JP2001073041A - 鋼板の温度制御方法及び温度制御装置 - Google Patents

鋼板の温度制御方法及び温度制御装置

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JP2001073041A
JP2001073041A JP25361999A JP25361999A JP2001073041A JP 2001073041 A JP2001073041 A JP 2001073041A JP 25361999 A JP25361999 A JP 25361999A JP 25361999 A JP25361999 A JP 25361999A JP 2001073041 A JP2001073041 A JP 2001073041A
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cooling
steel sheet
temperature
center
air
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Hiroshi Nakamura
弘 中村
Satoshi Shibuya
聡 渋谷
Ichiro Asahi
一郎 旭
Asayuki Orita
朝之 折田
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Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】圧延後に熱間矯正を行った後、空冷するように
した鋼板の温度偏差に起因する歪みの発生を防止する。 【解決手段】 圧延機出側で鋼板Lの板幅方向の温度を
測定し、その温度分布から温度低下幅ΔWとエッジ温度
降下量ΔTとを求め、予め設定した歪みの発生と温度分
布との相関関係から、歪みの発生しないセンター部冷却
温度ΔTctを求めると共に、鋼板Lの幅Wと余裕代α
をもとに、冷却幅ΔWct(=W−2・ΔW−α)を求
める。冷却装置により、鋼板Lのセンターの冷却幅ΔW
ctの領域には注水を行い、これ以外の領域つまりエッ
ジ側にはエアーを吹きつけ、センターの冷却領域に注水
した冷却用水がエッジ側に流れ込むことをエアーにより
防止し、鋼板Lの温度分布が、エッジ側はセンター付近
よりも低温であり、且つエッジ部とセンター部との間に
最高温部が位置するように温度制御を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、鋼板の歪みを防
止するための鋼板の温度制御方法及び温度制御装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、4.5〜20〔mm〕程度以下の
鋼板、特に、圧延後の冷却工程においては、圧延機で圧
延された鋼板は、そのまま熱間矯正機に導入された後、
放冷されるようになっている。このように、温度制御を
行わない鋼板においては、鋼板の温度分布を均一化する
手段がないため、圧延、矯正デスケール、通板中の空冷
により、板幅方向エッジ部の温度はセンター部に比べて
20〜70度低下する。
【0003】このため、これら冷却過程後の熱間矯正過
程で、歪みや残留応力を矯正したとしても、熱間矯正
後、常温までに冷却される空冷過程において、幅方向の
温度差によってエッジ側に圧縮応力が作用し、エッジが
座屈することにより、エッジが波打つ耳波が発生してい
る。このように耳波が生じた鋼板は、次工程の冷間矯正
に送られ、歪みの再矯正が行われたり、或いは、歪み部
を切り取って出荷する等の処置がとられている。
【0004】また、空冷過程で歪みが発生しなかった鋼
板においても、温度差による残留応力があるため、出荷
時のハンドリング、出荷後の切断等により残留応力が開
放され、出荷後に形状不良が発生する場合もある。これ
に対し、例えば、熱間矯正機の入側、もしくは出側で鋼
板の幅方向の温度分布を測定し、これに基づき、後の残
留応力を推定し、これと臨界座屈応力とを比較して、座
屈しない冷間矯正条件を設定し、これに基づいて冷間矯
正を行うことにより、出荷後の形状不良を防止する方
法、或いは、特公昭63−15329号公報、特開平8
ー71628号公報等に記載されているように、鋼板の
エッジ部の温度をセンター部温度以上とするように幅方
向温度分布を制御し、形状不良を防止する方法等が提案
されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
ように、後に冷間冷却を行うようにした場合には、冷間
冷却を行う工程が追加されることになり、また、座屈が
生じると予測される鋼板について冷間冷却を行うとして
も、計算によると6〔mm〕以下の冷却していない鋼板
はほとんど全て冷間冷却を行う必要がある。
【0006】また、上述のように幅方向の温度分布を制
御する方法では、比較的板厚の厚い鋼板であれば有効で
あるが、板厚6〔mm〕以下のような比較的板厚の薄い
鋼板においては、鋼板エッジ部の温度が鋼板センター付
近の温度と同等又はエッジ部よりも鋼板センター付近の
温度が低くなると、鋼板センター付近に圧縮応力が作用
し、鋼板センター付近が波打つ腹波が発生し歪みを防止
することができない。
【0007】そこで、この発明は、上記従来の未解決の
問題点に着目してなされたものであり、確実に歪みの発
生を防止することの可能な鋼板の温度制御方法及び鋼板
の温度制御装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】ここで、熱間矯正機の出
側において、鋼板温度を実測することにより、冷却装置
等による冷却制御が行われない鋼板(板厚が10〔m
m〕以下の鋼板の大半)の幅方向の温度分布は、熱間矯
正された後には、最エッジよりも50〜400〔mm〕
程度センターよりの領域において、その温度がセンター
部よりも20〜70度低下していることを見出し、この
条件のもとで、FEM解析及び実験を行った結果、板幅
方向最エッジ部から100〜400〔mm〕程度センタ
ーよりの領域における最高温部に対して、センター部温
度を5〜30度低減させることにより、ほとんど全ての
厚板鋼板において空冷後の温度偏差により生じる歪みを
防止することを見出し以下の発明を完成させた。
【0009】上記目的を達成するために、本発明の請求
項1に係る鋼板の温度制御方法は、仕上圧延後に熱間矯
正機で矯正した後、空冷冷却するようにした鋼板の温度
制御方法であって、前記空冷冷却を行う前に、前記鋼板
の幅方向の温度分布が、エッジ部はセンター部よりも低
温であり、且つエッジ部とセンター部との間に最も温度
の高い最高温部が位置する温度分布となるように、前記
鋼板の温度制御を行うようにしたことを特徴している。
【0010】また、請求項2に係る鋼板の温度制御方法
は、前記最高温部は、前記鋼板の幅方向のエッジ部から
センター部方向へ100〜400〔mm〕だけ離れた位
置であることを特徴としている。なお、この100〜4
00〔mm〕だけ離れた位置とは、正確な位置ではな
く、およそ100〜400〔mm〕程度の位置であるこ
とを表している。
【0011】また、請求項3に係る鋼板の温度制御方法
は、鋼板の幅方向の冷却領域のみを冷却するようにした
温度制御方法であって、前記冷却領域には注水を行い、
非冷却領域にはエアーを吹きつけ、当該エアーにより前
記非冷却領域への前記注水による水の進入を阻止するよ
うにしたことを特徴としている。また、請求項4に係る
鋼板の温度制御方法は、前記鋼板の上面を冷却するとき
には、前記鋼板の進行方向と逆方向に向けて注水及びエ
アーの吹きつけを行うようになっていることを特徴とし
ている。
【0012】また、請求項5に係る鋼板の温度制御装置
は、鋼板の幅方向に沿って設けられた複数の吐出口を有
するヘッダと、当該ヘッダ内を3つの区画に水密に画成
し且つヘッダ内を摺動可能な画成部材と、当該画成部材
で画成された3つの区画のうち中央の区画には加圧した
冷却用水を供給し、両端の区画には加圧したエアを供給
する冷却媒体供給手段と、前記鋼板の冷却幅に応じて前
記画成部材を移動させる移動手段と、を備えることを特
徴としている。
【0013】さらに、請求項6に係る鋼板の温度制御装
置は、前記鋼板の上面を冷却するためのヘッダを有し、
当該ヘッダの吐出口は、前記鋼板の進行方向と逆方向に
向けて設けられていることを特徴としている。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を説
明する。図1は、本発明における鋼板の温度制御方法及
び温度制御装置を適用した圧延ラインの概略構成図であ
る。図1に示すように、加熱炉1から抽出されたスラブ
は圧延機2で所定の寸法に圧延され、その後冷却装置3
で冷却された後、熱間矯正機4に導入され、ここで、圧
延歪み、残留応力が解消された後、クーリングベッド5
に移送されて常温まで冷却される。また、圧延機2の出
側には、鋼板の幅方向の温度分布を測定可能な温度計6
が設けられ、この温度計6の温度検出信号は、冷却装置
3に出力されるようになっている。
【0015】図2(a)は、冷却装置3の概略構成を示
す正面図、図2(b)は図2(a)の上面図である。こ
の冷却装置3は、鋼板Lの上面側の冷却を行う上部ヘッ
ダ11と、鋼板の下面側の冷却を行う下部ヘッダ12
と、を備えている。図3は下部ヘッダ12の概略構成を
示したものであって、図3(a)は上面図、図3(b)
はその側面図である。下部ヘッダ12は、図3に示すよ
うに、角筒体21に複数の吐出口22が設けられ、鋼板
Lに対して吐出口22が垂直となるように配置されてい
る。
【0016】そして、前記角筒体21には画成部材23
及び24が設けられ、これら画成部材23及び24は、
周囲にシール部材が取り付けられ角筒体21内を水密に
画成するようになっている。また、角筒体21の両端に
は、前記画成部材23、24のそれぞれと固定されたロ
ッドを前記角筒体21内で摺動可能に支持するアクチュ
エータ(移動手段)23a及び24aが設けられ、アク
チュエータ23a及び24aによって前記画成部材23
及び24を摺動させることにより、画成部材23及び2
4の角筒体21内における位置が変化し、これによっ
て、画成部材23及び24によって画成される角筒体2
1内の3つの区画の幅が変化するようになっている。
【0017】そして、前記画成部材23及び24とで画
成された区画ACには、例えば加圧した冷却用水が導入
され、画成部材23で画成された角筒体21の端部側の
区画AO及び画成部材24で画成された角筒体21の端
部側の区画ADには、それぞれ加圧した空気が導入され
るようになっている。そして、画成部材23及び24で
画成された区画ACに相当する吐出口22からは冷却用
水が吐出され、区画23又は24で画成された角筒体2
1の端部側の区画AD、AOに相当する吐出口22から
はエアーが吐出されるようになっている。
【0018】そして、上部ヘッダ11は、上記下部ヘッ
ダ12と同様に構成され、区画ACには加圧した冷却水
が供給され、区画AD及びAOには加圧したエアーが供
給されるようになっているが、前記吐出口22は、垂直
方向から鋼板の進行方向の逆方向にθ(45〜75度程
度)だけ傾斜させて配置されている。つまり、鋼板の進
行方向に対し逆方向に向けて冷却用水及びエアーが吐出
されるように配置されている。
【0019】そして、これら各区画への冷却用水及びエ
アーは、その流量が、マイクロコンピュータ等を含んで
構成される冷却制御部(冷却媒体供給手段)13で調整
されて供給されるようになっている。なお、上部ヘッダ
11及び下部ヘッダ12は、鋼板Lの板幅より十分長い
大きさに形成され、これらヘッダ11及び12の長手方
向中央部と前記鋼板Lを搬送するための搬送路の長手方
向中央部とが対向するように配置されている。
【0020】前記冷却制御部13では、前記温度計6で
検出した鋼板の幅方向の温度分布に基づいて前記冷却用
水及びエアーの流量を調整すると共に、前記ピストンを
図示しない駆動装置によって駆動制御し、前記区画を変
更するようになっている。図4は、冷却制御部13での
処理手順を示すフローチャートである。冷却制御部13
では、鋼板毎にこの処理を行うようになっている。そし
て、まず、ステップS1で、温度計6の検出信号をもと
に、例えば、鋼板Lの代表値として、鋼板先頭部近傍の
幅方向の温度分布を求め、これに基づいて鋼板エッジ付
近の温度差が生じている箇所の板幅方向の長さΔWと、
鋼板最エッジ部と鋼板センター部との温度差であるエッ
ジ温度降下量ΔTを検出する。
【0021】つまり、一般に、圧延機2、或いは搬送中
の空冷によって、鋼板Lの板幅方向エッジ近傍の温度は
センター付近の温度に比較して20〜70度程度低下
し、その幅方向の温度分布は、図5に示すように、セン
ター付近はほぼ一定温度であるがエッジに近づくにつれ
て温度が低下している。よって、図5に示すように、温
度が、鋼板センター部の温度よりも低下しているエッジ
部付近の幅(以下、温度低下幅という。)ΔWと、セン
ター部の温度一定の部分とエッジ部の最低温部との差で
あるエッジ温度降下量ΔTとを検出する。
【0022】次に、ステップS2に移行して、温度低下
部の幅ΔWと、エッジ温度降下量ΔTと、鋼板Lの板
厚、板幅、搬送時間に基づいて、冷却装置3による冷却
を行わない場合の熱間矯正機4の出側までの空冷計算を
行い、熱間矯正機4の出側における鋼板エッジ部とセン
ター部とエッジ温度降下量ΔTdを推測する。次いで、
ステップS3に移行し、次式(1)又は(2)を満足す
る、センター部冷却温度ΔTctを算出する。なお、式
(1)及び(2)中のa〜fは任意に設定される定数を
表している。
【0023】 ΔTct=a×(ΔTd)2 +b×(ΔTd)+c (20≦ΔTd) ……(1) ΔTct=d×(ΔTd)2 +e×(ΔTd)+f (ΔTd<20) ……(2) これら(1)式及び(2)式は次のようにして得たもの
である。
【0024】すなわち、図5に示すように、線型的に鋼
板幅方向エッジ近傍の温度が低下している鋼板につい
て、図6に示すように、そのセンター領域を冷却した場
合の熱−応力、座屈解析、冷却実験等を行った。この解
析は、板厚4.5〔mm〕の鋼板に対して行い、エッジ
部温度がセンター部温度よりも30度低下していると仮
定し、つまり、図6においてエッジ温度降下量ΔTが3
0度であると仮定し、図7に示すように、センター部を
含む所定幅の領域(以下、センター領域という。)の温
度を、a:15度、b:35度、c:55度、低下させ
た場合、つまり、図6においてΔTctをa、b、cに
設定した場合について、熱−応力解析及び座屈解析を行
い、図8に示す板幅方向に対する応力、図9に示すセン
ター温度降下量に対する座屈固有値を得た。なお、図8
において、応力値は「+」が引っ張り応力、「−」が圧
縮応力を表している。
【0025】図8から、センター部温度降下量を増やす
ほどセンター付近の圧縮応力が増加し、エッジ部の圧縮
応力が減少していることがわかる。センター部温度を5
5度低下させたcの場合には、図8に示すようにエッジ
近傍全てに引っ張り応力が作用している。このことは、
エッジに発生する耳波には効果があるが、エッジに引っ
張り応力が作用するということは、センター付近の圧縮
応力が増加することを表しており、腹波に関しては座屈
しやすい方向に作用することになる。
【0026】また、図9において、ハッチング領域は、
腹波が発生することを示しており、センター部温度をエ
ッジ部温度より5度低くしたbの場合でも腹波が発生し
ている。また、図8からわかるように、センター領域の
温度降下量を小さくし過ぎると、エッジ近傍の圧縮応力
の減少量が小さく、耳波が発生する。
【0027】以上のことから、鋼板Lの歪み防止として
は、エッジ近傍の圧縮応力を減少させ、且つセンター領
域の圧縮応力増加量を増やし過ぎない制御が必要とな
る。これらをもとにさらに解析を行い、歪み発生と温度
分布との間に次の相関があることを見出した。つまり、
板幅方向最エッジから100〜400〔mm〕程度セン
ターよりの領域における最高温部に対して、センター領
域の温度を5〜30度低減させることによってほとんど
全ての鋼板で空冷後の温度偏差により生じる歪みを防止
できる。また、冷却温度を最エッジ部温度とセンター部
温度との差よりも大きくすると、板幅方向中央部が波立
つ腹歪みが、6〔mm〕以下の鋼板では100%発生す
る。さらに、エッジ部から100〜400〔mm〕だけ
センターよりの領域の温度を、板幅方向で最も高くする
ことにより、エッジ近傍に引っ張り応力が作用し、最エ
ッジ部の圧縮応力が相対的に減少し、歪みを防止するこ
とができる。
【0028】以上のことから、センター領域を冷却した
場合のその冷却温度ΔTctと、センター部とエッジ部
との温度差であるエッジ温度降下量ΔTとが鋼板形状、
つまり歪みの発生に及ぼす影響を求め、図10の結果を
得た。図10において、線よりも下側の範囲が、圧延
し熱間矯正を行った後常温まで自然冷却させた場合に、
熱応力によりエッジが歪む耳波が発生する領域を表す。
また、線よりも上側の範囲が、同様にして自然冷却を
行った場合に熱応力によりセンター付近が歪む腹波が発
生する領域を表す。つまり、耳波が発生せず且つ腹波が
発生しない領域、つまり、図10の領域Aは、鋼板Lに
歪みが生じない領域であるから、エッジ温度降下量ΔT
に対するセンター部冷却温度ΔTctが領域Aに納まる
ように、センター領域を温度制御すれば、熱応力による
歪みを防止することができることになる。
【0029】図10において線及びは鋼板Lの板厚
に応じて変化し、図11に示すように、板厚が大きくな
るほど、線及びはシフトし、図10の領域Aを含み
且つその領域は広くなる。したがって、最小板厚4.5
〔mm〕の場合の解析結果、つまり、図10の領域Aを
満足するようにセンター部冷却温度ΔTctを制御すれ
ば、板厚が4.5〔mm〕以上の鋼板であっても、熱応
力による歪みを防止することができることになる。
【0030】なお、前記式(1)中のa,b及びcは、
前記図10の領域Aを満足するように、予め設定してお
く。また、センター部を冷却しない場合においても、エ
ッジ温度降下量ΔTd<20の範囲ではエッジ部に作用
する圧縮応力が小さいため耳波は発生しないが、図10
において、領域Aの延長上にある、図10の領域Bに納
まるように制御すれば、鋼板Lの残留応力を減らすこと
ができることになる。したがって、図10の領域Bを満
足するように前記(2)式中のd、e及びfを予め設定
しておく。
【0031】つまり、前記(1)及び(2)式に基づい
てセンター部冷却温度ΔTctを制御することにより、
エッジ温度降下量ΔTとセンター部冷却温度ΔTctと
が図12に示す特性をもつように制御する。このように
して、センター部冷却温度ΔTctが設定されると、次
に、ステップS4に移行して、冷却幅ΔWctを次式
(3)に基づいて設定する。
【0032】 ΔWct=(W−2×ΔW)−α ……(3) なお、式中のWは鋼板の板幅であり、ΔWは前記温度計
6の温度検出信号に基づいて算出される温度低下幅であ
って、100〜400〔mm〕程度である。また、αは
余裕代であって、50〜150〔mm〕程度に設定され
る。次いで、ステップS5に移行して、ステップS4で
検出した冷却幅ΔWctに応じて、アクチュエータ23
a及び24aを駆動し、画成部材23及び24で画成さ
れる区画ACの中央部と鋼板Lの幅方向中央部とが対向
し、且つ区画ACの幅が冷却幅ΔWctとなるように、
画成部材23及び24を移動させる。
【0033】次いで、ステップS6に移行し、板厚が1
2〔mm〕以下であるときには、下部ヘッダ12のみを
駆動する場合について、一方、板厚が12〔mm〕より
大きいときには上下のヘッダ11及び12を共に駆動す
る場合について、ステップS3で算出したセンター部冷
却温度ΔTctを実現し得る冷却用水の流量を、例え
ば、予め設定したセンター部冷却温度ΔTctと冷却用
水の流量との対応を表す特性図に基づいて特定する。
【0034】次いでステップS7に移行して、板厚が1
2〔mm〕以下であるか否かに応じて下部ヘッダ12の
み、又は上下のヘッダ11及び12を駆動し、特定した
流量の冷却用水が吐出されるように、区画ACへの供給
流量を調整すると共に、その流量に応じて、区画AD及
びAOへのエアーの供給量を調整する。そして、一枚の
鋼板Lが冷却装置3を通過し終えたとき処理を終了す
る。
【0035】次に、上記実施の形態の動作を説明する。
今、熱間圧延機2で圧延された鋼板Lが温度計6を通過
すると、この温度計6によって鋼板Lの幅方向の温度が
検出され、その温度検出信号は、冷却装置3に出力され
る。冷却装置3では、例えば鋼板Lの位置を検出するセ
ンサ等の検出信号に基づき鋼板Lが温度計6を通過した
ことを検出すると、例えば鋼板Lの先頭部付近の温度を
読み込み、その幅方向への温度分布をもとに、図5に示
す、温度低下幅ΔW及びエッジ温度降下量ΔTを検出す
る(ステップS1)。
【0036】そして、温度低下幅ΔWと、エッジ温度降
下量ΔTと、鋼板Lの板厚、板幅、熱間矯正機4の出側
までの搬送時間に基づいて、冷却装置3による冷却を行
わない場合の熱間矯正機4の出側までの空冷計算を行
い、熱間矯正機4の出側における鋼板エッジ部とセンタ
ー部とエッジ温度降下量ΔTdを推測する(ステップS
2)。
【0037】この求めたエッジ温度降下量ΔTdをもと
に、前記(1)又は(2)式に基づいて、センター部冷
却温度ΔTctを算出し(ステップS3)、さらに鋼板
Lの板幅Wと温度計6の温度検出信号に基づき検出した
鋼板Lの温度低下幅ΔWとをもとに、前記(3)式から
冷却幅ΔWctを算出する(ステップS4)。そして、
この冷却幅ΔWctに応じて、アクチュエータ23a及
び24aを駆動し、区画AC幅が冷却幅ΔWctとなる
ように、画成部材23及び画成部材24を駆動する(ス
テップS5)。さらに、鋼板Lの板厚が12〔mm〕以
下であるときには下部ヘッダ12のみ、逆に板厚が12
〔mm〕より大きいときには、上下ヘッダ11及び12
を駆動するものとして、先に算出したセンター部冷却温
度ΔTctを実現し得る冷却用水の流量を、例えば、予
め設定したセンター部冷却温度ΔTctと冷却用水の流
量との対応を表す特性図に基づいて特定し(ステップS
6)、特定した流量の冷却用水が吐出されるように、区
画ACへの流量調整を行うと共に、これに応じて区画A
O及びADへのエアーの流量調整を行い、鋼板Lが冷却
装置3を通過するときに、設定した流量の冷却用水及び
エアーを鋼板Lに吹きつける。
【0038】これによって、下部ヘッダ12のみ、又は
上下のヘッダ11及び12の区画ACに相当する吐出口
22から冷却用水が吐出され鋼板Lに注水されると共
に、区画AO及びAD相当する吐出口22からはエアー
が吹き出される。このとき、鋼板Lが搬送路の長手方向
中央部に載置されて搬送されていれば、鋼板Lの長手方
向中央部を基準とする幅ΔWctの領域が、区画ACと
対向することになる。つまり、図6において、鋼板Lの
センター部の幅ΔWctの領域には、冷却用水が注水さ
れ、この部分を除く領域には、エアーが吹きつけられる
ことになる。したがって、鋼板Lのセンター部の幅ΔW
ct領域は冷却されるが、このとき、鋼板Lのセンター
部の幅ΔWct領域以外には、エアーが吹きつけられる
から、センター領域への冷却用水がエッジ側つまり非冷
却領域に流れ込むことを防止することができ、エッジ側
が冷却されてしまうことを回避することができる。
【0039】また、このとき、鋼板Lの上面に注水した
場合、下面側から注水する場合に比較して、センター領
域への冷却用水がエッジ側に流れ込むことが多いが、上
部ヘッダ11では、その吐出口22が鋼板Lの進行方向
と逆方向に向け、鋼板Lへの吹きつけ後の注水を、板進
行方向へ冷却用水を逃がして、これにより蒸発させ、或
いは水温を高めるようにしているから、エッジ側への冷
却用水の流れ込みを抑制しまたエッジ側へ流れ込んだと
してもこれによるエッジ側の冷却を抑制することができ
る。
【0040】また、一つのヘッダから冷却用水及びエア
ーを吹きつけることができるから、省スペースで実現す
ることができ、ヘッダを冷却用水及びエア用それぞれに
複数分割する方法のように、バルブ、電磁弁、配管等の
多数の制御機器を設置する必要がないため、安価に設置
することができる。また、このとき、鋼板Lのセンター
領域のみを冷却し、冷却後の鋼板Lの温度分布が図6に
示すように、鋼板Lのエッジ部の温度が最も低く、エッ
ジ部とセンター部との間に、最高温部が位置するような
温度分布となるようにしたから、鋼板Lの応力分布を的
確な応力分布に制御することができ、歪みの発生を防止
することができると共に、残留応力を低減することがで
きる。
【0041】なお、板厚が10〔mm〕以上の鋼板につ
いては、図10において、領域A及びBの幅が増加する
ため、一様にΔTct=10〜15度となるように冷却
を行った場合でも歪みの発生を防止することができる。
また、上記実施の形態においては、熱間矯正機4の前に
冷却装置3を設けた場合について説明したが、これに限
らず、熱間矯正機4の後に冷却装置3を設けてもよくこ
の場合にも上記と同等の作用効果を得ることができる。
【0042】また、上記実施の形態においては、冷却装
置3の冷却制御部13においては、鋼板Lの先頭部付近
の板幅方向の温度分布をその鋼板Lの代表値とし、これ
に基づき鋼板Lの温度制御を行うようにした場合につい
て説明したが、これに限るものではなく、例えば鋼板L
についてその幅方向の温度分布を逐次測定し、冷却装置
3を通過する箇所の温度分布に応じて冷却を行うように
してもよい。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の請求項1
又は請求項2に係る鋼板の温度制御方法によれば、鋼板
の幅方向の温度分布が、エッジ部はセンター部よりも低
温であり、且つエッジ部とセンター部との間の、エッジ
部からセンター部方向へ100〜400〔mm〕程度離
れた位置に最も温度の高い最高温部が位置する温度分布
となるように温度制御を行うことにより、歪みの発生を
防止することができる。
【0044】また、請求項3及び請求項4に係る鋼板の
温度制御方法によれば、鋼板の幅方向の冷却領域には注
水を行い、非冷却領域にはエアーを吹きつけて、非冷却
領域への注水による水の進入を阻止するようにし、特
に、鋼板の上面を冷却するときには、鋼板の進行方向と
逆方向に向けて注水及びエアーの吹きつけを行うことに
より、非冷却領域が冷却されることを確実に防止するこ
とができる。
【0045】また、請求項5及び請求項6に係る鋼板の
温度制御装置によれば、複数の吐出口を有するヘッダ内
を摺動可能な画成部材で3つの区画に画成し、中央の区
画には加圧した冷却用水を供給し、両端の区画には加圧
したエアを供給するようにし、特に鋼板の上面を冷却す
るためのヘッダの吐出口は、鋼板の進行方向と逆方向に
向けて設けたから、スペースをとらない簡易な構造で、
確実に冷却領域のみを冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した圧延ラインの一例を示す概略
構成図である。
【図2】冷却装置の概略構成図であって、(a)は側面
図、(b)は上面図である。
【図3】下部ヘッダの概略構成を示したものであって、
(a)は上面図、(b)は側面図である。
【図4】冷却制御部の処理手順の一例を示すフローチャ
ートである。
【図5】圧延機出側における鋼板幅方向の温度分布の一
例である。
【図6】冷却装置6による冷却後の鋼板幅方向の温度分
布の一例である。
【図7】解析に用いた温度分布パターンである。
【図8】図7の温度分布パターンに基づいて応力解析を
行った結果である。
【図9】図7の温度分布パターンに基づいて座屈解析を
行った結果である。
【図10】エッジ温度降下量及びセンター部冷却温度に
対する歪みの発生状況を表す特性図である。
【図11】エッジ温度降下量及びセンター部冷却温度に
対する歪みの発生状況と、板厚との対応を表す特性図で
ある。
【図12】歪みの発生しない、エッジ温度降下量とセン
ター部冷却温度との相関関係の一例を示す特性線図であ
る。
【符号の説明】
1 加熱炉 2 圧延機 3 冷却装置 4 熱間矯正機 5 クーリングベッド 6 温度計 11 上部ヘッダ 12 下部ヘッダ 13 冷却制御部 21 角筒体 22 吐出口 23、24 画成部材 23a、24a アクチュエータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C21D 9/573 101 B21B 37/00 132B (72)発明者 旭 一郎 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内 (72)発明者 折田 朝之 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内 Fターム(参考) 4E024 AA01 BB07 BB08 4K038 AA01 BA01 CA03 DA01 EA01 FA01 4K043 AA01 CB03 CB04 FA03 FA13

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 仕上圧延後に熱間矯正機で矯正した後、
    空冷冷却するようにした鋼板の温度制御方法であって、 前記空冷冷却を行う前に、前記鋼板の幅方向の温度分布
    が、エッジ部はセンター部よりも低温であり、且つエッ
    ジ部とセンター部との間に最も温度の高い最高温部が位
    置する温度分布となるように、前記鋼板の温度制御を行
    うようにしたことを特徴とする鋼板の温度制御方法。
  2. 【請求項2】 前記最高温部は、前記鋼板の幅方向のエ
    ッジ部からセンター部方向へ100〜400〔mm〕だ
    け離れた位置であることを特徴とする請求項1記載の鋼
    板の温度制御方法。
  3. 【請求項3】 鋼板の幅方向の冷却領域のみを冷却する
    ようにした温度制御方法であって、 前記冷却領域には注水を行い、非冷却領域にはエアーを
    吹きつけ、当該エアーにより前記非冷却領域への前記注
    水による水の進入を阻止するようにしたことを特徴とす
    る請求項1又は2記載の鋼板の温度制御方法。
  4. 【請求項4】 前記鋼板の上面を冷却するときには、前
    記鋼板の進行方向と逆方向に向けて注水及びエアーの吹
    きつけを行うようになっていることを特徴とする請求項
    3記載の鋼板の温度制御方法。
  5. 【請求項5】 鋼板の幅方向に沿って設けられた複数の
    吐出口を有するヘッダと、 当該ヘッダ内を3つの区画に水密に画成し且つヘッダ内
    を摺動可能な画成部材と、 当該画成部材で画成された3つの区画のうち中央の区画
    には加圧した冷却用水を供給し、両端の区画には加圧し
    たエアを供給する冷却媒体供給手段と、 前記鋼板の冷却幅に応じて前記画成部材を移動させる移
    動手段と、を備えることを特徴とする鋼板の温度制御装
    置。
  6. 【請求項6】 前記鋼板の上面を冷却するためのヘッダ
    を有し、当該ヘッダの吐出口は、前記鋼板の進行方向と
    逆方向に向けて設けられていることを特徴とする請求項
    5記載の鋼板の温度制御装置。
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