JP3588840B2 - 金属帯の熱処理炉 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は金属帯(鋼帯等)を通板する熱処理炉、とくに連続焼鈍炉において、蛇行(横ずれ)や絞り(ヒートバックル)を防止する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、連続焼鈍炉で金属帯を所定の温度条件及び張力条件で通板するときには、▲1▼金属帯が薄く幅広、▲2▼高温焼鈍、▲3▼高張力、▲4▼炉内ロール形状が不適合(過大テーパ、過大クラウン、過小フラット部長さ)の場合に、絞り(ヒートバックル)が発生し、通板上のトラブルによる、製造能力の低下および歩留の低下の要因となっていた。
【0003】
また、金属帯の形状、温度と炉温のバランス、張力、速度条件によっては蛇行(横ずれ)が発生し、このずれ量が大きくなると金属帯が炉内で炉壁に衝突し、エッジ損傷したり、破断したりしていた。
【0004】
これらの対策として、特開昭56−62927号公報においては、ストリップの進行方向に沿って1個以上をおいて胴部輪郭形状の異なる複雑種類のロール配置を行なう技術が開示されており、実施例として、幅狭材通板用としてMC=2、FL=600mm、また幅広通板用としてMC=4、FL=900mmなる炉内ロールを竪型連続焼鈍炉に配備し、ストリップの幅変更が大きくても横ずれを起こすことなく通板できる例があげられている。ここで、MCはロールのメカニカルクラウン(=(ロールフラット部径)−(ロール端部径))であり、FLはロールフラット部長さである。
【0005】
また、特公昭62−37697号公報では、竪型連続焼鈍炉において、上テーパロールMC<下テーパロールMCとすることで極低炭素鋼板(IF鋼)を絞りなく通板できる技術が開示されており、実施例として、通常のテーパロールではテーパ指数R(=(MC/2)/Lt×1000)を、上ロールR≦1.2、下ロールR≧1.2とする例があげられている。ここでLtはテーパロールのテーパ部長さである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記の従来技術には以下の様な問題点があった。
【0007】
特開昭56−62927号公報に開示された技術では、幅狭用ロールと幅広用ロールを上下に配置し、それぞれのロール配置を組合せ、サイズ(板幅)変更があっても蛇行が発生しないと述べている。しかし、幅狭用ロールはロールフラット部長さが短いため、幅の広い金属帯が通板されると金属帯に作用する張力の大きい上部ロールで絞りが発生する。ところがこの場合においては、常に幅狭用ロールが竪型連続焼鈍炉内の上部に1個以上配置されており、これでは薄物幅広材通板時に蛇行は抑制できても絞りは防止できない。
【0008】
また、特公昭62−37697号公報に開示された技術においては、下テーパロールに対し上テーパロールのテーパまたはクラウンを小さくするべく、ロールのテーパ指数を規定している。しかしながら、本発明の発明者らは、テーパロールのフラット部長さに対する金属帯の板幅長さの比がある値より大きくなると、テーパ指数をいくら考慮しても絞り防止は不可能であるという知見を得た。
【0009】
上述のごとく、従来技術では蛇行は防止できても、絞りは防止できないという問題点があった。本発明は、オーダーの多品種、小ロット化による種々な熱処理やサイズの幅広化のなかで蛇行・絞りといった通板トラブルがなく、かつ複雑な装置も設けずに、安定した製造技術を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題は以下の手段により解決される。すなわち、炉内に設けられた複数のテーパロールにより金属帯を搬送しながら連続的に熱処理する竪型熱処理炉において、前記熱処理炉の一部または全部において、上部に設置されているテーパロールのフラット部長さが、下部に設置されているテーパロールのフラット部長さよりも長く、また前記上部に設置されているテーパロールのメカニカルクラウンが、前記下部に設置されているテーパロールのメカニカルクラウンより小さく配設され、更に前記金属帯の板幅(W)と前記下部に設置されているテーパロールのフラット部長さよりも長いフラット部長さを有する上部に設置されているテーパロールのフラット部長さ(FL)は下式 (1) を満足することを特徴とする金属帯の熱処理炉である。
【0011】
1.1≦W/FL≦2.4 (1)
【0012】
【作用】
熱処理炉の位置別に、テーパロールのフラット部長さには最適範囲があり、かつ金属帯の板幅との比をある値の範囲にすることで、蛇行も絞り防止も可能であるという知見に基づくものである。
【0013】
図1はテーパクラウンロールのロール形状差による蛇行修正能力を示した図であり、ライン長とともに初期の蛇行量が修正される変化を示している。図1から、上部に設置されているテーパロールのフラット部長さが、下部に設置されているテーパロールのフラット部長さより短いNO1〜3ほど蛇行修正の時間が速く、蛇行修正能力が高いことがわかり、逆に絞りが発生していることがわかる。また図1に示す様にメカニカルクラウンが大きい方が蛇行修正能力が高いことがいえる。
【0014】
なお、下部テーパロールにおいては、上部テーパロール程金属帯に作用する張力は大きくならず、絞り発生の問題は起きていない。
【0015】
しかし張力が小さくなると、フラット部の大きいテーパロールでは蛇行修正能力が小さいためNO5のように蛇行が発生する。従って、下部テーパロールにおいては、蛇行修正能力の高いテーパロールのフラット部長さの短いロール形状を選択する必要がある。
【0016】
以上のことから、上部に設置されているテーパロールのフラット部長さが、下部に設置されているテーパロールのフラット部長さよりも長いテーパロールとし、これらのテーパロールを例えばNO4のように上下組み合わせることにより、絞りと蛇行の発生を防止することができる。
【0017】
テーパロールのフラット部長さFLに対する金属帯の板幅Wの比をロール形状係数Sと定めれば、実験結果からS>2.4 ではメカニカルクラウンMCが0より大きい場合、テーパ指数Rをいくら考慮しても絞り防止は不可能という結果が得られた。また、S<1.1 では蛇行が発生する可能性が高い。従って、上部テーパロールのロール形状係数を1.1 ≦S≦2.4 とすれば、上部テーパロールの絞りおよび蛇行の発生を防ぐことができる。
【0018】
図2はその傾向を示した図で、ロール形状係数と上部テーパロールにおける金属帯に作用する張力との関係を示した図であり、上下のロールフラット部長さFLが等しい場合と、上部のロールフラット部長さFLを長くした場合との結果を比較してある。図2においてMCはいづれも0.8mmで、■印は上部FL=800mm、下部FL=600mmの張力の測定結果であり、+印は発明外の上部FL=600mm、下部FL=600mmの張力の測定結果であり、X印は発明外の上部FL=600mm、下部FL=600mmの絞り発生時の張力の測定結果である。また、図における曲線は、図の絞り発生結果から推定される、絞り発生限界張力σcrの傾向線である。
【0019】
図から明らかな様に、上下のロールフラット部長さが等しい場合には、絞りが発生するが、上部のロールフラット部長さを長くした場合には絞りが発生しない。また図2から明らかな様に、ロール形状係数S≦2.4 の範囲では絞り発生限界張力が高いため、絞りの発生が見られない。なお、下部のロール形状係数については1.1≦S≦3.2 の範囲であることが望ましい。1.1未満では蛇行が大きくなり、3.2 を超えると絞りが発生する。
【0020】
【実施例】
図1はテーパクラウンロールのロール形状差による蛇行修正能力を示した図であり、ライン長とともに初期の蛇行量が修正される変化を示している。図1から本願発明のテーパロールを例えばNO4のように上下組み合わせることにより、絞りと蛇行の発生を防止することができることがわかる。
【0021】
更に、細かく炉内での金属帯に負荷される実際の張力について検討する。ここで炉内上部テーパロール張力をσt 、炉内下部テーパロール張力をσb とすると、常に、σb <σt となる。すなわち、連続熱処理炉内の上下テーパロールでは金属帯に負荷される実際の張力がその自重分だけ異なり、上部テーパロール張力の方が大きくなる。従って、絞り発生防止の観点からは、上部では絞りの発生しにくいテーパロールのフラット部長さの長いロール形状を選択する必要があることがわかる。
【0022】
炉内の金属帯に作用する張力σは絞りと蛇行防止の観点から後述の(2)式の、σmin <σ<σcr の条件を満たすことが必要である。
【0023】
即ち、炉内に設けられた複数のテーパロールにより金属帯を搬送しながら連続的に熱処理する熱処理炉の張力制御方法において、前記熱処理炉の一部または全部のテーパロールにおける金属帯に作用する張力(σ)を測定し、前記張力が下記の式(2) の範囲にはいるようロール形状あるいは張力を調整することが好ましい。
【0024】
σmin <σ<σcr (2)
ただし、
σcr=K・tA ・(W−FL) B ・θh C ・E
σmin :蛇行防止に必要な張力(kgf/mm2)
σcr :絞り発生限界張力(kgf/mm2)
t :板厚 (mm)
W :板幅 (mm)
FL:ロールフラット部長さ (mm)
θh :熱間のロールテーパ勾配 (rad)
E :弾性係数(kgf/mm2)
K,A,B,C:定数
一方、竪型連続熱処理炉において炉内上下に設置されたロールを介して薄物幅広の金属帯を搬送・熱処理する際の絞りの発生の問題は、トータルクラウンが大きいほど絞り易いことを知見している。
【0025】
ΔCrh=ΔCrc+Hc (3)
ここで符号の意味は以下の通りである。
【0026】
ΔCrh:熱間時のロールクラウン
(トータルクラウン)
ΔCrc:常温時のトータルクラウン
Hc :ヒートクラウン
【0027】
図3はこれらの符号の意味を示した図である。図3において、1は金属帯、2はテーパロール、MCはロールのメカニカルクラウン、FLはロールフラット部長さ、θh は熱間のロールテーパ勾配、θc は常温時のロールテーパ勾配である。
【0028】
しかしながら、ロールクラウンの条件だけでは絞り発生の限界は予測できず、金属帯に働く張力がこれ以上になると絞りが発生する限界の張力として、絞り発生限界張力σcrを定め、金属帯の板厚、板幅、弾性係数、トータルクラウンによるテーパ部勾配、ロールフラット部長さを含んだ、絞り発生限界張力σcrに関する以下の式(4) なる条件式を導いた。
【0029】
σcr=K・tA ・(W−FL) B ・θh C ・E (4)
ここで、係数K、A、B、Cは実験に基づく回帰式から得られる。実験は、実機の竪型連続焼鈍炉において、金属帯(鋼帯)の板幅1540〜1820mm、テーパロールのテーパ部長さ 600〜800mm 、メカニカルクラウン 0.3〜0.8mm の範囲において実験を行い、連続焼鈍炉炉内の上部テーパロールのチョックに取り付けた歪ゲージにより、ロールに働く荷重を測定し、金属帯の断面積で除することにより、金属帯に作用する張力を求めることができる。
【0030】
従って、(4) 式によってσcrを定め、実験結果から得られるσmin の値を定めれば、金属帯に作用する張力σを測定することにより、この値が絞り発生限界張力σcr以下、および蛇行防止に必要な張力σmin 以上となる様にロール形状あるいは張力の調整をすることによって、絞りと蛇行の発生を防止することが可能である。
【0031】
図4はこれらの実験結果の重回帰計算結果により得られた板幅と板厚の比(W/t)を一定とした場合の金属帯の板幅と絞り発生限界張力との関係を示した図である。図4から明らかな様に、本願発明のテーパロールのフラット部長さを長くすることで、絞り発生限界張力を高めることができるのは明らかである。
【0032】
図5はロール形状係数と上部テーパロールにおける金属帯に作用する張力との関係を示した図2とは異なる図であり、メカニカルクラウンMCの異なるロール形状の結果を比較してある。図5において、■印は本願発明の上部ロールのFL800mm、MC=0.3mm、下部ロールのFL600mm、MC=0.8mm、+印は発明外の上部ロールのFL800mm、MC=0.8mm、下部ロールのFL600mm、MC=0.8mm、◇印は発明外の上部ロールのFL600mm、MC=0.8mm、下部ロールのFL600mm、MC=0.8mmの張力の測定結果である。また、金属帯の板厚tは0.5〜1.0mm、板幅Wは1540〜1820mmである。
【0033】
図5からわかるように、本願発明のテーパロールのフラット部長さを長くすることで、絞り発生限界張力を高めることができるのは明らかである。更に、メカニカルクラウンMCを小さくすることにより、高い張力でも絞りの発生がなく、絞り発生限界張力が向上するものである。
【0034】
図6は本発明による金属帯に作用する張力制御の概念図を示した図である。図6において、図3と同一部分には同一符号を付し説明を省略する。図6において、3は入側ブライドルロール、4は出側ブライドルロール、5は張力制御装置である。炉内の搬送ロール(テーパロール)2の一部または全部のチョック部に取り付けられた張力測定器から張力の測定値が張力制御装置5に送られ、この値が(4) 式に基づく絞り発生限界張力σcr以下、および蛇行防止に必要な張力σmin (実験結果から得られた例としてσmin =0.2kgf/mm2) 以上となる様に、駆動可能な炉内の搬送ロール(テーパロール)2、入側ブライドルロール3および出側ブライドルロール4のいずれかまたは全部の回転数を制御している。なお、この場合における熱処理炉は竪型でも、部分的な横型炉を含む竪型炉でも可能である。
【0035】
【発明の効果】
以上のように、本発明によればオーダーの多品種、小ロット化による種々な熱処理やサイズの幅広化のなかで蛇行・絞りといった通板トラブルがなく、安定した製造が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ロール形状差による蛇行修正能力を示した図。
【図2】本発明によるロール形状係数と金属帯に作用する張力との関係を示した図。
【図3】ロールクラウン等の符号の意味を示した図。
【図4】金属帯の板幅と絞り発生限界張力との関係を示した図。
【図5】本発明による図2とは異なるロール形状係数と金属帯に作用する張力との関係を示した図。
【図6】本発明による金属帯に作用する張力制御の概念図を示した図。
【符号の説明】
1 金属帯
2 テーパロール
5 張力制御装置
【産業上の利用分野】
本発明は金属帯(鋼帯等)を通板する熱処理炉、とくに連続焼鈍炉において、蛇行(横ずれ)や絞り(ヒートバックル)を防止する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、連続焼鈍炉で金属帯を所定の温度条件及び張力条件で通板するときには、▲1▼金属帯が薄く幅広、▲2▼高温焼鈍、▲3▼高張力、▲4▼炉内ロール形状が不適合(過大テーパ、過大クラウン、過小フラット部長さ)の場合に、絞り(ヒートバックル)が発生し、通板上のトラブルによる、製造能力の低下および歩留の低下の要因となっていた。
【0003】
また、金属帯の形状、温度と炉温のバランス、張力、速度条件によっては蛇行(横ずれ)が発生し、このずれ量が大きくなると金属帯が炉内で炉壁に衝突し、エッジ損傷したり、破断したりしていた。
【0004】
これらの対策として、特開昭56−62927号公報においては、ストリップの進行方向に沿って1個以上をおいて胴部輪郭形状の異なる複雑種類のロール配置を行なう技術が開示されており、実施例として、幅狭材通板用としてMC=2、FL=600mm、また幅広通板用としてMC=4、FL=900mmなる炉内ロールを竪型連続焼鈍炉に配備し、ストリップの幅変更が大きくても横ずれを起こすことなく通板できる例があげられている。ここで、MCはロールのメカニカルクラウン(=(ロールフラット部径)−(ロール端部径))であり、FLはロールフラット部長さである。
【0005】
また、特公昭62−37697号公報では、竪型連続焼鈍炉において、上テーパロールMC<下テーパロールMCとすることで極低炭素鋼板(IF鋼)を絞りなく通板できる技術が開示されており、実施例として、通常のテーパロールではテーパ指数R(=(MC/2)/Lt×1000)を、上ロールR≦1.2、下ロールR≧1.2とする例があげられている。ここでLtはテーパロールのテーパ部長さである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記の従来技術には以下の様な問題点があった。
【0007】
特開昭56−62927号公報に開示された技術では、幅狭用ロールと幅広用ロールを上下に配置し、それぞれのロール配置を組合せ、サイズ(板幅)変更があっても蛇行が発生しないと述べている。しかし、幅狭用ロールはロールフラット部長さが短いため、幅の広い金属帯が通板されると金属帯に作用する張力の大きい上部ロールで絞りが発生する。ところがこの場合においては、常に幅狭用ロールが竪型連続焼鈍炉内の上部に1個以上配置されており、これでは薄物幅広材通板時に蛇行は抑制できても絞りは防止できない。
【0008】
また、特公昭62−37697号公報に開示された技術においては、下テーパロールに対し上テーパロールのテーパまたはクラウンを小さくするべく、ロールのテーパ指数を規定している。しかしながら、本発明の発明者らは、テーパロールのフラット部長さに対する金属帯の板幅長さの比がある値より大きくなると、テーパ指数をいくら考慮しても絞り防止は不可能であるという知見を得た。
【0009】
上述のごとく、従来技術では蛇行は防止できても、絞りは防止できないという問題点があった。本発明は、オーダーの多品種、小ロット化による種々な熱処理やサイズの幅広化のなかで蛇行・絞りといった通板トラブルがなく、かつ複雑な装置も設けずに、安定した製造技術を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題は以下の手段により解決される。すなわち、炉内に設けられた複数のテーパロールにより金属帯を搬送しながら連続的に熱処理する竪型熱処理炉において、前記熱処理炉の一部または全部において、上部に設置されているテーパロールのフラット部長さが、下部に設置されているテーパロールのフラット部長さよりも長く、また前記上部に設置されているテーパロールのメカニカルクラウンが、前記下部に設置されているテーパロールのメカニカルクラウンより小さく配設され、更に前記金属帯の板幅(W)と前記下部に設置されているテーパロールのフラット部長さよりも長いフラット部長さを有する上部に設置されているテーパロールのフラット部長さ(FL)は下式 (1) を満足することを特徴とする金属帯の熱処理炉である。
【0011】
1.1≦W/FL≦2.4 (1)
【0012】
【作用】
熱処理炉の位置別に、テーパロールのフラット部長さには最適範囲があり、かつ金属帯の板幅との比をある値の範囲にすることで、蛇行も絞り防止も可能であるという知見に基づくものである。
【0013】
図1はテーパクラウンロールのロール形状差による蛇行修正能力を示した図であり、ライン長とともに初期の蛇行量が修正される変化を示している。図1から、上部に設置されているテーパロールのフラット部長さが、下部に設置されているテーパロールのフラット部長さより短いNO1〜3ほど蛇行修正の時間が速く、蛇行修正能力が高いことがわかり、逆に絞りが発生していることがわかる。また図1に示す様にメカニカルクラウンが大きい方が蛇行修正能力が高いことがいえる。
【0014】
なお、下部テーパロールにおいては、上部テーパロール程金属帯に作用する張力は大きくならず、絞り発生の問題は起きていない。
【0015】
しかし張力が小さくなると、フラット部の大きいテーパロールでは蛇行修正能力が小さいためNO5のように蛇行が発生する。従って、下部テーパロールにおいては、蛇行修正能力の高いテーパロールのフラット部長さの短いロール形状を選択する必要がある。
【0016】
以上のことから、上部に設置されているテーパロールのフラット部長さが、下部に設置されているテーパロールのフラット部長さよりも長いテーパロールとし、これらのテーパロールを例えばNO4のように上下組み合わせることにより、絞りと蛇行の発生を防止することができる。
【0017】
テーパロールのフラット部長さFLに対する金属帯の板幅Wの比をロール形状係数Sと定めれば、実験結果からS>2.4 ではメカニカルクラウンMCが0より大きい場合、テーパ指数Rをいくら考慮しても絞り防止は不可能という結果が得られた。また、S<1.1 では蛇行が発生する可能性が高い。従って、上部テーパロールのロール形状係数を1.1 ≦S≦2.4 とすれば、上部テーパロールの絞りおよび蛇行の発生を防ぐことができる。
【0018】
図2はその傾向を示した図で、ロール形状係数と上部テーパロールにおける金属帯に作用する張力との関係を示した図であり、上下のロールフラット部長さFLが等しい場合と、上部のロールフラット部長さFLを長くした場合との結果を比較してある。図2においてMCはいづれも0.8mmで、■印は上部FL=800mm、下部FL=600mmの張力の測定結果であり、+印は発明外の上部FL=600mm、下部FL=600mmの張力の測定結果であり、X印は発明外の上部FL=600mm、下部FL=600mmの絞り発生時の張力の測定結果である。また、図における曲線は、図の絞り発生結果から推定される、絞り発生限界張力σcrの傾向線である。
【0019】
図から明らかな様に、上下のロールフラット部長さが等しい場合には、絞りが発生するが、上部のロールフラット部長さを長くした場合には絞りが発生しない。また図2から明らかな様に、ロール形状係数S≦2.4 の範囲では絞り発生限界張力が高いため、絞りの発生が見られない。なお、下部のロール形状係数については1.1≦S≦3.2 の範囲であることが望ましい。1.1未満では蛇行が大きくなり、3.2 を超えると絞りが発生する。
【0020】
【実施例】
図1はテーパクラウンロールのロール形状差による蛇行修正能力を示した図であり、ライン長とともに初期の蛇行量が修正される変化を示している。図1から本願発明のテーパロールを例えばNO4のように上下組み合わせることにより、絞りと蛇行の発生を防止することができることがわかる。
【0021】
更に、細かく炉内での金属帯に負荷される実際の張力について検討する。ここで炉内上部テーパロール張力をσt 、炉内下部テーパロール張力をσb とすると、常に、σb <σt となる。すなわち、連続熱処理炉内の上下テーパロールでは金属帯に負荷される実際の張力がその自重分だけ異なり、上部テーパロール張力の方が大きくなる。従って、絞り発生防止の観点からは、上部では絞りの発生しにくいテーパロールのフラット部長さの長いロール形状を選択する必要があることがわかる。
【0022】
炉内の金属帯に作用する張力σは絞りと蛇行防止の観点から後述の(2)式の、σmin <σ<σcr の条件を満たすことが必要である。
【0023】
即ち、炉内に設けられた複数のテーパロールにより金属帯を搬送しながら連続的に熱処理する熱処理炉の張力制御方法において、前記熱処理炉の一部または全部のテーパロールにおける金属帯に作用する張力(σ)を測定し、前記張力が下記の式(2) の範囲にはいるようロール形状あるいは張力を調整することが好ましい。
【0024】
σmin <σ<σcr (2)
ただし、
σcr=K・tA ・(W−FL) B ・θh C ・E
σmin :蛇行防止に必要な張力(kgf/mm2)
σcr :絞り発生限界張力(kgf/mm2)
t :板厚 (mm)
W :板幅 (mm)
FL:ロールフラット部長さ (mm)
θh :熱間のロールテーパ勾配 (rad)
E :弾性係数(kgf/mm2)
K,A,B,C:定数
一方、竪型連続熱処理炉において炉内上下に設置されたロールを介して薄物幅広の金属帯を搬送・熱処理する際の絞りの発生の問題は、トータルクラウンが大きいほど絞り易いことを知見している。
【0025】
ΔCrh=ΔCrc+Hc (3)
ここで符号の意味は以下の通りである。
【0026】
ΔCrh:熱間時のロールクラウン
(トータルクラウン)
ΔCrc:常温時のトータルクラウン
Hc :ヒートクラウン
【0027】
図3はこれらの符号の意味を示した図である。図3において、1は金属帯、2はテーパロール、MCはロールのメカニカルクラウン、FLはロールフラット部長さ、θh は熱間のロールテーパ勾配、θc は常温時のロールテーパ勾配である。
【0028】
しかしながら、ロールクラウンの条件だけでは絞り発生の限界は予測できず、金属帯に働く張力がこれ以上になると絞りが発生する限界の張力として、絞り発生限界張力σcrを定め、金属帯の板厚、板幅、弾性係数、トータルクラウンによるテーパ部勾配、ロールフラット部長さを含んだ、絞り発生限界張力σcrに関する以下の式(4) なる条件式を導いた。
【0029】
σcr=K・tA ・(W−FL) B ・θh C ・E (4)
ここで、係数K、A、B、Cは実験に基づく回帰式から得られる。実験は、実機の竪型連続焼鈍炉において、金属帯(鋼帯)の板幅1540〜1820mm、テーパロールのテーパ部長さ 600〜800mm 、メカニカルクラウン 0.3〜0.8mm の範囲において実験を行い、連続焼鈍炉炉内の上部テーパロールのチョックに取り付けた歪ゲージにより、ロールに働く荷重を測定し、金属帯の断面積で除することにより、金属帯に作用する張力を求めることができる。
【0030】
従って、(4) 式によってσcrを定め、実験結果から得られるσmin の値を定めれば、金属帯に作用する張力σを測定することにより、この値が絞り発生限界張力σcr以下、および蛇行防止に必要な張力σmin 以上となる様にロール形状あるいは張力の調整をすることによって、絞りと蛇行の発生を防止することが可能である。
【0031】
図4はこれらの実験結果の重回帰計算結果により得られた板幅と板厚の比(W/t)を一定とした場合の金属帯の板幅と絞り発生限界張力との関係を示した図である。図4から明らかな様に、本願発明のテーパロールのフラット部長さを長くすることで、絞り発生限界張力を高めることができるのは明らかである。
【0032】
図5はロール形状係数と上部テーパロールにおける金属帯に作用する張力との関係を示した図2とは異なる図であり、メカニカルクラウンMCの異なるロール形状の結果を比較してある。図5において、■印は本願発明の上部ロールのFL800mm、MC=0.3mm、下部ロールのFL600mm、MC=0.8mm、+印は発明外の上部ロールのFL800mm、MC=0.8mm、下部ロールのFL600mm、MC=0.8mm、◇印は発明外の上部ロールのFL600mm、MC=0.8mm、下部ロールのFL600mm、MC=0.8mmの張力の測定結果である。また、金属帯の板厚tは0.5〜1.0mm、板幅Wは1540〜1820mmである。
【0033】
図5からわかるように、本願発明のテーパロールのフラット部長さを長くすることで、絞り発生限界張力を高めることができるのは明らかである。更に、メカニカルクラウンMCを小さくすることにより、高い張力でも絞りの発生がなく、絞り発生限界張力が向上するものである。
【0034】
図6は本発明による金属帯に作用する張力制御の概念図を示した図である。図6において、図3と同一部分には同一符号を付し説明を省略する。図6において、3は入側ブライドルロール、4は出側ブライドルロール、5は張力制御装置である。炉内の搬送ロール(テーパロール)2の一部または全部のチョック部に取り付けられた張力測定器から張力の測定値が張力制御装置5に送られ、この値が(4) 式に基づく絞り発生限界張力σcr以下、および蛇行防止に必要な張力σmin (実験結果から得られた例としてσmin =0.2kgf/mm2) 以上となる様に、駆動可能な炉内の搬送ロール(テーパロール)2、入側ブライドルロール3および出側ブライドルロール4のいずれかまたは全部の回転数を制御している。なお、この場合における熱処理炉は竪型でも、部分的な横型炉を含む竪型炉でも可能である。
【0035】
【発明の効果】
以上のように、本発明によればオーダーの多品種、小ロット化による種々な熱処理やサイズの幅広化のなかで蛇行・絞りといった通板トラブルがなく、安定した製造が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ロール形状差による蛇行修正能力を示した図。
【図2】本発明によるロール形状係数と金属帯に作用する張力との関係を示した図。
【図3】ロールクラウン等の符号の意味を示した図。
【図4】金属帯の板幅と絞り発生限界張力との関係を示した図。
【図5】本発明による図2とは異なるロール形状係数と金属帯に作用する張力との関係を示した図。
【図6】本発明による金属帯に作用する張力制御の概念図を示した図。
【符号の説明】
1 金属帯
2 テーパロール
5 張力制御装置
Claims (1)
- 炉内に設けられた複数のテーパロールにより金属帯を搬送しながら連続的に熱処理する竪型熱処理炉において、前記熱処理炉の一部または全部において、上部に設置されているテーパロールのフラット部長さが、下部に設置されているテーパロールのフラット部長さよりも長く、また前記上部に設置されているテーパロールのメカニカルクラウンが、前記下部に設置されているテーパロールのメカニカルクラウンより小さく配設され、更に前記金属帯の板幅(W)と前記下部に設置されているテーパロールのフラット部長さよりも長いフラット部長さを有する上部に設置されているテーパロールのフラット部長さ(FL)は下式 (1) を満足することを特徴とする金属帯の熱処理炉。
1.1≦W/FL≦2.4 (1)
Priority Applications (1)
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| JP00788795A JP3588840B2 (ja) | 1995-01-23 | 1995-01-23 | 金属帯の熱処理炉 |
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Family Applications (1)
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| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
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-
1995
- 1995-01-23 JP JP00788795A patent/JP3588840B2/ja not_active Expired - Fee Related
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|---|---|
| JPH08199247A (ja) | 1996-08-06 |
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