JP4122253B2 - コンクリート壁面の構築方法及びその方法に使用する型枠ユニット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スタイロフォーム等の型枠材を使用したコンクリート壁面の構築方法、及び、その方法に使用する枠部材及び型枠材に関し、特に、人力で持ち運ぶことができるほど軽量であるにも拘わらず、十分な耐久性を有し、型枠の設置作業を簡素化することができる枠部材、型枠材、及び、それらを使用したコンクリート壁面の構築方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
立設した型枠内にコンクリートを打設することによって、構造物の壁面を構築しようとする工事においては、従来より、型枠材として広くスタイロフォームが使用されている。図7は、スタイロフォーム51を使用した構造物壁面の一般的な施工方法の説明図である。
【0003】
この図に示されているように、構造物壁面の構築に際してスタイロフォーム51が使用される場合、まず、型枠としてのスタイロフォーム51を保持しておくために必要な「パイプの建て込み作業」を行う。
【0004】
パイプの建て込み作業を行う場合、まずは複数本の縦パイプ52を、所定間隔を置いて垂直に立て、これらの縦パイプ52の内側面に沿って、スタイロフォーム51を並べていく。そして、対向するスタイロフォーム51,51間に、それぞれの内部を貫通するように、複数本(例えば、対向する一組のスタイロフォーム51,51につき、12本)のセパレータ53を配設し、その両端部53aを、二本一組の横パイプ54,54間に跨らせたホームタイ55によって留め付ける。尚、横パイプ54は、セパレータ53の端部53aを留め付けるホームタイ55の締結力によって、縦パイプ52の外側面上に保持されるようになっている。
【0005】
パイプの建て込み作業、及び、スタイロフォーム51の設置が完了したら、対向するスタイロフォーム51,51間の空間に、生コンクリートを打設する。このとき、セパレータ53の一部は、生コンクリート中に埋没することになる。生コンクリートを打設したら、バイブレータ等を用いてコンクリートを締め固める。その後、所定の養生期間を経てコンクリートが硬化したら、縦パイプ52、横パイプ54、及び、スタイロフォーム51を除去(脱型)する。
【0006】
脱型を行う際には、まず、セパレータ53の両端部を留め付けているホームタイ55を取り外し、横パイプ54、縦パイプ52、スタイロフォーム51を順番に撤去していく。
【0007】
脱型によりスタイロフォーム51等を撤去すると、硬化したコンクリートによって形成された壁面が現れることになるが、この壁面の内部には多数のセパレータ53が埋め残されており、それらのセパレータ53の両端部が、コンクリート壁面から、外側に向かって多数突出した状態となっているので、それら突出状態のセパレータ53の両端部を切断して除去する。最後に、漏水を防止するため、セパレータ53の切断面付近にモルタルを配設してコーキング処理を行う。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
図7に示したような、スタイロフォーム51を使用した従来の施工方法は、スタイロフォーム51の設置に時間がかかるという問題がある。また、パイプの建て込み作業には専門の技術が必要となるため、一般的な建築施工業者は、一連の作業のうち、このパイプ建て込み作業だけを専門の業者に依頼して行うことが多く、このような場合には施工費用が嵩んでしまうという経済的な問題が生じるほか、作業日程が合わないときは、工期が順延してしまうという問題も生じてしまう。
【0009】
本発明は、このような従来技術を解決すべく創出されたものであって、型枠の設置が容易で、しかも、軽量であるにも拘わらず十分な耐久性を有する枠部材を使用するため、特殊技術を有しない者であっても簡単に施工することができ、経済的、技術的にも優れた効果を期待することができるコンクリート壁面の構築方法、及び、これを実現するための枠部材を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る型枠ユニットは、コンクリート壁面の施工工事において使用されるものであって、スタイロフォームからなる型枠材の一方の面に枠部材を取り付けることによって形成され、枠部材が、矩形状に形成した外枠の内側に、当該外枠の長手方向と直交する方向へ延在する係止部を複数有し、前記係止部には、隣接させた他の型枠ユニットの枠部材と連結固定させるための連結手段を有していることを特徴としている。尚、前記外枠は、L形断面を呈する鋼製の長アングル材及び短アングル材の端部同士を溶接することによって形成することが好ましい。
【0011】
また、係止部は、複数の板材からなり、それらの板材は、長アングル材及び短アングル材から外側へ一部が突出するような状態で取り付けられていることが好ましく、更に、枠部材は、高さ寸法が、型枠材の高さ寸法の90〜100%の範囲内に設定され、かつ、幅寸法が、型枠材の幅寸法の60〜70%の範囲内に設定されていることが好ましい。
【0012】
更に、本発明に係るコンクリート壁面の構築方法は、スタイロフォーム等の型枠材の一方の面に、上記のような枠部材を取り付けてなる型枠ユニットを複数用意し、一つの型枠ユニットを自立させた後に、これに隣接させて他の型枠ユニットを並べ立て、これらの隣接する型枠ユニット同士を、前記連結手段を利用して連結固定し、また、自立させた一つの型枠ユニットから所定間隔をおいた位置に、その型枠ユニットと対向するようにして他の型枠ユニットを立て、これらの対向する型枠ユニット同士を、それらの型枠材内を貫通するとともにチューブ内に挿通されたタイロッドにより連結固定し、これらの型枠ユニット間に形成された空間内に生コンクリートを打設し、これを養生、硬化させることを特徴としている。
【0013】
更に、本発明に係る型枠ユニットに使用される型枠材には、隣接して配置される型枠ユニットの型枠材同士を連結固定するクランプを差し込むための凹部が多数形成され、それらが縦方向に整列して配置されていることが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る枠部材1の正面図であり、図2は、そのA−A線による断面図である。これらの図からも明らかなように、この枠部材1は、基本的にはL形断面の鋼製アングル材2(長アングル材2a,2b、及び、短アングル材2c,2d)と、平板状の鋼製板材3(3a〜3h)によって形成された四つの係止部4(4a〜4d)とによって構成されている。
【0015】
より具体的には、この枠部材1は、長アングル材2a,2bと短アングル材2c,2dの端部同士を溶接することによって形成した矩形状の外枠の内側に、複数の板材3(3a〜3h)を、長アングル材2a,2bと直交するような向き(即ち、外枠の長手方向と直交する向き)に取り付けたものであって、複数の板材3を、二枚ずつが近接するように配置することによって、近接した二枚の板材3からなる係止部4(4a〜4d)が、長アングル材2a,2b間に、四組張り渡された状態となっている。
【0016】
尚、板材3は、枠部材1を立てたとき(図1に示したような状態)に水平となるような向きで長アングル材2a,2bに取り付けられている。また、図2に示されているように、板材3は、アングル材2から外側へ一部が突出するような状態で取り付けられており、その突出部分Xには、複数の係止孔5(連結手段)が設けられている。
【0017】
また、係止部4の裏側には、板材3と直交する向きに補強用の裏あて材6が取り付けられており、更に、一組の係止部4を構成する二枚の板材3の間には、板材3、及び、裏あて材6とそれぞれ直交するような向きにて、補強用のリブ7が形成されている。
【0018】
この枠部材1の寸法は、使用される型枠材の大きさに応じて適宜設定することができるが、高さ寸法は、型枠材の高さ寸法の90〜100%の範囲内で設定することが好ましく、また、幅寸法は、型枠材の幅寸法の60〜70%の範囲内で設定することが好ましい。幅寸法が型枠材の60%に満たない場合には、生コンクリートの打設時において、生コンクリートの荷重に対抗して型枠材を保持しておくことが困難であり、反対に、70%を超える場合には、重量の増加により、持ち運び等に不便であるという問題があるからである。
【0019】
このようなことから、例えば、高さ2300mm、幅910mmの型枠材に取り付けて使用する枠部材1の場合、高さ寸法は、2070〜2300mmの範囲内で設定することが好ましく、また、幅寸法は、546〜637mmの範囲内で設定することが好ましい。
【0020】
ここで、本実施形態に係る枠部材1の使用方法、及び、この枠部材1と型枠材(本実施形態においては「スタイロフォーム」)を使用して、構造物の壁面を構築する方法について説明する。まず、一つの枠部材1を、図3に示すように、一枚のスタイロフォーム8の一方の面に取り付けて、型枠ユニット9を形成する。枠部材1のスタイロフォーム8への取り付けは、枠部材1に形成されている取付用貫通孔17から、スタイロフォーム8の内部へとビス及び/又は釘を打ち込むことによって行う。
【0021】
尚、図3に示されているように、スタイロフォーム8の一方の面には、矩形状の凹部8aが多数(8列×4段、合計で32個)形成されている。これらの凹部8aは、横方向及び縦方向に整列配置されている。また、これらの凹部8aの深さ寸法は、本実施形態においては、スタイロフォーム8の厚さ寸法の半分に設定されている。
【0022】
次に、枠部材1の固定用貫通孔10,10を、予め床面に設けておいた固定孔に合わせるようにして、型枠ユニット9を床面上に立てる。そして、固定用貫通孔10及び床面の固定孔にボルトを差し込んで締め付け、型枠ユニット9を床面上に自立させる。
【0023】
この床面上に自立させた型枠ユニット9に隣接させて、他の型枠ユニット9’を立てて並べ、複数の連結用貫通孔12を有する連結バー11を、同じ高さに位置する係止部4,4’間に差し渡し、連結バー11の連結用貫通孔12と、係止部4の係止孔5、及び、係止部4’の係止孔5’とを合わせ、ウェッジ13をこれらに差し込むことによって、型枠ユニット9とこれに隣接する型枠ユニット9’とを連結固定する。
【0024】
更に、隣接するスタイロフォーム8同士を、図3に示すように、クランプ20を用いて連結する。より具体的には、クランプ20を、スタイロフォーム8に形成されている凹部8a内に差し込んで、隣接する2つのスタイロフォーム8に跨らせ、ハンドルを回動させることによって締め付けて、スタイロフォーム8同士を緊密に連結する。尚、このクランプ20によるスタイロフォーム8同士の連結は、連結バー11及びウェッジ13による型枠ユニット9同士の連結に対し、これを補強する関係にある。
【0025】
このようにして、多数の型枠ユニット9を順次隣接して並べ立てていき、連結バー11、ウェッジ13、及び、クランプ20を用いて、それらを相互に連結固定する。
【0026】
そして、図4に示すように、床面上に自立させた一つの型枠ユニット9から所定間隔を置いた位置に、更に他の型枠ユニット9”を、スタイロフォーム8,8”同士が対向するような向きにて立てる。尚、両型枠ユニット9,9”間に確保する間隔の寸法Lは、構築しようとする壁面の厚さ寸法に合わせて設定する。
【0027】
次いで、それらのスタイロフォーム8,8”を貫通するようにして、かつ、各枠部材1にそれぞれ形成されている係止部4の内側(図4においては、板材3a,3b間)を通すようにして、直径20mm程度のタイロッド14を取り付ける。そして、対向する型枠ユニット9,9”の間隔が拡がらないように、タイロッド14の両端部にそれぞれカウンタープレート15,15を取り付ける。
【0028】
尚、図示されているように、対向する型枠ユニット9,9”間においては、タイロッド14はチューブ16内に挿通される。このチューブ16は、全長が、両型枠ユニット9,9”間に確保される間隔の寸法Lとほぼ等しくなるように設定されており、対向する型枠ユニット9,9”の間隔が狭まってしまうことを回避できるようになっている。
【0029】
また、このチューブ16の両端部には、末広がり状のコーン部16a,16aが形成されている。本実施形態においては、チューブ16として、コーン部16aが本体から着脱自在なように構成されているものを使用しているが、コーン部16aが本体と一体的に成型されたものを用いることもできる。更に、図示されているように、スタイロフォーム8,8”とチューブ16のコーン部16a,16aとの間には、それぞれ押さえ板19,19が配置され、チューブ16のコーン部16a,16aが、スタイロフォーム8,8”に食い込んでしまうような事態を回避できるようになっている。
【0030】
尚、図3に示されているように、本実施形態においては、対向する一対の型枠ユニット9,9”について、四本(一つの枠部材1について形成される係止部4と同数)のタイロッド14が使用されている。これらのタイロッド14は、機能的には、従来の一般的な施工方法(図7参照)におけるセパレータ53に相当するものであるが、使用される本数は、従来のセパレータ53が一枚のスタイロフォームについて12本であったのに対し、タイロッド14を使用する場合には、一枚のスタイロフォーム8につき四本で十分である。
【0031】
このようにして、隣接する型枠ユニット9同士を、連結バー11及びウェッジ13を用いて連結固定する作業、及び、対向する型枠ユニット9同士を、タイロッド14、カウンタープレート15、チューブ16を用いて固定する作業が完了したら、対向する型枠ユニット9間に形成されている空間に、生コンクリートを打設する。このとき、タイロッド14の中間部とチューブ16は、図4に示すように、生コンクリート18中に埋没することになる。
【0032】
対向する型枠ユニット9間に形成されている空間に大量の生コンクリートを流し込むと、各型枠ユニット9には、生コンクリートの荷重によって、外側へ押し拡げられるような力が作用することになるが、本実施形態においては、前述した通り、対向する型枠ユニット9同士がタイロッド14によって強固に連結されているので、打設された生コンクリートの荷重に耐え、両型枠ユニット9同士の相対関係(間隔)が保持されることになる。
【0033】
生コンクリートを打設したら、バイブレータ等を用いてコンクリートを締め固める。その後、所定の養生期間を経てコンクリートが硬化したら、型枠ユニット9の脱型を行う。
【0034】
型枠ユニット9の脱型は、まず、タイロッド14の両端部に装着されているカウンタープレート15を取り外し、スタイロフォーム8及びコンクリート内からタイロッド14を引き抜くことによって、対向する型枠ユニット9,9”(図4参照)間の連結を解除し、続いて、ウェッジ13及び連結バー11を係止部4から取り外すことによって、隣接する型枠ユニット9,9’(図3参照)間の連結を解除して行う。
【0035】
脱型を行う際には、対向する型枠ユニット9,9”のうち一方(外側、即ち、室外側に位置する型枠ユニット9(又は9”))のみを除去し、他方(内側、即ち、室内側に位置する型枠ユニット9”(又は9))については、枠部材1のみを除去し、内側のスタイロフォーム8”(又は8)については、硬化したコンクリートに貼り付いた状態のまま残存させる。このようにした場合、残存させたスタイロフォーム8”(又は8)を、室内の断熱材として利用することができ、その後、内装工事の一部として実施されるべき「断熱材の貼り付け作業」を省略することができる。但し、対向する型枠ユニット9,9”の双方とも除去するようにしてもよい。
【0036】
尚、本実施形態においては、脱型により除去される外側のスタイロフォーム8(又は8”)の少なくとも一方の面(コンクリート壁面と接する側の面)に、保護フィルムが貼着されることによって保護膜が形成されており、剥離性が向上し、脱型作業を容易にすることができるほか、スタイロフォーム表面の劣化を防止することができるので、耐久性が向上し、何度でも繰り返して使用(転用)することができる。
【0037】
脱型により外側の型枠ユニット9(又は9”)を除去すると、硬化したコンクリートによって形成された壁面が現れることになるが、この壁面の内部には多数のチューブ16が埋め残されており、その内側は空洞となっているので、最後の仕上げとして、漏水を防止するための処理(コーキング処理)を行う。
【0038】
コーキング処理は、まず、チューブ16の本体からコーン部16a,16aを取り除き、残った円錐状の空洞にモルタル又はコーキング剤を注入することによって行う。
【0039】
以上に説明したように、本実施形態に係る枠部材1、乃至、型枠ユニット9(枠部材1をスタイロフォーム8の一方の面に取り付けることによって構成したユニット)を用いれば、簡単な作業のみで、極めて容易にコンクリート壁面を構築することができる。
【0040】
また、この型枠ユニット9は、スタイロフォーム8を縦方向に裁断することによって、幅を調節することができる。従って、幅寸法の異なる複数種類のスタイロフォーム8を用意しなくても、1種類のスタイロフォーム8のみで、所望の寸法のコンクリート壁面を構築することができる。尚、本実施形態において使用されているスタイロフォーム8には、前述の通り、多数の凹部8aが形成されており、これらは縦方向に整列して配置されているため、縦方向に整列した凹部8aの内側面に沿って、即ち、それらの凹部8aをガイドとしてカットすることによって、簡単に裁断することができる。従って、現場においても容易に対応することができる。
【0041】
尚、本実施形態においては、図1〜図4に示したような枠部材1を用いることによって、直線的なコンクリート壁面を構築する方法の一例について説明したが、隣接する型枠ユニット9同士の連結固定方法を工夫することによって、直角状、T字状、或いは、十字状のコンクリート壁面を構築することも可能である。
【0042】
但し、図1等に示したような枠部材1のほかに、図5及び図6に示すようなコーナー用枠部材21をも用意した場合には、直角状、T字状、十字状のコンクリート壁面を、より一層容易に構築することができる。
【0043】
より詳細には、このコーナー用枠部材21は、三本の長アングル材2a,2b,2eと、四本の短アングル材2c,2d,2f,2gの端部同士を溶接することにより、枠によって囲まれた二つの矩形状の平面が直交するような状態の外枠を形成し、この外枠の内側に、外枠の長手方向と直交する方向へ延在するL字状の係止部4を複数取り付けてなるものであり、断面がL字状となるように成型されたスタイロフォーム(或いは、二枚のスタイロフォームを組み合わせて断面がL字状となるように形成した複合スタイロフォーム)の谷側面に取り付けて使用することにより、直角状のコンクリート壁面等を容易に構築することができる。
【0044】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明に係る枠部材を使用すれば、従来の方法と比べて、型枠の設置作業を簡素化することができ、しかも、特殊な専門技術を有しない者であっても、簡単にコンクリート壁面を構築することができる。
【0045】
また、本発明に係る枠部材は、軽量であるにも拘わらず十分な強度を有しているほか、保管、運搬が容易であるという利点を有している。
【0046】
更に、脱型の際に、一方側の型枠材(スタイロフォーム)を、硬化したコンクリート壁面に貼り付いた状態のまま残存させるように構成した場合には、極めて断熱効果に優れた断熱材として利用することができ、内装工事の一部である断熱材の貼り付け作業を省略できる、という効果を期待することができる。
【0047】
また、脱型時にコンクリート壁面から引き剥がして除去した型枠材、枠部材、又は、型枠ユニットは、他の工事に転用することができる。尚、脱型時に除去する型枠材の一方の面(コンクリートに接する側の面)に、保護フィルムが貼着されるなど、保護膜が形成されている場合には、剥離性が向上し、脱型作業を容易にすることができるほか、型枠材表面の劣化を防止することができるので、耐久性が向上し、何度でも繰り返して使用(転用)することができる。
【0048】
更に、型枠材として使用するスタイロフォームの表面に、多数の矩形状凹部を形成した場合には、それらの内部にクランプを差し込むことにより、隣接して配置したスタイロフォームとの間の連結を補強することができるほか、それらの凹部をスタイロフォーム表面において縦方向に整列させて形成した場合には、裁断用のガイドとしても用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態に係る枠部材1の正面図。
【図2】 図1の枠部材1のA−A線による断面図。
【図3】 図1の枠部材1の使用方法の説明図。
【図4】 図1の枠部材1の使用方法を示す断面図。
【図5】 本発明において使用することができるコーナー用枠部材21の正面図。
【図6】 図5の枠部材21のB−B線による断面図。
【図7】 従来の構造物壁面の一般的な施工方法の説明図。
【符号の説明】
1,21:枠部材、
2:アングル材、
2a,2b,2e:長アングル材、
2c,2d,2f,2g:短アングル材、
3,3a〜3h:板材、
4,4a〜4d,4’:係止部、
5,5’:係止孔、
6:裏あて材、
7:リブ、
8,8”,51:スタイロフォーム、
8a:凹部、
9,9’,9”:型枠ユニット、
10:固定用貫通孔、
11:連結バー、
12:連結用貫通孔、
13:ウェッジ、
14:タイロッド、
15:カウンタープレート、
16:チューブ、
16a:コーン部、
17:取付用貫通孔、
18:生コンクリート、
19:押さえ板、
20:クランプ、
52:縦パイプ、
53:セパレータ、
53a:端部、
54:横パイプ、
55:ホームタイ
Claims (5)
- コンクリート壁面の施工工事において使用される型枠ユニットであって、
スタイロフォームからなる型枠材の一方の面に枠部材を取り付けることによって形成され、
前記枠部材は、矩形状に形成した外枠の内側に、当該外枠の長手方向と直交する方向へ延在する係止部を複数有し、
前記係止部に、隣接させた他の型枠ユニットの枠部材と連結固定させるための連結手段を有していることを特徴とする型枠ユニット。 - 前記外枠が、L形断面を呈する鋼製の長アングル材及び短アングル材の端部同士を溶接することによって形成したものであり、
前記係止部は、複数の板材からなり、
前記板材は、前記長アングル材及び短アングル材から外側へ一部が突出するような状態で取り付けられていることを特徴とする、請求項1に記載の型枠ユニット。 - 前記枠部材は、高さ寸法が、前記型枠材の高さ寸法の90〜100%の範囲内に設定され、かつ、幅寸法が、前記型枠材の幅寸法の60〜70%の範囲内に設定されていることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の型枠ユニット。
- 前記型枠材に、隣接して配置される型枠ユニットの型枠材同士を連結固定するクランプを差し込むための凹部が多数形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の型枠ユニット。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の型枠ユニットを使用して、コンクリート壁面を構築する方法であって、
前記型枠ユニットを複数用意し、
一つの型枠ユニットを自立させた後に、これに隣接させて他の型枠ユニットを並べ立て、これらの隣接する型枠ユニット同士を、前記連結手段を利用して連結固定し、
また、自立させた一つの型枠ユニットから所定間隔をおいた位置に、その型枠ユニットと対向するようにして他の型枠ユニットを立て、これらの対向する型枠ユニット同士を、それらの型枠材内を貫通するとともにチューブ内に挿通されたタイロッドにより連結固定し、
これらの型枠ユニット間に形成された空間内に生コンクリートを打設し、これを養生、硬化させることを特徴とする、コンクリート壁面の構築方法。
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