成されたすべり軸受10において、溝13を形成する方法としては、例えば焼結前の成形体に溝13を形成しておき、その後焼結する方法、焼結後のすべり軸受10の摺動面14に溝13に対応する開口部を有するマスクを付着し、ショットブラスト加工で溝13を形成する方法その他各種の形成方法がある。しかしながら、本態様の底面131が円弧形状の溝13を形成する場合には、焼結後のすべり軸受10の摺動面14に、底面131の曲率半径と同半径の円形のダイヤモンド砥石を押し付けて溝13を形成する方法や、焼結後のすべり軸受10の摺動面14にレーザ、好適にはレーザスポットのエネルギー密度の高いファイバーレーザーを照射し溝13を形成する方法を採用することが望ましい。
なお、上記軸受装置1は、めっき浴中に浸漬されているが、潤滑媒体はめっき浴に限らず、例えば水・油・有機溶剤その他の液体が潤滑媒体である場合においても同様の効果を奏する。この場合、摺動部材が潤滑媒体に浸漬されず、上記近接部Xの付近に潤滑媒体が噴射などで供給されるような軸受装置においても、同様の効果を奏する。
また、軸受部材(摺動部材)の形態は、軸受部材そのものがすべり軸受10を構成している図1に示した態様に限定されない。軸受部材は、一の中心軸と、中心軸周りに所定の半径で形成された摺動面を有し、摺動面には、その円周方向に対し平行に、摺動面に接続された端を有する溝が形成されていれば足りる。その一例を図7に示す。図7は、第1態様の軸受装置1の変形例である軸受装置3の概略構成を示す図であり、図7(a)は、その中心軸Gに沿う断面図であり、図7(b)はそのC方向矢視図であり、図7(a)は図7(b)におけるD方向矢視図となっている。なお、上記第1態様の軸受装置1と同一の要素については、同一符号を付し、詳細な説明を省略する。
めっき浴に浸漬される軸受装置3を構成するすべり軸受210は、基本的に図1に示した第1態様のすべり軸受10の中心軸Gから上側半分に対応した形態である。すべり軸受210は、軸受部材そのものがすべり軸受10である上記軸受装置1に対し、軸受部材(摺動部材)である軸受部213と本体部212とが組み合わせて構成されている点で相違する。すなわち、本態様のすべり軸受210は、図7(b)に示すように、中心軸Gに直交する断面視において半円形状の内面215が形成された、下面が開口する凹部を有する金属製の本体部212と、本体部212の内面215と略同一径の外周面216を有し、本体部の内面215に外周面216が密着するように本体部212の凹部に装着されるセラミックス製の軸受部213と、本体部212の底面に螺合され軸受部213を固定する固定部材250とを有している。
ここで、中心軸Gに直交する断面視において半円形状をなす軸受部213の内面が摺動面214であり、その摺動面214には、上記と同様の摺動面14に接続された端16・17を有する溝13が、円周方向に1条、軸方向に3列形成されている。そして、シンクロールの軸部21は、その摺動面23と軸受部213の摺動面214の近接部Xが、溝13の終端16に近接する状態となるよう配置されている。本態様の軸受装置3によれば、軸受装置3のメンテナンス時において、すべり軸受210とシンクロールを分離することが容易であり、更に、軸受部213のみの交換作業を行うことが容易である。なお、上記原理からすると、このような半円形状の摺動面216を有するすべり軸受210では、溝13の始端17は必ずしも設ける必要はない。すなわち、図10(c)の溝93に示すように、円周方向において溝93の中央部をその寸法のまま軸受部213の底面まで延設し、長手方向において端16と反対側の端を摺動面14と接続しない開口端937としておいてもよい。
(第2の実施の形態:軸部材)
上記の第1態様の軸受装置1・3では、摺動部材の一例である軸受部材の摺動面に溝を形成した場合について説明したが、図8に示す軸受装置4に示すように、軸部材である軸部121に溝122を形成する場合でも、同様の効果を奏することができる。図8(a)は、軸受装置4の概略構成を示す中心軸Gに沿う断面図であるが、理解のため軸部121は断面視としていない。図8(b)は、図8(a)のE方向矢視図である。
本態様のすべり軸受(軸受部材)110は、基本的に上記軸受装置1のすべり軸受10と同一の構成であるが、その摺動面14には溝が形成されておらず、平坦な円柱形状となっている。一方で、セラミックスで構成された円柱形状をなす軸部材である軸部121の外周面である摺動面23には、図8(b)に示すように、中心軸Gに直交する断面視において、複数の溝122が円周方向に沿い形成されており、その個々の形状は上記溝13と同様に、摺動面23に接続される端126・127を有している。この場合には、すべり軸受110と軸部121の各々の摺動面14・23の近接部Xの位置は、頂部となる。この場合においても、図1の場合と同様に、溝122はいずれも円周方向に対し平行に形成されており、図8(b)に示すように、円周方向に沿い等角度に略一定のピッチで6条の溝122が、図8(a)に示すように、軸方向に沿い等間隔で4列形成されている。
軸部121に溝122を形成する場合には、摺動界面におけるめっき浴の圧力が切れ目なく連続的に発生するように、図8(a)に示すように、中心軸Gの方向から見たとき隣接する列では溝122の位置がずれた構成、すなわち溝122が千鳥状に配置されていることが好ましい。具体的には、図8(a)に示すように、中心軸の方向から軸部121を見た場合に、隣接する列において相互の溝122が完全に重複しないよう、円周方向において、一の列の溝122の2条の溝の間に、他の列の溝122が配置されている。以上の構成により、軸部121が回転する際に、めっき浴の圧力が連続的に発生し、めっき浴で形成される潤滑膜を介し軸部121はすべり軸受110から常に離間した状態となるので、シンクロールの回転が安定し、摩擦による軸部121およびすべり軸受110の異常磨耗の進行を抑制することができる。
なお、溝122の形状・寸法・配置は、上記の効果を奏する限りにおいて、上記すべり軸受10における溝13の場合と同様に任意である。また、軸部121は、必ずしも全体が略円柱形状である必要はなく、すべり軸受110の摺動面14に対応するその摺動面23の形成される部分が略円柱形状をなしていればよい。したがって、すべり軸受110を用いて回転自在に支持できる限りにおいて、摺動面23以外の部分の中心軸Gに直角な断面視においる形状は、円形状を構成しない箇所があってもよい。さらに、本態様の軸部121は軸部材そのものであるが、すべり軸受110と摺動する部分について別体の軸部材とし、この軸部材を軸本体と組み合わせて軸部を構成してもよい。具体的には、好ましくはセラミックスで構成された中空円筒状のスリーブを軸部材とし、このスリーブを金属などで構成された円柱形状の軸本体に嵌入れ固定して軸部を構成してもよく、ともに中空部を有する円筒形状の軸部材と軸本体とを同芯に組合せ、それぞれの中空部に螺子を通し、軸部材と軸本体とを螺合して軸部を構成してもよい。
1、2、3、4 液体潤滑すべり軸受装置(軸受装置)
10、57 シンクロール軸受(すべり軸受(軸受部材:摺動部材))
11 軸受端部
11a 開口部
12 液溜部
13、73、83、93、122 溝
20、54 シンクロール
21 軸部(軸部材:摺動部材)
22 胴部
30、55 サポートロール
40、58 サポートロール軸受(すべり軸受(軸受部材:摺動部材))
50 溶融亜鉛めっき装置(めっき装置)
51 溶融亜鉛めっき浴(めっき浴)
52 めっき槽
53 スナウト
56 ワイピングノズル
59 シンクロール支持部
60 サポートロール支持部
110、210 すべり軸受(軸受部材:摺動部材)
212 本体部
213 軸受部
W 鋼板(被めっき材)

Claims (12)

  1. 一の中心軸と、前記中心軸周りに所定の半径で形成された摺動面を有する液体潤滑すべり軸受装置用摺動部材であって、
    前記摺動面には、前記中心軸に対し直交する方向に、当該摺動面に接続された端を有する溝が形成されていることを特徴とする液体潤滑すべり軸受装置用摺動部材。
  2. 前記中心軸と直交する断面視において、前記溝は複数条形成されている請求項1に記載の液体潤滑すべり軸受装置用摺動部材。
  3. 前記複数条の溝の長さは略同一であり、かつ略一定のピッチで形成されている請求項2に記載の液体潤滑すべり軸受装置用摺動部材。
  4. 前記中心軸と直交する断面視において、前記溝の底面は、円周方向において端が浅く、中央部が深い形状である請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の液体潤滑すべり軸受装置用摺動部材。
  5. 前記摺動面には、前記中心軸に沿う方向に、前記溝が複数形成されている請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の液体潤滑すべり軸受装置用摺動部材。
  6. 前記液体潤滑すべり軸受装置用摺動部材は、軸受部材であり、前記軸受部材は、当該軸受部材の摺動面と対応する摺動面を有する回転する軸部材と摺動可能に配置されている請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の液体潤滑すべり軸受装置用摺動部材。
  7. 前記軸受部材は、前記中心軸と直交する断面視において、前記軸部材の回転方向における前記溝の終端が、前記軸部材と前記軸受部材との近接部に含まれるように配置される請求項6に記載の液体潤滑すべり軸受装置用摺動部材。
  8. 前記液体潤滑すべり軸受装置用摺動部材は軸部材であり、前記軸部材は、当該軸部材の摺動面と対応する摺動面が形成された軸受部材と摺動可能に配置されている請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の液体潤滑すべり軸受装置用摺動部材。
  9. 前記軸部材の摺動面には、前記中心軸に沿う方向に、前記溝が複数、千鳥状に配置されている請求項8に記載の液体潤滑すべり軸受装置用摺動部材。
  10. セラミックスで構成されている請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の液体潤滑すべり軸受装置用摺動部材。
  11. 前記セラミックスは窒化珪素質セラミックスである請求項10に記載の液体潤滑すべり軸受装置用摺動部材。
  12. 溶融金属めっき浴用摺動部材である請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載の液体潤滑すべり軸受装置用摺動部材。
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