以下、本発明の実施形態について添付の図面を参照して具体的に説明する。先ず、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係るフォーカス制御装置を示すブロック図であり、図2は、このフォーカス制御装置の動作を示すタイミング図である。本実施形態においては、光ディスク11として、2層の記録層が形成された2層型のDVDを使用する。また、本実施形態に係るフォーカス制御装置は、DVDプレーヤに組み込まれたフォーカス制御装置である。
図1に示すように、本実施形態に係るフォーカス制御装置1においては、光ディスク11に対してレーザ光を照射すると共に、光ディスク11からの反射光を検出するピックアップ12が設けられている。ピックアップ12には前記レーザ光を光ディスク11の記録面に対して集光する対物レンズ(図示せず)が設けられており、この対物レンズと記録面との間の距離を制御することにより、フォーカス制御が行われる。また、ピックアップ12には、非点収差法又はナイフエッジ法により、光ディスク11からの反射光に基づいてフォーカスエラー信号(FE信号)を生成し、これを出力するフォーカスエラー検出部(図示せず)が設けられている。FE信号は、焦点が1層目の記録層近傍に位置しているとすると、焦点が合焦点位置にあるときにゼロクロス点となり、焦点が合焦点位置から基板側にずれたときに極大値に達し、2層目の記録層側にずれたときに極小値に達するようなS字カーブを示す信号である。
また、フォーカス制御装置1においては、ピックアップ12からFE信号が入力されるFE信号比較回路102が設けられている。このFE信号比較回路102は、FE信号を予め設定された正の値(+α)及び負の値(−β)(α、β>0)と比較し、FE信号が(+α)より大きいか(−β)未満であるときに比較信号としてH(ハイ)を出力し、FE信号が(−β)乃至(+α)であるときに比較信号としてL(ロウ)を出力するものである。なお、(+α)は、FE信号のゼロクロス点と極大値との間の値であり、(−β)は、FE信号のゼロクロス点と極小値との間の値である。
更に、フォーカス制御装置1には、FE信号S字ピークカウント回路9、システムコントローラ29及び駆動信号発生回路10が設けられている。システムコントローラ29及び駆動信号発生回路10はコントロール部を形成している。FE信号S字ピークカウント回路9は、FE信号比較回路102から出力された比較信号が入力され、この比較信号のピークの立ち上がり及び立ち下がりをカウントし、そのカウント値をシステムコントローラ29に対して出力するものである。
また、システムコントローラ29は、FE信号S字ピークカウント回路9の出力信号(カウント値)に基づいて、駆動信号発生回路10に対して制御信号を出力し、また、FE信号S字ピークカウント回路9に対してリセット信号を出力するものである。カウント回路9は、このリセット信号がHのときにカウント動作を行い、Lのときにカウント値を0にリセットする。
更に、駆動信号発生回路10は、ピックアップ12からFE信号が入力され、ピックアップ12の駆動信号、即ち、FEドライブ信号として、6種類の信号を生成し、システムコントローラ29から入力される制御信号に基づいて、この6種類の信号のなかから1種類の信号を選択し、ピックアップ12に対して出力するものである。この6種類の信号とは、レイヤージャンプの初期段階において対物レンズに対して強い加速力(キック)を与えるキック信号、レイヤージャンプの中間段階において対物レンズに力を与えずにほぼ等速度運動させる等速信号、レイヤージャンプの末期段階において対物レンズに強い減速力(ブレーキ)を与えるブレーキ信号、焦点が目標記録層の周辺におけるFE信号がS字カーブを示す範囲(以下、フォーカスサーボ範囲という)に到達したときにFE信号に追従してフォーカス制御を行うフォーカスサーボ信号、並びに焦点がオーバーシュートして目標記録層のフォーカスサーボ範囲から外れたときに、焦点を目標記録層に引き戻す方向に、対物レンズに弱い力に与えるホールド信号であり、ホールド信号には正のホールド信号及び負のホールド信号がある。例えば、正のホールド信号は焦点を上方、即ち、光ディスクの基板から遠ざかる方向に移動させるように、ピックアップ12を駆動する信号であり、負のホールド信号は焦点を下方、即ち、光ディスクの基板に近づく方向に移動させるように、ピックアップ12を駆動する信号であり、目標記録層に対する焦点の相対的な位置によって、正又は負のホールド信号が選択される。
なお、レイヤージャンプの方向によって、キック信号及びブレーキ信号はその極性を変化させる。また、等速信号は例えば値が0である信号である。更に、フォーカスサーボ信号は、駆動信号発生回路10において、ピックアップ12から入力されたEF信号にフォーカスループフィルタをかけて生成される信号である。
次に、上述の如く構成された本実施形態に係るフォーカス制御装置の動作、即ち、本実施形態に係るフォーカス制御方法について説明する。本実施形態においては、光ディスク11(図1参照)における基板側から1層目の記録層から2層目の記録層までレイヤージャンプを行う。図2に示すように、レイヤージャンプ前の状態においては、レーザ光の焦点は1層目の記録層に位置しており、駆動信号発生回路10は、FEドライブ信号としてフォーカスサーボ信号をピックアップ12に対して出力している。これにより、光ディスク11の面ずれ等によるフォーカス誤差を補正し、常にレーザ光の焦点を1層目の記録層に一致させている。
この状態から、2層目の記録層に向かって、レイヤージャンプを行う。このとき、システムコントローラ29が駆動信号発生回路10に対して命令を出し、レイヤージャンプの方向に応じてキック信号及びブレーキ信号の極性を設定した上で、FEドライブ信号としてキック信号をピックアップ12に対して出力させる。これにより、ピックアップ12がレイヤージャンプを開始する。また、このとき、システムコントローラ29がリセット信号をLからHに変化させ、FE信号S字ピークカウント回路9のリセットを解除してカウントを開始させる。この時点では、カウント回路9が出力するカウント値は0であり、FE信号は(−β)乃至(+α)の範囲にあり、FE信号比較回路102が出力する比較信号はLである。
図2に示すように、焦点が1層目の記録層から離れるにつれてFE信号が低下する。そして、FE信号のレベルが(−β)未満になると、比較信号がHに変わり、カウント値が1になる。
更に焦点が1層目の記録層から離れると、FE信号が更に低下して極小値に達し、その後増加に転じる。そして、FE信号のレベルが(−β)乃至(+α)になると、比較信号がLに変わり、カウント値が2になる。カウント値が2になると、システムコントローラ29は、駆動信号発生回路10に、FEドライブ信号としてキック信号の替わりに等速信号(0レベル信号)を出力させる。これにより、ピックアップ12の対物レンズには力が印加されなくなり、対物レンズはほぼ等速度運動を行う。この間、FE信号は0レベルとなっている。
そして、焦点が2層目の記録層に近づくと、FE信号が再び増加する。そして、FE信号が(+α)より大きくなると、比較信号がHに変わり、カウント値が3になる。このとき、システムコントローラ29は、駆動信号発生回路10に、FEドライブ信号として等速信号の替わりにブレーキ信号を出力させる。これにより、焦点が2層目の記録層の手前で減速する。
焦点が2層目の記録層に更に近づくと、FE信号が更に増加して極大値に達した後、低化して(+α)以下となる。これにより、比較信号がLに変わり、カウント値が4になる。このとき、システムコントローラ29は、駆動信号発生回路10に、FEドライブ信号としてフォーカスサーボ信号を出力させる。これにより、フォーカスサーボがロックオンされ、FE信号に追従してピックアップ12が制御されるようになり、2層目の記録層に対する焦点の引き込みが開始される。
この段階で、焦点が2層目の記録層に収束した場合は、それでレイヤージャンプが終了する。しかし、焦点の位置が2層目の記録層を突き抜けてオーバーシュートする場合もある。以下、オーバーシュートした場合について説明する。オーバーシュートして焦点が2層目の記録層から離れると、FE信号が低下する。そして、FE信号が(−β)未満になると、比較信号がHに変わり、カウント値が5になる。このとき、焦点は2層目の記録層の上方に位置している。
焦点が更にオーバーシュートすると、FE信号が更に低下して極小値に達した後、増加に転じる。そして、FE信号が(−β)以上となると、比較信号がLに変わり、カウント値が6になる。カウント値が6になると、システムコントローラ29が駆動信号発生回路10に、FEドライブ信号として負のホールド信号を出力させる。これにより、焦点がオーバーシュートを打ち消す方向、即ち、下方に加速されるように、対物レンズに力が印加される。この結果、焦点が2層目の記録層に引き戻される。
そして、焦点が再び2層目の記録層のフォーカスサーボ範囲に入ると、FE信号が再び低下して(−β)未満になる。この結果、比較信号がHに変わり、カウント値が7になる。カウント値が7になると、システムコントローラ29が駆動信号発生回路10に、FEドライブ信号としてフォーカスサーボ信号を出力させる。これにより、フォーカスサーボがロックオンされ、FE信号に追従してピックアップ12が制御されるようになる。
そして、焦点が更に2層目の記録層に近づくと、FE信号が極小値に達した後増加して(−β)以上となり、カウント値が8になる。
仮に、この段階でまだ焦点が2層目の記録層に収束せず、再び、下方にオーバーシュートしたとしても、FE信号が(+α)より大きくなりカウント値が9になった後、FE信号が(+α)以下となりカウント値が10になった時点で、システムコントローラ29が駆動信号発生回路10に、FEドライブ信号として正のホールド信号を出力させる。これにより、焦点がオーバーシュートを打ち消す方向、即ち、上方に加速されるように、対物レンズに力が印加される。この結果、焦点が2層目の記録層に引き戻される。なお、このとき、焦点は2層目の記録層の下方、即ち、1層目の記録層と2層目の記録層との間に位置している。
そして、再び焦点が2層目の記録層のフォーカスサーボ範囲に入ると、FE信号が(+α)より大きくなりカウント値が11になり、システムコントローラ29が駆動信号発生回路10に、FEドライブ信号としてフォーカスサーボ信号を出力させる。これにより、フォーカスロックオンの状態になり、焦点が2層目の記録層に収束していく。これにより、レイヤージャンプが終了する。そして、FE信号が(−β)乃至(+α)の範囲に入り、カウント値が12になる。
本実施形態においては、カウント値が12のときに、焦点が2層目の記録層に収束する場合を示しているが、カウント値が12のときに更にオーバーシュートが発生したとしても、以後、焦点が2層目の記録層に収束するまで、同様な動作を繰り返すことができる。
上述の如く、本実施形態によれば、レイヤージャンプの開始から終了まで、カウント値に基づいて焦点の位置を常に把握することができ、一連のシーケンス動作、即ち、キック、等速、ブレーキ、記録面の判別、フォーカスサーボ及びホールドを実現することができる。例えば、カウント値に基づいて、焦点が1層目の記録層と2層目の記録層の間におけるどの範囲に位置しているのかを把握することができ、これに基づいて、キック信号及びブレーキ信号を的確に出力することができる。このため、正確且つ迅速にレイヤージャンプを行うことができる。また、カウント値が4、8、12のときに焦点が2層目の記録層に到達していることがわかる。このため、目的の記録層を見失うことがなく、レイヤージャンプに失敗する可能性が低い。更に、キック信号、ブレーキ信号及びホールド信号を任意の最適な値に設定できるため、レイヤージャンプを正確且つ迅速に行うことができる。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図3は、本実施形態に係るフォーカス制御装置が組み込まれたDVDプレーヤを示すブロック図である。なお、前述の第1の実施形態に係るフォーカス制御装置1(図1参照)と同じ部分には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。図3に示すように、本実施形態に係るフォーカス制御装置は、前述の第1の実施形態に係るフォーカス制御装置と比較して、FE信号S字ピークカウント回路9の替わりにカウント回路101が設けられており、情報(データ)信号であるRF信号から和信号SUMを生成し、和信号比較回路100によってこの和信号を基準値と比較することにより和信号比較信号を生成し、この和信号比較信号と前述のFE信号比較回路102から出力される比較信号との論理積をカウント回路101によりカウントする点が異なっている。また、本実施形態に係るフォーカス制御装置においては、第1のタイマー回路109が設けられており、焦点が目的の記録層に収束したことをより確実に判断することができる。更に、前述の第1の実施形態における駆動信号発生回路10の替わりに、複数の信号を生成する回路及びこの複数の信号から1の信号を選択するセレクタ104が設けられている。なお、本実施形態においては、DVDプレーヤにおけるフォーカス制御動作以外の動作についても簡単に説明する。
先ず、本実施形態のDVDプレーヤのうち、フォーカス制御装置を構成する部分について説明する。図3に示すように、本実施形態に係るDVDプレーヤのフォーカス制御装置においては、前述の第1の実施形態において説明したピックアップ12、FE信号比較回路102、システムコントローラ29の他に、プリアンプ15、FE信号極性判定回路103、和信号比較回路100、AND回路105、フォーカスアクチュエータドライバ22及び第1のタイマー回路109が設けられており、前述の第1の実施形態におけるFE信号S字ピークカウント回路9(図1参照)の替わりに、カウント回路101が設けられており、駆動信号発生回路10の替わりに、サーボ部としてのフォーカスループフィルタ21、第1の固定値出力回路106、第2の固定値出力回路107、第3の固定値出力回路108、レンズ加速信号発生回路111、レンズ減速信号発生回路112及びセレクタ104が設けられている。
本実施形態においては、ピックアップ12において光ディスク11からの反射光から情報(データ)信号であるRF信号を検出する情報信号検出部(図示せず)が設けられている。これにより、ピックアップ12は、フォーカスエラー信号(FE信号)の他に、トラッキングエラー信号(TE信号)及びRF信号を検出し、プリアンプ15に対して出力する。
プリアンプ15は、FE信号をFE信号比較回路102、FE信号極性判定回路103及びフォーカスループフィルタ21に対して出力すると共に、RF信号をローパスフィルタにかけて高周波成分を除去して和信号を生成し、この和信号を情報信号比較部としての和信号比較回路100に対して出力するものである。和信号はフォーカスの合焦点にて最大値をとる信号である。なお、和信号の替わりにRF信号をそのまま使用することもできる。また、TE信号を後述するトラックループフィルタ16に対して出力し、RF信号を後述するデータ抜き取り回路及びCD/DVDデータ信号処理回路26に対して出力する。
FE信号比較回路102は、前述の第1の実施形態と同様に、FE信号を予め設定された正の値(+α)及び負の値(−β)(α、β>0)と比較し、その結果を比較信号としてシステムコントローラ29及びAND回路105に対して出力する。このとき、FE信号が(+α)より大きいか(−β)未満であるときに比較信号としてH(ハイ)を出力し、FE信号が(−β)乃至(+α)であるときに比較信号としてL(ロウ)を出力する。
FE信号極性判定回路103は、FE信号を0と比較し、FE信号が0以上である場合はHを出力し、FE信号が0未満である場合はLを出力する。
フォーカスループフィルタ21はFE信号のゲイン及び位相を補償してフォーカスサーボ信号を生成し、セレクタ104に対して出力する。
和信号比較回路100は、プリアンプ15から入力された和信号と予め設定されたレベルγとを比較し、その結果を和信号比較信号としてシステムコントローラ29及びAND回路105に対して出力する。和信号がレベルγより大きいときには和信号比較信号をHとし、和信号がレベルγより小さいときには和信号比較信号をLとする。
AND回路105は、FE信号比較回路102から比較信号が入力されると共に、和信号比較回路100から和信号比較信号が入力され、両信号の論理積をカウント回路101に対して出力する。
カウント回路101は、AND回路105の出力信号がクロックとして入力され、この出力信号のピークの両エッジ、即ち、ピークの立ち上がり及び立ち下がりをカウントし、そのカウント値をシステムコントローラ29に対して出力する。また、システムコントローラ29からリセット信号が入力され、このリセット信号がHのときにカウント動作を行い、Lのときにカウント値を0にリセットする。
第1の固定値出力回路106は、負のホールド信号として、予め定められた0未満の第1の固定値をセレクタ104に対して出力するものである。また、第2の固定値出力回路107は、正のホールド信号として、予め定められた0より大きい第2の固定値をセレクタ104に対して出力するものである。更に、第3の固定値出力回路108は、等速信号として、第3の固定値をセレクタ104に対して出力するものである。第3の固定値は、第1の固定値と第2の固定値との間の値であり、例えば0である。
レンズ加速信号発生回路111は、目標の記録面に到達できる加速レベルに設定されたキック信号として、予め定められた第4の固定値を保持しており、システムコントローラ29からの制御信号により、この第4の固定値の極性を切替えてセレクタ104に対して出力するものである。
レンズ減速信号発生回路112は、前記キック信号により加速された対物レンズを減速するブレーキ信号として、予め定められた第5の固定値を保持しており、システムコントローラ29からの制御信号により、この第5の固定値の極性を切替えてセレクタ104に対して出力するものである。
セレクタ104は、フォーカスループフィルタ21から出力されたフォーカスサーボ信号、第1の固定値出力回路106から出力された第1の固定値(負のホールド信号)、第2の固定値出力回路107から出力された第2の固定値(正のホールド信号)、第3の固定値出力回路108から出力された第3の固定値(等速信号)、レンズ加速信号発生回路111から出力された第4の固定値(キック信号)、レンズ減速信号発生回路112から出力された第5の固定値(ブレーキ信号)の6種類の信号が入力される。そして、システムコントローラ29からの信号に基づいて、この6種類の信号のうちいずれかの信号を選択し、FEドライブ信号としてフォーカスアクチュエータドライバ22に対して出力する。
フォーカスアクチュエータドライバ22は、セレクタ104から入力されたFEドライブ信号に基づいてピックアップ12の駆動信号を出力し、ピックアップ12のフォーカスアクチュエータを駆動する。
第1のタイマー回路109は、システムコントローラ29から入力される制御信号がLのときは、システムコントローラ29に対してLを出力する。システムコントローラ29からの制御信号がLからHに切替った時点から時間を計測し、予め定められた所定時間T1が経過した後、システムコントローラ29に対して終了信号としてHを出力する。時間T1はセレクタ104の出力信号(FEドライブ信号)がフォーカスループフィルタ21から出力されるフォーカスサーボ信号に切替ってから、フォーカスサーボが追従している記録面に整定するまでに要すると予測される時間であり、例えば約5m秒に設定されている。
システムコントローラ29は、カウント回路101の出力信号(カウント値)に基づいて、セレクタ104に対して制御信号を出力する。また、カウント回路101に対してリセット信号を出力すると共に、第1のタイマー回路109に対して制御信号を出力する。
以下、レイヤージャンプ動作時のシステムコントローラ29の動作を詳細に説明する。レイヤージャンプの開始と共に、システムコントローラ29は、カウント回路101に対して出力するリセット信号をLからHに切替えて、カウント回路101にリセットを解除させ、カウントを開始させる。このとき、カウント値は0である。また、レイヤージャンプの方向に応じてレンズ加速信号発生回路111に保持されている第4の固定値及びレンズ減速信号発生回路112に保持されている第5の固定値の極性を決定し、キック信号及びブレーキ信号を設定する。その後、セレクタ104に、FEドライブ信号としてレンズ加速信号発生回路111の出力信号(キック信号)を出力させる。なお、この時点では、第1のタイマー回路109に対して出力する制御信号はLとし、第1のタイマー回路は作動させない。
カウント回路101の出力(カウント値)が1である場合は、セレクタ104に引き続きキック信号を出力させる。
カウント値が2である場合は、セレクタ104に、FEドライブ信号として第3の固定値出力回路108の出力信号(等速信号)を出力させる。
カウント値が3である場合は、セレクタ104に、FEドライブ信号としてレンズ減速信号発生回路112の出力信号(ブレーキ信号)を出力させる。
カウント値が4n(nは自然数)である場合は、セレクタ104に、FEドライブ信号としてフォーカスループフィルタ21の出力信号(フォーカスサーボ信号)を出力させる。また、カウント値が4nに切替った時点で、第1のタイマー回路109に対して出力する制御信号をLからHに切替えて、第1のタイマー回路109を起動させる。そして、カウント値が4nである期間中、第1のタイマー回路109の出力をモニタし続け、この出力がHとなったら、焦点が目標とする記録層に整定したと判断し、カウント回路101に対して出力するリセット信号をHからLに切替えてカウント値をリセットさせると共に、第1のタイマー回路109に対して出力する制御信号をHからLに切替えてタイマーを停止させる。なお、第1のタイマー回路109の出力がHになる前にカウント値が(4n+1)にカウントアップしたら、オーバーシュートが発生したと判断し、上述のカウント値のリセットは行わない。
カウント値が(4n+1)である場合は、セレクタ104に引き続きフォーカスループフィルタ21の出力信号(フォーカスサーボ信号)を出力させると共に、第1のタイマー回路109に対して出力する制御信号をHからLに切替えてタイマーを停止させる。
カウント値が(4n+2)であり、且つ、和信号比較回路100から出力された和信号比較信号がLであり、且つ、カウント値がこの値に切替る時点でFE信号極性判定回路103の出力がL(FE信号が負)である場合は、セレクタ104に、FEドライブ信号として第1の固定値出力回路106の出力信号(負のホールド信号)を出力させる。
カウント値が(4n+2)であり、且つ、和信号比較信号がLであり、且つ、カウント値がこの値に切替る時点でFE信号極性判定回路103の出力がH(FE信号が正)である場合は、セレクタ104に、FEドライブ信号として第2の固定値出力回路107の出力信号(正のホールド信号)を出力させる。
カウント値が(4n+3)である場合は、セレクタ104に、FEドライブ信号としてフォーカスループフィルタ21の出力信号(フォーカスサーボ信号)を出力させる。
次に、本実施形態のDVDプレーヤにおけるフォーカス制御装置以外の部分について説明する。このDVDプレーヤにおいては、トラッキング制御装置として、トラックループフィルタ16、送りモータ制御回路17、モータドライバ18、アクチュエータドライバ19及び送りモータ14が設けられている。
トラックループフィルタ16は、プリアンプ15から出力されたトラッキングエラー信号(TE信号)が入力され、このTE信号に対してゲイン及び位相を補償すると共にシーク制御等を行い、アクチュエータドライバ19に対して出力する。アクチュエータドライバ19はこの信号に基づいてピックアップ12のトラッキングアクチュエータを駆動する。また、トラックループフィルタ16は、その出力イコライザの出力を送りモータ制御回路17に対して出力し、送りモータ制御回路17はモータドライバ18を介して送りモータ14を駆動する。これにより、光ディスク11のトラッキングが制御される。
また、本実施形態のDVDプレーヤには、データ出力装置として、データ抜き取り回路及びCD/DVDデータ信号処理回路26、訂正RAM27、データ出力回路28が設けられている。
データ抜き取り回路及びCD/DVDデータ信号処理回路26は、プリアンプ15からRF信号が入力され、このRF信号をデータ抜き取り回路において2値化し、ビットクロック及び同期信号を抽出する。その後、この信号を復調し、訂正RAM27を使用して訂正処理を行い、データ出力回路28に対して出力する。
データ出力回路28は、MPEGビデオデコーダ処理回路、オーディオデコーダ処理回路、及びデータバッファ回路を備えた回路である。そして、光ディスク11がDVDムービーである場合は、データ信号処理回路26の出力信号をMPEGビデオデコーダ処理回路及びオーディオデコーダ処理回路に入力し、夫々ビデオ信号及びオーディオ信号としてDVDプレーヤの外部に出力する。また、光ディスク11がDVD−ROMである場合は、データ信号処理回路26の出力信号をデータバッファ回路に入力し、ディジタルデータとしてホストパソコン等に対して出力する。
更に、本実施形態のDVDプレーヤには、ディスク駆動装置として、ディスクモータ制御回路24、ディスクモータドライバ25、及びディスクモータ13が設けられている。ディスクモータ制御回路24は、データ信号処理回路26において抽出された同期信号が入力され、この同期信号のピッチが一定になるようにディスクモータの駆動信号を生成し、これをディスクモータドライバ25に対して出力する。ディスクモータドライバ25はこの駆動信号に基づいてディスクモータ13を駆動させ,ディスク11の回転数を制御する。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。
次に、上述の如く構成された本実施形態に係るフォーカス制御装置の動作、即ち、本実施形態に係るフォーカス制御方法について説明する。図4は本実施形態に係るフォーカス制御装置の動作を示すタイミング図である。図4に示すように、本実施形態においては、光ディスク11(図3参照)における基板側から1層目の記録層から2層目の記録層までレイヤージャンプを行う。レイヤージャンプ前の状態においては、レーザ光の焦点は1層目の記録層に位置しており、セレクタ104は、FEドライブ信号として、フォーカスループフィルタ21の出力信号(フォーカスサーボ信号)をピックアップ12に対して出力している。これにより、光ディスク11の面ずれ等によるフォーカス誤差を補正し、常にレーザ光の焦点を1層目の記録層に一致させている。
この状態から、2層目の記録層に向かって、レイヤージャンプを行う。このとき、システムコントローラ29がレイヤージャンプの方向に応じてレンズ加速信号発生回路111に保持されている第4の固定値及びレンズ減速信号発生回路112に保持されている第5の固定値の極性を決定し、キック信号及びブレーキ信号を設定する。その上で、セレクタ104に、FEドライブ信号としてレンズ加速信号発生回路111の出力信号(キック信号)を出力させる。これにより、ピックアップ12がレイヤージャンプを開始する。
また、システムコントローラ29は、カウント回路101に対して出力するリセット信号をLからHに切替えて、カウント回路101にリセットを解除させ、カウントを開始させる。この時点ではカウント値は0である。なお、このとき、第1のタイマー回路109に対して出力する制御信号はLとし、第1のタイマー回路は作動させない。
このとき、FE信号は(−β)乃至(+α)の範囲にあり、FE信号比較回路102が出力する比較信号はLである。また、和信号のレベルはレベルγ以上であり、和信号比較回路100が出力する和信号比較信号はHである。従って、比較信号と和信号比較信号との論理積であるAND回路105の出力信号はLである。
そして、焦点が1層目の記録層から離れるにつれてFE信号が低下する。FE信号のレベルが(−β)未満になると、比較信号がHに変わる。また、和信号のレベルはレベルγ以上のままであり、和信号比較信号はHのままである。従って、AND回路105の出力信号はLからHに変わり、カウント値が1になる。カウント値が1になっても、システムコントローラ29は、セレクタ104に引き続きキック信号を出力させる。
焦点が1層目の記録層から更に離れると、FE信号が更に低下して極小値に達し、その後増加に転じる。そして、FE信号のレベルが(−β)乃至(+α)になると、比較信号がLに変わる。従って、AND回路105の出力信号はHからLに変わり、カウント値が2になる。なお、FE信号が(−β)乃至(+α)になるのに前後して、和信号のレベルもレベルγ未満になり、和信号比較信号はLになる。カウント値が2になると、システムコントローラ29は、セレクタ104にFEドライブ信号として第3の固定値出力回路108の出力信号(等速信号)を出力させる。この出力信号は0レベル信号であるため、この間、対物レンズには力が印加されず、焦点は惰性で、即ち、ほぼ等速度で2層目の記録層に向かう。
焦点が2層目の記録層に近づくと、FE信号が再び増加する。そして、FE信号が(+α)より大きくなると、比較信号がHに変わる。また、和信号がレベルγ以上になり、和信号比較信号はHになる。この結果、AND回路105の出力信号はHになり、カウント値が3になる。このとき、システムコントローラ29は、セレクタ104に、FEドライブ信号としてレンズ減速信号発生回路112の出力信号(ブレーキ信号)を出力させる。これにより、焦点が2層目の記録層の手前で減速する。
焦点が2層目の記録層に更に近づくと、FE信号が更に増加して極大値に達した後、低化して(+α)以下となる。これにより、比較信号がLに変わる。従って、AND回路105の出力信号はLに変わり、カウント値が4になる。なお、和信号はレベルγ以上のままであり、和信号比較信号はHのままである。これは、前述のカウント値が4n(n=1)の場合であるから、システムコントローラ29は、セレクタ104に、FEドライブ信号としてフォーカスループフィルタ21の出力信号(フォーカスサーボ信号)を出力させる。これにより、フォーカスサーボがロックオンされ、FE信号に追従してピックアップ12が制御されるようになり、2層目の記録層に対する焦点の引き込みが開始される。また、システムコントローラ29は、第1のタイマー回路109に対して出力する制御信号をLからHに切替えて、第1のタイマー回路109を起動させる。
この段階で、焦点が2層目の記録層に収束した場合は、それでレイヤージャンプが終了する。しかし、焦点の位置が2層目の記録層を突き抜けてオーバーシュートする場合もある。本実施形態においては、この段階では焦点が2層目の記録層に収束せずに、オーバーシュートする場合を説明する。この場合、オーバーシュートして焦点が2層目の記録層から離れると、FE信号が低下する。そして、FE信号が(−β)未満になると、比較信号がHに変わる。また、和信号はレベルγ以上のままであり、和信号比較信号はHのままである。従って、AND回路105の出力信号はHに変わり、カウント値が5になる。これは、カウント値が(4n+1、n=1)の場合である。このとき、焦点は2層目の記録層の上方に位置している。
カウント値が5になったとき、セレクタ104に引き続きフォーカスループフィルタ21の出力信号(フォーカスサーボ信号)を出力させると共に、第1のタイマー回路109に対して出力する制御信号をHからLに切替えてタイマーを停止させる。第1のタイマー回路109が時間T1を計測し終わる前に、カウント値が5にカウントアップしたため、オーバーシュートが発生したと判断する。
焦点が更にオーバーシュートすると、FE信号が更に低下して極小値に達した後、増加に転じる。そして、FE信号が(−β)以上となると、比較信号がLに変わる。また、和信号がレベルγ未満になり、和信号比較信号がLに変わる。従って、AND回路105の出力信号はLに変わり、カウント値が6になる。更に、カウント値が5から6に変わる時点で、FE信号は0未満であり、FE信号極性判定回路103の出力がLである。これは、前述のカウント値が(4n+2)であり、和信号比較信号がLであり、カウント値が5から6に変わる時点のFE信号極性判定回路103の出力がLである場合であるため、システムコントローラ29はセレクタ104に、FEドライブ信号として第1の固定値出力回路106の出力信号(負のホールド信号)を出力させる。これにより、焦点がオーバーシュートを打ち消す方向、即ち、下方に加速されるように、対物レンズに力が印加される。この結果、焦点が2層目の記録層に引き戻される。
そして、焦点が再び2層目の記録層のフォーカスサーボ範囲に入ると、FE信号が再び低下して(−β)未満になり、比較信号がHに変わる。また、これに前後して和信号がレベルγ以上になり、和信号比較信号がHに変わる。従って、AND回路105の出力信号はHに変わり、カウント値が7になる。これは、前述のカウント値が(4n+3)の場合であるため、システムコントローラ29がセレクタ104に、FEドライブ信号としてフォーカスループフィルタ21の出力信号(フォーカスサーボ信号)を出力させる。これにより、フォーカスサーボがロックオンされ、FE信号に追従してピックアップ12が制御され、焦点を2層目の記録層に引き込む。
そして、焦点が更に2層目の記録層に近づくと、FE信号が極小値に達した後増加して(−β)以上となり、比較信号がLになる。一方、和信号はレベルγ以上のままであり、和信号比較信号はHのままである。従って、AND回路105の出力信号はLに変わり、カウント値が8になる。これは、カウント値が4n(n=2)の場合であるから、セレクタ104の出力信号はフォーカスサーボ信号のままであり、システムコントローラ29は、第1のタイマー回路109に対して出力する制御信号をLからHに切替えて、第1のタイマー回路109を起動させる。
この段階で、焦点が2層目の記録層に収束した場合は、それでレイヤージャンプが終了する。しかし、本実施形態においては、焦点が再びオーバーシュートする場合について説明する。
この場合、焦点が2層目の記録層の下方、即ち1層目の記録層側にオーバーシュートする。このとき、FE信号が(+α)より大きくなり、比較信号がHに変わるため、カウント値が9になる。これは、カウント値が(4n+1、n=2)の場合に相当し、システムコントローラ29は、第1のタイマー回路109の動作を停止させる。この場合、カウント値が8のときに起動した第1のタイマー回路109は、時間T1を計測し終わる前に停止する。
その後、FE信号が(+α)以下となり、比較信号がLになる。また、和信号がレベルγ未満になり、和信号比較信号がLになる。従って、AND回路105の出力信号はLに変わり、カウント値が10になる。更に、カウント値が9から10に変わる時点で、FE信号は0より大きく、FE信号極性判定回路103の出力がHである。これは、カウント値が(4n+2)であり、和信号比較信号がLであり、カウント値が切替る時点のFE信号極性判定回路103の出力がHである場合であるため、システムコントローラ29は、セレクタ104に、FEドライブ信号として第2の固定値出力回路107の出力信号(正のホールド信号)を出力させる。これにより、焦点がオーバーシュートを打ち消す方向、即ち、上方に加速されるように、対物レンズに力が印加される。この結果、焦点が2層目の記録層に引き戻される。なお、このとき、焦点は2層目の記録層の下方、即ち、1層目の記録層と2層目の記録層との間に位置している。
そして、再び焦点が2層目の記録層のフォーカスサーボ範囲に入ると、FE信号が(+α)より大きくなり、比較信号がHとなり、また、和信号がレベルγよりも大きくなり、和信号比較信号がHとなるため、AND回路105の出力信号がHに変わり、カウント値が11(4n+3、n=2)になる。このとき、システムコントローラ29がセレクタ104に、FEドライブ信号としてフォーカスサーボ信号を出力させる。これにより、フォーカスロックオンの状態になり、焦点が2層目の記録層に収束していく。
そして、FE信号が(−β)乃至(+α)の範囲に入り、比較信号がLに変わると、AND回路105の出力信号がLに変わり、カウント値が12(4n、n=3)になる。そして、システムコントローラ29が第1のタイマー回路109に対して出力する制御信号をLからHに切替え、第1のタイマー回路109が時間の計測を開始する。
本実施形態においては、カウント値が12のときに、焦点が2層目の記録層に収束し、それ以上オーバーシュートしないものとする。この場合、第1のタイマー回路109が時間T1を計測し終わるまで、カウント値は変化しない。従って、時間T1が経過した後、第1のタイマー回路109の出力がHに変わる。これにより、システムコントローラ29は、焦点が目標とする記録層に整定したと判断し、カウント回路101に対して出力するリセット信号をHからLに切替えてカウント値をリセットさせると共に、第1のタイマー回路109に対して出力する制御信号をHからLに切替えてタイマーを停止させる。これにより、レイヤージャンプの一連のシーケンスが終了し、レイヤージャンプが完了する。なお、この段階で更にオーバーシュートが発生する場合は、前述のカウント値が(4n+1)乃至4nである場合の動作を繰り返す。本実施形態における上記以外の動作は、前述の第1の実施形態と同様である。
本実施形態においては、カウント値の更新を、FE信号比較回路102が出力する比較信号と、和信号比較回路100が出力する和信号比較信号との論理積によって行っている。このため、FE信号にノイズが発生しても、カウント回路101が誤動作することがなく、カウント値の計測を誤ることがない。この結果、フォーカス制御動作の信頼性がより向上する。また、第1のタイマー回路109を設けているため、レイヤージャンプが終了したことを判断することができる。これにより、カウント値を0にリセットし、次のレイヤージャンプに備えることができる。本実施形態における上記以外の効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
なお、本実施形態においては、光ディスク11において、基板から1層目の記録層から2層目の記録層に向かってレイヤージャンプをする例を示したが、2層目の記録層から1層目の記録層までレイヤージャンプしてもよい。この場合、キック信号及びブレーキ信号の極性は、1層目から2層目にレイヤージャンプする場合と比較して、逆の極性になる。
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態は、3層以上の記録層を備えた光ディスクにおいても適用可能なフォーカス制御装置及び方法の実施形態である。本実施形態においては、2層以上の記録層を備える多層型光ディスクについて、ある記録層からm層(mは自然数)離れた記録層にレイヤージャンプする場合について説明する。即ち、レイヤージャンプの出発点となる記録層と、到達点となる記録層との間には、(m−1)層の記録層が存在するものとする。本実施形態は、前述の第2の実施形態をより一般化したものであり、本実施形態におけるm=1の場合が、前述の第2の実施形態に相当する。
図5は本実施形態に係るフォーカス制御装置の動作を示すタイミング図であり、1層目の記録層から3層の記録層を挟んで4層目の記録層までレイヤージャンプする場合の動作を例示する。図5に示すように、本実施形態に係るフォーカス制御装置においては、システムコントローラ29の動作を、前述の第2の実施形態と比較して、より一般的に規定する。以下、本実施形態におけるシステムコントローラ29の動作を詳細に説明する。
カウント回路101の出力(カウント値)が0及び1である場合のシステムコントローラ29の動作は、前述の第2の実施形態において、カウント値が0及び1である場合の動作と同様である。即ち、セレクタ104に、FEドライブ信号としてキック信号を出力させる。
カウント値が2乃至(4m−2)である場合のシステムコントローラ29の動作は、前述の第2の実施形態において、カウント値が2である場合の動作と同様である。即ち、セレクタ104に、FEドライブ信号として等速信号を出力させる。なお、このとき、焦点はレイヤージャンプの出発点となる記録層と到達点となる記録層との間に存在する(m−1)層の記録層をほぼ等速度で移動しながら通過する。このとき、FE信号がS字カーブを示し、それに応じてカウント値がカウントアップする。
カウント値が(4m−1)である場合のシステムコントローラ29の動作は、前述の第2の実施形態において、カウント値が3である場合の動作と同様である。即ち、セレクタ104に、FEドライブ信号としてブレーキ信号を出力させる。
カウント値が4mである場合のシステムコントローラ29の動作は、前述の第2の実施形態において、カウント値が4nである場合の動作と同様である。即ち、セレクタ104に、FEドライブ信号としてフォーカスサーボ信号を出力させる。また、第1のタイマー回路109を起動させる。
カウント値が(4n1+1)(n1はm以上の整数)である場合のシステムコントローラ29の動作は、前述の第2の実施形態において、カウント値が(4n+1)である場合の動作と同様である。即ち、セレクタ104に、FEドライブ信号としてフォーカスサーボ信号を出力させる。また、第1のタイマー回路109を停止させる。
カウント値が(4n1+2)である場合のシステムコントローラ29の動作は、前述の第2の実施形態において、カウント値が(4n+2)である場合の動作と同様である。即ち、カウント値がこの値に切替る時点でFE信号極性判定回路103の出力がL(FE信号が負)であれば、セレクタ104に、FEドライブ信号として負のホールド信号を出力させる。また、カウント値がこの値に切替る時点でFE信号極性判定回路103の出力がH(FE信号が正)である場合は、セレクタ104に、FEドライブ信号として正のホールド信号を出力させる。
カウント値が(4n1+3)である場合のシステムコントローラ29の動作は、前述の第2の実施形態において、カウント値が(4n+3)である場合の動作と同様である。即ち、セレクタ104に、FEドライブ信号としてフォーカスサーボ信号を出力させる。本実施形態における上記以外の構成及び動作は、前述の第2の実施形態と同様である。
本実施形態においては、3層以上の記録層が形成された光ディスクにおいても、任意の記録層間でレイヤージャンプを行うことができる。また、本実施形態においては、カウント値を計測すると共に、FE信号の極性を検出することにより、レイヤージャンプ中の全期間において、焦点が記録層に対してどの位置にあるのかを認識している。このため、例えば、記録層が3層以上設けられており、焦点を1層目の記録層から2層目の記録層にレイヤージャンプさせたときに、焦点が2層目の記録層をオーバーシュートして3層目の記録層におけるフォーカスサーボ範囲に達してしまった場合、誤って焦点を3層目の記録層に収束させてしまうことがない。本実施形態における上記以外の効果は、前述の第2の実施形態と同様である。
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。図6は本実施形態に係るフォーカス制御装置の動作を示すタイミング図である。図6に示すように、本実施形態は、前述の第3の実施形態と比較して、カウント回路101の出力信号(カウント値)が(4n1+3)である場合のシステムコントローラ29の動作が異なっている。即ち、前述の第3の実施形態においては、カウント値が(4n1+3)である場合は、セレクタ104に、FEドライブ信号としてフォーカスサーボ信号を出力させる。これに対して、本実施形態においては、カウント値が(4n1+3)である場合は、システムコントローラ29は、セレクタ104にFEドライブ信号として第3の固定値出力回路108の出力信号、即ち、0レベルの等速信号である第3の固定値をピックアップ12に対して出力させる。そして、カウント値が4n1にカウントアップしたときに、前述の第3の実施形態と同様に、セレクタ104の出力をフォーカスループフィルタ21の出力信号(フォーカスサーボ信号)に切替える。本実施形態における上記以外の構成及び動作は、前述の第3の実施形態と同様である。
本実施形態においては、焦点が目的とする記録層をオーバーシュートした場合、前述の第3の実施形態と同様に、FEドライブ信号に強制的に固定値(正又は負のホールド信号)を印加して、焦点を目的の記録層に向かう方向に加速し、目的の記録層に引き戻す。しかし、前述の第3の実施形態とは異なり、焦点が目的の記録層に近づいてFE信号が検出され始めた時点で、FEドライブ信号を0レベルにして焦点を目的の記録層に引き戻す加速度を弱め、惰性で焦点を目的の記録層に近づける。そして、更に焦点が目的の記録層に近づいた時点で、フォーカスサーボをロックオンして、フォーカスサーボ本来の引き込み能力のみで、焦点を目的の記録層に収束させる。これにより、焦点が目的の記録層を突き抜けて逆方向にオーバーシュートして、サーボが外れかかることを防止できる。この結果、焦点が何度もオーバーシュートを繰り返してハンチィングし、目的の記録層への収束が遅くなることを防止できる。本実施形態における上記以外の効果は、前述の第3の実施形態と同様である。
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。図7は本実施形態に係るフォーカス制御装置を示すブロック図である。図7に示すように、本実施形態に係るフォーカス制御装置においては、前述の第2の実施形態に係るフォーカス制御装置(図3参照)と比較して、システムコントローラ29に接続された第2のタイマー回路110が設けられている点が異なっている。
この第2のタイマー回路110は、システムコントローラ29から制御信号(以下、第2タイマー制御信号という)が入力され、この第2タイマー制御信号がLであるときは、システムコントローラ29に対してLを出力する。また、第2タイマー制御信号がLからHに切替ってから、予め定められた所定時間T2の計測を開始し、時間T2が経過した後、システムコントローラ29に対して終了信号としてHを出力する。時間T2は、レイヤージャンプにより焦点が目的の記録層を最初に通過してから、焦点が目的の記録層に整定するまでの予想時間であり、例えば10乃至20m秒程度に設定されている。
また、システムコントローラ29は、レイヤージャンプ開始と共に、第2タイマー制御信号をLとし、カウント値が4mになったときにこの第2タイマー制御信号をLからHに切替え、第2のタイマー回路110を起動させる。そして、カウント値が4m以上である間、第2のタイマー回路110の出力信号をモニタする。そして、第2のタイマー回路110の出力信号がHになった後、最初にカウント値が(4n+3)になった時点から第1のタイマー回路109の出力信号がHに変わるまでの間、セレクタ104の出力をフォーカスループフィルタ21の出力信号(フォーカスサーボ信号)に固定する。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第3の実施形態と同様である。
次に、上述の如く構成された本実施形態に係るフォーカス制御装置の動作、即ち、本実施形態に係るフォーカス制御方法について説明する。図8は本実施形態に係るフォーカス制御装置の動作を示すタイミング図である。なお、図8は、1層目の記録層から2層目の記録層までレイヤージャンプする場合について示しているが、本実施形態はこれに限定されず、m層離れた記録層にレイヤージャンプする場合についても一般的に適応できる。
図8に示すように、本実施形態においては、レイヤージャンプを開始するときに、システムコントローラ29が第2タイマー制御信号をLとする。そして、カウント値が4m(図8では4)になったときに、システムコントローラ29が第2タイマー制御信号をHに切替える。これにより、第2のタイマー回路110が時間T2の計測を開始する。
そして、本実施形態においては、カウント値が10であるときに、第2のタイマー回路110が時間T2の計測を終了し、システムコントローラ29に対してHの信号を出力する。このとき、セレクタ104は例えば第2の固定値(正のホールド信号)をピックアップ12に対して出力している。
そして、カウント値が11になったときに、システムコントローラ29は、セレクタ104に、FEドライブ信号をフォーカスループフィルタ21の出力信号(フォーカスサーボ信号)に固定させる。これにより、以後、フォーカス制御動作がフォーカスサーボ信号によってのみ行われる。
そして例えばカウント値が16であるときに、焦点が2層目の記録層に収束し、第1のタイマー回路109が時間T1を計測し終えることができる。これにより、第1のタイマー回路109がシステムコントローラ29に対してHの信号を出力し、レイヤージャンプが終了する。本実施形態における上記以外の動作は、前述の第3の実施形態と同様である。
前述の第1乃至第4の実施形態においては、第1及び第2の固定値、即ち正負のホールド信号等の設定値が不適切であると、焦点がオーバーシュートを繰り返してハンティングしてしまい、いつまでもレイヤージャンプが完了しないことが起こり得る。そこで、本実施形態においては、カウント値が4mになったとき、即ち、最初に焦点が目的とする記録層の近傍に達したときに、第2のタイマー回路110を起動させる。そして、この時点から時間T2が経過した時点でレイヤージャンプが終了していなければ、焦点がハンティングしていると判断し、FEドライブ信号に固定値を印加することをやめ、FE信号に基づく本来のフォーカスサーボ動作によって、焦点を目的の記録層に収束させる。これにより、焦点がハンティングし続けることを防止できる。本実施形態における上記以外の効果は、前述の第3の実施形態と同様である。
なお、前述の各実施形態は、記録層間のレイヤージャンプに限らず、1層目の記録層から基板表面へのジャンプ、又は基板表面から1層目の記録層へのジャンプにも適用することが可能である。
また、上述のFE信号のS字振幅を+側と−側とで別々のスレッショルド(+側は+α、−側は−β)でモニタする場合、DVDプレーヤにおいて光ディスクを交換後、最初のレイヤージャンプのときに、α及びβの値を学習させてもよい。即ち、予め、α及びβの値を仮に設定しておく。そして、DVDプレーヤに新しい光ディスクを挿入した後、最初のレイヤージャンプの際に、FE信号を測定する。すると、FE信号がS字カーブを示し、このS字カーブの+側の振幅ピーク(極大値)及び−側の振幅ピーク(極小値)が夫々1回ずつ出現するため、前述のカウント動作とは別に、この極大値及び極小値の絶対値を夫々測定して、S_peek+及びS_peek−とする。そして、S_peek+の値より小さい値としてαを決定し、S_peek−の値より小さい値としてβを決定し、上述の仮に設定したα及びβの値を更新する。このような初期動作により、光ディスク毎に異なるFE信号のS字カーブの非対称性に対応させて、α及びβの値を最適に設定することができる。
更に、フォーカスループフィルタ21においてFE信号に位相補償フィルタをかける際に、FE信号のS字カーブのゼロクロス点における値を測定し、この測定値を第3の固定値出力回路108の出力値、即ち第3の固定値(等速信号)としてもよい。これにより、FE信号のS字カーブのゼロクロス点に、光ビームの焦点を留めることができる。
更にまた、前述の各実施形態においては、DVDプレーヤ、即ちDVD再生装置にフォーカス制御装置を組み込む例を示したが、本発明のフォーカス制御装置は、DVD記録専用装置及びDVD記録再生装置に組み込んでもよく、CDの記録及び/又は再生装置に組み込んでもよい。