JP4123699B2 - 金属帯の熱処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属帯の熱処理方法に関し、特に横型(水平型)連続熱処理炉を用いて行う熱処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電磁鋼板やアルミニウム等の金属帯に対する焼鈍、鍍金や浸珪等に伴う熱処理は、例えば図5に示すような横型(水平型)熱処理炉を用いて行われている。図5において、ペイオフリール1から繰り出された金属帯8は焼鈍炉の入出側に設置されたブライドルロール2で適当な張力を付与され、横型(水平型)焼鈍炉3に送り込まれる。焼鈍炉は通常、加熱帯4、均熱帯5、徐冷帯6、急冷帯7等に仕切られており、各帯の炉温をコントロールすることにより、適切な加熱/冷却パターンで金属帯を熱処理する。また炉内には数メートルピッチでハースロール9が設置されており、これを駆動回転させることにより金属帯の支持、搬送が行われる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような横型熱処理炉による金属帯の熱処理では、板厚の薄い金属帯に板絞りと呼ばれる皺状の欠陥が発生し、歩留の低下、更には板破断の原因となっていた。
【0004】
本発明は上記問題点に鑑みなされたもので、横型連続熱処理炉で金属帯を熱処理する際に、板絞りの発生を防止することができる熱処理方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決するための本発明に係る熱処理方法は、以下のような特徴を有する。
【0006】
[1] 横型連続熱処理炉を用いて金属帯を熱処理するにあたり、金属帯厚H[mm]、金属帯幅W[mm]、金属帯ヤング率E[kg/mm2]、金属帯に付加される単位面積あたりの張力σ[kg/mm2]及び局所的板温変動部長さA[mm]と、板温変動量ΔT[℃]の関係が下式を満たすように熱処理することを特徴とする金属帯の熱処理方法。
【0007】
ΔT<774.2×105AHW-2.5σ0.5E-0.5
[2]炉内にハースロールが設置された横型連続熱処理炉を用いて金属帯を熱処理するにあたり、金属帯厚H[mm]、金属帯幅W[mm]、金属帯ヤング率E[kg/mm2]、金属帯に付加される単位面積あたりの張力σ[kg/mm2]、局所的板温変動部長さA[mm]と、板温変動量ΔT[℃]の関係が下式を満たす炉内位置にハースロールを設置しないことを特徴とする金属帯の熱処理方法。
【0008】
ΔT≧774.2×105AHW-2.5σ0.5E-0.5
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の詳細をその限定理由とともに説明する。
【0010】
本発明者らは、板絞りの発生メカニズムに着目し、種々の調査を行った。その結果、以下の事実を知見した。
【0011】
板絞りは、図6に示す過程を経て発生していることが明らかになった。即ち
(1)金属帯(板)進行方向(ライン長手方向)に局所的な板温変動(低下)が発生する
(2)金属帯(板)に熱変形(C反り状の板面外変形)が発生する
(3)熱変形した金属帯(板)部分がハースロールと接触し、この部分がロール上で絞り込まれ、皺状の塑性変形(板絞り)を起こす
という過程を経て板絞りは発生する。
【0012】
そして、(1)の金属帯(板)進行方向(ライン長手方向)の局所的な板温変動(低下)の発生原因については、例えば、
▲1▼放射温度計(板温計、炉温計)等のセンサを保護するためにN2等の不活性ガスをセンサに吹き付けて冷却を行っているが、そのセンサ冷却用ガスが金属帯も冷却してしまう。
▲2▼ハースロールの温度が低く、鋼板がハースロールに接触する際に冷却される。
【0013】
▲3▼炉構造、炉材質の違いにより、ある部位だけ熱伝達が阻害される。
等の原因が挙げられる。
【0014】
そこで、これらの知見をもとに更に、有限要素法(FEM)による数値解析を行い、熱変形が発生する限界の板温変動量ΔTcr[℃]と金属帯厚H[mm]、金属帯幅W[mm]、金属帯ヤング率E[kg/mm2]、金属帯に付加される単位面積あたりの張力σ[kg/mm2]、局所的板温変動部長さA[mm]の関係を調査し、重回帰計算することにより数式化した。その結果、熱変形が発生する限界の板温変動量ΔTcr[℃]は下式で表せることがわかった。
【0015】
ΔTcr=774.2×105AHW-2.5σ0.5E-0.5
さらに、熱変形が発生しない条件は熱変形が発生する限界の板温変動量:ΔTcr>板温変動量:ΔT[℃]となる。以上より、下式を満たすことにより、鋼板の熱変形が発生せず、板絞りを防止することが可能となる。
【0016】
ΔT<774.2×105AHW-2.5σ0.5E-0.5
ここで、局所的板温変動部長さA[mm]とは板温変動が発生している部分のライン進行方向長さ(図6参照)であり、板温変動量ΔT[℃]とは板温変動部の最大板温と最小板温の差(図6参照)である。
【0017】
また、板絞りの発生を防止する観点からは上式ΔT<774.2×105AHW-2.5σ0.5E-0.5を満たす範囲で熱処理を行うことが本発明では望ましい。しかし、設備上、製造条件等の理由で上式ΔT<774.2×105AHW-2.5σ0.5E-0.5を満たさない部位が存在する場合は、熱変形した鋼板がハースロールと接触し、熱変形がロール上で絞り込まれることにより最終的には板絞りが発生することを考慮し、上式ΔT<774.2×105AHW-2.5σ0.5E-0.5を満たさない部位にハースロールを設置しないことにより板絞りの発生を防止できる。
【0018】
【実施例】
図5に示す横型(水平型)連続熱処理炉を用いて、電磁鋼帯の焼鈍を行った。また、用いた電磁鋼帯のヤング率Eは5000[kg/mm2]であった。この例では放射温度計(炉温計)を保護するためにN2ガスをセンサに吹き付けてセンサの冷却を行っていたが、その影響で板温が局所的にA=2〜3m、ΔT=3〜15℃程度低下した状態になっていた。そこで電磁鋼帯厚H[mm]、電磁鋼帯幅W[mm]、電磁鋼帯に付加される単位面積あたりの張力σ[kg/mm2]、局所的板温変動部長さA[m]、板温変動量ΔT[℃]を種々変化させて板絞り発生状況を調査した。なお、局所的板温変動部長さA[m]、板温変動量ΔT[℃]は、ライン速度およびN2ガス吹き付け量を調整することにより変化させた。図1に局所的板温変動部長さA[m]、板温変動量ΔT[℃]と板絞りの関係を、図2に電磁鋼帯厚H[mm]、板温変動量ΔT[℃]と板絞りの関係を、図3に電磁鋼帯幅W[mm]、板温変動量ΔT[℃]と板絞りの関係を、図4に電磁鋼帯に付加される単位面積あたりの張力σ[kg/mm2]、板温変動量ΔT[℃]と板絞りの関係を示す。図1〜図4のいずれの図においても、式:ΔT<774.2×105AHW-2.5σ0.5E-0.5を満たす範囲で板絞りが発生しないことが明らかになった。
【0019】
【発明の効果】
本発明によれば、板絞りの発生を防止することができるので、歩留の低下および板破断を回避することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】局所的板温変動部長さ、板温変動量と板絞りの関係を示すグラフ
【図2】電磁鋼帯厚、板温変動量と板絞りの関係を示すグラフ
【図3】電磁鋼帯幅、板温変動量と板絞りの関係を示すグラフ
【図4】張力、板温変動量と板絞りの関係を示すグラフ
【図5】横型連続熱処理炉の一実施形態を示す図
【図6】板絞り発生過程を示す状態図
【符号の説明】
1 ペイオフリール(巻きほぐし機)
2 ブライドルロール
3 焼鈍炉
4 加熱帯
5 均熱帯
6 徐冷帯
7 急冷帯
8 金属帯
9 ハースロール
Claims (2)
- 横型連続熱処理炉を用いて金属帯を熱処理するにあたり、金属帯厚H[mm]、金属帯幅W[mm]、金属帯ヤング率E[kg/mm2]、金属帯に付加される単位面積あたりの張力σ[kg/mm2]及び局所的板温変動部長さA[mm]と、板温変動量ΔT[℃]の関係が下式を満たすように熱処理することを特徴とする金属帯の熱処理方法。
ΔT<774.2×105AHW-2.5σ0.5E-0.5 - 炉内にハースロールが設置された横型連続熱処理炉を用いて金属帯を熱処理するにあたり、金属帯厚H[mm]、金属帯幅W[mm]、金属帯ヤング率E[kg/mm2]、金属帯に付加される単位面積あたりの張力σ[kg/mm2]、局所的板温変動部長さA[mm]と、板温変動量ΔT[℃]の関係が下式を満たす炉内位置にハースロールを設置しないことを特徴とする金属帯の熱処理方法。
ΔT≧774.2×105AHW-2.5σ0.5E-0.5
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