JP4122556B2 - パワートレインの制御装置 - Google Patents

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  • Transmission Devices (AREA)
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、無段変速機を備えたパワートレインの制御装置、特に、複数の動力伝達経路を有し、該動力伝達経路を無段変速機の最終変速比に応じて切り換えるように構成されたパワートレインの制御装置の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
近年、エンジンと駆動輪との間の動力伝達経路上に配設されて、エンジン側からの入力回転と駆動輪側への出力回転との間の変速比を無段階に変化させるように構成された無段変速機をパワートレインに搭載した自動車が実用化されている。この種の無段変速機としては、従来よりベルト式のものが知られているが、特開平3−223555号公報や特開平6−101754号公報に開示されているように、エンジン側からの回転が入力される入力ディスクと、駆動輪側への回転が出力される出力ディスクとを同軸上に配置すると共に、これらのディスク間に、両ディスク間の動力伝達を行うローラーを圧接状態で介設し、このローラーを傾転させることによって該ローラと各ディスクとの接触位置を半径方向に変化させ、これにより、両ディスク間の動力伝達の変速比を無段階に変化させるように構成されたトロイダル式無段変速機もまた知られている。
【0003】
上記公報にはさらにクラッチやトルクコンバータ等を用いずに車両の発進を可能とするギヤードニュートラル発進方式が開示されている。この発進方式は、無段変速機構と遊星歯車機構とを組み合わせて用いると共に、エンジン側からの回転が無段変速機構を介して遊星歯車機構に入力されるルートと、無段変速機構を介さずに直接遊星歯車機構に入力されるルートとの二つのルートを有する動力伝達経路を採用して、この状態で上記無段変速機構の変速比を制御することにより、遊星歯車機構から駆動輪側への出力回転がゼロとなるギヤードニュートラル状態を実現させると共に、このギヤードニュートラル状態から無段変速機構の変速比を増減させることにより、遊星歯車機構からの出力回転を前進方向又は後退方向に回転させるものである。
【0004】
ところで、このようなギヤードニュートラル発進方式においては、エンジンの駆動トルクを遊星歯車機構をも経由させて駆動輪に伝達する経路が採用されるので、上記遊星歯車機構の減速率等によって、駆動輪側への出力回転の高速化に不利となり、エンジンが過回転となる等の不具合が発生する。また、特にトロイダル式無段変速機の場合、動力伝達経路が一つのみであると、無段変速機全体としての変速比(最終変速比)と、トロイダル式無段変速機構としての変速比(トロイダル変速比)との相関関係により、ローラの傾転角範囲が大きくなって、該ローラのディスクに対する傾きが過大となり、動力伝達効率が低下する等の不具合が生じる。
【0005】
そこで、このような不具合に対処する等のため、ギヤードニュートラル状態を実現させるためにエンジンの駆動トルクを遊星歯車機構をも経由させて駆動輪に伝達する上記のような経路をローモードの動力伝達経路とし、この他に、エンジンの駆動トルクを遊星歯車機構を経由させずに無段変速機構のみを経由させて駆動輪に伝達するハイモードの動力伝達経路を別に設けて、これらのローモードとハイモードとの動力伝達経路を選択的に切り換えて用いることが通常行なわれており、このような動力伝達経路の切換動作の一例をトロイダル式無段変速機を例にして具体的に説明すると一般に次のようになる。
【0006】
すなわち、図9に示すように、例えばローラを下限傾転角θminと上限傾転角θmaxとの間でディスクに対して過剰に傾くことのないように限定的に傾転させ、該ローラの傾転角θが大きくなるに従ってトロイダル変速比Hも大きくなるようにすると共に、ローラの傾転角θが下限傾転角θminのときにトロイダル変速比Hが最小値Hminとなり、上限傾転角θmaxのときに最大値Hmaxとなるように構成する。
【0007】
そして、ローモードの動力伝達経路にあっては、ローラの傾転角θが大きくなってトロイダル変速比Hが大きくなる(減速する)に従って無段変速機全体としての最終変速比Gが小さくなる(増速する)ようにし、後退方向から最終変速比Gが無限大のギヤードニュートラル状態GNを経たのち前進方向においてローラの傾転角θが上限傾転角θmaxでトロイダル変速比Hが最大値Hmaxのときに最終変速比Gがローモードにおいて達成可能な最小値GLとなる一方、ハイモードの動力伝達経路にあっては、ローラの傾転角θが大きくなってトロイダル変速比Hが大きくなる(減速する)に従って最終変速比Gが大きくなる(減速する)ようにし、ローラの傾転角θが上限傾転角θmaxでトロイダル変速比Hが最大値Hmaxのときに最終変速比Gがハイモードにおいて達成可能な最大値GHとなるように構成する。
【0008】
このとき、ローモードにおいて達成可能な最終変速比Gの最小値GLは、ハイモードにおいて達成可能な最終変速比Gの最大値GHよりも増速側に設定され、したがってまたハイモードにおいて達成可能な最終変速比Gの最大値GHは、ローモードにおいて達成可能な最終変速比Gの最小値GLよりも減速側に設定されて、これにより、各経路で達成可能な最終変速比Gが上記両限界値GL,GHの間の範囲で重複すると共に、両モードの特性ラインが、最終変速比Gがこれらの両限界値GL,GHの中間値GP、ローラの傾転角θがθP、及びトロイダル変速比HがHPであるポイントPで交差するように設けられる。したがって、ローモードとハイモードとの間の動力伝達経路の切換えをこのポイントPで行なうようにすることで、最終変速比Gを連続して円滑に変化させることができ、モードないし動力伝達経路の切換えによるショックの発生を低減することが可能となる。
【0009】
その場合に、この切換ポイントPにおけるローラの傾転角θP、トロイダル変速比HP及び最終変速比GPは機械的に一定であるが、切換ポイントPにおける車速VPはエンジン回転数によって変化する。そして、一般に、車速は、このようにエンジン回転数と最終変速比との両パラメータの影響を受け、例えばエンジン回転数が一定であるとすると、車速は最終変速比の変化をそのまま反映するものとなって、図9に示すように、前進方向において最終変速比Gが小さくされるに従って車速Vが大きくなるように変更されることになる。
【0010】
ここで、このような車速の変更動作をより具体的に説明するとおよそ次のようになる。すなわち、一般に、この種の無段変速機においては、例えば図10に示すように、車速V、エンジン回転数N、エンジンのスロットルバルブの開度(スロットル開度)T、最終変速比G等の各パラメータの相関関係を表わす特性マップが予め設定されており、このマップに、運転者によるアクセルペダルの踏込量(アクセル開度)や、その変化率(アクセル開度変化率)、あるいは現在の車速等の車両の走行状態に基づいて決定した目標車速をあてはめることにより、該目標車速が実現される制御パラメータN,G等を求め、エンジン回転数や最終変速比がその目標値となるようにエンジンあるいは無段変速機を制御するのである。
【0011】
例えばいま、ハイモードにおいて、最終変速比GがGS、スロットル開度TがTSにそれぞれ制御されていて、エンジン回転数NがNc、現車速がVSである符号aの状態にあるときに、その現車速VSよりも低い目標車速Voが決定されたとすると、この目標車速Voは、前述のようにエンジン回転数Nもしくは最終変速比Gのいずれか又は両方を制御することにより実現することができる。そして、例えば現エンジン回転数Ncが燃費性能に優れた回転数であり、この現回転数Ncにエンジン回転数Nを維持しようとする場合(エコノミーモード)を例にとると、該エンジン回転数Nをその一定値Ncに固定したまま、最終変速比Gのみを現変速比GSからGoまで大きくして符号bの状態に移行させることにより、上記目標車速Voを実現させることができる。なお、このとき、エンジン回転数NをNcに一定に保持するためにスロットル開度TがToに制御される。そして、この場合は、車速変更後の上記状態bも依然としてハイモード側にあるから、モードないし動力伝達経路の切換えは起こらない。
【0012】
これに対し、例えば、符号cで示すように、同じエコノミーモードでも、目標車速がさらに低い値Vo’に決定され、その結果、この目標車速Vo’を実現するための目標最終変速比がさらに減速方向のGo’と求められて、車速変更後の状態cがローモード側に移動したときや、あるいは、図10に符号dで示すように、上記目標車速Voを実現する際にエンジン回転数Nを増大させる制御(パワーモード)が伴って行なわれる結果、上記目標車速Voを実現するための目標最終変速比が該エンジン回転数Nの増加分を打ち消すようにさらに減速方向のGo’と求められて、車速変更後の状態dがローモード側に移動したとき等には、ハイモードからローモードへの動力伝達経路の切換えが起こることになる。
【0013】
すなわち、モードないし動力伝達経路の切換えは、目標車速がどのような値に決定されるかではなく、エンジン回転数との関係において上記目標車速を実現するための目標最終変速比が結果的にどのような値に求められるかによって起こったり起こらなかったりすることになる。そして、その切換えは、従来より、上記設例でいえば、最終変速比Gを車速変更前のGSから上記目標変速比Go’に変化させる途中で、該最終変速比Gが切換ポイント変速比GPを横切る時点において行なわれるのが通例である。これにより、前述したように、最終変速比Gが連続して円滑に変化することになり、モードないし経路の切換えに伴うショックが抑制される。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、目標車速ないし目標最終変速比は上記のように運転者による走行状態の変化によって所定の制御サイクルで次々に決定され、例えば車速Vないし最終変速比Gが該切換ポイントP付近にある状態において、運転者の頻繁な正逆のアクセル操作等により、目標車速ないし目標最終変速比が上記切換ポイントPを挟んで交互に他方のモード側に設定されるようなことが起こり得る。
【0015】
その場合に、上記のように最終変速比Gが切換ポイント変速比GPないし切換ポイントPを横切る度にモードの切換えを行なっていたのでは、該モード切換えのハンチングが生じることになり、ローモードとハイモードとの間の切換えが頻繁に起こって、動力伝達経路を切り換えるクラッチ等の摩擦要素の締結解放動作が繰り返し起こり、変速比の制御ないし車速の制御が良好に収束しなくなる等の不具合が発生する。
【0016】
本発明は、無段変速機の最終変速比に応じて複数の動力伝達経路を選択的に切り換えるように構成されたパワートレインにおける上記不具合に対処するもので、上記最終変速比が頻繁に経路切換ポイントを横切るような状態であっても、該経路ないしモードの切換えのハンチングを有効に回避することを課題とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明では次のような手段を用いる。
【0018】
まず、本願の特許請求の範囲の請求項1に記載の発明(以下「第1発明」という。)は、エンジン側からの入力回転と駆動輪側への出力回転との間の変速比が無段階に変化するように構成された無段変速機を有するパワートレインの制御装置であって、上記エンジンと駆動輪との間に複数の動力伝達経路が設けられ、各経路で達成可能な上記無段変速機の変速比が所定の範囲で重複していると共に、車両の走行状態を検出する走行状態検出手段と、該検出手段の検出結果に基づいて上記無段変速機の目標変速比を設定する目標変速比設定手段と、上記経路を上記無段変速機の変速比に応じて選択的に切り換える伝達経路切換手段とが備えられ、該切換手段が、上記設定手段で設定された目標変速比が現経路で達成可能である限りは、該目標変速比が上記重複範囲にあっても動力伝達経路の切換えを行なわず、上記目標変速比が上記重複範囲を逸脱して現経路で達成可能でないときにのみ、該目標変速比が達成可能な動力伝達経路への切換えを行ない、且つ、その切換えを、現経路で達成可能でない上記目標変速比が設定されてから所定の待機時間が経過したのちに行なうように構成されていることを特徴とする。
【0019】
また、請求項2に記載の発明(以下「第2発明」という。)は、上記第1発明において、待機時間が経過するまでは、無段変速機の変速比は、現経路で達成可能な変速比のうち目標変速比に最も近い変速比に保持されることを特徴とする。
【0020】
そして、請求項3に記載の発明(以下「第3発明」という。)は、上記第1発明において、待機時間が経過したのちは、無段変速機の変速比は、伝達経路切換手段により切換えが行なわれる経路間で同一の達成可能な変速比まで変化され、上記切換手段は、無段変速機の変速比が該同一変速比となったときに動力伝達経路の切換えを行なうように構成されていると共に、上記変速比が上記同一変速比まで変化されることによる車速の変化が抑制されるようにエンジン回転数が制御されることを特徴とする。
【0021】
一方、請求項4に記載の発明(以下「第4発明」という。)は、上記第1発明において、走行状態検出手段の検出結果に基づいて運転者の加速要求の有無を判定する加速要求判定手段が設けられ、該判定手段により運転者の加速要求があると判定されたときは、判定されないときに比べて、待機時間は短くされることを特徴とする。
【0022】
さらに、請求項5に記載の発明(以下「第5発明」という。)は、上記第1発明において、冷間時は、温間時に比べて、待機時間は長くされることを特徴とする。
【0023】
上記手段を用いることにより、本願の各発明によれば次のような作用が得られる。
【0024】
まず、第1発明によれば、無段変速機を有するパワートレインにおいて、前述のローモード及びハイモードの動力伝達経路のように、エンジンと駆動輪との間に複数の動力伝達経路が設けられ、その場合に、前述のローモードにおける最小変速比GLとハイモードにおける最大変速比GHとの間の範囲のように、各経路で達成可能な上記無段変速機の変速比が所定の範囲で重複している。したがって、この重複範囲内には、前述の切換ポイントPにおける変速比GPのように、これらの経路間で同一となる変速比が存在し、無段変速機の変速比がこの同一変速比となった時点で動力伝達経路を切り換えることにより、ショックのない滑らかなモードないし経路の切換えが可能となる。
【0025】
そして、これらの経路が無段変速機の変速比に応じて伝達経路切換手段により選択的に切り換えられると共に、アクセル開度やアクセル開度変化率あるいは車速等の車両の走行状態が走行状態検出手段によって検出され、その検出結果に基づいて上記無段変速機の目標変速比が目標変速比設定手段により設定される。したがって、上記の複数の動力伝達経路の切換えが、車両の走行状態に基づき設定された無段変速機の目標変速比に応じて行なわれることになる。
【0026】
そして、その場合に、まず、上記無段変速機の目標変速比が現経路で達成可能である限りは、該目標変速比が上記重複範囲にあっても動力伝達経路の切換えが行なわれず、該目標変速比が上記重複範囲を逸脱して現経路で達成可能でなくなったときにのみ、現経路から、その目標変速比を達成することが可能な別の動力伝達経路への切換えが行なわれるようになっている。
【0027】
すなわち、前述のローモードにあっては、上記重複範囲内(GL,GH間)において、切換ポイント変速比GPを越えてハイモード側に設けられた、該変速比GPと最小変速比GLとの間の領域を利用して、また前述のハイモードにあっては、同じく上記重複範囲内(GL,GH間)において、切換ポイント変速比GPを越えてローモード側に設けられた、該変速比GPと最大変速比GHとの間の領域を利用して、それぞれ上記切換ポイント変速比GPを越える他方のモード側の変速比Gを達成することが可能であるから、これらの領域を利用することにより、無段変速機の目標変速比が現経路で達成可能である限りは、現変速比からその目標変速比に向けて変速比を変化させる途中の全ての変速比もまた同様に現経路で達成可能であり、したがって現経路ないし現モードを維持することができ、これにより、目標変速比に向けて変速比を変化させる途中で、該変速比が上記切換ポイント変速比GPを通過しても、その度毎に経路が切り換えられるというようなことが回避され、よってモードないし経路切換えのハンチングが抑制されることになる。
【0028】
そして、さらに、目標変速比が上記重複範囲を逸脱して現経路で達成できなくなり、動力伝達経路の切換えが行なわれる場合においても、例えば、その現経路で達成できない目標変速比が設定された時点で直ちに上記経路の切換えが行なわれたりするのではなく、該目標変速比が設定されてから所定の待機時間が経過してから上記経路の切換えが行なわれるようになっている。
【0029】
したがって、上記待機時間中に次の目標変速比が設定され、その次の目標変速比が、運転者による走行状態の変化によって、再び現経路で達成可能な変速比に設定された場合には、そのまま現経路を維持することができ、結果的に、動力伝達経路の切換えを全く行なわなくて済むことになる。一方、上記のように、かかる待機時間を設けず、現経路で達成できない目標変速比が設定された時点で直ちに経路を切り換えるようなことをしたときには、次の目標変速比が、再び前の経路で達成可能な変速比に設定された場合に、再度動力伝達経路の切換えを行なうことになる。したがって、この第1発明によれば、モードないし動力伝達経路の切換え回数ないし頻度が確実に低減され、該切換えのハンチングが効果的に抑制されることになる。
【0030】
そして、第2発明によれば、特に、上記待機時間が経過するまでは、無段変速機の変速比が、現経路で達成可能な変速比のうちの、現経路で達成できない上記の目標変速比に最も近い変速比に保持されるから、たとえ、この待機時間中は目標変速比が達成されず、したがって目標車速が実現されないことになっても、該目標車速との偏差をなるべく小さくすることができると共に、該偏差を打ち消すようにエンジン回転数を増減制御する際においても、その制御量、つまりエンジン回転数の増減量をなるべく小さくすることができることになって有利となる。
【0031】
さらに、第3発明によれば、特に、上記待機時間が経過したのちは、無段変速機の変速比が、前述の切換ポイントPにおける変速比GPのように、相互に切り換えられる経路間で同一となる変速比まで変化され、そして、無段変速機の変速比が、この同一変速比となったときに動力伝達経路が切り換えられるから、前述したようにショックのない滑らかなモードないし経路の切換えが可能となると共に、その場合の該変速比の上記同一変速比までの変化に伴って発生する車速の変化が抑制されるようにエンジン回転数が制御されるから、例えば、目標車速が現車速よりも高い値に決定されたにも拘らず車速変更制御の途中で車速が減少したり、逆に目標車速が現車速よりも低い値に決定されたにも拘らず車速変更制御の途中で車速が増加したりするようなことが回避され、運転者に対して違和感を与えるようなことがなくなる。
【0032】
一方、第4発明によれば、特に、車両の走行状態の検出結果に基づいて運転者の加速要求の有無が判定され、その結果、例えばアクセル開度やアクセル開度変化率が所定値以上大きい等の理由により運転者の加速要求があると判定されたときには、判定されないときに比べて、上記待機時間が短くされるから、待機時間中における目標車速が実現されない期間が短縮され、これにより、目標車速が早期に実現されて、加速要求に適正に対応することが可能となる。
【0033】
さらに、第5発明によれば、特に、例えば作動油温もしくはエンジン水温が低いときやエンジン始動後の時間が短い冷間時には、温間時に比べて、上記待機時間が長くされるから、作動油の粘性が高くなる冷間時におけるローラの傾転角変更動作、つまり変速比の制御動作や、クラッチの切換動作等に応答遅れが生じることに適正に対応することが可能となる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、無段変速機としてトロイダル式無段変速機を備えたパワートレインについての実施の形態を図面に基づいて説明することにより、本発明をさらに詳しく説述する。
【0035】
図1は、本実施の形態におけるトロイダル式無段変速機の機械的構成を示す骨子図、また、図2はシステム構成図であって、この無段変速機10は、エンジン1の出力軸2にトーショナルダンパ3を介して連結されたインプットシャフト11と、該シャフト11の外側に遊嵌合された中空のプライマリシャフト12と、これらのシャフト11,12に平行に配置されたセカンダリシャフト13とを有し、これらのシャフト11〜13が、いずれも当該車両の横方向に延びるように配置されている。
【0036】
また、この無段変速機10における上記インプットシャフト11およびプライマリシャフト12の軸線上には、トロイダル式の第1、第2変速機構20,30と、ローディングカム40とが配設されていると共に、セカンダリシャフト13の軸線上には、遊星歯車機構50と、ローモードクラッチ60およびハイモードクラッチ70とが配設されている。そして、インプットシャフト11およびプライマリシャフト12の軸線と、セカンダリシャフト13の軸線との間に、ローモードギヤ列80と、ハイモードギヤ列90とが介設されている。
【0037】
上記第1、第2変速機構20,30はほぼ同一の構成であり、いずれも、対向面がトロイダル面とされた入力ディスク21,31と出力ディスク22,32とを有し、これらの対向面間に、両ディスク21,22間および31,32間でそれぞれ動力を伝達するローラー23,33が2つづつ介設されている。
【0038】
そして、エンジン1から遠い方に配置された第1変速機構20は、入力ディスク21が反エンジン側に、出力ディスク22がエンジン側に配置され、また、エンジン1に近い方に配置された第2変速機構30は、入力ディスク31がエンジン側に、出力ディスク32が反エンジン側に配置されており、かつ、両変速機構20,30の入力ディスク21,31はプライマリシャフト12の両端部にそれぞれ結合され、また、出力ディスク22,32は一体化されて、該プライマリシャフト12の中間部に回転自在に支持されている。
【0039】
また、インプットシャフト11の反エンジン側の端部には上記ローモードギヤ列80を構成する第1ギヤ81が結合されていると共に、該第1ギヤ81と上記第1変速機構20の入力ディスク21との間にローディングカム40が介設されており、さらに、第1、第2変速機構20,30の一体化された出力ディスク22,32(以下「一体化出力ディスク34」という)の外周に、上記ハイモードギヤ列90を構成する第1ギヤ91が設けられている。
【0040】
一方、セカンダリシャフト13の反エンジン側の端部には、上記ローモードギヤ列80を構成する第2ギヤ82が回転自在に支持されて、アイドルギヤ83を介して上記第1ギヤ81に連結されていると共に、該セカンダリシャフト13の中間部には上記遊星歯車機構50が配設されている。そして、該遊星歯車機構50のピニオンキャリヤ51と上記ローモードギヤ列80の第2ギヤ82との間に、これらを連結しもしくは切断するローモードクラッチ60が介設されている。
【0041】
また、遊星歯車機構50のエンジン側には、上記第1、第2変速機構20,30の一体化出力ディスク34の外周に設けられたハイモードギヤ列90の第1ギヤ91に噛み合う第2ギヤ92が回転自在に支持され、該第2ギヤ92と遊星歯車機構50のサンギヤ52とが連結されていると共に、該遊星歯車機構50のインターナルギヤ53がセカンダリシャフト13に結合されており、また、該遊星歯車機構50のエンジン側に、上記ハイモードギヤ列90の第2ギヤ92とセカンダリシャフト13とを連結しもしくは切断するハイモードクラッチ70が介設されている。
【0042】
そして、上記セカンダリシャフト13のエンジン側の端部に、第1、第2ギヤ4a,4bとアイドルギヤ4cとでなる出力ギヤ列4を介してディファレンシャル装置5が連結されており、このディファレンシャル装置5から左右に延びる駆動軸6a,6bを介して左右の駆動輪7,8に動力を伝達するようになっている。
【0043】
そして、上記ローラ23,33の傾転角を変化させることにより、該ローラ23,33と、入力、出力両ディスク21,31,34との接触位置が半径方向に変化し、その結果、入力ディスク21,31の回転が無段階に変速されて一体化出力ディスク34に伝達される。
【0044】
その場合に、上記ローラ23,33は、ディスク21,31,34の回転軸心に直交する方向に移動可能に備えられたトラニオン14…14に支持され、該トラニオン14…14の同方向における移動量を制御することにより、ローラ23,33の傾転角制御、すなわち変速比制御が行なわれる。
【0045】
また、特に、図2に示すように、ローラ23,33の傾転角θは、該ローラ23,33が水平で、入力、出力両ディスク21,31,34との接触位置が半径方向において同じとき、すなわちトロイダル変速比が1のときにゼロとされ、この状態から、図示したように、出力ディスク34との接触位置が入力ディスク21,31との接触位置に比べて半径方向において大きくなる方向、すなわちトロイダル変速比が大きくなる方向の傾きが正の方向(+θ)、逆に出力ディスク34との接触位置が入力ディスク21,31との接触位置に比べて半径方向において小さくなる方向、すなわちトロイダル変速比が小さくなる方向の傾きが負の方向(−θ)とされている。
【0046】
そして、この自動車には、パワートレインを構成する上記エンジン1及び無段変速機10を統合制御するコントロールユニット100が備えられ、このコントロールユニット100に、アクセルペダル15の踏込量(アクセル開度)を検出するアクセル開度センサ16からの信号、無段変速機10に入力されるエンジン回転数を検出するエンジン回転センサ17からの信号、ディファレンシャル装置5に出力される回転数を検出する車速センサ101からの信号、作動油の温度を検出する油温センサ104からの信号、エンジン水温を検出する水温センサ105からの信号等が入力され、これらの信号に基づいて、エンジン1の燃焼室に通じる吸気通路18の上流側に設けられ、該燃焼室に吸入される吸入空気量をコントロールするスロットルバルブ19の開度(スロットル開度)の制御と、同じく吸気通路18の下流側に設けられ、燃焼室に燃料を供給する燃料噴射弁102…102の燃料噴射量の制御と、燃焼室に設置された点火プラグ103…103の点火時期の制御と、無段変速機10のトロイダル変速機構20,30における上記ローラ23,33を支持するトラニオン14…14のディスク21,31,34に対する移動量の制御を介しての変速比の制御と、上記ローモードクラッチ60及びハイモードクラッチ70の締結解放動作の制御とが行なわれる。
【0047】
ここで、以上のような構成の無段変速機10の機械的な動作について説明すると、まず、当該車両の停車中においては、ローモードクラッチ60が締結され、かつ、ハイモードクラッチ70が解放された状態、すなわちローモードの状態にあって、エンジン1からの回転は、インプットシャフト11の反エンジン側の端部から第1ギヤ81、アイドルギヤ83および第2ギヤ82でなるローモードギヤ列80を介してセカンダリシャフト13側に伝達されると共に、さらに上記ローモードクラッチ60を介して遊星歯車機構50のピニオンキャリヤ51に入力される。
【0048】
また、上記インプットシャフト11に入力されたエンジン1からの回転は、上記ローモードギヤ列80の第1ギヤ81から、これに隣接するローディングカム40を介して第1変速機構20の入力ディスク21に入力され、ローラー23,23を介して一体化出力ディスク34に伝達されると同時に、上記入力ディスク21からプライマリシャフト12を介して、該シャフト12のエンジン側の端部に配置された第2変速機構30の入力ディスク31にも入力され、上記第1変速機構20と同様に、ローラー33,33を介して一体化出力ディスク34に伝達される。
【0049】
そして、この第1、第2変速機構20,30の一体化出力ディスク34の回転は、該ディスク34の外周に設けられた第1ギヤ91とセカンダリシャフト13上の第2ギヤ92とでなるハイモードギヤ列90を介して上記遊星歯車機構50のサンギヤ52に伝達される。
【0050】
したがって、この遊星歯車機構50には、ピニオンキャリヤ51とサンギヤ52とに回転が入力されることになるが、このとき、その回転速度の比が上記第1、第2変速機構20,30の変速比制御によって所定の比に設定されることにより、該遊星歯車機構50のインターナルギヤ53の回転、すなわちセカンダリシャフト13から出力ギヤ列4を介してデファレンシャル装置5に入力される回転がゼロ、つまり車速がゼロとされ、当該変速機10がギヤードニュートラルの状態となる。
【0051】
そして、この状態から上記第1、第2変速機構20,30の変速比を変化させて、ピニオンキャリヤ51への入力回転速度とサンギヤ52への入力回転速度との比を変化させれば、変速機10の全体としての変速比、つまり最終変速比が大きな状態、すなわちローモードの状態で、インターナルギヤ53ないしセカンダリシャフト13が前進方向または後退方向に回転し、当該車両が発進することになる。
【0052】
次に、上記コントロールユニット100が行なう目標車速を実現するための車速変更制御、並びに該制御で実行される変速比制御に伴うローモードとハイモードとの切換制御の具体的動作の一例を図3及び図4にフローチャートで示す制御プログラムに従って説明する。なお、この実施形態においては、できるだけエンジン回転数を燃費性能に優れた回転数に維持し、目標車速をエンジン回転数の制御ではなく専ら変速比の制御によって実現するエコノミーモードで車速変更制御が行なわれるようになっている。
【0053】
まず、ステップS0で、前回の制御で使用された各種の検出信号や後述する待機時間α等の変数などを全て初期化する。そして、ステップS1で改めて今回の制御用に各種の信号を読み込んだのち、ステップS2で、車速、アクセル開度つまりアクセルペダル15の踏込量、及びアクセル開度変化率から目標車速Voを決定する。その場合に、目標車速Voは、運転者の加速要求に応じて決定され、例えばアクセル開度やアクセル開度変化率が大きいときほど運転者の加速要求が大きいと考えられるから目標車速Voは大きな値に定められる。また、高車速時における加速要求は、追い越し等の一時的なものと考えられるから、目標車速Voは、低車速時における加速要求に比べて相対的に小さな値に定められる。なお、目標車速Voの決定動作は、より具体的には、現在の車速に加算すべき車速の偏差量を求めるものである。
【0054】
次いで、ステップS3で、エンジン回転数から切換ポイントPにおける車速VPを決定する。すなわち、切換ポイントPにおける最終変速比GPが機械的に決まっているから、前述の図10に示すマップに基づいて、エンジン回転数Nを現在のエンジン回転数に維持した場合における切換ポイント車速VPが決定するのである。
【0055】
次いで、ステップS4で、上記ステップS2で決定した目標車速Voから、その目標車速Voを実現する最終変速比G、トロイダル変速比H、及びローラ23,33の傾転角(以下単に「傾転角」という。)θ、つまり目標最終変速比Go、目標トロイダル変速比Ho、及び目標傾転角θo等を求める。すなわち、前述の図10に示すマップに基づいて、目標車速Voとエンジン回転数とから目標最終変速比Goが決定し、さらに、最終変速比G、トロイダル変速比H、及び傾転角θの関係が機械的に決まっているから、前述の図9に示すマップに基づいて、目標最終変速比Goと現モードとから、目標トロイダル変速比Hoないし目標傾転角θoが決定するのである。
【0056】
なお、この実施の形態では、無段変速機としてトロイダル式無段変速機を用いているので、傾転角まで求められるが、例えばベルト式無段変速機等を含んで一般には、無段変速機全体としての最終変速比ないし無段変速機構としての変速比までが求められることになる。
【0057】
次いで、ステップS5で、所定の待機時間αがゼロより大きいか否かを判定する。そして、NOのとき、つまり待機時間αが設定されていないときには、ステップS6に進んで、アクセル開度や油温あるいは車速等に基づいて該待機時間αを設定し、YESのとき、つまりすでに待機時間αが設定されているときには、ステップS7に進んで、該待機時間αを1だけ減算してから、いずれもステップS8に進む。
【0058】
その場合に、上記ステップS6において、待機時間αは、例えば図5及び図6に示すように、アクセル開度やアクセル開度変化率が大きいときほど、つまり運転者の加速要求が大きいときほど小さな値に求められ、また、作動油温やエンジン水温が低いときほど、あるいはエンジン始動後の経過時間が短いときほど、つまり冷間時ほど大きな値に求められる。さらには、待機時間αを、高車速時ほど小さな値としてもよい。これらによって得られる作用については後述する。
【0059】
次いで、ステップS8で、現在の傾転角θから目標傾転角θoへは切換ポイントPを通過するか否かを判定する。つまり、目標車速Voを実現する車速変更制御ないし変速比制御において、例えば現傾転角θが図7に符号アで示すような状態にあるとき(最終変速比GS、トロイダル変速比HS)に、目標傾転角θoが符号イで示すように切換ポイントPの手前にあるのか(最終変速比G1、トロイダル変速比H1)、もしくは符号オで示すように切換ポイントPにあるのか(最終変速比GP、トロイダル変速比HP)、又は符号ウで示すように切換ポイントPの向こう側にあるのか(最終変速比G2、トロイダル変速比H2)を判定するのである。
【0060】
なお、図7はモードがローモードの場合を例示するが、モードがハイモードの場合でも事情は同じであることはいうまでもない。また、上記判定を、傾転角θに代えて、より直接的に、トロイダル変速比H又は最終変速比Gを用いて行なってもよい。
【0061】
そして、YESのとき、つまり目標傾転角θoが上記状態ウやさらに符号キもしくはエのように切換ポイントPの向こう側にあるときは、さらにステップS9で、目標傾転角θoが上限傾転角θmaxを越えて大きいか否かを判定する。換言すれば、目標車速Voを実現するための目標最終変速比Goが現モードで達成可能であるか否かを判定するのである。
【0062】
そして、YESのとき、つまり目標車速Voが現モードでは達成できないときは、ステップS10に進む一方で、上記ステップS8又はステップS9のいずれかでNOのとき、つまり目標車速Voが重複範囲(最終変速比がGLとGHとの間の範囲)を含んで現モードで達成できるときは、ステップS16〜S18に進み、該ステップS16〜S18で現傾転角θをモードの切換えなしに目標傾転角θoまで変化させて終了となる。
【0063】
つまり、上記図7において、車速変更前の状態アから目標イまで移行させる場合は、切換ポイントPの手前側であるから、現モード(ローモード)を維持することが可能で、したがってモードの切換えが行なわれない。また、目標が符号オ、ウ、キ、エのような状態であっても、ローモードとハイモードとのいずれのモードでも達成可能な変速比の範囲、すなわち重複範囲(最終変速比がGLとGHとの間の範囲)を利用して、モードの切換えを行なうことなく、上記各目標の状態オ、ウ、キ、エを実現することができる。これに対し、例えば、状態ウと同じ最終変速比G2を達成しようとして、他のモード(ハイモード)における符号サの状態を採用すると、車速変更前の状態アから該目標サまでの変速制御の途中で、切換ポイントPにおいてモードの切換えを行なう必要が生じ、モードないし動力伝達経路の切換えの回数ないし頻度がアップしてハンチングの起こる虞が生じることになる。
【0064】
一方、目標車速Voが現モードでは達成できず、ステップS10に進んだときは、該ステップS10で傾転角を上限傾転角θmaxに保持する。つまり、上記図7に符号カで示すように、現モード(ローモード)では達成できない目標最終変速比GoがG3(目標トロイダル変速比HoがH3)であるとすると、符号エの状態に保持するのである。これにより、符号エの状態における最終変速比GがGLであり、この変速比GLは、現モードで達成可能な変速比のうちで最も上記目標カにおける最終変速比G3に近い値であるから、目標車速Voとの偏差をできるだけ小さくすることができると共に、該車速の偏差を打ち消すためにエンジン回転数を増減制御する場合においても、エンジン回転数の変化量をできるだけ小さくすることができて、エコノミーモードの制御にとって有利となる。
【0065】
次いで、ステップS11で、上記待機時間αがゼロ以下になったか否かを判定し、YESのとき、つまり待機時間αが経過したときは、ステップS12〜S14で、傾転角を切換ポイント傾転角θPまで戻す。つまり、上記図7において、符号エの状態からオの状態まで移行させるのである。
【0066】
そして、ステップS15で、ローモードクラッチ60とハイモードクラッチ70とを掛け替えてモードないし動力伝達経路の切換えを行なったのち、さらに上記ステップS16〜S18で、傾転角を目標傾転角θoまで変化させて終了する。これにより、上記図7において、符号オの状態から目標カまで移行することになり、ここにおいて目標車速Voが最終的に実現することになる。
【0067】
一方、上記ステップS11で、NOのとき、つまり待機時間αがまだ経過していないときは、最初のステップS1まで戻り、改めて目標車速Vo、目標最終変速比Go、目標トロイダル変速比Ho、及び目標傾転角θo等を決定し、また待機時間αを減算し、そして上記目標値が現モードで達成可能か否かの判定を行ない、その結果に応じた制御を行なうことになる。
【0068】
したがって、最初にステップS6で設定された待機時間αが経過するまでに、次の目標が、上記図7に符号キやクで示すように、現モード(ローモード)で達成可能なものとして設定されたときには、エの状態から再びそれらの状態キ、クに移行されて、結果的に、モードの切換えは行なわれないことになる。
【0069】
これに対して、上記待機時間αが経過したのちにおいても、次の目標が、現モードで達成できないものとして設定されたときに限り、上記ステップS12以下に進んで、その途中のステップS15でモードないし経路の切換えが行なわれることになる。
【0070】
その結果、ローとハイとの間のモードないし経路の切換えの回数ないし頻度が確実に減少し、ハンチングの生じる虞が効果的に低減されることになる。
【0071】
そして、その場合に、上記待機時間αが、運転者の加速要求が大きいときほど小さな値に求められるから、待機時間中における目標車速が実現されない期間が短縮され、これにより、目標車速が早期に実現されて、加速要求に適正に対応することが可能となる。
【0072】
また、上記待機時間αが、冷間時ほど大きな値に求められるから、作動油の粘性が高くなる冷間時におけるローラ23,33の傾転角変更動作、つまり変速比の制御動作や、クラッチ60,70の切換動作等に応答遅れが生じることに適正に対応することが可能となる。
【0073】
さらには、上記待機時間αを、高車速時ほど小さな値としたときには、次のような作用が得られる。すなわち、高車速時は、次に設定される目標車速が、その高い値の現車速よりも低い値に設定される可能性が大きく、したがって、結果的にモードの切換えを行なわなくても済む方向に進む確率が大きくなる。よって、待機時間αをそれほど長くとらなくても、現経路で次に設定される目標車速を実現できる可能性が高いから、早めに待機状態を解除して、その次の目標車速への変速応答性を向上させるようにした方が合理的な制御となる。
【0074】
ところで、以上説明したように、上記待機時間αが経過したのちも、目標最終変速比Goとして、現経路で達成できない変速比が設定された場合は、結果的に、経路の切換えが行なわれることになるが、その間、最終変速比Gは目標値Goに至っておらず、各経路で達成可能な限界値GL、GHに保持されたのち、切換ポイントPまで戻され、然る後に、切換え後の経路にて、最終的に、目標最終変速比Goへ変更される。したがって、この間、エンジン回転数を変更させる制御が行なわれていないと、車速が最終変速比Gのみによって決まるから、すでに述べたように、運転者のアクセル操作にマッチした車速がなかなか得られず、却って、最終変速比Gが限界値GL、GHから切換ポイントPまで戻される期間中は、増速すべきときに減速し、減速すべきときに増速するというような現象が生じて、運転者にとって違和感となる。
【0075】
そこで、上記コントロールユニット100は、かかる不具合を解消するためのエンジン回転数の制御をエコノミーモードの効果を損なわない範囲内で、最小限、限定的に行なうようになっている。次に、該エンジン制御を上記図7及び図8のタイムチャートを参照して説明する。
【0076】
すなわち、この場合、上記図7において、符号アの状態から、順に、符号エ、オ、カの状態へと移行することになり、図8に示すように、アクセル開度Aは時間t1において、ASからAEまで増大する。そして、このアクセル開度AE等に応じて上記カの状態が最終目標として決定されることになる。
【0077】
トロイダル変速比Hは、当初のHSから切換ポイント変速比HPを越えて時間t2から最大値Hmaxに保持され、時間t3で待機時間αが経過したのちに、時間t4において切換ポイント変速比HPに戻され、そして時間t5において目標値H3へと変化する。
【0078】
そして、それに伴い、最終変速比Gは、当初のGSから切換ポイント変速比GPを越えて時間t2から限界値GLに保持され、時間t3で待機時間αが経過したのちに、時間t4において切換ポイント変速比GPに戻され、そして時間t5において目標値G3へと変化する。
【0079】
その場合に、時間t2からt5までの間は、これらの変速比H、Gが目標値H3、G3に至っておらず、したがって、エンジン回転数Nが当初の回転数NSのまま固定されていると、例えば、図8に鎖線で示すように、時間t2からt3の間は増加せず、時間t3からt4の間は減少し、そして、モード切換後の時間t4からt5の間で急増するようになって、滑らかな車速変更が実現しない。
【0080】
これに対処するため、上記のような車速の変化を打ち消すように、エンジン回転数Nは、時間t2からt3の間で増加され、時間t3からt4の間でさらに大きい増加率で増加され、そして、モード切換後の時間t4からt5の間で当初の回転数NSに戻される。これにより、最終変速比Gによる車速の変化がエンジン回転数Nによる車速の変化によって修正され、結果として滑らかな車速Vが当初のVSから目標車速Voまでリニアに円滑に変更されることになる。
【0081】
なお、以上においては、目標車速が現車速よりも高い値に決定され、モードがローからハイに切り換わる場合で説明したが、これに限らず、例えば、目標車速が現車速よりも低い値に決定される等して、モードがハイからローに切り換わる場合にも、本発明は適用可能であることはいうまでもない。
【0082】
【発明の効果】
上記説明したように、本発明によれば、エンジンと駆動輪との間に複数の動力伝達経路が設けられ、その場合に、これらの経路が、各経路で達成可能な無段変速機の変速比が所定の範囲で重複するように設けられているから、該重複範囲を利用することにより、該経路ないしモードの切換えの回数ないし頻度を減少することができて、その切換えのハンチングが抑制されることになる。
【0083】
さらに、目標変速比が上記重複範囲を逸脱して現経路で達成できなくなり、動力伝達経路の切換えを行なう場合においても、所定の待機時間が経過してから該経路の切換えを行なうので、上記待機時間中に次の目標変速比が再び現経路で達成可能な変速比に設定された場合には、そのまま現経路を維持することができ、結果的に、動力伝達経路の切換えを全く行なわなくて済むことになり、これにより、経路ないしモードの切換えの回数ないし頻度をより一層確実に減少することができて、その切換えのハンチングがより一層効果的に抑制されることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係るパワートレインのトロイダル式無段変速機の機械的構成を示す骨子図である。
【図2】 同システム構成図である。
【図3】 車速変更制御及びモード切換制御の具体的動作を示すフローチャート図である。
【図4】 同じくフローチャート図である。
【図5】 同制御に用いられる特性図である。
【図6】 同じく特性図である。
【図7】 同制御で得られる作用の説明図である。
【図8】 同制御における各パラメータの経時変化を示すタイムチャート図である。
【図9】 上記トロイダル式無段変速機における各パラメータの関係を表わす特性図である。
【図10】 同じく別の特性図である。
【符号の説明】
1 エンジン
10 トロイダル式無段変速機
16 アクセル開度センサ
17 エンジン回転数センサ
20,30 無段変速機構
21,31 入力ディスク
22,32 出力ディスク
23,33 ローラー
50 遊星歯車機構
60 ローモードクラッチ
70 ハイモードクラッチ
100 コントロールユニット

Claims (5)

  1. エンジン側からの入力回転と駆動輪側への出力回転との間の変速比が無段階に変化するように構成された無段変速機を有するパワートレインの制御装置であって、上記エンジンと駆動輪との間に複数の動力伝達経路が設けられ、各経路で達成可能な上記無段変速機の変速比が所定の範囲で重複していると共に、車両の走行状態を検出する走行状態検出手段と、該検出手段の検出結果に基づいて上記無段変速機の目標変速比を設定する目標変速比設定手段と、上記経路を上記無段変速機の変速比に応じて選択的に切り換える伝達経路切換手段とが備えられ、該切換手段が、上記設定手段で設定された目標変速比が現経路で達成可能である限りは、該目標変速比が上記重複範囲にあっても動力伝達経路の切換えを行なわず、上記目標変速比が上記重複範囲を逸脱して現経路で達成可能でないときにのみ、該目標変速比が達成可能な動力伝達経路への切換えを行ない、且つ、その切換えを、現経路で達成可能でない上記目標変速比が設定されてから所定の待機時間が経過したのちに行なうように構成されていることを特徴とするパワートレインの制御装置。
  2. 待機時間が経過するまでは、無段変速機の変速比は、現経路で達成可能な変速比のうち目標変速比に最も近い変速比に保持されることを特徴とする請求項1に記載のパワートレインの制御装置。
  3. 待機時間が経過したのちは、無段変速機の変速比は、伝達経路切換手段により切換えが行なわれる経路間で同一の達成可能な変速比まで変化され、上記切換手段は、無段変速機の変速比が該同一変速比となったときに動力伝達経路の切換えを行なうように構成されていると共に、上記変速比が上記同一変速比まで変化されることによる車速の変化が抑制されるようにエンジン回転数が制御されることを特徴とする請求項1に記載のパワートレインの制御装置。
  4. 走行状態検出手段の検出結果に基づいて運転者の加速要求の有無を判定する加速要求判定手段が設けられ、該判定手段により運転者の加速要求があると判定されたときは、判定されないときに比べて、待機時間は短くされることを特徴とする請求項1に記載のパワートレインの制御装置。
  5. 冷間時は、温間時に比べて、待機時間は長くされることを特徴とする請求項1に記載のパワートレインの制御装置。
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